JP5462619B2 - 織編物及びそれを用いた衣類 - Google Patents

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Description

本発明は、スポーツウエア等の衣料に使用した際、吸汗性を向上させつつ肌へのべとつきを抑え、肌面の水分を素早く外側表面に移動させ、素早く乾燥させる機能を有する着用感が快適なスポーツ用、インナー用等の衣類に好適な織編物に関する。
最近特に健康志向が高まり、ウオーキングやジョギング等の軽運動から競技スポーツまで各種運動が盛んに為されている。この際着用する衣類やインナー等が汗で濡れたまま運動を継続すると、肌にべとつき筋肉の動きを阻害すると共に、運動休止後には肌冷え感を感じ易く、着心地が悪いものとなる。そこで従来より、多層構造編地組織が提案されている。
特許文献1には、肌面層に撥水加工を施した綿/ポリエステル混紡糸等の疎水性繊維と、吸水加工を施した綿/ポリエステル混紡糸等の親水性繊維を交互に交編し、表面には吸水加工を施したポリエステル繊維を配した濡れ感の少ない多層構造編地が開示されている。しかし、特許文献1記載の多層構造編地においては、混紡糸の段階で撥水加工又は親水加工を実施する必要があり、また綿混紡糸を撥水加工しているので肌への風合いが粗硬であり、また洗濯によって撥水効果がなくなると共に綿に保水され目的の機能が発揮できなくなる傾向にある。
特許文献2には、2層構造編地であって肌面層側が特殊な2種類以上の異型断面のポリエステル繊維で構成された0.6mm以上の凹凸を形成した編地が開示されている。この特許文献2記載の編地は、単糸繊維間の表面積が多く、毛管吸水性、拡散性が高い。しかし、特殊な2種類以上の異型断面のポリエステル繊維を使用する必要があり、また肌面層と表面層共に表面吸水加工されているので、水分の積極的な移動力が比較的少ない。
特許文献3には、2重編地の表面組織層が繊維表面に微細なスリットが形成された異型断面ポリエステル原糸で構成され、裏面組織層がポリオレフィン仮撚糸で構成された丸編地が開示されている。しかし、特許文献3記載の丸編地においては、異型断面ポリエステル原糸を使用する必要がある。また、ポリエステル原糸とポリオレフィン原糸の公定水分率差に基づく相対的な親水性差による繊維内部への含水力の記載は有るが、これは表面組織層と裏面組織層との積極的な水分移動に関する異型断面ポリエステル原糸毛管能力差のみに関する記載であり、その水分の積極的な移動力は比較的少ない。
特許文献4には、ダンボールニットの3層構造編地で外層ほど公定水分率が低くなる繊維糸で構成された軽量保温衣類が開示されている。この特許文献4記載の衣類では、内層にポリプロピレン繊維が使用されている。しかし、着用時の肌触り及び発汗時の水分の移動やべとつきの改善については不充分である。
特開4−41750号公報 特開2005−29929号公報 特開2005−68602号公報 特開2009−209459号公報
本発明の目的は、特殊な断面のポリエステル繊維を使用することなく、多量に発汗しても肌面側から外表面側に積極的に水分が移動し、べとつき感や湿潤感を感じ難く、かつソフトで肌触りの着用感が快適な衣類に好適な織編物を提供することにある。
本発明は、表外面層が主として、親水性樹脂加工が施されている単糸繊度が0.4〜2.0dtexの合成繊維マルチフィラメント(A)からなり、裏外面層が主として、合成繊維マルチフィラメント(A)よりも太く親水性樹脂加工が施されていない単糸繊度が1.1〜3.7dtexのポリオレフィンマルチフィラメント(B)からなり、
合成繊維マルチフィラメント(A)が、ポリエステル及びポリアミドからなる群より選ばれる1種以上の疎水性繊維であり、ポリオレフィンマルチフィラメント(B)のヤング率が3,000〜5,500N/mm 2 である多層構造織編物である。
さらに本発明は、上記織編物の裏外層を肌側に用いた衣類であって、インナーウェア、スポーツ用シャツ、ショーツ、ガードル、スポーツ用タイツ、靴下、ボディスーツ、レオタード、ブラジャー、スパッツ及び水着からなる群より選ばれる衣類である。
本発明によれば、特殊な断面のポリエステル繊維を使用することなく、多量に発汗しても肌面側から外表面側に積極的に水分が移動し、べとつき感や湿潤感を感じ難く、かつソフトで肌触りの着用感が快適な衣類に好適な織編物を提供できる。
実施例における摩擦係数と摩擦変動係数の測定法を説明する為の模式図である。 実施例における濡れ広がり性の測定法を説明する為の模式図である。
本発明において、織編物の表外面層は、主として、合成繊維マルチフィラメント(A)からなる。この合成繊維マルチフィラメント(A)は、親水性樹脂加工が施されており、その単糸繊度は0.4〜2.0dtexである。
一般に、合成繊維マルチフィラメントは疎水性繊維である。疎水性繊維とは公定水分率が4.5%以下の繊維であり、内部に水分を含有し難い特徴を有する。一方、親水性繊維は、例えば、吸水性の高い綿やレーヨン、キュプラ等の再生繊維である。本発明では疎水性繊維である合成繊維マルチフィラメント、ポリオレフィンマルチフィラメントを使用するので、親水性繊維と比較して乾燥し易いという利点が有る。
合成繊維マルチフィラメント(A)としては、特に、ポリエステルフィラメント(公定水分率0.4%)、ポリアミドフィラメント(公定水分率4.5%)を用いる
合成繊維マルチフィラメント(A)の単糸繊度は0.4〜2.0dtex、好ましくは0.4〜1.8dtex、より好ましくは0.5〜1.5dtex、特に好ましくは0.5〜1.2dtexである。これら範囲の各下限値は、着用時のピリング発生防止の点で意義が有る。また各上限値より低い値であることは、裏外面層に用いる繊維との太さの差が大きくなり毛管吸水効果が向上し、裏外面層から表外面層への水分の移動と表外面層での拡散性を向上する点で意義が有る。
本発明において、織編物の裏外面層は、主として、ポリオレフィンマルチフィラメント(B)からなる。このポリオレフィンマルチフィラメント(B)は、合成繊維マルチフィラメント(A)よりも太く、親水性樹脂加工が施されておらず、その単糸繊度は1.1〜3.7dtexである。
一般に、ポリオレフィンマルチフィラメントの公定水分率がほぼ0%である。ポリオレフィンマルチフィラメントの比重は、他の合成繊維より低い。例えば、ポリプロピレンマルチフィラメントの比重は0.91、各種ポリエチレンマルチフィラメントの比重は0.9〜1.0である。一般に、ポリオレフィンマルチフィラメントは、他の合成繊維の表示繊度よりも見かけの繊維径が太い。本発明においては、裏外面層を構成するポリオレフィンマルチフィラメント(B)が表外面層を構成する合成繊維マルチフィラメント(A)よりも太い、すなわち実質の見かけ繊維径が太いので、裏外面層の毛管吸水効果が表外面層よりも低くなる。
ポリオレフィンマルチフィラメント(B)の単糸繊度は、1.1〜3.7dtex、好ましくは1.8〜2.8dtexである。これら範囲の各下限値は、繊度差による毛管吸水効果の点で意義が有る。また各上限値は、肌への風合いの点で意義が有る。
表外面層及び裏外面層等を構成する各マルチフィラメント(A)及び(B)等に関し、「主として」とは、各層を各々構成する各繊維の総重量を100質量%とした場合、凡そ50重量%以上を意味し、好ましくは70重量%以上である。
裏外面層が主としてポリオレフィンマルチフィラメント(B)からなり、かつ一部に合成繊維マルチフィラメント(A)を存在させた場合、これが裏面層から表面層への導入口となるので、水分を素早く裏面から表面に移動する事ができる。一方、裏外面層が主として合成繊維マルチフィラメントから構成される場合は、湿潤時には裏面側に水分がしばらく残るので、冷たさを感じ易くなってしまう。また、裏外面層の100重量%がポリオレフィンマルチフィラメントからなる場合は、織編物へ水を滴下した程度では水滴状にはじかれて織編物へ保水されにくいが、インナーやスポーツシャツの様に着用した状態では、裏外層面に存在する汗の水分を着圧によって表外面層へ積極的に移動させることができる。
ポリオレフィンマルチフィラメント(B)のヤング率は、肌への風合いの点から、3,000〜5,500N/mm2 とする。この範囲の下限値は、織編物のループ形態の安定性の点で意義が有る。また上限値は、インナー等の肌に触れる衣料用途に好適な柔い風合いとする点で意義が有る。低ヤング率のポリオレフィンマルチフィラメント(B)の製造方法としては、例えば、MFR値30〜50ポリマーに所定顔料を添加し、紡糸ノズル直下のゴデットロールからの延伸倍率を2〜3倍までの低倍率延伸として紡糸する方法がある。
ポリオレフィンマルチフィラメント(B)は、汗等に含まれる皮脂への親和性が高いので、長時間の連続着用時においては付着した皮脂汚れに対して雑菌が繁殖し易く、臭い易い点が指摘される事が有る。そこで、織編物に対して仕上げ加工で抗菌剤処理を実施しても良い。ただし、仕上げ加工で抗菌剤処理した場合は、洗濯耐久性が劣る傾向にあり、その耐久性を向上させる為にバインダー樹脂比率を増加させた場合は風合いが更に硬化することがある。したがって、ポリオレフインマルチフィラメント(B)としては、銀化合物等の抗菌剤が練りこまれた抗菌糸タイプを用いることがより好ましい。
特に肌への風合いの点から、ポリオレフィンマルチフィラメント(B)として仮撚り加工糸を用いることが好ましい、仮撚加工を用いると各単繊維間の空隙が大きくなり、多量に発汗した状態でも水分が裏外層面に残らず、空間層を設けた形で濡れ感を更に感じにくい構造となる。また織編物の嵩高感、軽量感が増すので、秋冬向きの暖か素材として好適である。
本発明の織編物は、基本的には、表外面層及び裏外面層の2層構造織編地で充分効果を発揮できる。ただし、表外面層と裏外面層の間に中間層を設けても良い。例えば、ストレッチ性を付与の点から、主として、22〜84dtexのポリウレタン弾性糸がベア又は合成繊維マルチフィラメントとの複合糸として配されている中間層を設けることが好ましい。これらは製織製編時には2〜3倍ドラフトされた形で供給される。22detx以上のポリウレタン弾性糸を使用することは、ストレッチ性付与や取り扱い性の点で意義が有る。また84dtex以下のポリウレタン弾性糸を使用することは、強過ぎないストレッチ性を付与することや製織製編時及び染色仕上げ加工時のトラブル防止の点で意義が有る。合成繊維マルチフィラメントとの複合糸としては、流体加工で交絡させたいわゆるFTY加工糸や、カバーリング加工糸、合撚糸等を使用できる。特にコストの点から、FTY加工糸が好ましい。
織編物の組織については、裏外面層の表面を凹凸構造に形成し、肌との接触面を少なくすることが好ましい。また、凸部に配される組織にポリオレフィンマルチフィラメント(B)を主として存在させる事が更に好ましい。
肌との接触点が少なくなることで摩擦係数が少なくなり、またポリオレフィンの低熱伝導率特性により冷たく感じにくい効果が得られる。編み組織としては、例えばメッシュ組織、針抜き組織、鹿の子組織、タック組織が好ましい。織物としては、片面メッシュ等の2重織物が好ましい。また中間層にポリウレタン弾性糸を配した場合、織編物の組織間隔が密になり、裏面層の立体構造をより際立たせる事が可能となり更に好適である。他方の表外面層の組織には限定は無いが、水分の拡散性の点からフラット構造とすることで乾燥が速く、より好ましものとなる。
本発明の織編物において、主に合成繊維マルチフィラメント(A)に親水性樹脂加工がなされている事が重要である。親水性樹脂加工の為の吸水仕上げ剤としては、裏外面層のポリオレフィンマルチフィラメントに効果が少なく、表外面層のポリエステルフィラメント及びポリアミドフィラメント用の耐久性吸水仕上げ剤を選定すると良い。例えば、ポリエステルフィラメントとの組み合わせの場合、親水性のポリエステルレジンを主鎖構造に配したエチレングリコールやポリプロピレングリコールの親水基を有するタイプが好ましい。また、ポリアミドフィラメントとの組み合わせの場合、ポリアミド系レジンを主鎖構造に配したタイプが好ましい。吸水性シリコーンポリマー系や親水性ウレタン系を主鎖としたタイプは、ポリオレフィンマルチフィラメントにも親水効果が付与され易いので好ましくない。
親水性樹脂加工の方法としては、例えば、浴中付与後遠心脱水や、デイップニップによるパディング等で所定量付与し、乾燥後、テンターでキュアリングを行う方法がある。さらに、キュアリング後、液流染色機にて40〜60℃程度で湯洗を行うことで裏面のポリオレフィンマルチフィラメントに上付きしている親水性樹脂を積極的に脱離させ、表外面層に偏在付与させることが更に好ましい。また、この湯洗工程はシャツ等の製品化後に製品状態で実施しても良い。
本発明の織編物は、湿潤時及び乾燥時の動摩擦係数が以下の関係(1)及び(2)を満たすことが好ましい。
(1)裏外面層の動摩擦係数(湿潤時)≦ 裏外面層の動摩擦係数(乾燥時)
(2)裏外面層の動摩擦係数(湿潤時)≦ 表外面層の動摩擦係数(湿潤時)
以上のように裏外面層の湿潤時の動摩擦係数が乾燥時の動摩擦係数よりも低く、かつ湿潤状態において、裏外面層の動摩擦係数が表外面層の動摩擦係数よりも低ければ、インナー等として着用の際多量に発汗した場合、インナーが肌にべとつき運動を阻害すると共に不快な状態となるという問題を解消できる。織編物の湿潤状態とは、織編物の目付け、布厚によっても異なるものであるが、本発明において充分含水させた後握っても滴らない程度の水分量を目安とし、インナーやウオームアップシャツに用いられるジャージ等目付け120〜250g/m2程度の織編物では、目付けの1.5倍±20%の範囲の水分量を付与する状態である。
本発明の織編物は、その裏外層を肌側に用いた衣類であって、インナーウェア、スポーツ用シャツ、ショーツ、ガードル、スポーツ用タイツ、靴下、ボディスーツ、レオタード、ブラジャー、スパッツ及び水着からなる群より選ばれる衣類に使用することが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を説明する。評価は以下の方法に従った。
(摩擦係数と摩擦変動係数の測定)
図1に示す構成の装置を使用し、摩擦係数と摩擦変動係数を次のようにして測定した。温度20±1℃、湿度65%RHに設定した恒温室内にて、KES−SE摩擦試験機を用い、移動台1に肌を想定したPET樹脂板3を固定し、KES−SE摩擦試験機の接触子部分に試料布4(織編物)を取付け、摩擦係数と摩擦変動の測定を行った。この試料布4は2.5×2.5cm=6.25cm2で調整し、PET樹脂板3との接触面で有る接触子部分の接触面積は1.5×1.5cm=2.25cm2とした。また、凡そ指先で織編物をなでる荷重に相当するよう接触子全体の重量が約50gとなる状態に調整する為、接触子部分には25gの重り5を装着した。
乾燥時のサンプルは、温度20±1℃、湿度65%RHに設定した恒温室内にて24時間調整し測定子2により各係数を測定した。湿潤時のサンプルは、汗腺孔から裏外面層(肌側)への汗の移動を想定して、マイクロシリンジにより点状の湿潤状態を形成させた。KES−SE摩擦試験機の接触子部分に織編物の裏外面層を外側に向け取付け、マイクロシリンジで裏外面層(肌側)に各水分量を滴下し、水がしみ込んだら直ちに測定を開始した。試料布4に含ませる水分は0、150から50刻みで400g/m2まで変化させ実験を行い、凡そ織編物目付けの1.5倍の水分量から見積もった。各水分条件で裏外面層(肌側)の測定が終わったら直ちに織編物を裏返し、表外面層(外側)の測定を実施した。
摩擦係数が低いほどすべり易く、また摩擦変動係数が低いほど摩擦力の変動が少ない為引っかかりを感じにくいことを示し、肌へのまとわり付きやべとつき感を示す目安となる。
(湿潤時のQmax測定)
温度22±1℃、湿度65%RHに設定した恒温室内にて、カトーテック社製のサーモラボIIを用い、ヒータ温ΔT10℃の条件で裏外面層(肌側)と表外面層(外側)の各面のQmax(冷温感性)を測定した。乾燥時のサンプルは、温度22±1℃、湿度65%RHに設定した恒温室内にて24時間調整した。湿潤した織編物は5分間イオン交換水に手で揉みながら浸漬させた後、試料布に含まれている余分な水分をタオルで拭き取り調整した。この状態は凡そ織編物目付けの1.5倍±20%の範囲の水分量の状態である。
(濡れ広がり性測定)
図2に示す構成の装置を使用し、濡れ広がり性を次のようにして測定した。試料布4(織編物)を10×10cm=100cm2に裁断し評価に用いた。試料布4を口径5cm広口ビンに裏外面層(肌側)を上にして輪ゴムで固定し、レマゾール染料(反応染料)で染色したイオン交換水をマイクロシリンジで滴下した。水がしみ込んだら一定時間放置した。放置時間は0分、5分、10分、20分とし、拡散−乾燥挙動を観察した。各放置時間の試料布をろ紙と厚み1mmのPET樹脂板7で上下から挟み、6kgの重りで30秒間加重をかけた。表外層面及び裏外層面側のろ紙6に残った水分拡散面積をプラニメーターで計測し、放置時間0分後の水分拡散面積(mm2)及び面積比(表外層面/裏外層面)での濡れ広がり性を測定した。滴下した水分量は0.01mlとした。
(官能試験:湿潤感及び温冷感評価)
汗ばむ環境を想定した30℃、50%RHに設定した恒温室内において、官能試験を行った。試料織編物と対比で有る類似のPET100%織編物の標準布との一対比較法にて被験者10名で官能試験を実施した。試料織編物の大きさは20×20cm=400cm2、湿潤状態の条件とし、被験者の手のひらを試料布の上に軽く置き、指先を手前に引き、表外層面と裏外層面についてそれぞれ湿潤感と温冷感を測定した。湿潤感は標準布と比較して、非常に乾いている(◎◎)、乾いている(◎)、少し乾いている(○)、同じ(×)、少し湿っている(××)の5段階とし、温冷感は標準布と比較して、非常に暖かい(◎◎)、暖かい(◎)、少し暖かい(○)、同じ(×)、少し冷たい(××)の5段階とした。
<実施例1>
表外面層にフルダル84dtex48ポリエステルフィラメント(三菱レイヨン社製、単糸繊度1.75dpf)の2ヒーター仮撚糸、裏外面層にセミダル84dtex30ポリプロピレンフィラメント抗菌タイプ(MRCパイレン社製、単糸繊度2.8dpf、ヤング率4800N/mm2)が配されるよう28G30インチの丸編機にてミニハニカム鹿の子組織のダブルリバーシブル編地を得た。
その後、精錬、染色工程を経た後、仕上げ加工で親水性のポリエステルレジンを主鎖構造に配したエチレングリコール、アルキレンオキサイド等の親水基を有するタイプの仕上げ剤の2重量%溶液をパッド後、乾燥し、180℃30秒のキュアリングを行った。この後、液流染色機にて精練剤と共に60℃程度で湯洗工程をいれ、積極的に裏外面層から脱着せしめ表外面層に偏在付与させた。その後最終仕上げにて目付け185g/m2のミニハニカム鹿の子組織のダブルリバーシブル編地を得た。評価結果を表1に示す。
本実施例の織編物は、湿潤状態で肌に接する裏外面層の摩擦係数が低下し、また摩擦変動係数も一定であることから、濡れた状態でもべとつきが感じ難いものであった。また湿潤状態の官能評価からも、裏外面層には優位に乾いた感覚及び少し暖かい感覚が得られるものである。これは湿潤時においても明らかに裏外層面側のQmaxが低く、濡れた状態の肌から熱を奪われにくい状態を示すものである。実際の発汗状態に対して、裏外層面側から素早く水分を吸収しかつ積極的に表外層面へ拡散させ、また圧力をかけても肌側に相当する裏外層面側へは殆ど移行しないことによるものと考えられる。
以上のように本発明の織編物の裏外層を肌側に用いた衣類とした場合、スポーツ等は発汗による濡れに伴うべとつき感や冷え感を感じにくく、柔らかな風合いで肌触りの良い、また濡れても乾燥しやすいインナーウェア、スポーツ用シャツ等に好適な衣類に用いる事ができる。
<実施例2>
裏外面層にセミダル84dtex30ポリプロピレンフィラメント抗菌タイプ(MRCパイレン社製、単糸繊度2.8dpf、ヤング率4800N/mm2)の2ヒーター仮撚糸を使用したこと以外は、実施例1と同様に本発明の織編物を得た。この織編物の目付けは190g/m2であった。
本実施例の織編物は、裏外面層に微細な空隙を有する仮撚糸を用いたことで、更にソフトで肌触りがよくまた、濡れた状態でも冷え感を感じにくいものであった。
<比較例1>
染色工程の親水樹脂仕上げ加工で180℃30秒のキュアリングを行った後、60℃程度の湯洗工程をいれずに、そのまま仕上げたこと以外は、実施例1と同様にして比織編物を得た。
本比較例の織編物は、裏面にも親水効果が残っている為、湿潤時には吸水効果が有るものの裏外層面に水分が若干保持されており、少し冷たく濡れ感を感じ、好ましくないものであった。
<比較例2>
表外面層にブライト84dtex48ポリエステルフィラメント(三菱レイヨン社製、単糸繊度1.75dpf)、裏外面層にフルダル110dtex48ポリエステルフィラメント(三菱レイヨン社製、単糸繊度2.29dpf)の2ヒーター仮撚糸が配されるよう使用したこと以外は、実施例1と同様にして織編物を得た。この織編物の目付けは205g/m2であった。
本比較例の織編物は、湿潤時には裏面もひんやりと冷たく濡れ感を感じ、またべとつき感も有る為、好ましくないものであった。
<実施例3>
表外面層にブライト84dtex72ポリエステルフィラメント(三菱レイヨン社製、単糸繊度1.17dpf)2ヒーター仮撚糸、裏外面層にセミダル56dtex30ポリプロピレンフィラメント抗菌タイプ(MRCパイレン社製、単糸繊度1.87dpf、ヤング率3800N/mm2)の2ヒーター仮撚糸とポリウレタン弾性糸33dtex(日清紡社製)が配されるよう28G34インチの丸編機にて裏面3:1のインレイ組織のダブルリバーシブルベアインレイ編地を得た。
すなわちポリウレタン弾性糸によって、編組織がコンパクトになり、表外層面はフラットであり、かつ裏外層面にはポリプロピレンフィラメント仮撚糸の大きなループが緻密に形成させた織編物としたこと以外は、実施例1と同様に本発明の織編み物を得た。この織編物の目付けは240g/m2であった。
本実施例の織編物は、裏外面層に非常に柔らかなタッチのポリプロピレンフィラメント仮撚糸が緻密でかつ微細な空隙を有しており、更にソフトで肌触りがよく、軽量感有る暖かな風合いで秋冬物に最適な織編み物であった。この織編み物が濡れた状態でも冷え感を殆ど感じにくいものであった。
<比較例3>
表外面層及び裏外面層にブライト84dtex72ポリエステルフィラメント(三菱レイヨン社製、単糸繊度1.17dpf、)2ヒーター仮撚糸を用いたこと以外は、実施例3と同様に比較例の織編物を得た。この織編物の目付けは230g/m2であった。
本比較例の織編物は、乾燥時にはソフトで好ましい風合いで有るが、湿潤時にはひんやりと冷たく濡れ感を感じ、またべとつき感も有る為、好ましくないものであった。
Figure 0005462619
1 稼動台
2 測定子
3 PET樹脂板
4 試料布
5 重り
6 ろ紙
7 PET樹脂板

Claims (5)

  1. 表外面層が主として、親水性樹脂加工が施されている単糸繊度が0.4〜2.0dtexの合成繊維マルチフィラメント(A)からなり、裏外面層が主として、合成繊維マルチフィラメント(A)よりも太く親水性樹脂加工が施されていない単糸繊度が1.1〜3.7dtexのポリオレフィンマルチフィラメント(B)からなり、
    合成繊維マルチフィラメント(A)が、ポリエステル及びポリアミドからなる群より選ばれる1種以上の疎水性繊維であり、ポリオレフィンマルチフィラメント(B)のヤング率が3,000〜5,500N/mm 2 である多層構造織編物。
  2. ポリオレフィンマルチフィラメント(B)が、仮撚り加工糸である請求項1記載の織編物。
  3. 中間層に主として、22〜84dtexのポリウレタン弾性糸がベア又は合成繊維マルチフィラメントとの複合糸として配されている請求項1又は2記載の織編物。
  4. 裏外面層の表面を凸凹構造に形成した、湿潤時及び乾燥時の動摩擦係数が以下の関係(1)及び(2)を満たす請求項1〜の何れか一項記載の織編物。
    (1)裏外面層の動摩擦係数(湿潤時)≦ 裏外面層の動摩擦係数(乾燥時)
    (2)裏外面層の動摩擦係数(湿潤時)≦ 表外面層の動摩擦係数(湿潤時)
  5. 請求項1〜の何れか一項記載の織編物の裏外層を肌側に用いた衣類であって、インナーウェア、スポーツ用シャツ、ショーツ、ガードル、スポーツ用タイツ、靴下、ボディスーツ、レオタード、ブラジャー、スパッツ及び水着からなる群より選ばれる衣類。
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