JP2010168254A - 紫外線遮蔽剤、化粧料及び微細針状酸化亜鉛 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来以上に優れた紫外線遮蔽効果を有する紫外線遮蔽剤、これを含有する化粧料、及び、優れた紫外線遮蔽効果を有する微細針状酸化亜鉛を提供する。
【解決手段】平均長径が500nm以下、平均短径が100nm以下であり、平均長径/平均短径で定義されるアスペクト比が4以上で、かつBET法による比表面積が20m2/g以上である微細針状酸化亜鉛からなる紫外線遮蔽剤。
【選択図】なし
【解決手段】平均長径が500nm以下、平均短径が100nm以下であり、平均長径/平均短径で定義されるアスペクト比が4以上で、かつBET法による比表面積が20m2/g以上である微細針状酸化亜鉛からなる紫外線遮蔽剤。
【選択図】なし
Description
本発明は、紫外線遮蔽剤、化粧料及び微細針状酸化亜鉛に関する。
化粧品分野においては、多くの紫外線遮蔽剤が使用されている。このような紫外線遮蔽剤としては有機物質からなるものと無機物質からなるものが公知である。しかしながら、有機物質からなる紫外線遮蔽剤は、透明性に優れるが、刺激性や耐久性に問題があった。また、紫外線の遮蔽メカニズムが主に吸収であるために、一定波長領域の紫外スペクトルしか遮蔽できないという欠点があった。
無機物質の紫外線遮蔽剤は、刺激性や耐久性といった問題が少なく、更に吸収と反射により紫外線を遮蔽することから幅広い紫外スペクトルから対象物を保護することができる。中でもナノサイズ、サブミクロンサイズの酸化亜鉛は高い可視光透明性とUV−A領域からの幅広い紫外線遮蔽性を併せ持つために、紫外線遮蔽剤として化粧料に多く使用されている。紫外線遮蔽剤としての酸化亜鉛は、従来以上に高い紫外線遮蔽性能を有するものを得ることができれば、化粧品に配合したときに優れた性能を発揮することができる。
特許文献1,2において、微細針状の形状を有する酸化亜鉛が開示されている。しかし、特許文献1、2においては、微細針状酸化亜鉛を導電性材料基材や放熱材料、充填剤等に使用することが記載されているのみであり、紫外線遮蔽性能や化粧品への配合に関する記載は存在していない。
引用文献3には、化粧料に配合する酸化亜鉛において、表面にケイ酸亜鉛からなる被覆層を形成することによって、酸化亜鉛の表面活性を抑制する方法が記載されている。当該文献においては、一般的な酸化亜鉛についての表面処理が記載されているのみである。
本発明は、上記に鑑み、従来以上に優れた紫外線遮蔽効果を有する紫外線遮蔽剤、これを含有する化粧料、及び、優れた紫外線遮蔽効果を有する微細針状酸化亜鉛を提供することを目的とするものである。
本発明は、平均長径が500nm以下、平均短径が100nm以下であり、平均長径/平均短径で定義されるアスペクト比が4以上で、かつBET法による比表面積が20m2/g以上である微細針状酸化亜鉛からなることを特徴とする紫外線遮蔽剤である。
上記微細針状酸化亜鉛は、ケイ酸亜鉛(Zn2SiO4 )換算で0.5〜50重量%の範囲のケイ酸亜鉛からなる被覆層を有することが好ましい。
上記微細針状酸化亜鉛は、ケイ酸亜鉛からなる第1の被覆層の上に、酸化亜鉛に対して酸化物換算で0.5〜30重量%の範囲のAl、Ti、Zr、Sn、Sb及び希土類元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物からなる第2の被覆層を有するものであってもよい。
上記微細針状酸化亜鉛は、酸化亜鉛の重量に対して1〜20重量%の範囲の有機ケイ素化合物、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、金属石ケン、多価アルコール又はアルカノールアミンで処理されたものであってもよい。
上記微細針状酸化亜鉛は、ケイ酸亜鉛からなる第1の被覆層の上に、酸化亜鉛に対して酸化物換算で0.5〜30重量%の範囲のAl、Ti、Zr、Sn、Sb及び希土類元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物からなる第2の被覆層を有するものであってもよい。
上記微細針状酸化亜鉛は、酸化亜鉛の重量に対して1〜20重量%の範囲の有機ケイ素化合物、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、金属石ケン、多価アルコール又はアルカノールアミンで処理されたものであってもよい。
本発明は、平均長径が500nm以下、平均短径が100nm以下であり、平均長径/平均短径で定義されるアスペクト比が4以上で、かつBET法による比表面積が20m2/g以上である微細針状酸化亜鉛を1〜80重量%の範囲で含有することを特徴とする化粧料である。
上記微細針状酸化亜鉛は、ケイ酸亜鉛(Zn2SiO4 )換算で0.5〜50重量%の範囲のケイ酸亜鉛からなる被覆層を有することが好ましい。
上記微細針状酸化亜鉛は、ケイ酸亜鉛からなる第1の被覆層の上に、酸化亜鉛に対して酸化物換算で0.5〜30重量%の範囲のAl、Ti、Zr、Sn、Sb及び希土類元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物からなる第2の被覆層を有するものであってもよい。
上記微細針状酸化亜鉛は、酸化亜鉛の重量に対して1〜20重量%の範囲の有機ケイ素化合物、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、金属石ケン、多価アルコール及び/又はアルカノールアミンで処理されたものであってもよい。
上記微細針状酸化亜鉛は、ケイ酸亜鉛からなる第1の被覆層の上に、酸化亜鉛に対して酸化物換算で0.5〜30重量%の範囲のAl、Ti、Zr、Sn、Sb及び希土類元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物からなる第2の被覆層を有するものであってもよい。
上記微細針状酸化亜鉛は、酸化亜鉛の重量に対して1〜20重量%の範囲の有機ケイ素化合物、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、金属石ケン、多価アルコール及び/又はアルカノールアミンで処理されたものであってもよい。
本発明は、平均長径が500nm以下、平均短径が100nm以下であり、平均長径/平均短径で定義されるアスペクト比が4以上で、かつBET法による比表面積が20m2/g以上であり、表面にケイ酸亜鉛(Zn2SiO4 )換算で0.5〜50重量%の範囲のケイ酸亜鉛からなる被覆層を有することを特徴とする微細針状酸化亜鉛でもある。
上記微細針状酸化亜鉛は、ケイ酸亜鉛からなる第1の被覆層の上に、酸化亜鉛に対して酸化物換算で0.5〜30重量%の範囲のAl、Ti、Zr、Sn、Sb及び希土類元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物からなる第2の被覆層を有するものであってもよい。
本発明は、平均長径が500nm以下、平均短径が100nm以下であり、平均長径/平均短径で定義されるアスペクト比が4以上で、かつBET法による比表面積が20m2/g以上である微細針状酸化亜鉛を有機ケイ素化合物、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、金属石ケン、多価アルコール又はアルカノールアミンで表面処理することによって得られたことを特徴とする微細針状酸化亜鉛でもある。
表面処理は、微細針状酸化亜鉛の重量に対して1〜20重量%の範囲の有機ケイ素化合物、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、金属石ケン、多価アルコール又はアルカノールアミンによって行うことが好ましい。
表面処理は、微細針状酸化亜鉛の重量に対して1〜20重量%の範囲の有機ケイ素化合物、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、金属石ケン、多価アルコール又はアルカノールアミンによって行うことが好ましい。
本発明の紫外線遮蔽剤は、従来の酸化亜鉛よりも優れた紫外線遮蔽性能を有し、透明性も維持された微細針状酸化亜鉛からなるものである。本発明の化粧料は、従来の酸化亜鉛よりも優れた紫外線遮蔽性能を有し、透明性も維持された微細針状酸化亜鉛を含有するものである。更に、本発明の酸化亜鉛は特に優れた紫外線遮蔽能性能を有し、表面活性が抑制されていることから、化粧料への配合に特に適したものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の紫外線遮蔽剤は、平均長径が500nm以下、平均短径が100nm以下であり、平均長径/平均短径で定義されるアスペクト比が4以上であり、かつBET法による比表面積が20m2/g以上である微細針状酸化亜鉛からなるものである。更に、上記微細針状酸化亜鉛は、平均長径が100〜500nmの範囲にあり、平均短径が10〜100nmの範囲にあり、アスペクト比が4〜20の範囲にあり、BET法による比表面積が20〜50m2/gの範囲にあることが好ましい
本発明の紫外線遮蔽剤は、平均長径が500nm以下、平均短径が100nm以下であり、平均長径/平均短径で定義されるアスペクト比が4以上であり、かつBET法による比表面積が20m2/g以上である微細針状酸化亜鉛からなるものである。更に、上記微細針状酸化亜鉛は、平均長径が100〜500nmの範囲にあり、平均短径が10〜100nmの範囲にあり、アスペクト比が4〜20の範囲にあり、BET法による比表面積が20〜50m2/gの範囲にあることが好ましい
特に、本発明に更に好ましい微細針状酸化亜鉛は、平均長径が100〜250nmの範囲にあり、平均短径が10〜50nmの範囲にあり、BET法による比表面積が20〜50m2/gの範囲にある。
上記特定の形状を有する微細針状酸化亜鉛は、原因は不明であるが、針状形状を有さない通常の微細酸化亜鉛と比較した場合に顕著に優れた紫外線遮蔽性能を有することが明らかになった。当該事実は、当業者にとって予想外の新規な知見である。このような知見に基づいて、上記微細針状酸化亜鉛は、紫外線遮蔽剤として、紫外線遮蔽性能が重視される各種分野において特に好適に使用することができることを見出し、本願発明を完成したものである。
上記微細針状酸化亜鉛は、その製造方法を特に限定されるものではないが、例えば、水酸化物イオン/亜鉛イオンモル比を1.50〜1.85の範囲に保つと共に、得られる混合物のpHを6.0から8.0の範囲、好ましくは、6.5〜7.5の範囲に保ちながら、55℃以下の温度にて、亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液を反応槽に同時に加える方法によって得ることができる。
上記微細針状酸化亜鉛の製造に用いる上記亜鉛塩としては、水溶性であれば、特に限定されるものではないが、好ましくは、塩化物、硝酸塩、硫酸塩等のような無機酸塩や、また、ギ酸亜鉛や酢酸亜鉛のような有機酸塩が好ましく用いられる。このような亜鉛塩は、通常、0.01〜6.0モル/L濃度の水溶液として用いられる。上記微細針状酸化亜鉛の製造に用いる上記アルカリとしては、通常、アルカリ金属水酸化物が好ましく用いられ、特に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が好ましく用いられる。このようなアルカリは、通常、0.01〜18モル/L濃度の水溶液として用いられる。
上記微細針状酸化亜鉛は、上記亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液を、水酸化物イオン/亜鉛イオンモル比を1.50〜1.85の範囲に保つと共に、得られる混合物のpHを6.0から8.0の範囲、好ましくは、6.5から7.5の範囲に保ちながら、55℃以下の温度にて、好ましくは、55〜35℃の範囲の温度にて、反応槽に同時に加えることによって得ることができる。詳しくは、例えば、バッチ方式による場合は、予め、反応槽に水を張っておき、この水に同時に加えられる亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液が速やかに混合され、接触するように、十分に攪拌しながら、これに亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液とをそれぞれ所定の割合にて同時に加えることによって、上記微細針状酸化亜鉛を得ることができる。このように亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液を反応槽に同時に加えることは、連続方式でも同様に行うことができる。
一般に、亜鉛塩とアルカリとの反応は実質的に瞬時に完了するが、ある量の亜鉛塩水溶液とある量のアルカリ水溶液とを上述したようにして反応槽に同時に加えて反応させて、目的とする微細針状酸化亜鉛を工業的に効率よく製造するには、ある程度の時間をかけて、上記亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液のそれぞれ全量を反応槽に加えることが望ましい。しかし、本発明によれば、上記亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液のそれぞれ全量を反応槽に加えるための時間は短くてよく、具体的には、反応に供する亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液のそれぞれの濃度や量にもよるが、例えば、1モル/L程度の濃度の亜鉛塩水溶液1Lと3.6モル/L程度の濃度のアルカリ水溶液0.75Lとを同時中和するために要する時間は、通常、数分程度であり、例えば、1分から2分程度である。
上記微細針状酸化亜鉛の製造において、上記亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液を反応槽に同時に加える際に、水酸化物イオン/亜鉛イオンモル比が1.50よりも小さいときは、得られる微細針状酸化亜鉛が大きくなり、目的とする平均長径と平均短径と比表面積を有する微細酸化亜鉛を得ることができない。また、得られる微細針状酸化亜鉛のアスペクト比が小さくなる傾向がある。他方、微細針状酸化亜鉛の製造において、上記亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液を反応槽に同時に加える際に、水酸化物イオン/亜鉛イオンモル比が1.85よりも大きいときは、針状酸化亜鉛を得ることができない。即ち、得られる酸化亜鉛は、針状性のない粒子である。
上記微細針状酸化亜鉛の製造において、上記亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液を反応槽に同時に加える際に、得られる混合物のpHが6.0よりも小さいときは、得られる微細針状酸化亜鉛が大きくなる傾向があり、目的とする平均長径と平均短径と比表面積を有する微細酸化亜鉛を得ることができない。しかし、得られる混合物のpHが8.0よりも大きいときは、針状酸化亜鉛を得ることができない。
更に、微細針状酸化亜鉛の製造において、上記亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液を反応槽に同時に加える際に、反応温度が55℃を超えるときは、得られる微細針状酸化亜鉛が大きくなる傾向があり、目的とする平均長径と平均短径と比表面積を有する微細針状酸化亜鉛を得ることができない。
上述した微細針状亜鉛の製造において、亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液を反応槽に同時に加えて反応させる際に、これを超音波照射下に行うことによって、特に、微細な針状酸化亜鉛を得ることができる。超音波照射に用いる超音波の周波数は、特に限定されるものではなく、15kHzから1MHzの範囲にわたってよいが、通常、20〜300kHzの範囲が適当であり、なかでも、20〜100kHzの範囲が適当である。
上記微細針状酸化亜鉛は、更に、ケイ酸亜鉛(Zn2SiO4 )換算で被覆前の酸化亜鉛に対して0.5〜50重量%の範囲のケイ酸亜鉛からなる被覆層を有することが好ましい。酸化亜鉛は、元来、水に微量溶解する性質があり、このような溶出亜鉛が有する生理活性は化粧品分野において、古来使用されているものである。しかしながら、これらの生理活性と化学反応性は、酸化亜鉛を超微粒子化することによって一層強くなる傾向にあるため、上記処理によって粒子表面の活性を抑制し、生理活性と化学反応性を抑制することが好ましい。
上記微細針状酸化亜鉛は、その表面に酸化亜鉛に対してケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4 )換算で0.5〜50重量%、より好ましくは、1〜15重量%の範囲でケイ酸亜鉛からなる被覆層を有することが好ましい。上記ケイ酸亜鉛の割合がケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4 )換算で0.5重量%よりも少ないときは、酸化亜鉛が本来有する表面活性を十分に抑えることができなくなるおそれがある。他方、50重量%よりも多いときは、酸化亜鉛本来の紫外線遮蔽効果が著しく低下するおそれがある。
なお、本発明において、「ケイ酸亜鉛換算にて」というとき、このケイ酸亜鉛は、オルトケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4 )を意味するものとする。
このような表面活性を抑えた微細針状酸化亜鉛は、微細針状酸化亜鉛の粒子の水性懸濁液に、水溶性ケイ酸塩と水溶性亜鉛塩のそれぞれの水溶液をケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4 )を形成する化学量論比で、且つ、酸化亜鉛に対してケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4 )換算で0.5〜50重量%の範囲の量を加えた後、水洗、乾燥し、次いで、300〜1200℃の範囲の温度に加熱して、微細針状酸化亜鉛を生成させると共に、その粒子の表面にケイ酸亜鉛からなる被覆層を形成させることによって得ることができる。
この方法を更に詳細に説明すれば、上記微細針状酸化亜鉛の水性懸濁液を調製するには、上述した方法によって得られた微細針状酸化亜鉛を、ビーズミルを用いて懸濁させることが好ましい。懸濁液における微細針状酸化亜鉛の濃度は、50〜250g/Lの範囲が好ましい。但し、本発明においては、微細針状酸化亜鉛の水性懸濁液の調製と懸濁液における微細針状酸化亜鉛の濃度は、上記例示に限定されるものではない。
次に、このようにして得られた微細針状酸化亜鉛の水性懸濁液に、水溶性ケイ酸塩の水溶液と水溶性亜鉛塩の水溶液をケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4 )を形成する化学量論比で、且つ、酸化亜鉛に対してケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4 )換算で0.5〜50重量%の範囲の量を加える。この際、必要に応じて、中和剤を加えて、pHを調整してもよい。
上記水溶性ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のようなケイ酸アルカリ金属が好ましく用いられ、また、水溶性亜鉛塩としては、硫酸亜鉛、塩化亜鉛等の無機酸塩が好ましく用いられるが、しかし、これらに限定されるものではない。ここに、微細針状酸化亜鉛の懸濁液に水溶性ケイ酸塩の水溶液と水溶性亜鉛塩の水溶液を加えるに際して、いずれを先に加えてもよく、また、両者を同時に加えてもよい。
このようにして、得られた懸濁液から微細針状酸化亜鉛を分別し、洗浄し、必要に応じて、乾燥させた後、例えば、空気のような酸化性雰囲気下、300〜1200℃の範囲の温度に加熱、焼成し、この後、ハンマーミル、エッジランナーミル、ジェットミル等、適宜の粉砕機にて乾式粉砕することによって、ケイ酸亜鉛からなる被覆層を有する微細針状酸化亜鉛を得ることができる。
このようにして得られた微細針状酸化亜鉛を焼成するに際して、焼成温度が300℃よりも低いときは、微細針状酸化亜鉛上に含水ケイ酸亜鉛が残存するために好ましくなく、他方、1200℃を超えるときは、粒子が成長して極端に大きくなり、高い透明性を有する微細針状酸化亜鉛を得ることができない。好ましくは、焼成温度は、500〜1100℃の範囲であり、最も好ましくは、600〜1000℃の範囲である。
上記微細針状酸化亜鉛は、酸化亜鉛表面に鉄が酸化亜鉛に対して鉄換算にて0.1〜20重量%の範囲で固溶されており、その上に上記ケイ酸亜鉛による被覆層が形成されたものであってもよい。
この鉄固溶微細針状酸化亜鉛において、酸化亜鉛への鉄の固溶量は、酸化亜鉛に対して鉄換算で0.1〜20重量%、好ましくは、0.5〜15重量%、特に好ましくは、1〜10重量%の範囲である。このように、酸化亜鉛に鉄を固溶させることによって、400nmもの長波長領域の紫外線を有効に遮蔽する酸化亜鉛超微粒子を得ることができ、このような酸化亜鉛超微粒子は、これを化粧料に配合することによって、他の成分との望ましくない反応を起こさず、活性酸素の生成のおそれがなく、更に、白味のない素肌感覚の仕上がりを得ることができる化粧料とすることができる。
酸化亜鉛への鉄の固溶量が鉄換算で0.1重量%よりも少ないときは、380nmより長波長のA領域紫外線を遮蔽する効果が不十分であり、他方、20重量%よりも多いときは、鉄の一部が酸化亜鉛に固溶しないまま、酸化亜鉛と分離して存在することなり、塗料や乳液への配合時に色分かれ等の問題が生じる。
このような鉄固溶微細針状酸化亜鉛は、本発明に従って、微細針状酸化亜鉛の水性懸濁液に、酸化亜鉛に対して鉄換算で0.1〜20重量%の水溶性鉄塩の水溶液を加えた後、中和剤を加えて、上記微細針状酸化亜鉛の表面に含水酸化鉄層を形成させ、この後、前述したようにして、このような微細針状酸化亜鉛を含む水性懸濁液に、水溶性ケイ酸塩と水溶性亜鉛塩のそれぞれの水溶液をケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4 )を形成する化学量論比で、且つ、酸化亜鉛に対してケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4)換算で0.5〜50重量%の範囲の量を加えた後、水洗、乾燥し、次いで、300〜1200℃の範囲の温度に加熱して、微細針状酸化亜鉛中に鉄を固溶させると共に、表面にケイ酸亜鉛からなる被覆層を形成させることによって得ることができる。
本発明によれば、微細針状酸化亜鉛上に含水酸化鉄を沈着させるためには、例えば、微細針状酸化亜鉛の水性懸濁液に酸化亜鉛に対して鉄換算で0.1〜20重量%の水溶性鉄塩を加えた後、中和剤を加えて、上記懸濁液を中和すればよい。上記水溶性鉄塩としては、例えば、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、硝酸第一鉄、硝酸第二鉄等が好ましく用いられるが、これらに限定されるものではない。また、上記中和剤としては、限定されるものではないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水等が好ましく用いられる。
上記微細針状酸化亜鉛は、酸化亜鉛表面にコバルトが酸化亜鉛に対して酸化コバルト換算にて酸化亜鉛に対して0.5〜30重量%、好ましくは、1〜25重量%、特に好ましくは、3〜20重量%の範囲で固溶されており、その上に上記ケイ酸亜鉛による被覆層が形成されたものであってもよい。
本発明によるコバルト固溶微細針状酸化亜鉛は、380〜420nmの長波長領域の紫外線に対する遮蔽能に優れているのみならず、これを媒体に分散させて、化粧料や塗料等の組成物とした場合、表面のケイ酸亜鉛からなる被覆層によって、コバルト含有微細針状酸化亜鉛が媒体から完全に隔絶されており、従って、例えば、純水への溶解性や他の成分との反応性を著しく抑制することができ、更には、光触媒活性をもほぼ完全に抑制することができる。
このようなコバルト固溶微細針状酸化亜鉛も、前述した鉄固溶微細針状酸化亜鉛と同様にして得ることができる。即ち、コバルト固溶微細針状酸化亜鉛は、微細針状酸化亜鉛の水性懸濁液に、酸化亜鉛に対して酸化コバルト(CoO)換算で0.5〜30重量%の水溶性コバルト塩の水溶液を加えた後、中和剤を加えて、上記微細針状酸化亜鉛の表面に含水酸化コバルト層を形成させ、この後、前述したようにして、このような微細針状酸化亜鉛を含む水性懸濁液に、水溶性ケイ酸塩と水溶性亜鉛塩のそれぞれの水溶液をケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4 )を形成する化学量論比で、且つ、酸化亜鉛に対してケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4 )換算で0.5〜50重量%の範囲の量を加えた後、水洗、乾燥し、次いで、300〜1200℃、好ましくは、500〜1100℃、最も好ましくは、600〜1000℃の範囲の温度に加熱して、微細針状酸化亜鉛中にコバルトを固溶させると共に、表面にケイ酸亜鉛からなる被覆層を形成させることによって得ることができる。
本発明によれば、微細針状酸化亜鉛上に含水酸化コバルトを沈着させるためには、例えば、微細針状酸化亜鉛の水性懸濁液に酸化亜鉛に対して酸化コバルト(CoO)換算で0.5〜30重量%の水溶性コバルト塩を加えた後、中和剤を加えて、上記懸濁液を中和すればよい。上記水溶性コバルト塩としては、例えば、塩化コバルト、硫酸コバルト、硝酸コバルト等が好ましく用いられるが、これらに限定されるものではない。また、上記中和剤としては、限定されるものではないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水等が好ましく用いられる。
本発明によるコバルト固溶微細針状酸化亜鉛において、コバルト固溶量が酸化亜鉛に対して酸化コバルト(CoO)換算で0.5重量%よりも少ないときは、380〜420nmの長波長領域の紫外線に対する遮蔽効果が殆どなく、他方、30重量%よりも多いときは、可視光の透過率、即ち、透明性が著しく低下する。
上記微細針状酸化亜鉛は、ケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4 )換算で0.5〜50重量%の範囲のケイ酸亜鉛からなる第1の被覆層の上に、第1の被覆層形成時と同様に被覆前の酸化亜鉛に対して酸化物換算で0.5〜30重量%の範囲のAl、Ti、Zr、Sn、Sb及び希土類元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物からなる第2の被覆層を有するものであってもよい。
このような微細針状酸化亜鉛は、微細針状酸化亜鉛の表面にケイ酸亜鉛からなる被覆層を有する微細針状酸化亜鉛を調製した後、次いで、微細針状酸化亜鉛の水性懸濁液にAl、Ti、Zr、Sn、Sb及び希土類元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の水溶性化合物の水溶液を加えた後、酸又はアルカリを中和剤として加えて、上記元素の水溶性化合物を中和し、上記微細針状酸化亜鉛の表面に沈殿させて、上記元素の酸化物からなる第2の被覆層を形成することによって得ることができる。第2の被覆層は、第1の被覆層形成時と同様に被覆前の酸化亜鉛の量に対して、0.5〜30重量%の範囲が好ましく、特に、2〜15重量%の範囲が好ましい。また、希土類元素としては、例えば、イットリウム、ランタン、セリウム、ネオジム等を挙げることができる。
上記アルミニウムの水溶性化合物としては、例えば、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム等を挙げることができる。チタンの水溶性化合物としては、例えば、四塩化チタンやチタニル硫酸等を挙げることができる。上記ジルコニウムの水溶性化合物としては、例えば、硝酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム等を挙げることができる。上記スズの水溶性化合物としては、例えば、塩化スズを挙げることができる。上記アンチモンの水溶性化合物としては、例えば、塩化アンチモン等を挙げることができる。また、上記希土類元素の水溶性化合物としては、例えば、硝酸セリウム等を挙げることができる。
このような第2の被覆層を有する本発明による微細針状酸化亜鉛の調製において、上記中和剤としては、酸又はアルカリが用いられ、酸としては、例えば、硫酸、塩酸等の無機酸や、酢酸、シュウ酸等の有機酸が好ましく用いられ、他方、アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水等が好ましく用いられる。
ケイ酸亜鉛からなる第1の被覆層を有する微細針状酸化亜鉛の表面に上記元素の酸化物からなる第2の被覆層を形成するに際して、2種以上の複数の元素の酸化物からなる被覆層を形成する場合、複数の元素の水溶性化合物の水溶液を用いて、一度に複数の元素の酸化物からなる被覆層を形成してもよいが、個々の元素の水溶性化合物の水溶液を用いて、一層ずつ、その酸化物からなる被覆層を順次、形成して、第2の被覆層を多層に形成するのが好ましい。特に、第2の被覆層として、アルミニウム酸化物を含む被覆層を形成する場合には、アルミニウム酸化物からなる被覆層を最後に形成することが望ましい。
本発明において使用する上記微細針状酸化亜鉛においては、分散性を高めるために、有機ケイ素化合物、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、金属石ケン、多価アルコール又はアルカノールアミンから選ばれる表面処理剤で表面処理してもよい。このような表面処理剤は、上記微細針状酸化亜鉛(表面被覆の重量を含む)に対して、通常、1〜20重量%の範囲であり、好ましくは、1〜10重量%の範囲で用いられる。上記表面処理は、上述したケイ酸亜鉛による被覆上や、ケイ酸亜鉛からなる第1の被覆層の上に、Al、Ti、Zr、Sn、Sb及び希土類元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物からなる第2の被覆層を形成した上に形成するものであってもよいし、これらの被覆を形成していない微細針状酸化亜鉛状に形成するものであってもよい。また、このような表面処理を行った微細針状酸化亜鉛も本発明の一つである。
上記有機ケイ素化合物としては、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサンやジメチルポリシロキサン等のオルガノポリシロキサンや、トリエトキシビニルシランやジフェニルジメトキシシラン等のシランカップリング剤を挙げることができる。
上記高級脂肪酸としては、例えば、炭素原子数10〜30の例えばラウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸等を挙げることができる。
上記高級脂肪酸エステルとしては、例えば、パルミチン酸オクチルのような上記高級脂肪酸のアルキルエステル等を挙げることができる。
上記金属石ケンとしては、例えば、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム等の上記高級脂肪酸の金属塩等を挙げることができる。金属石ケンを構成する金属種は特に限定されず、例えば、アルミニウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、スズ等を挙げることができる。
上記高級脂肪酸エステルとしては、例えば、パルミチン酸オクチルのような上記高級脂肪酸のアルキルエステル等を挙げることができる。
上記金属石ケンとしては、例えば、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム等の上記高級脂肪酸の金属塩等を挙げることができる。金属石ケンを構成する金属種は特に限定されず、例えば、アルミニウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、スズ等を挙げることができる。
上記多価アルコールとしては、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等を挙げることができる。
上記アルカノールアミンとしては、例えば、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン等を挙げることができる。
上記アルカノールアミンとしては、例えば、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン等を挙げることができる。
上記表面処理剤による処理量が酸化亜鉛に対して1重量%よりも少ないときは、本発明による微細針状酸化亜鉛の分散性の改善効果に乏しくなるおそれがあり、他方、20重量%を越えても、分散性が飽和するので、経済的に不利となる。
上記表面処理剤による処理は、上記微細針状酸化亜鉛に表面処理剤を所定量混合することによって得ることができる。更には、上記微細針状酸化亜鉛を適宜の媒体、例えば、水、アルコール、エーテル等に懸濁させた後、この懸濁液に表面処理剤を加え、攪拌し、分別し、乾燥、粉砕して得ることもでき、また、蒸発乾固し、粉砕して得ることもできる。
上述したような微細針状酸化亜鉛は、その表面にケイ酸亜鉛等の各種被覆層を有するので、化粧料中に配合する場合に、その生理活性、化学的活性が抑制されたものであることから、化粧品として特に優れたものとすることができる。上記被覆層を有する微細針状酸化亜鉛も本発明の一つである。
本発明の化粧料は、上述した微細針状酸化亜鉛を1〜80重量%の範囲で化粧料に配合したものである。上記微細針状酸化亜鉛を使用することによって、優れた紫外線吸収能を有する化粧品とすることができる。本発明の化粧料においては、上述した微細針状酸化亜鉛と併用して、化粧料分野において通常使用することができる各種原料を配合することができる。
本発明の化粧料は、特に限定されるものではなく、サンスクリーン剤、口紅、ファンデーション、化粧下地等の各種の化粧料において使用することができるが、特に、高い紫外線遮蔽能が要求されるサンスクリーン剤に好適に使用することができる。
更に、上述した各種被覆層を有する微細針状酸化亜鉛は、高い紫外線遮蔽能及びその表面活性が抑制された性質を有することから、化粧料以外の各種工業用途においても使用が期待されるものである。
以下に実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
実験に先立って、長径、短径、アスペクト比の測定方法を詳述する。
(長径、短径、アスペクト比の測定方法)
透過型電子顕微鏡写真撮影装置(JEM-100SX 日本電子製 )において、一つの酸化亜鉛サンプルについて、80000倍の倍率で5視野撮影し、画像部分が短辺12cm、長辺16.5cmの写真とした。それぞれの写真1枚に付き、それぞれの短辺及び長辺の中間点から、それぞれ短辺、長辺に対して平行線を引き、さらに、対角線を2本引き、合計4本の直線に重なってる粒子の短径及び長径をノギスを用いて測定した。なお、同一粒子に複数の線が重なっている場合は、重複して測定しないこととした。5枚全てで、100〜150個の粒子を測定し、短径及び長径の測定値の平均値を、その酸化亜鉛サンプルの平均短径及び平均長径とし、その平均長径の値を平均短径の値で割った値をその酸化亜鉛のアスペクト比とした。なお、この倍率では、125nmが1cmで表される写真となり、測定値は、0.01cmまで読み取り、平均の際には、小数点第2桁目を四捨五入した。また、アスペクト比は、有効数字2桁とし、3桁目を四捨五入した。(SSAはmicromeritics製 GEMINI2360にて測定。X線回折装置は、理学製 RAD IICを用いて測定した。)
(長径、短径、アスペクト比の測定方法)
透過型電子顕微鏡写真撮影装置(JEM-100SX 日本電子製 )において、一つの酸化亜鉛サンプルについて、80000倍の倍率で5視野撮影し、画像部分が短辺12cm、長辺16.5cmの写真とした。それぞれの写真1枚に付き、それぞれの短辺及び長辺の中間点から、それぞれ短辺、長辺に対して平行線を引き、さらに、対角線を2本引き、合計4本の直線に重なってる粒子の短径及び長径をノギスを用いて測定した。なお、同一粒子に複数の線が重なっている場合は、重複して測定しないこととした。5枚全てで、100〜150個の粒子を測定し、短径及び長径の測定値の平均値を、その酸化亜鉛サンプルの平均短径及び平均長径とし、その平均長径の値を平均短径の値で割った値をその酸化亜鉛のアスペクト比とした。なお、この倍率では、125nmが1cmで表される写真となり、測定値は、0.01cmまで読み取り、平均の際には、小数点第2桁目を四捨五入した。また、アスペクト比は、有効数字2桁とし、3桁目を四捨五入した。(SSAはmicromeritics製 GEMINI2360にて測定。X線回折装置は、理学製 RAD IICを用いて測定した。)
調製例1
(微細針状酸化亜鉛Aの調製)
特許文献1の実施例1に記載の方法で得られた微細針状酸化亜鉛を空気中、500℃で60分間焼成した後、ジェットミル粉砕し、微細針状酸化亜鉛Aを得た。この微細針状酸化亜鉛の平均短径は29.0nm、平均長径は153.1nm、アスペクト比は5.3であった。また、この微細針状酸化亜鉛の窒素吸着法による比表面積(以下、同じ)は40m2/gであった。
(微細針状酸化亜鉛Aの調製)
特許文献1の実施例1に記載の方法で得られた微細針状酸化亜鉛を空気中、500℃で60分間焼成した後、ジェットミル粉砕し、微細針状酸化亜鉛Aを得た。この微細針状酸化亜鉛の平均短径は29.0nm、平均長径は153.1nm、アスペクト比は5.3であった。また、この微細針状酸化亜鉛の窒素吸着法による比表面積(以下、同じ)は40m2/gであった。
調製例2
(微細針状酸化亜鉛Bの調製)
特許文献1の実施例1に記載の微細針状酸化亜鉛の水性懸濁液(ZnO濃度100g/L)に、撹拌下、60℃において、ケイ酸ナトリウム水溶液(超微粒子酸化亜鉛に対してSiO2 として1.3重量%)と硫酸亜鉛水溶液(超微粒子酸化亜鉛に対してZnOとして3.7重量%)とを加えた。次いで、この懸濁液のpHを水酸化ナトリウム水溶液を用いて7.5とし、30分間熟成した。このような懸濁液を室温まで冷却し、濾過、水洗した後、空気中で120℃で5時間、加熱乾燥した。得られた乾燥物を空気中、500℃で60分間焼成した後、ジェットミル粉砕し微細針状酸化亜鉛Bを得た。この微細針状酸化亜鉛は表面にケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4 )換算で酸化亜鉛に対して5重量%のケイ酸亜鉛からなる被覆層を有しており、平均短径は29.8nm、平均長径は153.7nm、アスペクト比は5.2であった。また、この微細針状酸化亜鉛の比表面積は38m2/gであった。
(微細針状酸化亜鉛Bの調製)
特許文献1の実施例1に記載の微細針状酸化亜鉛の水性懸濁液(ZnO濃度100g/L)に、撹拌下、60℃において、ケイ酸ナトリウム水溶液(超微粒子酸化亜鉛に対してSiO2 として1.3重量%)と硫酸亜鉛水溶液(超微粒子酸化亜鉛に対してZnOとして3.7重量%)とを加えた。次いで、この懸濁液のpHを水酸化ナトリウム水溶液を用いて7.5とし、30分間熟成した。このような懸濁液を室温まで冷却し、濾過、水洗した後、空気中で120℃で5時間、加熱乾燥した。得られた乾燥物を空気中、500℃で60分間焼成した後、ジェットミル粉砕し微細針状酸化亜鉛Bを得た。この微細針状酸化亜鉛は表面にケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4 )換算で酸化亜鉛に対して5重量%のケイ酸亜鉛からなる被覆層を有しており、平均短径は29.8nm、平均長径は153.7nm、アスペクト比は5.2であった。また、この微細針状酸化亜鉛の比表面積は38m2/gであった。
調製例3
(微細針状酸化亜鉛Cの調製)
特許文献1記載の微細針状酸化亜鉛の水性懸濁液(ZnO濃度100g/L)に、ケイ酸亜鉛からなる被覆層が15重量%となるように調製した以外は、実施例2と同様の操作を行い、微細針状酸化亜鉛Cを得た。この微細針状酸化亜鉛は表面にケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4 )換算で酸化亜鉛に対して15重量%のケイ酸亜鉛からなる被覆層を有しており、平均短径は30.2nm、平均長径は154.3nm、アスペクト比は5.1であった。また、この微細針状酸化亜鉛の比表面積は36m2/gであった。
(微細針状酸化亜鉛Cの調製)
特許文献1記載の微細針状酸化亜鉛の水性懸濁液(ZnO濃度100g/L)に、ケイ酸亜鉛からなる被覆層が15重量%となるように調製した以外は、実施例2と同様の操作を行い、微細針状酸化亜鉛Cを得た。この微細針状酸化亜鉛は表面にケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4 )換算で酸化亜鉛に対して15重量%のケイ酸亜鉛からなる被覆層を有しており、平均短径は30.2nm、平均長径は154.3nm、アスペクト比は5.1であった。また、この微細針状酸化亜鉛の比表面積は36m2/gであった。
調製例4
(微細針状酸化亜鉛Dの調製)
調製例2に記載の方法で得られたケイ酸亜鉛にて表面被覆された微細針状酸化亜鉛の水性懸濁液(ZnO濃度100g/L)をよく攪拌しながら、60℃に昇温し、酸化亜鉛に対してAl2 O3 換算で3重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液を加え、10分間熟成した後、懸濁液を硫酸を用いてpH7.0に中和した。30分間熟成し、次いで、このようにして得られた懸濁物を濾過し、水洗した後、120℃で5時間、加熱乾燥した。得られた乾燥物を空気中、500℃で60分間焼成した後、ジェットミル粉砕し、微細針状酸化亜鉛Dを得た。この微細針状酸化亜鉛は表面にケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4 )換算で酸化亜鉛に対して5重量%のケイ酸亜鉛、その外側に酸化亜鉛に対して酸化アルミニウム(Al2 O3)換算で3重量%のアルミニウム酸化物からなる第2の被覆層を有しており、平均短径は30.5nm、平均長径は154.2nm、アスペクト比は5.1であった。また、この微細針状酸化亜鉛の比表面積は35m2/gであった。
(微細針状酸化亜鉛Dの調製)
調製例2に記載の方法で得られたケイ酸亜鉛にて表面被覆された微細針状酸化亜鉛の水性懸濁液(ZnO濃度100g/L)をよく攪拌しながら、60℃に昇温し、酸化亜鉛に対してAl2 O3 換算で3重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液を加え、10分間熟成した後、懸濁液を硫酸を用いてpH7.0に中和した。30分間熟成し、次いで、このようにして得られた懸濁物を濾過し、水洗した後、120℃で5時間、加熱乾燥した。得られた乾燥物を空気中、500℃で60分間焼成した後、ジェットミル粉砕し、微細針状酸化亜鉛Dを得た。この微細針状酸化亜鉛は表面にケイ酸亜鉛(Zn2 SiO4 )換算で酸化亜鉛に対して5重量%のケイ酸亜鉛、その外側に酸化亜鉛に対して酸化アルミニウム(Al2 O3)換算で3重量%のアルミニウム酸化物からなる第2の被覆層を有しており、平均短径は30.5nm、平均長径は154.2nm、アスペクト比は5.1であった。また、この微細針状酸化亜鉛の比表面積は35m2/gであった。
調製例5
(微細針状酸化亜鉛Eの調製)
特許文献1に記載の方法で得られた微細針状酸化亜鉛の水性懸濁液(ZnO濃度100g/L)に、撹拌下、60℃において、メチルハイドロジェンポリシロキサンの水性エマルジョンを、メチルハイドロジェンポリシロキサンとして微細針状酸化亜鉛の5重量%となるよう加え、1時間攪拌後、室温まで冷却し、濾過、水洗した後、空気中にて150℃で5時間、加熱乾燥した後、ジェットミル粉砕し微細針状酸化亜鉛Eを得た。この微細針状酸化亜鉛は平均短径は29.5nm、平均長径は153.9nm、アスペクト比は5.2であった。また、この微細針状酸化亜鉛の比表面積は39m2/gであった。
(微細針状酸化亜鉛Eの調製)
特許文献1に記載の方法で得られた微細針状酸化亜鉛の水性懸濁液(ZnO濃度100g/L)に、撹拌下、60℃において、メチルハイドロジェンポリシロキサンの水性エマルジョンを、メチルハイドロジェンポリシロキサンとして微細針状酸化亜鉛の5重量%となるよう加え、1時間攪拌後、室温まで冷却し、濾過、水洗した後、空気中にて150℃で5時間、加熱乾燥した後、ジェットミル粉砕し微細針状酸化亜鉛Eを得た。この微細針状酸化亜鉛は平均短径は29.5nm、平均長径は153.9nm、アスペクト比は5.2であった。また、この微細針状酸化亜鉛の比表面積は39m2/gであった。
調製例6
(微細針状酸化亜鉛Fの調製)
調製例2に記載の方法で得られたケイ酸亜鉛にて表面被覆された微細針状酸化亜鉛の水性懸濁液(ZnO濃度100g/L)を用いた以外は、実施例5と同様な操作を行い、微細針状酸化亜鉛Fを得た。この微細針状酸化亜鉛は平均短径は30.2nm、平均長径は154.2nm、アスペクト比は5.1であった。また、この微細針状酸化亜鉛の比表面積は37m2/gであった。
(微細針状酸化亜鉛Fの調製)
調製例2に記載の方法で得られたケイ酸亜鉛にて表面被覆された微細針状酸化亜鉛の水性懸濁液(ZnO濃度100g/L)を用いた以外は、実施例5と同様な操作を行い、微細針状酸化亜鉛Fを得た。この微細針状酸化亜鉛は平均短径は30.2nm、平均長径は154.2nm、アスペクト比は5.1であった。また、この微細針状酸化亜鉛の比表面積は37m2/gであった。
調製例7
(微細針状酸化亜鉛Gの調製)
調製例3に記載の方法で得られた表面被覆微細針状酸化亜鉛の水性懸濁液(ZnO濃度100g/L)を用いた以外は、実施例5と同様な操作を行い、微細針状酸化亜鉛Gを得た。この微細針状酸化亜鉛は平均短径は30.4nm、平均長径は154.6nm、アスペクト比は5.1であった。また、この微細針状酸化亜鉛の比表面積は35m2/gであった。
(微細針状酸化亜鉛Gの調製)
調製例3に記載の方法で得られた表面被覆微細針状酸化亜鉛の水性懸濁液(ZnO濃度100g/L)を用いた以外は、実施例5と同様な操作を行い、微細針状酸化亜鉛Gを得た。この微細針状酸化亜鉛は平均短径は30.4nm、平均長径は154.6nm、アスペクト比は5.1であった。また、この微細針状酸化亜鉛の比表面積は35m2/gであった。
調製例8
(微細粒状酸化亜鉛Hの調製)
平均粒子径が31nm、比表面積が35m2/gの微細粒状酸化亜鉛(堺化学工業(株)製 FINEX-30)を酸化亜鉛Hとした。
(微細粒状酸化亜鉛Hの調製)
平均粒子径が31nm、比表面積が35m2/gの微細粒状酸化亜鉛(堺化学工業(株)製 FINEX-30)を酸化亜鉛Hとした。
調製例9
(微細粒状酸化亜鉛Iの調製)
調製例8の微細酸化亜鉛を用いた以外は、調製例2と同じ操作を行い、微細粒状酸化亜鉛Iを得た。平均粒子径が32nm、比表面積は34m2/gであった。
(微細粒状酸化亜鉛Iの調製)
調製例8の微細酸化亜鉛を用いた以外は、調製例2と同じ操作を行い、微細粒状酸化亜鉛Iを得た。平均粒子径が32nm、比表面積は34m2/gであった。
実施例1
調製例1〜調整例7で得られた酸化亜鉛各々1.5gとスクワラン(日光ケミカルズ(株)製)7.9gおよび界面活性剤(花王(株)製スパン80)0.6gを混合し、1.5mmφガラスビース3 0gを加えペイントシェーカー(レッドデビル社製5410型)を用いてビヒクル中に分散させた後、これをポリエチレンテレフタレートフィルム上にバーコーター#6にて塗布して、評価膜とした。これらの評価膜を、紫外可視近赤外分光光度計( 日本分光製V − 5 7 0 型分光光度計及びI L N 47 1 型積分級装置)を用いて、波長350nmにおけるA領域の紫外線遮蔽能と波長550nmにおける可視光透明性を評価した。また、透明性はヘイズメーターNDH2000( 日本電色工業(株) 製)を用い、ヘイズ値を測定した。
調製例1〜調整例7で得られた酸化亜鉛各々1.5gとスクワラン(日光ケミカルズ(株)製)7.9gおよび界面活性剤(花王(株)製スパン80)0.6gを混合し、1.5mmφガラスビース3 0gを加えペイントシェーカー(レッドデビル社製5410型)を用いてビヒクル中に分散させた後、これをポリエチレンテレフタレートフィルム上にバーコーター#6にて塗布して、評価膜とした。これらの評価膜を、紫外可視近赤外分光光度計( 日本分光製V − 5 7 0 型分光光度計及びI L N 47 1 型積分級装置)を用いて、波長350nmにおけるA領域の紫外線遮蔽能と波長550nmにおける可視光透明性を評価した。また、透明性はヘイズメーターNDH2000( 日本電色工業(株) 製)を用い、ヘイズ値を測定した。
比較例1
調製例8および9を用いた以外は、実施例1と同様な操作を行った。
表1に実施例1および比較例1の評価結果を示す。
調製例8および9を用いた以外は、実施例1と同様な操作を行った。
表1に実施例1および比較例1の評価結果を示す。
一般的にファンデーションやサンスクリーン等の化粧料にも用いられる、微細酸化亜鉛(比較例1,2における調製例H、調製例I)と比較し、微細針状酸化亜鉛(調製例A〜調製例G)は可視光透過性、ヘイズ値共に同等かそれ以上の値を示し、UV-A領域である350nmの遮蔽性が優れていることが判った。更に、可視光領域(550nm)における光透過率は、従来の酸化亜鉛と同等の効果が維持されている。このような特に優れた紫外線遮蔽性能が得られる作用について詳細は不明であるが、上記の光学特性は、針状粒子の場合、その粒子の短径が支配的であると推測される。
本発明の紫外線遮蔽剤は、紫外線遮蔽効果が要求される各種用途において好適に使用することができる。本発明の化粧料は、公知の各種化粧料として使用することができ、特に、高い可視光透過性と高い紫外線吸収能が要求されるサンスクリーン剤に好適に使用することができる。また、本発明の微細針状酸化亜鉛は、化粧料の他、高い紫外線遮蔽能と抑制された表面活性を有することから、これらの機能が必要とされる各種用途においても使用することもできる。
Claims (12)
- 平均長径が500nm以下、平均短径が100nm以下であり、平均長径/平均短径で定義されるアスペクト比が4以上で、かつBET法による比表面積が20m2/g以上である微細針状酸化亜鉛からなることを特徴とする紫外線遮蔽剤。
- 微細針状酸化亜鉛は、ケイ酸亜鉛(Zn2SiO4 )換算で0.5〜50重量%の範囲のケイ酸亜鉛からなる被覆層を有する請求項1記載の紫外線遮蔽剤。
- 微細針状酸化亜鉛は、ケイ酸亜鉛からなる第1の被覆層の上に、酸化亜鉛に対して酸化物換算で0.5〜30重量%の範囲のAl、Ti、Zr、Sn、Sb及び希土類元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物からなる第2の被覆層を有する請求項2記載の紫外線遮蔽剤。
- 微細針状酸化亜鉛は、酸化亜鉛の重量に対して1〜20重量%の範囲の有機ケイ素化合物、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、金属石ケン、多価アルコール又はアルカノールアミンで処理されたものである請求項1,2又は3記載の紫外線遮蔽剤。
- 平均長径が500nm以下、平均短径が100nm以下であり、平均長径/平均短径で定義されるアスペクト比が4以上で、かつBET法による比表面積が20m2/g以上である微細針状酸化亜鉛を1〜80重量%の範囲で含有することを特徴とする化粧料。
- 微細針状酸化亜鉛は、ケイ酸亜鉛(Zn2SiO4 )換算で0.5〜50重量%の範囲のケイ酸亜鉛からなる被覆層を有する請求項5記載の化粧料。
- 微細針状酸化亜鉛は、ケイ酸亜鉛からなる第1の被覆層の上に、酸化亜鉛に対して酸化物換算で0.5〜30重量%の範囲のAl、Ti、Zr、Sn、Sb及び希土類元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物からなる第2の被覆層を有する請求項6記載の化粧料。
- 微細針状酸化亜鉛は、酸化亜鉛の重量に対して1〜20重量%の範囲の有機ケイ素化合物、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、金属石ケン、多価アルコール又はアルカノールアミンで処理されたものである請求項5,6又は7記載の化粧料。
- 平均長径が500nm以下、平均短径が100nm以下であり、平均長径/平均短径で定義されるアスペクト比が4以上で、かつBET法による比表面積が20m2/g以上であることを特徴とする微細針状微細針状酸化亜鉛の表面に対してケイ酸亜鉛(Zn2SiO4 )換算で0.5〜50重量%の範囲のケイ酸亜鉛からなる被覆層を有することを特徴とする微細針状酸化亜鉛。
- ケイ酸亜鉛からなる第1の被覆層の上に、酸化亜鉛に対して酸化物換算で0.5〜30重量%の範囲のAl、Ti、Zr、Sn、Sb及び希土類元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物からなる第2の被覆層を有する請求項9に記載の微細針状酸化亜鉛。
- 平均長径が500nm以下、平均短径が100nm以下であり、平均長径/平均短径で定義されるアスペクト比が4以上で、かつBET法による比表面積が20m2/g以上である微細針状酸化亜鉛を有機ケイ素化合物、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、金属石ケン、多価アルコール又はアルカノールアミンで表面処理することによって得られたことを特徴とする微細針状酸化亜鉛。
- 表面処理は、微細針状酸化亜鉛の重量に対して1〜20重量%の範囲の有機ケイ素化合物、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、金属石ケン、多価アルコール又はアルカノールアミンによって行うものである請求項11記載の微細針状酸化亜鉛。
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