JP2004256341A - ルチル型棒状二酸化チタンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】含水酸化チタンと含水酸化チタン中のTiO2に対しAl2O3換算で0.1〜1.5重量%の範囲のアルミニウム化合物、Na2O換算で0.1〜1.5重量%の範囲のナトリウム化合物、K2O換算で0.1〜1.5重量%の範囲のカリウム化合物、P2O5換算で0.1〜1.5重量%の範囲のリン化合物とを900〜1200℃の範囲の温度で加熱焼成するルチル型棒状二酸化チタンの製造方法である。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、顔料として有用なルチル型棒状二酸化チタンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
二酸化チタンは可視光の屈折率が高く、白色度、隠ペイ性に優れており、中でも結晶形がルチル型のものは耐候性に優れ、白色顔料として塗料、インキ、プラスチックス、紙等の分野で広く用いられている。顔料用の二酸化チタンとしては、平均粒子径が0.1〜0.5μmの球状粒子が一般的であるが、棒状、針状、柱状等の異方性形状を有する粒子の方が、球状粒子より耐候性が優れていると言われており、高度の耐候性が求められる建材塗料、重防食塗料等の分野で、ルチル型の棒状二酸化チタン顔料が注目されている。
【0003】
顔料用のルチル型棒状酸化チタンの製造方法として、▲1▼ルチル型二酸化チタンまたはルチル型の核晶を含有する二酸化チタンに、塩化ナトリウムまたは塩化ナトリウムとアルカリ金属塩との混合物と、オキシリン化合物とを混合した後、725〜1000℃の範囲の温度で加熱焼成する方法(例えば、特許文献1参照)、▲2▼硫酸チタンの加水分解生成物の硫酸分を除去した後、亜鉛化合物、アルカリ金属化合物、リン酸化合物を添加し、焼成する方法(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【0004】
【特許文献1】
特公昭47−44974号公報(第9頁)
【特許文献2】
特公昭45−18370号公報(第3頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記▲1▼の方法では、塩化ナトリウムやアルカリ金属塩を、二酸化チタンに対し5〜200重量%の範囲と多量に用いる必要があり、加熱焼成炉を腐食させやすく、大量生産が困難なばかりでなく、設備のメインテナンスにコストが掛かった。また、上記▲2▼の方法は、多量のアルカリ金属化合物を要しないが、結晶格子中に亜鉛が固溶され、優れた白色度が得られなかった。
【0006】
本発明は、以上に述べた従来技術の問題点を克服し、工業的、経済的に有利に白色度の優れたルチル型棒状二酸化チタンを製造する方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定量のアルミニウム化合物、ナトリウム化合物、カリウム化合物及びリン化合物の存在下で、含水酸化チタンを加熱焼成すると、アルカリ金属化合物の添加量を可及的に少なくでき装置のメインテナンスの面で有利であるばかりでなく、しかも白色度の優れたルチル型棒状二酸化チタン粒子が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、含水酸化チタンと含水酸化チタン中のTiO2に対しAl2O3換算で0.1〜1.5重量%の範囲のアルミニウム化合物、Na2O換算で0.1〜1.5重量%の範囲のナトリウム化合物、K2O換算で0.1〜1.5重量%の範囲のカリウム化合物、P2O5換算で0.1〜1.5重量%の範囲のリン化合物とを900〜1200℃の範囲の温度で加熱焼成することを特徴とするルチル型棒状二酸化チタンの製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明はルチル型棒状二酸化チタンの製造方法であって、含水酸化チタンと含水酸化チタン中のTiO2に対しAl2O3換算で0.1〜1.5重量%の範囲のアルミニウム化合物、Na2O換算で0.1〜1.5重量%の範囲のナトリウム化合物、K2O換算で0.1〜1.5重量%の範囲のカリウム化合物、P2O5換算で0.1〜1.5重量%の範囲のリン化合物とを900〜1200℃の範囲の温度で加熱焼成することを特徴とする。アルミニウム化合物、ナトリウム化合物、カリウム化合物には、相乗的な効果により、二酸化チタン粒子を棒状化する作用があり、リン化合物は安定してルチル型結晶を生成させる安定化剤として働くと考えられる。本発明の製造方法は、上記のとおりナトリウム化合物及びカリウム化合物の使用量を少なくしてもルチル型棒状二酸化チタンが得られるので、加熱焼成炉が腐食され難く、また、アルミニウム化合物は加熱焼成により二酸化チタンの結晶内部に固溶されても、前記範囲の使用量なら白色度を低下させ難く、耐候性を更に向上させる効果ももたらすので、白色顔料に適したルチル型棒状二酸化チタンを工業的、経済的に有利に製造することができる。
【0010】
アルミニウム化合物、ナトリウム化合物、カリウム化合物、リン化合物の好ましい使用量の範囲は、それぞれAl2O3換算で0.2〜1.2重量%、Na2O換算で0.1〜1重量%、K2O換算で0.2〜1.2重量%、P2O5換算で0.2〜1.2重量%である。本発明で用いることのできるアルミニウム化合物としては酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等が、ナトリウム化合物としては水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム等が、カリウム化合物としては水酸化カリウム、塩化カリウム等が、リン化合物としてはオルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸及びそれらの塩等が挙げられる。これらの化合物は、例えば、含水酸化チタンを水等の分散媒に分散させたスラリーに添加、混合する等、その添加方法には特に制限は無い。
【0011】
本発明においては、ルチル型結晶の安定化剤として、リン化合物以外の無機化合物を、例えば、マグネシウム化合物、亜鉛化合物、リチウム化合物等を、本発明の効果を損なわない範囲で用いても良い。好ましい使用量は化合物によって異なるが、マグネシウム化合物であれば、含水酸化チタン中のTiO2に対しMgOとして0.005〜0.1重量%の範囲であり、より好ましい範囲は0.01〜0.05重量%である。マグネシウム化合物としては塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム等を用いることができる。
【0012】
加熱焼成温度は前記範囲より低いと粒子が十分に棒状化せず、前記範囲より高くしても更なる効果は得られず、長期的には加熱焼成炉の耐久性を低下させることにもなるので、950〜1150℃で焼成するのが経済的でより好ましい。加熱焼成炉にはロータリーキルン、トンネルキルン等公知の機器を用いることができる。
【0013】
本発明で用いる含水酸化チタンは、通常、非晶質もしくはアナターゼ型結晶を有するもので、所謂硫酸法と呼ばれる二酸化チタン顔料の製造方法、例えば、イルミナイト鉱、チタンスラグ等のチタン含有鉱石を必要に応じて粉砕し、硫酸で溶解させながらチタン成分と硫酸とを反応させて、硫酸チタニル(TiOSO4)を生成させ、静置分級、濾過した後、硫酸チタニルを加熱加水分解させることで得られる。非晶質もしくはアナターゼ型結晶は加熱焼成時にルチル型に転移するが、本発明ではルチル型に転移し易いように、ルチル型核晶を含む含水酸化チタンを用いるのが好ましい。ルチル型核晶を含む含水酸化チタンを得るには、加水分解後の含水酸化チタンにルチル型核晶を混合しても良く、ルチル型核晶の存在下で硫酸チタニルを加熱加水分解させても良い。ルチル型核晶は、例えば、硫酸チタニル、含水酸化チタン、四塩化チタン等のチタン化合物を中和加水分解したり、加熱加水分解する等の公知の方法により調製できる。
【0014】
加熱焼成により所望の棒状粒子が得られた後は、公知の方法により、湿式粉砕、脱水・洗浄、乾燥、乾式粉砕してもよい。湿式粉砕には縦型サンドミル、横型サンドミル等が、乾燥にはバンド式ヒーター、バッチ式ヒーター等が、乾式粉砕にはハンマーミル、ピンミル等の衝撃粉砕機、解砕機等の摩砕粉砕機、ジェットミル、スネイルミル等の気流粉砕機、噴霧乾燥機等の機器を用いることができる。
【0015】
本発明で得られる棒状二酸化チタンは、単一粒子の平均長軸径が0.3〜5μmの範囲にあり、平均短軸径が0.1〜2μmの範囲にあって、軸比が1.5〜5の範囲にあり、実質的にルチル型の結晶形を有する。本発明で得られる棒状二酸化チタンは白色度に優れ、塗料、インキ、プラスチックス、紙等の樹脂組成物に配合する白色顔料として用いることができ、特に従来の球状二酸化チタンよりも耐候性に優れているので、建材用塗料、重防食塗料等に最適である。また、通常、二酸化チタンが用いられる、例えば触媒、吸着材、研磨材等の用途にも有用であり、あるいは、棒状形状を利用した補強材としても有用である。尚、本発明において実質的にルチル型結晶であるとは、X線回折法により求めたルチル型結晶の含有量が99〜100%、好ましくは99.5〜100%の範囲にあることを言う。
【0016】
棒状二酸化チタンの表面には、公知の無機化合物または有機化合物を被覆しても良く、あるいはそれらを組合せて被覆しても良い。一般的に、無機化合物の被覆には生産性や耐候性を向上させる効果が、有機化合物の被覆には樹脂成分との親和性を向上させる効果が知られている。無機化合物の被覆量は、用途によって異なるが、塗料組成物に用いる場合は0.1〜10重量%、プラスチックス組成物の場合は0.05〜5重量%の範囲が好ましい。有機化合物の好ましい被覆量は通常0.01〜5重量%の範囲であり、更に好ましい範囲は0.05〜2重量%である。
【0017】
表面被覆に用いることのできる無機化合物としては、アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、スズ、チタニウム、アンチモン等の酸化物、水酸化物、水和酸化物が挙げられ、これらを1種被覆することも、2種以上の被覆を積層したり、2種以上の無機化合物を混合して被覆する等して、組み合せて用いることもできる。無機化合物の被覆層は、多孔層であっても、緻密層であっても良く、特に制限されない。
【0018】
表面被覆に用いることのできる有機化合物としては、多価アルコール、アルカノールアミンまたはその誘導体、有機ケイ素化合物、高級脂肪酸またはその金属塩等が挙げられる。具体的には、例えば、多価アルコールとしてはトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が、アルカノールアミンとしてはトリエチルアミン等が、有機ケイ素化合物としてはジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等のポリシロキサン類や、ヘキシルトリメトキシシラン等のアルキルシラン類、及び、アミノシラン、ビニルシラン等のシランカップリング剤等のオルガノシラン類、高級脂肪酸としてはステアリン酸等が、高級脂肪酸の金属塩としてはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。これらは1種被覆することも、2種以上を組合せて被覆することもできる。
【0019】
無機化合物の被覆は、得られた二酸化チタンを水等の媒液に分散させスラリーにした後、好ましくは更に湿式粉砕した後、目的とする無機化合物の塩の溶液を添加し、酸性化合物または塩基性化合物を添加したり、無機化合物の塩と酸性化合物または塩基性化合物とを同時に添加する等して中和反応させて無機化合物を二酸化チタンの表面に沈着させることにより行える。有機化合物の被覆は、通常、得られた二酸化チタンを乾式粉砕後にヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の高速攪拌機を用いて有機化合物と混合して被覆したり、あるいは、乾式粉砕機中に二酸化チタンと有機化合物を添加して、粉砕と混合・被覆処理を同時に行う、所謂乾式処理を適用する。オルガノシラン類のように、二酸化チタンの表面と反応し強く結合する有機化合物を被覆する場合は、湿式粉砕後あるいは無機化合物の被覆処理後の二酸化チタンスラリーに有機化合物を添加し被覆する、所謂湿式処理を適用することもできる。
【0020】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0021】
実施例1
(1)二酸化チタン粒子の調製
TiO2として1200gに相当するルチル型核晶を含む含水酸化チタンに、含水酸化チタン中のTiO2に対し、Al2O3換算で0.40重量%に相当する硫酸アルミニウム、Na2O換算で0.58重量%に相当する炭酸ナトリウム、K2O換算で1.00重量%に相当する水酸化カリウム、P2O5換算で0.22重量%に相当するオルトリン酸を添加し、電気炉を用いて1050℃で加熱焼成したところ、平均粒子径が長軸0.8μm、短軸0.4μmのルチル型二酸化チタンの棒状粒子を得た。得られた棒状二酸化チタンをTiO2濃度が300g/リットルの水性スラリーとし、水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを11.0として分散させた後、サンドミルで粉砕し、篩(目開き45μm)で分級を行った。
【0022】
(2)表面処理
このスラリー1000ミリリットルの温度を60℃に保持し、攪拌下で、硫酸を添加してpHを9に調整した後、アルミン酸ナトリウム水溶液(Al2O3として300g/リットル)20ミリリットルを硫酸でpHを8〜9に調整しながら20分間かけて添加した。次いで、pHを7に調整してから30分間熟成した。熟成後、吸引濾過器で濾過、水洗し、120℃で20時間乾燥してから、ジェットミルで粉砕して、酸化アルミニウム水和物をAl2O3として2重量%被覆した。(試料A)
【0023】
実施例2
(1)二酸化チタン粒子の調製
TiO2として1200gに相当するルチル型核晶を含む含水酸化チタンに、含水酸化チタン中のTiO2に対し、Al2O3換算で0.40重量%に相当する硫酸アルミニウム、Na2O換算で0.14重量%に相当する炭酸ナトリウム、K2O換算で0.22重量%に相当する水酸化カリウム、P2O5換算で0.22重量%に相当するオルトリン酸を添加し、電気炉を用いて980℃で加熱焼成したところ、平均粒子径が長軸0.4μm、短軸0.2μmのルチル型二酸化チタンの棒状粒子を得た。湿式粉砕、分級は実施例1と同様に行った。
【0024】
(2)表面処理
得られた棒状二酸化チタンの水性スラリー1000ミリリットルの温度を80℃に保持し、攪拌下で、珪酸ナトリウム水溶液(SiO2として150g/リットル)80ミリリットルを添加し、更に硫酸を添加して中和しながらpHを8に調整して60分間熟成した後、アルミン酸ナトリウム水溶液(Al2O3として300g/リットル)20ミリリットルを硫酸でpHを8〜9に調整しながら20分間かけて添加した。次いで、pHを5に調整してから30分間熟成した。熟成後、吸引濾過器で濾過、水洗し、120℃で20時間乾燥してから、ジェットミルで粉砕して、二酸化珪素水和物をSiO2として4重量%、酸化アルミニウム水和物をAl2O3として2重量%被覆した。(試料B)
【0025】
実施例3
TiO2として1200gに相当するルチル型核晶を含む含水酸化チタンに、含水酸化チタン中のTiO2に対し、Al2O3換算で1.00重量%に相当する硫酸アルミニウム、Na2O換算で0.58重量%に相当する炭酸ナトリウム、K2O換算で1.00重量%に相当する水酸化カリウム、P2O5換算で1.00重量%に相当するオルトリン酸を添加し、電気炉を用いて1100℃で加熱焼成したところ、平均粒子径が長軸2.0μm、短軸0.6μmのルチル型二酸化チタンの棒状粒子を得た。湿式粉砕、分級、表面処理は実施例1と同様に行った。(試料C)
【0026】
比較例1
TiO2として1200gに相当するルチル型核晶を含む含水酸化チタンに、含水酸化チタン中のTiO2に対し、Al2O3換算で0.06重量%に相当する硫酸アルミニウム、Na2O換算で0.06重量%に相当する炭酸ナトリウム、K2O換算で0.14重量%に相当する水酸化カリウム、P2O5換算で0.22重量%に相当するオルトリン酸を添加し、電気炉を用いて980℃で加熱焼成したところ、平均粒子径が0.2μmのルチル型二酸化チタンの球状粒子を得た。湿式粉砕、分級、表面処理は実施例1と同様に行った。(試料D)
【0027】
比較例2
TiO2として1200gに相当するルチル型核晶を含む含水酸化チタンに、含水酸化チタン中のTiO2に対し、Al2O3換算で2.00重量%に相当する硫酸アルミニウム、Na2O換算で1.16重量%に相当する炭酸ナトリウム、K2O換算で2.00重量%に相当する水酸化カリウム、P2O5換算で2.00重量%に相当するオルトリン酸を添加し、電気炉を用いて1100℃で加熱焼成したところ、平均粒子径が長軸2.0μm、短軸1.0μmのルチル型二酸化チタンの棒状粒子を得た。湿式粉砕、分級、表面処理は実施例1と同様に行った。(試料E)
【0028】
評価1:平均粒子径の評価
実施例1〜3及び比較例1〜2で得られた試料(A〜E)について、パーティクルアナライザー(カール・ツァイス社製)を用いて、平均長軸径、平均短軸径、及び軸比を電子顕微鏡法により測定した。結果を表1に示す。尚、平均長軸径、平均短軸径は、酸化チタンの一次粒子1個について長軸径、短軸径から円柱相当体積を算出し、それら約1000個分の50%累積値から算出したものである。また、軸比とは、平均長軸径/平均短軸径を意味する。
【0029】
評価2:白色度(アマニ油カラー)の評価
実施例1〜3及び比較例1〜2で得られた試料(A〜E)の白色度を、JISK5116に準じた方法により評価を行った。先ず、試料2.0gとアマニ油1.25ミリリットルを、ガラス板上でへらで軽く混合した後、ハンドマラーで50回転練り合わせ、ペーストを調製する。前記ペーストを10ミルのフィルムアプリケーターを用い、ガラス板上に塗布する。塗布したペーストのハンター表色系によるL値を色差計(Z−1001DP型:日本電色工業製)を用いて測定した。結果を表3に示す。L値の高い試料が、白色度が優れている。本発明で得られたルチル型棒状二酸化チタンは、白色度が優れていることが判る。
【0030】
評価3:光沢の評価
実施例1〜3及び比較例1〜2で得られた試料(A〜E)を用い、処方1の各成分とガラスビーズ80gとを容量225ccのガラス製容器に仕込み、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)を用いて20分間分散して分散液を調整した後、処方2にて、樹脂成分1重量部に対し二酸化チタン顔料1重量部、固形分体積濃度46%の塗料とした。次いで、得られた塗料を4ミルアプリケーターを用いてガラス板上に塗布し、120℃で30分間焼きつけ、塗膜化した。ガラス板上に塗布した塗膜上の20度光沢値を、光沢計(GM−26D型:村上色彩研究所製)を用いて計測した。結果を表4に示す。20度光沢値が高い程、光沢が良好である。本発明で得られたルチル型棒状二酸化チタンは、光沢が優れていることが判る。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
評価4:耐候性の評価
前記の塗料を、#40バーコーターを用いてプライマー処理済みの鋼板上に塗布し、120℃で30分間焼きつけた。更にその上に、前記の塗料を#50バーコーターを用いて塗布し、130℃で30分間焼きつけ、塗膜化した。塗膜を屋外の南向き45度に設置し、太陽光での自然暴露試験を行った。2ヶ月毎に、60度光沢値を光沢計(GM−26D型:村上色彩研究所製)を用いて計測し、白亜化度をJISK5400に準じた方法で評価した。結果を表4に示す。60度光沢値が70ポイント以下になるのに要する期間、及び、白亜化が発生するのに要する期間が長い程、耐候性が優れている。本発明で得られたルチル型棒状二酸化チタンは、耐候性が優れていることが判る。
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
【発明の効果】
本発明により、ルチル型棒状二酸化チタンを工業的、経済的に有利に製造することができる。さらに、本発明の製造方法で得られるルチル型棒状二酸化チタンは、白色度が高く、耐候性に優れているので、特に建材用塗料、重防食塗料用の白色顔料として有用である。更に、このルチル型棒状二酸化チタンは、触媒、吸着材、研磨材、補強材としても有用である。
Claims (3)
- 含水酸化チタンと含水酸化チタン中のTiO2に対しAl2O3換算で0.1〜1.5重量%の範囲のアルミニウム化合物、Na2O換算で0.1〜1.5重量%の範囲のナトリウム化合物、K2O換算で0.1〜1.5重量%の範囲のカリウム化合物、P2O5換算で0.1〜1.5重量%の範囲のリン化合物とを900〜1200℃の範囲の温度で加熱焼成することを特徴とするルチル型棒状二酸化チタンの製造方法。
- 含水酸化チタンがルチル型核晶を含むことを特徴とする請求項1記載のルチル型棒状二酸化チタンの製造方法。
- 単一粒子の平均長軸径が0.3〜5μmの範囲にあり、平均短軸径が0.1〜2μmの範囲にあって、軸比が1.5〜5の範囲にあることを特徴とする請求項1記載のルチル型棒状二酸化チタンの製造方法。
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