WO2006061916A1 - プリント基板及びプリント基板の製造方法 - Google Patents

Abstract

　電子部品を冷却するための放熱板を不要として、電子機器の大型化を抑制しつつ、その電子部品を高効率に冷却することができるプリント基板およびそのようなプリント基板を効率的に製造する方法を提供する。 　絶縁材部の内部または表面には、カーボンを主体に構成され熱伝導性に優れるカーボン層部が積層状に配設されているので、通電により電子部品から発熱した熱は、カーボン層部へ伝えられ、そのカーボン層部を拡散した後、外部へ放熱される。よって、電子部品が通電により発熱した場合には、カーボン層部への熱伝導およびカーボン層部での熱拡散によって、電子部品の放熱を確実に行うことができ、かかる電子部品の冷却を高効率に行うことができる。

Description

明 細 書

プリント基板及びプリント基板の製造方法

技術分野

[0001] 本発明はプリント基板及びプリント基板の製造方法に関し、特に、電子部品を冷却 するための放熱板を不要として、電子機器の大型化を抑制しつつ、その電子部品を 高効率に冷却することができるプリント基板及びそのようなプリント基板の製造方法に 関するものである。

背景技術

[0002] プリント基板に実装されたトランジスタや IC等の電子部品は通電によって高熱を発 するため、電子機器 (例えば、自動車用エンジンコントロールユニット「ECU」）の分野 においては、これら電子部品の発熱に対する冷却方法が重要な技術の一つとなって いる。電子部品の冷却方法としては、通常、熱伝導性に優れる材料からなる放熱板（ ヒートシンク)を電子部品の発熱面に取り付ける方法が一般的である（特許文献 1)。 更に、放熱フィンを冷却ファンにて空冷する方法もある。

特許文献 1 :特開平 7-235781号公報（図 2など）

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0003] し力しながら、近年では、電子機器の小形'軽量ィ匕を達成するべぐその薄形化お よび高密度実装化が急速に進められており、そのため、放熱板を実装するための十 分なスペースをプリント基板上に確保することができな 、と 、う問題点があった。即ち 、電子部品を適切に冷却するためには、放熱板を大きくする必要があり、その分、電 子機器全体としての大型化を招く。その一方、放熱板を小さく構成したのでは、放熱 効率が低下して、電子部品を適切に冷却することができない。

[0004] 本発明の目的は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、電子部品 を冷却するための放熱板を不要として、電子機器の大型化を抑制しつつ、その電子 部品を高効率に冷却することができるプリント基板およびそのようなプリント基板を効 率的に製造する方法を提供することを目的としている。 課題を解決するための手段

[0005] この目的を達成するために、請求の範囲第 1項記載のプリント基板は、電気絶縁性 材料カゝら構成される絶縁材部と、その絶縁材部の少なくとも一方の表面、又は、その 絶縁材部の少なくとも一方の表面及び内部に形成される配線パターンとを備え、 1又 は複数の電子部品が実装されるものであって、カーボンを主体として構成されるカー ボン層部を備え、そのカーボン層部が前記絶縁材部の内部または表面に積層状に 配設されている。

[0006] 請求の範囲第 2項記載のプリント基板は、請求の範囲第 1項記載のプリント基板に おいて、前記絶縁材部の厚み方向へ凹設または穿設され、その絶縁材部の内部ま たは表面に積層状に配設された前記カーボン層部に接続される受熱孔部を備えて おり、その受熱孔部は、その開口部が前記電子部品の裏面側に臨むように構成され ると共に、その受熱孔部の内部には、金属ペースト又はカーボンペーストが充填され ている。

[0007] 請求の範囲第 3項記載のプリント基板は、請求の範囲第 1又は第 2項に記載のプリ ント基板において、前記絶縁材部の厚み方向へ凹設または穿設され、その絶縁材部 の内部または表面に積層状に配設された前記カーボン層部に接続される放熱孔部 を備えており、その放熱孔部は、その開口部を前記電子部品の実装面と反対側の表 面に配設するか又は前記電子部品の実装面と同じ側の表面であって上面視におい て電子部品と重ならない位置に配設することにより、その開口部が前記電子部品の 裏面側に臨まないように構成されると共に、その放熱孔部の内部には、金属ペースト 又はカーボンペーストが充填されて 、る。

[0008] 請求の範囲第 4項記載のプリント基板は、請求の範囲第 3項のプリント基板におい て、前記カーボン層部が前記絶縁材部の内部に積層状に配設されている場合には 、そのカーボン層部に接続される前記受熱孔部と放熱孔部とが、互いに連通された 一本の貫通孔として構成されて 、る。

[0009] 請求の範囲第 5項記載のプリント基板は、請求の範囲第 2から第 4項のいずれかに 記載のプリント基板において、前記受熱孔部に充填された金属ペースト又はカーボ ンペーストは、その頂部が前記絶縁材部の表面力 盛り上げられており、前記電子部 品の裏面側との間隙が小さくされている。

[0010] 請求の範囲第 6項記載のプリント基板は、請求の範囲第 2から第 4項のいずれかに 記載のプリント基板において、前記受熱孔部に充填された金属ペースト又はカーボ ンペーストは、その頂部が前記配線パターンと略同等の高さ又は若干高くなるように 前記絶縁材部の表面力 盛り上げられており、前記電子部品の裏面側に直接または 間接的に接触可能とされている。

[0011] 請求の範囲第 7項記載のプリント基板は、請求の範囲第 2から第 6項のいずれかに 記載のプリント基板にぉ 、て、前記絶縁材部の表面にお!、て前記電子部品の裏面 側に臨むように形成され、前記受熱孔部に充填された複数の金属ペースト又はカー ボンペーストに接続される受熱パターンを備え、その受熱パターンは、上面視におい て前記複数の各金属ペースト又はカーボンペーストを含む範囲にわたって略面状に 形成されている。

[0012] 請求の範囲第 8項記載のプリント基板は、請求の範囲第 1から第 7項のいずれかに 記載のプリント基板において、前記絶縁材部の内部に積層状に配設された前記カー ボン層部は、少なくともその一部が前記絶縁材部の周端縁から露出して構成されて いる。

[0013] 請求の範囲第 9項記載のプリント基板は、請求の範囲第 1から第 8項のいずれかに 記載のプリント基板において、前記配線パターンは、グランドに接続されるグランドパ ターンを備えており、そのグランドパターンと前記カーボン層部とが互いに電気的に 接続されている。

[0014] 請求の範囲第 10項記載のプリント基板は、請求の範囲第 9項記載のプリント基板に おいて、前記放熱孔部の一部又は全部は、前記グランドパターンを貫通しつつ前記 絶縁材部の厚み方向へ凹設または穿設されており、その放熱孔部に充填された金 属ペースト又はカーボンペーストによって前記グランドパターンとカーボン層部とが互 V、に電気的に接続されて!、る。

[0015] 請求の範囲第 11項記載のプリント基板は、請求の範囲第 1から第 10項のいずれか に記載のプリント基板において、前記カーボン層部は、前記絶縁材部の内部に前記 配線パターンが形成される場合にはその配線パターンの近傍を除き、前記絶縁材部 の内部または表面のほぼ全域にわたる範囲に積層状に配設されている。

[0016] 請求の範囲第 12項記載のプリント基板の製造方法は、電気絶縁性材料から形成さ れる板状の絶縁材部と、その絶縁材部の少なくとも一方の表面に配設される配線パ ターン層、又は、その絶縁材部の少なくとも一方の表面および内部に配設される配 線パターン層と、カーボンを主体として構成され、前記絶縁材部を介することにより前 記配線パターン層と離間されて積層状に配設される少なくとも 1層の板状のカーボン 含有部材とを備えたプリント基板を製造するための方法であって、前記絶縁材部を形 成する電気絶縁性材料により予め被覆された前記板状のカーボン含有部材である 被覆カーボン含有部材と、前記配線パターン層又は配線パターンを形成するための 導体層との間に、前記絶縁材部を形成する電気絶縁性材料を介在させて圧着して プリント基板用積層板を形成するプリント基板用積層板形成工程を備えている。

[0017] 請求の範囲第 13項記載のプリント基板の製造方法は、請求の範囲第 12項記載の プリント基板の製造方法において、前記プリント基板用積層板形成工程に先立って、 前記絶縁材部を形成する電気絶縁性材料を前記板状のカーボン含有部材の両面 に圧着することにより、前記被覆カーボン含有部材を形成する被覆カーボン含有部 材形成工程を備えている。

[0018] 請求の範囲第 14項記載のプリント基板の製造方法は、請求の範囲第 13項記載の プリント基板の製造方法において、前記被覆カーボン含有部材形成工程は、前記板 状のカーボン含有部材の両面に、前記絶縁材部を形成する電気絶縁性材料を積層 すると共に、その電気絶縁性材料の外側にエッチング除去可能な金属力 構成され る金属板を積層する積層工程と、その積層工程により積層された前記カーボン含有 部材と前記電気絶縁性材料と前記金属板とを圧着して積層体を得る圧着工程と、そ の圧着工程による圧着により得られた積層板から、エッチングにより前記金属板を除 去して前記被覆カーボン含有部材を得る金属板除去工程とを備えている。

[0019] 請求の範囲第 15項記載のプリント基板の製造方法は、請求の範囲第 13又は 14項 記載のプリント基板の製造方法において、前記プリント基板は、前記絶縁材部の介在 によって互いに絶縁されて配置された前記配線パターン層を電気的に接続するため の導電用孔を備えており、前記プリント基板用積層板形成工程に先立って、前記被 覆カーボン含有部材形成工程により得られた被覆カーボン含有部材に対し、前記導 電用孔に対応する位置に、その導電用孔の外周より大きい外周の孔を穿設する被覆 カーボン含有部材穿孔工程を備えて 、る。

[0020] 請求の範囲第 16項記載のプリント基板の製造方法は、請求の範囲第 12から第 15 項のいずれかに記載のプリント基板の製造方法において、前記プリント基板用積層 板形成工程により形成されたプリント基板用積層板における前記絶縁材部の表面に 設けられた前記導体層から配線パターンを形成し、配線パターン層とする外層配線 パターン形成工程と、その外層配線パターン形成工程により形成された配線パター ン上にソルダレジスト膜を形成して前記プリント基板を得るソルダレジスト膜形成工程 とを備えている。

[0021] 請求の範囲第 17項記載のプリント基板の製造方法は、請求の範囲第 16項記載の プリント基板の製造方法において、前記プリント基板は、前記絶縁材部の介在によつ て互いに絶縁されて配置された前記配線パターン層を電気的に接続するための導 電用孔を備えており、前記プリント基板用積層板形成工程により形成されたプリント 基板用積層板に、前記導電用孔を穿設する導電用孔穿孔工程と、その導電用孔穿 孔工程により穿設された導電用孔に、前記絶縁材部の介在によって互いに絶縁され た前記配線パターン層を電気的に接続するめつきを施す通電用孔めっき工程とを備 えている。

[0022] 請求の範囲第 18項記載のプリント基板の製造方法は、請求の範囲第 16又は第 17 項記載のプリント基板の製造方法において、前記プリント基板は、前記絶縁材部の表 面に設けられ、その上に 1又は複数の電子部品が実装される前記配線パターン層と 、前記カーボン含有部材とを連結するための放熱用孔を備えており、前記プリント基 板用積層板形成工程により形成されたプリント基板用積層板に、前記放熱用孔を穿 設する放熱用孔穿孔工程と、その放熱用孔穿孔工程により穿設された放熱用孔に 放熱性材料を充填する放熱性材料充填工程とを備えている。

[0023] 請求の範囲第 19項記載のプリント基板の製造方法は、請求の範囲第 12から第 18 項の 、ずれかに記載のプリント基板の製造方法にお!、て、前記板状のカーボン含有 部材は、熱伝導性材料から編成された網状体の空隙にカーボンを主体とする材料を 充填したものである。

発明の効果

[0024] 請求の範囲第 1項記載のプリント基板によれば、絶縁材部の内部又は表面には、力 一ボンを主体に構成され熱伝導性に優れるカーボン層部が積層状に配設されてい るので、通電により電子部品から発熱した熱は、カーボン層部へ伝えられ、そのカー ボン層部を拡散した後、外部へ放熱される。その結果、電子部品が冷却される。よつ て、電子部品が通電により発熱した場合には、カーボン層部への熱伝導およびカー ボン層部での熱拡散によって、電子部品の放熱を確実に行うことができ、かかる電子 部品の冷却を高効率に行うことができるという効果がある。

[0025] 請求の範囲第 2項記載のプリント基板は、請求の範囲第 1項記載のプリント基板の 奏する効果に加えて、カーボン層部へ接続される受熱孔部を備えると共に、その受 熱孔部には熱伝導性に優れる金属ペースト又はカーボンペーストが充填されている ので、通電により電子部品から発熱した熱は、主に、受熱孔部内に充填された金属 ペースト又はカーボンペーストを介してカーボン層部へ伝えられる。よって、その金属 ペースト又はカーボンペーストを介して、電子部品から発熱した熱をカーボン層部へ 確実かつ高効率に伝えられるという効果があり、その結果、電子部品の冷却を高効 率に行うことができる。

[0026] 更に、受熱孔部の開口部は、電子部品の裏面側に臨むように構成されているので 、その電子部品からの熱を受熱孔部 (金属ペースト又はカーボンペースト）で受熱し て、電子部品からカーボン層部への熱伝導を確実かつ高効率に行うことができ、その 分、電子部品の冷却効率のより一層の向上を図ることができるという効果がある。

[0027] 請求の範囲第 3項記載のプリント基板によれば、請求の範囲第 1又は第 2項に記載 のプリント基板の奏する効果に加えて、カーボン層部へ接続される放熱孔部を備える と共に、その放熱孔部には熱伝導性に優れる金属ペースト又はカーボンペーストが 充填されているので、電子部品からカーボン層部へ伝えられた熱の少なくとも一部は 、放熱孔部内に充填された金属ペースト又はカーボンペーストを介して外部に放熱さ れる。よって、電子部品からカーボン層部へ伝えられた熱を、放熱孔部の金属ペース ト又はカーボンペーストを介して、カーボン層部から外部へ確実かつ高効率に放熱 することができるという効果があり、その結果、電子部品の冷却を高効率に行うことが できる。

[0028] 更に、放熱孔部の開口部は、電子部品の実装面と反対側の表面に配設されるか又 は電子部品の実装面と同じ側の表面であって上面視において電子部品と重ならない 位置に配設されているので、力かる放熱孔部の開口部が電子部品の裏面側に臨ま ないように構成することができ、その結果、放熱孔部 (金属ペースト又はカーボンぺー スト）力 の放熱により電子部品が発熱することを抑制して、電子部品の冷却効率の より一層の向上を図ることができるという効果がある。

[0029] 請求の範囲第 4項記載のプリント基板によれば、請求の範囲第 3項のプリント基板 の奏する効果にカ卩えて、受熱孔部と放熱孔部とは、互いに連通された一本の貫通孔 として構成されているので、これら両孔部を例えばドリルによる一度の加工で同時に 形成することができる。よって、それぞれの孔部を別々に加工する必要がなぐ加工 工程が簡素化されるので、その分、加工コストを低減することができるという効果があ る。

[0030] 請求の範囲第 5項記載のプリント基板によれば、請求の範囲第 2から第 4項のいず れかに記載のプリント基板の奏する効果に加えて、受熱孔部に充填された金属ぺー スト又はカーボンペーストの頂部が絶縁材部の表面力も盛り上げられており、力かる 金属ペースト又はカーボンペーストと電子部品の裏面側との間隙が小さくされている 。よって、電子部品から受熱孔部 (金属ペースト又はカーボンペースト)への熱伝導を 確実かつ高効率に行うことができ、その分、電子部品の冷却効率のより一層の向上 を図ることができると 、う効果がある。

[0031] 請求の範囲第 6項記載のプリント基板によれば、請求の範囲第 2から第 4項のいず れかに記載のプリント基板の奏する効果に加えて、受熱孔部に充填された金属ぺー スト又はカーボンペーストは、その頂部が配線パターンと略同等の高さ又は若干高く なるように絶縁材部の表面力 盛り上げられており、電子部品の裏面側に直接または 間接的に接触可能とされている。よって、電子部品から受熱孔部 (金属ペースト又は カーボンペースト)への熱伝導を確実かつ高効率に行うことができ、その分、電子部 品の冷却効率のより一層の向上を図ることができるという効果がある。 [0032] 請求の範囲第 7項記載のプリント基板によれば、請求の範囲第 2から第 6項のいず れかに記載のプリント基板の奏する効果に加えて、絶縁材部の表面には、電子部品 の裏面側に臨むと共に、複数の金属ペースト又はカーボンペーストに接続される受 熱パターンが形成されており、その受熱パターンは、上面視において複数の各金属 ペースト又はカーボンペーストを含む範囲にわたって略面状に形成されている。その ため、電子部品から受熱孔部 (カーボンペースト）への熱伝導は、受熱パターンを介 して行われる。よって、その受熱パターンの面積分だけ電子部品力 の受熱面積を 広くすることができるので、電子部品力 金属ペースト又はカーボンペーストへの熱 伝導をより確実かつ高効率に行うことができるという効果があり、その結果、電子部品 の冷却効率のより一層の向上を図ることができるという効果がある。

[0033] 請求の範囲第 8項記載のプリント基板によれば、請求の範囲第 1から第 7項のいず れかに記載のプリント基板の奏する効果に加えて、絶縁材部の内部に積層状に配設 されたカーボン層部は、少なくともその一部が絶縁材部の周端縁から露出して構成さ れているので、電子部品からカーボン層部へ伝えられた熱の少なくとも一部は、絶縁 板部の周端縁から露出したカーボン層部の露出部を介して外部に放熱される。よつ て、電子部品からカーボン層部へ伝えられた熱を、絶縁材部の周端縁から露出する カーボン層部の露出部を介して、外部へ確実かつ高効率に放熱することができると いう効果があり、その結果、電子部品の冷却を高効率に行うことができる。

[0034] 請求の範囲第 9項記載のプリント基板によれば、請求の範囲第 1から第 8項のいず れかに記載のプリント基板の奏する効果に加えて、グランドに接続されるグランドバタ ーンを備えると共に、そのグランドパターンとカーボン層部とが互いに電気的に接続 されているので、グランドの面積を大きくして、グランドの電位を安定させることができ るという効果があり、その結果、ノイズによる影響を抑制して、電子部品の動作を安定 させることができると 、う効果がある。

[0035] 請求の範囲第 10項記載のプリント基板によれば、請求の範囲第 9項記載のプリント 基板の奏する効果に加えて、放熱孔部に充填された金属ペースト又はカーボンぺー ストによって、カーボン層部力 外部へ確実かつ高効率に放熱することができるだけ でなぐこの金属ペースト又はカーボンペーストがグランドパターンとカーボン層部と の電気的な接続経路を兼ねて ヽるので、グランドパターンとカーボン層部とを電気的 に接続するための接続経路を別途設ける必要がなぐその分、加工コストや材料コス トなどを抑制することができると 、う効果がある。

[0036] また、カーボン層部が電気的に孤立した状態におかれるとコンデンサとして作用し て電子部品に悪影響を及ぼすおそれがあり、特に、カーボン層部の面積を大きくした 場合には、この問題が顕著となる。そこで、上述のように、カーボン層部をグランドパ ターン (グランド）に接続することにより、カーボン層部がコンデンサとして作用すること を回避して、電子部品へ影響を及ぼすことを抑制することができるという効果がある。

[0037] 請求の範囲第 11項記載のプリント基板によれば、請求の範囲第 1から第 10項のい ずれかに記載のプリント基板の奏する効果に加えて、絶縁材部には、カーボンを主 体として構成されるカーボン層部がその絶縁材部の内部または表面のほぼ全域にわ たる範囲に積層状に配設されているので、力かるカーボン層部によっていわゆるシー ルド効果を得ることができ、電子部品から発生する電磁波が外部へ放出されたり、或 いは、外来のノイズにより電子部品が影響を受けたりすることを抑制することができる という効果がある。

[0038] 請求の範囲第 12項記載のプリント基板の製造方法によれば、絶縁材部を介するこ とにより配線パターン層と離間されて積層状に配設されるカーボン含有部材を備えた プリント基板を製造する場合に、絶縁材部を形成する電気絶縁性材料により予め被 覆された板状のカーボン含有部材である被覆カーボン含有部材が使用される。この 被覆カーボン含有部材と配線パターン層又は配線パターンを形成するための導体 層とが、プリント基板用積層板形成工程において、絶縁材部を形成する電気絶縁性 材料を介して圧着され、それによつて、プリント基板用積層板が形成される。

[0039] 一般的に、カーボン含有部材は、カーボン間の結合力が弱いために、縁端部から カーボン片が脱落し易い。プリント基板におけるスルーホールとの接触を回避するた めの開口部がカーボン含有部材に多数穿設されている場合には、特に、カーボン片 が脱落し易い状況が生じる。プリント基板の製造過程において、積層されるカーボン 含有部材力 カーボン片が脱落すると、そのカーボン片がプリント基板における銅箔 部分や内層コア材の配線パターン部分に付着し、その結果として、配線不良のプリン ト基板が製造されてしまうという問題が生じる。

[0040] 上記のように、請求の範囲第 12項記載のプリント基板の製造方法によれば、被覆 カーボン含有部材、即ち、電気絶縁性材料によって予め被覆されているカーボン含 有部材 (被覆カーボン含有部材)が使用されるので、プリント基板用積層板形成工程 の際に、カーボン片がカーボン含有部材カも脱落することを防止できるという効果が ある。その結果として、製造されたプリント基板における配線不良の発生率を低減で きるという効果がある。

[0041] なお、請求の範囲第 12項における「絶縁材部を形成する電気絶縁性材料」とは、 1 種類だけでなぐ 2種類以上である場合も含むものとする。即ち、請求の範囲第 12項 のプリント基板の製造方法にぉ 、て、被覆カーボン含有部材にお 、てカーボン含有 部材を被覆する電気絶縁性材料と、プリント基板用積層板形成工程にお!、て被覆力 一ボン含有部材と配線パターン層又は配線パターンを形成するための導体層との間 に介在させる電気絶縁性材料とが、同じ電気絶縁性材料である場合も、異なる電気 絶縁性材料である場合も!、ずれも含む。

[0042] 請求の範囲第 13項記載のプリント基板の製造方法によれば、請求の範囲第 12項 記載のプリント基板の製造方法の奏する効果に加えて、プリント基板用積層板形成 工程に先立って、被覆カーボン含有部材形成工程により、絶縁材部を形成する電気 絶縁性材料力 板状のカーボン含有部材の両面に圧着され、それによつて、電気絶 縁性材料によって被覆されて！ヽるカーボン含有部材 (被覆カーボン含有部材)が形 成される。

[0043] この被覆カーボン含有部材は、カーボン含有部材が電気絶縁性材料により被覆さ れているので、縁端部カゝらカーボン片が脱落し難い。よって、プリント基板用積層板 形成工程の際に、カーボン含有部材力 カーボン片が脱落することを防止できるとい う効果がある。その結果として、製造されたプリント基板における配線不良の発生率を 低減できるという効果がある。

[0044] 請求の範囲第 14項記載のプリント基板の製造方法によれば、請求の範囲第 13項 記載のプリント基板の製造方法の奏する効果に加えて、被覆カーボン含有部材形成 工程により形成される被覆カーボン含有部材は、まず、積層工程により、板状のカー ボン含有部材の両面に電気絶縁性材料が積層されると共に、その電気絶縁性材料 の外側にエッチング除去可能な金属力 構成される金属板が積層され、これらが圧 着工程により圧着されて積層体が形成される。形成された積層体は、金属板除去ェ 程によりエッチングされて金属板が除去されて、被覆カーボン含有部材とされる。よつ て、エッチングにより除去可能な金属板を用いることによって、被覆カーボン含有部 材を容易に作製することができると 、う効果がある。

[0045] 請求の範囲第 15項記載のプリント基板の製造方法によれば、請求の範囲第 13又 は 14項記載のプリント基板の製造方法の奏する効果に加えて、プリント基板が、絶縁 材部の介在によって互いに絶縁されて配置されている配線パターン層を電気的に接 続するための導電用孔を備えている場合には、プリント基板用積層板形成工程に先 立って、被覆カーボン含有部材穿孔工程において、被覆カーボン含有部材形成ェ 程により得られた被覆カーボン含有部材に対し、導電用孔に対応する位置に、その 導電用孔の外周より大きい外周の孔が穿設される。よって、各配線パターン層を電気 的に接続する導電用孔と、カーボン含有部材との接触が回避されるので、プリント基 板において電気的接続に無関係であるカーボン含有部材への電流の流出を防止で きるという効果がある。

[0046] 請求の範囲第 16項記載のプリント基板の製造方法によれば、請求の範囲第 12か ら第 15項のいずれかに記載のプリント基板の製造方法の奏する効果に加えて、外層 配線パターン形成工程により、プリント基板用積層板形成工程により形成されたプリ ント基板用積層板における絶縁材部の表面に設けられた導体層は、その導体層から 配線パターンが形成されて配線パターン層とされる。次いで、ソルダレジスト膜形成 工程により、配線パターンの上にソルダレジスト膜が形成されると、プリント基板が得ら れる。このプリント基板は内層にカーボン含有部材を有するものであるので、放熱性 に優れたプリント基板を得ることができるという効果がある。

[0047] 請求の範囲第 17項記載のプリント基板の製造方法によれば、請求の範囲第 16項 記載のプリント基板の製造方法の奏する効果に加えて、プリント基板が、絶縁材部の 介在によって互いに絶縁されて配置された配線パターン層を電気的に接続するため の導電用孔を備えている場合には、導電用孔穿孔工程により、プリント基板用積層 板形成工程により形成されたプリント基板用積層板に導電用孔が穿設される。次い で、通電用孔めっき工程において、めっきが施されることにより、絶縁材部の介在によ つて互いに絶縁されて配置された配線パターン層が電気的に接続される。よって、力 一ボン含有部材を内層に有することにより放熱性に優れた多層プリント基板を得るこ とができるという効果がある。

[0048] 請求の範囲第 18項記載のプリント基板の製造方法によれば、請求の範囲第 16又 は第 17項記載のプリント基板の製造方法の奏する効果に加えて、プリント基板が、絶 縁材部の表面に設けられ、その上に 1又は複数の電子部品が実装される配線パター ン層と、カーボン含有部材とを連結するための放熱用孔を備えている場合には、放 熱用孔穿孔工程において、プリント基板用積層板形成工程により形成されたプリント 基板用積層板に放熱用孔が穿設される。次いで、放熱性材料充填工程において、 放熱用孔穿孔工程により穿設された放熱用孔に放熱性材料が充填される。よって、 この製造方法により製造されたプリント基板は、電子部品を熱源として発生される熱 をカーボン含有部材に効率的に伝達できる。即ち、電子部品から発せられる熱を高 効率で放熱し、電子部品の冷却を高効率に行 、得るプリント基板を得ることができる という効果がある。

[0049] 請求の範囲第 19項記載のプリント基板の製造方法によれば、請求の範囲第 12か ら第 18項のいずれかに記載のプリント基板の製造方法の奏する効果に加えて、板状 のカーボン含有部材は、熱伝導性材料から編成された網状体の空隙にカーボンを 主体とする材料を充填したものであるので、網状体によって、カーボン間の結合の弱 さが補強される。よって、プリント基板用積層板形成工程の際に、カーボン含有部材 力もカーボン片が脱落することを効果的に防止できるという効果がある。その結果とし て、製造されたプリント基板における配線不良の発生率を低減できるという効果があ る。

図面の簡単な説明

[0050] [図 1]本発明の第 1実施形態におけるプリント基板の上面図である。

[図 2]図 1の II II線におけるプリント基板の側断面図である。

[図 3]第 1実施形態のプリント基板の製造方法における各工程のフローチャートである 圆 4]被覆カーボンシートを形成する各工程を模式的に示す図である。

圆 5]積層板を形成する各工程を模式的に示す図である。

圆 6]第 2実施形態のプリント基板に用いられるカーボンシートを説明する図である。 圆 7]第 3実施形態におけるプリント基板の側断面図である。

符号の説明

1 プリント基板

2 電子部品

3 導電パターン (配線パターン，配線パターン層）

3a 銅箔層（配線パターン，配線パターン層，導体層)

3b めっき層（配線パターン，配線パターン層）

4, 15 絶縁板 (絶縁材部）

4a ねじ穴

5, 50 カーボンシート（カーボン層，カーボン含有部材）

5a 開口部（孔）

6 受熱孔部 (受熱孔部，放熱用孔）

7 放熱孔部 (放熱孔部，放熱用孔）

8 カーボンペースト (放熱性材料）

9 受熱パターン

9a 銅箔層

9b めっき層

10 グランドパターン

11 めっき層

12 レジスト層（ソルダレジスト膜）

50a カーボン含有材料 (カーボンを主体とする材料）

50b 銅線 (熱伝導性材料）

A 被覆カーボンシート (被覆カーボン含有部材）

I 内層コア材 (配線パターン層） P プリプレダ (電気絶縁性材料）

Cu 銅箔層 (金属板）

TH スルーホール (導電用孔）

発明を実施するための最良の形態

[0052] 以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図 1は 、本発明の第 1実施形態におけるプリント基板 1の上面図であり、図 2は、図 1の II II 線におけるプリント基板 1の側断面図である。なお、図 1及び図 2では、プリント基板 1 の一部が省略して図示されている。また、図 1では、電子部品 2の図示が省略される と共に、その電子部品 2の仮想的な外形が 2点鎖線を用いて図示されている。

[0053] プリント基板 1は、例えば、エンジンコントロールユニット（ECU)などの電子機器を 構成する基板であり、その上面側（図 1紙面手前側、図 2上側）に実装される複数の 電子部品 2と、それら各電子部品 2を電気的に接続する導電パターン 3と、その導電 ノターン 3が少なくとも一方の表面 (絶縁板 4における図 2上側に相当する面）に形成 される絶縁板 4と、その絶縁板 4の内部に積層状に配設されるカーボンシート 5とを主 に備えている。

[0054] なお、電子部品 2としては、例えば、抵抗器やコンデンサ、トランジスタ、 ICなどが例 示されるが、これらに特に限定されるものではなぐ広くプリント基板に実装される他 の電子部品も含まれる。

[0055] 導電パターン 3は、絶縁板 4の少なくとも一方の表面 (絶縁板 4における図 2上側に 相当する面）に、電子部品 2の間を電気的に接続する電気配線回路 (請求の範囲に おける「配線パターン」に相当する）として形成されており、銅箔層 3aとその銅箔層 3a の上面に積層されるめつき層 3bとから構成されるものである。導電パターン 3 (銅箔層 3a及びめつき層 3b)の表面には、導電パターン 3が短絡されることを防止するために 、レジスト層 12が被覆されている。

[0056] なお、導電パターン 3は、絶縁板 4における他方の表面 (絶縁板 4における図 2下側 に相当する面)及び Z又は絶縁板 4の内部に設けられて 、てもよく、多層の導電バタ ーン 3が設けられている場合には、各層の導電パターン 3における電気的接続をす べき位置にスルーホール THが設けられ、このスルーホール THの表面に設けられた めっき層 11を介して、各層の導電パターン 3が接続される。

[0057] 絶縁板 4は、電気絶縁性を有する略平板状体であり、その四隅部に穿設されたねじ 穴 4aを利用して電子機器の筐体 (非図示）に螺合固定されるものである。この絶縁板 4は、紙、ガラスクロス (織布又は不織布)などに含浸させた電気絶縁性榭脂 (本実施 形態ではエポキシ榭脂）を硬化させたものである。なお、後述する被覆カーボンシー ト Aの表層を構成する被覆層 15もまた、絶縁板 4の一部として構成される。

[0058] この絶縁板 4には、図 1及び図 2に示すように、断面略円形の受熱孔部 6及び放熱 孔部 7が板厚方向（図 2上下方向）に複数穿設されており、これら受熱孔部 6及び放 熱孔部 7の端部は、後述するカーボンシート 5に接続されている。受熱孔部 6は、電 子部品 2が通電により発熱した場合に、その熱を後述するカーボンシート 5へ伝える ための部材であり、放熱孔部 7は、カーボンシート 5の熱を外部へ放熱するための部 材である。

[0059] 受熱孔部 6の内部には、カーボンを主体として構成され熱伝導性に優れるカーボン ペースト 8が充填されているので、通電により電子部品 2が発熱した場合には、この力 一ボンペースト 8を介して、電子部品 2の熱を後述するカーボンシート 5へ確実かつ高 効率に伝達できる。更に、受熱孔部 6の開口部（図 1紙面手前側、図 2上側）は、図 1 及び図 2に示すように、電子部品 2の裏面側（図 2下側)側に臨む位置に配設されて いるので、電子部品 2の熱を確実かつ高効率にカーボンシート 5へ伝えることができ る。

[0060] 同様に、放熱孔部 7の内部にもカーボンペースト 8が充填されているので、電子部 品 2からカーボンシート 5へ伝えられた熱を、このカーボンペースト 8を介して、外部へ 確実かつ高効率に放熱することができる。更に、放熱孔部 7の開口部（図 1紙面奥側 、図 2下側）は、電子部品 2の裏面側に臨まないように配設されているので、その放熱 孔部 7 (カーボンペースト 8)力 放熱された熱により電子部品 2が影響を受ける (発熱 する）ことを抑制することができる。

[0061] ここで、受熱孔部 6に充填されたカーボンペースト 8は、図 2に示すように、その頂部

(図 2上側）が絶縁板 4の表面力 盛り上げられており、その分、カーボンペースト 8と 電子部品 2の裏面側（図 2下側）との間隙が小さくされているので、電子部品 2から力 一ボンペースト 8への熱伝導を確実かつ高効率に行うことができ、電子部品 2の冷却 効率のより一層の向上を図ることができる。

[0062] また、受熱孔部 6の開口部近傍、即ち、電子部品 2の裏面に対応する範囲には、図 1及び図 2に示すように、受熱パターン 9が形成されている。受熱パターン 9は、電子 部品 2からの熱を受熱して、受熱孔部 6のカーボンペースト 8へ伝えるためのものであ り、図 1に示すように、上面視において各受熱孔部 6に充填された複数のカーボンぺ 一スト 8を含む広い範囲にわたって面状に形成されている。各カーボンペースト 8は、 この受熱パターン 9により互いに接続されて 、る。

[0063] よって、この受熱パターン 9の面積分だけ電子部品 2に対する受熱面積を拡大する ことができ、また、その受熱パターン 9で受熱された熱は、その受熱パターン 9内で拡 散され、各カーボンペースト 8へ伝えられるので、電子部品 2から各カーボンペースト 8への熱伝導をより確実かつ高効率に行うことができ、その結果、電子部品 2の冷却 効率のより一層の向上を図ることができる。

[0064] 更に、受熱パターン 9は、上述した導電パターン 3と同様に、銅箔層 9a、めっき層お よびレジスト層 12から構成されているので、その形成を導電パターン 3の形成と同じ 工程で行うことができる。即ち、力かる受熱パターン 9を形成するための工程を別途行 う必要がないので、その分、製造コストの低減を図ることができる。

[0065] なお、受熱孔部 6に充填されたカーボンペースト 8の頂部を絶縁板 4の表面から更 に盛り上げて、電子部品 2の裏面（図 2下側）に接触させても良い。これにより、電子 部品 2からカーボンペースト 8への熱伝導をより確実かつ高効率に行うことができる。 この場合、カーボンペースト 8は、電子部品 2の裏面に直接接触していても良ぐ或い は、受熱パターン 9を介して間接的に接触していても良い。

[0066] ここで、カーボンペースト 8は、メタノールにカーボン粉末およびバインダーとしての フエノール榭脂を混合しペースト状にした後、各孔部 6, 7に充填して硬化させたもの である。この場合、カーボン粉末は、 20 m以下の粒径のものを用いることが好まし い。なお、フエノール榭脂およびメタノールに代えて、他の榭脂ゃ溶剤を使用すること は当然可能である。

[0067] カーボンシート 5は、カーボンを主体として構成された熱伝導性に優れるシート状体 であり、図 1及び図 2に示すように、絶縁板 4の内部に積層状に配設されると共に、そ の絶縁板 4のほぼ全面にわたる範囲に広がって配設されている。そのため、電子部 品 2が通電により発熱した場合には、その熱は、上述した受熱孔部 6 (カーボンぺー スト 8)を介してカーボンシート 5へ伝わり、そのカーボンシート 5における熱拡散によ つて、プリント基板 1の全域へ拡散される。

[0068] その結果、プリント基板 1における熱の分布は、従来のプリント基板のように電子部 品 2近傍のみが極端に高温となることがなぐカーボンシート 5による熱拡散によって 電子部品 2近傍の熱を四方へ移動させることにより、プリント基板 1全体としてよりなだ らかな熱の分布とすることができるので、その分、電子部品 2近傍における熱のピーク (絶対値)を抑制することができる。

[0069] また、カーボンシート 5は、その端部が絶縁板 4の周端縁（図 2右側）から露出して構 成されているので、上述した放熱孔部 7 (カーボンペースト 8)からだけでなぐかかる 露出部からも熱を外部に高効率に放熱することができる。

[0070] その結果、電子部品 2を適切に冷却することができるので、従来のプリント基板のよ うに電子部品 2を冷却するための放熱板を別途設けることを不要とすることができる。 よって、その分、プリント基板上の限られたスペースにおける電子部品 2の実装密度 を高めることができ、電子機器全体としての小型化を図ることができると共に、部品点 数を低減して、部品コストや組み立てコストを抑制することができる。

[0071] 更に、カーボンシート 5を絶縁板 4の内部（内層）のほぼ全域にわたる広い範囲に積 層状に配設することにより、いわゆるシールド効果を得ることができるので、電子部品 2から発生する電磁波が外部へ放出されたり、或いは、外来のノイズにより電子部品 2 が影響を受けたりすることを抑制することができる。

[0072] ここで、プリント基板 1には、グランドパターン 10が形成されており、このグランドパタ ーン 10には、カーボンシート 5が電気的に接続されている。よって、その分、グランド パターン 10 (グランド）の容量 (面積)を拡大することができるので、グランドの電位を 安定させることができ、その結果、ノイズによる影響を抑制して、電子部品 2の動作を 安定させることができる。なお、グランドパターン 10は、ねじ穴 4aに螺合されるねじを 介してグランドに接続される。 [0073] また、カーボンシート 5が電気的に孤立した状態となると、コンデンサとして作用して しまい、電子部品 2に悪影響を及ぼすおそれがある。特に、上述のように、シールド 効果を得るべくカーボンシート 5の面積を大きくした場合には、その問題が顕著となる 。そこで、力かるカーボンシート 5をグランドパターン 10 (グランド)へ電気的に接続す ることにより、カーボンシート 5がコンデンサとして作用することが回避して、電機部品 2へ悪影響を及ぼすことを抑制することができる。

[0074] 更に、このグランドパターン 10とカーボンシート 5との接続は、図 1及び図 2に示すよ うに、放熱孔部 7に充填されたカーボンペースト 8によって行われる。即ち、このカー ボンペースト 8は、放熱用の熱伝導経路と電気的な接続経路とを兼ねているので、力 一ボンシート 5の熱を外部へ確実かつ高効率に放熱することができるだけでなぐ力 一ボンシート 5とグランドパターン 10とを電気的に接続するための接続経路を別途設 ける必要がなぐその分、加工コストや材料コストなどを抑制することができる。

[0075] カーボンシート 5は、カーボン単体により構成されるシートであり、例えば、天然黒鉛 を酸処理後膨張させ圧延加工でシートにした膨張カーボンシートゃ榭脂シートを 20 00°C以上の高温で炭化処理したグラフアイトシートなどを使用できる。

[0076] このカーボンシート 5は、カーボン間の結合が弱いために、縁端部（外周縁部や開 口部 5aの縁端部）からカーボン片が脱落しやすい。そこで、後述するように、この第 1 実施形態のプリント基板 1を製造する場合には、カーボンシート 5は、絶縁板 4を構成 する電気絶縁性榭脂を含有する材料 (電気絶縁性材料)から形成される被覆層 15を 表面に被覆した被覆カーボンシート Aの状態で他の材料と共に圧着される。被覆層 1 5により被覆されたカーボンシート 5を用いることによって、縁端部からのカーボン片の 脱落を防止することができ、その結果として、脱落したカーボン片に起因してプリント 基板 1に生じる配線不良を防止することができる。

[0077] また、カーボンシート 5には、図 1及び図 2に示すように、上面視略円形の開口部 5a が開口形成されており、スルーホール THの表面に設けられためっき層 11との接触 が回避されており、めっき層 11を介して通電される電流力 カーボンシート 5へ流出 しな 、ように構成されて 、る。

[0078] 次に、図 3—図 5を参照して、上記の構成を有するプリント基板 1の製造方法を説明 する。なお、以下の説明では、プリント基板 1を 4層プリント基板として説明する。

[0079] 図 3は、プリント基板 1の製造方法における各工程のフローチャートである。また、図 4は、被覆カーボンシート Aを形成する各工程を模式的に示す図であり、図 5は、積 層板を形成する各工程を模式的に示す図である。

[0080] 図 3に示すように、 4層プリント基板であるプリント基板 1の製造方法では、まず、被 覆カーボンシート形成工程 (S1)により、被覆カーボンシート Aを形成する。この被覆 カーボンシート形成工程（S1)では、まず、レイアップ工程を行う（Sla)。このレイアツ プ工程（Sla)は、カーボンシート 5の両面に、それぞれ、エポキシ榭脂をガラスクロス に含浸させて半硬化状態とさせたプリプレダ Pと銅箔層 Cuとを積層する工程である（ 図 4 (a)参照)。

[0081] レイアップ工程（Sla)の後、積層プレス工程を行う (Slb) ₀積層プレス工程（Sib) は、レイアップ工程（Sla)により積層されたカーボンシート 5、プリプレダ P、銅箔層 C uを、真空状態で加熱圧着する工程である。加熱圧着により、プリプレダ Pを硬化させ て、カーボンシート 5を被覆する被覆層 15が形成される（図 4 (b)参照)。また、積層プ レス工程（Sib)によりプリプレダ Pが硬化されると、レイアップ工程（Sla)により積層さ れた各層が一体化されて一枚の板状体が形成される。

[0082] 積層プレス工程 (Sib)の後、銅箔層除去工程を行う（Sic)。銅箔層除去工程 (S1 c)は、積層プレス工程 (Sib)により得られた板状体（図 4 (b)参照)から、銅箔層 Cu をエッチングにより除去する工程であり、その結果として、カーボンシート 5が被覆層 1 5により被覆された被覆カーボンシート Aが得られる（図 4 (c)参照)。

[0083] 上記した通り、カーボンシート 5はカーボン単体により構成されるために、カーボン 間の結合が弱ぐ縁端部 (外周縁部や開口部 5aの縁端部)からカーボン片が脱落し やすい。しかし、被覆カーボンシート Aは、カーボンシート 5が被覆層 15により被覆さ れているので、カーボンシート 5の縁端部が補強されており、その結果として、カーボ ン片の脱落を防止することができるのである。

[0084] また、この被覆カーボンシート形成工程（S1)では、取り扱いが容易であり、エッチ ングにより容易に除去可能な銅箔層 Cuを用いるので、被覆カーボンシート Aを容易 に作製することができる。 [0085] 被覆カーボンシート形成工程 (SI) (銅箔層除去工程 (Sic) )の後、孔開け工程を 行う（S3)。この孔開け工程 (S3)では、被覆カーボンシート形成工程 (S1)により得ら れた被覆カーボンシート Aに、プリント基板 1に設けられるスルーホール THの位置に 応じて、そのスルーホール THの外周より大きな外周の孔（開口部 5a)を穿設するェ 程である（図 4 (d)参照)。

[0086] この孔開け工程（S3)〖こより、被覆カーボンシート A (カーボンシート 5)にスルーホ ール THの外周より大きな外周を有する孔が穿設されることによって、めっき層 11から カーボンシート 5への電流の流出が防止されたプリント基板 1を得ることができる。

[0087] また、本実施形態におけるプリント基板 1の製造方法では、図 3に示すように、上記 のような被覆カーボンシート形成工程 (S1)により被覆カーボンシート Aを形成する一 方で、内層の導電パターンを両面に備える内層コア材 1 (図 5参照）を形成する内層コ ァ材形成工程を行う（S2)。

[0088] この内層コア材形成工程（S2)では、プリプレダ Pと同様のプリプレダを両側力 銅 箔で挟み、真空下で加熱圧着してプリプレダを硬化させて内層コア材用の銅張り基 板を得、次いで、得られた内層コア材用の銅張り基板をエッチングして内層の導電パ ターンを形成することにより、内層コア材 Iを形成する。

[0089] 次に、孔開け工程 (S3)により開口部 5aが穿設された被覆カーボンシート Aと、内層 コア材形成工程 (S2)により形成された内層コア材 Iとを用い、積層板形成工程 (S4) により、銅張り積層板 (請求の範囲における「プリント基板用積層板」に相当する）を形 成する。

[0090] この積層板形成工程 (S4)では、まず、レイアップ工程を行う（S4a)。このレイアップ 工程 (S4a)では、孔開け工程 (S3)により開口部 5aが穿設された被覆カーボンシート Aと、内層コア材形成工程により形成された内層コア材 Iと、プリプレダ Pと、銅箔層 3a とが、図 5 (a)に示す順序で積層される。

[0091] レイアップ工程（S4a)の後、積層プレス工程を行う（S4b)。この積層プレス工程（S 4b)では、レイアップ工程（S4a)により積層された被覆カーボンシート A、内層コア材 I、プリプレダ P、銅箔層 3aを、真空状態で加熱圧着する工程である。加熱圧着により プリプレダ Pが硬化され、それによつて、積層された各層が一体化されて一枚の銅張 り積層板が形成される（図 5 (b)参照)。なお、積層プレス工程 (S4b)にお ヽて配置さ れたプリプレダ Pと、被覆カーボンシート Aの被覆層 15とから、絶縁板 4が形成される

[0092] 積層板形成工程 (S4)の後、孔開け工程が行われる（S5)。この孔開け工程 (S5) では、積層板形成工程 (S4)により形成された銅張り積層板の所定位置に、後述する 外層回路形成工程 (S8)により形成される外層の導電パターン 3と内層コア材 Iに設 けられた導電パターンとを電気的に接続するためのスルーホール TH、並びに、受熱 孔部 6及び放熱孔部 7が所定の位置に穿設される。

[0093] 孔開け工程 (S5)の後、カーボンペースト充填工程 (S6)を行い、受熱孔部 6及び 放熱孔部 7にカーボンペースト 8を充填して硬化させる。これによつて、受熱孔部 6及 び放熱孔部 7とカーボンシート 5と力 カーボンペースト 8により連結される。このカー ボンペースト充填工程 (S6)により、受熱孔部 6及び放熱孔部 7がカーボンペースト 8 により連結されたことによって、電子部品 2から発生される熱がカーボンシート 5へ効 率的に伝えられるので、放熱性に優れたプリント基板 1を得ることができる。

[0094] 次!、で、めっき工程 (S7)を行 、、銅箔層 3a及びスルーホール THに、それぞれ、 めっき層 3b及びめつき層 11を形成する。めっき工程（S6)の後、銅箔層 3a及びめつ き層 3bをエッチングすることにより、外層の導電パターン 3を形成する外層回路形成 工程 (S8)を行う。

[0095] 外層回路形成工程 (S8)の後、レジストインク塗布工程 (S 9)を行う。レジストインク 塗布工程 (S9)は、外層回路形成工程 (S8)により形成された外層の導電パターン³ 上にレジストインクを塗布することにより、導電パターン 3 (銅箔層 3a及びめつき層 3b) の表面にレジスト層 12を被覆する工程である。

[0096] このレジストインク塗布工程（S9)によりレジスト層 12が導電パターン 3上に被覆され ると、 4層プリント基板であるプリント基板 1が得られる。このプリント基板 1は、内層に 配設されたカーボンシート 5の存在により、上記した通り、優れた放熱性を有する。

[0097] 次に、図 6を参照して、第 2実施形態のプリント基板 1について説明する。図 6は、第 2実施形態のプリント基板に用いられるカーボンシート 50を説明する図である。なお、 前記した第 1実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する [0098] 上記したように、第 1実施形態のプリント基板 1では、カーボンシート 5として、カーボ ン単体により構成されるシートを用いた。これに対し、第 2実施形態のプリント基板で は、カーボンシート 5に換えて、後述するカーボンシート 50を用いる。

[0099] カーボンシート 50は、図 6に示すように、銅線 50bをメリヤス編みによって編成した 網状体 (銅ニット）の空隙に、カーボン含有材料 50aを充填して圧延加工して得られ たものである。

[0100] このカーボンシート 50は、カーボン間の結合の弱さが銅線 50bによって補強されて いるために、カーボン単体力も構成されるカーボンシート 5に比べてカーボン片の脱 落をより効果的に防止できる。よって、そのようなカーボンシート 50を用いることにより 、カーボンシート 50の表面に被覆層 15を被覆して得られた被覆カーボンシートから のカーボン片の脱落はより効果的に抑制されることになる。

[0101] その結果、積層板形成工程 (S4)にお 、て、カーボンシート 50からカーボン片が脱 落することがより効果的に防止されるので、配線不良を有するプリント基板 1の発生を より効果的に防止することができる。

[0102] 次に、図 7を参照して第 3実施形態について説明する。図 7は、第 3実施形態にお けるプリント基板 100の側断面図である。第 1実施形態のプリント基板 1では、カーボ ンシート 5が絶縁板 4の内部に積層状に配設されていたのに対し、第 3実施形態のプ リント基板 100では、カーボンシート 105が絶縁板 4の裏側表面（図 7下側の面）に積 層状に配設されている。なお、前記した第 1実施形態と同一の部分には同一の符号 を付して、その説明は省略する。

[0103] 図 3に示すように、第 3実施形態における受熱孔部 6は、絶縁板 4に貫通形成 (穿設 )されており、その一端側（図 7下側）が後述するカーボンシート 105に接続されてい る。なお、受熱孔部 6の内部には、第 1実施形態と同様に、カーボンペースト 8が充填 されており、電子部品 2からカーボンシート 5への熱伝導を確実かつ高効率に行うこと ができるようにされている。

[0104] また、カーボンシート 105は、図 7に示すように、絶縁板 4の裏側表面（図 7下側の面 )全域において積層状に配設されており、第 1実施形態の場合と比較して、外部への 露出面積が極めて大きくされている。よって、電子部品 2が通電により発熱した場合 には、受熱孔部 6 (カーボンペースト 8)を介してカーボンシート 105に伝えられた熱を 、カーボンシート 105における熱拡散によってプリント基板 1の全域へ拡散しつつ、そ のカーボンシート 105から外部へ確実かつ高効率に放熱することができる。

[0105] なお、この第 3実施形態では、その表面が電気絶縁性材料から形成される被覆層 ( 第 1実施形態における被覆層 15)によって被覆されていないカーボンシート 105を用 いた力 電気絶縁性材料によって予め被覆されたカーボンシート 105を用いてもよい 。電気絶縁性材料によって予め被覆されたカーボンシート 105を用いることによって 、上記した第 1実施形態と同様に、縁端部力 のカーボン片の脱落を防止し得、その 結果として、脱落したカーボン片に起因してプリント基板 1に生じる配線不良を防止 することができる。

[0106] なお、請求の範囲第 12項記載のプリント基板用積層板形成工程としては、図 3のフ ローチャートにおける積層板形成工程 (S4)が該当する。また、請求の範囲第 13項 記載の被覆カーボン含有部材形成工程としては、図 3のフローチャートにおける被覆 カーボンシート形成工程 (S1)が該当する。

[0107] また、請求の範囲第 14項記載の積層工程としては、図 3のフローチャートにおける レイアップ工程 (Sla)が該当し、請求の範囲第 14項記載の圧着工程としては、図 3 のフローチャートにおける積層プレス工程 (Sib)が該当し、請求の範囲第 14項記載 の金属板除去工程としては、図 3のフローチャートにおける銅箔層除去工程 (Sic)が 該当する。

[0108] また、請求の範囲第 15項記載の被覆カーボン含有部材穿孔工程としては、図 3の フローチャートにおける孔開け工程 (S3)が該当する。また、請求の範囲第 16項記載 の外層配線パターン形成工程としては、図 3のフローチャートにおける外層回路形成 工程 (S8)が該当し、請求の範囲第 16項記載のソルダレジスト膜形成工程としては、 図 3のフローチャートにおけるレジストインク塗布工程（S9)が該当する。

[0109] また、請求の範囲第 17項記載の導電用孔穿孔工程としては、図 3のフローチャート における孔開け工程 (S5)が該当し、請求の範囲第 17項記載のめっき工程としては 、図 3のフローチャートにおけるめっき工程（S7)が該当する。 [0110] また、請求の範囲第 18項記載の放熱用孔穿孔工程としては、図 3のフローチャート における孔開け工程 (S5)が該当し、請求の範囲第 18項記載の放熱性材料充填ェ 程としては、図 3のフローチャートにおけるカーボンペースト充填工程（S6)が該当す る。

[0111] 以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら 限定されるものではなぐ本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可 能であることは容易に推察できるものである。

[0112] 例えば、第 1実施形態のプリント基板 1では、図 2に示すように、受熱孔部 6と放熱孔 部 7とが互いに連通された一本の貫通孔として構成される場合を説明した。これは、 これら両孔部 6, 7を例えばドリルによる一度の加工で同時に形成することができため 、両孔部 6, 7をそれぞれ別々に加工する必要がなぐ加工工程が簡素化されるので 、その分、加工コストを低減することができるからである。

[0113] 但し、必ずしもこれに限られるわけではなぐ受熱孔部 6及び放熱孔部 7をカーボン シート 5までの深さの孔部としてそれぞれ異なる位置に独立に凹設することは当然可 能である。例えば、絶縁板 4の上側表面（図 2上側面）に凹設される受熱孔部 6の凹 設数に対し、絶縁板 4の下側表面（図 2下側面）に凹設される放熱孔部 7の凹設数が より多くなるように構成しても良い。これにより、カーボンシート 5から外部への熱の放 熱をより高効率に行うことができる。なお、この場合には、放熱孔部 7を受熱孔部 6と 同じ側の面（図 2上側面）に凹設しても良い。

[0114] また、第 1実施形態のプリント基板 1では、カーボンシート 5の端部の一部が絶縁板 4の周端縁 (図 2右側)から露出して構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限 られるわけではなぐカーボンシート 5の端部全域が絶縁板 4の周端縁から露出され ないように構成することは当然可能である。これにより、例えば、絶縁板 4の周端縁に 端面端子 (導電パターン)を形成する場合に、カーボンシート 5との接触 (導通）を考 慮する必要がなくなり、好適である。

[0115] また、第 1実施形態のプリント基板 1では、絶縁板 4の電子部品 2が実装される側と 反対側の表面 (図 2下側）に放熱孔部 7を設ける場合を説明したが、かかる実装面と 反対側の表面に放熱孔部 7を設けないようにしても良い。即ち、放熱孔部 7を設けな いか、或いは、放熱孔部 7を電子部品 2が実装される側と同じ側の表面（図 2上側面） のみに設けるのである。これにより、かかる実装面と反対側の表面（図 2下側面）が筐 体などにより囲まれている場合には、放熱孔部 7から放熱された熱が筐体との対向面 間にこもってしまうことを防止することができる。

[0116] また、上記各実施形態のプリント基板 1, 100では、いずれも受熱孔部 6及び放熱 孔部 7を備えて構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるわけではなぐ これら受熱孔部 6及び放熱孔部 7のいずれか一方又は両方を省略して構成すること は当然可能である。

[0117] また、上記各実施形態のプリント基板 1, 100では、受熱孔部 6及び放熱孔部 7に力 一ボンペースト 8が充填される場合を説明した力 必ずしもこれに限られるわけではな ぐカーボンペースト 8に代えて金属ペーストを充填することは当然可能である。なお 、金属ペーストとしては、例えば、銅や銀などを用いたペーストが例示される。

[0118] ここで、 1枚のプリント基板 1, 100に受熱孔部 6又は放熱孔部 7が複数ある場合に は、それらすベての孔部 6, 7に同じ種類のペースト（金属ペースト又はカーボンぺー スト 8)を充填する必要は必ずしもなぐ 1枚のプリント基板 1, 100に金属ペーストと力 一ボンペースト 8との両ペーストを使用することは当然可能である。

[0119] また、第 1実施形態において、プリプレダ Pに含まれる電気絶縁性榭脂としてェポキ シ榭脂を用いたが、これは電気絶縁性榭脂がエポキシ榭脂に限定されることを意味 するものではない。即ち、エポキシ榭脂に換えて、フエノール榭脂ゃ変形ポリイミドゃ ポリイミドなどの電気絶縁性榭脂を使用してプリプレダ Pを構成することは当然可能で ある。

[0120] また、上記第 1実施形態では、被覆カーボンシート形成工程 (S1)及び積層板形成 工程 (S4)においても、エポキシ榭脂を含むプリプレダ Pを使用した力 被覆層 15を 形成するためのプリプレダ Pに含まれる電気絶縁性榭脂と、積層板を形成するための プリプレダ Pに含まれる電気絶縁性榭脂とが異なる榭脂であってもよい。

[0121] また、上記第 1実施形態では、カーボンシート 5としてカーボン単体により構成され るシートを用いた力 必ずしもカーボン単体のみ力 構成されるシートに限定されるも のではなぐ他の材料を混合させて構成されたシートを用いることは当然推察可能で ある。即ち、カーボンシート 5は、少なくともカーボンを含むものであればよい。

[0122] 同様に、第 2実施形態において使用したカーボンシート 50において、銅線 50bから 編成される網状体を充填するカーボン含有材料 50aは、カーボン単体により構成さ れるものであってもよ 、し、カーボンと他の材料との混合物であってもよ 、。

[0123] また、上記第 2実施形態において使用したカーボンシート 50では、銅線 50bから編 成された網状体にカーボン含有材料 50aを充填するように構成したが、網状体を形 成する部材は、銅線 50bに限定されるものではなぐ熱伝導性を有する材料であれ ば置換し得ることは当然推察可能である。例えば、銅線 50bに換えて、銀線などの金 属線を用いてもよい。また、網状体の網目の形状は、図 6に示したようなメリヤス編み 形状に限定されるものではなぐ他の網目形状とすることは当然推測可能である。

[0124] また、上記第 1実施形態のプリント基板 1の製造方法として、 4層プリント基板の製造 方法を例示したが、これに限定されるものではなぐ片面基板、両面基板、 4層以外 の多層基板の製造方法に適用可能であることは当然推測可能である。

[0125] また、上記第 1及び第 2実施形態のプリント基板 1では、カーボンシート 5又はカー ボンシート 50が、各層の導電パターン (表層の導電パターン 3 (銅箔 3a)及び内層コ ァ材 Iの導電パターン）の間に絶縁板 4を介して一層ずっ配設される場合（図 2又は 図 5 (b)参照）について説明した力 カーボンシート 5又はカーボンシート 50の配設位 置はこれに限定されるものではなぐカーボンシート 5又はカーボンシート 50力 導電 パターン (表層の導電パターン 3 (銅箔 3a)及び内層コア材 Iの導電パターン)力も絶 縁板 4を介して離間された位置に少なくとも一層配設されていればよい。

[0126] 例えば、図 5 (b)に示した 4層プリント基板用の銅張り積層板において、 2層設けら れたカーボンシート 5 (被覆カーボンシート A)のうち、一方のカーボンシート 5 (被覆力 一ボンシート A)を非設置とする構成であってもよい。また、片面基板において、カー ボンシート 5又はカーボンシート 50を、導電パターンが設けられていない側の表面に 設けるような構成であってもよ 、。

[0127] また、上記第 1及び第 2実施形態のプリント基板 1では、カーボンシート 5又はカー ボンシート 50が、絶縁板 4を介して各層の導電パターン (表層の導電パターン 3 (銅 箔 3a)及び内層コア材 Iの導電パターン)の間に一層ずっ配設される場合（図 2又は 図 5 (b)参照）について説明したが、これに限定されるものではなぐ各層の導電バタ ーン (表層の導電パターン 3 (銅箔 3a)及び内層コア材 Iの導電パターン)の間に絶縁 板 4を介して二層以上のカーボンシート 5, 50が積層状に配設されていても良ぐ或 いは、カーボンシート 5, 50が組み合わされて積層状に配設されていても良い。 また、上記各実施形態のプリント基板 1, 100、即ち、カーボンシート 5, 50, 105を 内部又は表面に備えるプリント基板 1, 100を、片面基板、両面基板、多層基板に適 用可能であることは容易に推察可能である。

Claims

請求の範囲

[1] 電気絶縁性材料から構成される絶縁材部と、その絶縁材部の少なくとも一方の表 面、又は、その絶縁材部の少なくとも一方の表面及び内部に形成される配線パター ンとを備え、 1又は複数の電子部品が実装されるプリント基板において、

カーボンを主体として構成されるカーボン層部を備え、

そのカーボン層部が前記絶縁材部の内部または表面に積層状に配設されているこ とを特徴とするプリント基板。

[2] 前記絶縁材部の厚み方向へ凹設または穿設され、その絶縁材部の内部または表 面に積層状に配設された前記カーボン層部に接続される受熱孔部を備えており、 その受熱孔部は、その開口部が前記電子部品の裏面側に臨むように構成されると 共に、その受熱孔部の内部には、金属ペースト又はカーボンペーストが充填されて いることを特徴とする請求の範囲第 1項記載のプリント基板。

[3] 前記絶縁材部の厚み方向へ凹設または穿設され、その絶縁材部の内部または表 面に積層状に配設された前記カーボン層部に接続される放熱孔部を備えており、 その放熱孔部は、その開口部を前記電子部品の実装面と反対側の表面に配設す るか又は前記電子部品の実装面と同じ側の表面であって上面視において電子部品 と重ならない位置に配設することにより、その開口部が前記電子部品の裏面側に臨 まないように構成されると共に、その放熱孔部の内部には、金属ペースト又はカーボ ンペーストが充填されていることを特徴とする請求の範囲第 1又は第 2項に記載のプ リント基板。

[4] 前記カーボン層部が前記絶縁材部の内部に積層状に配設されている場合には、 そのカーボン層部に接続される前記受熱孔部と放熱孔部とが、互いに連通された一 本の貫通孔として構成されていることを特徴とする請求の範囲第 3項のプリント基板。

[5] 前記受熱孔部に充填された金属ペースト又はカーボンペーストは、その頂部が前 記絶縁材部の表面から盛り上げられており、前記電子部品の裏面側との間隙が小さ くされていることを特徴とする請求の範囲第 2から第 4項のいずれかに記載のプリント 基板。

[6] 前記受熱孔部に充填された金属ペースト又はカーボンペーストは、その頂部が前 記配線パターンと略同等の高さ又は若干高くなるように前記絶縁材部の表面力も盛 り上げられており、前記電子部品の裏面側に直接または間接的に接触可能とされて いることを特徴とする請求の範囲第 2から第 4項のいずれかに記載のプリント基板。

[7] 前記絶縁材部の表面において前記電子部品の裏面側に臨むように形成され、前 記受熱孔部に充填された複数の金属ペースト又はカーボンペーストに接続される受 熱パターンを備え、

その受熱パターンは、上面視にお!、て前記複数の各金属ペースト又はカーボンぺ 一ストを含む範囲にわたって略面状に形成されていることを特徴とする請求の範囲第

2から第 6項のいずれかに記載のプリント基板。

[8] 前記絶縁材部の内部に積層状に配設された前記カーボン層部は、少なくともその 一部が前記絶縁材部の周端縁から露出して構成されていることを特徴とする請求の 範囲第 1から第 7項のいずれかに記載のプリント基板。

[9] 前記配線パターンは、グランドに接続されるグランドパターンを備えており、

そのグランドパターンと前記カーボン層部とが互いに電気的に接続されていることを 特徴とする請求の範囲第 1から第 8項のいずれかに記載のプリント基板。

[10] 前記放熱孔部の一部又は全部は、前記グランドパターンを貫通しつつ前記絶縁材 部の厚み方向へ凹設または穿設されており、

その放熱孔部に充填された金属ペースト又はカーボンペーストによって前記グラン ドパターンとカーボン層部とが互いに電気的に接続されていることを特徴とする請求 の範囲第 9項記載のプリント基板。

[11] 前記カーボン層部は、前記絶縁材部の内部に前記配線パターンが形成される場合 にはその配線パターンの近傍を除き、前記絶縁材部の内部または表面のほぼ全域 にわたる範囲に積層状に配設されていることを特徴とする請求の範囲第 1から第 10 項の 、ずれかに記載のプリント基板。

[12] 電気絶縁性材料カゝら形成される板状の絶縁材部と、その絶縁材部の少なくとも一 方の表面に配設される配線パターン層、又は、その絶縁材部の少なくとも一方の表 面および内部に配設される配線パターン層と、カーボンを主体として構成され、前記 絶縁材部を介することにより前記配線パターン層と離間されて積層状に配設される少 なくとも 1層の板状のカーボン含有部材とを備えたプリント基板の製造方法において 前記絶縁材部を形成する電気絶縁性材料により予め被覆された前記板状のカー ボン含有部材である被覆カーボン含有部材と、前記配線パターン層又は配線パター ンを形成するための導体層との間に、前記絶縁材部を形成する電気絶縁性材料を 介在させて圧着してプリント基板用積層板を形成するプリント基板用積層板形成ェ 程を備えていることを特徴とするプリント基板の製造方法。

[13] 前記プリント基板用積層板形成工程に先立って、前記絶縁材部を形成する電気絶 縁性材料を前記板状のカーボン含有部材の両面に圧着することにより、前記被覆力 一ボン含有部材を形成する被覆カーボン含有部材形成工程を備えていることを特徴 とする請求の範囲第 12項記載のプリント基板の製造方法。

[14] 前記被覆カーボン含有部材形成工程は、

前記板状のカーボン含有部材の両面に、前記絶縁材部を形成する電気絶縁性材 料を積層すると共に、その電気絶縁性材料の外側にエッチング除去可能な金属から 構成される金属板を積層する積層工程と、

その積層工程により積層された前記カーボン含有部材と前記電気絶縁性材料と前 記金属板とを圧着して積層体を得る圧着工程と、

その圧着工程による圧着により得られた積層板から、エッチングにより前記金属板 を除去して前記被覆カーボン含有部材を得る金属板除去工程とを備えていることを 特徴とする請求の範囲第 13項記載のプリント基板の製造方法。

[15] 前記プリント基板は、前記絶縁材部の介在によって互いに絶縁されて配置された前 記配線パターン層を電気的に接続するための導電用孔を備えており、

前記プリント基板用積層板形成工程に先立って、前記被覆カーボン含有部材形成 工程により得られた被覆カーボン含有部材に対し、前記導電用孔に対応する位置に 、その導電用孔の外周より大きい外周の孔を穿設する被覆カーボン含有部材穿孔ェ 程を備えていることを特徴とする請求の範囲第 13又は 14項記載のプリント基板の製 造方法。

[16] 前記プリント基板用積層板形成工程により形成されたプリント基板用積層板におけ る前記絶縁材部の表面に設けられた前記導体層から配線パターンを形成し、配線パ ターン層とする外層配線パターン形成工程と、

その外層配線パターン形成工程により形成された配線パターン上にソルダレジスト 膜を形成して前記プリント基板を得るソルダレジスト膜形成工程とを備えていることを 特徴とする請求の範囲第 12から第 15項のいずれかに記載のプリント基板の製造方 法。

[17] 前記プリント基板は、前記絶縁材部の介在によって互いに絶縁されて配置された前 記配線パターン層を電気的に接続するための導電用孔を備えており、

前記プリント基板用積層板形成工程により形成されたプリント基板用積層板に、前 記導電用孔を穿設する導電用孔穿孔工程と、

その導電用孔穿孔工程により穿設された導電用孔に、前記絶縁材部の介在によつ て互いに絶縁された前記配線パターン層を電気的に接続するめつきを施す通電用 孔めっき工程とを備えていることを特徴とする請求の範囲第 16項記載のプリント基板 の製造方法。

[18] 前記プリント基板は、前記絶縁材部の表面に設けられ、その上に 1又は複数の電子 部品が実装される前記配線パターン層と、前記カーボン含有部材とを連結するため の放熱用孔を備えており、

前記プリント基板用積層板形成工程により形成されたプリント基板用積層板に、前 記放熱用孔を穿設する放熱用孔穿孔工程と、

その放熱用孔穿孔工程により穿設された放熱用孔に放熱性材料を充填する放熱 性材料充填工程とを備えていることを特徴とする請求の範囲第 16又は第 17項記載 のプリント基板の製造方法。

[19] 前記板状のカーボン含有部材は、熱伝導性材料から編成された網状体の空隙に カーボンを主体とする材料を充填したものであることを特徴とする請求の範囲第 12か ら第 18項のいずれかに記載のプリント基板の製造方法。