WO2007029456A1 - 長繊維強化熱可塑性樹脂成形材料の製造装置 - Google Patents
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Abstract
本発明は、冷却装置(2)の下流に回転ロール(4)を有し、該回転ロール(4)はロッド(6)と接触する溝(5)を有し、該溝(5)とロッドとが接触する溝底部の幅(b)が、前記ロッド(6)の直径(a)と略同一であることを特徴とする繊維強化成形材料の製造装置である。上記本発明によれば、ロッドの軌道を直線的に安定して進行させ、また、ロッドの揺動を抑えるとともに、ロッドの水分(冷媒)過多によるロッドを構成している樹脂の劣化を抑えることで、ロッドの毛羽発生や切断などを防止できる繊維強化成形材料の製造装置を提供することが可能となる。
Description
明 細 書
長繊維強化熱可塑性樹脂成形材料の製造装置
技術分野
[0001] 本発明は、長繊維強化熱可塑性榭脂成形材料 (以下「繊維強化成形材料」 t ヽぅ) の製造装置に関する。
背景技術
[0002] 従来より、繊維強化成形材料を引抜法で製造する際、高温に加熱されている含浸 槽力 引き抜かれる、高温の溶融樹脂が含浸されたガラス繊維などの榭脂含浸強化 繊維束 (以下「ロッド」という)を引取可能とするためには、引き抜かれたロッドが、ロッ ドの引取装置の位置において十分に冷却され榭脂が固化されていることが必要であ る。そのために、高温のロッドに、例えば、冷却空気を吹付けたり、水などの冷媒をス プレーやシャワーで吹付ける方法が行なわれている。
[0003] また、上記方法に代えて、水などの冷媒を溜めた冷媒槽 (冷却槽)内に、高温のロッ ドを連続的に引き入れて、当該高温のロッドを冷却する方法が知られており、更に他 の冷却方法として例えば、特許文献 1には、冷媒を注入した中空の冷却ロールにロッ ドを接触させることによりロッドを冷却することが記載されている。
特許文献 1 :特開平 7— 251437号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0004] し力しながら、特許文献 1に記載の方法を始めとする従来の冷却方法においては、 含浸槽から引抜法で製造されるロッドの径が太い場合やロッドの強化繊維含有量が 多い場合には、ロッドの引取に必要な張力がロッドに常時力かるために、ロッドは、そ の軌跡にぉ 、てガイドローラーに沿った自由な曲線をとりにく!/、と!/、つた問題を有し ている。そのうえ、ロッドが揺動したりその軌道が直線的に進行しないことがあり、その ために含浸槽のノズルと繊維束とが摩擦してしまい、ロッドに毛羽が発生したり、ロッド の切断が生じる場合があった。
[0005] また、水などの冷媒をスプレーやシャワーで高温のロッドに吹付ける方法や、ロッド
を冷却装置中に通過させて冷却する方法では、冷却されたロッドに付着した冷媒を、 冷却した後のロッドを引取装置に導入する前に十分に除去してお力ないと、引取装 置でロッドがスリップしたりして、ロッドの生産性に劣るば力りでなぐ榭脂種によって は得られるロッドの榭脂が水分によって劣化すると 、つた問題を有して ヽた。
[0006] このため、ロッドに付着している冷媒を除去するために、エア噴射装置などにより冷 媒を除去することも考えられるが、エア噴射装置を設置すると、該装置の設置のため のスペースが必要となり、また、エア噴射装置のみで十分な冷媒の除去は困難であ るといった場合があった。
[0007] 従って、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ロッドの軌道を直線 的に安定して進行させ、また、ロッドの揺動を抑えるとともに、ロッドの水分 (冷媒)過 多によるロッドを構成している樹脂の劣化を抑え、ロッドの毛羽発生や切断などを防 止できる繊維強化成形材料の製造装置を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0008] 上記目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、強化繊維束 を引き取りながら熱可塑性榭脂を含浸させて賦形する含浸槽 (1)と、該槽 (1)より引 き出されたロッド (6)を冷却する冷却装置(2)と、冷却されたロッド (6)を引き取る引取 装置 (3)とを有する繊維強化成形材料の製造装置にお!、て、前記冷却装置 (2)の下 流に回転ロール (4)を有し、該回転ロール (4)は前記ロッド (6)と接触する溝(5)を有 し、該溝 (5)と前記ロッドとが接触する溝底部の幅 (b)が、前記ロッド (6)の直径 (a)と 略同一であることを特徴とする繊維強化成形材料の製造装置を提供する。
[0009] 上記本発明にお 、ては、前記回転ロール (4)が、ナイロン榭脂から構成されて!、る こと;前記溝 (5)が、複数個設けられて!/、ること;前記回転ロール (4)の溝 (5)の壁面 と、該回転ロール軸方向との角度(ο; )が、 90〜80度であること;前記回転ロール (4) の溝(5)の底部の幅 (b) 1S l〜4mmであること;前記回転ロール (4)の溝部(5)の 底外径 (D1)と回転ロール (4)の円盤部(7)の外径 (D2)との差が、 30mm以上であ ること;前記回転ロール (4)の溝(5)のピッチ (c)力 含浸槽のノズルのピッチ (c,)と 実質的に等ピッチであること;および前記回転ロール (4)の下方に、冷媒受けパン (8 )を有することが好ましい。
発明の効果
[0010] 上記本発明によれば、冷却されたロッドを回転ロールの溝で受けながら、該ロッドと の接触摩擦力により回転するロールによって、前記ロッドの揺動を抑制することが可 能となり、また、ロッドに接触しながら回転するロールによって冷媒が除去されるため、 冷媒除去のために大掛力りなエア噴射装置などの冷媒除去装置を設けることが不要 である。また、回転ロール自体が冷媒除去作用を兼ねることから、この回転ロールは 冷却装置のロッド出口近傍に設置することが可能であり、省スペースでロッド力 効 率的に冷媒を除去することができる。
[0011] また、回転ロールのロッド接触部(通常、溝の底部)の近傍に、ロッド接触部の直径 より大きな径を持つ円盤部を設けることにより、ロッドから溝底部に移行した冷媒が、 回転するロールの遠心力により溝の壁面を伝って円盤部の外径へと流れていくため 、冷媒の存在によるロッドのロッド接触部での滑りを抑制することができ、その結果、口 ッドとの接触により何らの駆動源を設けることなくロールを確実に回転させることがで きる。
発明を実施するための最良の形態
[0012] 次に発明を実施するための最良の形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本 発明の繊維強化成形材料の製造装置は、図 1に示すように、強化繊維束を引き取り ながら熱可塑性榭脂を含浸させて賦形する含浸槽 1と、該槽 1より引き抜かれたロッド を冷却する冷却装置 2と、冷却されたロッドを引き取る引取装置 3とを有する繊維強化 成形材料の製造装置において、前記冷却装置 2の後方 (すなわち、冷却装置と引取 装置との間)に、冷媒除去 (水切り)回転ロール 4を設けた構成であり、該回転ロール の構成に特徴を有している。
[0013] 上記回転ロール 4の構成材料は、金属、木材、プラスチックなどの何れの材料でも よいが、摺動性が良く軽量であることなどの理由力もナイロン榭脂が好ましい。上記 回転ロールにはロッド 6と接触し、ロッドに付着している冷媒 (水)を除去し、ロッドとの 摩擦力でロール 4を回転させるための溝 5が形成されている力 該溝の個数は通常 複数であり、含浸槽 1に設けられているロッド引き抜きノズルと同数か、それよりも多い 個数とすることが好ましい。上記溝 5は上記引き抜きノズルの数と同様な数であること
が好ましい。
[0014] 回転ロール 4の円盤部 7の外径 (D2) (図 3)は特に限定されないが、通常は 40〜1 50mm程度である。また、この回転ロール 4はロッド 6との接触により回転するので口 ール 4の回転のための駆動源は不要である。
[0015] 上記回転ロール 4のより好ましい構成を、回転ロール 4とロッド 6との関係を示す斜視 図である図 2、および回転ロール 4の一部切り欠き側面図である図 3を参照して説明 する。前記回転ロール 4に設けられた溝 5は、底部から外周部に向力つて扇型に広が つている形状であって、溝 5の両側には円盤部 7が形成されている。溝 5の内壁面と、 回転ロール軸方向との角度 αを、 90〜80度の角度とすることが好ましい。このような 角度を採用することでロッド位置を安定させることができるなどの利点があり、これに 対して内壁面が直立に近くなる程ロッド径と溝底幅が等しい場合に、ロッドの嚙み込 みに不都合が生じる場合があり、また、壁面の角度が緩やか過ぎるとロッドの揺動が 大きくなり、ロッドの位置が安定しないなどの不都合が生じる場合がある。
[0016] また、図 3に示すように、上記溝 5の底部の幅 bは、ロッド 6の太さ(直径) aによって変 化し、ロッドは通常直径 aが、 l〜4mmであることから、溝 5の底部の幅 bもロッド 6の直 径 aと同程度の幅、すなわち l〜4mmであることが好ましい。幅 bが直径 aより著しく大 きいとロッド位置を安定させることができないなどの不都合が生じる場合があり、一方
、幅 bが直径 aより小さいとロッドの溝中への嚙み込みに不都合が生じる場合がある。
[0017] また、図 3に示すように、前記回転ロール 4の溝部 5の底外径 D1は、通常、約 10〜 50mmであり、かつ回転ロール 4の円盤部 7の外径 D2は約 40〜 150mmであること が好ましぐ D1と D2との差(D2— D1)力 30mm以上 100mm以下であることが好 ましい。 D1と D2との差(D2— D1)が 30mm未満ではロッドが溝から外れるなどの不 都合が生じる場合があり、 D 1と D2との差 (D2-D1)が 100mmを超えても特別の利 益はない。
[0018] また、前記回転ロール 4の溝 5のピッチ cが、含浸槽 1のノズルのピッチ c,(図 1)と実 質的に等ピッチであることが好ましぐ実質的に等ピッチでないといずれかのロッド 6 がノズルに対して垂直方向に弓 Iき取ることができず、ロッド 6に無理な力がかかってノ ズル部でロッド 6が切れ易くなるなどの問題が生じる場合がある。
[0019] 以上本発明を主として特徴づける回転ロール 4の構成について説明した力 その他 の構成、すなわち、含浸槽 1、冷却装置 2および引取装置 3の構成などは従来公知の 含浸槽、冷却装置および引取装置と同様の構成でよぐ特に限定されないが、冷却 装置 2を冷媒によって冷却する冷媒槽とする場合について以下に述べる構成とする ことができる。
[0020] 好ましい冷媒槽 2の 1例は、図 4に示すように、相対する二枚の側板 9, 9'と相対す る二枚の仕切り板 10, 10,とで形成された冷媒槽 2であって、仕切り板 10, 10,の両 方に、不図示のノズル(図 5)と略同一水平線上より幾分下方まで、それぞれ切り欠き スリット 11が設けられ、これらの切り欠きスリット 11内にノズルから引き出された高温の ロッド 6が通過できるようになっており、冷媒槽 2内には水などの冷媒 12が満たされて いて、高温のロッド 6が該冷媒中を通過することによってロッド 6が適当な温度に冷却 される。図 4に示す例では、冷媒槽 2が矩形に描かれているが、冷媒槽 2は矩形に限 定されるものではなぐ他の如何なる形状であってもよい。
[0021] 上記本発明の繊維強化成形材料の製造装置の使用方法を図 5を参照して以下に 説明する。従来技術と同様にしてポリプロピレンやポリアミドなどの熱可塑性榭脂が 溶融されている含浸槽 1を通して、ガラスなどの強化繊維束に溶融榭脂を含浸させ、 得られたロッド 6をノズル 14カゝら直線状に引き抜き、引き抜いたロッドを冷却装置 2中 に通して冷却後、回転ロール 4によりロッドに付着している冷媒 (水)を除去し、次いで I取装置で引き取る。その後ペレタイザ一で任意の長さに切断してペレツトイ匕して繊 維強化成形材料が得られる。
[0022] 上記において、回転ロール 4の溝の底部力 ロッド 6の走行ラインと同一の高さ若し くは走行ラインより幾分高い位置に設置することにより、ロッド 6の走行により回転ロー ル 4が確実に回転させられるとともに、ロッド 6に付着している冷媒が効率的に除去さ れるとともに、ロッド 6の揺動が防止される。このときロッド 6から溝 5の底部に移行した 冷媒が、回転するロールの遠心力により溝の壁面を伝って円盤部外径方向へと流れ ていくため、冷媒の存在によるロッドのロール接触部での滑りを抑制することができ、 その結果、ロッドとの接触により何らの駆動源を設けることなくロールを確実に回転さ せ、水切り効果を十分に発揮させることができる。
[0023] 上記のようにロッド 6から分離された冷媒の多くは、回転ロール 4の下方に滴下する ので、回転ロール 4の下方には冷媒受パン 8を設けておくことが好ましい。また、冷却 装置 2が図 4に示す形態の冷媒槽である場合には、冷媒槽 2のスリット 11から溢流し てくる冷媒を同時に収集できるように、冷媒受パン 8を 冷媒槽 2の下方まで延長させ ておくことが好ましい。
産業上の利用可能性
[0024] 本発明によれば、ロッドの軌道を直線的に安定して進行させ、また、ロッドの揺動を 抑えるとともに、ロッドの水分 (冷媒)過多によるロッドを構成して ヽる榭脂の劣化を抑 えることで、ロッドの毛羽発生や切断などを防止できる繊維強化成形材料の製造装 置を提供することができる。
図面の簡単な説明
[0025] [図 1]本発明の繊維強化成形材料の製造装置の全体を説明する図。
[図 2]ロッドと回転ロールとの関係を説明する図。
[図 3]回転ロールの構成を説明する図。
圆 4]冷却装置の 1例の構成を説明する一部切り欠き図。
[図 5]本発明の製造装置を用いる繊維強化成形材料の製造を説明する図。
符号の説明
[0026] 1 :含浸槽
2 :冷却装置 (冷媒槽)
3 :引取装置
4 :回転ローノレ
5 :溝
6:ロッド、
7 :円盤部
8 :冷媒受パン
9, 9,:側板
10, 10':仕切り板
11 :スリット
:冷媒:ペレタイザ一:ノズル
Claims
[1] 強化繊維束を引き取りながら熱可塑性榭脂を含浸させて賦形する含浸槽 (1)と、該 槽 (1)より引き出された榭脂含浸強化繊維束 (6)を冷却する冷却装置 (2)と、冷却さ れた榭脂含浸強化繊維束 (6)を引き取る引取装置 (3)とを有する長繊維強化熱可塑 性榭脂成形材料の製造装置において、前記冷却装置 (2)の下流に回転ロール (4) を有し、該回転ロール (4)は前記榭脂含浸強化繊維束 (6)と接触する溝 (5)を有し、 該溝 (5)と前記榭脂含浸強化繊維束とが接触する溝底部の幅 (b)が、前記榭脂含浸 強化繊維束 (6)の直径 (a)と略同一であることを特徴とする長繊維強化熱可塑性榭 脂成形材料の製造装置。
[2] 前記回転ロール (4)が、ナイロン榭脂から構成されて 、る請求項 1に記載の製造装 置。
[3] 前記溝 (5)が、複数個設けられて!/、る請求項 1に記載の製造装置。
[4] 前記回転ロール (4)の溝(5)の壁面と、該回転ロール軸方向との角度(ひ)が、 90
〜80度である請求項 1に記載の製造装置。
[5] 前記回転ロール (4)の溝(5)の底部の幅 (b)が、 l〜4mmである請求項 1に記載の 製造装置。
[6] 前記回転ロール (4)の溝部(5)の底外径 (D1)と回転ロール (4)の円盤部(7)の外 径 (D2)との差が、 30mm以上である請求項 1に記載の製造装置。
[7] 前記回転ロール (4)の溝(5)のピッチ (c)が、含浸槽のノズルのピッチ (c,)と実質 的に等ピッチである請求項 1に記載の製造装置。
[8] 前記回転ロール (4)の下方に、冷媒受けパン (8)を有する請求項 1に記載の製造 装置。
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