JP2008094917A - 表面を被覆した酸化亜鉛及びその製造方法並びにそれを用いた紫外線遮蔽性組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】水性溶媒への亜鉛溶出を抑制し、しかも、シリカ被覆によるチキソトロピー(揺変性)を改善した酸化亜鉛を提供する。
【解決手段】酸化亜鉛の粒子表面にチタニアを含む被覆を有し、その上にシリカを含む被覆を有するものであって、粉体pHを7以上とする。このような表面を被覆した酸化亜鉛は、酸化亜鉛の水性スラリー中で、チタン化合物をpHが8.0〜10.0の範囲で中和してチタニアを含む被覆を形成し、次いで、前記水性スラリー中で、ケイ素化合物をpHが8.0〜10.0の範囲で中和してシリカを含む被覆を形成させて製造する。酸化亜鉛は化粧料、塗料、プラスチックス、紙等に配合する紫外線遮蔽材として用いられる。
【選択図】図3
【解決手段】酸化亜鉛の粒子表面にチタニアを含む被覆を有し、その上にシリカを含む被覆を有するものであって、粉体pHを7以上とする。このような表面を被覆した酸化亜鉛は、酸化亜鉛の水性スラリー中で、チタン化合物をpHが8.0〜10.0の範囲で中和してチタニアを含む被覆を形成し、次いで、前記水性スラリー中で、ケイ素化合物をpHが8.0〜10.0の範囲で中和してシリカを含む被覆を形成させて製造する。酸化亜鉛は化粧料、塗料、プラスチックス、紙等に配合する紫外線遮蔽材として用いられる。
【選択図】図3
Description
本発明は、粒子表面を被覆した酸化亜鉛及びその製造方法並びにそれを用いた紫外線遮蔽性組成物に関する。
酸化亜鉛は、白色顔料、紫外線遮蔽材、吸着剤、光触媒、触媒等種々の用途に用いられており、化粧料、塗料、プラスチックス、紙等に配合する紫外線遮蔽材として活発に利用されている。
紫外線は、その波長が長い順に、A、B、Cの3領域に大別される。波長が200〜290nmのC領域の紫外線は、オゾン層に遮蔽されるので、一般に、日焼けや炎症等の皮膚障害を引き起こすのは、波長が320〜380nmのA領域と、290〜320nmのB領域であると言われている。B領域の紫外線所謂UVBは、皮膚への影響が最も大きいと言われ、従来、日焼け止め化粧料ではUVBから皮膚を保護することが重視されてきた。一方、A領域の紫外線所謂UVAは、UVBと比較して皮膚への影響は穏やかであるが、太陽光中に多量に含まれ、また、透過性が高いので皮膚の深部で障害を引き起こし易く、近年、UVA遮蔽能にも着目されている。
UVA遮蔽能を有する材料として種々の無機酸化物が用いられているが、その中でも酸化亜鉛はUVAからの皮膚の保護が優れ、しかも、可視光の透過性が高く透明性が優れており、日焼け止め化粧料に用いる紫外線遮蔽材として広く使用されるようになっている。ところが、酸化亜鉛は無機酸化物としては水への溶解度が比較的高く、化粧料で用いられる水性溶媒中に酸化亜鉛が溶出し易いという欠点がある。また、酸化亜鉛は、光触媒活性が高いため、化粧料に含まれる油剤、界面活性剤などの有機成分を分解したり変質させるという問題も有している。このため、酸化亜鉛の粒子表面に、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア等の少なくとも二つの異なった水和金属酸化物の別々になった被覆を付着することで、好ましくは緻密な無定形シリカの被覆上にアルミナを被覆することで、酸化亜鉛を不活性化する技術(特許文献1)が知られている。また、酸化亜鉛の表面にAl、Si、Zr、Snの酸化物または水酸化物を被覆したり(特許文献2)、高密度のシリカを被覆すること(特許文献3)で、水溶出性を抑制したり、光触媒活性を抑制したりする技術が知られている。
紫外線は、その波長が長い順に、A、B、Cの3領域に大別される。波長が200〜290nmのC領域の紫外線は、オゾン層に遮蔽されるので、一般に、日焼けや炎症等の皮膚障害を引き起こすのは、波長が320〜380nmのA領域と、290〜320nmのB領域であると言われている。B領域の紫外線所謂UVBは、皮膚への影響が最も大きいと言われ、従来、日焼け止め化粧料ではUVBから皮膚を保護することが重視されてきた。一方、A領域の紫外線所謂UVAは、UVBと比較して皮膚への影響は穏やかであるが、太陽光中に多量に含まれ、また、透過性が高いので皮膚の深部で障害を引き起こし易く、近年、UVA遮蔽能にも着目されている。
UVA遮蔽能を有する材料として種々の無機酸化物が用いられているが、その中でも酸化亜鉛はUVAからの皮膚の保護が優れ、しかも、可視光の透過性が高く透明性が優れており、日焼け止め化粧料に用いる紫外線遮蔽材として広く使用されるようになっている。ところが、酸化亜鉛は無機酸化物としては水への溶解度が比較的高く、化粧料で用いられる水性溶媒中に酸化亜鉛が溶出し易いという欠点がある。また、酸化亜鉛は、光触媒活性が高いため、化粧料に含まれる油剤、界面活性剤などの有機成分を分解したり変質させるという問題も有している。このため、酸化亜鉛の粒子表面に、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア等の少なくとも二つの異なった水和金属酸化物の別々になった被覆を付着することで、好ましくは緻密な無定形シリカの被覆上にアルミナを被覆することで、酸化亜鉛を不活性化する技術(特許文献1)が知られている。また、酸化亜鉛の表面にAl、Si、Zr、Snの酸化物または水酸化物を被覆したり(特許文献2)、高密度のシリカを被覆すること(特許文献3)で、水溶出性を抑制したり、光触媒活性を抑制したりする技術が知られている。
酸化亜鉛の水溶出性や光触媒活性を抑制するには、前記の従来技術のように酸化亜鉛の粒子表面にシリカ被覆を施すのが良いが、所望の特性を得るために多量のシリカを被覆する必要があること、それに伴いチキソトロピー(揺変性)が著しく強くなって、濾過・洗浄性が低下し、脱水ケーキの成形維持性が悪化するなど生産性が低くなるという問題がある。
本発明者らは、これらの問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、酸化亜鉛の粒子表面にチタニアを含む被覆を有し、その上にシリカを含む被覆を有すると、チキソトロピー(揺変性)、脱水ケーキの成形維持性が改善されること、しかも、粉体pHが7以上であると水溶出性がより一層改善できることなどを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、
(1)酸化亜鉛の粒子表面にチタニアを含む被覆を有し、その上にシリカを含む被覆を有するものであって、粉体pHが7以上である、表面を被覆した酸化亜鉛、
(2)酸化亜鉛の水性スラリー中で、チタン化合物をpHが8.0〜10.0の範囲で中和してチタニアを含む被覆を形成する工程、次いで、前記水性スラリー中で、ケイ素化合物をpHが8.0〜10.0の範囲で中和してシリカを含む被覆を形成する工程を含むことを特徴とする粉体pHが7以上である、表面を被覆した酸化亜鉛の製造方法、
(3)前記の表面を被覆した酸化亜鉛を含むことを特徴とする紫外線遮蔽性組成物、である。
(1)酸化亜鉛の粒子表面にチタニアを含む被覆を有し、その上にシリカを含む被覆を有するものであって、粉体pHが7以上である、表面を被覆した酸化亜鉛、
(2)酸化亜鉛の水性スラリー中で、チタン化合物をpHが8.0〜10.0の範囲で中和してチタニアを含む被覆を形成する工程、次いで、前記水性スラリー中で、ケイ素化合物をpHが8.0〜10.0の範囲で中和してシリカを含む被覆を形成する工程を含むことを特徴とする粉体pHが7以上である、表面を被覆した酸化亜鉛の製造方法、
(3)前記の表面を被覆した酸化亜鉛を含むことを特徴とする紫外線遮蔽性組成物、である。
本発明の酸化亜鉛は、粒子表面にチタニアとシリカを含む被覆を有しており、粉体pHが7以上であるため、水性溶媒への亜鉛溶出を抑制することができ、酸性溶媒を使用する場合でも亜鉛溶出量を低く抑えることができる。また、酸化亜鉛の光触媒活性を抑制することもできる。
しかも、酸化亜鉛として微粒子状のものを用いることにより、紫外線遮蔽能と透明性にも優れている。このため、化粧料、塗料、プラスチックス、紙等に配合する紫外線遮蔽材として有用であり、水性溶媒への亜鉛溶出量が低いために油剤等の非水溶媒の配合量を低くできるなど組成を自由に設定できる。
さらに、酸化亜鉛の粒子表面にチタニアを含む被覆を施していることから、シリカ使用によるチキソトロピー(揺変性)を抑制し、脱水ケーキの成形維持性を改善することができ、一般的に用いられる加圧濾過、真空濾過、吸引濾過等の手段で固液分離できるために、生産性を向上させることができる。
しかも、酸化亜鉛として微粒子状のものを用いることにより、紫外線遮蔽能と透明性にも優れている。このため、化粧料、塗料、プラスチックス、紙等に配合する紫外線遮蔽材として有用であり、水性溶媒への亜鉛溶出量が低いために油剤等の非水溶媒の配合量を低くできるなど組成を自由に設定できる。
さらに、酸化亜鉛の粒子表面にチタニアを含む被覆を施していることから、シリカ使用によるチキソトロピー(揺変性)を抑制し、脱水ケーキの成形維持性を改善することができ、一般的に用いられる加圧濾過、真空濾過、吸引濾過等の手段で固液分離できるために、生産性を向上させることができる。
本発明は、酸化亜鉛の粒子表面にまずチタニアを含む被覆を有し、酸化亜鉛の粒子表面あるいはその表面に被覆したチタニアの上にシリカを含む被覆を有するものであって、粉体pHが7以上である、表面を被覆した酸化亜鉛である。酸化亜鉛の粉体pHは、下記の方法で測定することができ、粉体pHが7以上の範囲にあると亜鉛の水溶出性を改善することができるため好ましく、7.5〜12の範囲がより好ましく、8〜11の範囲にあると、一部の化粧料のようにpHが弱酸性領域に調整されている水性溶媒に対しても溶出し難くなるので更に好ましく、8.5〜10の範囲が最も好ましい。
(粉体pH値測定方法)
試料10gを純水50ミリリットルで30分間撹拌し、純水中に分散させ、分散液のpHを測定する。
(粉体pH値測定方法)
試料10gを純水50ミリリットルで30分間撹拌し、純水中に分散させ、分散液のpHを測定する。
本発明で用いられる酸化亜鉛は、どのような大きさのものでも適用できるが、酸化亜鉛の粒子径が小さくなるほど本発明の効果が発揮できるため好ましく、例えば酸化亜鉛の平均粒子径が1.0μm程度以下であればより好ましく、0.1μm程度以下であれば更に好ましい。一方、酸化亜鉛が有する機能性の観点から、平均粒子径(電子顕微鏡法による50%累積径)が0.001〜0.1μmの範囲にあると、紫外線遮蔽能と透明性が優れているので好ましく、0.005〜0.05μmの範囲のものが更に好ましい。また、酸化亜鉛の粒子形状にも特に制限はなく、真球状、略球状、異方性形状等の定型粒子や、粒塊状等の不定形粒子等を用いることができる。また、酸化亜鉛の製造方法も制限を受けず、公知の方法、例えば、亜鉛塩を溶液中で中和後、加熱焼成する所謂湿式法により得られたもの、金属亜鉛を加熱溶融し蒸発させた後、酸化する所謂乾式法により得られたものを用いることができる。
酸化亜鉛の粒子表面に被覆するチタニアはチタンの無水酸化物、含水酸化物、水和酸化物、水酸化物を包含する化合物である。チタニアの被覆は、酸化亜鉛の粒子表面の少なくとも一部にチタニアが存在した状態であれば良く、粒子表面のほとんど全部に存在した状態が好ましく、電子顕微鏡で観察できるような被覆層を形成した状態がより好ましい。チタニアの被覆量は適宜設定できるが、酸化亜鉛に対しTiO2換算で0.5〜20重量%の範囲が好ましい。チタニアの被覆量が前記範囲より少ないとシリカ使用によるチキソトロピー(揺変性)を抑制することができ難いため好ましくなく、多くしても更なる改良は得られ難く、却って、チタニアによる光触媒活性が高まる場合もあるため好ましくない。チタニアのより好ましい被覆量は1〜10重量%の範囲である。この被覆にはチタニアが含有していれば良く、チタニアのほかに例えば、アルミニウム、ジルコニウム、スズ等の金属酸化物やシリカを適宜含ませても良い。また、酸化亜鉛の粒子表面とチタニアを含む被覆の間に本発明の効果を損ねない範囲で、必要に応じてチタニア以外の無機化合物、例えば、アルミニウム、ジルコニウム、スズ等の金属酸化物あるいはそれらのリン酸塩やシリカ等の被覆を設けることもできる。
チタニアを含む被覆を有する酸化亜鉛に更に被覆するシリカは、ケイ素の無水酸化物、含水酸化物、水和酸化物、水酸化物を包含する化合物である。シリカの被覆は、チタニアを含む被覆を有する酸化亜鉛の粒子表面の少なくとも一部にシリカが存在した状態であれば良く、粒子表面のほとんど全部に存在した状態が好ましく、電子顕微鏡で観察できるような被覆層を形成した状態がより好ましい。シリカの被覆量は適宜設定できるが、酸化亜鉛に対しSiO2換算で、10〜50重量%の範囲が好ましい。被覆量が前記範囲より少ないと、所望の亜鉛の水溶出性や酸化亜鉛やチタニアの光触媒活性を抑制する効果が得られ難いため好ましくなく、前記範囲より多いと、チタニア被覆を併用してもチキソトロピー(揺変性)の改良効果が得られ難くなるため好ましくない。より好ましい被覆量は、20〜50重量%の範囲であり、25〜40重量%の範囲とするのが更に好ましい。シリカは被覆方法によって、多孔質シリカと高密度シリカといった異なる様態を取ることが知られている。例えば、水溶性ケイ素化合物を、比較的低い温度下で短い時間で中和すると多孔質シリカの被覆が、高温度下で長時間かけて中和すると高密度シリカが得られる。本発明ではいずれを用いても所望の水溶出性や光触媒活性を抑制する効果を付与でき、あるいは両者を併用しても良い。多孔質シリカは、前述のように製造に要するエネルギーが少なく、短時間で生産できるので、工業的に好ましい。被覆されたシリカが多孔質であるか高密度であるかは、SiO2換算で同量被覆したもの同士の比表面積を測定し比較することで確認される。即ち、シリカ被覆が多孔質であれば、高密度シリカより比表面積が大きくなる。この被覆にはシリカが含有していれば良く、シリカのほかに例えば、アルミニウム、ジルコニウム、スズ等の金属酸化物を適宜含ませても良い。また、チタニアを含む被覆とシリカを含む被覆の間には、本発明の効果を損ねない範囲で、必要に応じてシリカ、チタニア以外の無機化合物、例えば、アルミニウム、ジルコニウム、スズ等の金属酸化物あるいはそれらのリン酸塩等の被覆を設けることもできる。
本発明では、シリカを含む被覆の表面には、本発明の効果を損ねない範囲で、必要に応じてシリカ、チタニア以外の無機化合物、例えば、アルミニウム、ジルコニウム、スズ等の酸化物あるいはそれらのリン酸塩等の被覆層を設けることもできる。また、溶媒、塗料やプラスチックス等への分散性を付与するなどの目的で、更に有機化合物を、好ましくは最外部に被覆しても良い。用いる有機化合物としては、例えば、(1)有機ケイ素化合物((a)オルガノポリシロキサン類(ジメチルポリシロキサン、メチル水素ポリシロキサン、メチルメトキシポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンジオール、ジメチルポリシロキサンジハイドロジェン等またはそれらの共重合体)、(b)オルガノシラン類(アミノシラン、エポキシシラン、メタクリルシラン、ビニルシラン、メルカプトシラン、クロロアルキルシラン、アルキルシラン、フルオロアルキルシラン等またはそれらの加水分解生成物)、(c)オルガノシラザン類(ヘキサメチルシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン等)、(2)有機金属化合物((a)有機チタニウム化合物(アミノアルコキシチタニウム、リン酸エステルチタニウム、カルボン酸エステルチタニウム、スルホン酸エステルチタニウム、チタニウムキレート、亜リン酸エステルチタニウム錯体等)、(b)有機アルミニウム化合物(アルミニウムキレート等)、(c)有機ジルコニウム化合物(カルボン酸エステルジルコニウム、ジルコニウムキレート等)等)、(3)ポリオール類(トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等)、(4)アルカノールアミン類(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン等)またはその誘導体(酢酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩等の有機酸塩等)、(5)高級脂肪酸類(ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸等)またはその金属塩(アルミニウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩等)、(5)高級炭化水素類(パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等)またはその誘導体(パーフルオロ化物等)が挙げられる。これらの有機化合物は1種を用いても、2種以上を積層または混合して用いても良い。化粧料に用いる場合は、オルガノポリシロキサン類、高級脂肪酸類を用いるのが好ましい。有機化合物の被覆量は、酸化亜鉛に対し、0.1〜50重量%の範囲が好ましく、0.1〜30重量%の範囲が更に好ましい。
次に、本発明は、酸化亜鉛の水性スラリー中で、チタン化合物をpHが8.0〜10.0の範囲で中和してチタニアを含む被覆を形成する工程、次いで、前記の水性スラリーにケイ素化合物を添加しpHが8.0〜10.0の範囲で中和してシリカを含む被覆を形成する工程を含む粉体pHが7以上である、表面を被覆した酸化亜鉛の製造方法である。
酸化亜鉛をスラリー化する際には、酸化亜鉛の凝集程度に応じて、縦型サンドミル、横型サンドミル、ボールミル等の湿式粉砕機を用いて、適宜分散させても良い。水性スラリーの酸化亜鉛濃度は特に制限はなく、製造設備、製造能力等に応じて適宜設定するが、工業的には5〜200g/リットルの範囲が好ましく、20〜100g/リットルの範囲が更に好ましい。
チタニアの被覆工程で用いるチタン化合物には、塩化チタン、硫酸チタン等の水溶性化合物が好適に用いられ、また、中和剤には、用いるチタン化合物に応じて、酸性化合物または塩基性化合物を適宜選択して用いる。酸性化合物としては、硫酸、塩酸等の無機酸や、酢酸、ギ酸等の有機酸等が、塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、アンモニア、炭酸アンモニウム、硝酸アンモニウム等のアンモニウム化合物等が挙げられる。チタン化合物と中和剤とは、別々に添加しても良いが、チタン化合物として塩化チタン、硫酸チタン等の酸性のものを用いる場合、亜鉛が溶出しないように、チタン化合物と中和剤の塩基性化合物とを、水性スラリーのpHを前記範囲に維持しながら、同時に並行的に添加するのが好ましい。チタン化合物を中和した後は、一定の時間、望ましくは10分間〜1時間程度保持して熟成させるのが好ましい。中和時のスラリー温度は、室温以上とすると、チタン化合物と中和剤との反応が進み易いので好ましく、100℃以下とすると、耐圧容器など特別な機器を必要とせず工業的に好ましい。より好ましい温度の範囲は、40〜90℃である。中和時間には特に制限はなく、適宜設定できる。前記のチタニア被覆後、より好ましくはチタニアを被覆し熟成させた後、水性スラリーのpHを7以上に調整しておくと、酸化亜鉛の粉体pHの調整が容易であるため好ましい。なお、チタニアの被覆に例えば、アルミニウム、ジルコニウム、スズ等の金属酸化物やシリカを適宜含ませる場合には、それらの化合物とチタン化合物を一緒に中和しても良い。また、酸化亜鉛とチタニアを含む被覆の間に、チタニア以外の無機化合物を被覆させるには、無機化合物を予め中和し被覆した後にチタン化合物を添加し中和しても良い。
シリカの被覆工程で用いるケイ素化合物には、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、シリカゾル等を用いることができ、ケイ酸ナトリウム等の水溶性化合物が好適に用いられる。中和剤には、用いるケイ素化合物に応じて、前記の酸性化合物または塩基性化合物を適宜選択して用いる。ケイ酸ナトリウムとしては、オルソケイ酸ナトリウム、セスキケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムなどを用いることができ、ケイ酸ナトリウムの水溶液であるケイ酸ソーダ1号(SiO2/Na2Oのモル比が2)、2号(SiO2/Na2Oのモル比が2.5)、3号(SiO2/Na2Oのモル比が3)、4号(SiO2/Na2Oのモル比が4)やN特殊ケイ酸ソーダ(SiO2/Na2Oのモル比が3.80〜4.10)、C特殊ケイ酸ソーダ(SiO2/Na2Oのモル比が3.30〜3.50)、APケイ酸ソーダ(SiO2/Na2Oのモル比が4.25〜4.45)(いずれも日本化学工業社製)などを好適に用いることができ、SiO2/Na2Oのモル比が3以上のケイ酸ソーダを用いると残存するナトリウム分がより少なくなるため好ましい。ケイ素化合物と中和剤との添加についてもチタニアの場合と同様に、別々に添加しても良く、同時に並行的に添加しても良いが、酸性のケイ素化合物を用いるのであれば、後者の同時並行的添加が好ましい。ケイ素化合物を中和した後、一定の時間、望ましくは10分間〜1時間程度保持して熟成させるのが好ましい。熟成後、スラリーのpHが7以上、好ましくは8.0以上であることを確認し、もしpHが低ければ前記の範囲になるように調整することにより、表面被覆酸化亜鉛の粉体pHを所望の範囲に調整することができる。シリカの被覆様態は、多孔質シリカと高密度シリカを適宜選択することができ、それらは中和時の温度や中和時間によって決定される。工業的に有利な多孔質シリカを被覆する場合、被覆量が前述のSiO2換算で20〜50重量%の範囲であれば、中和時の温度は室温〜60℃の範囲が好ましく、中和時間は10〜60分の範囲が好ましい。高密度シリカを被覆する場合は中和時の温度を60℃以上とし、中和時間を60分以上かけて行う。なお、シリカの被覆に例えば、アルミニウム、ジルコニウム、スズ、チタン等の金属酸化物を適宜含ませる場合には、それらの化合物とケイ素化合物を一緒に中和しても良い。また、チタニアを含む被覆とシリカを含む被覆の間に、シリカ、チタニア以外の無機化合物を被覆させるには、無機化合物を予め中和し被覆した後にケイ素化合物を添加し中和しても良い。
チタニア及びシリカの被覆を形成した後、必要に応じて濾過・洗浄して固液分離し、乾燥、乾式粉砕を行うと、表面を被覆した酸化亜鉛粉末が得られる。固液分離には、フィルタープレス、ロールプレス等の通常工業的に用いられる濾過器を用いることができる。乾燥にはバンド式ヒーター、バッチ式ヒーター、噴霧乾燥機等が、乾式粉砕にはハンマーミル、ピンミル等の衝撃粉砕機、ローラーミル、パルペライザー、解砕機等の摩砕粉砕機、ロールクラッシャー、ジョークラッシャー等の圧縮粉砕機、ジェットミル等の気流粉砕機等を用いることができる。
次いで、本発明は、少なくとも前記の表面被覆酸化亜鉛を含む紫外線遮蔽性組成物である。この紫外線遮蔽性組成物に用いられる酸化亜鉛は、平均粒子径(電子顕微鏡法による50%累積径)が0.001〜0.1μmの範囲にあると、紫外線遮蔽能と透明性が優れているので好ましく、0.005〜0.05μmの範囲のものが更に好ましい。紫外線遮蔽性組成物の具体例として、日焼け止め化粧料、基礎化粧料等の化粧料、塗料、プラスチックスなどが挙げられ、それらに用いられる従来の成分に加えて、表面被覆酸化亜鉛を適量配合して用いられる。例えば、化粧料には、前記表面被覆酸化亜鉛以外に、通常化粧料の用いられる公知の成分、例えば、(1)溶媒(水、低級アルコール類等)、(2)油剤(高級脂肪酸類、高級アルコール類、オルガノポリシロキサン類(シリコーンオイル)、炭化水素類、油脂類等)、(3)界面活性剤(アニオン性、カチオン性、両性、非イオン性等)、(4)保湿剤(グリセリン類、グリコール等のポリオール系、ピロリドンカルボン酸類等の非ポリオール系等)(5)有機紫外線吸収剤(ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体等)、(6)酸化防止剤(フェノール系、有機酸またはその塩、酸アミド系、リン酸系等)、(7)増粘剤、(8)香料、(9)着色剤(顔料、色素、染料等)、(10)生理活性成分(ビタミン類、ホルモン類、アミノ酸類等)、(11)抗菌剤等が配合されていても良い。化粧料の様態は、固形状、液状、ジェル状等特に制限なく、液状やジェル状の場合、その分散形態も油中水型エマルジョン、水中油型エマルジョン、油型等のいずれでも良い。化粧料中の表面被覆酸化亜鉛の配合量は、0.1〜50重量%の範囲が好ましい。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
実施例1
酸化亜鉛としての無被覆のFZO−50(石原産業社製、平均粒子径が0.017〜0.023μmの球状微粒子)を用い、50g/リットルの水性スラリーを調製した。この水性スラリー2リットルを70℃の温度に昇温後、撹拌しながらTiO2として5重量%に相当する50g/リットルの四塩化チタン水溶液と10%水酸化ナトリウム溶液とを、pHが8.0〜9.5の範囲になるように40分間かけて同時並行添加し、チタニアを含む第一の被覆層を形成した。その状態で60分間保持して熟成させた。
引き続き、スラリー温度を50℃に冷却し、SiO2として25重量%に相当する50g/リットルのケイ酸ナトリウム水溶液を40分間かけて添加し20分間撹拌した後、2%硫酸水溶液をpHが9.0〜9.5の範囲になるように40分間かけて添加して中和し、多孔質シリカを含む第二の被覆層を形成した。その状態で20分間保持して熟成させ、8.0〜8.5の範囲にpH調整を行い、濾過・洗浄して脱水ケーキ(試料a)を得た。その後、乾燥、乾式粉砕を行い、本発明のチタニア/シリカ被覆酸化亜鉛(試料A)を得た。
酸化亜鉛としての無被覆のFZO−50(石原産業社製、平均粒子径が0.017〜0.023μmの球状微粒子)を用い、50g/リットルの水性スラリーを調製した。この水性スラリー2リットルを70℃の温度に昇温後、撹拌しながらTiO2として5重量%に相当する50g/リットルの四塩化チタン水溶液と10%水酸化ナトリウム溶液とを、pHが8.0〜9.5の範囲になるように40分間かけて同時並行添加し、チタニアを含む第一の被覆層を形成した。その状態で60分間保持して熟成させた。
引き続き、スラリー温度を50℃に冷却し、SiO2として25重量%に相当する50g/リットルのケイ酸ナトリウム水溶液を40分間かけて添加し20分間撹拌した後、2%硫酸水溶液をpHが9.0〜9.5の範囲になるように40分間かけて添加して中和し、多孔質シリカを含む第二の被覆層を形成した。その状態で20分間保持して熟成させ、8.0〜8.5の範囲にpH調整を行い、濾過・洗浄して脱水ケーキ(試料a)を得た。その後、乾燥、乾式粉砕を行い、本発明のチタニア/シリカ被覆酸化亜鉛(試料A)を得た。
実施例2
実施例1において、ケイ酸ナトリウム水溶液に代えて、APケイ酸ソーダを用いたこと以外は実施例1と同様にして、脱水ケーキ(試料b)及び本発明のチタニア/シリカ被覆酸化亜鉛(試料B)を得た。
実施例1において、ケイ酸ナトリウム水溶液に代えて、APケイ酸ソーダを用いたこと以外は実施例1と同様にして、脱水ケーキ(試料b)及び本発明のチタニア/シリカ被覆酸化亜鉛(試料B)を得た。
実施例3
実施例1において、四塩化チタン水溶液に代えて、四塩化チタンとシリカゾル(酸化亜鉛に対して10重量%に相当するシリカを含有)の混合水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、脱水ケーキ(試料c)及び本発明のチタニア+シリカ/シリカ被覆酸化亜鉛(試料C)を得た。
実施例1において、四塩化チタン水溶液に代えて、四塩化チタンとシリカゾル(酸化亜鉛に対して10重量%に相当するシリカを含有)の混合水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、脱水ケーキ(試料c)及び本発明のチタニア+シリカ/シリカ被覆酸化亜鉛(試料C)を得た。
実施例4
実施例1において、チタニアを含む第一の被覆層を形成し、熟成した後、ZrO2として5重量%に相当する50g/リットルの四塩化ジルコニウム水溶液と10%水酸化ナトリウム溶液とを、pHが8.0〜9.5の範囲になるように40分間かけて同時並行添加し、チタニアを含む第一の被覆層の上にジルコニアを含む被覆を形成し、引き続き、多孔質シリカを含む被覆層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、脱水ケーキ(試料d)及び本発明のチタニア/ジルコニア/シリカ被覆酸化亜鉛(試料D)を得た。
実施例1において、チタニアを含む第一の被覆層を形成し、熟成した後、ZrO2として5重量%に相当する50g/リットルの四塩化ジルコニウム水溶液と10%水酸化ナトリウム溶液とを、pHが8.0〜9.5の範囲になるように40分間かけて同時並行添加し、チタニアを含む第一の被覆層の上にジルコニアを含む被覆を形成し、引き続き、多孔質シリカを含む被覆層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、脱水ケーキ(試料d)及び本発明のチタニア/ジルコニア/シリカ被覆酸化亜鉛(試料D)を得た。
実施例5
実施例1において、酸化亜鉛(FZO−50)の水性スラリーを70℃の温度に昇温後、撹拌しながらZrO2として5重量%に相当する50g/リットルの四塩化ジルコニウム水溶液と10%水酸化ナトリウム溶液とを、pHが8.0〜9.5の範囲になるように40分間かけて同時並行添加し、酸化亜鉛の粒子表面にジルコニアの被覆を形成し、次いで、四塩化チタンと水酸化ナトリウム溶液を添加してチタニアを含む被覆層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、脱水ケーキ(試料e)及び本発明のジルコニア/チタニア/シリカ被覆酸化亜鉛(試料E)を得た。
実施例1において、酸化亜鉛(FZO−50)の水性スラリーを70℃の温度に昇温後、撹拌しながらZrO2として5重量%に相当する50g/リットルの四塩化ジルコニウム水溶液と10%水酸化ナトリウム溶液とを、pHが8.0〜9.5の範囲になるように40分間かけて同時並行添加し、酸化亜鉛の粒子表面にジルコニアの被覆を形成し、次いで、四塩化チタンと水酸化ナトリウム溶液を添加してチタニアを含む被覆層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、脱水ケーキ(試料e)及び本発明のジルコニア/チタニア/シリカ被覆酸化亜鉛(試料E)を得た。
比較例1
実施例1で用いた酸化亜鉛(FZO−50)の水性スラリー2リットルを50℃の温度に昇温後、撹拌しながらSiO2として20重量%に相当する50g/リットルのケイ酸ナトリウム水溶液を40分間かけて添加し20分間撹拌した後、2%硫酸水溶液をpHが9.0〜9.5の範囲になるように40分間かけて添加して中和し、多孔質シリカを含む被覆層を形成した。その状態で20分間保持して熟成させ、8.0〜8.5の範囲にpH調整を行い、濾過・洗浄して脱水ケーキ(試料f)を得た。その後、乾燥、乾式粉砕を行い、比較対象のシリカ被覆酸化亜鉛(試料F)を得た。
実施例1で用いた酸化亜鉛(FZO−50)の水性スラリー2リットルを50℃の温度に昇温後、撹拌しながらSiO2として20重量%に相当する50g/リットルのケイ酸ナトリウム水溶液を40分間かけて添加し20分間撹拌した後、2%硫酸水溶液をpHが9.0〜9.5の範囲になるように40分間かけて添加して中和し、多孔質シリカを含む被覆層を形成した。その状態で20分間保持して熟成させ、8.0〜8.5の範囲にpH調整を行い、濾過・洗浄して脱水ケーキ(試料f)を得た。その後、乾燥、乾式粉砕を行い、比較対象のシリカ被覆酸化亜鉛(試料F)を得た。
比較例2
比較例1において、熟成後のpHを7.0に調整すること以外は比較例1と同様にして、比較対象の脱水ケーキ(試料g)及びシリカ被覆酸化亜鉛(試料G)を得た。
比較例1において、熟成後のpHを7.0に調整すること以外は比較例1と同様にして、比較対象の脱水ケーキ(試料g)及びシリカ被覆酸化亜鉛(試料G)を得た。
比較例3
比較例1において、多孔質シリカの被覆層を形成した後、スラリー温度を70℃に昇温し、撹拌しながらTiO2として5重量%に相当する50g/リットルの四塩化チタン水溶液と10%水酸化ナトリウム溶液とを、pHが9.0〜9.5の範囲になるように40分間かけて同時並行添加し、チタニアを含む第二の被覆層を形成した。その状態で60分間保持して熟成させ、8.0〜8.5の範囲にpH調整を行い、30分間撹拌した。その後、濾過・洗浄、乾燥、乾式粉砕を行って、比較対象の脱水ケーキ(試料h)及びシリカ/チタニア被覆酸化亜鉛(試料H)を得た。
比較例1において、多孔質シリカの被覆層を形成した後、スラリー温度を70℃に昇温し、撹拌しながらTiO2として5重量%に相当する50g/リットルの四塩化チタン水溶液と10%水酸化ナトリウム溶液とを、pHが9.0〜9.5の範囲になるように40分間かけて同時並行添加し、チタニアを含む第二の被覆層を形成した。その状態で60分間保持して熟成させ、8.0〜8.5の範囲にpH調整を行い、30分間撹拌した。その後、濾過・洗浄、乾燥、乾式粉砕を行って、比較対象の脱水ケーキ(試料h)及びシリカ/チタニア被覆酸化亜鉛(試料H)を得た。
比較例4
実施例1で用いた酸化亜鉛FZO−50を、比較対象(試料I)とした。
実施例1で用いた酸化亜鉛FZO−50を、比較対象(試料I)とした。
評価1(脱水ケーキのチキソトロピー(揺変性)の評価)
実施例1〜5、比較例1〜3の脱水ケーキ(試料a〜h)を、吐出ノズルの径が2.0mmΦのディスポシリンジに入れ、ガラス板上に網目状に塗布し成形する。塗布後、ガラス板の下からバイブレーターをあて、1分間振動を加えて、目視でケーキの性状を判定する。
(目視判定例)
(優)○(振動後もケーキが網目形状をほぼ保っている)>△>×(振動後にケーキの形状が崩れる)(劣)
実施例1〜5、比較例1〜3の脱水ケーキ(試料a〜h)を、吐出ノズルの径が2.0mmΦのディスポシリンジに入れ、ガラス板上に網目状に塗布し成形する。塗布後、ガラス板の下からバイブレーターをあて、1分間振動を加えて、目視でケーキの性状を判定する。
(目視判定例)
(優)○(振動後もケーキが網目形状をほぼ保っている)>△>×(振動後にケーキの形状が崩れる)(劣)
評価2(水溶出性の評価)
本発明では、試料の水溶出を促進させるため、強酸性水溶液への亜鉛の溶出量により耐水性評価とした。実施例1〜5、比較例1〜4の酸化亜鉛(試料A〜I)を、それぞれ1.0gを硫酸でpHを3に調整した100ミリリットルの純水に分散させた。1分経過後、分散液を遠心分離し、得られた上澄み液中の亜鉛の濃度を原子吸光分析により測定した。また、実施例1と比較例4の試料A、Iについては、アンモニア水でpHを9に調整し、同様にして酸化亜鉛の溶出量を測定した。
本発明では、試料の水溶出を促進させるため、強酸性水溶液への亜鉛の溶出量により耐水性評価とした。実施例1〜5、比較例1〜4の酸化亜鉛(試料A〜I)を、それぞれ1.0gを硫酸でpHを3に調整した100ミリリットルの純水に分散させた。1分経過後、分散液を遠心分離し、得られた上澄み液中の亜鉛の濃度を原子吸光分析により測定した。また、実施例1と比較例4の試料A、Iについては、アンモニア水でpHを9に調整し、同様にして酸化亜鉛の溶出量を測定した。
評価3(粉体pHの測定)
実施例1〜5、比較例1〜4の試料A〜Iについて、段落0008に記載の方法で、粉体pHを測定した。
実施例1〜5、比較例1〜4の試料A〜Iについて、段落0008に記載の方法で、粉体pHを測定した。
評価4(紫外線−可視光透過率の測定)
実施例1、比較例4の試料A、Iについて、下記の流動パラフィン/ワセリン/ステアリン酸系ペーストで調製した塗膜の紫外線−可視光の透過率を測定した。
(ペースト化処方)
試料(酸化亜鉛試料AまたはE) 1.2g
バインダー(流動パラフィン/ワセリン/ステアリン酸=40/26.7/1(重量比)) 40.0g
ガラスビーズ 50.0g
(ペーストの調製方法)
前記処方を225cc蓋付ガラス瓶に仕込み、密閉してからペイントコンディショナー(レッドデビル社(米)製、クイックミル)を用いて分散させた。
上記のペーストをドクターブレードを用いて透明なトリアセテート・フィルム上に、膜厚が25μmになるように塗布した後、30分間風乾した。得られた測定用サンプルを分光光度計にて透過率を測定した。
実施例1、比較例4の試料A、Iについて、下記の流動パラフィン/ワセリン/ステアリン酸系ペーストで調製した塗膜の紫外線−可視光の透過率を測定した。
(ペースト化処方)
試料(酸化亜鉛試料AまたはE) 1.2g
バインダー(流動パラフィン/ワセリン/ステアリン酸=40/26.7/1(重量比)) 40.0g
ガラスビーズ 50.0g
(ペーストの調製方法)
前記処方を225cc蓋付ガラス瓶に仕込み、密閉してからペイントコンディショナー(レッドデビル社(米)製、クイックミル)を用いて分散させた。
上記のペーストをドクターブレードを用いて透明なトリアセテート・フィルム上に、膜厚が25μmになるように塗布した後、30分間風乾した。得られた測定用サンプルを分光光度計にて透過率を測定した。
結果を表1に示す。また、振動を加えた後の試料a、fの写真を図1、図2に示す。本発明の酸化亜鉛は、比較例の試料に比べて亜鉛の水溶出性に優れており、特に酸性領域での亜鉛の水溶出性に優れていることが判った。
また、本発明の試料は振動後でも網目形状を保っており、チキソトロピー(揺変性)が低いが、比較試料では網目形状を保つことができず、チキソトロピー(揺変性)が著しく高いことが判った。
また、紫外線−可視光の透過率曲線(図3、図4)から、本発明の酸化亜鉛は、表面被覆を施していない酸化亜鉛と同程度の紫外線吸収性、可視光透過性を有していることが判った。
また、本発明の試料は振動後でも網目形状を保っており、チキソトロピー(揺変性)が低いが、比較試料では網目形状を保つことができず、チキソトロピー(揺変性)が著しく高いことが判った。
また、紫外線−可視光の透過率曲線(図3、図4)から、本発明の酸化亜鉛は、表面被覆を施していない酸化亜鉛と同程度の紫外線吸収性、可視光透過性を有していることが判った。
次に、実施例1〜5、比較例1〜4の試料A〜Iについて、光触媒活性とビタミンCを酸化する作用力(ビタミンC酸化活性)を評価した結果、比較例3の試料Hでは表面にチタニアが被覆されているために、光触媒活性が高く、ビタミンC酸化活性も高いが、実施例1〜5、比較例1、2、4の試料A〜G、Iは比較例3の試料Hに比べて、光触媒活性、ビタミンC酸化活性とも低いことを確認した。
本発明は、水性溶媒への亜鉛溶出を抑制することができ、また、酸化亜鉛の光触媒活性を抑制することもできるため、白色顔料、紫外線遮蔽材、吸着剤、触媒等種々の用途に用いることができる。
しかも、酸化亜鉛として微粒子状のものを用いることにより、紫外線遮蔽能と透明性にも優れているため、化粧料、塗料、プラスチックス、紙等に配合する紫外線遮蔽材として有用である。
さらに、シリカ使用によるチキソトロピー(揺変性)を抑制し、脱水ケーキの成形維持性を改善することができることから、水溶出性に優れた酸化亜鉛を効率良く製造することができる。
しかも、酸化亜鉛として微粒子状のものを用いることにより、紫外線遮蔽能と透明性にも優れているため、化粧料、塗料、プラスチックス、紙等に配合する紫外線遮蔽材として有用である。
さらに、シリカ使用によるチキソトロピー(揺変性)を抑制し、脱水ケーキの成形維持性を改善することができることから、水溶出性に優れた酸化亜鉛を効率良く製造することができる。
Claims (8)
- 酸化亜鉛の粒子表面にチタニアを含む被覆を有し、その上にシリカを含む被覆を有するものであって、粉体pHが7以上である、表面を被覆した酸化亜鉛。
- シリカの被覆量がSiO2換算で10〜50重量%の範囲である請求項1記載の表面を被覆した酸化亜鉛。
- チタニアの被覆量がTiO2換算で0.5〜10重量%の範囲である請求項1記載の表面を被覆した酸化亜鉛。
- シリカが多孔質シリカである請求項1記載の表面を被覆した酸化亜鉛。
- 粉体pHが8.5〜10の範囲である請求項1記載の表面を被覆した酸化亜鉛。
- 酸化亜鉛の水性スラリー中で、チタン化合物をpHが8.0〜10.0の範囲で中和してチタニアを含む被覆を形成する工程、次いで、前記水性スラリー中で、ケイ素化合物をpHが8.0〜10.0の範囲で中和してシリカを含む被覆を形成する工程を含むことを特徴とする粉体pHが7以上である、表面を被覆した酸化亜鉛の製造方法。
- 請求項1記載の表面を被覆した酸化亜鉛を含むことを特徴とする紫外線遮蔽性組成物。
- 請求項1記載の表面を被覆した酸化亜鉛を含むことを特徴とする日焼け止め化粧料。
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-
2006
- 2006-10-10 JP JP2006276517A patent/JP2008094917A/ja active Pending
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CN109496201A (zh) * | 2016-08-04 | 2019-03-19 | 日本板硝子株式会社 | 含有氧化锌的复合粒子、紫外线遮蔽用组合物、及化妆料 |
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