JP3534039B2 - 表面活性を抑制した酸化亜鉛粒子及びその製造と利用 - Google Patents

表面活性を抑制した酸化亜鉛粒子及びその製造と利用

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JP3534039B2
JP3534039B2 JP2000142235A JP2000142235A JP3534039B2 JP 3534039 B2 JP3534039 B2 JP 3534039B2 JP 2000142235 A JP2000142235 A JP 2000142235A JP 2000142235 A JP2000142235 A JP 2000142235A JP 3534039 B2 JP3534039 B2 JP 3534039B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面にケイ酸亜鉛
からなる被覆層を有し、表面活性が大幅に抑制されてい
るうえに、400nm付近の長波長領域の紫外線を含め
て、紫外線に対してすぐれた遮蔽性を有すると共に、透
明性にもすぐれる酸化亜鉛粒子及びその製造と利用に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、オゾン層の一部破壊によって、地
表に到達する紫外線の絶対量が増加しており、これに伴
って、紫外線からの人体の防御に関する関心が高まって
いる。既に、知られているように、地表に到達する紫外
線には、290〜320nmのB領域のものと、320
〜400nmのA領域のものがあり、最近では、B領域
だけでなく、より長波長のA領域の紫外線からの防御に
特に大きな関心がもたれている。
【0003】従来、有機紫外線吸収剤がフィルム、塗料
等や、サンスクリーン化粧料等に広く用いられている。
しがしながら、フィルム等の樹脂成形品や塗料の分野に
おいては、時間の経過と共に、配合した有機紫外線吸収
剤がフィルムや塗膜の表層へ移行する現象、所謂ブリー
ドアウトが起こったり、また、紫外線吸収剤が光分解し
て、紫外線遮蔽効果が劣化する等の問題がある。
【0004】更に、従来の有機紫外線吸収剤は、化粧品
分野においては、肌への刺激性に問題があり、加えて、
有機紫外線吸収剤の紫外線吸収波長が特定の領域に限ら
れていることもあって、近年、広い範囲の波長の紫外線
を遮蔽することができる材料が強く要望されている。
【0005】他方、従来、無機紫外線吸収剤も広く用い
られており、なかでも、超微粒子ルチル型酸化チタンが
塗料や化粧品の分野に広く用いられている。しかし、ル
チル型酸化チタンは、屈折率が大きい(2.7)ので、超
微粒子であるにもかかわらず、隠蔽力が強く、かくし
て、樹脂成形品や塗料に配合した場合、透明性において
不十分であり、また、超微粒子ルチル型酸化チタンを配
合した日焼け止め化粧品を肌に塗布すると、超微粒子ル
チル型酸化チタンが青色光を強く散乱して、しばしば青
ざめた色調を与えて、肌を不健康にみせる問題もある。
更に、A領域の紫外線に対する遮蔽性も不十分である。
【0006】そこで、A領域の紫外線に対する遮蔽性に
すぐれている酸化チタンとして、Ti、Si及びFeの
複合酸化物が提案されている(特開平9−30933号
公報)。また、青味の色調を抑えて、日焼け止め化粧料
に有用なものとして、鉄含有超微粒子ルチル型酸化チタ
ンが提案されている(特開平5−330825号公
報)。しかし、これらも、依然として、A領域の紫外線
の遮蔽能が不十分であり、また、屈折率が大きいことか
ら、下地を隠蔽する傾向があり、特に、A領域の紫外線
まで遮蔽することができる量を配合すれば、透明感が一
層なくなる問題がある。
【0007】一方、超微粒子酸化亜鉛は、380nmの
紫外線波長に鋭い吸収端をもち、B領域はもとより、A
領域の紫外線の大部分を遮蔽することができる性質を有
し、また、屈折率が小さい(2.0)ので、非常に透明性
にすぐれているところから、近年、紫外線吸収剤とし
て、非常に注目されるに至っている。そして、従来、主
に化粧品分野に用いられているが、そのすぐれた特性か
ら、化粧品分野のみならず、多様な分野への利用が展開
されつつある。
【0008】しかし、同時に、従来より知られている超
微粒子酸化亜鉛は、紫外線吸収剤として用いる場合に、
これまで、種々の問題点が指摘されている。例えば、ポ
リエチレンテレフタレートやポリカーボネート等の熱可
塑性樹脂に配合すれば、超微粒子酸化亜鉛がこれらの樹
脂の分解を促進して、成形性を著しく損なうという問題
がある。また、超微粒子酸化亜鉛を塗料に配合した場合
には、酸化亜鉛と樹脂バインダーが反応して、塗料が経
時的に増粘し、ゲル化する問題がある。
【0009】更に、従来より知られている超微粒子酸化
亜鉛を配合した樹脂成形品や塗膜を屋外に曝した場合
は、酸化亜鉛粒子がその近傍の樹脂を光触媒的に酸化分
解する問題があり、化粧品においても、この光触媒能に
よる活性酸素の生成が危惧されている。
【0010】更に、酸化亜鉛は、元来、水に微量溶解す
る性質があり、その溶出亜鉛イオンによる生理作用が化
粧品分野では古くより収斂剤として利用されている。更
に、脂肪酸と反応して金属石ケンを生成する化学反応性
は、皮膚から分泌される皮脂を吸収して、化粧持ちをよ
くしたり、また、体臭成分を吸収するデオドラント効果
として利用されることもある。
【0011】しかし、これらの生理活性と化学反応性
は、酸化亜鉛を超微粒子化することによって一層強くな
る傾向にあり、皮膚組織に対する安全性の観点から、粒
子表面の活性を抑制することが求められている。
【0012】そこで、本発明者らは、このような酸化亜
鉛本来の表面活性を抑制するために、酸化亜鉛粒子の表
面を高密度シリカ等で表面処理することを提案している
(特開平11−336316号公報)。しかし、このよ
うな表面処理又はコーティングと呼ばれる手法は、基本
的には、酸化亜鉛粒子の表面にシリカやアルミナ等の含
水酸化物からなる被覆層を形成するものであり、従っ
て、高温で成形する樹脂成形品の製造や塗装を行なう粉
体塗料、プレコートメタル等の高温焼き付け型塗料にお
いては、そのような含水酸化物からなる被覆層に起因し
て、樹脂や塗料が成形性において低下する問題がある。
【0013】更に、これらの含水酸化物を被覆した酸化
亜鉛粒子は、ポリエチレンテレフタレートやポリカーボ
ネート樹脂の加水分解を促進するという致命的な欠陥を
有している。
【0014】加えて、食品包装フィルムにおいては、そ
の内容物に応じて、400nm付近までの紫外線をも遮
蔽しなければならず、また、上塗り、下塗りの2コート
系の自動車塗料においては、上塗り層は400nm強ま
での波長の光が透過しないことが求められるが、しか
し、超微粒子酸化亜鉛単独では、その性質上、380n
m以上の光を遮蔽することができない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、酸化亜鉛粒
子、特に、超微粒子酸化亜鉛における上述した問題を解
決するためになされたものであって、従来の超微粒子酸
化亜鉛における上述した種々の問題なしに、樹脂成形
品、塗料、化粧料等、広範な分野の製品に安全で有効な
紫外線遮蔽性を与えることができる表面活性を抑制した
酸化亜鉛粒子、好ましくは、超微粒子酸化亜鉛と、その
製造方法を提供することを目的とする。
【0016】また、本発明は、そのような酸化亜鉛粒子
の用途、特に、樹脂成形品、塗料や化粧料を提供するこ
とを目的とする。更に、本発明は、400nm付近の長
波長領域の紫外線をも有効に遮蔽することができる超微
粒子酸化亜鉛を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明による表面活性を
抑えた酸化亜鉛粒子は、その表面に酸化亜鉛に対してケ
イ酸亜鉛(オルトケイ酸亜鉛、Zn2 SiO4 )換算で
0.5〜50重量%、好ましくは、1〜15重量%の範囲
のケイ酸亜鉛からなる被覆層を有することを特徴とす
る。
【0018】本発明において、「ケイ酸亜鉛換算にて」
というとき、このケイ酸亜鉛は、オルトケイ酸亜鉛(Z
2 SiO4 )を意味するものとする。
【0019】また、本発明においては、酸化亜鉛粒子の
原料(出発物質)として、酸化亜鉛粒子自体のほか、空
気中で加熱することによって酸化亜鉛に変換することが
できる水不溶性亜鉛化合物(具体例は後述する。)や、
或いは、特に、鉄又はコバルトを固溶していると共に、
表面にケイ酸亜鉛からなる被覆層を有する酸化亜鉛粒子
を得る場合には、中和剤で中和することによって上記水
不溶性亜鉛化合物を生成する水溶性塩(具体例は後述す
る。)を用いることができる。このような場合におい
て、「酸化亜鉛に対して」というとき、本発明において
は、このように、酸化亜鉛のための出発物質として用い
た上記水不溶性亜鉛化合物や上記水溶性亜鉛塩から形成
される(厳密には、理論量の)「酸化亜鉛に対して」と
いうことを意味するものとする。
【0020】このような表面活性を抑えた酸化亜鉛粒子
は、水不溶性亜鉛化合物の粒子の水性懸濁液に、水溶性
ケイ酸塩と水溶性亜鉛塩のそれぞれの水溶液をケイ酸亜
鉛(Zn2 SiO4 )を形成する化学量論比で、且つ、
酸化亜鉛に対してケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4 )換算で
0.5〜50重量%の範囲の量を加えた後、水洗、乾燥
し、次いで、300〜1200℃の範囲の温度に加熱し
て、酸化亜鉛粒子を生成させると共に、その粒子の表面
にケイ酸亜鉛からなる被覆層を形成させることによって
得ることができる。
【0021】上記水不溶性亜鉛化合物としては、例え
ば、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、塩基性炭酸亜
鉛、硫化亜鉛又はシュウ酸亜鉛等が用いられる。
【0022】鉄又はコバルトを固溶した本発明による酸
化亜鉛粒子を得るには、上記方法において、ケイ酸亜鉛
(Zn2 SiO4 )を形成する化学量論比で水溶性ケイ
酸塩と水溶性亜鉛塩のそれぞれの水溶液を水不溶性亜鉛
化合物粒子の水性懸濁液に加える前に、予め、酸化亜鉛
に対して所定量の含水酸化鉄又は含水酸化コバルトを上
記亜鉛化合物粒子の表面に沈着させておき、次いで、こ
のような懸濁液にケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4 )を形成
する化学量論比で水溶性ケイ酸塩と水溶性亜鉛塩のそれ
ぞれの水溶液を加えた後、水洗、乾燥し、300〜12
00℃の範囲の温度に加熱すればよい。このような方法
によって、上記亜鉛化合物粒子を酸化亜鉛粒子に変換す
る、即ち、上記亜鉛化合物粒子から酸化亜鉛粒子を生成
させると共に、この酸化亜鉛粒子中に鉄又はコバルトを
固溶させ、同時に、その粒子の表面にケイ酸亜鉛層を形
成させるのである。
【0023】ここで、通常、鉄又はコバルトを酸化亜鉛
粒子の結晶内に固溶させるには、数百℃、好ましくは、
600〜1000℃の高温での加熱、焼成を必要とする
が、このように高温で酸化亜鉛粒子を焼成すれば、粒子
が著しく成長して、透明性の高い粒子を得ることができ
ない。しかし、本発明によれば、酸化亜鉛粒子は、その
表面にケイ酸亜鉛からなる被覆層を有するので、上記の
ような高温度で焼成しても、粒子同士の焼結が殆ど起こ
らないので、超微粒子を得ることができる。
【0024】上記のほか、鉄又はコバルトが固溶されて
いてもよい酸化亜鉛の表面に、酸化亜鉛に対してケイ酸
亜鉛(Zn2 SiO4 )換算で0.5〜50重量%の範囲
のケイ酸亜鉛からなる第1の被覆層を有し、更に、その
上に、酸化亜鉛に対して酸化物換算で0.5〜30重量%
の範囲のAl、Ti、Zr、Sn、Sb及び希土類元素
よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物
からなる第2の被覆層を有する表面活性を抑えた酸化亜
鉛粒子が提供される。
【0025】このような酸化亜鉛粒子は、鉄又はコバル
トが固溶されていてもよい酸化亜鉛粒子の表面にケイ酸
亜鉛からなる被覆層を有する酸化亜鉛粒子を調製した
後、次いで、このような酸化亜鉛粒子の水性懸濁液にア
ルミニウム、ケイ素、スズ、ジルコニウム、アンチモン
及び希土類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元
素の水溶性化合物の水溶液を加えた後、酸又はアルカリ
を中和剤として加えて、上記元素の水溶性化合物を中和
し、上記酸化亜鉛粒子の表面に沈殿させて、上記元素の
酸化物からなる第2の被覆層を形成することによって得
ることができる。
【0026】また、上述した本発明による酸化亜鉛粒子
は、必要に応じて、有機ケイ素化合物、高級脂肪酸、高
級脂肪酸エステル、金属石ケン、多価アルコール又はア
ルカノールアミンで更に処理されていてもよい。
【0027】このような本発明による酸化亜鉛粒子は、
好ましくは、0.15μm以下の平均粒子径を有する。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明において原料として用いる
酸化亜鉛粒子は、電気亜鉛地金を蒸発酸化して得られる
ものや、硫酸亜鉛、塩化亜鉛のような水溶性塩の水溶液
を中和して得られる水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、塩基性炭酸
亜鉛、硫化亜鉛、シュウ酸亜鉛等を焼成して得られるも
の等、特に、限定されるものではなく、いずれでもよ
い。
【0029】本発明において、原料として用いる酸化亜
鉛粒子は、高い透明性を有することが好ましく、従っ
て、平均一次粒子径は0.15μm以下であることが好ま
しい。平均一次粒子径が0.15μmよりも大きいとき
は、隠蔽力が大きく、例えば、フィルム、塗料、化粧品
等に配合した場合にそれらの透明性を低くし、白くす
る。しかし、本発明においては、必要に応じて、平均一
次粒子径が0.15μmよりも大きい酸化亜鉛粒子を原料
として用いてもよい。原料として用いる酸化亜鉛粒子の
平均一次粒子径の下限は、特に限定されるものではない
が、通常、0.01μmである。ここに、平均一次粒子径
とは、透過型電子顕微鏡の10万倍の視野で、一定方向
径(所謂FERET径)で定義されるものである。
【0030】本発明による表面活性を抑制した酸化亜鉛
粒子は、その表面に酸化亜鉛に対してケイ酸亜鉛(Zn
2 SiO4 )換算で0.5〜50重量%、好ましくは、1
〜15重量%の範囲でケイ酸亜鉛からなる被覆層を有す
る。本発明による酸化亜鉛粒子におけるケイ酸亜鉛の割
合がケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4 )換算で0.5重量%よ
りも少ないときは、酸化亜鉛が本来、有する表面活性を
十分に抑えることができず、他方、50重量%よりも多
いときは、酸化亜鉛本来の紫外線遮蔽効果が著しく低下
する。
【0031】本発明による酸化亜鉛粒子は、原料酸化亜
鉛粒子の水性懸濁液に、水溶性ケイ酸塩と水溶性亜鉛塩
のそれぞれの水溶液をケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4 )を
形成する化学量論比で、且つ、上記酸化亜鉛に対してケ
イ酸亜鉛(Zn2 SiO4 )換算で0.5〜50重量%の
範囲の量を加えた後、水洗、乾燥し、次いで、300〜
1200℃の範囲の温度に加熱して、酸化亜鉛粒子を生
成させると共に、その粒子の表面にケイ酸亜鉛層を形成
させることによって得ることができる。
【0032】この方法を更に詳細に説明すれば、上記酸
化亜鉛粒子の水性懸濁液を調製するには、サンドミル等
の粉砕機によって十分に粉砕した酸化亜鉛粒子を水に懸
濁させることが好ましく、ここに、懸濁液における酸化
亜鉛粒子の濃度は、50〜250g/Lの範囲が好まし
い。但し、本発明においては、酸化亜鉛粒子の水性懸濁
液の調製と懸濁液における酸化亜鉛粒子の濃度は、上記
例示に限定されるものではない。
【0033】次に、このようにして得られた酸化亜鉛粒
子の水性懸濁液に水溶性ケイ酸塩の水溶液と水溶性亜鉛
塩の水溶液をケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4 )を形成する
化学量論比で、且つ、酸化亜鉛に対してケイ酸亜鉛(Z
2 SiO4 )換算で0.5〜50重量%の範囲の量を加
える。この際、必要に応じて、中和剤を加えて、pHを
調整してもよい。
【0034】上記水溶性ケイ酸塩としては、ケイ酸ナト
リウム、ケイ酸カリウム等のようなケイ酸アルカリ金属
が好ましく用いられ、また、水溶性亜鉛塩としては、硫
酸亜鉛、塩化亜鉛等の無機酸塩が好ましく用いられる
が、しかし、これらに限定されるものではない。ここ
に、酸化亜鉛粒子の懸濁液に水溶性ケイ酸塩の水溶液と
水溶性亜鉛塩の水溶液を加えるに際して、いずれを先に
加えてもよく、また、両者を同時に加えてもよい。
【0035】本発明によれば、このようにして、得られ
た懸濁液から酸化亜鉛粒子を分別し、洗浄し、必要に応
じて、乾燥させた後、例えば、空気のような酸化性雰囲
気下、300〜1200℃の範囲の温度に加熱、焼成
し、この後、ハンマーミル、エッジランナーミル、ジェ
ットミル等、適宜の粉砕機にて乾式粉砕することによっ
て、平均粒子径0.01〜0.15μmのケイ酸亜鉛からな
る被覆層を有する本発明による酸化亜鉛粒子を得ること
ができる。
【0036】このようにして得られた酸化亜鉛粒子を焼
成するに際して、焼成温度が300℃よりも低いとき
は、酸化亜鉛粒子上に含水ケイ酸亜鉛が残存するために
好ましくなく、他方、1200℃を超えるときは、粒子
が成長して極端に大きくなり、高い透明性を有する酸化
亜鉛粒子を得ることができない。好ましくは、焼成温度
は、500〜1100℃の範囲であり、最も好ましく
は、600〜1000℃の範囲である。
【0037】また、上述した方法のほかに、水不溶性亜
鉛化合物粒子の水性懸濁液に水溶性ケイ酸塩を加え、次
いで、中和剤を加えて、熟成した後、水洗、乾燥し、更
に、焼成することによっても、上記亜鉛化合物粒子の表
面にケイ酸亜鉛からなる被覆層を形成することができ
る。
【0038】このように、本発明による酸化亜鉛粒子
は、その表面にケイ酸亜鉛からなる被覆層を有するの
で、適宜の媒体中に分散させた場合、上記ケイ酸亜鉛か
らなる被覆層が酸化亜鉛粒子を媒体から完全に隔離する
ことにより、例えば、酸化亜鉛本来の性質である水への
溶解性や脂肪酸等との化学反応性を著しく抑制すること
ができ、更には、光触媒活性をもほぼ完全に抑制するこ
とができる。
【0039】また、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、塩基性炭酸
亜鉛、硫化亜鉛、シュウ酸亜鉛等のように、空気中で加
熱することによって酸化亜鉛に変換することができる水
不溶性亜鉛化合物であれば、酸化亜鉛に代えて、原料と
して用いることができる。即ち、酸化亜鉛粒子に代え
て、このような水不溶性亜鉛化合物粒子を用い、前述し
たようにして、水溶性ケイ酸と水溶性亜鉛塩のそれぞれ
の水溶液をケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4 )を形成する化
学量論比で、且つ、酸化亜鉛に対してケイ酸亜鉛(Zn
2 SiO4 )換算で0.5〜50重量%の範囲の量を加え
た後、水洗、乾燥し、次いで、300〜1200℃の範
囲の温度に加熱して、上記亜鉛化合物粒子を酸化亜鉛粒
子に変換すると共に、その表面にケイ酸亜鉛からなる被
覆層を形成させるのである。
【0040】更に、本発明によれば、鉄が酸化亜鉛に対
して鉄換算にて0.1〜20重量%の範囲で固溶されてい
ると共に、その表面に酸化亜鉛に対してケイ酸亜鉛(Z
2SiO4 )換算で0.5〜50重量%、好ましくは、
1〜15重量%の範囲のケイ酸亜鉛からなる被覆層を有
する鉄固溶酸化亜鉛粒子が提供される。
【0041】この鉄固溶酸化亜鉛粒子において、酸化亜
鉛への鉄の固溶量は、酸化亜鉛に対して鉄換算で0.1〜
20重量%、好ましくは、0.5〜15重量%、特に好ま
しくは、1〜10重量%の範囲である。このように、酸
化亜鉛に鉄を固溶させることによって、400nmもの
長波長領域の紫外線を有効に遮蔽する酸化亜鉛超微粒子
を得ることができ、このような酸化亜鉛超微粒子は、こ
れを化粧料に配合することによって、他の成分との望ま
しくない反応を起こさず、活性酸素の生成のおそれがな
く、更に、白味のない素肌感覚の仕上がりを得ることが
できる化粧料とすることができる。
【0042】酸化亜鉛への鉄の固溶量が鉄換算で0.1重
量%よりも少ないときは、380nmより長波長のA領
域紫外線を遮蔽する効果が不十分であり、他方、20重
量%よりも多いときは、鉄の一部が酸化亜鉛に固溶しな
いまま、酸化亜鉛と分離して存在することなり、塗料や
乳液への配合時に色分かれ等の問題が生じる。
【0043】このような鉄固溶酸化亜鉛粒子は、本発明
に従って、酸化亜鉛粒子の水性懸濁液に、酸化亜鉛に対
して鉄換算で0.1〜20重量%の水溶性鉄塩の水溶液を
加えた後、中和剤を加えて、上記酸化亜鉛粒子の表面に
含水酸化鉄層を形成させ、この後、前述したようにし
て、このような酸化亜鉛粒子を含む水性懸濁液に、水溶
性ケイ酸塩と水溶性亜鉛塩のそれぞれの水溶液をケイ酸
亜鉛(Zn2 SiO4 )を形成する化学量論比で、且
つ、酸化亜鉛に対してケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4)換
算で0.5〜50重量%の範囲の量を加えた後、水洗、乾
燥し、次いで、300〜1200℃の範囲の温度に加熱
して、酸化亜鉛粒子中に鉄を固溶させると共に、表面に
ケイ酸亜鉛からなる被覆層を形成させることによって得
ることができる。
【0044】本発明によれば、酸化亜鉛粒子上に含水酸
化鉄を沈着させるためには、例えば、酸化亜鉛粒子の水
性懸濁液に酸化亜鉛に対して鉄換算で0.1〜20重量%
の水溶性鉄塩を加えた後、中和剤を加えて、上記懸濁液
を中和すればよい。上記水溶性鉄塩としては、例えば、
塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、硝
酸第一鉄、硝酸第二鉄等が好ましく用いられるが、これ
らに限定されるものではない。また、上記中和剤として
は、限定されるものではないが、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、水酸化アンモニウム等が好ましく用いら
れる。
【0045】このように、表面に含水酸化鉄層を有する
酸化亜鉛粒子の水性懸濁液を調製した後、前述したよう
にして、これに水溶性ケイ酸塩水溶液と水溶性亜鉛塩水
溶液をケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4 )を形成する化学量
論比で、且つ、酸化亜鉛に対してケイ酸亜鉛(Zn2
iO4 )換算で0.5〜50重量%の範囲の量を加えた
後、水洗、乾燥し、次いで、300〜1200℃、好ま
しくは、500〜1100℃、最も好ましくは、600
〜1000℃の範囲の温度で加熱、焼成、粉砕して、平
均粒子径0.01〜0.15μmのケイ酸亜鉛からなる被覆
層を有する鉄固溶酸化亜鉛粒子を得ることができる。
【0046】しかし、本発明によれば、酸化亜鉛粒子を
用いることなく、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、塩基性炭酸亜
鉛、硫化亜鉛、シュウ酸亜鉛等のように、空気中で加熱
することによって、酸化亜鉛に変換することができる水
不溶性亜鉛化合物の粒子を用い、その水性懸濁液を調製
し、この水性懸濁液に、酸化亜鉛に対して鉄換算で0.1
〜20重量%となるように、水溶性鉄塩を加えた後、中
和剤を加え、上記懸濁液のpHを6.0〜9.0の範囲に調
整して、上記水不溶性亜鉛化合物粒子の表面に含水酸化
鉄を沈着させ、次いで、上述したようにして、このよう
な亜鉛化合物粒子の水性懸濁液に、水溶性ケイ酸塩と水
溶性亜鉛塩のそれぞれの水溶液を加えた後、水洗、乾
燥、加熱して、酸化亜鉛粒子を生成させ、その粒子中に
鉄を固溶させると共に、その表面にケイ酸亜鉛からなる
被覆層を形成させることによっても、本発明による酸化
亜鉛粒子を得ることができる。
【0047】更に、本発明によれば、水溶性亜鉛塩の水
溶液と水溶性鉄塩の水溶液との混合物を調製し、これに
中和剤を加えて、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、塩基性炭酸亜
鉛、硫化亜鉛、シュウ酸亜鉛等の水不溶性亜鉛化合物
(例えば、水酸化亜鉛)と共に水不溶性鉄化合物(例え
ば、含水酸化鉄)を共沈させ、このようにして得られた
共沈物の粒子を上述したように処理して、生成した酸化
亜鉛粒子中に鉄を固溶させると共に、表面にケイ酸亜鉛
からなる被覆層を形成させることによっても、本発明に
よる鉄固溶酸化亜鉛粒子を得ることができる。
【0048】このように、鉄を固溶した酸化亜鉛粒子の
表面にケイ酸亜鉛からなる被覆層を有する本発明による
酸化亜鉛粒子は、380nm以上のA領域の紫外線を遮
蔽する能力にすぐれ、しかも、このような酸化亜鉛粒子
を媒体に分散させてなる組成物、例えば、化粧料や塗料
は、ケイ酸亜鉛からなる被覆層が酸化亜鉛粒子をその媒
体から完全に隔絶するので、例えば、純水への溶解性や
他の成分との反応性を著しく抑制し、更には、光触媒活
性をもほぼ完全に抑制することができる。
【0049】また、本発明によれば、コバルトが酸化コ
バルト(CoO)換算にて酸化亜鉛に対して0.5〜30
重量%、好ましくは、1〜25重量%、特に好ましく
は、3〜20重量%の範囲で固溶されていると共に、そ
の表面に酸化亜鉛に対してケイ酸亜鉛(Zn2 Si
4 )換算で0.5〜50重量%、好ましくは、1〜15
重量%の範囲のケイ酸亜鉛からなる被覆層を有するコバ
ルト固溶酸化亜鉛粒子が提供される。
【0050】このようなコバルト固溶酸化亜鉛粒子も、
前述した鉄固溶酸化亜鉛粒子と同様にして得ることがで
きる。即ち、コバルト固溶酸化亜鉛粒子は、酸化亜鉛粒
子の水性懸濁液に、酸化亜鉛に対して酸化コバルト(C
oO)換算で0.5〜30重量%の水溶性コバルト塩の水
溶液を加えた後、中和剤を加えて、上記酸化亜鉛粒子の
表面に含水酸化コバルト層を形成させ、この後、前述し
たようにして、このような酸化亜鉛粒子を含む水性懸濁
液に、水溶性ケイ酸塩と水溶性亜鉛塩のそれぞれの水溶
液をケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4 )を形成する化学量論
比で、且つ、酸化亜鉛に対してケイ酸亜鉛(Zn2 Si
4 )換算で0.5〜50重量%の範囲の量を加えた後、
水洗、乾燥し、次いで、300〜1200℃、好ましく
は、500〜1100℃、最も好ましくは、600〜1
000℃の範囲の温度に加熱して、酸化亜鉛粒子中にコ
バルトを固溶させると共に、表面にケイ酸亜鉛からなる
被覆層を形成させることによって得ることができる。
【0051】本発明によれば、酸化亜鉛粒子上に含水酸
化コバルトを沈着させるためには、例えば、酸化亜鉛粒
子の水性懸濁液に酸化亜鉛に対して酸化コバルト(Co
O)鉄換算で0.5〜30重量%の水溶性コバルト塩を加
えた後、中和剤を加えて、上記懸濁液を中和すればよ
い。上記水溶性コバルト塩としては、例えば、塩化コバ
ルト、硫酸コバルト、硝酸コバルト等が好ましく用いら
れるが、これらに限定されるものではない。また、上記
中和剤としては、限定されるものではないが、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム等が好
ましく用いられる。
【0052】このように、表面に含水酸化コバルト層を
有する酸化亜鉛粒子の水性懸濁液を調製した後、前述し
たようにして、これに水溶性ケイ酸塩水溶液と水溶性亜
鉛塩水溶液をケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4 )を形成する
化学量論比にて加えた後、水洗、乾燥し、次いで、30
0〜1200℃の範囲の温度に加熱して、酸化亜鉛粒子
中にコバルトを固溶させると共に、その表面にケイ酸亜
鉛層を形成させることによって得ることができる。
【0053】しかし、本発明によれば、酸化亜鉛粒子を
用いることなく、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、塩基性炭酸亜
鉛、硫化亜鉛、シュウ酸亜鉛等のように、加熱すること
によって、酸化亜鉛に変換することができる水不溶性亜
鉛化合物の粒子を用い、その水性懸濁液を調製し、この
水性懸濁液に、酸化亜鉛に対して酸化コバルト(Co
O)換算で0.5〜30重量%となるように、水溶性コバ
ルト塩を加えた後、中和剤を加えて、上記懸濁液のpH
を6.0〜9.0の範囲に調整して、上記水不溶性亜鉛化合
物粒子の表面に含水酸化コバルトを沈着させ、次いで、
上述したようにして、このような亜鉛化合物粒子の水性
懸濁液に、水溶性ケイ酸塩と水溶性亜鉛塩のそれぞれの
水溶液を加えた後、水洗、乾燥、加熱して、酸化亜鉛粒
子中にコバルトを固溶させると共に、表面にケイ酸亜鉛
からなる被覆層を形成させることによっても、本発明に
よるコバルト固溶酸化亜鉛粒子を得ることができる。
【0054】更に、本発明によれば、コバルト固溶酸化
亜鉛粒子は、水溶性亜鉛塩と水溶性コバルト塩の混合水
溶液を中和剤にて、好ましくは、pH6.0〜9.0の範囲
に中和して、水不溶性亜鉛化合物(例えば、水酸化亜
鉛)と水不溶性コバルト化合物(例えば、含水酸化コバ
ルト)との共沈物の粒子を含む水性懸濁液を調製し、こ
れに前述したようにして水溶性ケイ酸塩と水溶性亜鉛塩
のそれぞれの水溶液をケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4 )を
形成する化学量論比で加えた後、水洗、乾燥し、次い
で、300〜1200℃の範囲の温度に加熱して、生成
した酸化亜鉛粒子中にコバルトを固溶させると共に、表
面にケイ酸亜鉛からなる被覆層を形成させることによっ
て得ることができる。
【0055】本発明によるコバルト固溶酸化亜鉛粒子に
おいて、コバルト固溶量が酸化亜鉛に対して酸化コバル
ト(CoO)換算で0.5重量%よりも少ないときは、3
80〜420nmの長波長領域の紫外線に対する遮蔽効
果が殆どなく、他方、30重量%よりも多いときは、可
視光の透過率、即ち、透明性が著しく低下する。
【0056】本発明によるコバルト固溶酸化亜鉛粒子
は、380〜420nmの長波長領域の紫外線に対する
遮蔽能にすぐれているのみならず、これを媒体に分散さ
せて、化粧料や塗料等の組成物とした場合、表面のケイ
酸亜鉛からなる被覆層によって、コバルト含有酸化亜鉛
粒子が媒体から完全に隔絶されており、従って、例え
ば、純水への溶解性や他の成分との反応性を著しく抑制
することができ、更には、光触媒活性をもほぼ完全に抑
制することができる。
【0057】以上のようにして得られる本発明による酸
化亜鉛粒子は、鉄又はコバルトを固溶しているものを含
めて、いずれも高い透明性を有するように、平均一次粒
子径は、0.15μm以下が好ましい。しかし、用途に応
じて、平均一次粒子径が0.15μmより大きい粒子を用
いてもよい。また、本発明による酸化亜鉛粒子の平均一
次粒子径の下限は、特に限定されるものではないが、通
常、0.01μmである。
【0058】本発明によれば、鉄又はコバルトが固溶さ
れていてもよい酸化亜鉛粒子上にケイ酸亜鉛からなる第
1の被覆層を有する酸化亜鉛粒子は、更に、その上に、
アルミニウム、ケイ素、スズ、ジルコニウム、アンチモ
ン及び希土類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の
元素の酸化物からなる第2の被覆層を有していてもよ
い。ここに、第2の被覆層は、酸化亜鉛に対して、0.5
〜30重量%の範囲が好ましく、特に、2〜15重量%
の範囲が好ましい。また、希土類元素としては、例え
ば、イットリウム、ランタン、セリウム、ネオジム等を
挙げることができる。
【0059】このような第2の被覆層を有する本発明に
よる酸化亜鉛粒子は、例えば、前述したように、表面に
ケイ酸亜鉛からなる被覆層を有する酸化亜鉛粒子を調製
した後、これを水に懸濁させて、水性懸濁液を調製し、
この懸濁液に上記元素の水溶性化合物の水溶液を加えた
後、酸又はアルカリを中和剤として加えて、上記元素の
水溶性化合物を中和し、上記酸化亜鉛粒子の表面に沈殿
させ、このような酸化亜鉛粒子を分離し、必要に応じ
て、乾燥し、焼成することによって得ることができる。
【0060】アルミニウムの水溶性化合物としては、例
えば、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミン
酸ナトリウム等を、ケイ素の水溶性化合物としては、例
えば、ケイ酸ナトリウム等を、スズの水溶性化合物とし
ては、例えば、塩化スズを、ジルコニウムの水溶性化合
物としては、例えば、硝酸ジルコニウム、硫酸ジルコニ
ウム等を、アンチモンの水溶性化合物としては、例え
ば、塩化アンチモン等を、また、希土類元素の水溶性化
合物としては、例えば、硝酸セリウム等を挙げることが
できる。
【0061】このような第2の被覆層を有する本発明に
よる酸化亜鉛粒子の調製において、上記中和剤として
は、酸又はアルカリが用いられ、酸としては、例えば、
硫酸、塩酸等の無機酸や、酢酸、シュウ酸等の有機酸が
好ましく用いられ、他方、アルカリとしては、例えば、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウ
ム等が好ましく用いられる。
【0062】ケイ酸亜鉛からなる第1の被覆層を有する
酸化亜鉛粒子の表面に上記元素の酸化物からなる第2の
被覆層を形成するに際して、2種以上の複数の元素の酸
化物からなる被覆層を形成する場合、複数の元素の水溶
性化合物の水溶液を用いて、一度に複数の元素の酸化物
からなる被覆層を形成してもよいが、しかし、個々の元
素の水溶性化合物の水溶液を用いて、一層ずつ、その酸
化物からなる被覆層を順次、形成して、第2の被覆層を
多層に形成するのが好ましい。特に、第2の被覆層とし
て、アルミニウム酸化物を含む被覆層を形成する場合に
は、アルミニウム酸化物からなる被覆層を最後に形成す
ることが望ましい。また、本発明によれば、樹脂成形品
や化粧品油剤等への分散性を高めるために、酸化亜鉛粒
子の表面にケイ酸亜鉛からなる第1の被覆層を形成した
後、又は上記第2の被覆層を形成した後、そのような酸
化亜鉛粒子を有機ケイ素化合物、多価アルコール及びア
ルカノールアミンから選ばれる表面処理剤で表面処理し
てもよい。このような表面処理剤は、酸化亜鉛に対し
て、通常、1〜20重量%の範囲であり、好ましくは、
1〜10重量%の範囲で用いられる。
【0063】上記有機ケイ素化合物としては、例えば、
メチルハイドロジェンポリシロキサンやジメチルポリシ
ロキサン等のオルガノポリシロキサンや、トリエトキシ
ビニルシランやジフェニルジメトキシシラン等のシラン
カップリング剤を挙げることができ、多価アルコールと
しては、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロー
ルプロパン、ペンタエリスリトール等を挙げることがで
きる。また、アルカノールアミンとしては、例えば、ジ
エタノールアミン、ジプロパノールアミン、トリエタノ
ールアミン、トリプロパノールアミン等を挙げることが
できる。このような表面処理剤による処理量が酸化亜鉛
に対して1重量%よりも少ないときは、本発明による酸
化亜鉛粒子の分散性の改善効果に乏しく、他方、20重
量%を越えても、分散性が飽和するので、経済的に不利
となる。
【0064】また、本発明によれば、酸化亜鉛粒子の表
面にケイ酸亜鉛からなる第1の被覆層を形成した後、又
は上記第2の被覆層を形成した後、そのような酸化亜鉛
粒子を炭素原子数10〜30の例えばラウリン酸、ステ
アリン酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸、例えば、パル
ミチン酸オクチル等のこれら高級脂肪酸のアルキルエス
テル、例えば、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸
アルミニウム等のこれら高級脂肪酸の金属塩、即ち、金
属石ケン等で表面処理することもできる。金属石ケンを
構成する金属種はアルミニウムに限定されず、例えば、
リチウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウ
ム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、スズ等を挙げるこ
とができる。
【0065】このように、高級脂肪酸、高級脂肪酸エス
テル又は金属石ケンのような表面処理剤にて第2の被覆
を形成するときも、その量は、酸化亜鉛に対して、通
常、1〜20重量%の範囲であり、好ましくは、1〜1
0重量%の範囲である。
【0066】このような表面処理剤による処理量が酸化
亜鉛に対して1重量%よりも少ないときは、本発明によ
る酸化亜鉛粒子の分散性の改善効果に乏しく、他方、2
0重量%を越えても、分散性が飽和するので、経済的に
不利となる。
【0067】このような表面処理剤による表面処理は、
上記第1(及び第2)の被覆層を有する酸化亜鉛粒子に
表面処理剤を所定量混合し、粉砕することによって得る
ことができる。また、上記第1(及び第2)の被覆層を
有する酸化亜鉛粒子を粉砕した後、表面処理剤と混合し
てもよい。更には、上記第1(及び第2)の被覆層を有
する酸化亜鉛粒子を適宜の媒体、例えば、水、アルコー
ル、エーテル等に懸濁させた後、この懸濁液に表面処理
剤を加え、攪拌し、分別し、乾燥、粉砕して得ることも
でき、また、蒸発乾固し、粉砕して得ることもできる。
【0068】本発明による酸化亜鉛粒子は、その表面に
ケイ酸亜鉛からなる被覆層を有するので、ポリエチレン
テレフタレートやポリカーボネート等の熱可塑性樹脂の
分解を促進することがなく、これらの樹脂に好適に用い
ることができるほか、その他の種々の樹脂製品にも好適
に用いることができる。また、純水や硫酸への溶解度が
著しく低く、光触媒活性も極めて抑制されるために、耐
酸性雨が懸念される屋外用途を含む幅広い分野の塗料に
用いることができる。
【0069】本発明による酸化亜鉛粒子は、これを1〜
80重量%の範囲で樹脂組成物や塗料組成物に配合する
ことができる。
【0070】酸化亜鉛を化粧品に用いるに際しては、人
体を保護するために、酸化亜鉛の光触媒能による活性酸
素の生成を抑制しなければならない。活性酸素は、ま
た、紫外線によって生成することも知られている。活性
酸素には、スーパーオキサイド、過酸化水素、ヒドロキ
シラジカル、一重項酸素等があり、脂質、糖、蛋白質、
DNA等を攻撃して、脂質過酸化、蛋白変性、DNA障
害、酵素阻害等を引き起こし、その結果、皮膚癌等の種
々の疾病や、皮膚の光老化を誘発し、又は促進するとい
われている。
【0071】従って、皮膚障害から人体を保護するため
には、紫外線による活性酸素の生成を抑えるだけでな
く、酸化亜鉛本来の光触媒能を抑制することも大きな因
子となる。
【0072】ここに、本発明によれば、酸化亜鉛本来の
紫外線遮蔽性能に加えて、酸化亜鉛に鉄又はコバルトを
固溶させることによって、400nm近傍の長波長のA
領域の紫外線を遮蔽することができ、かくして、紫外線
によって生成する活性酸素から人体を防御することがで
きるのみならず、表面の不活性なケイ酸亜鉛結晶からな
る被覆が酸化亜鉛粒子を近傍の物質から隔絶して、酸化
亜鉛本来の光触媒機能による活性酸素の生成をも有効に
抑制するため、特に、サンスクリーン化粧料に好適に用
いることができる。
【0073】本発明による酸化亜鉛粒子は、これを1〜
80重量%の範囲で化粧料に配合することができる。
【0074】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではな
い。以下の実施例及び比較例においては、特に記載がな
い限りは、原料酸化亜鉛粒子として用いた超微粒子酸化
亜鉛は、電気亜鉛地金を蒸発酸化して得られた平均一次
粒子径0.06μmの超微粒子酸化亜鉛(堺化学工業
(株)製FINEX−25)である。
【0075】実施例1 超微粒子酸化亜鉛の水性懸濁液(ZnO濃度100g/
L)に、撹拌下、60℃において、ケイ酸ナトリウム水
溶液(超微粒子酸化亜鉛に対してSiO2 として1.3重
量%)と硫酸亜鉛水溶液(超微粒子酸化亜鉛に対してZ
nOとして3.7重量%)とを加えた。次いで、この懸濁
液のpHを水酸化ナトリウム水溶液を用いて7.5とし、
30分間熟成した。このような懸濁液を室温まで冷却
し、濾過、水洗した後、空気中で120℃で5時間、加
熱乾燥した。得られた乾燥物を空気中、800℃で60
分間焼成した後、ジェットミル粉砕して、酸化亜鉛粒子
の表面にケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4 )換算で酸化亜鉛
に対して5重量%のケイ酸亜鉛からなる被覆層を有する
酸化亜鉛超微粒子粉末を得た。
【0076】実施例2 超微粒子酸化亜鉛の水性懸濁液(ZnO濃度100g/
L)にケイ酸ナトリウム水溶液(超微粒子酸化亜鉛に対
してSiO2 として4.0重量%)と硫酸亜鉛水溶液(超
微粒子酸化亜鉛に対してZnOとして11.0重量%)と
を加えた以外は、実施例1と同様にして、酸化亜鉛粒子
の表面にケイ酸亜鉛換算で酸化亜鉛に対して15重量%
のケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4 )からなる被覆層を有す
る酸化亜鉛超微粒子粉末を得た。
【0077】実施例3 塩基性炭酸亜鉛の水性懸濁液(ZnO濃度100g/
L)に、撹拌下、60℃において、ケイ酸ナトリウム水
溶液(酸化亜鉛に対してSiO2 として1.3重量%)と
硫酸亜鉛水溶液(酸化亜鉛に対してZnOとして3.7重
量%)とを加えた。次いで、この懸濁液のpHを水酸化
ナトリウム水溶液を用いて7.5とし、30分間熟成し
た。このような懸濁液を室温まで冷却し、濾過、水洗し
た後、空気中で120℃で5時間、加熱乾燥した。得ら
れた乾燥物を空気中、800℃で60分間焼成した後、
ジェットミル粉砕して、酸化亜鉛粒子を生成させると共
に、その表面にケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4 )換算で酸
化亜鉛に対して5重量%のケイ酸亜鉛からなる被覆層を
有する酸化亜鉛超微粒子粉末を得た。
【0078】実施例4 超微粒子酸化亜鉛の水性懸濁液(ZnO濃度100g/
L)に、撹拌下、60℃において、ケイ酸ナトリウム水
溶液(超微粒子酸化亜鉛に対してSiO2 として1.3重
量%)と硫酸亜鉛水溶液(超微粒子酸化亜鉛に対してZ
nOとして3.7重量%)とを加えた。次いで、この懸濁
液のpHを水酸化ナトリウム水溶液を用いて7.5とし、
30分間熟成した。このような懸濁液を室温まで冷却
し、濾過、水洗した後、空気中で120℃で5時間、加
熱乾燥した。
【0079】このようにして得られた乾燥物を空気中、
800℃で60分間焼成した後、ハンマーミルで粉砕
し、これをZnO濃度100g/Lとなるように水に分
散させ、サンドミルで粉砕して、超微粒子酸化亜鉛の水
性懸濁液を調製した。
【0080】この懸濁液をよく攪拌しながら、60℃に
昇温し、酸化亜鉛に対してAl2 3 換算で3重量%の
アルミン酸ナトリウム水溶液を加え、10分間熟成した
後、懸濁液を硫酸を用いてpH7.0に中和した。30分
間熟成し、次いで、このようにして得られた懸濁物を濾
過し、水洗した後、120℃で5時間、加熱乾燥した。
【0081】このようにして得られた乾燥物をジェット
ミル粉砕して、酸化亜鉛粒子の表面に酸化亜鉛に対して
ケイ酸亜鉛換算で5重量%のケイ酸亜鉛からなる被覆層
を有し、更に、その外側に酸化亜鉛に対してAl2 3
換算で3重量%の含水アルミニウム酸化物からなる第2
の被覆層を有する酸化亜鉛超微粒子粉末を得た。
【0082】実施例5 実施例1で得た酸化亜鉛超微粒子粉末をスーパーミキサ
ー中で撹拌しながら、これに酸化亜鉛に対して3重量%
のメチルハイドロジェンポリシロキサン(信越化学
(株)製シリコーンオイルKF−99)を噴霧して、メ
チルハイドロジェンポリシロキサン処理した酸化亜鉛超
微粒子粉末を得た。
【0083】比較例1 超微粒子酸化亜鉛の水性懸濁液(ZnO濃度100g/
L)に、撹拌下、60℃において、酸化亜鉛に対してS
iO2 として5.0重量%のケイ酸ナトリウム水溶液を加
えた。次いで、この懸濁液のpHを硫酸を用いて7.5と
し、30分間熟成した。このような懸濁液を室温まで冷
却し、濾過、水洗した後、空気中で120℃で5時間、
加熱乾燥した。得られた乾燥物をジェットミル粉砕し
て、酸化亜鉛粒子の表面にSiO2 換算で5重量%の含
水ケイ素酸化物からなる被覆層を有する酸化亜鉛超微粒
子粉末を得た。
【0084】比較例2 超微粒子酸化亜鉛粉末(堺化学工業(株)製FINEX
−25)そのものを比較例としての酸化亜鉛粒子とし
た。
【0085】以下、上記実施例1〜5及び比較例1、2
による酸化亜鉛超微粒子粉末について、その構造や特性
を調べるために、種々の試験を行なった。
【0086】試験1 (X線回折法によるケイ酸亜鉛層の同定)測定範囲2θ
を20゜〜60゜の範囲とする上記実施例1による酸化
亜鉛超微粒子粉末のX線回折チャートを図1に示し、比
較のために、上記比較例2による超微粒子酸化亜鉛粉末
自体のX線回折チャートを図2に示す。実施例1で得た
酸化亜鉛超微粒子粉末は、22゜及び26゜付近にβ−
Zn2 SiO4 の回折ピークを有する。実施例3による
超微粒子酸化亜鉛粉末も同じX線回折パターンを有して
いた。
【0087】試験2 上記実施例1〜4、比較例1及び2において得た酸化亜
鉛超微粒子粉末について、25℃における純水及びpH
4の硫酸水溶液(0.0005重量%硫酸水溶液)への酸
化亜鉛の溶解度を原子吸光分析にて測定した。結果を表
1に示す。尚、実施例5で得た酸化亜鉛超微粒子粉末
は、撥水性であるので、本試験から除外した。表1から
明らかなように、本発明による酸化亜鉛超微粒子粉末
は、純水及び硫酸水溶液への溶解性が著しく小さい。
【0088】
【表1】
【0089】試験3 上記実施例1〜3、比較例1及び2において得た酸化亜
鉛超微粒子粉末について、脂肪酸に対する反応性を調べ
た。酸化亜鉛超微粒子粉末3gとオレイン酸(関東化学
(株)製(試薬特級))27gを室温で十分に混合し
て、懸濁液を調製し、この懸濁液を120℃に維持した
温風乾燥機に入れて、酸化亜鉛をオレイン酸(融点24
℃)と反応させて、オレイン酸亜鉛(融点78℃)を生
成する状況を120℃の雰囲気中で観察した。
【0090】その結果、比較例1及び2による酸化亜鉛
超微粒子粉末は、上記条件下ですべてオレイン酸と反応
してオレイン酸亜鉛を生成したので、融点以上の雰囲気
温度下、懸濁液は透明な溶液となった。これに対して、
実施例1〜3による酸化亜鉛超微粒子粉末は、オレイン
酸と実質的に反応しておらず、未反応のままであり、従
って、懸濁液はそのままであった。従って、本発明によ
る酸化亜鉛超微粒子粉末は、脂肪酸との反応が有効に抑
制されていることが示される。
【0091】試験4 上記実施例1〜4、比較例1及び2において得た酸化亜
鉛超微粒子粉末について、カルボキシル基を有する水溶
性アクリルポリマー(グッドリッチ社製アクリル酸−ア
ルキルアクリレート共重合体(カーボポール934))
に対する反応性を調べた。
【0092】上記水溶性ポリマーを水に溶解させて水溶
液を調製し、これを水酸化カリウム水溶液にてpHを6.
5に調節して、上記水溶性ポリマー0.2重量%を含有す
る水性ゲルを調製した。この水溶性ポリマーの水性ゲル
に酸化亜鉛超微粒子粉末を12重量%濃度で加え、ホモ
ミキサーを用いて、5000rpmで5分間撹拌した。
このようにして得られたスラリーを38℃に維持した恒
温槽に入れ、7日間静置した後、室温における粘度(2
5℃、B型粘度計)を測定した。結果を表2に示す。
尚、実施例5で得た酸化亜鉛超微粒子粉末は、撥水性で
あるので、本試験から除外した。
【0093】
【表2】
【0094】表2から明らかなように、本発明による酸
化亜鉛超微粒子粉末は、上記ポリマーとの反応性を殆ど
もたないために、ポリマーの水性ゲルはそのゲル構造が
保持される結果、水性ゲルは、時間の経過後も高粘度を
保持していた。これに対して、比較例1による酸化亜鉛
超微粒子粉末と被覆層をもたない比較例2による酸化亜
鉛超微粒子粉末は、いずれも、上記ポリマーのカルボキ
シル基と反応して、ポリマーのゲル構造を変質させるた
めであるとみられるが、時間の経過と共に粘度が著しく
低下した。
【0095】試験5 上記実施例1〜3、比較例1及び2において得た酸化亜
鉛超微粒子粉末について、樹脂への配合適性を評価し
た。
【0096】酸化亜鉛超微粒子粉末3gとポリエチレン
テレフタレート樹脂粉末(帝人(株)製TR−4550
BH)7gとを室温でよく混合した後、120℃で15
時間乾燥して、試料とし、これをメルトインデクサー
((株)東洋精機製作所製C5059D型)を用いて、
雰囲気温度260℃に維持し、荷重875gでピストン
により押出した。この押出しに要した時間とそのときの
押出し重量に基づいて、10分間当たりの押出し重量を
算出し、それぞれ試料の流動率とした。結果を表3に示
す。
【0097】
【表3】
【0098】表3から明らかなように、比較例1による
酸化亜鉛超微粒子粉末は、含水ケイ素酸化物からなる被
覆層を有するものであるので、雰囲気温度260℃にお
いて、上記含水ケイ素酸化物の結晶水がポリエチレンテ
レフタレート樹脂を加水分解させる結果、非常に粘度の
小さい液状物となったことが示される。また、比較例2
による酸化亜鉛超微粒子粉末も、樹脂単独のメルトフロ
ーレートよりも増大していることから、ポリエチレンテ
レフタレート樹脂を分解させる傾向にあることが示され
る。
【0099】これに対して、本発明による酸化亜鉛超微
粒子粉末は、表面に結晶水をもたないケイ酸亜鉛からな
る被覆層を有しているので、雰囲気温度260℃におい
ても、ポリエチレンテレフタレート樹脂の加水分解を引
き起こさない。従って、本発明による酸化亜鉛超微粒子
粉末は、紫外線遮蔽剤として、樹脂の加水分解の問題な
く、ポリエチレンテレフタレート樹脂に練り込んで用い
ることができる。
【0100】試験6 上記実施例1〜5、比較例1及び2において得た酸化亜
鉛超微粒子粉末について、紫外線の遮蔽能及び可視光の
透明性を評価した。
【0101】酸化亜鉛超微粒子粉末1.5gをスクワラン
(日光ケミカルズ(株)製)7.9gと界面活性剤(花王
(株)製スパン80)0.6gに加え、ペイントシェーカ
ー(レッドデビル社製5410型)を用いてビヒクル中
に分散させ、塗料化した後、これをポリエチレンテレフ
タレートフィルム上にバーコーター#6にて塗布して、
試験片とした。
【0102】可視・紫外分光光度計(日本分光(株)製
V−550型)を用いて、波長350nmにおけるA領
域の紫外線遮蔽能と波長550nmにおける可視光透明
性を評価した。結果を表4に示す。
【0103】
【表4】
【0104】本発明による酸化亜鉛超微粒子粉末は、ケ
イ酸亜鉛からなる高密度の被覆層を有するが、超微粒子
酸化亜鉛本来の紫外線遮蔽性と可視光透明性は何ら損な
われておらず、すぐれた紫外線遮蔽能と高い可視光透明
性とを有する。
【0105】実施例6 超微粒子酸化亜鉛の水性懸濁液(ZnO濃度100g/
L)に、室温下、撹拌しながら、硫酸第一鉄水溶液(超
微粒子酸化亜鉛に対して鉄換算で4重量%)と水酸化ナ
トリウム水溶液を60分かけて同時に加えた。この間、
懸濁液のpHを9に維持した。30分間熟成した後、得
られた水性懸濁液を60℃に昇温し、これにケイ酸ナト
リウム水溶液(超微粒子酸化亜鉛に対してSiO2 とし
て1.3重量%)と硫酸亜鉛水溶液(超微粒子酸化亜鉛に
対してZnOとして3.7重量%)を加えた。
【0106】次いで、上記水性懸濁液のpHを水酸化ナ
トリウム水溶液を用いて7.5に調整した後、30分間熟
成した。このような懸濁液を室温まで冷却し、濾過、水
洗した後、空気中、120℃で5時間、加熱乾燥した。
得られた乾燥物を空気中、900℃で60分間焼成した
後、ジェットミル粉砕して、酸化亜鉛に対して鉄換算で
4重量%の鉄が酸化亜鉛中に固溶していると共に、粒子
表面に酸化亜鉛に対してケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4
換算で5.0重量%のケイ酸亜鉛からなる被覆層を有する
鉄固溶酸化亜鉛超微粒子粉末を得た。
【0107】実施例7 超微粒子酸化亜鉛の水性懸濁液(ZnO濃度100g/
L)に硫酸第一鉄水溶液(酸化亜鉛に対して鉄換算で8
重量%)を加えた以外は、実施例6と同様にして、酸化
亜鉛に対して鉄換算で8重量%の鉄が酸化亜鉛に固溶し
ていると共に、粒子表面に酸化亜鉛に対してケイ酸亜鉛
(Zn2 SiO4 )換算で5.0重量%のケイ酸亜鉛から
なる被覆層を有する鉄固溶酸化亜鉛超微粒子粉末を得
た。
【0108】実施例8 硫酸亜鉛水溶液(ZnO濃度100g/L)に、鉄換算
で酸化亜鉛に対して4重量%の硫酸第一鉄水溶液を混合
し、得られた混合水溶液のpHを炭酸ナトリウム水溶液
を用いて9とした。30分間熟成した後、得られた水性
懸濁液を撹拌下、60℃において、ケイ酸ナトリウム水
溶液(酸化亜鉛に対してSiO2 として1.3重量%)と
硫酸亜鉛水溶液(酸化亜鉛に対してZnOとして3.7重
量%)とを加えた。
【0109】次いで、この懸濁液のpHを水酸化ナトリ
ウム水溶液を用いて7.5とし、30分間熟成した。この
ような懸濁液を室温まで冷却し、濾過、水洗した後、空
気中、120℃で5時間、加熱乾燥した。得られた乾燥
物を空気中、800℃で60分間焼成した後、ジェット
ミル粉砕して、酸化亜鉛を生成させ、これに鉄換算で4
重量%の鉄が固溶していると共に、その粒子表面に酸化
亜鉛に対してケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4 )換算で5.0
重量%のケイ酸亜鉛からなる被覆層を有する鉄固溶酸化
亜鉛超微粒子粉末を得た。
【0110】実施例9 実施例6と同様にして得られた乾燥物を空気中、800
℃で60分間焼成した後、ハンマーミルで粗砕し、酸化
亜鉛濃度が100g/Lになるように水中に分散させ、
サンドミルで粉砕して、鉄固溶超微粒子酸化亜鉛の水性
懸濁液を調製した。この懸濁液を撹拌下、60℃に昇温
し、酸化亜鉛に対してAl2 3 換算で3重量%のアル
ミン酸ナトリウム水溶液を加え、10分間熟成した後、
硫酸を用いて、pH7.0に中和した。
【0111】30分間熟成した後、得られた懸濁液を濾
過、水洗した後、120℃で5時間、加熱乾燥した。得
られた乾燥物をジェットミル粉砕して、酸化亜鉛に対し
て鉄換算で8重量%の鉄が酸化亜鉛中に固溶していると
共に、表面に酸化亜鉛に対してケイ酸亜鉛(Zn2 Si
4 )換算で5.0重量%のケイ酸亜鉛からなる被覆層を
有し、更に、この被覆層の外側に酸化亜鉛に対してAl
2 3 換算で3重量%の含水アルミニウム酸化物からな
る第2の被覆層を有する鉄固溶酸化亜鉛超微粒子粉末を
得た。
【0112】比較例3 超微粒子酸化亜鉛92重量部と平均粒子径0.03μmの
超微粒子酸化鉄(堺化学工業(株)製FRO−3)8重
量部とからなる混合粉末を調製した。 比較例4 超微粒子酸化亜鉛粉末(堺化学工業(株)製FINEX
−25)そのものを比較例としての酸化亜鉛粒子とし
た。
【0113】以下、上記実施例6〜9及び比較例3、4
による酸化亜鉛超微粒子粉末について、その構造や特性
を調べるために、種々の試験を行なった。
【0114】試験7 (X線回折法によるケイ酸亜鉛層の同定)実施例6及び
実施例8で得た鉄固溶酸化亜鉛超微粒子粉末は、いずれ
も実施例1で得た酸化亜鉛超微粒子粉末と実質的に同じ
X線回折パターンを示し、22゜及び26゜付近にβ−
Zn2 SiO4 の回折ピークを有する。
【0115】試験8 試験3と同様にして、実施例6及び7で得た鉄固溶酸化
亜鉛超微粒子粉末をそれぞれ室温でオレイン酸と混合し
て懸濁液を調製し、120℃の雰囲気下に保持したが、
上記鉄固溶酸化亜鉛超微粒子はオレイン酸と実質的に反
応せず、未反応のままであり、従って、懸濁液とそのま
まであった。
【0116】試験9 上記実施例6〜9及び比較例3、4において得た鉄固溶
酸化亜鉛超微粒子粉末について、A領域の紫外線の遮蔽
効果及び可視光の透明性を調べた。
【0117】鉄固溶酸化亜鉛超微粒子粉末2g、常温乾
燥型アクリル樹脂(大日本インキ化学工業(株)製A−
132、固形分50重量%)4g及び溶剤をペイントシ
ェーカー(レッドデビル社製5410型)にて処理し
て、上記鉄固溶酸化亜鉛超微粒子粉末の分散液を得た。
その後、これに常温乾燥型アクリル樹脂12gを更に加
え、よく混合し、分散安定化させて、鉄固溶酸化亜鉛超
微粒子粉末20重量%を含有する塗料を調製した。これ
をポリエチレンテレフタレートフィルム上にバーコータ
ー#10で塗布して、室温で4時間乾燥して、試験片と
した。
【0118】この試験片について、分光光度計(日本分
光(株)製V−550型)を用いて、波長350nmと
385nmのA領域紫外線と550nmの可視領域の光
透過率を測定して、A領域の紫外線に対する遮蔽能と可
視光に対する透明性を評価した。結果を表5に示す。
【0119】
【表5】
【0120】表5から明らかなように、本発明による鉄
固溶酸化亜鉛超微粒子は、A領域の紫外線の透過率が低
く、本来の酸化亜鉛の吸収端である380nmよりも長
波長領域の紫外線に対する遮蔽効果が向上している。ま
た、透明性も、比較例4の超微粒子酸化亜鉛本とほぼ同
等である。
【0121】試験10 上記実施例6〜9及び比較例3、4において得た鉄固溶
酸化亜鉛超微粒子粉末について、試験2と同様にして、
25℃における純水及びpH4の硫酸酸性溶液(0.00
05重量%硫酸水溶液)への溶解度を測定した。結果を
表6に示す。表6から明らかなように、本発明による鉄
固溶酸化亜鉛超微粒子粉末は、水及び硫酸水溶液への溶
解性が著しく小さい。
【0122】
【表6】
【0123】試験11 上記実施例6〜9及び比較例3、4において得た鉄固溶
酸化亜鉛超微粒子粉末を含む塗料を調製し、その耐候性
を屋外曝露試験にて調べた。
【0124】鉄固溶酸化亜鉛超微粒子粉末4g、常温乾
燥型アクリル樹脂(大日本インキ化学工業(株)製P−
470、固形分70重量%)6g及び溶剤をペイントシ
ェーカー(レッドデビル社製5410型)にて処理し
て、上記鉄固溶酸化亜鉛超微粒子粉末の分散液を得た。
その後、これに更に常温乾燥型アクリル樹脂45gと硬
化剤0.3gとを加え、よく混合し、分散安定化させて、
鉄固溶酸化亜鉛超微粒子粉末10重量%を含有する塗料
を調製した。これをポリエチレンテレフタレートフィル
ム上にバーコーター#10で塗布して、室温で4時間乾
燥して、試験片とした。
【0125】この塗料を縦23cm、横10cm、厚み
1.4cmの杉板に54g/cm2 の塗布量で縦方向に刷
毛を返さず一定に塗布した。この後、3日間室温で乾燥
した後、南向き仰角45°の条件で120日間曝露し
た。色差計(スガ試験機(株)製SM−5型)を用い
て、ハンター表色系のL、a及びb値を測定し、これに
基づいて曝露前後の色差ΔEを計算にて求めた。この値
が小さいほど、耐候性がよいことを示す。
【0126】
【表7】
【0127】表7から明らかなように、比較例3及び4
による酸化亜鉛を用いた塗料によれば、塗布面の変色が
大きいが、これに対して、本発明による鉄固溶酸化亜鉛
は、変色を抑えており、素地の保護効果にすぐれてい
る。
【0128】実施例10 超微粒子酸化亜鉛(ZnO濃度100g/L)に、室温
下、攪拌しながら、硫酸コバルト水溶液(超微粒子酸化
亜鉛に対して酸化コバルト(CoO)換算で12重量
%)と水酸化ナトリウム水溶液を60分かけて同時に加
えた。この間、懸濁液のpHを8に維持した。30分間
熟成した後、得られた水性懸濁液を60℃に昇温し、酸
化亜鉛に対してSiO2 として2.4重量%のケイ酸ナト
リウム水溶液を加え、次いで、酸化亜鉛に対して酸化亜
鉛(ZnO)として6.5重量%の硫酸亜鉛水溶液を加え
た。
【0129】次に、この懸濁液のpHを水酸化ナトリウ
ム水溶液を用いて7.5に調整し、30分間熟成した。こ
のようにして得られた懸濁液を室温まで冷却し、濾過、
水洗した後、空気中で120℃で5時間、加熱乾燥し
た。得られた乾燥物を空気中、900℃で60分間焼成
した後、ジェットミル粉砕して、酸化亜鉛に対して酸化
コバルト(CoO)換算で12重量%のコバルトが酸化
亜鉛中に固溶していると共に、その表面に酸化亜鉛に対
してケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4 )換算で8.9%のケイ
酸亜鉛からなる被覆層を有するコバルト固溶酸化亜鉛超
微粒子粉末を得た。
【0130】実施例11 硫酸亜鉛水溶液(ZnO濃度100g/L)に、酸化亜
鉛に対して酸化コバルト(CoO)換算で12重量%の
硫酸第一コバルト水溶液を混合し、得られた混合水溶液
に炭酸ナトリウム水溶液を60分かけてpH8になるよ
うに加えた後、30分間熟成した。次いで、得られた水
性懸濁液を60℃に昇温し、酸化亜鉛に対してSiO2
として2.4重量%のケイ酸ナトリウム水溶液を加えた
後、酸化亜鉛に対して酸化亜鉛(ZnO)として6.5重
量%の硫酸亜鉛水溶液を加えた。
【0131】次に、このようにして得られた水性懸濁液
に水酸化ナトリウム水溶液を加えて、pHを7.5に調整
し、30分間熟成した。このようにして得られた懸濁液
を室温まで冷却し、濾過、水洗した後、120℃で5時
間、加熱乾燥した。得られた乾燥物を空気中、900℃
で60分間焼成した後、ジェットミル粉砕して、酸化亜
鉛に対して酸化コバルト(CoO)換算で12重量%の
コバルトが酸化亜鉛中に固溶していると共に、その表面
に酸化亜鉛に対してケイ酸亜鉛(Zn2 SiO 4 )換算
で8.9%のケイ酸亜鉛からなる被覆層を有するコバルト
固溶酸化亜鉛超微粒子粉末を得た。
【0132】実施例12 実施例11と同様にして得られた乾燥物を800℃で6
0分間焼成した後、ハンマーミルで粗砕し、酸化亜鉛
(ZnO)濃度100g/Lになるように水中に分散さ
せ、サンドミルで粉砕して、コバルト固溶超微粒子酸化
亜鉛の水性懸濁液を調製した。
【0133】この懸濁液を撹拌下、60℃に昇温し、酸
化亜鉛に対してAl2 3 換算で3重量%のアルミン酸
ナトリウム水溶液を加え、10分間熟成した後、硫酸を
加えて、pH7.0に中和した。30分間熟成した後、得
られた懸濁液を濾過、水洗し、120℃で5時間、加熱
乾燥した。得られた乾燥物をジェットミル粉砕して、酸
化亜鉛に対して酸化コバルト(CoO)換算で12重量
%のコバルト酸化亜鉛中に固溶していると共に、その表
面に酸化亜鉛に対してケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4 )換
算で8.9重量%のケイ酸亜鉛からなる被覆層を有し、更
に、この被覆層の外側に酸化亜鉛に対してAl2 3
算で3重量%の含水アルミニウム酸化物からなる第2の
被覆層を有するコバルト固溶酸化亜鉛超微粒子粉末を得
た。
【0134】比較例5 硫酸亜鉛水溶液(ZnO濃度100g/L)に、酸化亜
鉛に対して酸化コバルト(CoO)換算で12重量%の
硫酸第一コバルト水溶液を混合し、炭酸ナトリウム水溶
液を加えて、pHを8とした。30分間熟成した後、濾
過、水洗し、これを120℃で5時間、加熱し、乾燥し
た。得られた乾燥物を400℃で60分間焼成した後、
ジェットミル粉砕して、酸化亜鉛に対して酸化コバルト
(CoO)換算で12重量%のコバルトを固溶した酸化
亜鉛超微粒子粉末を得た。
【0135】比較例6 超微粒子酸化亜鉛粉末(堺化学工業(株)製FINEX
−25)そのものを比較例としての酸化亜鉛粒子とし
た。
【0136】試験12 (X線回折法によるケイ酸亜鉛層の同定)実施例10及
び11で得たコバルト固溶酸化亜鉛超微粒子粉末は、実
施例1で得た酸化亜鉛超微粒子粉末と実質的に同じX線
回折パターンを示し、22゜及び26゜付近にβ−Zn
2 SiO4 の回折ピークを有する。
【0137】試験13 試験3と同様にして、実施例10及び11で得たコバル
ト固溶酸化亜鉛超微粒子粉末を室温でオレイン酸と混合
して懸濁液を調製し、120℃の雰囲気下に保持した
が、上記鉄固溶酸化亜鉛超微粒子はオレイン酸と実質的
に反応せず、未反応のままであり、従って、懸濁液とそ
のままであった。
【0138】試験14 上記実施例10〜12及び比較例5、6において得たコ
バルト固溶酸化亜鉛超微粒子粉末について、A領域の紫
外線の遮蔽効果及び可視光の透明性を調べた。
【0139】コバルト固溶酸化亜鉛超微粒子粉末2g、
常温乾燥型アクリル樹脂(大日本インキ化学工業(株)
製A−132、固形分50重量%)4g及び溶剤をペイ
ントシェーカー(レッドデビル社製5410型)にて処
理して、上記コバルト固溶酸化亜鉛超微粒子粉末の分散
液を得た。その後、これに常温乾燥型アクリル樹脂12
gを更に加え、よく混合し、分散安定化させて、コバル
ト固溶酸化亜鉛超微粒子粉末20重量%を含有する塗料
を調製した。これをポリエチレンテレフタレートフィル
ム上にバーコーター#10で塗布して、室温で4時間乾
燥して、試験片とした。
【0140】この試験片について、分光光度計(日本分
光(株)製V−550型)を用いて、波長350nmと
385nmのA領域の紫外線と550nmの可視領域の
光透過率を測定して、A領域紫外線の遮蔽能と透明性を
評価した。更に、250〜800nmの測定範囲での全
透過率を測定した。結果を表8及び図3に示す。
【0141】
【表8】
【0142】表8及び図3から明らかなように、本発明
によるコバルト固溶酸化亜鉛超微粒子は、A領域紫外
線、特に、400nm付近の透過率が著しく低く、本来
の酸化亜鉛の吸収端である380nmよりも長波長領域
の紫外線の遮蔽効果が向上している。また、透明性も、
比較例6の超微粒子酸化亜鉛とほぼ同等である。
【0143】試験15 上記実施例8、9及び比較例4、5において得たコバル
ト固溶酸化亜鉛超微粒子粉末について、試験3と同様に
して、25℃における純水及びpH4の硫酸酸性溶液
(0.0005重量%硫酸水溶液)への酸化亜鉛の溶解度
を測定した。結果を表9に示す。表9から明らかなよう
に、本発明によるコバルト固溶酸化亜鉛超微粒子粉末
は、水及び硫酸水溶液への溶解性が著しく小さい。
【0144】
【表9】
【0145】
【発明の効果】以上のように、本発明による酸化亜鉛粒
子は、表面にケイ酸亜鉛からなる被覆層を有するので、
すぐれた紫外線遮蔽能と高い可視光透明性とを有しつ
つ、酸化亜鉛本来の表面活性が抑制されており、従っ
て、水及び硫酸水溶液への溶解度が著しく小さく、ま
た、光触媒機能も抑制されているために、樹脂、塗料、
化粧品等、種々の分野において、紫外線遮蔽剤として好
適に用いることができる。
【0146】更に、本発明に従って、表面にケイ酸亜鉛
からなる被覆層を有すると共に、鉄又はコバルトを固溶
させた酸化亜鉛粒子は、酸化亜鉛本来のA領域の紫外線
遮蔽波長よりも更に長波長の紫外線を遮蔽することがで
き、しかも、すぐれた透明性を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明(実施例1)による酸化亜鉛粒子の
X線回折チャートである。
【図2】は、酸化亜鉛超微粒子粉末(比較例2)のX線
回折チャートである。
【図3】は、本発明によるコバルト固溶酸化亜鉛超微粒
子の光透過率を示すグラフである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C09C 3/06 C09C 3/06 C09D 201/00 C09D 201/00 // A61K 7/42 A61K 7/42 C09K 3/00 104 C09K 3/00 104Z (72)発明者 小野 啓治 福島県いわき市泉町下川字田宿110番地 堺化学工業株式会社 小名浜事業所内 (56)参考文献 特開 平7−69629(JP,A) 特開 平7−69630(JP,A) 特開 平5−213618(JP,A) 特開 平7−89710(JP,A) 特開 平10−130021(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01G 1/00 - 57/00 A61K 7/02,7/42 C09C 1/04,3/06 C09D 201/00 C09K 3/00 104

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面に酸化亜鉛に対してケイ酸亜鉛(Zn
    2 SiO4 )換算で0.5〜50重量%の範囲のケイ酸亜
    鉛からなる被覆層を有することを特徴とする表面活性を
    抑えた酸化亜鉛粒子。
  2. 【請求項2】酸化亜鉛に鉄が0.1〜20重量%の範囲で
    固溶されている請求項1に記載の酸化亜鉛粒子。
  3. 【請求項3】酸化亜鉛にコバルトが酸化コバルト(Co
    O)換算で0.5〜30重量%の範囲で固溶されている請
    求項1に記載の酸化亜鉛粒子。
  4. 【請求項4】酸化亜鉛に対して1〜20重量%の範囲の
    有機ケイ素化合物、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、
    金属石ケン、多価アルコール又はアルカノールアミンで
    更に処理されてなる請求項1から3のいずれかに記載の
    酸化亜鉛粒子。
  5. 【請求項5】ケイ酸亜鉛からなる第1の被覆層の上に、
    酸化亜鉛に対して酸化物換算で0.5〜30重量%の範囲
    のAl、Ti、Zr、Sn、Sb及び希土類元素よりな
    る群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物からな
    る第2の被覆層を有する請求項1から3のいずれかに記
    載の酸化亜鉛粒子。
  6. 【請求項6】酸化亜鉛に対して1〜20重量%の範囲の
    有機ケイ素化合物、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、
    金属石ケン、多価アルコール又はアルカノールアミンで
    更に処理されてなる請求項5に記載の酸化亜鉛粒子。
  7. 【請求項7】0.15μm以下の平均粒子径を有する請求
    項1から6のいずれかに記載の酸化亜鉛粒子。
  8. 【請求項8】純水への溶解度がZnとして2ppm以下
    であると共に、0.0005重量%硫酸水溶液への溶解度
    がZnとして20ppm以下である請求項1から7のい
    ずれかに記載の酸化亜鉛粒子。
  9. 【請求項9】請求項1から8のいずれかに記載の酸化亜
    鉛粒子を1〜80重量%の範囲で含有してなる樹脂組成
    物。
  10. 【請求項10】請求項1から8のいずれかに記載の酸化
    亜鉛粒子を1〜80重量%の範囲で含有してなる塗料組
    成物。
  11. 【請求項11】請求項1から8のいずれかに記載の酸化
    亜鉛粒子を1〜80重量%の範囲で含有してなる化粧
    料。
  12. 【請求項12】水不溶性亜鉛化合物の粒子の水性懸濁液
    に、水溶性ケイ酸塩と水溶性亜鉛塩のそれぞれの水溶液
    をケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4 )を形成する化学量論比
    で、且つ、酸化亜鉛に対してケイ酸亜鉛(Zn2 SiO
    4 )換算で0.5〜50重量%の範囲の量を加えた後、水
    洗、乾燥し、次いで、300〜1200℃の範囲の温度
    に加熱して、酸化亜鉛粒子を生成させると共に、その粒
    子の表面にケイ酸亜鉛からなる被覆層を形成させること
    を特徴とする請求項1に記載の酸化亜鉛粒子の製造方
    法。
  13. 【請求項13】酸化亜鉛に対して鉄換算で0.1〜20重
    量%の含水酸化鉄か、又は酸化亜鉛に対して酸化コバル
    ト(CoO)換算で0.5〜30重量%の含水酸化コバル
    トを水不溶性亜鉛化合物粒子の表面に沈着させた後、こ
    のような亜鉛化合物粒子の水性懸濁液に水溶性ケイ酸塩
    と水溶性亜鉛塩のそれぞれの水溶液をケイ酸亜鉛(Zn
    2 SiO4 )を形成する化学量論比で、且つ、酸化亜鉛
    に対してケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4 )換算で0.5〜5
    0重量%の範囲の量を加えた後、水洗、乾燥し、次い
    で、300〜1200℃の範囲の温度に加熱して、酸化
    亜鉛粒子を生成させると共に、その粒子の表面にケイ酸
    亜鉛からなる被覆層を形成させることを特徴とする請求
    項2又は3に記載の酸化亜鉛粒子の製造方法。
  14. 【請求項14】水溶性亜鉛塩と酸化亜鉛に対して鉄換算
    で0.1〜20重量%の水溶性鉄塩とを含む水溶液か、又
    は水溶性亜鉛塩と酸化亜鉛に対して酸化コバルト換算で
    0.5〜30重量%の水溶性コバルト塩とを含む水溶液に
    中和剤を加えて、亜鉛と鉄の共沈物か、又は亜鉛とコバ
    ルトの共沈物を含む水性懸濁液を調製し、この水性懸濁
    液に、水溶性ケイ酸塩と水溶性亜鉛塩のそれぞれの水溶
    液をケイ酸亜鉛(Zn2SiO4 )を形成する化学量論
    比で、且つ、酸化亜鉛に対してケイ酸亜鉛(Zn 2 Si
    4 )換算で0.5〜50重量%の範囲の量を加えた後、
    水洗、乾燥し、次いで、300〜1200℃の範囲の温
    度に加熱して、酸化亜鉛粒子を生成させると共に、その
    粒子中に鉄又はコバルトを固溶させると共に、その表面
    にケイ酸亜鉛からなる被覆層を形成させることを特徴と
    する請求項2又は3に記載の酸化亜鉛粒子の製造方法。
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