JP2004107494A - 熱可塑性層状アルキルシロキサンとその製造方法 - Google Patents

熱可塑性層状アルキルシロキサンとその製造方法 Download PDF

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藤田 武敏
Shigenobu Hayashi
林 繁信
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Abstract

【課題】成形性や分散性がよく、室温近傍を中心に様々な温度で転移できる熱可塑性の無機/有機の層状複合体を提供する。
【解決手段】一般式RSi(OL) (ここでRはアルキル基を示し、LはH、Siまたは溶液中や懸濁液中で容易にOL基がOH基に変化しうる基を示す)で表されるアルキルシラン化合物、一般式Si(OM)4 (ここでMはH、Siまたは溶液中や懸濁液中で容易にOM基がOH基に変化しうる基を示す)で表されるケイ素化合物と水を溶媒中または分散媒中で反応させ、組成式が、一般式(RSi1+x2+1.5x+0.5Z(ここでRはアルキル基を示し、0.5≦x≦2、2≦200、0≦zを示す)で表される熱可塑性層状アルキルシロキサンとする。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、熱可塑性層状アルキルシロキサンとその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、融点温度の範囲が−30〜60℃程度の室温近傍を含む比較的広い融点範囲を示す、新しい熱可塑性層状アルキルシロキサンに関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明の課題】
無機/有機の層状複合体は既に知られている。そして、無機/有機の層状複合体の中でも特に無機材と有機材が共有結合している複合体は有機材の遊離が起こりにくい等の理由から実用に適しており、近年ではこの分野の開発が進められている。(たとえば文献1および2を参照)。
【0003】
しかしながら、これまで知られている無機/有機の層状複合体は加熱しても塑性を示さないため成形が困難であった。そこで、溶媒や分散媒を利用して成形することも可能であるが、この場合には、収縮に伴う亀裂の発生などの問題があった。
【0004】
無機/有機の層状複合体は無機と有機の双方の性質を有しているため従来の無機材料のフィラー(充填材)に代わる新しいフィラーとしての可能性も考えられているが、以上のように加熱しても融解しないためマトリックスとの親和性に欠けていた。
【0005】
このようなことから、層状の無機/有機の複合体で融点を有するものであれば機械的強度はもちろん分散操作や分散性が飛躍的に向上すると予測されていたが、従来ではこのような層状の無機/有機複合体は知られていない。
【0006】
【文献1】
Bull. Chem. Soc. Jpn., 1997, 70, 2847
【文献2】
Langmuir, 18(2002), 1144
この出願の発明は、以上のとおりの従来技術の問題点を解消し、無機/有機の層状複合体に熱可塑性を付与することによって成形性や分散性がよく、固相−液相の変化が可逆であり、かつ転移熱が比較的大きく、かつ室温近傍を中心に様々な温度で転移できる、新しい無機/有機の層状複合体を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には、組成式が一般式 (RSi1+x2+1.5x+0.5Z (ここでRはアルキル基を示し、Lは、H、Siまたは溶液中や懸濁液中で容易にOL基がOH基に変化しうる基を示し、0.5 ≦x≦2、2≦m≦200、0≦zを示す)で表される熱可塑性層状アルキルシロキサンを提供するものであり、第2には、融点が−30〜60℃の温度範囲である熱可塑性層状アルキルシロキサンを、また、第3には、分解温度が300℃以上であることを特徴とする熱可塑性層状アルキルシロキサンを提供する。
【0008】
そして、この出願の発明は、第4には、前記の層状アルキルシロキサンの製造方法であって、一般式 RSi(OL) (ここでRはアルキル基を示し、LはH、Siまたは溶液中や懸濁液中で容易にOL基がOH基に変化しうる基を示す)で表されるアルキルシラン化合物と水を溶媒中または分散媒中で反応させることを特徴とする熱可塑性層状アルキルシロキサンの製造方法を、第5には前記方法において、一般式Si(OM)4 (ここで MはH、Siまたは溶液中や懸濁液中で容易にOM基がOH基に変化しうる基を示す)で表されるケイ素化合物を溶媒中または分散媒中で反応させることを特徴とする熱可塑性層状アルキルシロキサンの製造方法を、また、第6には、アルカリ性試薬または酸性試薬を触媒として用いることを特徴とする熱可塑性層状アルキルシロキサンの製造方法を、第7には、 アンモニアを触媒として用い、反応液中の試薬濃度を10wt%以上として50℃以上で反応させることを特徴とする熱可塑性層状アルキルシロキサンの製造方法を、また、第8には、反応温度を50〜200℃以下の範囲で、反応液中の試薬濃度を10〜80wt%の範囲で制御することを特徴とする熱可塑性層状アルキルシロキサンの製造方法を提供するものである。
【0009】
この出願の発明は、第9には、前記の熱可塑性層状アルキルシロキサンを有効成分として含有していることを特徴とするコーティング剤を、第10には、前記の熱可塑性層状アルキルシロキサンを用いて成形されたものであることを特徴とする成形体を、第11には、成形体が薄膜であることを特徴とし、第12には、薄膜が無機/有機複合体の単一層である成形体を、また、第13には、前記の熱可塑性層状アルキルシロキサンを用いて少なくともその一部を構成したことを特徴とするフィラーを、さらに、第14には、前記の熱可塑性層状アルキルシロキサンを用いて少なくともその一部を構成したことを特徴とするエネルギー貯蔵材料を提供するものであり、さらに、第15には、前記の熱可塑性層状アルキルシロキサンを用いて少なくともその一部を構成したことを特徴とする温度センサーを提供するものである。
【0010】
以上のとおりのこの出願の発明は、次のようなこの出願の発明者による詳細な検討の結果を踏まえて完成されたものである。
【0011】
すなわち、まず、この出願の発明者はケイ酸塩と長鎖のアルキルアンモニウムとが共有結合する無機/有機の層状複合体を開発している。
【0012】
この開発された無機/有機の層状複合体では、そのアルキル鎖部分は隣接して向き合う無機部分とアルキル鎖が互い違いに櫛の歯状に並んでおり、アルカン結晶に類似した規則的な配列を有する、いわゆるinterdigitatedの構造となっている。
【0013】
そして、この無機/有機の層状複合体は規則的な配列が崩壊する時に吸熱が起きるという優れた特性を有することを知見した。ところが、この無機/有機の層状複合体ではアルキル鎖が破壊されても塑性を示さず成形性が劣っていた。
【0014】
そこで、発明者らは複合体の熱特性に及ぼす無機部分の影響を小さくすることによってアルキル鎖の配列の崩壊に伴い無機/有機の層状複合体が流動性を示すのではないかとの考えの基に検討を進め、無機部分を構成する材料としてシロキサンが適切であることを見出した。
【0015】
そして、このシロキサンに対応する有機部分としては層状構造の形成を阻害せず、無機/有機の層状複合体合成過程において、各種試薬と反応して分解する危険がなく、しかも加熱・冷却過程において可逆的に固相−液相転移するものであり、固相−液相転移過程で転移熱の出入りを要する基を持つことが必要であるとの考えの基に検討し、アルキル鎖が最適であることを見出した。
【0016】
アルキル鎖として直鎖状のアルキル鎖を有するアルカン結晶を有するものは鎖長に依存し様々な温度で相転移するため好適なエネルギー貯蔵材料として期待されているが、このアルカン結晶においてはドデカンの結晶でも融点は高々−9.55℃であり、融点が低すぎるため実用範囲に制限があり、室温近傍に融点を有する化合物の開発が待たれていた。
【0017】
そこで、この出願の発明ではシロキサンとアルキル鎖の比を一般式 (RSi1+x2+1.5x+0.5Z (ここでRはアルキル基を示し、Lは、H、Siまたは溶液中や懸濁液中で容易にOL基がOH基に変化しうる基を示し、0.5≦x≦2、2≦m≦200、0≦zを示す)で表される層状アルキルシロキサンがこのような課題を解決することを知見した。そして、この新しい無機/有機の層状複合体が熱によって塑性および融点を有するためにはシロキサンとアルキル鎖を組み合わせた化合物を生成するだけでなく、シロキサンネットワークを適切に制御することで、熱可塑性の層状アルキルシロキサンが開発できると考え、鋭意検討した結果、融点温度の範囲が−30〜60℃程度の室温近傍を含む比較的広い融点を示す熱可塑性層状アルキルシロキサンを得ることができた。
【0018】
この層状アルキルシロキサンはアルキル鎖が複合体中であたかもアルカン結晶であるかのような規則的配列をとり得るように配列を制御し、かつシロキサンネットワークの構造をナノレベルで制御することにより融点温度の範囲が−30〜60℃程度の室温近傍を含む比較的広い融点を示す層状アルキルシロキサンを生成することができた。
【0019】
シロキサンネットワークの架橋が過度に発達してしまうと、複合体の熱特性に及ぼす影響が過大となりついに分解するまで融点を持たない複合体が得られてしまう。一方、シロキサンネットワークが脆弱であり複合体の構造の支持をアルキル鎖同士の間に働くvan der Walls力に大きく依存している場合は、加熱により層状アルキルシロキサンは容易に可塑性を示すが、流動すると伴に構造は崩壊してしまい、再び冷却しても構造は再現されず熱特性が変化してしまう。
【0020】
このような観点も考慮して、この出願の発明では、アルキル鎖が規則的な配列が出来るような場を与え、かつ複合体の熱特性に適切な影響を与えられるようにシロキサンネットワークを制御することにより、融点温度の範囲が−30〜60℃程度の室温近傍を含む比較的広い融点を示す層状アルキルシロキサンを提供可能としている。
【0021】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
【0022】
前記のとおり、この出願の発明が提供する熱可塑性層状アルキルシロキサンは、その組成が、前記一般式により表されるものであるが、この組成式においては、係数xは0より大きいことが必要であり、より実際的には0.5以上とする。また、この出願の発明では、この値が大きすぎるとアモルファスになることが懸念され、実際的には2以下としている。
【0023】
そして、mは、この出願の発明の層状アルキルシロキサンでは2以上である。その上限については、実際的には200以下である。係数zは0以上である。
【0024】
このようなこの出願の発明の熱可塑性層状アルキルシロキサンは、より好適には、−30〜60℃の室温近傍を含む比較的広い範囲に融点を示し、分解温度は300℃〜500℃と比較的高く、目的の実用に十分適した特性をもつものとして与えられる。もちろん、層状アルキルシロキサンの重合度、組成比、アルキル鎖長、ナノレベルの構造を制御することにより、様々な温度で溶融する層状アルキルシロキサンを提供できることは言うまでもない。
【0025】
この出願の発明の層状アルキルシロキサンは、熱可塑性であり、また複数種の溶媒に可溶であるのでコーティング剤として応用できるし、特にガラスの表面改質などに好適に利用可能である。また、この層状アルキルシロキサンは、固相−液相の相転移により熱可塑性を示すので、一部の汎用ポリマーの様に物質表面近傍と物質内部で可塑性に差が見られる心配がなく複雑な形状を持つ物質をコーティングすることも可能である。
【0026】
また、層状構造を持つことから、ナノレベルまで細分化することが可能で、複雑な形状を持つナノマテリアルなどのコーティングも利用できる。そして、成形体の成形材料やフィラーとしても有用である。
【0027】
この場合の成形体としては薄膜であってもよく、特に薄膜が無機/有機複合体の単一層として構成することができる。
【0028】
さらにこの出願の発明の熱可塑性層状アルキルシロキサンは温度上昇時に吸熱し、温度降下時に発熱する物性を示すものであることから、エネルギー貯蔵材料として利用できる。しかも、この新しい無機/有機の層状複合体の融点は、例えば食品や飲料を適温に保ったり、運動時や病人の体温を一定に保ったりするための保温剤としても有用である。
【0029】
この出願の発明の層状アルキルシロキサンはアルキル鎖と無機部分が共有結合を介して複合化しているので、ナノレベルまで細分化され、たとえば1層に剥離されたとしても、無機/有機接合部は保たれる。
【0030】
この出願の発明の熱可塑性層状アルキルシロキサンの特性を列記すると下記のようになる。
(1)アルキル鎖を有しているため有機ポリマーとの親和性が高い。
(2)従来の無機材からなるフィラーよりサイズが小さく分散性が高い。
(3)層状であるため剥離等の方法により容易に必要なサイズの厚さのアルキルシロキサンを提供することができる。
(4) 融点を有しており分散操作が容易になる。
(5)融点を有しており温度センサーとして応用できる。
(6)転移熱が比較的大きく様々な温度に融点を設定できるし、吸熱・発熱温度が異なる複数の層状アルキルシロキサンを組み合わせれば幅広い温度範囲においてエネルギー貯蔵材料として応用できる。たとえば、後述の実施例1に示した層状アルキルシロキサンと40℃で溶融する層状アルキルシロキサンとの組合わせ等が考慮される。
【0031】
この出願の発明の熱可塑性層状アルキルシロキサンは、このように種々の優れた特性を有するものであるが、この熱可塑性層状アルキルシロキサンについては、たとえば前記のとおりの方法によって効果的に製造することができる。
【0032】
そこで、以下に実施例を示し、さらに詳しくこの出願の発明について説明する。もちろん以下の例によって発明が限定されることなない。
【0033】
【実施例】
<実施例1>
オクタデシルトリエトキシシラン66.7gとテトラエトキシシラン33.3g及び水をエタノール中に充分分散させて反応液を得た。反応液を150℃で1日間保持した後、試料を濾過、水洗、乾燥し目的の層状アルキルシロキサンを得た。元素分析、固体高分解能13C核磁気共鳴(NMR)の結果から合成された層状アルキルシロキサンは、その組成において、C1837Si基を有し、シロキサン基を有するものであって、前記組成式に該当するものであることが確認された。さらに、X線回折(XRD)、透過型電子顕微鏡観察(TEM)の結果から、層状アルキルシロキサンの層間隔は、約2.8nmであり、隣り合ったシロキサンと結合した長鎖アルキル鎖部分が、互い違いに櫛の歯状に配列し一分子層を形成したいわゆるinterdigitatedな配列を取っていることがわかった。得られた白色の層状アルキルシロキサンの熱重量−示差熱分析(TG−DTA)を行ったところ、図1に示すように、55℃付近に吸熱ピークを示したが、重量変化は見られなかった。
【0034】
150℃まで熱重量−示差熱分析(TG−DTA)測定した後の試料は透明に変化していた。室温近傍から加熱過程の顕微鏡観察を行ったところ、吸熱ピーク付近で、不透明な粉末から透明な液滴に変化し流動性を示した。さらに、示差走査熱量分析(DSC)を行ったところ、図2に示すように51℃付近に吸熱ピークが見られ、吸熱開始温度は45℃であった。
【0035】
さらに、加熱・冷却を繰り返し行っても、熱的挙動に変化は見られなかった。また、加熱後の試料のXRD結果などから加熱後も試料の構造が崩壊していないことが示された。これらの結果から、51℃で溶融する層状アルキルシロキサンが得られたことが示された。
【0036】
<実施例2>
実施例1において、オクタデシルトリエトキシシランとテトラエトキシシランおよび水のエタノール存在下での反応液に、触媒としてアンモニアを添加し、150℃で12時間保持した。実施例1と同様の、51℃で溶融する層状アルキルシロキサンが得られた。
【0037】
<実施例3>
ドデシルトリエトキシシラン61.5gとテトラエトキシシラン38.5g及び水をエタノール中に充分分散させて反応液を得た。
反応液を100℃で1日間保持した後、試料を濾過、水洗、乾燥し目的の層状アルキルシロキサンを得た。実施例1と同様に、X線回折(XRD)などの結果から、層状アルキルシロキサンが得られた事が示された。層状アルキルシロキサンの層間隔は、約3.5nmであり、実施例1とは異なりシロキサンと結合したアルキル鎖が規則的に配列し二分子層を形成していることが示された。実施例1と同様に、層状アルキルシロキサンのDSC測定を行ったところ、−0.9℃付近に吸熱ピークが見られ、吸熱開始温度は−28.9℃であった。
【0038】
さらに、加熱・冷却を繰り返し行っても熱的挙動に変化は見られず、−0.9℃で溶融する層状アルキルシロキサンが得られたことが示された。
【0039】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、従来技術の問題点を解消し、無機/有機の層状複合体に熱可塑性を付与することによって成形性や分散性がよく、固相−液相の変化が可逆であり、かつ転移熱が比較的大きく、かつ室温近傍を中心に様々な温度で転移できる、新しい無機/有機の層状複合体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】層状アルキルシロキサンのTG−DTA曲線の例である。
【図2】層状アルキルシロキサンのDSC曲線の例である。

Claims (15)

  1. 組成が、一般式 (RSi1+x2+1.5x+0.5Z (ここでRはアルキル基を示し、Lは、H、Siまたは溶液中や懸濁液中で容易にOL基がOH基に変化しうる基を示し、0.5≦x≦2、2≦m≦200、0≦zを示す)で表される熱可塑性層状アルキルシロキサン。
  2. 融点が−30〜60℃の温度範囲であることを特徴とする請求項1の熱可塑性層状アルキルシロキサン。
  3. 分解温度が300℃以上であることを特徴とする請求項1または2の熱可塑性層状アルキルシロキサン。
  4. 請求項1ないし3のいずれかの層状アルキルシロキサンの製造方法であって、一般式 RSi(OL) (ここでRはアルキル基を示し、LはH、Siまたは溶液中や懸濁液中で容易にOL基がOH基に変化しうる基を示す)で表されるアルキルシラン化合物と水を溶媒中または分散媒中で反応させることを特徴とする熱可塑性層状アルキルシロキサンの製造方法。
  5. 請求項4のいずれかの層状アルキルシロキサンの製造方法において、一般式Si(OM)4 (ここで MはH、Siまたは溶液中や懸濁液中で容易にOM基がOH基に変化しうる基を示す)で表されるケイ素化合物を溶媒中または分散媒中で反応させることを特徴とする熱可塑性層状アルキルシロキサンの製造方法。
  6. アルカリ性試薬または酸性試薬を触媒として用いることを特徴とする請求項4または5の熱可塑性層状アルキルシロキサンの製造方法。
  7. アンモニアを触媒として用い、反応液中の試薬濃度を10wt%以上として50℃以上で反応させることを特徴とする請求項4ないし6のいずれかの熱可塑性層状アルキルシロキサンの製造方法。
  8. 反応温度を50〜200℃以下の範囲で、反応液中の試薬濃度を10〜80wt%の範囲で制御することを特徴とする請求項4ないし7のいずれかの熱可塑性層状アルキルシロキサンの製造方法。
  9. 請求項1ないし3のいずれかの熱可塑性層状アルキルシロキサンを有効成分として含有していることを特徴とするコーティング剤。
  10. 請求項1ないし3のいずれかの熱可塑性層状アルキルシロキサンを用いて成形されたものであることを特徴とする成形体。
  11. 成形体が薄膜であることを特徴とする請求項10の成形体。
  12. 薄膜が無機/有機複合体の単一層であることを特徴とする請求項11の成形体。
  13. 請求項1ないし3のいずれかの熱可塑性層状アルキルシロキサンを用いて少なくともその一部を構成したことを特徴とするフィラー。
  14. 請求項1ないし3のいずれかの熱可塑性層状アルキルシロキサンを用いて少なくともその一部を構成したことを特徴とするエネルギー貯蔵材料。
  15. 請求項1ないし3のいずれかの熱可塑性層状アルキルシロキサンを用いて少なくともその一部を構成したことを特徴とする温度センサー。
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