JPH1081517A - 超微粒子酸化チタンおよびその製造方法 - Google Patents

超微粒子酸化チタンおよびその製造方法

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JPH1081517A
JPH1081517A JP25552196A JP25552196A JPH1081517A JP H1081517 A JPH1081517 A JP H1081517A JP 25552196 A JP25552196 A JP 25552196A JP 25552196 A JP25552196 A JP 25552196A JP H1081517 A JPH1081517 A JP H1081517A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐黄変性、耐光性に優れ、かつ紫外線防御化
粧料、塗料、プラスチックス組成物として汎用的に利用
できる超微粒子酸化チタンを得る。 【解決手段】 超微粒子酸化チタンの水性スラリーにリ
ン酸と水溶性金属化合物とを添加して得られる粒子表面
に水難溶性のリン酸金属塩の被覆を有する超微粒子酸化
チタン。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超微粒子酸化チタ
ン、その製造方法およびこれを用いた日焼け止め化粧
料、紫外線防御塗料、紫外線防御プラスチックス組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術】平均一次粒子径が0.1μm以下の超微
粒子酸化チタンは、可視光に対し透明性を示す一方、紫
外線を遮蔽(吸収及び散乱)するといったように、一次
粒子径が約0.15〜0.5μmの顔料級酸化チタンと
は異なった有用な性質を示すことから、日焼け止め化粧
料、紫外線防御塗料、紫外線防御プラスチックス組成物
として利用されている。
【0003】一方、これらの用途には超微粒子酸化チタ
ン以外にも、酸化亜鉛、酸化セリウムなどの無機物や、
ケイ皮酸誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、ジベンゾ
イルメタン誘導体など有機物紫外線吸収剤も用いられて
おり、超微粒子酸化チタンとこれらを併用した例も見ら
れる。これらを配合した日焼け止め化粧料は、基本的に
水、油剤、界面活性剤、上記の紫外線吸収・散乱剤及び
必要に応じて防腐剤、香料などの添加剤が配合されてお
り、乳液、クリームなどの形で実用に供されている。ま
た、これらを樹脂と混合した塗料は、基材表面に塗布す
ることによりこの表面を隠蔽することなくこのものを紫
外線から防御するために用いられている。さらに、これ
らをプラスチックスに配合したプラスチックス組成物
は、紫外線防御用プラスチックスシートとして利用され
たりしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般
に、酸化チタンは触媒担体や光触媒としても利用されて
いることからもわかるように、粒子表面の活性が高いた
めに、化粧料、塗料、プラスチックスなどに配合された
場合に、紫外線吸収剤、油剤、樹脂、プラスチックスな
どの有機物と化学反応を起こし、その結果、化粧料、塗
料、プラスチックスなどが黄色く変色するいわゆる黄変
現象が見られることがある。特に、ジベンゾイルメタン
誘導体等の有機紫外線吸収剤と超微粒子酸化チタンとを
併用した化粧品において、この黄変現象は問題となって
いる。この様な現象は、太陽光などの紫外線を含む光に
曝された場合に特に促進され、甚だしくは有機物の分解
を引き起し、塗料分野で言うところのいわゆるチョーキ
ング現象がみられることもあり、化粧料、塗料、プラス
チックスなどの外観を損なうのみならず本来の機能を損
なうことがある。一次粒子径が0.2〜0.3μmのい
わゆる顔料用酸化チタンにおいても同様の問題が生ずる
が、一般に粒径が小さい程この傾向が強いため、超微粒
子酸化チタンの場合にはさらに大きな問題となり得る。
【0005】この様な活性を抑制するために、従来か
ら、超微粒子酸化チタンの粒子表面にアルミニウム、ケ
イ素、ジルコニウムなどの酸化物あるいは水酸化物を被
覆したり、さらに脂肪酸やその金属塩、シリコーン系化
合物などの有機物を被覆するといった方法がとられてい
る。これらの方法によって、前述の黄変現象をかなり抑
制する効果はあるもののその効果が不充分であったり、
また充分な効果を出すためには多量の表面処理をする必
要があり、その結果として酸化チタンの含有量を低下さ
せることになり、本来の紫外線吸収、散乱能を損なうと
いった問題があった。また、中でもジメチルポリシロキ
サン、メチルハイドロジェンポリシロキサンなどのシリ
コーン系化合物を粒子表面に被覆した場合には、特に黄
変現象を抑制する効果が見出されたが、このものを化粧
料や塗料に配合すると分散性が悪くなることがあり、必
ずしも一般的に使用可能なものではなかった。
【0006】また、特表平4−503668号公報では
リン酸陰イオンにより酸化チタンによる黄変現象を抑制
するという提案がなされているが、このものによっても
効果は充分でなく、また原理的にリン酸陰イオンが酸化
チタン粒子表面に吸着されて効果を発揮しているもので
あることより、化粧料に配合する場合に一旦吸着したリ
ン酸陰イオンが再度脱着して効果が小さくなったり乳化
系に悪影響を及ぼす恐れもあった。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題点を解決すべく鋭意検討した結果、その粒子表面が水
難溶性のリン酸金属塩で被覆された超微粒子酸化チタン
が上述のような黄変現象を起こしにくく、かつ化粧料、
塗料、プラスチックスに対しても汎用的に利用できるこ
とを見出し、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明は、耐黄変性、耐光性に
優れかつ紫外線防御化粧料、塗料、プラスチックス組成
物として汎用的に利用できる超微粒子酸化チタンおよび
その製造方法並びにこれを用いた日焼け止め化粧料、紫
外線防御塗料、紫外線防御プラスチックス組成物であ
る。
【0009】本発明に用いる超微粒子酸化チタンは、一
般的に白色顔料として用いられる一次粒子径0.2〜
0.3μmの酸化チタンよりも小さな粒径を有するもの
であればその形状には制約されないが、好ましくは以下
のものが挙げられる。 一次粒子の形状が略球状で、その平均一次粒子径が
0.1μm以下のもの 一次粒子の形状が針状あるいは紡錘状であり、その一
次粒子の平均長軸径が0.05〜0.3μm、平均短軸
径が0.01〜0.05μmのもの 一次粒子の形状が樹枝状あるいはヒトデ状であり、そ
の一次粒子の平均長軸径が0.2〜0.5μm、平均短
軸径が0.04〜0.1μmのもの
【0010】ここで一次粒子とは、透過型電子顕微鏡で
観察したときに個別の粒子と判定できる最小単位の粒子
のことであり、部分的に焼結、凝集した粒子のことでは
ない。なお、上記で「略球状」というのは、のよ
うに明らかに異方性を有するものと区別した表現であ
り、必ずしも球状でなくても矩形や不定形のものでもよ
い。またでいう「樹枝状あるいはヒトデ状」の粒子と
は、特開平7−165423号公報に記載されているよ
うに、針状乃至棒状の構成粒子が集合・結合して束状の
形状物を形成し、さらにそれら束状のものが放射状に結
合して単一粒子を形成しているものであり、長軸形とは
個々の単一粒子の最長部分、短軸径とは該最長部分を構
成する束状物の短軸方向における最大径を示すものであ
る。
【0011】これらの超微粒子酸化チタンを製造する方
法としては、例えば、 (1)略球状物については、 (ア)塩化チタン、硫酸チタニル、有機チタネートなど
の可溶性チタン化合物の水溶液と中和剤とを混合するこ
とにより、中和加水分解を行い、得られた加水分解物を
1000℃以下の温度で焼成する。 (イ)塩化チタン、硫酸チタニル、有機チタネートなど
の可溶性チタン化合物の水溶液を、必要に応じて核種の
存在下、加熱加水分解を行い、得られた加水分解物を1
000℃以下の温度で焼成する。 (ウ)塩化チタン、有機チタネートなどの蒸気を加熱下
で酸素と接触させ、気相酸化反応を行う。 (2)紡錘状物、針状物、樹枝状物については、 (エ)上記(ア)、(イ)で得られた加水分解物をアル
カリ溶液中で加熱した後、酸溶液中で処理する。 ことなどが挙げられる。
【0012】超微粒子酸化チタンの結晶型は、紫外線防
御の観点から一般的にルチル型が好ましいが、アナター
ゼ型あるいはこれらを混合したものであってもよい。
【0013】次に本発明の製造方法、すなわち、上述の
超微粒子酸化チタンの粒子表面に水難溶性のリン酸金属
塩を被覆する方法について説明する。該リン酸金属塩と
してはアルミニウム、ジルコニウム、ケイ素、チタン、
セリウム、亜鉛及び鉄より選ばれた少なくとも一つの金
属元素とリン酸および/または水溶性リン酸塩との塩が
好適である。被覆の方法としては、例えば、上述の超微
粒子酸化チタンの水性スラリーに該金属元素の水溶性塩
またはその水溶液および水溶性リン酸化合物またはその
水溶液を添加して粒子表面に水難溶性リン酸金属塩を被
覆する。水性スラリーに添加するこれらの添加順序は適
宜選択してよいが、または同時添加でもよいが、好まし
くは金属元素の水溶性塩を先にするか同時添加がよい。
【0014】金属元素の水溶性塩としては、例えば、各
金属元素のハロゲン化物、オキシハロゲン化物、硫酸
塩、オキシ硫酸塩、アルカリ金属化合物などが挙げら
れ、水溶性リン酸化合物としてはオルトリン酸、メタリ
ン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、亜リン酸、次亜リン酸
およびそれらのアルカリ金属塩などが挙げられる。
【0015】超微粒子酸化チタンの水性スラリーのTiO2
濃度は1〜200g/lであり、好ましくは20〜10
0g/lである。この濃度が高きに過ぎるとスラリーの
粘度が高くなり攪拌が困難になるため均一な被覆処理が
出来ない。また、この濃度が低きに過ぎても被覆による
効果が期待できず、工業的な生産性が低下する。
【0016】被覆処理後の水性スラリーのpHは、通常
4〜10、好ましくは5〜8である。pHがこの範囲外
になると、粒子表面に被覆された水難溶性リン酸金属塩
が溶解する場合がある。
【0017】被覆処理時の水性スラリーの温度は、通常
20〜100℃、好ましくは50〜90℃である。この
温度範囲内において、水難溶性リン酸金属塩の結晶化が
促進される。
【0018】水難溶性リン酸金属塩の被覆量は、基体の
酸化チタンの重量に対して1〜30%、好ましくは5〜
20%である。被覆量が低きに過ぎるとこの効果の増大
が期待できないのみならず、酸化チタンの含有量を低く
せざるをえない結果、所望の紫外線防御能が得にくくな
る。
【0019】さらに、被覆処理工程の前、後または被覆
中に、前記の水溶性金属化合物と中和剤とをスラリー中
に添加して、該金属の酸化物および/または水酸化物を
粒子表面に被覆する工程を加えることにより、耐黄変性
のさらなる改善が可能である。 また、被覆処理工程の
前、後または被覆中に可溶性脂肪酸塩、例えばステアリ
ン酸、ラウリル酸、オレイン酸等のアルカリ金属塩と必
要に応じてアルミニウムや亜鉛等の可溶性金属塩とを、
硫酸や塩酸等の中和剤と共にスラリー中に添加して、粒
子表面に脂肪酸またはその金属塩を被覆してもよい。
【0020】以上のようにして得られた被覆生成物を濾
別し、必要に応じて洗浄した後、乾燥し、粉砕すること
により、本発明の超微粒子酸化チタンが得られる。さら
に、この様にして得られた粉体とシリコーン系化合物と
を混合、攪拌することによりシリコーン系化合物を粒子
表面に被覆してもよい。
【0021】次に本発明の超微粒子酸化チタンを配合し
た日焼け止め化粧料について説明する。日焼け止め化粧
料としては、例えばO/W型あるいはW/O型エマルジ
ョンが多く、乳液、クリームとして広く利用されてい
る。これらのタイプは基本的に水、油剤、界面活性剤、
紫外線防御剤およびその他の添加剤より成る。
【0022】油剤としては、例えば、ワセリン、スクワ
ランなどの炭化水素、動植物油などの油脂、ミツロウ、
ラノリンなどのワックスエステル、シリコーンオイル、
高級アルコール、高級脂肪酸などが挙げられる。紫外線
防御剤としては、本発明の超微粒子酸化チタンの他にそ
の他の酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムなどの無機
系紫外線防御剤や有機紫外線吸収剤が挙げられる。有機
紫外線吸収剤としては、パラメトキシケイ皮酸2-エトキ
シエチル、パラメトキシケイ皮酸ジエタノールアミン、
パラメトキシケイ皮酸オクチルなどのケイ皮酸誘導体、
パラアミノ安息香酸およびパラアミノ安息香酸グリセリ
ル、パラジメチルアミノ安息香酸アミルなどのパラアミ
ノ安息香酸誘導体、サリチル酸オクチル、サリチル酸ホ
モメンチルなどのサリチル酸誘導体、オキシベンゾン、
ジオキシベンゾンなどのベンゾフェノン誘導体、N,N,N-
トリメチル-4-(2-オキソ-3- ポルニリデンメチル)アニ
リニウムメチルサルフェート、5-(3,3- ジメチル-2- ノ
ルボニリデン)-3-ペンテン-2- オンなどのカンファー誘
導体、1-(4-tert-ブチルフェニル-3-(4-メトキシフェニ
ル) プロパン-1,3- ジオン、1-p-クメニル-3- フェニル
プロパン-1,3- ジオンなどのジベンゾイルメタン誘導
体、アントラニル酸メチルなどのアントラニル酸誘導体
などが挙げられる。さらに必要に応じて、パラベン類な
どの防腐剤や香料などを添加する。これらの内、ベンゾ
フェノン誘導体、アントラニル酸誘導体、ジベンゾイル
メタン誘導体は、紫外線の中でも特にUV-A(320-400nm)
領域を効果的に吸収することより、UV-B(280-320nm) の
防御に対して効果の高い超微粒子酸化チタンと併用する
事がより好ましい。特にUV-A吸収能の大きいジベンゾイ
ルメタン誘導体と本発明の超微粒子酸化チタンとを併用
すれば、黄変現象の問題もなく、巾広い紫外線領域に対
して所望の効果が得られる。これらの成分を混合し、ホ
モジナイザーなどを用いて乳化することにより、日焼け
止め化粧料が得られる。
【0023】また、上述のエマルジョン系の他に固形状
ファンデーションに本発明の超微粒子酸化チタンを配合
して日焼け止め効果を出すこともできる。成分としては
一般にタルク、マイカなどの体質顔料、酸化鉄、酸化チ
タンなどの着色顔料、スクワラン、パラフィンなどの油
剤、その他防腐剤、香料などから成り、パウダリーファ
ンデーション、ケーキタイプファンデーション、両用フ
ァンデーション、油性ファンデーションなどとして利用
される。
【0024】これら化粧料における本発明の超微粒子酸
化チタンの配合量は、重量基準で0.1〜50%、好ま
しくは1〜30%である。この範囲より少ないと紫外線
防御効果が充分でなく、逆に多過ぎると化粧料としての
形態が保ちにくく適当でない。
【0025】また、本発明の超微粒子酸化チタンを樹脂
と配合して紫外線防御塗料として利用することができ
る。
【0026】用いる樹脂としては、例えば、アルキッド
系、アクリル系、ビニル系、エポキシ系、ウレタン系、
ポリエステル系等の油性樹脂、アクリル系エマルジョ
ン、酢酸ビニル系エマルジョン等のエマルジョン樹脂、
水溶性アルキド系、水溶性アクリル系などの水溶性樹脂
を挙げることができる。これらの樹脂および溶媒に本発
明の超微粒子酸化チタンおよび必要に応じて分散剤など
の添加剤を配合し、ディスパー、ビーズミルなどを用い
て分散処理を施すことにより紫外線防御塗料が得られ
る。この塗料は、木材表面や食品、衣料品などの包装材
料の表面に塗布することにより、外観を損なうことな
く、これら木材、食品、衣料品を紫外線による劣化から
防ぐことができる。
【0027】該塗料中の超微粒子酸化チタンの含有量
は、重量基準で0.1〜30%、好ましくは1〜10%
である。この範囲より少ないと紫外線防御能が充分でな
く、また多過ぎると透明性が損なわれて好ましくない。
【0028】さらに、本発明の超微粒子酸化チタンをプ
ラスチックスに配合して、紫外線防御プラスチックス組
成物として利用することもできる。
【0029】用いるプラスチックスとしては、例えば、
ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、変成ポリフェニレンオキサイド、変成ポリフェニレ
ンエーテルなどの汎用エンジニアリングプラスチック
ス、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリエ
ーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェ
ニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリアミドビス
マレイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、フッ素
樹脂などの特殊エンジニアリングプラスチックス、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、AS樹脂、
ABS樹脂、などの熱可塑性汎用樹脂、エポキシ樹脂、
不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹
脂、シリコン樹脂などの熱硬化性樹脂を挙げることがで
きる。これらの原料と本発明の超微粒子酸化チタンおよ
び必要に応じて滑剤、可塑剤などの添加剤とをニーダ
ー、ロールミルなどで混練し、さらに延伸してシート状
にしたりプレス機により任意の形状に成形することによ
り、紫外線防御プラスチックス組成物を得ることができ
る。
【0030】該プラスチックス組成物中の超微粒子酸化
チタンの含有量は、重量基準で0.001〜20%、好
ましくは0.01〜10%である。この範囲より少ない
と紫外線防御能が充分でなく、また多過ぎると透明性が
損なわれて好ましくない。
【0031】
【実施例】
実施例1 (1)四塩化チタン水溶液の加水分解により得られた含
水酸化チタンを、TiO2換算100g/lの濃度の水性懸濁液と
した。この水性懸濁液2リットルに48%水酸化ナトリウ
ム水溶液1400gを攪拌しながら添加し、95℃で120 分加
熱後、濾過し、十分に洗浄をおこなった。洗浄ケーキを
水でレパルプし、TiO2換算100g/lの濃度の水性懸濁液と
し、この水性懸濁液1.5 リットルを還流器付きフラスコ
に入れ、35%塩酸570gを攪拌しながら30分間で添加した
後、95℃まで加熱し、90分間熟成し、ルチル型結晶の平
均長軸径0.07μm、平均短軸径0.01μm、比表面積99m2
/gの紡錘状超微粒子酸化チタンを含む水性懸濁液を得
た。
【0032】(2)前記(1)で得られた紡錘状超微粒
子酸化チタンを含む水性懸濁液を70℃に加熱し、この中
へTiO2に対してP2O5として11重量%のオルトリン酸水溶
液を添加し、次にAl2O3 として8重量%のアルミン酸ナ
トリウム水溶液を添加し、引き続き硫酸水溶液を添加
し、pHを7.0 に調整してリン酸アルミニウムを被覆させ
た。その後、60分間熟成し、濾過、洗浄し、乾燥した
後、粉砕して本発明の超微粒子酸化チタン粉末(試料
A)を得た。
【0033】実施例2 実施例1の(1)で得られた紡錘状超微粒子酸化チタン
を含む水性懸濁液を70℃に加熱し、この中へTiO2に対し
て、ZrO2として2 重量%の硫酸ジルコニウム水溶液と水
酸化ナトリウム水溶液とを系のpHを7〜10に維持するよ
うに同時に添加し、次に、P2O5として6重量%のピロリ
ン酸ナトリウム水溶液を添加し、次にAl2O3 として3重
量%のアルミン酸ナトリウム水溶液を添加し、引き続き
硫酸水溶液を添加し、pHを7.0 に調整して酸化ジルコニ
ウム及びリン酸アルミニウムを被覆させた。その後、60
分間熟成し、濾過、洗浄し、乾燥した後、粉砕して本発
明の超微粒子酸化チタン粉末(試料B)を得た。
【0034】実施例3 (1)TiO2として200g/lの濃度の四塩化チタン水溶液を
室温に保持しながら水酸化ナトリウム水溶液を添加し、
pHを7.0 に調整してコロイド状の非晶質含水酸化チタン
を析出させ、引き続き熟成してルチル型のチタニアゾル
を得た。その後、濾過、洗浄し、乾燥した後、電気炉に
て600 ℃で2時間焼成し、ハンマーミルで粉砕して平均
一次粒子径0.05μmのルチル型結晶略球状微粒子酸化チ
タン粉末を得た。この粉末を水に分散させてTiO2換算10
0g/lの水性懸濁液を得た。
【0035】(2)前記(1)の水性懸濁液を70℃に加
熱し、この中へTiO2に対して、P2O5として11重量%のト
リポリリン酸水溶液を添加し、次にAl2O3 として8重量
%のアルミン酸ナトリウム水溶液を添加し、引き続き硫
酸水溶液を添加し、pHを7.0に調整してリン酸アルミニ
ウムを被覆させた。その後60分間熟成し、濾過、洗浄
し、乾燥した後、粉砕して本発明の超微粒子酸化チタン
粉末(試料C)を得た。
【0036】実施例4 (1)四塩化チタン水溶液の加水分解により得られた含
水酸化チタンを、TiO2換算100g/lの濃度の水性懸濁液と
した。この水性懸濁液2リットルに48%水酸化ナトリウ
ム水溶液1400gを攪拌しながら添加し、95℃で120 分加
熱後、濾過し、十分に洗浄をおこなった。洗浄ケーキを
水でレパルプし、TiO2換算100g/lの濃度の水性懸濁液と
し、この水性懸濁液1.5 リットルを還流器付きフラスコ
に入れ、35%塩酸570gを攪拌しながら瞬時(4モル/
秒)に添加した後、95℃まで加熱し、90分間熟成し、ル
チル型結晶の平均長軸径0.26μm、平均短軸径0.052 μ
m、比表面積79m2/gの樹枝状超微粒子酸化チタンを含む
水性懸濁液を得た。
【0037】(2)前記(1)で得られた樹枝状超微粒
子酸化チタンを含む水性懸濁液を70℃に加熱し、この中
へTiO2に対してZrO2として2重量%の硫酸ジルコニウム
水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを系のpHを7〜10に
維持するように並行添加し、次に、P2O5として11重量%
のリン酸水素ナトリウム水溶液とAl2O3 として8重量%
の硫酸アルミニウム水溶液とを系のpHを7〜10に維持す
るように同時に添加し、引き続き硫酸水溶液を添加し、
pHを7.0 に調整してジルコニウム及びリン酸アルミニウ
ムを被覆させた。その後、60分間熟成し、濾過、洗浄
し、乾燥した後、粉砕して本発明の超微粒子酸化チタン
粉末(試料D)を得た。
【0038】比較例1 実施例1の(1)で得られた紡錘状超微粒子酸化チタン
を含む水性懸濁液を70℃に加熱し、この中へTiO2に対し
てAl2O3 として8重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液
を添加し、引き続き硫酸水溶液を添加し、pHを7.0 に調
整して含水アルミナを被覆させた。その後、60分間熟成
し、濾過、洗浄し、乾燥した後、粉砕して粉末(試料
E)を得た。
【0039】比較例2 実施例1の(1)で得られた紡錘状超微粒子酸化チタン
粉末30gをTiO2に対して、P2O5として11重量%のオルト
リン酸水溶液100ml に分散させ、1時間放置し、濾過、
洗浄し、乾燥した後、粉砕して粉末(試料F)を得た。
【0040】比較例3 実施例1の(1)で得られた紡錘状超微粒子酸化チタン
を含む水性懸濁液を70℃に加熱し、この中へTiO2に対し
て、ZrO2として2重量%の硫酸ジルコニウム水溶液と水
酸化ナトリウム水溶液とを系のpHを7〜10に維持するよ
うに同時に添加し、次に、Al2O3 として3重量%のアル
ミン酸ナトリウム水溶液を添加し、引き続き硫酸水溶液
を添加し、pHを7.0 に調整して酸化ジルコニウム及びア
ルミナを被覆させた。その後、60分間熟成し、濾過、洗
浄し、乾燥した後、粉砕して粉末(試料G)を得た。
【0041】比較例4 前記試料Gの30gを、TiO2に対してP2O5として6重量%
のピロリン酸ナトリウム水溶液100ml に分散させ、1時
間放置し、濾過、洗浄し、乾燥した後、粉砕して粉末
(試料H)を得た。
【0042】比較例5 実施例3の(1)で得られた水性懸濁液を70℃に加熱
し、この中へTiO2に対して、Al2O3 として8重量%のア
ルミン酸ナトリウム水溶液を添加し、引き続き硫酸水溶
液を添加し、pHを7.0 に調整して含水アルミナを被覆さ
せた。その後、60分間熟成し、濾過、洗浄し、乾燥した
後、粉砕して粉末(試料I)を得た。
【0043】比較例6 実施例4の(1)で得られた水性懸濁液を70℃に加熱
し、この中へTiO2に対して、ZrO2として2重量%の硫酸
ジルコニウム水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを系の
pHを7〜10に維持するように同時に添加し、次に、Al2O
3 として8重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液を添加
し、引き続き硫酸水溶液を添加し、pHを7.0 に調整して
酸化ジルコニウム及びアルミナを被覆させた。その後、
60分間熟成し、濾過、洗浄し、乾燥した後、粉砕して粉
末(試料J)を得た。
【0044】試験例1 試料A〜Jについて下記処方で有機紫外線吸収剤の変色
テストを行った。 (1)パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル 6.0 g (2)ブチルメトキシベンゾイルメタン 0.8 g (3)試料 2.0 g
【0045】成分(1)〜(3)をフーバーマーラーで
30秒混練し、得られた混練物をサンプル瓶に詰め、底面
のカラー(初期値)をカラーメーターで測定した。その
後、サンプル瓶を50℃の恒温槽に2週間つけておき、2
週間後再び底面カラーを測定し、初期値との色差ΔE
(1)を求めた。
【0046】試験例2 前記試料A〜Jについて、下記処方で油剤の一例として
ヒマシ油の変色テストを行った。 (1)ヒマシ油 1.6 g (2)試料 1.2 g
【0047】成分(1)〜(2)をフーバーマーラーで
60秒混練し、得られた混練物を石英ガラス上に25μmの
膜厚になるように塗布し、カラー(初期値)をカラーメ
ーターで測定した。その後、塗布板をフェードメーター
にて5分間暴露し、再びカラーを測定し、初期値との色
差ΔE(2)を求めた。前記試験例1及び2の結果を、
表1〜3に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】試験例3 試料A及びGについて、試料30gを水100ml でスラリー
化し、1時間放置した後、濾過、洗浄し、真空乾燥した
後粉砕した。これらについて洗浄前後でのPの含有量及
び試験例1及び2に方法でΔE(1)及びΔE(2)を
調べた。結果を表4に示す。
【0052】
【表4】
【0053】試験例4 試料A及びGについて、下記の処方で日焼け止めクリー
ムとした。 (1)ステアリン酸 2.5 重量部 (2)サラシミツロウ 3.5 重量部 (3)セタノール 3.5 重量部 (4)スクワラン 17.0 重量部 (5)モノステアリン酸グリセリン 3.0 重量部 (6)試料 3.0 重量部 (7)メチルパラベン 0.1 重量部 (8)グリセリン 12.0 重量部 (9)トリエタノールアミン 1.0 重量部 (10)精製水 54.1 重量部 (11)香料 0.3 重量部
【0054】成分(1)〜(6)を80℃で加熱混合した
ものを、(7)〜(10)を80℃で加熱混合したものに加
え、ホモミキサーでよく混合し、強く攪拌する。45℃付
近で(11)を添加して日焼け止めクリームを調製した。
上記各クリームを石英ガラス上に25μmの膜厚になるよ
うに塗布し、分光光度計にて750 〜300 nmの透過光を測
定した。その結果を表5に示す。
【0055】
【表5】
【0056】
【発明の効果】本発明は、超微粒子酸化チタンの水性ス
ラリーにリン酸および/またはリン酸塩と水溶性金属化
合物とを添加し、粒子表面に水難溶性リン酸金属塩を被
覆することによって得られる超微粒子酸化チタンであっ
て、当該酸化チタンは、耐黄変性、耐光性に優れ、紫外
線防御機能を有する化粧料、塗料、プラスチックス組成
物として工業的に大きな効果を奏するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09K 3/00 104 C09K 3/00 104Z (72)発明者 服部 雅一 三重県四日市市石原町1番地 石原産業株 式会社四日市事業所内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粒子表面に水難溶性のリン酸金属塩の被覆
    を有する超微粒子酸化チタン。
  2. 【請求項2】一次粒子の形状が略球状であり、その平均
    一次粒子径が0.01〜0.1μmである請求項1記載
    の超微粒子酸化チタン。
  3. 【請求項3】一次粒子の形状が針状あるいは紡錘状であ
    り、その一次粒子の平均長軸径が0.05〜0.3μ
    m、平均短軸径が0.01〜0.05μmである請求項
    1記載の超微粒子酸化チタン。
  4. 【請求項4】一次粒子の形状が樹枝状あるいはヒトデ状
    であり、その一次粒子の平均長軸径が0.2〜0.5μ
    m、平均短軸径が0.04〜0.1μmである請求項1
    記載の超微粒子酸化チタン。
  5. 【請求項5】水難溶性リン酸金属塩がリン酸アルミニウ
    ムである請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の超微
    粒子酸化チタン。
  6. 【請求項6】水難溶性リン酸金属塩の被覆量が、酸化チ
    タンの重量に対して1〜30%である請求項1記載の超
    微粒子酸化チタン。
  7. 【請求項7】基体としての超微粒子酸化チタンの水性ス
    ラリーにリン酸および/または水溶性リン酸塩と水溶性
    金属化合物とを添加して基体粒子表面に水難溶性リン酸
    金属塩を被覆することを特徴とする超微粒子酸化チタン
    の製造方法。
  8. 【請求項8】水難溶性リン酸金属塩がリン酸アルミニウ
    ムである請求項7記載の超微粒子酸化チタンの製造方
    法。
  9. 【請求項9】基体粒子表面に水難溶性リン酸金属塩を被
    覆する前、後または被覆中に、超微粒子酸化チタンの水
    性スラリーに水溶性金属化合物と中和剤とを添加して当
    該基体粒子表面に金属酸化物および/または金属水酸化
    物を被覆する請求項7記載の超微粒子酸化チタンの製造
    方法。
  10. 【請求項10】水溶性金属化合物がジルコニウム化合
    物、アルミニウム化合物またはケイ素化合物である請求
    項9記載の超微粒子酸化チタンの製造方法。
  11. 【請求項11】請求項1乃至請求項6のいずれかに記載
    の超微粒子酸化チタンを含有する日焼け止め化粧料。
  12. 【請求項12】有機紫外線吸収剤を含有する請求項11
    記載の日焼け止め化粧料。
  13. 【請求項13】有機紫外線吸収剤がベンゾフェノン誘導
    体、アントラニル酸誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体
    の少なくとも1種である請求項12記載の日焼け止め化
    粧料。
  14. 【請求項14】請求項1乃至請求項6のいずれかに記載
    の超微粒子酸化チタンを含有する紫外線防御塗料。
  15. 【請求項15】請求項1乃至請求項6のいずれかに記載
    の超微粒子酸化チタンを含有する紫外線防御プラスチッ
    クス組成物。
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