JP7173033B2 - 化粧料用酸化亜鉛粉体、分散液、化粧料、および化粧料用酸化亜鉛粉体の製造方法 - Google Patents

化粧料用酸化亜鉛粉体、分散液、化粧料、および化粧料用酸化亜鉛粉体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、化粧料用酸化亜鉛粉体、分散液、化粧料、および化粧料用酸化亜鉛粉体の製造方法に関する。
本願は、2017年10月31日に、日本に出願された特願2017-211195号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
酸化亜鉛粉体は、紫外線遮蔽機能やガス透過抑制機能等を有し、かつ透明性も高い。このため、紫外線遮蔽フィルム、紫外線遮蔽ガラス、化粧料やガスバリアフィルム等、透明性が必要な用途に用いられている(例えば、特許文献1~特許文献7参照)。
また、酸化亜鉛粉体は、皮脂を固化させることによって皮脂の広がりを抑制できる。このため、ファンデーション等に使用することで、皮脂による化粧崩れを抑制できることが知られている(例えば、特許文献8参照)。
特開昭57-205319号公報 特開昭60-255620号公報 特開昭63-288913号公報 特開昭63-288914号公報 特開平3-199121号公報 特開平7-232919号公報 特開2002-201382号公報 特開2011-26264号公報
しかしながら、酸化亜鉛粉体が皮脂を固化するまでには一定以上の時間を要するため、酸化亜鉛粉体のみで化粧崩れを抑制することは困難であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、皮脂が固化する時間を従来よりも短縮できる酸化亜鉛粉体、並びに、酸化亜鉛粉体を含む分散液、化粧料、および酸化亜鉛粉体の製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の第一の態様である化粧料用酸化亜鉛粉体は、X線光電子分光法により測定される酸化亜鉛粉体のS-O結合状態のSが、0.1atm%以上かつ1.0atm%以下である。
本発明の第二の態様である分散液は、本発明の第一の態様の化粧料用酸化亜鉛粉体と、分散媒と、を含有する。
本発明の第三の態様である化粧料は、本発明の第一の態様の化粧料用酸化亜鉛粉体および本発明の第二の態様の分散液からなる群から選択される少なくとも1種と、化粧品基剤原料と、を含有する。
本発明の第四の態様の化粧料用酸化亜鉛粉体の製造方法は、本発明の第一の態様の化粧料用酸化亜鉛粉体の製造方法であって、酸化亜鉛粉体と、SO の濃度が0.01質量%以上かつ50質量%以下の水溶液を用いて、原料としての酸化亜鉛粉体を酸化亜鉛とSO を含む化合物が質量比で1:0.001~1:0.1の範囲となるように、混合する工程と、80℃~150℃の温度で乾燥する工程と、を有する。
本発明の第一の態様の酸化亜鉛粉体によれば、X線光電子分光法により測定される、S-O結合状態のSの割合を、0.1atm%以上かつ1.0atm%以下としたため、皮脂の固化に要する時間を短縮することができる。
本発明の第二の態様の分散液によれば、本発明の酸化亜鉛粉体と、分散媒と、を含有するため、皮脂の固化に要する時間を短縮することができる。
本発明の第三の態様の化粧料によれば、本発明の第一の態様の酸化亜鉛粉体および本発明の第二の態様の分散液からなる群から選択される少なくとも1種と、化粧品基剤原料と、を含有するため、化粧崩れをより抑制することができる。
本発明の第四の態様の酸化亜鉛粉体の製造方法によれば、皮脂固化性に優れる酸化亜鉛粉体を作製することができる。
本発明の好ましい例である、本実施形態の酸化亜鉛粉体、分散液、化粧料および酸化亜鉛粉体の製造方法について以下に説明する。
なお、以下の例は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更、省略、置換、追加、その他の変更が可能である。
[酸化亜鉛粉体]
本実施形態の酸化亜鉛粉体は、X線光電子分光法により測定される、S-O結合状態のSが、0.1atm%以上かつ1.0atm%以下である。この特徴により、本実施形態の酸化亜鉛粉体は、化粧料に用いた場合に、皮脂の固化に要する時間を短縮することができる。
本発明者等は、X線光電子分光法により測定されるS-O結合状態のSが0.1atm%以上かつ1.0atm%以下となる酸化亜鉛粉体は、皮脂固化時間を短縮できることを見出した。そして、そのような酸化亜鉛粉体は、例えば、SOを含む水溶液と、原料としての酸化亜鉛粉体を混合することにより、前記酸化亜鉛粉体の表面に、SOを存在(付着)させて得ることができることを見出した。そして本発明を完成するに至った。
(S-O結合状態にあるS、およびその測定)
本実施形態の酸化亜鉛粉体(酸化亜鉛粒子)をX線光電子分光法により測定して得られる、S-O結合状態のSの割合(原子百分率)は、0.1atm%以上かつ1.0atm%以下であり、0.2atm%以上かつ0.9atm%以下であることが好ましい。
Sが0.1atm%以上であることにより、皮脂固化時間を短縮することができる。一方で、Sが1.0atm%を超えると、酸化亜鉛粉体中の不純物量が多くなるため、好ましくない。
X線光電子分光法により測定される、前記S-O結合状態のSは、例えば、以下の方法で得ることができる。具体的には、走査型X線光電子分光分析装置(XPS:X-Ray Photoelectron Spectroscopy/ESCA:Electron Spectroscopy for Chemical)PHI5000(アルバック・ファイ社製)などを用いて、以下の方法により好ましく測定することができる。
測定において、X線源として、AlKα(モノクロ:50W、15kV)1486.6eVを用いる。分析領域は、0.4×0.4mmとする。
まず適当な量の酸化亜鉛粉体を、アルミニウム製の皿に固定し、走査型X線光電子分光分析装置に導入する。
次いで、酸化亜鉛粉体の表面について、定性分析(ワイドスペクトルで実施)、を行う。広いエネルギー範囲を走査することで、どのような元素が存在するかをある程度確認できる。
次いで、前記酸化亜鉛粉体の表面について、前記定性分析で検出された元素(通常は、亜鉛(Zn)と酸素(O)が検出)と、測定したい元素である硫黄(S)と、基準元素である炭素(C)とについて状態分析(ナロースペクトルで実施)を行う。なお酸化亜鉛粉末の測定では微量の炭素(C)も観察されることが多いが、大気への暴露による炭化水素系有機物の付着等が原因の一つと考えられる。得られたスペクトルの各ピーク面積から、酸化亜鉛粉体の表面における原子濃度(atm%)を算出する。なお、CとSは強度が低いため、エネルギー分解能を落し、感度を優先して測定する。
状態分析(ナロースペクトル)において、Oは、O1s(525eV~540eV)について測定する。Znは、Zn2p(1015eV~1030eV)について測定する。Sは、S2p(160eV~175eV)について測定する。Cは、C1s(280eV~295eV)について測定する。定性分析(ワイドスペクトル)は、結合エネルギー値を適正な範囲で、例えば0~1100eVなどで、行うことができる。
定性分析で検出された元素と、S、Cについて、測定範囲で検出されたピークの面積から、酸化亜鉛粉体の表面における原子濃度を算出する。状態分析と定量計算には、アルバック・ファイ社のハンドブックと相対感度係数を用いる。
(SOの含有量)
本実施形態の酸化亜鉛粉体は、この酸化亜鉛粉体中のSOの含有量が100ppm以上かつ10000ppm以下であることが好ましい。SOは、酸化亜鉛粉体や、前記粉体中の酸化亜鉛粒子に、どのような状態で存在していても良い。例えば、表面のみにあっても良いし、表面だけでなく粒子の内部に入っていても良い。これらの状態は、製造条件等でコントロールしてよい。なおSOは、硫酸塩などの化合物を構成する一部であっても良く、SO 2-などのイオン状態であってもよく、粒子表面の亜鉛原子等と結合していても良い。また前記SOの含有量は、製造に使用されて最終生成物の中や表面に残った、硫酸や硫酸塩などの化合物の分子構造中のSOに、主に起因する値であっても良い。
SOの含有量が上記範囲であることにより、皮脂固化性に優れた酸化亜鉛粉体を得ることができる。
酸化亜鉛粉体中のSOの含有量は、ICP発光分光分析装置で測定することができる。
なお本実施形態の酸化亜鉛粉体の例として、酸化亜鉛粒子を含み、更に、この粒子の表面上、表面付近、及び/または、粒子中に、硫酸亜鉛、硫酸ベリリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸ストロンチウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸セリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、及び硫酸アンモニウムからなる群から選択される、少なくとも一つの硫酸塩を含む、酸化亜鉛粉体を好ましく挙げられる。前記硫酸塩が、硫酸亜鉛、硫酸マグネシウム、または硫酸カルシウムであることも好ましい。これらの粉体は、SOの含有量が100ppm以上かつ10000ppm以下であることも好ましい。
例えば、本実施形態では、酸化亜鉛粉体中のSOの含有量が100ppm以上かつ10000ppm以下であり、前記酸化亜鉛粉体が、前記硫酸塩を粒子表面上又は表面近傍に含む前記酸化亜鉛粒子を含み、前記硫酸塩は分子構造中にSOを含み、前記硫酸塩のSOの量が前記酸化亜鉛粉体中のSOの含有量に含まれる、酸化亜鉛粉体も好ましく使用できる。前記硫酸塩は、酸化亜鉛粉体の製造に使用される材料、例えばSOを含む水溶液の製造に用いられる物質に起因しても良い。なお本発明の酸化亜鉛粉体は、上記例の酸化亜鉛粉体のみに限定されない。
(酸化亜鉛粉体の特性について)
本実施形態の酸化亜鉛粉体、好ましくは、SOを含む水溶液と、原料としての酸化亜鉛粉体を混合することで得られた酸化亜鉛粉体は、X線光電子分光法により測定して得られるS-O結合状態のSが上記範囲であるので、皮脂が固化するまでに要する時間を短縮できる。しかしながら、このメカニズムの詳細は不明である。しかしながら、次のように推測される。
SOを含む水溶液と酸化亜鉛粉体を混合すれば、SO4、またはSOを含む化合物が、酸化亜鉛粉体の表面に均一に存在することとなる。この酸化亜鉛粉体表面に存在するSOが反応点となり、酸化亜鉛と脂肪酸の反応が促進されるため、皮脂を固化する時間を短縮することができると考えられる。なお前記水溶液中のSOは、SO 2-等のイオンとして水溶液中に含まれてもよく、又は水溶液中の化合物を構成する一部として含まれても良い。
皮脂固化性については、皮脂成分の中でも、化粧崩れの原因となる油分である脂肪酸(主にオレイン酸)についてはこれらを固化させ、一方で、皮脂中のエモリエント成分や、化粧料中に含まれる油分についてはこれらを固化させないという、選択性があることが好ましいことが知られている(Fragrance Journal,2015年12月号、42頁~46頁)。
本実施形態の酸化亜鉛粉体は、理由は明確でないが、オレイン酸の固化性に優れる。一方、本実施形態の酸化亜鉛粉体は、化粧料中に油分として一般的に配合されているシクロペンタシロキサン、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、スクワラン、およびオリーブオイル等については固化性を有さない。すなわち、本実施形態の酸化亜鉛粉体は、脂肪酸(オレイン酸)を選択的に固化できる効果も得られる。
(酸化亜鉛粉体の比表面積)
本実施形態の酸化亜鉛粉体の比表面積は、求められる特性に応じて任意に選択可能である。例えば、透明性の観点からは、比表面積が8m/g以上かつ65m/g以下であることが好ましく、15m/g以上かつ60m/g以下であることがより好ましく、20m/g以上かつ50m/g以下であることがさらに好ましく、25m/g以上かつ45m/g以下であることが最も好ましい。
酸化亜鉛粉体の比表面積が上記範囲であることにより、この酸化亜鉛粉体を含有する分散液や、化粧料の透明性を高くすることができる。
一方、酸化亜鉛粉体の感触を向上させる観点からは、1m/g以上かつ8m/gであることが好ましく、2m/g以上かつ7m/g以下であることがより好ましく、3m/g以上かつ7m/g以下であることがさらに好ましい。
酸化亜鉛粉体の比表面積が上記範囲であることにより、この酸化亜鉛粉体を含有する化粧料の感触を向上することができる。
したがって、分散液や化粧料に求められる透明性や感触を考慮して、酸化亜鉛粉体の比表面積を選択することが好ましい。
(酸化亜鉛粉体における比表面積の測定)
本実施形態において、酸化亜鉛粉体における比表面積とは、BET法により測定された値を意味する。比表面積の測定に用いられる装置としては、例えば、全自動比表面積測定装置(商品名:Macsorb HM Model-1201、マウンテック社製)が挙げられる。
本実施形態の酸化亜鉛粉体によれば、X線光電子分光法により測定されるS-O結合状態のSを0.1atm%以上かつ1.0atm%以下としたため、化粧料に用いた場合に、皮脂の固化に要する時間を短縮することができる。
[酸化亜鉛粉体の製造方法]
本実施形態の酸化亜鉛粉体の製造方法は、酸化亜鉛粉体と、SOを含む水溶液とを混合する工程を有する。
酸化亜鉛粉体としては、化粧料で用いられる高純度な酸化亜鉛粉体を用いることが好ましい。高純度の酸化亜鉛粉体を用いることで、酸化亜鉛粉体中における不純物量の増加を抑制することができる。
酸化亜鉛粉体中に不純物量が多い場合には、酸化亜鉛粉体を純水やアルコール等で洗浄してから用いればよい。
SOを含む水溶液とは、SOを含んでいれば特に限定されない。SOを含む水溶液は、例えば、SOを含む化合物を水に溶解することにより得ることができる。SOを含む化合物としては、例えば、硫酸や硫酸塩を、単独で又は2種以上を組み合わせて、用いることができる。
硫酸塩としては、特に限定されないが、例えば、硫酸亜鉛、硫酸ベリリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸ストロンチウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸セリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、及び硫酸アンモニウム等が挙げられる。これら硫酸塩はSOを分子構造中に含む。
皮脂固化時間がより短縮する点において、硫酸亜鉛、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウムを用いることが好ましい。
SOを含む水溶液の濃度は、硫酸塩の溶解度の範囲内で、X線光電子分光法により測定される、得られる酸化亜鉛粉体のS-O結合状態のSが、上記範囲となるように調整すればよく、特に限定されない。例えば、硫酸塩の濃度が0.01質量%以上かつ50質量%以下の水溶液を用いることができる。好ましい混合の例としては、前記水溶液と、原料としての酸化亜鉛粉体を、酸化亜鉛とSOを含む化合物が質量比で、1:0.001~1:0.1の範囲となるように、混合すればよい。
原料としての酸化亜鉛粉体と、SOを含む水溶液とを混合する方法としては、酸化亜鉛粉体の表面に、SOを含む化合物が均一に存在(付着)するように混合する方法であればよく、特に限定されない。例えば、SOを含む水溶液中で、酸化亜鉛粉体を撹拌してもよいし、SOを含む水溶液をスプレーで酸化亜鉛粉体(粒子)に吹き付け、その酸化亜鉛粉体をヘンシェルミキサーで撹拌してもよい。
本実施形態の酸化亜鉛粉体の製造方法は、SOを含む水溶液と混合した後の酸化亜鉛粉体を、乾燥する工程をさらに有していてもよい。
混合後の酸化亜鉛粉体は、自然乾燥させてもよいし、乾燥機により80℃~150℃の温度で乾燥させてもよい。
以上の工程により、本実施形態の酸化亜鉛粉体を作製することができる。なお本実施形態の酸化亜鉛粉体の表面にあってよいSOを含む化合物は、本実施形態の酸化亜鉛粉体の製造に用いることができるSOを含む化合物と、同じであっても、異なっていても良い。
なお、本実施形態では、酸化亜鉛粉体と、SOを含む水溶液とを混合した。しかし、本実施形態の酸化亜鉛粉体の製造方法は、これのみに限定されない。例えば、酸化亜鉛粉体(酸化亜鉛粒子)の表面にSOを含む化合物が存在(付着)させることができればよい。このため、目的の酸化亜鉛粉体の作製工程のどこかの段階で、SOを、すなわちSOを構造中に含む化合物及び/又はSOイオンを含む材料を、酸化亜鉛粉体を形成するための原料に、混合してもよいと推測される。
したがって、気相法で酸化亜鉛粉体を作製する場合には、SOを含むガスと、亜鉛を含むガスを混合することにより、本実施形態の酸化亜鉛粉体が得られると推測される。
また、熱分解法で酸化亜鉛粉体を作製する場合には、酸化亜鉛粉体の原料(シュウ酸亜鉛、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、塩基性炭酸亜鉛等)と、SOを含む水溶液を混合することにより、本実施形態の酸化亜鉛粉体が得られると推測される。
本実施形態の酸化亜鉛粉体の製造方法によれば、化粧料に用いた場合に、皮脂固化性に優れる酸化亜鉛粉体を作製することができる。
[表面処理された酸化亜鉛粉体]
本実施形態の酸化亜鉛粉体は、その表面の少なくとも一部が、無機成分および有機成分の少なくとも一方で表面処理されていてもよい。
前記少なくとも一部が表面処理された酸化亜鉛粉体の、S-O結合状態のSの原子濃度は、前記範囲内である。原料である酸化亜鉛粉体とSOを含む水溶液とを混合する処理の後に表面処理をする工程を加えることが好ましい。
このように無機成分および有機成分の少なくとも一方で表面処理されている酸化亜鉛粉体を、表面処理酸化亜鉛粉体と言う。表面処理酸化亜鉛粉体は、酸化亜鉛の表面活性をより抑制することができ、また、分散媒への分散性を向上することができる。
無機成分と有機成分は、酸化亜鉛粉体の用途に応じて、適宜選択される。
表面処理酸化亜鉛粉体が、化粧料に用いられる場合、表面処理に用いられる無機成分および有機成分は、特に限定されない。無機成分および有機成分としては、一般的に化粧料に用いられる表面処理剤が挙げられる。
無機成分としては、例えば、シリカ、アルミナ等が挙げられる。これらの無機成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機成分としては、例えば、シリコーン化合物、オルガノポリシロキサン、脂肪酸、脂肪酸石鹸、脂肪酸エステル、ポリオレフィン、N-アシルアミノ酸またはその塩、N-アシル-N-アルキルアミノ酸またはその塩、水添レシチンまたはその塩、および有機チタネート化合物からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。これらの有機成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、無機成分や有機成分としては、界面活性剤を用いてもよい。
このような無機成分および有機成分から選択される少なくとも1種を使用して、酸化亜鉛粉体を表面処理した場合、酸化亜鉛の表面活性を抑制したり、酸化亜鉛粉体の分散媒への分散性を向上したりすることができる。
表面処理に用いられるシリコーン化合物としては、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーンオイル;メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン等のアルキルシラン;トリフルオロメチルエチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン等のフルオロアルキルシラン、メチコン、ジメチコン、ハイドロゲンジメチコン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン、(アクリレーツ/アクリル酸トリデシル/メタクリル酸トリエトキシシリルプロピル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー、トリエトキシカプリリルシラン等が挙げられる。
これらのシリコーン化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、シリコーン化合物としては、これらのシリコーン化合物の共重合体を用いてもよい。
これらのシリコーン化合物の中でも、酸化亜鉛粉体の皮脂固化性をほとんど阻害しない点から、メチコン、ジメチコン、およびハイドロゲンジメチコンが好ましく、ハイドロゲンジメチコンが特に好ましい。
有機成分の例について、さらに説明する。
脂肪酸としては、例えば、パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ロジン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ポリヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
脂肪酸石鹸としては、例えば、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、12-ヒドロキシステアリン酸アルミニウム等が挙げられる。
脂肪酸エステルとしては、例えば、デキストリン脂肪酸エステル、コレステロール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル等が挙げられる。
N-アシルアミノ酸としては、例えば、N-ラウロイルグルタミン酸、N-ミリストイルグルタミン酸、N-パルミトイルグルタミン酸、N-ココイルグルタミン酸、N-ラウロイルリシン、N-ステアロイルグルタミン酸、ジラウロイルグルタミン酸リシン等が挙げられる。
N-アシルアミノ酸の塩としては、N-アシルアミノ酸のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩等が挙げられる。
また、N-アシルアミノ酸またはその塩の代わりに、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウムのような、N-アシルアミノ酸塩を含むジェミニ型両親媒性アミノ酸を用いてもよい。
有機チタネート化合物としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(ドデシル)ベンゼンスルホニルチタネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシートリ(ジオクチル)ホスフェイトチタネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシートリネオドデカノイルチタネート等が挙げられる。
本実施形態の表面処理酸化亜鉛粉体が、紫外線遮蔽フィルムやガスバリア性フィルム等の工業用途で用いられる場合、化粧料に用いられる無機成分や有機成分の他に、あるいは代わりに、粒子を分散させる際に用いられる一般的な分散剤も、適宜選択して用いることができる。このような分散剤としては、例えば、アニオン系分散剤、カチオン系分散剤、ノニオン系分散剤、シランカップリング剤、湿潤分散剤等が挙げられる。
このような分散剤を用いた表面処理を行うことにより、酸化亜鉛粉体の表面活性を抑制したり、酸化亜鉛粉体の分散媒への分散性を向上したりすることができる。
表面処理酸化亜鉛粉体の製造方法は、特に限定されず、表面処理に用いる成分に応じて、公知の方法で適宜実施すればよい。
[分散液]
本実施形態の分散液は、本実施形態の酸化亜鉛粉体と、分散媒と、を含有する。
酸化亜鉛粉体は、表面処理酸化亜鉛粉体であってもよい。
本実施形態の分散液は、皮脂の固化に要する時間を短縮することができる。
なお、本実施形態の分散液は、粘度が高いペースト状の分散体であってもよい。
分散液における酸化亜鉛粉体の含有量は、所望の特性に合わせて適宜調整すればよい。
分散液を化粧料に用いる場合には、分散液における酸化亜鉛粉体の含有量は任意に選択できる。例えば、30質量%以上かつ90質量%以下であることが好ましく、40質量%以上かつ85質量%以下であることがより好ましく、50質量%以上かつ80質量%以下であることがさらに好ましい。
分散液における酸化亜鉛粉体の含有量を限定することにより、例えば、30質量%以上かつ90質量%以下の範囲とすることにより、酸化亜鉛粉体が高濃度で分散液に含有されることができる。そのため、処方の自由度を向上することができるとともに、分散液の粘度を、取り扱いが容易な程度とすることができる。なお、酸化亜鉛粉体の含有量は、前記範囲のみに限定されない。下限の例として、10質量%や、20質量%や、40質量%や60質量%等を好ましく挙げることができる。上限の例として、95質量%や、90質量%や、85質量%や、75質量%等を好ましく挙げることができる。
本実施形態の分散液の粘度は任意に選択できる。例えば、5Pa・s以上かつ300Pa・s以下であることが好ましく、8Pa・s以上かつ100Pa・s以下であることがより好ましく、10Pa・s以上かつ80Pa・s以下であることがさらに好ましく、15Pa・s以上かつ60Pa・s以下であることが最も好ましい。
分散液の粘度が上記範囲であることにより、例えば、固形分(酸化亜鉛粉体)を高濃度に含んでいても、取り扱いが容易な分散液を得ることができる。
分散液に含まれる分散媒は、分散液の用途に応じて、適宜選択される。好適な分散媒を以下に例示するが、分散液における分散媒は、これらのみに限定されない。
分散媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、オクタノール、グリセリン等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン等のエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類が用いられる。
これらの分散媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、他の分散媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;シクロヘキサン等の環状炭化水素;ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン類等が用いられる。
これらの分散媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、他の分散媒としては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン類;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン類等が用いられる。
これらの分散媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、他の分散媒としては、流動パラフィン、スクワラン、イソパラフィン、分岐鎖状軽パラフィン、ワセリン、セレシン等の炭化水素油、イソプロピルミリステート、セチルイソオクタノエート、グリセリルトリオクタノエート等のエステル油、デカメチルシクロペンタシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール等の疎水性の分散媒を用いてもよい。
これらの分散媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前述の分散媒は、求められる特性に応じて、任意に組み合わせて用いることが可能である。分散媒の量は任意に選択できるが、例えば、分散液の総量に対して、5質量%以上かつ90質量%以下が一般的であり、好ましくは10質量%以上かつ70質量%以下であり、より好ましくは15質量%以上かつ60質量%以下である。
本実施形態の分散液は、その特性を損なわない範囲において、一般的に用いられる添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、例えば、分散剤、安定剤、水溶性バインダー、増粘剤、油溶性防腐剤、紫外線吸収剤、油溶性薬剤、油溶性色素類、油溶性蛋白質類、植物油、動物油等から選択される少なくとも1つが挙げられる。各添加剤の量は任意に選択できるが、例えば、分散液の総量に対して、0.1質量%以上かつ80質量%以下が一般的であり、好ましくは0.5質量%以上かつ50質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上かつ40質量%以下である。その他の例として、必要に応じて、0.1~2質量%であったり、2~5質量%であったり、5~10質量%であったりしてもよい。
分散液の製造方法は、特に限定されない。例えば、酸化亜鉛粉体と、分散媒とを、公知の分散装置で、機械的に分散する方法が挙げられる。
分散装置としては、例えば、攪拌機、自公転式ミキサー、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、サンドミル、ボールミル、ロールミル等が挙げられる。
本実施形態の分散液は、化粧料の他、紫外線遮蔽機能やガス透過抑制機能等を有する組成物等に用いることができる。
本実施形態の分散液によれば、本実施形態の酸化亜鉛粉体と、分散媒と、を含有するため、化粧料に用いた場合に、皮脂の固化に要する時間を短縮することができる。
[化粧料]
本実施形態の化粧料は、本実施形態の酸化亜鉛粉体および本実施形態の分散液からなる群から選択される少なくとも1種と、化粧品基剤原料と、を含有する。言い換えると、本実施形態の化粧料は、本実施形態の酸化亜鉛粉体と、化粧品基剤原料と、さらに必要に応じて分散媒とを、含有することができる。
本実施形態の化粧料は、化粧崩れを抑制することができる。
ここで、化粧品基剤原料とは、化粧品の本体を形成する諸原料を意味し、任意に選択することができる。化粧品基剤原料としては、例えば、油性原料、水性原料、界面活性剤、及び粉体原料等が挙げられる。これらは必要に応じて組み合わせて使用することができる。
油性原料としては、例えば、油脂、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油類等が挙げられる。
水性原料としては、例えば、精製水、アルコール、増粘剤等が挙げられる。
粉末原料としては、例えば、有色顔料、白色顔料、パール剤、体質顔料等が挙げられる。
本実施形態の化粧料は、例えば、本実施形態の酸化亜鉛粉体や分散液を、乳液、クリーム、ファンデーション、口紅、頬紅、及びアイシャドー等の化粧品基剤原料に、公知の方法で配合することにより、得ることができる。
また、化粧料は、本実施形態の酸化亜鉛粉体を、油相または水相に配合して、O/W型またはW/O型のエマルションとしてから、次に化粧品基剤原料と配合することにより、得ることもできる。
本実施形態の化粧料における酸化亜鉛粉体の含有量は、所望の特性に応じて、適宜調整すればよい。例えば、酸化亜鉛粉体の含有量の下限は、0.01質量%以上であってもよく、0.1質量%以上であってもよく、1質量%以上であってもよい。また、酸化亜鉛粉体の含有量の上限は、50質量%以下であってもよく、40質量%以下であってもよく、30質量%以下であってもよい。20質量%以下や、10質量%以下や、5質量%以下であってもよい。
本実施形態の化粧料によれば、本実施形態の酸化亜鉛粉体および本実施形態の分散液からなる群から選択される少なくとも1種と、化粧品基剤原料と、を含有するため、化粧崩れをより抑制することができる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
0.3質量%の硫酸亜鉛(ZnSO)を含む水溶液150gに、酸化亜鉛粉体A(住友大阪セメント製、BET比表面積45.1m/g)を30g添加し、30分撹拌した。
この混合液を遠心分離により固液分離し、得られた酸化亜鉛粉体を105℃で3時間乾燥することにより、実施例1の酸化亜鉛粉体を得た。
(酸化亜鉛粉体の評価)
走査型X線光電子分光分析装置 PHI5000(アルバック・ファイ社製)を用いて、以下の方法で、実施例1の酸化亜鉛粉体の表面に存在するS量を測定した。測定において、X線源として、AlKα(モノクロ:50W、15kV)1486.6eVを用いた。
分析領域は0.4×0.4mmとした。
酸化亜鉛粉体をアルミニウム製の皿に固定し、走査型X線光電子分光分析装置に導入した。
次いで、酸化亜鉛粉体の定性分析(ワイドスペクトル)を行った。
次いで、定性分析で検出された元素(O、Zn)と、測定したい元素(S)と、基準元素(C)と、について状態分析(ナロースペクトル)を行い、これらについて得られたスペクトルのピーク面積から、表面原子濃度を算出した。なお、CとSは強度が低いため、エネルギー分解能を落し、感度を優先した。
OはO1s(525eV~540eV)について測定した。ZnはZn2p(1015eV~1030eV)について測定した。SはS2p(160eV~175eV)について測定した。CはC1s(280eV~295eV)について測定した。
測定した結果、S2pは、168~169eV付近にピークが検出された。このとき、S-O状態が主体であることが確認された。
O、Zn、S、Cについて、測定範囲で検出されたピークの面積から、表面原子濃度を算出した。結果を表1に示す。
なお、状態分析と定量計算には、アルバック・ファイ社のハンドブックと相対感度係数を用いた。
計算により得られた酸化亜鉛粉体の表面に存在するS-O結合状態のS量は、0.6atm%であった。
ICP発光分光分析装置 ICP-AES 700-ES(バリアン社製)を用いて、以下の方法で、実施例1の酸化亜鉛粉体中に含まれるSO量を測定した。
実施例1の酸化亜鉛粉体を0.5g、200mLビーカーに秤量した。次いで、この酸化亜鉛粉体を含むビーカーに、純水50mLと、60質量%の濃硝酸を5mLとを加えて攪拌し、実施例1の酸化亜鉛粉体を溶解させた。
この溶解液を、メスフラスコで、純水で200mLに定容した。
この定容した液を2倍に希釈して、検液とした。
この検液に、内標準物質としてY(イットリウム)を1000ppm加えた。
濃度既知の元素標準液により、検量線を作成した。なお、検量線作成用の元素標準液にも、内標準物質としてYを1000ppmと、硝酸とを、検液と同濃度になるように加えた。
検液をICP発光分光分析装置で測定し、検量線法により定量した。
その結果、粉体に含まれる各元素の定量結果から、酸化亜鉛粉体中に含まれるSO量は、0.64質量%(6400ppm)であった。結果を表2に示す。
(皮脂固化性の評価)
「人工皮脂の作製」
オレイン酸(関東化学社製)10g、スクワラン10g(関東化学社製)、及びオリーブオイル10g(商品名:EXバージンオイル、BOSCO社製)を混合して、人工皮脂を作製した。
実施例1の酸化亜鉛粉体0.5gと、人工皮脂4gとを混合し、スターラーで攪拌した。攪拌した状態で、攪拌が終了してから人工皮脂が固化するまでの時間を測定し、皮脂固化性を評価した。
その結果、実施例1の酸化亜鉛粉体は5秒で固化した。
[実施例2]
ZnSOを含む水溶液の濃度を0.2質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の酸化亜鉛粉体を得た。
実施例1と同様に評価した結果、酸化亜鉛粉体の表面に存在するS-O結合状態のS量は0.4atm%であった。また、酸化亜鉛粉体中に含まれるSO量は、0.42質量%(4200ppm)であった。
また、皮脂固化に要した時間は2分30秒であった。結果を表1と表2に示す。
[比較例1]
酸化亜鉛粉体Aを30gと、ZnSO(粉体)0.45gとを、乳鉢で混合した。すなわち、粉体同士を単に混合して、サンプルとした。
得られた混合物を、実施例1と同様に評価した結果、酸化亜鉛粉体の表面に存在するS-O結合状態のS量は、検出限界以下(<0.1atm%)であった。また、酸化亜鉛粉体中に含まれるSO量は、0.68質量%(6800ppm)であった。
また、皮脂固化に要した時間は30分であった。結果を表1と表2に示す。
[比較例2]
酸化亜鉛粉体Aを、比較例2の酸化亜鉛粉体とした。すなわち未処理の酸化亜鉛粉体A自体を、サンプルとした。
実施例1と同様に評価した結果、酸化亜鉛粉体の表面に存在するS量は検出限界以下(<0.1atm%)であった。また、酸化亜鉛粉体に含まれるS-O結合状態のSO量は、0.005質量%(50ppm)であった。
実施例1と同様に皮脂固化に必要な時間を測定した結果、30分経過後も皮脂は固化していなかった。結果を表2に示す。
Figure 0007173033000001
Figure 0007173033000002
表1および表2の結果から、X線光電子分光法により測定されるS-O結合状態のSを0.4atm%以上とすることにより、皮脂固化性が向上することが確認された。
また、比較例1のように、粉体同士を単に混合した場合には、酸化亜鉛粉体に含まれるSO量が6800ppmであっても、酸化亜鉛粉体の表面に存在するS量は検出限界以下となり、皮脂固化性を向上する効果が得られなかった。
[参考実験]
硫酸亜鉛以外であっても、SOを含む化合物であれば、それらを用いて、所望の皮脂固化性を有する酸化亜鉛粉体が得られることを確認するために、以下の実験を行った。
[参考例1]
酸化亜鉛粉体Aを30gと、CaSOを0.2質量%含む水溶液150gを用意しこれらを混ぜ、30分撹拌した。
この混合液を遠心分離により固液分離し、得られた酸化亜鉛粉体を105℃で3時間乾燥することにより、参考例1の酸化亜鉛粉体を得た。
[参考例2]
CaSOをMgSOに変更したこと以外は、参考例1と同様にして、参考例2の酸化亜鉛粉体を得た。
[参考例3]
CaSOをNaSOに変更したこと以外は、参考例1と同様にして、参考例3の酸化亜鉛粉体を得た。
[参考例4]
CaSOをCaClに変更したこと以外は、参考例1と同様にして、参考例4の酸化亜鉛粉体を得た。
[参考例5]
CaSOをMgClに変更したこと以外は、参考例1と同様にして、参考例5の酸化亜鉛粉体を得た。
参考例1~参考例5の酸化亜鉛粉体について、実施例1と同様に皮脂固化性を評価した。
固化時間が5分以下である場合を「◎」(優)、固化時間が5分を超えて20分以下である場合を「○」(良)、固化時間が20分を超えて30分以下である場合を「△」(可)、固化時間が30分を超える場合を「×」(不可)と評価した。固化時間が短いほど、皮脂固化性が良好であることを意味する。
Figure 0007173033000003
表3の結果から、硫酸塩を酸化亜鉛粉体の表面に存在させることにより、皮脂固化性が向上することが確認された。
また、第1族元素の硫酸塩より、第2族元素の硫酸塩の方が、皮脂固化性が向上しやすいことが確認された。
上記の皮脂固化性の評価により、S-O結合状態のS量が0.1atm%以上かつ1.0atm%以下である酸化亜鉛粉体は、皮脂を固化できる時間が短縮されることが確認された。その結果、この酸化亜鉛粉体を化粧料に用いた場合、化粧崩れを抑制できると考えられる。
本発明の酸化亜鉛粉体は、皮脂固化性に優れるため、化粧料に用いられた場合の工業的価値は大きい。本発明は、皮脂が固化する時間を従来よりも短縮できる酸化亜鉛粉体、並びに、酸化亜鉛粉体を含む分散液、化粧料、および酸化亜鉛粉体の製造方法を提供できる。

Claims (8)

  1. X線光電子分光法により測定される、酸化亜鉛粉体のS-O結合状態のSが、0.1atm%以上かつ1.0atm%以下であることを特徴とする化粧料用酸化亜鉛粉体。
  2. 前記酸化亜鉛粉体中のSOの含有量が100ppm以上かつ10000ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載の化粧料用酸化亜鉛粉体。
  3. 無機成分および有機成分の少なくとも一方で表面処理されたことを特徴とする請求項1に記載の化粧料用酸化亜鉛粉体。
  4. 請求項1に記載の化粧料用酸化亜鉛粉体と、分散媒と、を含有することを特徴とする分散液。
  5. 請求項1に記載の化粧料用酸化亜鉛粉体と、化粧品基剤原料と、を含有することを特徴とする化粧料。
  6. さらに分散媒を含有することを特徴とする請求項5に記載の化粧料。
  7. 請求項1に記載の化粧料用酸化亜鉛粉体の製造方法であって、
    酸化亜鉛粉体と、SO の濃度が0.01質量%以上かつ50質量%以下の水溶液を用いて、原料としての酸化亜鉛粉体を酸化亜鉛とSO を含む化合物が質量比で1:0.001~1:0.1の範囲となるように、混合する工程と、
    80℃~150℃の温度で乾燥する工程と、を有することを特徴とする化粧料用酸化亜鉛粉体の製造方法。
  8. 前記化粧料用酸化亜鉛粉体が、酸化亜鉛粒子と、前記酸化亜鉛粒子に付着したSOを含む化合物とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の化粧料用酸化亜鉛粉体。
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