JP6549890B2 - 排水機能付き衣料製品 - Google Patents
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Description
身体から発生した水分を外部に放出する排水機能を備えた排水機能付き衣料製品であって、
前記身体に着用したときに上側に配置され、前記身体から発生した水分を吸収する第一部位と、
前記第一部位の下側に配置され、前記第一部位から水分を受け取って前記身体の外方へと誘導する第二部位とを備え、
生地の断面視において、前記第一部位及び前記第二部位のうち、少なくとも第二部位に撥水部が形成され、
前記身体に着用した状態において、生地の内側表面の位置を0%とし、生地の外側表面の位置を100%とした場合、前記第二部位における撥水部は生地の内側表面から70%以上の領域にまで形成され、前記第二部位における撥水部の厚みが前記第一部位における撥水部の厚みより大きくなるように構成されていることにある。
このように、本構成の排水機能付き衣料製品によれば、汗等の水分は、当該衣料製品の生地内に蓄積されることなくスムーズに外部に排出され、当該衣料製品が過剰に濡れた状態となることが防止される。
従って、本構成の排水機能付き衣料製品を着用すれば、多量の発汗が起こった場合でも汗を素早く処理し、汗による生地の貼り付きやベタツキ感を抑えて快適且つ軽快な状態に保つことができる。
前記第一部位において、0%より大きく60%以下の領域に撥水部が形成されていることが好ましい。
前記第一部位において、前記撥水部の面積が前記第一部位の総面積に対して10〜60%に設定されていることが好ましい。
前記第一部位は、生地の内側表面における吸水性がJIS L1907(滴下法)による吸水時間として5秒未満に構成されていることが好ましい。
前記第一部位の表面積(A)と、前記第二部位の表面積(B)との比率(A:B)が、A:B=5:95〜95:5に設定されていることが好ましい。
前記第二部位における撥水部は、前記第一部位から前記第二部位への水分の移動方向に対して交差するように形成されていることが好ましい。
前記第二部位における撥水部は、生地に対して、ベタ柄、連続横縞柄、不連続横縞柄、連続斜め縞柄、及び不連続斜め縞柄からなる群から選択される少なくとも一つの柄に形成されていることが好ましい。
前記第二部位における撥水部は、前記第一部位から離間する方向に厚みが段階的又は連続的に増大するように形成されていることが好ましい。
図1は、本発明にかかる代表的な排水機能付き衣料製品100の概略図である。図2は、排水機能付き衣料製品100の生地(素材)となる排水性編物101の概略平面図である。以降の説明では、「排水機能付き衣料製品」を「衣料製品」と略称し、「排水性編物」を「編物」と略称する場合がある。また、本明細書において、「編物」と「編地」とを略同等の意味で使用する。図1は、人が衣料製品100を着用した状態を示しており、図1中の拡大図(a)〜(c)は、衣料製品100の編地断面を上から順に示したものである。衣料製品100は、例えば、肌に密着し易いスポーツ衣料やインナー衣料として構成され、身体に着用したときに上側に配置される第一部位10と、当該第一部位10の下側に配置される第二部位20とを備えている。ここで、第一部位10は、腹部より上側に配置されることが好ましい。「腹部」とは、へそBを中心とした一定範囲に拡がる体表面である。本明細書において「腹部より上側」とは、人が直立状態にあるとき、へそBの高さ位置より鉛直上方側を意味する。従って、「腹部より上側」には、首Nから胸部C、さらにはへそBより上側の腹部(上腹部E)までの領域が含まれる。この首Nから上腹部Eにかけての領域は、身体の中でも特に発汗量が多くなる部位である。
肌に密着し易く、しかも汗をかき易い環境で着用するスポーツ衣料やインナー衣料は、一般に編物(編地)を縫製することにより製造される。本発明の衣料製品100においても、生地として編物が好適に使用される。編物は、経編物又は緯編物のいずれであっても構わない。経編物としては、シングルデンビー編、シングルアトラス編、ダブルコード編、ハーフトリコット編、裏毛編、ジャガード編等が挙げられる。緯編物としては、天竺編、平編、ゴム編、両面編、パール編、タック編、浮き編、片畔編、レース編、添え毛編等が挙げられる。図2では、編物101の編組織として、天竺編を例示してある。編物101を構成する層数は特に限定されず、単層構造であってもよく、二層以上の多層構造であってもよい。
本発明の衣料製品100に施される撥水処理は、編地に撥水剤を付与することにより行われる。使用可能な撥水剤のタイプは、水系又は溶剤系の何れでもよく、撥水剤の種類としては、例えば、フッ素系撥水剤、シリコーン系撥水剤、ワックス系撥水剤等が挙げられる。撥水剤の付与方法(撥水処理法)は、グラビアロール法、フラットスクリーン法、ロータリースクリーン法、転写法等の公知の方法が挙げられる。これらの方法によれば、連続的且つ高精度の撥水処理を行うことが可能であり、特に、フラットスクリーン法、ロータリースクリーン法は、編地への撥水剤の付与状態(プリントパターン、プリント量)を細かく設定できるため、柄の設定や設備での加工条件を調整することで、撥水剤の付着面積、形状、パターン間隔等を自在に設定することが可能となる。また、撥水剤の編地厚み方向における浸透度合いを調節することも容易となる。撥水剤の編地厚み方向における浸透度合いは、例えば、スクリーンを用いる撥水処理法においては、スクリーン枠のメッシュサイズやプリント時のスキージ圧等の撥水処理条件を変更することにより調節可能である。例えば、スクリーン枠をハイメッシュ化したり、スキージ圧を低下させると、撥水剤の浸透度合いは小さくなる。反対に、スクリーン枠をローメッシュ化したり、スキージ圧を増加させると、撥水剤の浸透度合いは大きくなる。なお、後述する撥水剤を溶媒に溶解させた撥水剤溶液の粘度を調整することによっても、撥水剤の編地厚み方向における浸透度合いを調節することが可能となる。
撥水処理を施した試料片を反応染料又は直接染料を含む染料液に30分間浸漬し、染料液から取り出して風乾した後、試料片の断面をマイクロスコープにて観察した。編地に撥水剤が浸漬している部分には染料液が浸み込まないため、試料片断面中の未染色部分の割合が編地断面視における撥水部の割合とみなすことができる。従って、編地断面視における撥水部の割合を、以下の式(1)から求めることができる。
編地断面視における撥水部の割合(%)
= 未染色部分の厚さ(mm)/試料片の厚さ(mm) × 100 ・・・ (1)
JIS L1907(滴下法)の吸水速度に関する試験方法に準拠して、衣料製品の吸水性を評価した。衣料製品の第一部位に相当する試料片を準備し、内側表面(撥水処理が施された肌に接する面)を上に向けて水平状態に保持した。次いで、ビュレットを用いて試料片に水滴を一滴滴下し、この水滴が試料片に吸収されるまでの時間(吸水時間)を測定した。衣料製品の吸水性の評価は、吸水時間が1秒未満であったものを良好(○)とし、吸水時間が1秒以上であったものを不良(×)とした。
以下に説明する方法により、衣料製品の排水性を評価した。衣料製品の編地(タテ20cm×ヨコ10cm)に撥水処理を施して第一部位(タテ10cm×ヨコ10cm)と第二部位(タテ10cm×ヨコ10cm)とをタテ方向で隣接するように形成し、これを試料片とした。温度22℃、相対湿度65%に維持した恒温恒湿環境下において、試料片を45°傾斜させたガラス板の上に撥水処理を施した側がガラス面に接するように載置した。ガラス板に対する試料片の載置方向は、後述の比較例3を除いて、試料片の第一部位が第二部位の上方に位置するようにした。比較例3はこれの逆とした。この状態で、試料片が滑らないように両面テープを用いて試料片の両端部(第一部位の端部及び第二部位の端部)をガラス面に固定した。次に、マイクロピペットを用いて試料片の上部中央(後述の比較例3を除いて、第一部位側となる)に水1ccを1分間隔で10分に亘って滴下し、水分を供給した(水分供給量合計10g)。同時に、試料片の下部において試料片の表面に流れ出た水分をスポンジに吸収し、10分経過後のスポンジの増加重量を試料片からの排水量とした。衣料製品の排水性の評価は、以下の式(2)から求められる排水率により行った。
排水率(%) = 排水量(g)/10(g) × 100 ・・・ (2)
丸断面のレギュラーポリエステルからなる仮撚捲縮加工糸(84デシテックス/36フィラメント、セミダル糸)を28ゲージの丸編機を用いて編み立てを行い、表面がハニカム構造となる天竺丸編物を作製した。この天竺丸編物を常法により精練処理し、染色助剤及び吸水加工剤(高松油脂株式会社製、SR−1000)5%owfを含有する染料液に浸漬して染色処理を行った。染色処理条件は、130℃で30分間とした。次いで、編物を染料液から引き上げ、乾燥後、熱セットを行った。これにより、吸水処理が施された厚さ0.5mmの編物を得た。続いて、編物の肌側となる面の全体に、ロータリースクリーンプリント機(プリント枠メッシュ:150メッシュ/インチ)を用いて、下記の表1の処方に示す第一部位形成用撥水剤溶液(粘度を30000mPa・sに調整)を直径0.5mmのドット柄状で略一様に付与した。このとき、ロータリースクリーンプリント機のスキージ圧を調整することにより、編物の断面視において、第一部位形成用撥水剤溶液を編物表面から20%の深さまで浸透させて第一撥水部を形成した。また、編物の平面視で、プリント領域である第一部位の総面積(撥水剤が存在する第一撥水部の面積と、撥水剤が存在しない非撥水部の面積との合計)に対する撥水剤付与領域(第一撥水部の面積)の割合を30%とした。続いて、第一部位形成用撥水剤溶液をドット柄状に付与した面に、フラットスクリーンプリント機(プリント枠メッシュ:70メッシュ/インチ)を用いて、下記の表1の処方に示す第二部位形成用撥水剤溶液(粘度を50000mPa・sに調整)をベタ柄状に付与した。このとき、フラットスクリーンプリント機のスキージ圧を調整することにより、編物の断面視において、第二部位形成用撥水剤溶液を編物表面から90%の深さまで浸透させて第二撥水部を形成した。第二撥水部形成後の編物は、第一部位の表面積(A)と、第二部位の表面積(B)との比率(A:B)が、A:B=70:30であった。最後に、編物を120℃で1.5分間乾燥し、さらに150℃で30秒間キュアリング処理を行うことにより撥水処理を完了させた。撥水処理を施した編物を適切にパネル裁断及び縫製し、上側に第一部位、下側に第二部位を備えた実施例1の衣料製品(Tシャツ)を得た。実施例1のTシャツの外観イメージを図4(a)に示す。
吸水処理が施された編物に第一部位形成用撥水剤溶液をドット柄状に付与する工程までは実施例1と同様とし、続いて、第一部位形成用撥水剤溶液をドット柄状に付与した面に第二部位形成用撥水剤溶液を付与する際、横縞柄状のパターンとした。このとき、撥水処理後の編物において、編物の平面視で、第一部位の表面積(A)と、第二部位の表面積(B)との比率(A:B)を、A:B=60:40に設定した。その他の条件は、実施例1と同様とした。撥水処理を施した編物を適切にパネル裁断及び縫製し、上側に第一部位、下側に第二部位を備えた実施例2の衣料製品(Tシャツ)を得た。実施例2のTシャツの外観イメージを図4(b)に示す。
吸水処理が施された編物に第一部位形成用撥水剤溶液をドット柄状に付与する工程までは実施例1と同様とし、続いて、第一部位形成用撥水剤溶液をドット柄状に付与した面に第二部位形成用撥水剤溶液を付与する際、ジグザグの境界線を有するベタ柄状のパターンとした。その他の条件は、実施例1と同様とした。撥水処理を施した編物を適切にパネル裁断及び縫製し、上側に第一部位、下側に第二部位を備えた実施例3の衣料製品(Tシャツ)を得た。実施例3のTシャツの外観イメージを図4(c)に示す。
吸水処理が施された編物に第一部位形成用撥水剤溶液をドット柄状に付与する工程までは実施例1と同様とし、続いて、第一部位形成用撥水剤溶液をドット柄状に付与した面に第二部位形成用撥水剤溶液を付与する際、フラットスクリーンプリント機のスキージ圧を調整することにより、編物の断面視において、第二部位形成用撥水剤溶液を編物表面から70%の深さまで浸透させて第二撥水部を形成した。その他の条件及び第二部位の柄は、実施例1と同様とした。撥水処理を施した編物を適切にパネル裁断及び縫製し、上側に第一部位、下側に第二部位を備えた実施例4の衣料製品(Tシャツ)を得た。実施例4のTシャツの外観イメージは図4(a)と同様であるため、図示を省略する。
吸水処理が施された編物に第一部位形成用撥水剤溶液をドット柄状に付与する工程までは実施例1と同様とし、続いて、第一部位形成用撥水剤溶液をドット柄状に付与した面に第二部位形成用撥水剤溶液を付与する際、フラットスクリーンプリント機のスキージ圧を調整することにより、編物の断面視において、第二部位形成用撥水剤溶液を編物表面から100%の深さ(すなわち、編物裏面)まで浸透させて第二撥水部を形成した。その他の条件及び第二部位の柄は、実施例1と同様とした。撥水処理を施した編物を適切にパネル裁断及び縫製し、上側に第一部位、下側に第二部位を備えた実施例5の衣料製品(Tシャツ)を得た。実施例5のTシャツの外観イメージは図4(a)と同様であるため、図示を省略する。
吸水処理が施された編物に第一部位形成用撥水剤溶液をドット柄状に付与する際、ロータリースクリーンプリント機のスキージ圧を調整することにより、編物の断面視において、第一部位形成用撥水剤溶液を編物表面から0.5%の深さまで浸透させて第一撥水部を形成した。また、編物の平面視で、プリント領域(撥水剤が存在する第一撥水部の面積と、撥水剤が存在しない非撥水部の面積との合計)に対する撥水剤付与領域(第一撥水部の面積)の割合を60%とした。その他の条件、及び引き続いて行う、第一部位形成用撥水剤溶液をドット柄状に付与した面に第二部位形成用撥水剤溶液を付与する工程以降は、実施例1と同様とした。撥水処理を施した編物を適切にパネル裁断及び縫製し、上側に第一部位、下側に第二部位を備えた実施例6の衣料製品(Tシャツ)を得た。実施例6のTシャツの外観イメージは図4(a)と同様であるため、図示を省略する。
吸水処理が施された編物に第一部位形成用撥水剤溶液をドット柄状に付与する際、ロータリースクリーンプリント機のスキージ圧を調整することにより、編物の断面視において、第一部位形成用撥水剤溶液を編物表面から50%の深さまで浸透させて第一撥水部を形成した。その他の条件、及び引き続いて行う、第一部位形成用撥水剤溶液をドット柄状に付与した面に第二部位形成用撥水剤溶液を付与する工程以降は、実施例1と同様とした。撥水処理を施した編物を適切にパネル裁断及び縫製し、上側に第一部位、下側に第二部位を備えた実施例7の衣料製品(Tシャツ)を得た。実施例7のTシャツの外観イメージは図4(a)と同様であるため、図示を省略する。
吸水処理が施された編物に第一部位形成用撥水剤溶液を直径0.5mmのドット柄状に付与する際、ロータリースクリーンプリント機のスキージ圧を調整することにより、編物の断面視において、第一部位形成用撥水剤溶液を編物表面から60%の深さまで浸透させて第一撥水部を形成した。また、編物の平面視で、プリント領域(撥水剤が存在する第一撥水部の面積と、撥水剤が存在しない非撥水部の面積との合計)に対する撥水剤付与領域(第一撥水部の面積)の割合を5%とした。続いて、第一部位形成用撥水剤溶液をドット柄状に付与した面に第二部位形成用撥水剤溶液を付与する際、フラットスクリーンプリント機のスキージ圧を調整することにより、編物の断面視において、第二部位形成用撥水剤溶液を編物表面から90%の深さまで浸透させて第二撥水部を形成した。その他の条件及び第二部位の柄は、実施例1と同様とした。撥水処理を施した編物を適切にパネル裁断及び縫製し、上側に第一部位、下側に第二部位を備えた実施例8の衣料製品(Tシャツ)を得た。実施例8のTシャツの外観イメージは図4(a)と同様であるため、図示を省略する。
吸水処理が施された編物において、第二部位のみに撥水剤溶液を付与し、第一部位には撥水部を形成しないものとした。すなわち、断面視での第一部位における第一撥水部の形成領域を0%とした。第二部位に第二部位形成用撥水剤溶液を付与する際、フラットスクリーンプリント機のスキージ圧を調整することにより、編物の断面視において、第二部位形成用撥水剤溶液を編物表面から90%の深さまで浸透させて第二撥水部を形成した。その他の条件及び第二部位の柄は、実施例1と同様とした。撥水処理を施した編物を適切にパネル裁断及び縫製し、上側に第一部位、下側に第二部位を備えた実施例9の衣料製品(Tシャツ)を得た。実施例9のTシャツの外観イメージは図4(a)と同様であるため、図示を省略する。
上記実施例1〜9は、第二部位における第二撥水部の厚みが一定のものであるが、実施例10として、第二撥水部の厚みを変化させた衣料製品を作製し、同様の評価を行った。吸水処理が施された編物に第一部位形成用撥水剤溶液をドット柄状に付与する工程までは実施例1と同様とし、続いて、第一部位形成用撥水剤溶液をドット柄状に付与した面に第二部位形成用撥水剤溶液を付与する際、フラットスクリーンプリント機のスキージ圧を調整することにより、編物の断面視において、第二部位形成用撥水剤溶液を編物表面から70%の深さ及び100%の深さまで二段階で浸透させて第二撥水部を形成した。具体的には、第一部位形成用撥水剤溶液をドット柄状に付与した面に第二部位形成用撥水剤溶液を付与する際、フラットスクリーンプリント機のスキージ圧を調整することにより、編物の断面視において、第二部位形成用撥水剤溶液を編物表面から70%の深さまで浸透させて第二撥水部(一段目)を形成した。次いで、第二部位形成用撥水剤溶液を付与した部分のうち、下側半分に、編物の断面視において、さらに第二部位形成用撥水剤溶液を編物表面から100%の深さまで浸透させて第二撥水部(二段目)を形成した。第二部位形成用撥水剤溶液を70%の深さまで浸透させた一段目の第二撥水部と、100%の深さまで浸透させた二段目の第二撥水部との面積比は、1:1とした。この場合、第二撥水部は、第一部位から離間する方向に厚みが段階的に増大するように形成されたものとなる。その他の条件及び第二部位の柄は、実施例1と同様とした。撥水処理を施した編物を適切にパネル裁断及び縫製し、上側に第一部位、下側に第二部位を備えた実施例10の衣料製品(Tシャツ)を得た。実施例10のTシャツの外観イメージは図4(a)と同様であるため、図示を省略する。
吸水処理が施された編物に第一部位形成用撥水剤溶液をドット柄状に付与する工程までは実施例1と同様とし、続いて、第一部位形成用撥水剤溶液をドット柄状に付与した面に第二部位形成用撥水剤溶液を付与する際、フラットスクリーンプリント機のスキージ圧を調整することにより、編物の断面視において、第二部位形成用撥水剤溶液を編物表面から40%の深さまで浸透させて第二撥水部を形成した。その他の条件及び第二部位の柄は、実施例1と同様とした。撥水処理を施した編物を適切にパネル裁断及び縫製し、上側に第一部位、下側に第二部位を備えた比較例1の衣料製品(Tシャツ)を得た。比較例1のTシャツの外観イメージは図4(a)と同様であるため、図示を省略する。
吸水処理が施された編物に第一部位形成用撥水剤溶液を直径0.5mmのドット柄状に付与する際、ロータリースクリーンプリント機のスキージ圧を調整することにより、編物の断面視において、第一部位形成用撥水剤溶液を編物表面から60%の深さまで浸透させて第一撥水部を形成した。続いて、第一部位形成用撥水剤溶液をドット柄状に付与した面に第二部位形成用撥水剤溶液を付与する際、フラットスクリーンプリント機のスキージ圧を調整することにより、編物の断面視において、第二部位形成用撥水剤溶液を編物表面から60%の深さまで浸透させて第二撥水部を形成した。その他の条件及び第二部位の柄は、実施例1と同様とした。撥水処理を施した編物を適切にパネル裁断及び縫製し、上側に第一部位、下側に第二部位を備えた比較例2の衣料製品(Tシャツ)を得た。比較例2のTシャツの外観イメージは図4(a)と同様であるため、図示を省略する。
吸水処理が施された編物に第一部位形成用撥水剤溶液をドット柄状に付与する工程、及び引き続いて行う、第一部位形成用撥水剤溶液をドット柄状に付与した面に第二部位形成用撥水剤溶液を付与する工程を実施例1と同様の条件で実施して撥水処理を施した編物を作製した。この編物をパネル裁断及び縫製し、実施例1とは上下が逆の配置となる上側に第二部位、下側に第一部位を備えた比較例3の衣料製品(Tシャツ)を得た。比較例3のTシャツの外観イメージを図4(d)に示す。
実施例1〜10、及び比較例1〜3のTシャツについて、「吸水性」、及び「排水性」に関する評価を下記の表2にまとめた。
本発明の排水機能付き衣料製品は、「多量の発汗が起こった場合でも汗を素早く処理し、汗による編地の貼り付きやベタツキ感を抑えて快適且つ軽快な状態に保つ」という本発明の効果を奏するものであれば、上記実施形態及び実施例で説明した構成を変更したり、本発明の適用対象を変更することも可能である。そのような幾つかの変更例を別実施形態として説明する。
11 第一撥水部(撥水部)
12 非撥水部
20 第二部位
21 第二撥水部(撥水部)
100 排水機能付き衣料製品
101 排水性編物
W 汗(水分)
Claims (7)
- 身体から発生した水分を外部に放出する排水機能を備えた排水機能付き衣料製品であって、
前記身体に着用したときに上側に配置され、前記身体から発生した水分を吸収する第一部位と、
前記第一部位の下側に配置され、前記第一部位から水分を受け取って前記身体の外方へと誘導する第二部位とを備え、
生地の断面視において、前記第一部位及び前記第二部位のうち、少なくとも第二部位に撥水部が形成され、
前記身体に着用した状態において、生地の内側表面の位置を0%とし、生地の外側表面の位置を100%とした場合、前記第二部位における撥水部は生地の内側表面から70%以上の領域にまで形成され、前記第二部位における撥水部の厚みが前記第一部位における撥水部の厚みより大きくなるように構成され、
前記第一部位において、0%より大きく60%以下の領域に撥水部が形成されている排水機能付き衣料製品。 - 前記第一部位において、前記撥水部の面積が前記第一部位の総面積に対して10〜60%に設定されている請求項1に記載の排水機能付き衣料製品。
- 前記第一部位は、生地の内側表面における吸水性がJIS L1907(滴下法)による吸水時間として5秒未満に構成されている請求項1又は2に記載の排水機能付き衣料製品。
- 前記第一部位の表面積(A)と、前記第二部位の表面積(B)との比率(A:B)が、A:B=5:95〜95:5に設定されている請求項1〜3の何れか一項に記載の排水機能付き衣料製品。
- 前記第二部位における撥水部は、前記第一部位から前記第二部位への水分の移動方向に対して交差するように形成されている請求項1〜4の何れか一項に記載の排水機能付き衣料製品。
- 前記第二部位における撥水部は、生地に対して、ベタ柄、連続横縞柄、不連続横縞柄、連続斜め縞柄、及び不連続斜め縞柄からなる群から選択される少なくとも一つの柄に形成されている請求項1〜5の何れか一項に記載の排水機能付き衣料製品。
- 前記第二部位における撥水部は、前記第一部位から離間する方向に厚みが段階的又は連続的に増大するように形成されている請求項1〜6の何れか一項に記載の排水機能付き衣料製品。
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