WO2008001822A1

WO2008001822A1 - Operation microscope system

Info

Publication number: WO2008001822A1
Application number: PCT/JP2007/062939
Authority: WO
Inventors: Katsushige Nakamura
Original assignee: Mitaka Kohki Co., Ltd.
Priority date: 2006-06-29
Filing date: 2007-06-27
Publication date: 2008-01-03
Also published as: EP2044902A4; JP2008006089A; EP2044902A1; US8786946B2; US20090190209A1

Description

明細書

手術顕微鏡システム

技術分野

[0001] 本発明は、術部の拡大画像を提供する手術顕微鏡システム、詳しくは、主術者および副術者に対して拡大画像を提供することが可能な手術顕微鏡システムに関する。背景技術

[0002] 近年、医療の発達に伴い、手術顕微鏡を利用した顕微手術が広く行われるようになつた。顕微手術においては、特に複雑な手術の場合、主術者 (外科医）に加えて、主術者を補助する副術者が必要となることがある。この場合、主術者だけでなく副術者もまた術部を拡大して観察する必要があり、このため、特開 2005— 137932号公報に開示されているように、主術者用の顕微鏡に加えて副術者用の顕微鏡が併設された手術顕微鏡が開発されている。

[0003] 上述の副術者用の顕微鏡として、主術者用の顕微鏡 (主顕微鏡)の側方に設けられた側視鏡がある。この側視鏡は、主顕微鏡自体に取り付けられているため、主術者が手術中に観察位置をシフトするために主顕微鏡を動かすと、側視鏡もまた動くことになる。このため、副術者もそれに合わせて動かなければならないという不都合があつた o

[0004] また、特許第 2607828号公報に開示されているように、これを解決するため、側視鏡に代わり、術部をカメラで撮像し、その立体視画像を小型液晶ディスプレイ (LCD) に表示するビデオ顕微鏡を備えた手術顕微鏡が開発されている。この手術顕微鏡によれば、ビデオ顕微鏡を主顕微鏡力も独立して設置することができるため、上記の不都合が解消される。また、小型 LCDを移動すれば、主術者に対して側方の位置だけでなぐ対向する位置においても副術者が術部を観察することができる。

[0005] しかし、特許第 2607828号公報に開示される主術顕微鏡では、副術者が小型 LC Dを通して観察する画像は、主術者がその視点で観察する視野画像であった。このため、副術者は、自己の立ち位置との関係において、上下左右を混同するといぅ不都合があった。例えば、副術者は、主術者の対向位置で術部を観察する場合において術部に手を伸ばすときは、自分の手が視野の左上から出てくるのを見ることとなる。また、側方位置で観察する場合において術部に手を伸ばすときは、自分の手が右側力も出てくるのを見ることとなる。すなわち、副術者は、小型 LCDを通して、手が実際に手を動力した方向と異なる方向に動くのを見ることとなるため、距離感を適切に把握することができず、主術者を適切に補助できな！ヽという問題が生じて!/、た。

発明の開示

[0006] 本発明は、このような問題を解消するためになされ、その目的は、主術者と並んだ位置若しくは対向する位置にぉ、て、又は右前方若しくは左前方の位置にお!ヽても副術者が自己の視野で術部を拡大して観察することを可能とする手術顕微鏡システムを提供することにある。

[0007] 上記の課題を解決するため、本発明の第 1の態様は、対物レンズ、対物レンズを透過した光束に基づく第 1の画像を提供する第 1の右目用接眼レンズ、および対物レンズを透過した光束に基づく第 2の画像を提供する第 1の左目用接眼レンズを含む第 1 の双眼顕微鏡と、第 1の双眼顕微鏡と対向して又は並んで配置可能であり、第 1の画像を表示する第 1の右目用画像表示面および第 2の画像を表示する第 1の左目用画像表示面を含み、第 1の右目用画像表示面および第 1の左目用画像表示面の並置方向に伸びる水平軸を中心に反転可能な第 1の表示装置とを備える手術顕微鏡システムを提供する。

[0008] なお、対向して配置とは、第 1の双眼顕微鏡との関係において、第 1の表示装置が、主術者を補助する副術者が術部を間に主術者に面して手術を補助することができるように位置することをいう。ただ、面するとは、術部を中心として主術者と副術者との角度が厳密に 180° となるという意味ではなぐ副術者が適切に手術を補助することができる限りにおいて、 180° 力もずれていて構わない。

[0009] また、水平軸の「水平」とは厳密な精度まで要求するものでなぐ表示装置を転した後に、主術者又は副術者が表示装置を無理なく覼き込むことができる程度に水平であれば良!、と解するべきである。

[0010] 本発明の第 2の態様は、第 1の態様の手術顕微鏡システムであって、対物レンズを透過した光束を二分岐する第 1の分岐器および第 2の分岐器を更に備え、第 1の分岐器により二分岐された光束の一方により第 1の右目用接眼レンズによって第 1の画像が提供され、該光束の他方に基づいて第 1の右目用画像表示面により第 1の画像が表示され、第 2の分岐器により二分岐された光束の一方により第 1の左目用接眼レンズによって第 2の画像が提供され、該光束の他方に基づいて第 1の左目用画像表示面により第 2の画像が表示される手術顕微鏡システムを提供する。

[0011] 本発明の第 3の態様は、第 2の態様の手術顕微鏡システムであって、第 1の表示装置が、第 1の分岐器により二分岐された光束の他方と、第 2の分岐器により二分岐された光束の他方とを入射する第 1の撮像装置を更に備える手術顕微鏡システムを提供する。

[0012] 本発明の第 4の態様は、第 1の態様の手術顕微鏡システムであって、支持スタンドを更に備え、支持スタンドに対して第 1の双眼顕微鏡および第 1の表示装置が互いに独立に移動可能に取り付けられる手術顕微鏡システムを提供する。

[0013] 本発明の第 5の態様は、対物レンズ、対物レンズを透過した光束に基づく第 3の画像を提供する第 2の右目用接眼レンズ、および対物レンズを透過した光束に基づく第 4の画像を提供する第 2の左目用接眼レンズを含む第 2の双眼顕微鏡と、対物レンズを透過した光束に基づく第 5の画像を表示する第 2の右目用画像表示面、および対物レンズを透過した光束に基づく第 6の画像を表示する第 2の左目用画像表示面を含む第 2の表示装置とを備える手術顕微鏡システムを提供する。

[0014] 本発明の第 6の態様は、第 5の態様の手術顕微鏡システムであって、第 3の画像が対物レンズの第 1の点を透過した第 1の光束に基づいて提供され、第 4の画像が対物レンズの光軸を中心として第 1の点と対称な第 2の点を透過した第 2の光束に基づいて提供され、第 5の画像が対物レンズの第 3の点を透過した第 3の光束に基づ、て表示され、第 6の画像が対物レンズの光軸を中心として第 3の点と対称な第 4の点を透過した第 4の光束に基づいて表示される手術顕微鏡システムを提供する。

[0015] 本発明の第 7の態様は、第 6の態様の手術顕微鏡システムであって、第 1の点と第 2 の点とを結ぶ線分と、第 3の点と第 4の点とを結ぶ線分とが互いに直交する手術顕微鏡システムを提供する。

[0016] 本発明の第 8の態様は、第 6の態様の手術顕微鏡システムであって、第 3の光束を入射し第 5の画像を生成して第 2の右目用画像表示面へ提供し、第 4の光束を入射し第 6の画像を生成して第 2の左目用画像表示面へ提供する第 2の撮像装置を更に含む手術顕微鏡システムを提供する。

[0017] 本発明の第 9の態様は、第 5の態様の手術顕微鏡システムであって、第 2の表示装置が、第 2の双眼顕微鏡の右前方または左前方のいずれかに配置可能であり、第 2 の右目用画像表示面および第 2の左目用画像表示面の並置方向に伸びる水平軸を中心として反転可能である手術顕微鏡システムを提供する。

[0018] なお、右前方または左前方とは、主顕微鏡を利用する主術者から見た位置を意味する。時計の文字盤に喩えてこれらの位置を説明すると、主術者が 6時の位置に居るとき、右前方は、概ね 1時半から 4時半、詳しくは 3時の位置であり、左前方は、概ね 7 時半から 10時半、詳しくは 9時の位置である。

[0019] 本発明の第 10の態様は、第 5の態様の手術顕微鏡システムであって、支持スタンドを更に備え、支持スタンドに対して第 2の双眼顕微鏡および第 2の表示装置が互いに独立に移動可能に取り付けられる手術顕微鏡システムを提供する。

[0020] 本発明の第 11の態様は、第 5の態様の手術顕微鏡システムであって、第 2の表示装置と対向して配置され、第 5の画像を上下反転して表示する第 3の左目用画像表示面、および第 6の画像を上下反転して表示する第 3の右目用画像表示面を含む第 3の表示装置を更に備える手術顕微鏡システムを提供する。

[0021] 本発明の第 12の態様は、第 5の態様の手術顕微鏡システムであって、第 2の双眼顕微鏡と対向して又は並んで配置可能であり、第 3の画像を表示する第 4の右目用画像表示面および第 4の画像を表示する第 4の左目用画像表示面を含み、第 4の右目用画像表示面および第 4の左目用画像表示面の並置方向に伸びる水平軸を中心に反転可能な第 4の表示装置を更に備える手術顕微鏡システムを提供する。

[0022] 本発明の第 13の態様は、第 12の態様の手術顕微鏡システムであって、第 1の光束を入射し第 3の画像を生成して第 4の右目用画像表示面へ提供し、第 2の光束を入射し第 4の画像を生成して第 4の左目用画像表示面へ提供する第 3の撮像装置を更に含む手術顕微鏡システムを提供する。

[0023] 本発明の第 14の態様は、第 5の態様の手術顕微鏡システムであって、第 2の双眼顕微鏡と対向して配置され、第 3の画像を上下反転して表示する第 5の左目用画像表示面、および第 4の画像を上下反転して表示する第 5の右目用画像表示面を含む第 5の表示装置を更に備える手術顕微鏡システムを提供する。

[0024] 本発明によれば、副術者が、主術者と並んだ位置若しくは対向する位置、又は左前方若しくは右前方の位置においても自己の視野で術部を拡大して観察することを可能とする手術顕微鏡システムが提供される。

図面の簡単な説明

[0025] [図 1]本発明の第 1の実施形態による手術顕微鏡システムを示す斜視図であり、ステレオビューァが主顕微鏡と並んで配置される場合を示す。

[図 2]図 1に示す手術顕微鏡システムの光学的構成を示す概略図である。

[図 3]本発明の第 1の実施形態による手術顕微鏡システムにおいて、ステレオビューァが主顕微鏡と対向して配置される場合を示す概略図であり、その効果を説明するための比較例を示して、る。

[図 4]本発明の第 1の実施形態による手術顕微鏡システムにおいて、ステレオビューァが主顕微鏡と対向して配置される場合を示す概略図であって、その効果を図 3と対比して説明するものである。

[図 5]本発明の第 2の実施形態による手術顕微鏡システムを示す斜視図であり、ステレオビューァが主顕微鏡の右前方に配置される場合を示している。

[図 6]本発明の第 2の実施形態による手術顕微鏡システムの光学的構成を示す概略図である。

[図 7]本発明の第 2の実施形態による手術顕微鏡システムを示す斜視図であり、ステレオビューァの効果を説明するために比較例を示して、る。

[図 8]本発明の第 2の実施形態による手術顕微鏡システムを示す斜視図であって、図 7と対比してステレオビューァの効果を説明するものである。

[図 9]本発明の第 2の実施形態による手術顕微鏡システムが奏する効果を説明するための比較例を示す概略図である。

[図 10]本発明の第 2の実施形態による手術顕微鏡システムが奏する効果を説明するために、図 9とともに参照する説明図である。 [図 11]本発明の第 3の実施形態による手術顕微鏡システムの構成を説明する斜視図である。

[図 12]本発明の第 3の実施形態による手術顕微鏡システムの構成を図 11と関連して説明する斜視図である。

[図 13]本発明の第 3の実施形態による手術顕微鏡システムの構成を図 11および図 1 2と関連して説明する斜視図である。

[図 14]本発明の第 4の実施形態による手術顕微鏡システムを示す斜視図である。

[図 15]本発明の第 5の実施形態による手術顕微鏡システムを示す斜視図である。発明を実施するための最良の形態

[0026] 以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態による手術顕微鏡システム〖こついて説明する。なお、図面中、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、添付図面は、各実施形態の手術顕微鏡を模式的に示しているに過ぎない。このため、各構成要素間の比率等が現実の設計通りに表されているとは限らないことに留意すべきである。

[0027] (第 1の実施形態）

図 1を参照すると、手術顕微鏡システム 100は、医療用光学機器スタンド（図示せず )と、所定のアーム (後述)を介して医療用光学機器スタンドの先端アーム Dに取り付けられる主顕微鏡 10およびステレオビューァ 20とを有する。

[0028] 主顕微鏡 10は、主として、主術者 M (外科医）が術部 Oを拡大して観察するために使用される。図示の通り、主顕微鏡 10は、電磁クラッチ 12を介してアーム 14の一端に取り付けられている。電磁クラッチ 12は、主顕微鏡 10が軸《Xを中心として θ X方向に回動するのを許容するとともに、所定の角度で主顕微鏡 10を固定することができる。アーム 14の他端は医療用光学機器スタンドの先端アーム Dに取り付けられている。アーム 14は、先端アーム Dの中心軸 α ΐを中心として 0 1方向に回動することができる。また、図示せぬ電磁クラッチにより、主顕微鏡 10は θ Υ方向にも回動可能とされている。

[0029] 一方、ステレオビューァ 20は、アーム 31〜34を始めとする支持部材により、先端ァーム Dに取り付けられている。詳細には以下の通りである。 [0030] ステレオビューァ 20は、アーム 31の一端に取り付けられ、水平方向に伸びる軸 α 2 を中心として Θ 2方向に回動可能である。アーム 31の他端は、アーム 32の一端に取り付けられ、アーム 32の中心軸 α 3を中心として 0 3方向に回動可能とされている。これにより、ステレオビューァ 20も Θ 3方向に回動可能である。アーム 32の他端は、継ぎ手 36を介してアーム 33の一端に取り付けられている。継ぎ手 36によって、アーム 3 2はアーム 33の中心軸 α 4を中心として Θ 4方向に回動可能であり、ステレオビューァ 20もまた Θ 4方向に回動可能である。アーム 33の他端は、継ぎ手 37を介してァーム 34の一端に取り付けられている。継ぎ手 37によって、アーム 33は、図中の 0 5の方向に揺動可能であり、ステレオビューァ 20もまた Θ 5方向に揺動可能である。ァーム 34の他端は、ロッド 38を介して医療用光学機器スタンドの先端アーム Dに取り付けられている。アーム 34は、ロッド 38の中心軸 α 6を中心として Θ 6方向に回動可能であり、同様に、ステレオビューァ 20も Θ 6方向に回動可能である。

[0031] また、ステレオビューァ 20は、水平方向（ a 2方向）に並置される小型 LCD6 (6L, 6R) (図 2)を内蔵し、これらに表示される画像を一対のファインダ 20 (20L, 20R)を通して利用者に提供する。この画像は、後述するように、主顕微鏡 10が有する一対のミラー 2L, 2Rおよびテレビカメラ 10cからもたらされる。

[0032] 次に、主顕微鏡 10の光学的構造について説明する。

[0033] 図 2を参照すると、主顕微鏡 10は、対物レンズ 10a、一対のビームスプリッタ 1 (1L, 1R)、一対の接眼レンズ 10b (10bL, 10bR)、一対のミラー 2 (2L, 2R)およびテレビカメラ 10cを含む。

[0034] 対物レンズ 10aは、術部 Oの方向を向くよう配置される。これは、上述の医療用光学機器スタンド、アーム 14、および電磁クラッチ 12を適宜利用して、主顕微鏡 10の位置を調整することにより実現される。また、対物レンズ 10aは、上下動自在に設けられており、手動又は自動で焦点調整をすることができる。ビームスプリッタ 1L, 1Rは、対物レンズ 10aの上方において、対物レンズ 10aの光軸 Aに対して互いに対称に配置されている。接眼レンズ 10bL, 10bRは、ビームスプリッタ 1L, 1Rと光学的にそれぞれ接続するように配置されている。対物レンズ 10a、ビームスプリッタ 1L, 1R、および接眼レンズ 10bL, 10bRは、具体的には、以下のように光学的に接続されている。 [0035] 所定の照明装置により術部 Oを照らすと、術部 Oで反射された光が対物レンズ 10a に入射し透過する。その透過光の一部（光束 FL)が、ビームスプリッタ 1Lにより反射され、接眼レンズ 10bLに入射される。また、透過光の他の一部（光束 FR) 1S ビームスプリッタ 1Rにより反射され、接眼レンズ 10bRに入射される。接眼レンズ 10bL, 10b Rに入射した光束 FL, FRが、接眼レンズ 10bL, 10bRにより拡大されて、術部 Oの拡大画像が主術者 Mに提供される。

[0036] なお、上記の構成によれば、光軸 Aを中心として互いに対称に配置される一対のビ一ムスプリッタ 1L, 1Rにより、わずかに異なる術部 Oの画像が左右の目に提供されるため、主術者 Mは立体視画像を見ることとなる。このため、主術者 Mは奥行き（高さ）感覚を知覚することができ、手術を行い易くなる。

[0037] また、図 2を参照すると、ミラー 2L, 2Rは、ビームスプリッタ 1L, 1Rの上方において、これらとそれぞれ対応して配置されている。テレビカメラ 10cは、ミラー 2L, 2Rと光学的に接続するように配置されている。テレビカメラ 10cは、いわゆるステレオビデオカメラ（3次元ビデオカメラ）であり、 2つの入射レンズ 10cL, 10cR (以下、テレビカメラ 10cL, 10cRとも記する）を有し、それぞれに入射した光束に基づく画像を形成する。対物レンズ 10a、ビームスプリッタ 1L, 1R、ミラー 2L, 2R、およびテレビカメラ 10c L, 10cRは、具体的には、以下のように光学的に接続されている。

[0038] ビームスプリッタ 1は透過性をも有しているため、上述の光束 FLは、ビームスプリツタ 1Lを透過する。ビームスプリッタ 1Lを透過した光束 FLは、ミラー 2Lにより反射されてテレビカメラ 10cLに入射する。同様に、光束 FRは、ビームスプリッタ 2Lを透過してミラー 2Rにより反射されてテレビカメラ 10cRに入射する。

[0039] 光束 FL, FRがテレビカメラ 10cL, 10cRにそれぞれ入射すると、テレビカメラ 10c に備えられた光電変（図示せず）により光束 FL, FRが電気信号に変換され、この電気信号は信号線 S1を通して画像処理器 4に送信される。その後、画像処理器 4 カゝら信号線 S2を通して小型 LCD6L, 6Rに電気信号が送信され、そこで光束 FL, F Rに基づく画像がそれぞれ表示される。

[0040] 小型 LCD6Lに表示される画像と、接眼レンズ 10aLにより提供される画像とは、ともに光束 FLに基づいているため、互いに同一である。また、小型 LCD6Rに表示される画像と、接眼レンズ lOaRにより提供される画像とは、ともに光束 FRに基づいているため、互いに同一である。このようにして、主顕微鏡 10により提供される立体視画像がステレオビューァ 20により複成されて表示される。

[0041] 次に、第 1の実施形態による手術顕微鏡システム 100が奏する主な効果について、図 1、図 3および図 4を参照しながら説明する。

[0042] 上述の通り、ステレオビューァ 20は、アーム 31〜34を始めとする支持部材により移動自在に先端アーム Dに取り付けられているため、ステレオビューァ 20を主顕微鏡 1 0と対向する位置に配置することができる。この場合、ステレオビューァ 20を利用する副術者 H (図 3)は、主顕微鏡 10を利用する主術者 Mと向かい合う位置カゝら手術を補助することができる。

[0043] ここで、説明の便宜上、術部 Oに図 1、図 3および図 4に示す図形 (矢印と線分が交差し、線分の一端に白丸を有する図形）があると仮定し、主顕微鏡 10の接眼レンズ 1 ObL、 10bRおよびステレオビューァ 20がどのような画像（図形）を提供するかを図 1、図 3および図 4に概略的に図示する (符号 11〜16参照)。

[0044] 主術者 Mは、主顕微鏡 10を通して術部 Oを観察する場合、矢が上を向き、白丸が右にある図形を見ることとなる（図 1の 11)。このとき、ステレオビューァ 20は、上述の通り、主顕微鏡 10により提供される立体視画像を複成して表示するから、同様に、矢が上を向き、白丸が右にある図形を表示して、るととなる（図 1の 12)。

[0045] ここで、仮に、ステレオビューァ 20を主顕微鏡 10と対向する位置へ移動し、鉛直方向の所定の軸を中心として水平に 180° 回転させたと仮定すると、ステレオビューァ 20は、図 3に示すように、主顕微鏡 10と同様、矢が上を向き、白丸が右にある図形を副術者 Hに提供することとなる (13)。この場合において、副術者 Hは、術部 Oに指 F を伸ばすと、画像上で自分の指 Fが上方力伸びてくるのを見ることとなる（14)。このため、副術者 Hは、術部 Oに指 Fを近づけなければならない場合であっても、遠ざけるように動力してしまうと!、う不都合があった。

[0046] しかし、第 1の実施形態におけるステレオビューァ 20は、上述の通り、軸 (X 2を中心として反転することができる。このように反転すれば、図 4に示す通り、ステレオビューァ 20に表示される画像もまた反転することとなる。したがって、反転後にステレオビューァ 20を覼くと、副術者 Hは、矢が下を向き、白丸が左にある図形を見ることとなる (I 5)。これは、副術者 H自らの位置力も術部 Oを拡大して観察した画像に対応し、副術者 Hは、術部 Oに指 Fを伸ばせば、指 Fが下力伸びてくるのを見ることとなる (16)。このため、副術者 Hは、方向感覚を失うことなぐまた上下または左右の関係に混乱することなぐ手術を補助することが可能となる。

[0047] これにカ卩えて、手術顕微鏡システム 100は以下の効果を有して、る。ステレオビューァ 20はアーム 31〜34を始めとする支持部材により移動自在に保持されるから、ステレオビューァ 20を主顕微鏡 10と並置することも可能である（図 1参照)。この場合、ステレオビューァ 20を利用する副術者 Hは、主顕微鏡 10を利用する主術者 Mの横に並んで利用することができる。ステレオビューァ 20が提供する画像は、主顕微鏡 1 0が提供する画像と同一であるため、副術者 Hは、概ね、自分の位置力も術部 Oを拡大して観察することとなり、方向感覚を失うことなぐ禾 IJ用することができる。

[0048] さらに、上述の通り、ステレオビューァ 20が主顕微鏡 10と独立して医療用光学機器スタンドの先端アーム Dに取り付けられているため、主術者 Mが主顕微鏡 10を傾けた場合であっても、ステレオビューァ 20が追従して移動することがない。したがって、本実施形態による手術顕微鏡システム 100は、主顕微鏡 10を傾けても、副術者 Hが移動することなく術部 Oの観察を続けることができるという利点を提供できる。

[0049] なお、図 2に示す通り、画像処理器 4に複数のステレオビューァ 20を接続すれば、主顕微鏡 10により提供される画像と同一の画像が複数のステレオビューァ 20で表示される。これにより、例えば、名医の手による手術を幾人かの研修医が観察することができる。すなわち、第 1の実施形態による手術顕微鏡システム 100は、名医の手術の観察を通して研修医らの技量の向上に資するという利点をも提供することができる。

[0050] (第 2の実施形態）

図 5は、第 2の実施形態による手術顕微鏡システムを示す概略図である。図示の通り、手術顕微鏡システム 200は、主顕微鏡 11およびステレオビューァ 21を有する。主顕微鏡 11は、第 1の実施形態における主顕微鏡 10と同様に所定のアームにより医療光学機器スタンドの先端アーム Dに移動自在に取り付けられて、る。主顕微鏡 11 は、その内部の光学的構造が異なり、追加のテレビカメラ 11cを有している点を除き、第 1の実施形態における主顕微鏡 10と同一の構成を有する。

[0051] また、ステレオビューァ 21は、第 1の実施形態におけるステレオビューァ 20と同様、アーム 31〜34を始めとする支持部材により医療光学機器スタンドの先端アーム Dに移動自在に取り付けられている。ただし、第 2の実施形態においては、ステレオビューァ 21は、これを利用する副術者 H力主顕微鏡 11を利用する主術者 Mの右前方で、そこ力も術部 Oに向力つて位置することができるように配置される。ステレオビューァ 21は、この配置を除くと、第 1の実施形態におけるステレオビューァ 20と同一の構成を有している。

[0052] 以下、図 6を参照しながら、主顕微鏡 11の光学的構造について説明する。図示の通り、主顕微鏡 11は、第 1の実施形態における主顕微鏡 10と同様に対物レンズ 10a 、ビームスプリッタ 1L, 1R、接眼レンズ 10bL, 10bR、ミラー 2L, 2R、およびテレビ力メラ 10cを有する一方、これらにカ卩えて、一対のミラー 3 (3L, 3R)およびテレビカメラ 11cを有している。

[0053] ミラー 3L, 3Rは、対物レンズ 10aの上方において、光軸 Aを中心として互いに対称に配置されている。詳細には、ミラー 3L, 3Rは、ミラー 3L, 3Rを結ぶ仮想線と、ビームスプリッタ 1L, 1Rを結ぶ仮想線とが光軸 A上で直交するように配置されて、る。

[0054] また、ミラー 3L, 3Rと光学的に接続するようにテレビカメラ 11cが配置されている。

テレビカメラ 11cは、先に説明したテレビカメラ 10cと同様、ステレオビデオカメラであり、入射レンズ l lcL, l lcR (以下、テレビカメラ l lcL, l lcRとも記する）を有する。

[0055] 対物レンズ 10a、ミラー 3L, 3R、およびテレビカメラ l lcL, l lcRは、以下のように光学的に接続されている。術部 Oからの反射光が対物レンズ 10aを透過すると、その一部（光束 FL2)力ミラー 3Lにより反射され、テレビカメラ l lcLに入射される。また、対物レンズ 10aを透過した光の他の一部（光束 FR2)力ミラー 3Rにより反射され、テレビカメラ l lcRに人射される。

[0056] テレビカメラ 11cにおいて、光電変換器（図示せず）により光束 FL2, FR2が電気信号に変換され、この電気信号は信号線 S1を通して画像処理器 5に送信される。その後、画像処理器 5から信号線 S2を通して小型 LCD6 (6L, 6R)に電気信号が送信され、光束 FL2, FR2に基づく画像がステレオビューァ 21により表示される。 [0057] 次に、手術顕微鏡システム 200が奏する主な効果について、図 5、図 7および図 8を参照しながら説明する。なお、第 1の実施形態と同様に、術部 Oに矢印と線分が交差し、線分の一端に白丸を有する図形があるものとする。

[0058] 上述の通り、ステレオビューァ 21は、画像処理器 5 (図 6)から電気信号を受信し、光束 FL2, FR2に基づく画像を表示するが、仮に、図 7に破線の矢印で示すように、第 1の実施形態における画像処理器 4から電気信号を受信し、光束 FL, FRに基づく画像を表示すると仮定する。この場合、第 1の実施形態における説明から明らかなように、ステレオビューァ 21により提供される画像は、主顕微鏡 11により提供される画像と同一である。換言すると、ステレオビューァ 21を利用する副術者 Hは、主顕微鏡 11を利用する主術者 Mから見た術部 Oを見ることとなる。すなわち、図 7に示すように、副術者 Hは、ステレオビューァ 21を通して、矢印が上を向き、白丸が右に位置する図形を見ることとなる (17)。このとき、副術者 Hが術部 Oに指 Fを伸ばすと、画像上では指 Fが右力も出てくることとなる (18)。このため、副術者 Hは、術部 Oに対する距離感を適切に把握することができず、手術の補助に支障を期たす。

[0059] しかし、現実には、図 8に示すように、第 2の実施形態のステレオビューァ 21は、画像処理器 5から電気信号を受信し、光束 FL2, FR2 (図 6)に基づく画像を表示する。ここで、ミラー 3L, 3Rにより画定される光束 FL2, FR2と、ビームスプリッタ 1L, 1Rにより画定される光束 FL, FRとの位置関係に着目すると、光束 FL2, FR2を結ぶ仮想線と、光束 FL, FRを結ぶ仮想線とが光軸 A上で直交している。この位置関係は、主術者 Mの視線と副術者 Hの視線との間の位置関係を概ね反映して、るため、主術者 Mは、主顕微鏡 11の接眼レンズ 10bを通して主術者 M自身の位置から観察する術部 Oに対応する画像 (光束 FL, FRに基づく画像)を観察し、副術者 Hは、ステレオビユーァ 21を通して副術者 H自身の位置から観察する術部 Oに対応する画像 (光束 F L2, FR2に基づく画像)を観察することができる。すなわち、第 2の実施形態におけるステレオビューァ 21によれば、副術者 Hは、矢印が右を向き、白丸が下にある図形を観察することとなる（図 8の 19)。これは、副術者 Hが自らの位置力観察した術部 O の拡大画像であり、副術者 Hは、術部 Oに対して指 Fを伸ばせば、指 Fが下から出てくるのを見ることなる（110)。自ら動かす指 Fの方向と、ステレオビューァ 21を通して見る指 Fの動きの方向とがー致するため、方向感覚を失うことなぐ適切に手術を補助することがでさるよう〖こなる。

[0060] なお、ミラー 3L, 3Rおよびテレビカメラ l idがなければ、上述の効果を奏することができないことに留意すべきである。一見すると、テレビカメラ 10cにより撮像される画像を画像処理器 4 (図 2)において適宜に処理すれば、副術者 Hの位置力見た術部 O の画像を形成することができるようにも思われる。しかし、この場合、立体視画像を得ることができない。この理由を図 9および図 10 (a)〜（c)を参照しながら、以下に説明する。

[0061] 図 9において、主顕微鏡 11に設けられたテレビカメラ 10c (10cL, 10cR)が捉えた術部 Oの画像が参照符号 I21L, I21Rとして示されている。テレビカメラ 10cは、先の説明の通り、主顕微鏡 11を利用する主術者が観察する術部 Oの画像を提供するから、手術者力見て矢印が上を向き、白丸が右に位置する図形と、白丸に向かって伸びる副術者 Hの指 Fを捉えている。ここで、画像 I21Lを画像処理により時計方向に 90° 回転して画像 I22Lを得、画像 I21Rを画像処理により時計方向に 90° 回転して画像 I22Rを得ると仮定する。これらの画像 I22L, I22Rをステレオビューァ 21で表示すれば、副術者 Hが自らの位置力観察する術部 Oの拡大画像を提供できるとも思われる。

[0062] し力し、画像 I22L, I22Rでは、立体視画像を提供することができない。図 10 (a)〜

(c)を参照しながら、その理由を説明する。対物レンズ 10aの焦点 eからの光が対物レンズ 10aの点 aを透過し光束 FLとしてテレビカメラ 10cに到達し、これにより、画像 121 L (図 9)が形成される。また、焦点 eからの光が対物レンズ 10aの点 bを透過し光束 FR としてテレビカメラ 10cに到達し、これにより、画像 I21R (図 9)が形成される。ここで、焦点 eからの光は対物レンズ 10aを透過するときに屈折するから、光束 FLは、その延長線である線分 afに対して所定の角度をなす経路 aeを経た光束である。同様に、光束 FRは、線分 bgでなぐこれに対して所定の角度をなす経路 beを経た光束である。このような角度のずれが、テレビカメラ 10cL, 10cRの並置方向に生じることにより、焦点 eに位置する物体の立体視画像が形成される。

[0063] 図 9を参照しながら説明した光束 FLに基づく画像を 90° 回転することは、図 10 (b )に示すように、経路 aeが線分 afを中心として 90° 回転した経路 aelを経た光束に基づく画像に相当し、光束 FRに基づく画像を 90° 回転することは、経路 beが線分 b gを中心として 90° 回転した経路 be2を経た光束に基づく画像に相当する。そうすると、テレビカメラ lOcL, lOcRの並置方向に沿って光束 FLおよび光束 FRとの間で成立していた角度のずれがもはや成立しなくなる。このため、焦点 eに位置する物体の立体視画像を得ることはできな、。

[0064] 一方、図 10 (c)を参照すると、焦点 eから対物レンズ上の点 cに至る経路と線分 cfl との間の角度差、および焦点 _eから対物レンズ上の点 dに至る経路と線分 dglとの間の角度の差が、テレビカメラ l lcL, l lcRの並置方向に沿って生じるため、テレビカメラ 11cは焦点 eに位置する物体の立体視画像を形成することができる。

[0065] 以上説明した通り、主顕微鏡 11に設けられたミラー 3およびテレビカメラ 11cによつて、術部 Oの立体視画像がステレオビューァ 21により表示されるのであり、これは、第 2の実施形態による手術顕微鏡システム 200が有する更なる利点である。

[0066] (第 3の実施形態）

第 3の実施形態による手術顕微鏡システムは、構成上は、第 2の実施形態の手術顕微鏡システム 200と同一である。しかし、第 3の実施形態による手術顕微鏡システムは、ステレオビューァ 21を利用する副術者 H力主顕微鏡 11を利用する主術者 M の左前方で、そこ力も術部 Oに向力つて位置することができるようにステレオビューァ 21が配置される点において手術顕微鏡システム 200と相違する。

[0067] このような配置は、手術顕微鏡システム 200において主顕微鏡 11を利用する主術者 Mから見て右前方に配置されるステレオビューァ 21を、アーム 31〜34を始めとする支持部材を利用して、以下のように、その対向位置に移動することにより実現される

[0068] 図 11を参照すると、第 3の実施形態による手術顕微鏡システム 300において、ステレオビューァ 21が、軸 α 1を中心として水平に回転されて (矢印 Y1)、第 2の実施形態におけるステレオビューァ 21の位置（主顕微鏡 11の右前方)から、これと対向する位置（主顕微鏡 11の左前方）に移動される。次に、図 12の矢印 Υ2で示すように、軸 α 4を中心としてアーム 32が回転されて（矢印 Υ2)、ステレオビューァ 21の向きが変わる。このとき、ステレオビューァ 21のファインダ 21L, 21Rは、術部 Oの方向を向くことになる。次いで、図 13の矢印 Y3で示すように、ステレオビューァ 21が軸 α 2を中心として反転される。

[0069] この反転により、ステレオビューァ 21内の小型 LCD6 (図 6)に表示される画像も上下反転することとなる。この結果、ステレオビューァ 21を利用する副術者 Hは、矢印が左を向き、白丸が上に位置する図形を見ることとなり（図 13の 111)、術部 Oに対して指を伸ばせば、指 Fが下力も現れるのを見ることとなる (112)。すなわち、第 3の実施形態による手術顕微鏡システム 300は、副術者 Hに、自らの位置カゝら拡大して観察する術部 Oを見ながら手術を補助させることができるという利点を有している。

[0070] 第 3の実施形態による手術顕微鏡システム 300が有する更なる利点は、手術顕微鏡システム 200を利用することにより容易に手術顕微鏡システム 300を実現することができ、別個の光学系を有する主顕微鏡を容易する必要がない点にある。

[0071] また、上述の通り、第 2または第 3の実施形態による手術顕微鏡システムは、ステレオビユーァ 21を、主顕微鏡 11の右前方または左前方のいずれかに適宜配置することによって、二通りの実施形態を実現できるという利点を有している。

[0072] (第 4の実施形態）

図 14は、第 4の実施形態による手術顕微鏡システムを示す概略図である。図示の通り、第 4の実施形態による手術顕微鏡システム 400は、主顕微鏡 11、ステレオビューァ 20、およびステレオビューァ 21を有する。主顕微鏡 11は、第 2の実施形態におけるものと同一の構成を有する。すなわち、主顕微鏡 11は、対物レンズ 10a、ビームスプリッタ 1L, 1R、接眼レンズ lObL, 10bR、ミラー 2L, 2Rおよびテレビカメラ 10cを有している（図 6参照）。ミラー 2L, 2Rおよびテレビカメラ 10cにより、ステレオビューァ 20は、主顕微鏡 11の接眼レンズ lObL, 10bRにより提供される画像と同一の画像を表示することができる。さら〖こ、主顕微鏡 11は、ミラー 3L, 3Rおよびテレビカメラ 11c を有している（図 6参照）。ミラー 3L, 3Rおよびテレビカメラ 11cにより、ステレオビューァ 21は、副術者 H2が右前方から観察する術部 Oに対応する画像を表示することができる。換言すると、手術顕微鏡システム 400は、第 2の実施形態による手術顕微鏡システム 200に対して、第 1の実施形態におけるステレオビューァ 20を追加することにより、構成されている。

[0073] また、主顕微鏡 11、ステレオビューァ 20、およびステレオビューァ 21は、第 1から第 3の実施形態において既に説明したアームにより、医療用光学機器スタンドの先端ァーム Dにそれぞれ独立に移動可能に取り付けられている。この場合、ステレオビューァ 20およびステレオビューァ 21は、互!、の移動を阻害しな、ように設けられることは言うまでもない。

[0074] 上記の構成により、第 4の実施形態による手術顕微鏡システム 400は、主顕微鏡 1 1、ステレオビューァ 20、およびステレオビューァ 21をそれぞれ使用する 3名の医師（ M, HI, H2)による顕微手術を可能とするという利点を提供する。し力も、手術顕微鏡システム 400は、第 1の実施形態にお!、て説明したステレオビューァ 20の効果や利点をそのまま有しており、たとえば、第 1の副術者 HIが、主顕微鏡 11を利用する主術者 Mと並んでまたは対向して（図 14)、かつ、それぞれの位置から観察する術部の拡大像を見ながら、手術を補助することを可能とする。さらに、手術顕微鏡システム 400は、ステレオビューァ 21を利用する第 2の副術者 H2が、主顕微鏡 11を利用する主術者 Mの右前方（図 14)または左前方で、かつ、それぞれの位置から観察する術部の拡大像を見ながら、手術を補助することを可能とする。

[0075] (第 5の実施形態）

図 15は、本発明の第 5の実施形態による手術顕微鏡システムを示す概略図である。図示の通り、第 5の実施形態による手術顕微鏡システム 500は、主顕微鏡 11、ステレオビューァ 21、およびステレオビューァ 201を有する。

[0076] 主顕微鏡 11およびステレオビューァ 21は、第 2の実施形態におけるものと同一の構成を有する。また、ステレオビューァ 21は、これを利用する副術者 H力主顕微鏡 11を利用する主術者 Mの右前方で、そこ力も術部 Oに向力つて位置することができるように配置される。

[0077] 一方、ステレオビューァ 201は、ステレオビューァ 21と対向する位置に配置されるよう ίこアーム 310, 320, 330, 340および ϋぎ手 360, 370【こより、医療用光学機器スタンドの先端アーム Dに取り付けられる。また、ステレオビューァ 201は、ステレオビューァ 20と同一の構成を有していて良いが、反転自在である必要はなぐ予め水平軸を中心として反転させアーム 310に対して固定されている (もちろん、副術者 H2の便宜の観点から、所定の角度範囲で回動可能であることが望ましい)。

[0078] 上記の構成によれば、ステレオビューァ 20の右目用表示面に表示されるべき画像が上下反転されてステレオビューァ 201により左目用として提供され、ステレオビューァ 20の左目用表示面に表示されるべき画像が上下反転されてステレオビューァ 201 により右目用として提供される。その結果、副術者 H2は、ステレオビューァ 201により、ステレオビューァ 21と対向する位置において観察する術部 Oに対応する画像を観察することができる。

[0079] 以上より、第 5の実施形態による手術顕微鏡システム 500によれば、二名の副術者 Hl、 H2が、主顕微鏡 11を利用する主術者 Mの右前方および左前方で、かつ、それぞれの位置から観察する術部の拡大像を見ながら、手術を補助することができる。また、ステレオビューァ 20を別途用意してアームに適宜固定すれば、ステレオビューァ 201が得られるため、主顕微鏡 11内部の光学的構造を変更することなぐ画像処理器から電気信号を供給するだけで、 3名の医師 M, HI, H2による顕微手術が容易に実現される。

[0080] 以上、いくつかの実施形態を提示しつつ、本発明による手術顕微鏡システムを説明したが、本発明はこれらに限定されることなぐ種々の変更、修正が可能である。

[0081] 主顕微鏡 10, 11およびステレオビューァ 20, 21の光学的構造は、上述のものに限らず、所定の光学部品を追加して適宜構成してよいことは言うまでもない。

[0082] 各実施形態において、主顕微鏡 10, 11とステレオビューァ 20, 21, 201は同一の医療用光学機器スタンドに取り付けられる場合を説明したが、手術室の状況 (スぺ一ス）が許せば、別個のスタンドに取り付けてもよい。また、主顕微鏡 10, 11およびステレオビューァ 20, 21, 210を互いに独立に手術室の天井から吊り下げて本発明による手術顕微鏡システムを構成しても構わな、。

[0083] 第 2または第 3の実施形態では、ミラー 3L, 3Rにより画定される光束 FL2, FR2に基づく立体視画像を主顕微鏡 11が提供し、ビームスプリッタ 1L, 1Rにより画定される光束 FL, FRに基づく立体視画像をステレオビューァ 21が提供するように光学系が構成されたが、光学系の構成はこれに限られない。例えば、対物レンズ 10aを透過した任意の光束を接眼レンズ lObL, 10bRの両方へ導くよう光学系を構成し、接眼レンズ 10bL, 10bRに同一の画像を提供させて、非立体視画像を提供してもよい。また、これに合わせて、ステレオビューァに非立体視画像を提供されるようにしても良い。

[0084] 第 4の実施形態において、ステレオビューァ 20が、アーム 34を始めとする指示部材により先端アーム Dに対して移動可能に設けられている力これに限られない。ステレオビユーァ 20が主顕微鏡 11と並んで又は対向して配置されるように、所定のアームを用いて先端アーム Dに取り付けるようにしても良い。し力も、この所定のアームが先端アーム Dに対して着脱可能とすることも可能である。このようにすれば、ステレオビユーァ 21を主術者 Mの右前方または左前方に適宜配置して主術者 Mと補助者 HI が手術を行いつつ、必要に応じて、ステレオビューァ 20を主顕微鏡 11と並んで又は対向して配置することも可能である。逆に、ステレオビューァ 20を移動可能に取り付け、ステレオビューァ 21を着脱可能としてもよいことは明らかである。

[0085] また、第 4の実施形態において、ステレオビューァ 20を主顕微鏡 11と対向する位置に配置する場合は、必ずしも、軸 α 2を中心として反転可能である必要はない。主顕微鏡 11と並んで配置されるべきステレオビューァを、軸 a 2を中心として回転するように反転してアーム 31に取り付ければよいことは明らかである。

[0086] 第 5の実施形態において、ステレオビューァ 21は、副術者にとっての利便性が確保するに十分な範囲において軸 α 1を中心として回動可能であれば十分である。これは、第 5の実施形態においては、対向位置に別個のステレオビューァ 201が配置されているため、ステレオビューァ 21を対向位置に移動する必要がないためである。ァーム 340が先端アーム Dに対して着脱可能であってよい。

[0087] また、第 5の実施形態にぉ、て、アーム 340を先端アーム Dに対して着脱可能に設け、これにより、ステレオビューァ 201を取外可能とすることも可能である。このようにすれば、ステレオビューァ 21を主術者 Μの右前方または左前方に適宜配置して主術者 Μと補助者 HIが手術を行いつつ、もう 1名の補助者が必要となった場合に、ァーム 340を先端アーム Dに取り付け、ステレオビューァ 201をステレオビューァ 21の対向位置に配置することが可能となる。

[0088] さらに、第 5の実施形態において、主顕微鏡 11は、第 2の実施形態におけるものと同様、ミラー 2L, 2Rおよびテレビカメラ 10cを有している力ミラー 2L, 2Rおよびテレビカメラ 10cを除外してもよい。このようにしても、ミラー 3L, 3Rおよびテレビカメラ 11c により、ステレオビューァ 21および 201に画像を提供できるし、手術顕微鏡システム 5 00は、ステレオビューァ 20に相当するステレオビューァを有していないため、ミラー 2 L, 2Rおよびテレビカメラ 10cが必要ない。

[0089] また、 2台のステレオビューァを使用する場合を説明したが、上記の説明から、 3台のステレオビューァを使用することができることも明らかである。

産業上の利用の可能性

[0090] 本発明によれば、副術者が、主術者と並んだ位置若しくは対向する位置、又は左前方若しくは右前方の位置においても自己の視野で術部を拡大して観察することを可能とする手術顕微鏡システムが提供される。

Claims

請求の範囲

[1] 対物レンズ、前記対物レンズを透過した光束に基づく第 1の画像を提供する第 1の右目用接眼レンズ、および前記対物レンズを透過した光束に基づく第 2の画像を提供する第 1の左目用接眼レンズを含む第 1の双眼顕微鏡と、

前記第 1の双眼顕微鏡と対向して又は並んで配置可能であり、前記第 1の画像を表示する第 1の右目用画像表示面および前記第 2の画像を表示する第 1の左目用画像表示面を含み、前記第 1の右目用画像表示面および前記第 1の左目用画像表示面の並置方向に伸びる水平軸を中心に反転可能な第 1の表示装置と、

を備える手術顕微鏡システム。

[2] 前記対物レンズを透過した光束を二分岐する第 1の分岐器および第 2の分岐器を更に備え、

前記第 1の分岐器により二分岐された光束の一方により前記第 1の右目用接眼レンズによって第 1の画像が提供され、該光束の他方に基づいて前記第 1の右目用画像表示面により第 1の画像が表示され、

前記第 2の分岐器により二分岐された光束の一方により前記第 1の左目用接眼レンズによって第 2の画像が提供され、該光束の他方に基づいて前記第 1の左目用画像表示面により第 2の画像が表示される、請求項 1に記載の手術顕微鏡システム。

[3] 前記第 1の表示装置が、前記第 1の分岐器により二分岐された光束の他方と、前記第 2の分岐器により二分岐された光束の他方とを入射する第 1の撮像装置を更に備える、請求項 2に記載の手術顕微鏡システム。

[4] 支持スタンドを更に備え、前記支持スタンドに対して前記第 1の双眼顕微鏡および前記第 1の表示装置が互いに独立に移動可能に取り付けられる、請求項 1に記載の手術顕微鏡システム。

[5] 対物レンズ、前記対物レンズを透過した光束に基づく第 3の画像を提供する第 2の右目用接眼レンズ、および前記対物レンズを透過した光束に基づく第 4の画像を提供する第 2の左目用接眼レンズを含む第 2の双眼顕微鏡と、

前記対物レンズを透過した光束に基づく第 5の画像を表示する第 2の右目用画像表示面、および前記対物レンズを透過した光束に基づく第 6の画像を表示する第 2 の左目用画像表示面を含む第 2の表示装置と、

を備える手術顕微鏡システム。

[6] 前記第 3の画像が前記対物レンズの第 1の点を透過した第 1の光束に基づいて提供され、前記第 4の画像が前記対物レンズの光軸を中心として前記第 1の点と対称な第 2の点を透過した第 2の光束に基づ、て提供され、前記第 5の画像が前記対物レンズの第 3の点を透過した第 3の光束に基づ、て表示され、前記第 6の画像が前記対物レンズの光軸を中心として前記第 3の点と対称な第 4の点を透過した第 4の光束に基づ!/ヽて表示される、請求項 5に記載の手術顕微鏡システム。

[7] 前記第 1の点と前記第 2の点とを結ぶ線分と、前記第 3の点と前記第 4の点とを結ぶ線分とが互、に直交する、請求項 6に記載の手術顕微鏡システム。

[8] 前記第 3の光束を入射し前記第 5の画像を生成して前記第 2の右目用画像表示面へ提供し、前記第 4の光束を入射し前記第 6の画像を生成して前記第 2の左目用画像表示面へ提供する第 2の撮像装置を更に含む、請求項 6に記載の手術顕微鏡システム。

[9] 前記第 2の表示装置が、前記第 2の双眼顕微鏡の右前方または左前方のいずれかに配置可能であり、前記第 2の右目用画像表示面および前記第 2の左目用画像表示面の並置方向に伸びる水平軸を中心として反転可能である、請求項 5に記載の手術顕微鏡システム。

[10] 支持スタンドを更に備え、前記支持スタンドに対して前記第 2の双眼顕微鏡および前記第 2の表示装置が互いに独立に移動可能に取り付けられる、請求項 5に記載の手術顕微鏡システム。

[11] 前記第 2の表示装置と対向して配置され、

前記第 5の画像を上下反転して表示する第 3の左目用画像表示面、および前記第 6の画像を上下反転して表示する第 3の右目用画像表示面を含む第 3の表示装置を更に備える、請求項 5に記載の手術顕微鏡システム。

[12] 前記第 2の双眼顕微鏡と対向して又は並んで配置可能であり、前記第 3の画像を表示する第 4の右目用画像表示面および前記第 4の画像を表示する第 4の左目用画像表示面を含み、前記第 4の右目用画像表示面および前記第 4の左目用画像表示面の並置方向に伸びる水平軸を中心に反転可能な第 4の表示装置を更に備える、請求項 5に記載の手術顕微鏡システム。

[13] 前記第 1の光束を入射し前記第 3の画像を生成して前記第 4の右目用画像表示面へ提供し、前記第 2の光束を入射し前記第 4の画像を生成して前記第 4の左目用画像表示面へ提供する第 3の撮像装置を更に含む、請求項 12に記載の手術顕微鏡システム。

[14] 前記第 2の双眼顕微鏡と対向して配置され、

前記第 3の画像を上下反転して表示する第 5の左目用画像表示面、および前記第 4の画像を上下反転して表示する第 5の右目用画像表示面を含む第 5の表示装置を更に備える、請求項 5に記載の手術顕微鏡システム。