WO2007145095A1

WO2007145095A1 - 布帛への樹脂加工に使用するドクターブレード及びそれを使用した樹脂加工法

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Publication number: WO2007145095A1
Application number: PCT/JP2007/061305
Authority: WO
Inventors: Masatomi Goto
Original assignee: Hiramatsu Sangyo Company; T.F.C., Inc.
Priority date: 2006-06-16
Filing date: 2007-06-04
Publication date: 2007-12-21
Also published as: EP2042637A1; CN101501264B; EP2042637A4; JP3965416B1; CN101501264A; US20090170390A1; HK1134119A1; JP2009079305A; KR20090025334A; EP2042637B1

Abstract

　目付１２０ｇ／ｍ２以下というような薄手の布帛であっても、確実に片面のみに樹脂加工をすることができる新規なドクターブレードを提供する。このドクターブレードは、ブレードの下方を折り曲げ傾斜させ、樹脂組成物をブレードの傾斜面上に供給し、布帛をブレードの先端側からブレード本体側に移動させて、布帛表面に前記樹脂組成物をコーティングして樹脂加工するためのものであり、ブレード１の下方部分３が２～１２ｃｍの幅で、ブレード本体（上方部分４）に対して１１０～１６０度の角度で傾斜するように折れ曲がっていることを特徴とする。このブレート１の下方部分３の先端部５は、３～１０ｍｍ幅で、前記ブレードの下方部分３に対して、後方に５０～１５０度の角度で折り曲げられてもよい。

Description

明細書

布帛への樹脂加工に使用するドクターブレード及びそれを使用した樹脂加工法

技術分野

[0001] 本発明は、布帛の表面のみに効率よく樹脂加工することができるドクターブレード及びそれを使用した樹脂加工法に関する。

背景技術

[0002] 布帛の片面にのみ撥水性を付与したり、吸水性を付与したりすることは、従来から種々試みられており、例えば、特許文献 1には、織編物の片面の表面層にのみ撥水剤を塗布することにより、表面のみに撥水性を有し、裏面側は吸水性ある内衣料用の偏在吸水性織編物を提供することを開示しており、実施例には、目付 230gZm²の木綿 100%のインターロック編生地にスプレー法で撥水剤を適用する方法や、目付 2 50gZm²のポリエステル加工糸 100%の平織物にリバースロールコーターで撥水剤をコ一ティングする方法が開示される。

[0003] また、特許文献 2には、布帛の片面にのみ吸水性を付与する方法として、実施例 1 に目付 200gZm²のポリエステル力卩ェ糸力もなるインターロック編生地に吸水剤を口一ラープリントする方法、実施例 2にポリエステル ·木綿の混紡糸力もなる目付 240g Zm²の平織物に 3%溶液の吸水剤をコーティングする方法が開示される。

[0004] 更に、特許文献 3には、ローラ捺染法で撥水剤を布帛の片面に適用して、布帛の片面の凸部表層部分にのみ、撥水処理することが開示されており、実施例では、目付 130gZm²の綿 100%の天竺ニット生地、綿 Zポリエステル混紡糸力もなる目付 1 40gZm²の天竺ニット生地が使用されている。特許文献 4には、フローティングナイフコーターで、布帛の表面にのみに撥水剤などを塗布することが開示される力図面に示されるとおり、そこで使用されるドクターブレードは通常の平板状のものであり、薄手の布帛に榭脂加工しょうとすると、榭脂が裏面にまで通り、片面にだけ樹脂加工することは困難である。

特許文献 1：特開昭 56— 144272号公報特許文献 2：特開昭 58— 220873号公報

特許文献 3：特公平 1— 53394号公報

特許文献 4：特表 2004— 523673号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0005] 本発明は、目付 120gZm²以下、特に 60gZm²以下というような薄手の布帛であつても、確実に片面のみに樹脂加工をすることができる新規なドクターブレード及び榭脂加工法を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

[0006] 本発明者は、ドクターブレードの形状を種々検討し、ドクターブレードを特殊な形状とすることにより、フローティングナイフコーターで、非常に薄い布帛表面にも、裏通りすることなぐ確実に樹脂加工することが可能となることを見出し、上記課題を解決した。

[0007] すなわち、本発明のドクターブレードおよびそれを使用したコーティング法 (榭脂カロ工法)は下記の通りである。

(1)ブレードの下方を折り曲げ傾斜させ、榭脂組成物をブレードの傾斜面上に供給し、布帛をブレードの先端側からブレード本体側に移動させて、布帛表面に前記榭脂組成物をコーティングして樹脂加工するためのドクターブレードであって、ブレードの下方が 2〜 12cmの幅で、上方のブレード本体に対して 110〜 160度の角度で傾斜するように折り曲がって、ることを特徴とするドクターブレード。

(2)前記プレートの下方の先端が 3〜： LOmm幅で、前記ブレードの下方に対して、後方に 50〜 150度の角度で折り曲げられて、る（ 1)のドクターブレード。

(3)水性ェマルジヨン力もなる榭脂組成物を用いて、フローティングナイフコーターで、布帛の表面にのみ樹脂加工を施すものであって、ドクターブレードとして（1)または (2)のものを使用する樹脂加工法。

(4)前記布帛が吸水性を有する織物、編物又は不織布であり、前記榭脂組成物の粘度力 OOOcps以上（好ましくは 12000cps以上、より好ましくは 15000cps以上）である（3)の樹脂加工法。 (5)前記榭脂組成物が撥水剤力なるものである (4)の樹脂加工法。

(6)前記布帛が吸水性に乏しい織物、編物又は不織布であり、前記榭脂組成物の粘度力 S3000〜6000cps (好まし <は 3500〜5000cps)である（3)の樹月旨カロ工法。

(7)前記布帛が撥水加工したものであり、前記榭脂組成物が防水加工用の榭脂組成物である（6)の樹脂加工法。

(8) 前記布帛が目付 130gZm²未満の薄布であることを（3)〜(7)いずれか 1項の樹脂加工法。

(9)布帛を斜め上方に送りながら、該布帛表面に樹脂加工する（3)の樹脂加工法。

(10)目付 130gZm²未満の吸水性布帛からなるものであり、前記（3)の樹脂加工法で、布帛の片面にのみ撥水剤付与して得られたことを特徴とする、片面にのみ撥水性を有し、他面は吸水性ある樹脂加工布。

(11)目付 100〜450gZm²の吸水性布帛カもなるものであり、前記（3)の樹脂加工法で、布帛の表裏両面にそれぞれ撥水剤を付与して得られたことを特徴とする、表裏両面は撥水性を有する力内層は吸水性を有する樹脂加工布。

[0008] 本発明のドクターブレードは通常のコーティング法に使用されるものと同様の幅及び長さを有するものであればよいが、ドクターブレードの下方、すなわち被カ卩工布帛に接する側を、ブレード本体に対して前方に傾斜させ、該傾斜面から榭脂が被加工布帛上に落ちるようにすることにより、該傾斜面の先端で榭脂は被加工布帛上に円柱状となって回転しながら、均一にコーティングされることとなり、被加工布帛が目付 1 30g/m²未満、 60gZm²以下というような超薄地であっても、裏通りすることなぐ表面のみに均一な樹脂加工を可能とするのである。

[0009] ブレードで傾斜させる下方の幅は 2〜12cm程度でよいが、通常 3. 5〜9cm程度であるのが好ましい。また、ブレード本体に対するブレード下方の折り曲げ角度は、 1 10〜160度であればよい (120〜150度程度であるのが好ましい)。本発明では、力力るブレードの先端部を布帛に当てた状態で、布帛をブレード先端側力もブレード本体側に移動させて樹脂加工 (コーティング)するのである。

[0010] ブレードの下方先端は、被加工布帛の種類および使用する榭脂組成物の粘性などにより更に変形してもよぐ例えば、ブレードの下方先端を 3〜： LOmm幅で、ブレードの下方に対して、後方に 50〜 150度の角度で折り曲げ、ブレードをブレード本体が被加工布帛に対して垂直となる位置に設置したときに、ブレード先端が被加工布帛に対して 90〜20度程度の角度で接するようにしてもよい。

[0011] 本発明では、ブレードの先端部を傾斜させ、その上から、樹脂加工用の榭脂組成物を供給できるようにすることができるため、樹脂加工 (コーティング)時に、榭脂組成物 (榭脂液又はペースト）は、傾斜したブレード先端部の布帛と接する箇所で円柱状に回転し、布帛の幅全体に均一に効率よく接触し、ムラのない薄膜のコーティングを可能とするのである。

[0012] 水性ェマルジヨンからなる榭脂組成物を用いて、フローティングナイフコーターで、樹脂加工するのが好ましぐ布帛として、吸水性を有する織物、編物又は不織布を使用する場合、榭脂組成物の粘度は 15000cps以上であるのが好ましい。ここに吸水性を有する織物、編物又は不織布とは、例えば、セルロース系繊維など本来的に吸水性を有する繊維力もなるものであってもよ、が、吸水性の乏 U、繊維布帛に吸水剤処理をし、吸水性を付与したものであってもよい。

[0013] また、この場合、榭脂組成物としては、どのようなものを使用してもよいが、シリコーン系、フッ素系などの撥水剤からなるものが非常に効率よく適用できる。

[0014] 次に、布帛として、合成繊維を含む吸水性に乏しい織物、編物又は不織布を使用する場合には、榭脂組成物の粘度が 3000〜5000cpsであるのが好ましい。また、吸水性ある布帛に予め撥水加工したものを使用してもよぐこの場合、その片面に防水加工用の榭脂組成物を適用するのに効果的に適用できる。

[0015] 本発明では、目付 130gZm²未満、特に目付 lOOgZm²以下という薄い布帛にも、効率よぐ布帛の片面のみに樹脂加工を施すことが可能である。従って、従来考えられなかったことである力、オーガンジーゃジョーゼットというような超薄地の布帛をも

、片面は撥水性を有するが、他面は吸水性を有するというような加工を施すことができるのである。

[0016] また、目付 lOOgZm²以上、例えば 200gZm²や 400gZm²というような比較的厚い生地では、両面に撥水剤をコーティングして、両面は撥水性を有するが、内層は吸水性を有するというような製品に仕上げることも可能である。 [0017] このように、本発明では、吸水性布帛の表層にのみ撥水剤を付与し、内層は吸水性を保持するようにした表層撥水加工布帛を安定して、製造可能となるが、このような表層撥水加工布帛は、撥水性を有する面に、水滴が触れると、撥水性を有する面では、水滴は広がることなぐ毛細管現象で、速やかにその下の吸水性を有する層に吸収 '拡散される。従って、この表層撥水加工布帛を用いて衣類を製造した場合、撥水性を有する面を内側にして肌に触れるようにすることにより、汗が肌面に残ることなぐすぐ他層に移行するため、常に肌に触れる面を爽やかに保つことができる。

[0018] 衣類に使用される表層撥水加工布帛は、布帛の片面にのみ撥水剤を付与したものであっても、布帛の両面に撥水性を付与し、内層を吸水性を有する状態にしたものであってのよい。前者の場合、目付 80〜300gZm²程度の吸水性布帛を使用し、撥水剤の付与は、片面が撥水性を有し、他面は吸水性を有する状態とするものであればよい。また、後者の場合、目付 100〜450gZm²程度、好ましくは 130〜400g Zm²程度の吸水性布帛を使用し、布帛の両面は撥水性を有する力中間層は吸水性を有するようにすればよい。この加工布帛では、衣類にした場合、肌に触れる内側の撥水面から汗は、速やかに吸水性ある中間層に吸収され、そこで拡散されるが、表層も撥水性を有するため、表面に吸水された汗が滲み出ることがない。従って、この加工布帛で製造した衣類は、肌に触れる面が常に爽やかに保たれるだけでなく、表面への汗滲みも生じにくぐ外観的にも常に爽やかに保たれるものとなる。なお、通気性は、撥水加工により低下しないので、乾燥も良好である。

[0019] 吸水性布帛としては、水で濡れを生ずる繊維力なるものであればよぐ天然繊維力もなるものであっても、化学繊維からなるものであってもよいが、主にセルロース系繊維 (綿、麻、レーヨンなど)又はセルロース系繊維を主成分とするものを使用するのが好ましぐセルロース系繊維と化学繊維との混紡、交織又は交編品であってもよい

[0020] また、逆に、薄地の表面撥水加工布帛を、撥水性を付与した面が外側に位置し、内側は吸水性あるものとして衣類を製造した場合、衣類の肌側は繊維本来の風合、や通気性を残しながら、外側は撥水 ·汚染機能を備えたものとなり、快適な衣類となる [0021] このような表層撥水加工布帛を使用して製造される衣類には、下着類、ブラジャー、運動用衣服、作業着、帽子、手袋、衣服に取り付ける汗取パット類、各種シャツ又はブラウス類、ショーツ又はパンツ類などがいずれも含まれる。また、表裏に撥水性を有し、中間層が吸水性を有する表裏撥水性の加工布帛は、水や汗に触れても、表裏いずれからも濡れを感じず、中間層に吸水させることができるので、スポーツ用衣料、水着、汗取りパッドなどとして、有用である。

図面の簡単な説明

[0022] [図 1]図 1は本発明の樹脂加工法の一例を示す説明図である。

[図 2]図 2は本発明のドクターブレードを例示する側面図である。

[図 3]図 3は本発明の樹脂加工法を例示する説明図である。

[図 4]図 4は本発明で得られる加工布帛の例を示す拡大断面図である。

符号の説明

1 ブレード

2 帛

3 下方部分

4 上方部分

5 先端部

6 榭脂組成物

7 吸水性を有する部分

8 撥水性を有する部分

発明を実施するための最良の形態

[0024] 本発明では、例えば図 1に示す如ぐドクターブレード 1が接する箇所で布帛 2を空中に浮、た状態で移送するフローティングナイフコーターで、樹脂加工するのが好ましい。

[0025] ドクターブレード 1としては、例えば図 2に例示するように、平板状のドクターブレードの下方力ブレード本体に対して 110〜160度の角度で前方に傾斜しているものを使用することにより、所望の目的を達成するものであるが、このブレードの先端は、榭脂加工の目的に応じて、ブレードの下方に対して、後方に 50〜150度の角度で折り曲げられてもよい。

[0026] 例えば、図 2の（a)のブレード 1は、幅 95mm、長さ 2000mm、厚さ 2mmの平板鋼からなるものであり、 75mm幅の下方部分 3が 20mm幅の上方部分 4に対して 135度の角度で、前方に折り曲げられているものであり、

図 2の（b)のブレード 1は、幅 85mm、長さ 2000mm、厚さ 2mmの平板鋼からなるものであり、 30mm幅の上方部分 4対して、 135度の角度で、下方部分 3が前方に折り曲げられており、該下方部分 3の先端部 5が 5mm幅で、該下方部分本体に対して 1 35度の角度をなすように後方に折り曲げられているものであり (この先端部 5は前記上方部分 4と平行となる)、

図 2の（c)のブレード 1は、幅 85mm、長さ 2000mm、厚さ 2mmの平板鋼からなるものであり、 30mm幅の上方部分 4に対して、 135度の角度で、下方部分 3が前方に折り曲げられており、該下方部分 3の先端部 5が 5mm幅で、該下方部分本体に対して 85度の角度をなすように後方に折り曲げられているものであり、

図 2の（d)のブレード 1は、幅 85mm、長さ 2000mm、厚さ 2mmの平板鋼からなるものであり、 30mm幅の上方部分 4に対して、 135度の角度で、下方部分 3が前方に折り曲げられており、該下方部分 3の先端部 5が 5mm幅で、該下方部分本体に対して 68度の角度をなすように後方に折り曲げられて、るものである。

[0027] これらのブレード 1は、図 1のように矢印方向に送られる布帛 2に、先端部 5が布帛 2 に接するようにし、ブレード 1の傾斜した下方部分 3の先端で榭脂組成物 6が薄く布帛 2にコーティングされるようにする。この際、ブレード 1の下方部分 3が前方に傾斜して存在するため、榭脂組成物 6は、図 1に示す如ぐブレード 1の先端部 5全体にわたり、時計周りに回転しながら、均一に、布帛 2に接し、薄く品質のよいコーティングを可能とするのである。

[0028] なお、通常は図 3の Aのように水平な状態で布帛 2を移送しながら、コーティングする力超薄地の布帛 2を使用する場合など、図 3の Bのように、布帛 2を 3〜： LO度程度上方に傾斜させながら移送した状態で、コーティングしてもよい。後者の場合、図 2の (a)のように、先端部が後方に折り曲げられて、な、もの（下方部分 3が前方に折り曲げられただけのもの）を使用するのが好ま、。 [0029] 力かる本発明のコーティング方法では、図 4に示すように、吸水性ある布帛 2を使用して、非常に薄い布帛 2でも、表面のみに撥水性を付与し、吸水性ある部分 7と撥水性ある部分 8が共存する機能性に優れた加工布帛を得ることができる。

[0030] 次に、実施例を示す。

(実施例 1)

フッ素系榭脂 (テフロン '登録商標)を使用した撥水処理用榭脂組成物を準備し、下記の方法を実施した。

1)布帛（木綿製のパンツ地 · 200₈Ζπι²)に、図 2の（b)のブレードを用いて、図 3の A の方法で、粘度 6000— 6500cpsの榭脂組成物をコーティングし、乾燥、熱処理した。その結果、表面に撥水性を有する力裏面は木綿本来の吸水性ある製品を得ることができた (図 4の A参照)。

2)布帛（木綿製のシャツ地'目付 120gZm²)に、図 2の（b)のブレードを用いて、図 3 の Aの方法で、粘度 15000cpsの榭脂組成物をコーティングし、乾燥、熱処理した。その結果、表面に撥水性を有するが、裏面は木綿本来の吸水性ある製品を得ることができた (図 4の A参照)。

3)布帛（綿ローン地'目付 70gZm²)に、図 2の（a)のブレードを用いて、図 3の Bの方法 (布帛の傾斜角度 5度)で、粘度 18000cpsの榭脂組成物をコーティングし、乾燥、熱処理した。その結果、表面に撥水性を有するが、裏面は木綿本来の吸水性ある製品を得ることができた (図 4の A参照)。

4)布帛（綿不織布 · 200₈Ζπι²)の表面に、図 2の（b)のブレードを用いて、図 3の A の方法で、粘度 6000— 6500cpsの榭脂組成物をコーティングし、乾燥、熱処理し、その後、裏面にも同様のコーティングを実施した。その結果、表裏両面に撥水性を有するが、中間層は吸水性ある状態に保たれた機能性ある加工布を得ることができた（図 4の B参照）。

[0031] (実施例 2)

予め撥水加工した布帛に、通常の雨傘用の防水加工用アクリル系榭脂組成物を用いて、樹脂加工した。

1)ポリエステルサテン（目付： 127gZm² )に撥水加工を施した後、粘度 4000— 45 OOcpsの榭脂組成物を、図 2の（c)のブレードを用いて、図 3の Aの方法で樹脂加工した。その結果、片面は布帛本来の風合いを有する撥水性ある状態に保たれた防水性に優れた傘地を得ることができた。

2)ポリエステルオーガンジー（目付 :40gZm² )に撥水加工を施した後、粘度 3500 —4000cpsの榭脂組成物を、図 2の（b)のブレードを用いて、図 3の Aの方法で榭脂加工した。その結果、布帛が非常に薄いにもかかわらず、榭脂組成物は表に抜けることなぐ片面は布帛本来の風合いを有する撥水性ある状態に保たれた防水性に優れた傘地を得ることができた。

3)綿ブロード（目付： 113gZm² )に撥水加工を施した後、粘度 4000— 5000cpsの榭脂組成物を、図 2の（c)のブレードを用いて、図 3の Aの方法で樹脂加工した。その結果、榭脂組成物は布帛の 2Z3程度の厚さに榭脂層を形成し、片面は布帛本来の風合いを有する撥水性ある状態に保たれた防水性に優れた傘地を得ることができた

4)ポリエステル Z綿（50： 50)のコアヤーン力もなる布帛で、オパールカ卩ェにより柄状に綿の脱落した透視性ある模様を施した布帛に、撥水加工を施した後、粘度 400 0— 5000cpsの榭脂糸且成物を、図 2の（c)のブレードを用いて、図 3の Aの方法で榭脂加工した。その結果、透視性ある模様を有するにもかかわらず、榭脂組成物は布帛表面に効率よく耐水性ある榭脂被膜を形成し、片面はオパール加工布本来の風合いを有する撥水性ある状態に保たれた防水性に優れ晴雨兼用傘地を得ることができた。

なお、本願に示す粘度は、常温 (約 25°C)、 RION社製のピスコテスター VT— 04F で測定した値である。

(実施例 3)

フッ素系榭脂 (テフロン '登録商標)を使用した撥水処理用榭脂組成物を用いて、表面は撥水性を有する力他面又中間層には吸水性を有する表層撥水加工布帛を得た。

1)布帛（綿ニット · 200₈Ζπι²)に、図 2の（a)のブレードを用いて、図 3の Bの方法 (布帛の傾斜角度 5度)で、粘度 18000cpsの榭脂組成物をコーティングし、乾燥、熱処理した。その結果、表面に撥水性を有するが、裏面は綿本来の吸水性ある製品を得ることがでさた。

2)布帛（綿ニット · 200₈Ζπι²)の表面に、図 2の（b)のブレードを用いて、図 3の Aの方法で、粘度 6000— 6500cpsの榭脂組成物をコーティングし、乾燥、熱処理し、その後、裏面にも同様のコーティングを実施した。その結果、表裏両面に撥水性を有するが、中間層は吸水性ある状態に保たれた力卩工布を得ることができた。

3)布帛（綿シャツ地'目付 120gZm²)に、図 2の（b)のブレードを用いて、図 3の Aの方法で、粘度 15000cpsの榭脂組成物をコーティングし、乾燥、熱処理して、表面に撥水性を有するが、裏面は綿本来の吸水性ある製品を得ることができた。

次いで、これらの製品を撥水性を有する面を内側にして衣類に縫製した。

1)の製品を、肌に触れる側に撥水性を有する面が位置するようにして、スポーツ用ショーツに縫製した。このショーツを着用し、ジョギングしたところ、汗をかいても、汗は、ショーツ内側を濡らすことなぐすぐ吸水性を有する表面側に吸収'拡散されるため、ショーツの内側は常に乾いた状態となり、非常に快適に保たれた。

2)の製品を、スポーツ用のランニング 'シャツに縫製し、着用したところ、汗をかいても、肌に触れる面は、常に乾いた状態で、爽やかに保たれ、また、汗は中間層に吸収 •拡散され、表面に汗ジミを生ずることもな力つた。なお、中間層で吸収'拡散した汗は、表層を通して、速やかに乾燥された。

3)の布帛を使用して、ワイシャツを製造し、着用したところ、汗をかいても、肌に触れる面は常に乾いた状態に保たれるため、クールビズが求められる環境下でも、快適に過ごすことができた。

(実施例 4)

綿 95%とポリウレタン繊維 5%の混紡糸力もなるニット地（目付： 130gZm² )に、図 2の（a)のブレードを用いて、図 3の Bの方法 (布帛の傾斜角度 5度)で、粘度 18000c psの榭脂組成物—フッ素系榭脂 (テフロン '登録商標)を使用した撥水処理用榭脂組成物—をコーティングし、乾燥、熱処理した。その結果、表面に撥水性を有するが、裏面は吸水性ある製品を得ることができた。

このようにして得た表層撥水加工布帛を、外側に撥水性を有するが面が位置するようにして、長袖のシャツに仕上げた。

このシャツ Aを着用した際の衣服内湿度を、同様の生地に一般的な方法で全体に撥水加工した製品で縫製したシャツ Bと比較したところ、本発明に従った表面撥水加工布帛力なるシャツ Aでは、安静時、運動時、いずれにおいても、衣類と肌の間に熱がこもることなく、快適に保たれ、その衣服内湿度 (絶対湿度）は、運動後でも、実質的に 30mmHgを超えることはなぐまた数分で 25mmHg以下の快適湿度に降下した。これに対して、一般的な撥水加工で撥水剤が裏面も及んでいる生地を使用したシャツ Bでは、運動後に衣服内湿度は (絶対湿度）は、 40mmHg近くまで上昇し、その後も、 30mmHg以下になるまで、かなりな時間を要し、衣類と肌の間に熱がこもつた着心地の悪!、ものとなった。

Claims

請求の範囲

[I] ブレードの下方を折り曲げ傾斜させ、榭脂組成物をブレードの傾斜面上に供給し、布帛をブレードの先端側からブレード本体側に移動させて、布帛表面に前記榭脂組成物をコーティングして樹脂加工するためのドクターブレードであって、ブレードの下方が 2〜 12cmの幅で、上方のブレード本体に対して 110〜 160度の角度で傾斜するように折り曲がって、ることを特徴とするドクターブレード。

[2] 前記プレートの下方の先端が 3〜： LOmm幅で、前記ブレードの下方に対して、後方に 50〜150度の角度で折り曲げられていることを特徴とする請求項 1のドクターブレード。

[3] 水性ェマルジヨンカゝらなる榭脂組成物を用いて、フローティングナイフコーターで、布帛の表面にのみ樹脂加工を施すものであって、ドクターブレードとして請求項 1または 2に記載のものを使用することを特徴とする樹脂加工法。

[4] 前記布帛が吸水性を有する織物、編物又は不織布であり、前記榭脂組成物の粘度力 S6000cps以上であることを特徴とする請求項 3の樹脂加工法。

[5] 前記榭脂組成物が撥水剤力もなるものであることを特徴とする請求項 4の樹脂加工法。

[6] 前記布帛が吸水性に乏しい織物、編物又は不織布であり、前記榭脂組成物の粘度が 3000〜6000cpsであることを特徴とする請求項 3の樹脂加工法。

[7] 前記布帛が撥水加工したものであり、前記榭脂組成物が防水加工用の榭脂組成物であることを特徴とする請求項 6の樹脂加工法。

[8] 前記布帛が目付 130gZm²未満の薄布であることを特徴とする請求項 3〜7いずれ力 1項の榭脂加工法。

[9] 布帛を斜め上方に送りながら、該布帛表面に樹脂加工することを特徴とする請求項 3 の樹脂加工法。

[10] 目付 130gZm²未満の吸水性布帛カもなるものであり、請求項 3の樹脂加工法で、布帛の片面にのみ撥水剤付与して得られたことを特徴とする、片面にのみ撥水性を有し、他面は吸水性ある樹脂加工布。

[I I] 目付 100〜450gZm²の吸水性布帛カなるものであり、請求項 3の樹脂加工法で、布帛の表裏両面にそれぞれ撥水剤を付与して得られたことを特徴とする、表裏両面は撥水性を有する力内層は吸水性を有する樹脂加工布。