超微粒子硫酸バリウム、水性塗料組成物及び水性インキ組成物 技術分野
[0001] 本発明は、超微粒子硫酸バリウム、水性塗料組成物及び水性インキ組成物に関する 背景技術
[0002] 近年、塗料、インキの分野においては無公害対策の一つとして、有機溶剤を極めて 少量しか含まない水性塗料 ·水性インキが多く使用されている。欧州では早くから VO cの排出規制が施行されており、溶剤系塗料'溶剤系インキ組成物カゝら水性塗料 '水 性インキ組成物への移行は今後加速するものと思われる。このような水性ィ匕に対応 するため、これまで溶剤系塗料 ·溶剤系インキ組成物にお ヽて使用されてきた各種 成分を物性の低下なしに水性塗料 ·水性インキ組成物に配合することが望まれてい る。
[0003] このような水性塗料 ·水性インキ組成物への適用が求められている化合物の一つとし て、超微粒子硫酸バリウムを挙げることができる。超微粒子硫酸バリウムは溶剤系塗 料 ·溶剤系インキ組成物に配合した場合、カーボンブラックなどの有色顔料の発色性 •表面光沢改善やメタリック塗料で使用されるアルミフレークやパール顔料の配向性 改善の効果を発揮する (特許文献 1〜3参照)。
[0004] しかし、硫酸バリウムは元々榭脂との親和性には優れておらず、特許文献 4に示され るようにその表面をアルカリ処理し、顔料 pHを 9以上にすることで溶剤系塗料'インキ 組成物に対して改善してきた。また、水性塗料 '水性インキに適用すると十分な分散 性と水性塗料 ·水性インキ用榭脂に対する親和性を得ることができない。そのため超 微粒子硫酸バリウムのみを榭脂に対して配合した場合、透明性や表面光沢に優れた 塗膜を得ることはできず、水性塗料組成物又は水性インキ組成物において、カーボ ンブラックなどの有色顔料の発色性、表面光沢改善やメタリック塗料で使用されるァ ルミフレークやパール顔料の配向性改善の効果を発現することはできな力つた。
[0005] 平均一次粒子径 0. 10 m以下の超微粒子硫酸バリウムに対する表面処理としては
、有機リンィ匕合物による処理が特許文献 5に記載されているが、これは溶剤系組成物 に対する適性を改善するための表面処理であり、水性塗料 ·水性インキ組成物等の 水性組成物へ適合させるための表面処理ではな力つた。
[0006] 特許文献 1 :特開昭 60— 79074号公報
特許文献 2:特開昭 59 - 90671号公報
特許文献 3 :特開平 5— 163447号公報
特許文献 4:特開昭 58 - 120520号公報
特許文献 5:特開平 9 - 156924号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0007] 本発明は上記に鑑み、水性塗料 ·水性インキ組成物等の水性組成物に配合したとき であってもカーボンブラックなどの有色顔料の発色性、表面光沢改善やメタリック塗 料で使用されるアルミフレークやパール顔料の配向性改善の効果を発揮する超微粒 子硫酸バリウム及びこれを含有する水性塗料 '水性インキ組成物を提供することを目 的とするものである。
課題を解決するための手段
[0008] 本発明は、 Al、 Si及び Zrから選択される 1以上の金属元素の水酸化物及び Z又は 酸化物(1)、及び Z又は、 Mg、 Ca、 Sr及び Baから選択される 1以上の金属元素のリ ン酸塩 (2)によって被着されて!ヽることを特徴とする超微粒子硫酸バリウムである。 上述の超微粒子硫酸バリウムは、水性塗料用又は水性インキ用であることが好ま ヽ 上記(1)及び Z又は(2)は、基材となる超微粒子硫酸バリウムと上記(1)及び Z又は (2)の合計質量に対して 0. 5〜20質量%の被着量であることが好ましい。
本発明は、上記超微粒子硫酸バリウムを含有することを特徴とする水性塗料組成物 でもある。
本発明は、上記超微粒子硫酸バリウムを含有することを特徴とする水性インキ組成物 でもある。
以下に、本発明を詳細に説明する。
[0009] 本発明の超微粒子硫酸バリウムは、上述したような特定の化合物によって被着された 表面を持つものであり、これにより粒子表面において、水に対する十分な分散性と水 性塗料 ·水性インキ等の水性組成物に含まれる水性榭脂に対する親和性が改善され ている。水に対する十分な分散性は、試料を水に超音波分散したものを沈降性比較 すること〖こよって評価することができる。本発明の超微粒子硫酸バリウムは Siの水酸 化物及び Z又は酸化物による被着した場合、表面処理して!ヽな ヽ超微粒子硫酸バリ ゥムに比べ、沈降しにくぐ水に対する分散性が改善されたことを示唆している。
[0010] また、水性榭脂に対する親和性は、榭脂吸着量という尺度で評価することができる。
試料を所望の水性樹脂に分散し、遠心沈降、上澄み除去、希釈の繰り返しで得られ た沈降物をろ過、乾燥したものの強熱減量より算出することができる。本発明の超微 粒子硫酸バリウムについては Zr、 A1の水酸化物及び Z又は酸化物、 Mg、 Ca、 Sr及 び Baから選択される 1以上の金属元素のリン酸塩で被着した場合、榭脂吸着量をよ り高め、水性榭脂に対する親和性が改善されたことを示唆している。
[0011] したがって、 Al、 Si及び Zrから選択される 1以上の金属元素の水酸化物及び Z又は 酸化物、 Mg、 Ca、 Sr及び Baから選択される 1以上の金属元素のリン酸塩を被着す ることにより各種水性組成物用超微粒子硫酸バリウムとして必要な特性を付与するこ とができる。これらを被着することによって各種水性榭脂 (ァ-オン性、カチオン性な ど)に適した超微粒子硫酸バリウムを調製することができる。このため、本発明の超微 粒子硫酸バリウムは各種水性組成物中に分散させた場合、分散性の改善による効 果が期待される。特に分散性の向上によって透明性 ·表面光沢が改善される。この効 果は、超微粒子硫酸バリウムを Al、 Si及び Zrカゝら選択される 1以上の金属元素の水 酸化物及び Z又は酸化物、及び Z又は、 Mg、 Ca、 Sr及び Baから選択される 1以上 の金属元素のリン酸塩で被着することによって発揮される。
[0012] 本発明の超微粒子硫酸バリウムは、 Al、 Si及び Zrカゝら選択される 1以上の金属元素 の水酸化物及び Z又は酸化物(1)、及び Z又は、 Mg、 Ca、 Sr及び Baから選択され る 1以上の金属元素のリン酸塩(2)によって被着されている超微粒子硫酸バリウムで ある。
[0013] 上記 Al、 Si及び Zr力 選択される 1以上の金属元素の水酸ィ匕物及び Z又は酸ィ匕物
(1)で用いられる「及び Z又は」は、水酸化物と酸化物の中間的状態にあるものであ つてもよいことを意味する。すなわち、多くの場合、 Al、 Si、 Zrの水酸化物及び/又 は酸ィ匕物による被着は、 Al、 Si及び Zr力も選択される 1以上の金属元素の化合物を 粒子表面に沈着させ、必要に応じて焼成することによって行われるものである。このよ うな方法による被着は、処理温度によっては水酸化物、酸化物の両方の構造を有す る中間的な化学状態の被着物を形成する場合も多 ヽ。本発明の超微粒子硫酸バリ ゥムは、このような中間的な化学状態の被着物を有する超微粒子硫酸バリウムをも包 含する。
[0014] 上記 Mg、 Ca、 Sr及び Baから選択される 1以上の金属元素のリン酸塩(2)としては特 に限定されず、例えば、一般式 MHPO、 M (PO ) 、 M (PO ) OH (式中、 Mは
4 3 4 2 5 4 3
Mg、 Ca、 Sr又は Baを表す。)等で表される難水溶性リン酸塩を挙げることができる。 Mg、 Ca、 Sr及び Baから選択される 1以上の金属元素のリン酸塩は、顔料の表面処 理に一般的に使用される化合物ではないが、上記超微粒子硫酸バリウムにおいては 、良好に被着することによって上述したような効果を得ることができる。上記金属元素 のリン酸塩(2)のなかでも、(1)の被着と同様の効果を良好に得ることができる点から 、一般式 MHPOで表されるリン酸塩によって被着されたものであることが好ましい。
4
また、 Baのリン酸塩の場合、 pHが高い条件で被着物を生成させると、 Ba (PO ) O
5 4 3
Hなどのようなリン酸塩が生成されることもある力 上記超微粒子硫酸バリウムにこの 化合物を良好に被着させた場合にも上述したような効果を得ることができる。
[0015] 本発明の超微粒子硫酸バリウムは、上記(1)又は(2)のいずれかの一種以上の化合 物のみにより被着されるものであってもよぐ上記(1)及び(2)により被着されるもので あってもよい。
[0016] ここで、二種以上の成分による被着は、二種以上の化合物が混合した状態の被着物 によるものであっても、異なる種類の被着物が順次被着された構造の被着であっても よい。
[0017] 上記(1)及び Z又は(2)は、基材となる超微粒子硫酸バリウムと上記(1)及び Z又は
(2)の合計質量に対して 0. 5〜20質量%の被着量であることが好ましぐ 1〜18質 量%の被着量であることがより好ましぐ 1〜15質量%の被着量であることが更により
好ましい。上記被着量が 0. 5質量%未満であると、被着による分散性、榭脂親和性 の改善効果がほとんど見られない場合がある。また、上記被着量が 20質量%を超え ると超微粒子硫酸バリウムの凝集が顕著となり、力えって分散性が悪ィ匕し、カーボン ブラックなどの有色顔料の発色性 ·表面光沢改善やメタリック塗料で使用されるアルミ フレークやパール顔料の配向性改善の効果を発揮できない場合がある。
[0018] 上記被着量は、上記 Al、 Si及び Zrカゝら選択される 1以上の金属元素の水酸ィ匕物及 び Z又は酸化物(1)については、被着されている A1成分、 Si成分及び Zr成分を酸 化物換算して算出した質量 (すなわち、被着の一部又は全部が酸ィ匕物でない場合で も、これらのすべてを酸ィ匕物として換算して算出した値)である。
[0019] また、 Mg、 Ca、 Sr及び Baから選択される 1以上の金属元素のリン酸塩(2)について は、被着されている P成分の量を一般式 MHPOで表されるリン酸塩に換算して算出
4
した質量 (すなわち、被着されているリン酸塩が一部又は全部が一般式 MHPOで
4 表されるリン酸塩でない場合でも、これらのすべてを一般式 MHPOで表されるリン
4
酸塩として換算して算出した値)である。
[0020] Mg、 Ca、 Sr、 Baが 2種以上被着されている場合は、被着処理した超微粒子硫酸バ リウムを蛍光 X線分析にて分析した金属成分の分析値を Mg、 Ca、 Srの順にリン酸塩 (MgHPO、 CaHPO、 SrHPO )として P成分の量に見合うまで順次算出し、その
4 4 4
結果、 P成分に余剰がある場合は Baのリン酸塩 (BaHPO )として算出する。
4
更に、上記被着物が(1)及び(2)からなる場合は、上記被着量はそれぞれの成分に ついて上記算出方法により算出した質量の合計値である。
[0021] なお、基材となる超微粒子硫酸バリウムと上記被着物の合計質量に対する上記被着 量は、蛍光 X線分析法や化学的分析法等の公知の分析方法によって被着物中に含 まれる A1成分、 Si成分、 Zr成分及び P成分の量を求めることにより算出することがで きる。例えば、蛍光 X線分析法により本発明の超微粒子硫酸バリウムに被着した A1成 分、 Si成分、 Zr成分の量を測定することができる。また、上記被着物を炭酸ナトリウム でアルカリ溶融し、 P成分を水溶液として分離した後モリブデン青法により P成分の量 を測定することができる。なお、上記 A1成分、 Si成分、 Zr成分及び P成分の測定方法 はこれらに限定されるものではない。
[0022] 本発明の超微粒子硫酸バリウムは、電顕写真による定方向径の数平均一次粒子径 が 0. 1 μ m以下であることが好ましぐ 0. 06 μ m以下が特に好ましい。電顕写真によ る定方向径の数平均一次粒子径が 0. 1 mを超えると、その粒子径により可視光領 域の波長を持つ光を散乱しやすくなり、透明性が損なわれる問題が生じ、カーボンブ ラックなどの有色顔料の発色性 ·表面光沢改善やメタリック塗料で使用されるアルミフ レークやパール顔料の配向性改善の効果を阻害するおそれがある。上記電顕写真 による定方向径の数平均一次粒子径は、無作為に選んだ 300個の粒子について倍 率 100000倍の透過型電子顕微鏡写真にて定方向の一次粒子径を測定し、平均値 を算出することによって求めたものである。
[0023] 本発明の超微粒子硫酸バリウムは、製造方法を特に限定されるものではないが、例 えば、公知の方法によって基材となる超微粒子硫酸バリウムを製造し、製造された基 材となる超微粒子硫酸バリウムを処理することによって上記 Al、 Si及び Zrから選択さ れる 1以上の金属元素の水酸化物及び Z又は酸化物(1)、及び Z又は、 Mg、 Ca、 Sr及び Baから選択される 1以上の金属元素のリン酸塩(2)により被着させて、得るこ とがでさる。
[0024] 基材となる超微粒子硫酸バリウムの製造方法は特に限定されず、公知の方法によつ て製造することができる。公知の種々の方法としては、例えば、硫酸ナトリウム水溶液 と硫化バリウム水溶液とを反応させる段階で、硫酸ナトリウム水溶液中に特定のメタリ ン酸塩を共存させると共に、硫化バリウムに対する硫酸ナトリウムのモル比をィ匕学量 論的に過剰量存在させて反応させる方法 (特開昭 47— 31898号公報)、硫化バリゥ ム水溶液と硫酸水溶液とを硫化バリウム濃度が常に過剰となるように、連続的にボン プ等の反応槽に導き、撹拌下で反応を行う方法 (特開昭 57— 51119号公報、特開 昭 57— 145031号公報)、硫化バリウム水溶液と硫酸水溶液とを硫酸に対して硫ィ匕 ノリウムを過剰に存在させると共に、水溶性ケィ酸アル力リを存在させる方法 (特開昭 58— 120520号公報)、硫酸水溶液と特定のバリウム塩水溶液とを正確な化学量論 比で別々にかつ同時に噴霧装置に供給して反応させ、生成した沈殿物を含む媒質 をあらかじめ濃縮した後に噴霧乾燥する方法 (特開平 2— 83211号公報)等を挙げる ことができる。
[0025] 上記基材となる超微粒子硫酸バリウムとしては、市販のものを使用することもできる。 市販の超微粒子硫酸バリウムとしては例えば、 BARIFINE BF—1、 BARIFINE BF— 10、 BARIFINE BF— 20 (商品名、堺ィ匕学工業社製)等を挙げることができ る。
[0026] 次いで、上記基材となる超微粒子硫酸バリウムに対して上記(1)及び Z又は(2)によ り被着する。これにより目的とする本発明の超微粒子硫酸バリウムを得ることができる
[0027] 上記 Al、 Si及び Zr力 選択される 1以上の金属元素の水酸ィ匕物及び Z又は酸ィ匕物
(1)による被着方法としては、種々の公知の方法を採用することができ、例えば、硫 酸バリウムの水スラリーに、水溶性金属化合物の水溶液をカ卩え、上記金属化合物の 種類に応じてアルカリ又は酸で中和して、硫酸バリウムの表面に上記金属の含水酸 化物を沈着させる方法 (特開昭 59— 122553号公報、特開昭 59— 122554号公報 )、上記方法によって沈着された含水酸化物を更に焼成する方法等を採用することが できる。
[0028] 上記水溶性金属化合物は、 Al、 Si及び Zrから選択される 1以上の金属元素の水溶 性ィ匕合物であり、 pHを変化させることによって、水酸化物及び Z又は酸化物を形成 するものであれば特に限定されないが、 A1源としては、塩ィ匕アルミニウム、硝酸アルミ ユウム、硫酸アルミニウム、アルミン酸ソーダ等の水溶性アルミニウム塩; Si源としては 、ケィ酸ソーダ、ケィ酸カリウム等の水溶性ケィ酸塩; Zr源としては、ォキシ塩ィ匕ジル コニゥム、ォキシ硝酸ジルコニウム、ォキシ硫酸ジルコニウム等の水溶性ジルコニウム 塩を使用することが好まし 、。
[0029] 上記中和に使用する酸は特に限定されず、例えば、硫酸、塩酸、硝酸等を使用する ことができる。上記中和に使用するアルカリは特に限定されず、例えば、水酸化ナトリ ゥム、水酸化カリウム、アンモニア水等を使用することができる。中和は 20〜80°Cで 行うことができ、 15〜240分間かけて行うことが好ましい。上記処理を行った微粒子 硫酸バリウムは、通常の方法に従って濾過、水洗、乾燥、粉砕を行うことによって分離 することができる。
[0030] 上記 Mg、 Ca、 Sr及び Baから選択される 1以上の金属元素のリン酸塩(2)は、例えば
、 Mg、 Ca、 Sr及び Baから選択される 1以上の金属元素の水溶性塩を上記硫酸バリ ゥムの水スラリーに添加し、次いでリン酸水素化合物を添加することによって被着させ ることができる。上記金属元素の水溶性塩としては、例えば、 Mg、 Ca、 Sr、 Baの塩 化物、硝酸塩; Sr、 Baの水酸ィ匕物等を挙げることができる。上記リン酸水素化合物と しては、例えば、リン酸一水素二アンモ-ゥム、リン酸一水素ニナトリウム等を挙げる ことができる。
[0031] 上記(1)及び Z又は(2)の 2種以上の被着が順次形成された超微粒子硫酸バリウム は、上記操作を複数回繰り返すことによって、形成することができる。
本発明の超微粒子硫酸バリウムのなかでも、 Si及び A1の水酸ィ匕物又は酸ィ匕物、 Ba HPO、SrHPOによって被着されているものが特に好ましい。
4 4
[0032] 上記(1)及び Z又は(2)の被着量は、上述したように基材となる超微粒子硫酸バリゥ ムと被着物の合計質量に対して 0. 5〜20質量%であることが好ましいが、このような 範囲に調整するためには、原料として使用する上記水溶性金属化合物や上記金属 元素の水溶性塩及びリン酸水素化合物の超微粒子硫酸バリウムに対する添加割合 を調整することによって行うことができる。
[0033] 本発明の水性塗料は、上記超微粒子硫酸バリウム及び水性塗料用榭脂を必須成分 とし、これ以外に目的、用途に応じて必要な各種の添加剤、例えば、分散剤、湿潤剤 、レべリング剤、チキソトロピー付与剤、増粘剤、タレ防止剤、防カビ剤、紫外線吸収 剤、成膜助剤、その他の有機溶剤などや上記超微粒子硫酸バリウム以外の有機及 び無機顔料などを添加して得ることができる。また、本発明の水性インキは、上記超 微粒子硫酸バリウム及び水性インキ用榭脂を必須成分とし、これ以外に目的、用途 に応じて必要な各種の添加剤、例えば、防腐剤、防カビ剤、 pH調整剤、防鲭剤、界 面活性剤、その他の有機溶剤などや上記超微粒子硫酸バリウム以外の有機及び無 機顔料などを添加して得ることができる。
[0034] 本発明の水性塗料及び水性インキは、それぞれ、上記超微粒子硫酸バリウム、及び 、水性榭脂等原料として使用されるその他の成分を通常の方法によって水と混合分 散すること〖こよって調製することができる。
[0035] 上記水性塗料で用いられる水性榭脂としては、水性塗料の分野で用いられるもので
あれば、特に限定されずに種々のものを利用することができる。水性膜形成性成分と しては、具体的には、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基等の架橋性官能基を有 するポリエステル榭脂、ビュル榭脂、アクリル榭脂、ウレタン榭脂等力も選ばれる基体 榭脂、及び、メラミン榭脂、尿素樹脂、グアナミン榭脂、ブロック化されてもよいポリイソ シァネート化合物、エポキシ化合物等から選ばれる架橋硬化させるための架橋剤と 力もなる成分を用いることができる。また、上記水性インキで用いられる榭脂としては 、水性インキの分野で用いられるものであれば、特に限定されずに種々のものを利用 することができる。具体的には、スチレン アクリル酸共重合体、スチレンーメタクリル 酸共重合体、アクリル酸 アクリル酸共重合体、スチレン アクリル酸 アクリル酸ェ ステル共重合体等を挙げることができる。本発明において、これらの榭脂を単独で用 いてもよぐまた、 2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[0036] 本発明の水性塗料又は水性インキにおいて、上記超微粒子硫酸バリウムは、通常、 水性塗料又は水性インキの使用目的に応じた量を配合することができるが、例えば、 水性榭脂 100質量%に対して、 0. 3〜200質量%であることが好ましい。上記配合 量は、 0. 7〜 150質量%であることがより好ましい。
発明の効果
[0037] 上述の通り、本発明の超微粒子硫酸バリウムは、水性塗料、水性インキ等の水性組 成物に使用した場合、従来の超微粒子硫酸バリウムでは得られな力つた高い分散性 や高い榭脂親和性が得られ、透明性、発色性、表面光沢に優れており、アルミフレー クゃパール顔料における配向性改善の効果を発揮することができる。 発明を実施するための最良の形態
[0038] 以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例の みに限定されるものではない。また実施例中、「部」、「%」は特に断りのない限り「質 量部」、「質量%」を意味する。
[0039] 以下の実施例において、被着物中に含まれる A1成分、 Si成分及び Zr成分の量は、 蛍光 X線分析装置 (蛍光 X線分析装置システム 3270、理学電機株式会社製)を使用 して測定した。また、 P成分の量は、上記被着物を炭酸ナトリウムを用いてアルカリ溶 融し、 P成分を水溶液として分離した後、モリブデン青法により求めることにより測定し
た。なお、 Al、 Si、 Zrの被着量は、検出された A1成分、 Si成分及び Zr成分の金属化 合物を酸ィ匕物換算(即ち、 A1成分は Al O、 Si成分は SiO、 Zr成分は ZrOとして換
2 3 2 2 算)した値である。更に、 Mg、 Ca、 Sr、 Baのリン酸塩の被着量は、測定した P成分の 量を一般式 MHPOで表されるリン酸塩に換算(すなわち、 MgHPO、 CaHPO、 S
4 4 4 rHPO、 BaHPOとして換算)した値である。
4 4
[0040] 実施例 1
吸込口径 40mm、吐出口径 25mm、内容積 850mL、インペラ一回転数 2380rpm のワーマンポンプを反応槽として用い、このポンプに濃度 110gZL (l. lmol/L) , 温度 30°Cの硫酸水溶液を 700LZhの一定流量にて吸い込ませると共に、 120g/ L (0. 71molZU、温度 50°Cの硫化バリウム水溶液を 1180LZhの一定流量にて 吸い込ませることで調製した水スラリー(固形分 95g/L) lOOOmLを 70°Cに昇温し た。 SiOとして 4. Og相当量の 3号珪酸ソーダを純水 lOOmLで希釈して 20分で滴下
2
し、次いで、 Al Oとして 2. Og相当量のアルミン酸ソーダを純水 lOOmLで希釈し、 2
2 3
0分で滴下した。 10分撹拌後、希硫酸を用いて 30分かけて pH8に中和した。 10分 撹拌してから、ろ過し、充分に水洗して力も乾燥して、乾燥チップを得て、粗砕した後 、気流式粉砕機で粉砕した。得られた粉体は、基材となる超微粒子硫酸バリウムと被 着物の合計質量に対して、 SiOとして 3. 5質量%、 Al Oとして 1. 7質量%被着さ
2 2 3
れ、電顕写真による定方向径の数平均一次粒子径が 0. 05 mの超微粒子硫酸バ リウムであった。
電顕写真による定方向径の数平均一次粒子径は、無作為に選んだ 300個の粒子に ついて倍率 100000倍の透過型電子顕微鏡写真にて定方向の一次粒子径を測定 し、平均値を算出することによって求めたものである。以下の実施例、比較例でも、同 様の方法で、電顕写真による定方向径の数平均一次粒子径を測定した。
[0041] 実施例 2
実施例 1と同様の方法で調製した超微粒子硫酸バリウムの水スラリー(固形分 95gZ D lOOOmLを 70°Cに昇温した。 SiOとして 11. 2g相当量の 3号珪酸ソーダを純水 1
2
00mLで希釈して 20分で滴下し、次いで Al Oとして 5. 6g相当量のアルミン酸ソー
2 3
ダを純水 lOOmLで希釈して、 20分で滴下した。 10分撹拌後、希硫酸を用いて 30分
かけて PH8に中和した。 10分撹拌してから、冷却した後、メディアによる湿式粉砕を 施した後、ろ過し、充分に水洗してから乾燥して、乾燥チップを得て、粗砕した後、気 流式粉砕機で粉砕した。得られた粉体は、基材となる超微粒子硫酸バリウムと被着物 の合計質量に対して、 SiOとして 9. 3質量%、 Al Oとして 4. 4質量%被着され、電
2 2 3
顕写真による定方向径の数平均一次粒子径が 0. 05 μ mの超微粒子硫酸バリウム であった。
[0042] 実施例 3
実施例 1と同様の方法で調製した超微粒子硫酸バリウムの水スラリー(固形分 95gZ D lOOOmLを 70°Cに昇温した。 3号珪酸ソーダを SiOとして 4. Og相当量を純水 10
2
OmLで希釈して、 20分で滴下し、 10分攪拌後、希硫酸を用いて 30分かけて pH8に 中和した。次いで Al Oとして 2. 0g相当量のアルミン酸ソーダを純水 lOOmLで希釈
2 3
して、 20分で滴下した。 10分攪拌後、希硫酸を用いて 30分かけて pH8まで中和し た。 10分攪拌してから、ろ過し、十分に水洗して力も乾燥して、乾燥チップを得て、粗 砕した後、気流式粉砕機で粉砕した。
得られた粉体は、基材となる超微粒子硫酸バリウムと被着物の合計質量に対して、 Si Oとして 3. 4質量%、 Al Oとして 1. 7質量%被着され、電顕写真による定方向径
2 2 3
の数平均一次粒子径が 0. 05 mの超微粒子硫酸バリウムであった。
[0043] 実施例 4
実施例 1と同様の方法で調製した超微粒子硫酸バリウムの水スラリー(固形分 95gZ D lOOOmLを 70°Cに昇温した。塩化バリウム二水塩を 2. Og添加した後、リン酸水 素アンモ-ゥム 1. 2gを純水に溶解して 20分で滴下した。 10分撹拌してから、ろ過し 、充分に水洗して力も乾燥して、乾燥チップを得て、粗砕した後、気流式粉砕機で粉 砕した。得られた粉体は、基材となる超微粒子硫酸バリウムと被着物の合計質量に対 して、 BaHPOとして 1. 7質量%被着され、電顕写真による定方向径の数平均一次
4
粒子径が 0. 05 μ mの超微粒子硫酸バリウムであった。
[0044] 実施例 5
実施例 1と同様の方法で調製した超微粒子硫酸バリウムの水スラリー(固形分 95gZ L) lOOOmLを 70°Cに昇温した。水酸化ナトリウムでスラリー pHを 12としてから、塩化
ノリウムニ水塩を 2. Og添カ卩した後、リン酸水素アンモ-ゥム 1. 2gを純水に溶解して 20分で滴下した。 10分撹拌してから、ろ過し、充分に水洗してから乾燥して、乾燥チ ップを得て、粗砕した後、気流式粉砕機で粉砕した。得られた粉体は、基材となる超 微粒子硫酸バリウムと被着物の合計質量に対して、 BaHPOとして 1. 3質量%被着
4
され、電顕写真による定方向径の数平均一次粒子径が 0. 05 mの超微粒子硫酸 ノリウムであった。
[0045] 実施例 6
実施例 1と同様の方法で調製した超微粒子硫酸バリウムの水スラリー(固形分 95gZ D lOOOmLを 70°C〖こ昇温した。塩化マグネシウム六水塩を 2. 6g添加した後、リン 酸水素アンモ-ゥム 1. 8gを純水に溶解して 20分で滴下した。 10分撹拌してから、ろ 過し、充分に水洗してカゝら乾燥して、乾燥チップを得て、粗砕した後、気流式粉砕機 で粉砕した。得られた粉体は、基材となる超微粒子硫酸バリウムと被着物の合計質量 に対して、 MgHPOとして 1. 2質量%被着され、電顕写真による定方向径の数平均
4
一次粒子径が 0. 05 μ mの超微粒子硫酸バリウムであった。
[0046] 実施例 7
実施例 1と同様の方法で調製した超微粒子硫酸バリウムの水スラリー(固形分 95gZ D lOOOmLを 70°C〖こ昇温した。塩化カルシウム二水塩を 1. 8g添加した後、リン酸 水素アンモ-ゥム 1. 6gを純水に溶解して 20分で滴下した。 10分撹拌してから、ろ過 し、充分に水洗してカゝら乾燥して、乾燥チップを得て、粗砕した後、気流式粉砕機で 粉砕した。得られた粉体は、基材となる超微粒子硫酸バリウムと被着物の合計質量に 対して、 CaHPOとして 1. 3質量%被着され、電顕写真による定方向径の数平均一
4
次粒子径が 0. 05 μ mの超微粒子硫酸バリウムであった。
[0047] 実施例 8
実施例 1と同様の方法で調製した超微粒子硫酸バリウムの水スラリー(固形分 95gZ D lOOOmLを 70°Cに昇温した。塩化ストロンチウム六水塩を 2. 2g添カ卩した後、リン 酸水素アンモ-ゥム 1. lgを純水に溶解して 20分で滴下した。 10分撹拌してから、ろ 過し、充分に水洗してカゝら乾燥して、乾燥チップを得て、粗砕した後、気流式粉砕機 で粉砕した。得られた粉体は、基材となる超微粒子硫酸バリウムと被着物の合計質量
に対して、 SrHPOとして 1. 2質量%被着され、電顕写真による定方向径の数平均
4
一次粒子径が 0. 05 μ mの超微粒子硫酸バリウムであった。
[0048] 実施例 9
実施例 1と同様の方法で調製した超微粒子硫酸バリウムの水スラリー(固形分 95gZ D lOOOmLを 70°Cに昇温した。 SiOとして 7. 2g相当量の 3号珪酸ソーダを純水 10
2
OmLで希釈して 20分で滴下した。 10分撹拌後、希硫酸を用いて 30分かけて pH8に 中和した。 10分撹拌してから、冷却した後、メディアによる湿式粉砕を施した後、ろ過 し、充分に水洗してカゝら乾燥して、乾燥チップを得て、粗砕した後、気流式粉砕機で 粉砕した。得られた粉体は、基材となる超微粒子硫酸バリウムと被着物の合計質量に 対して、 SiOとして 6. 1質量%被着され、電顕写真による定方向径の数平均一次粒
2
子径が 0. 05 μ mの超微粒子硫酸バリウムであった。
[0049] 実施例 10
実施例 1と同様な方法で調製した超微粒子硫酸バリウムの水スラリー(固形分 95gZ D lOOOmLを 70°C〖こ昇温した。ォキシ塩化ジルコニウムを ZrOとして 4. 0g相当量
2
を純水 50mLに溶解して 20分で滴下した。次いで Al Oとして 2. 0g相当量のアルミ
2 3
ン酸ソーダを純水 lOOmLで希釈して 20分で滴下した。 10分撹拌後、希硫酸を用い て 30分かけて pH8に中和した。 10分撹拌してから、ろ過し、充分に水洗して力も乾 燥して、乾燥チップを得て、粗砕した後、気流式粉砕機で粉砕した。得られた粉体は 、基材となる超微粒子硫酸バリウムと被着物の合計質量に対して、 ZrO
2として 3. 4質 量%、 Al Oとして 1. 6質量%被着され、電顕写真による定方向径の数平均一次粒
2 3
子径が 0. 05 μ mの超微粒子硫酸バリウムであった。
[0050] 実施例 11
実施例 1と同様の方法で調製した超微粒子硫酸バリウムの水スラリー(固形分 95gZ D lOOOmLを 70°C〖こ昇温した。 ZrOとして 5. 0g相当量のォキシ塩化ジルコニウム
2
を純水 100mlに溶解して、 20分で滴下した。 10分撹拌後、 5%NaOHを用いて 30 分かけて PH8に中和した。 10分撹拌してから、冷却した後、メディアによる湿式粉砕 を施した後、ろ過し、充分に水洗してから乾燥して、乾燥チップを得て、粗砕した後、 気流式粉砕機で粉砕した。得られた粉体は、基材となる超微粒子硫酸バリウムと被着
物の合計質量に対して、 ZrOとして 4. 5質量%被着され、電顕写真による定方向径
2
の数平均一次粒子径が 0. 05 mの超微粒子硫酸バリウムであった。
[0051] 実施例 12
実施例 1と同様の方法で調製した超微粒子硫酸バリウムの水スラリー(固形分 95gZ D lOOOmLを 70°C〖こ昇温した。 Al Oとして 2. 9g相当量のアルミン酸ソーダ溶液を
2 3
純水 100mlで希釈して、 20分で滴下した。 10分撹拌後、希硫酸を用いて 30分かけ て pH8に中和した。 10分撹拌してから、冷却した後、メディアによる湿式粉砕を施し た後、ろ過し、充分に水洗して力も乾燥して、乾燥チップを得て、粗砕した後、気流 式粉砕機で粉砕した。得られた粉体は、基材となる超微粒子硫酸バリウムと被着物の 合計質量に対して、 Al Oとして 2. 4質量%被着され、電顕写真による定方向径の
2 3
数平均一次粒子径が 0. 05 mの超微粒子硫酸バリウムであった。
[0052] 実施例 1〜12で得られた超微粒子硫酸バリウム及び超微粒子硫酸バリウム (堺化学 工業社製、 BARIFINE BF— 20)の水分散性、榭脂吸着性を、以下の方法により 評価した。結果を表 1に示した。
[0053] 〔水分散性〕
試料 10質量部を蒸留水 40質量部に超音波分散したものの沈降性を以下の基準に より評価した。
◎:分散性が非常に良好である。
〇:分散性が良好である。
△:分散性が普通である。
X:分散性が悪い。
[0054] 〔樹脂吸着性〕
試料 50質量部をメラミン榭脂(AKZO Nobel社製 Setamine MS— 152 IB— 70 ) 35. 8質量部、ポリエステル榭脂(AKZO Nobel社製 Setal 6306 SS— 60) 39 . 6質量部、蒸留水 140質量部、プロピレングリコール 27. 4質量部に分散し、遠心沈 降、上澄み除去、希釈の 3回繰り返しにより沈降物を得た。次いで得られた沈降物を ろ過、乾燥したものの強熱減量力 榭脂吸着量を算出し、評価した。評価基準は、顔 料 100gに対する榭脂吸着量を以下の基準に基づいて評価した。
◎ : 20g以上 榭脂吸着性が非常に良好である。
〇:15g以上 20g未満 榭脂吸着性が良好である。
△: 10g以上 15g未満 榭脂吸着性が普通である。
X : 10g未満 榭脂吸着性が悪い。
[表 1]
[0056] 表 1から、実施例 1〜12で得られたものは、実用上問題のない水分散性及び Z又は 榭脂吸着性を有していた。一方、 BARIFINE BF— 20は水分散性及び榭脂吸着 '性に劣っていた。
[0057] 実施例 13〜21 (水性塗料組成物)
メラミン榭脂(Akzo Nobel社製、 Setamine MS— 152 IB— 70) 35. 8質量部、 ポリエステル榭脂(Akzo Nobel社製、 Setal 6306 SS— 60) 39. 6質量部、蒸留 水 140質量部、プロピレングリコール 27. 4質量部、ジメチルエタノールァミン 1. 4質 量部に実施例 1〜9の方法で調製した超微粒子硫酸バリウム 50質量部を混合分散し た後、アクリル榭脂(Akzo Nobel社製、 Setalux 6802 AQ— 24) 213. 4質量部 を混合して水性塗料組成物を得た。水性塗料組成物調製直後に塗料 pHを 7. 9に 調整し、 16時間静置して塗膜ィ匕直前に再度 pHを 7. 8〜8. 0に調整した。
[0058] 比較例 1 (水性塗料組成物)
実施例 1で調製した超微粒子硫酸バリウム 50質量部の代わりに表面処理を施して!/ヽ な 、超微粒子硫酸バリウム (堺ィ匕学工業社製、 BARIFINE BF— 20) 50質量部を 使用したこと以外は、実施例 13と同じ操作を行い、水性塗料組成物を得た。水性塗 料組成物調製直後に塗料 pHを 7. 9に調整し、 16時間静置して塗膜化直前に再度 pHを 7. 8〜8. 0に調整した。
[0059] 実施例 22〜24 (水性塗料組成物)
メラミン榭脂(Akzo Nobel社製、 Setamine MS— 152 IB— 70) 28. 4質量部、 ポリエステル榭脂(Akzo Nobel社製、 Setal 6306 SS— 60) 31. 6質量部、蒸留 水 186. 2質量部、ブチルセ口ソルブ 47. 2質量部、ジメチルエタノールァミン 1. 4質 量部に実施例 10〜12の方法で調製した超微粒子硫酸バリウム 50質量部を混合分 散した後、アクリル榭脂(Akzo Nobel社製、 Setalx 6802 AQ— 24) 254. 6質 量部を混合して水性塗料を得た。水性塗料調製直後に塗料 pHを 7. 9に調整し、 16 時間静置して塗膜ィ匕直前に再度 pHを 7. 8〜8. 0に調整した。
[0060] 比較例 2 (水性塗料組成物)
実施例 10で調製した超微粒子硫酸バリウム 50質量部の代わりに表面処理を施して Vヽな 、超微粒子硫酸バリウム (堺ィ匕学工業社製、 BARIFINE BF— 20) 50質量部 を使用すること以外は実施例 22と同じ操作を行い、水性塗料組成物を得た。水性塗 料組成物調製直後に塗料 pHを 7. 9に調整し、 16時間静置して塗膜化直前に再度 pHを 7. 8〜8. 0に調整した。
[0061] 実施例 25〜27, 33 (水性塗料組成物)
メラミン榭脂(Akzo Nobel社製、 Setamine MS— 152 IB— 70) 35. 8質量部、 ポリエステル榭脂(Akzo Nobel社製、 Setal 6306 SS— 60) 39. 6質量部、蒸留 水 140質量部、プロピレングリコール 27. 4質量部、ジメチルエタノールァミン 1. 4質 量部に黒顔料 (三菱ィ匕学社製、カーボンブラック MA— 100B) 6質量部、実施例 1〜 3, 9の方法で調製した超微粒子硫酸バリウム 6質量部を混合分散した後、アクリル榭 脂(Akzo Nobel社製、 Setalux 6802 AQ— 24) 213. 4質量部を混合して黒色 水性塗料組成物を得た。水性塗料組成物調製直後に塗料 pHを 7. 9に調整し、 16 時間静置して塗膜ィ匕直前に再度 pHを 7. 8〜8. 0に調整した。
[0062] 比較例 3 (水性塗料組成物)
実施例 1で調製した超微粒子硫酸バリウム 6質量部の代わりに表面処理を施してい ない超微粒子硫酸バリウム (堺ィ匕学工業社製、 BARIFINE BF— 20) 6質量部を使 用すること以外は実施例 25と同じ操作を行い、黒色水性塗料組成物を得た。水性塗 料組成物調製直後に塗料 pHを 7. 9に調整し、 16時間静置して塗膜化直前に再度 pHを 7. 8〜8. 0に調整した。
[0063] 比較例 4 (水性塗料組成物)
超微粒子硫酸バリウムを使用しないこと以外は実施例 25と同じ操作を行い、黒色水 性塗料組成物を得た。水性塗料組成物調製直後に塗料 pHを 7. 9に調整し、 16時 間静置して塗膜ィ匕直前に再度 pHを 7. 8〜8. 0に調整した。
[0064] 実施例 28〜32 (水性塗料組成物)
メラミン榭脂(Akzo Nobel社製、 Setamine MS— 152 IB— 70) 35. 8質量部、 ポリエステル榭脂(Akzo Nobel社製、 Setal 6306 SS— 60) 39. 6質量部、蒸留 水 140質量部、プロピレングリコール 27. 4質量部、ジメチルエタノールァミン 1. 4質 量部に赤顔料 (デュポン社製、シンカシャレッド Ύ) 20質量部、実施例 4〜8の方法で 調製した超微粒子硫酸バリウム 20質量部を混合分散した後、アクリル榭脂 (Akzo Nobel社製、 Setalux 6802 AQ— 24) 213. 4質量部を混合して赤色水性塗料 組成物を得た。水性塗料組成物調製直後に塗料 pHを 7. 9に調整し、 16時間静置 して塗膜ィ匕直前に再度 pHを 7. 8〜8. 0に調整した。
[0065] 比較例 5 (水性塗料組成物)
実施例 4で調製した超微粒子硫酸バリウム 20質量部の代わりに表面処理を施して!/ヽ な 、超微粒子硫酸バリウム (堺ィ匕学工業社製、 BARIFINE BF— 20) 20質量部を 使用すること以外は実施例 28と同じ操作を行い、赤色水性塗料組成物を得た。水性 塗料組成物調製直後に塗料 pHを 7. 9に調整し、 16時間静置して塗膜化直前に再 度 pHを 7. 8〜8. 0に調整した。
[0066] 比較例 6 (水性塗料組成物)
超微粒子硫酸バリウムを使用しないこと以外は実施例 28と同じ操作を行い、赤色水 性塗料を得た。水性塗料組成物調製直後に塗料 pHを 7. 9に調整し、 16時間静置
して塗膜ィ匕直前に再度 pHを 7. 8〜8. 0に調整した。
[0067] 実施例 34〜36 (水性塗料組成物)
メラミン榭脂(Akzo Nobel社製、 Setamine MS— 152 IB— 70) 28. 4質量部、 ポリエステル榭脂(Akzo Nobel社製、 Setal 6306 SS— 60) 31. 6質量部、蒸留 水 186. 2質量部、ブチルセ口ソルブ 47. 2質量部、ジメチルエタノールァミン 1. 4質 量部に黒顔料 (三菱ィ匕学社製、カーボンブラック MA— 100B) 6質量部、実施例 10 〜12の方法で調製した超微粒子硫酸バリウム 6質量部を混合分散した後、アクリル 榭脂(Akzo Nobel社製、 Setalux 6802 AQ— 24) 254. 6質量部を混合して水 性塗料組成物を得た。水性塗料組成物調製直後に塗料 pHを 7. 9に調整し、 16時 間静置して塗膜ィ匕直前に再度 pHを 7. 8〜8. 0に調整した。
[0068] 比較例 7 (水性塗料組成物)
実施例 10で調製した超微粒子硫酸バリウム 6質量部の代わりに表面処理を施して!/ヽ ない超微粒子硫酸バリウム (堺ィ匕学工業社製、 BARIFINE BF— 20) 6質量部を使 用すること以外は実施例 34と同じ操作を行い、黒色水性塗料組成物を得た。水性塗 料組成物調製直後に塗料 pHを 7. 9に調整し、 16時間静置して塗膜化直前に再度 pHを 7. 8〜8. 0に調整した。
[0069] 比較例 8 (水性塗料組成物)
超微粒子硫酸バリウムを使用しないこと以外は実施例 34と同じ操作を行い、黒色水 性塗料組成物を得た。水性塗料組成物調製直後に塗料 pHを 7. 9に調整し、 16時 間静置して塗膜ィ匕直前に再度 pHを 7. 8〜8. 0に調整した。
[0070] 実施例 13〜36、比較例 1〜8で得られた水性塗料組成物について、以下の方法で 塗膜形成し、 20° —20° 鏡面光沢率を測定した。また、実施例 13〜24、比較例 1、 2については、塗膜形成したガラス板にカラーメーターにて垂直光を照射し、ガラスだ けの部分と塗膜が形成されて 、る部分の透過光にっ 、て、それぞれハンター系 L値 の測定を行い、塗膜の透明度を下記の式により算出した。
透明度 = (塗膜形成部の L値 Zガラスだけの部分の L値) X 100
さらに、実施例 25〜36、比較例 3〜8については、塗膜の色調をカラーメーターによ るハンター系 L値、 a値、 b値を測定した。結果を表 2にまとめた。表 2により、同種同量
の顔料、榭脂を含有する水性塗料組成物を比較した結果、本発明の超微粒子硫酸 ノ リウムを配合した水性塗料組成物にぉ 、て光沢の改善が認められ、着色顔料を含 有しない水性塗料組成物において、透明度の改善が認められた。また、赤色塗料の 場合には a値の向上により色の鮮明さの改善が認められ、黒色塗料においては L値 の低下により漆黒度の改善が認められた。
[0071] 水性塗料組成物の試験塗板の作製方法:厚さ 3mmのガラス板に 6milsアプリケータ 一で塗布した。 80°C、 8分焼付したものを試験に供した。
[0072] 実施例 37 (水性インキ組成物)
水溶性榭脂(ジョンソンポリマー製、ジョンクリル 683) 20質量部、水酸ィ匕ナトリウム 2 質量部及びイオン交換水 78質量部を加熱下に混合、攪拌して榭脂水溶液を調製し た。この榭脂水溶液 30質量部、黒顔料 (三菱化学社製、カーボンブラック MA— 100 B) 20質量部、実施例 1の方法で調製した超微粒子硫酸バリウム 20質量部、ェチレ ングリコール 30質量部及びイオン交換水 45質量部を攪拌、混合し、ビーズミルを用 いて分散処理して、水性黒色顔料分散体を得た。この水性顔料分散体 44質量部に リン酸エステル界面活性剤 (東邦化学 (株)製、ホスファノール PE— 510) 0. 6質量部 、グリセリン 10質量部、尿素 15質量部、イオン交換水 30. 2質量部、防黴剤 (武田薬 品工業 (株)製、コートサイド Ή) 0. 1質量部及び防腐剤 (アビシァ (株)製、プロクセル XL— 2) 0. 1質量部を加え、混合、攪拌した後、遠心分離し、粗大粒子を除去して水 性インキ組成物を得た。厚さ 3mmのガラス板に 6milsアプリケーターで塗布し、 80°C で乾燥させインキ膜を得た。
[0073] 比較例 9 (水性インキ組成物)
実施例 1の方法で調製した超微粒子硫酸バリウムを添加しないこと以外は実施例 37 と同じ方法で水性インキ組成物を得た。厚さ 3mmのガラス板に 6milsアプリケーター で塗布し、 80°Cで乾燥させインキ膜を得た。
[0074] 実施例 37、比較例 9で得られた水性インキ組成物について、上記の方法でインキ膜 形成し、 20° —20° 鏡面光沢率、また、インキ膜の色調をカラーメーターによるハン ター系 L値を測定した。結果を表 2にまとめた。表 2により、同種同量の顔料、榭脂を 含有する水性インキ組成物を比較した結果、本発明の超微粒子硫酸バリウムを配合
した水性インキ組成物にお!/、て光沢の改善が認められ、 L値の低下により漆黒度の 改善が認められた。
[0075] [表 2]
[0076] 本発明の超微粒子硫酸バリウムは、水性組成物に配合した際に、透明性、発色性
表面光沢を改善するものであることが明ら力となった。
[0077] 参考例
実施例 4、実施例 5で被着させた方法と同一の方法によって、 Baのリン酸塩を製造し 、これの X線回折測定を行った。回折パターンから、それぞれ BaHPO、 Ba (PO )
4 5 4 3
OHが得られることが分力つた。この結果から、本発明の超微粒子硫酸バリウムに M HPO、 M (PO ) OHで表される金属元素のリン酸塩が被着されることが明らかで
4 5 4 3
ある。
産業上の利用可能性
[0078] 本発明の超微粒子硫酸バリウムは、水性組成物に配合した際にも透明性を維持する ことができ、発色性改善、表面光沢改善、配向性改善の効果を奏するものであり、こ のような超微粒子硫酸バリウムを含有する水性組成物は、水性塗料、水性インキ等の 水性組成物に好適に使用することができる。
図面の簡単な説明
[0079] [図 1]実施例 4の条件で生成させた BaHPOの X線回折図である。
4
[図 2]実施例 5の条件で生成させた Ba (PO ) OHの X線回折図である。