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Description
本発明は、プリント基板の製造方法及びプリント基板に関し、特に、積層されるカーボン含有部材からのカーボン片の脱落を防止することにより、配線不良の発生が抑制されるプリント基板の製造方法に関する。
プリント基板に実装されたトランジスタやIC等の電子部品は通電によって高熱を発するため、電子機器(例えば、自動車用エンジンコントロールユニット「ECU」)の分野においては、これら電子部品の発熱に対する冷却方法が重要な技術の一つとなっている。電子部品の冷却方法としては、通常、熱伝導性に優れる材料からなる放熱板(ヒートシンク)を電子部品の発熱面に取り付ける方法が一般的である(特許文献1)。更に、放熱フィンを冷却ファンにて空冷する方法もある。
しかし、近年では、電子機器の小形・軽量化を達成するべく、その薄形化および高密度実装化が急速に進められており、そのため、放熱板を実装するための十分なスペースをプリント基板上に確保することができなかった。即ち、電子部品を適切に冷却するためには、放熱板を大きくする必要があり、その分、電子機器全体としての大型化を招く。その一方、放熱板を小さく構成したのでは、放熱効率が低下して、電子部品を適切に冷却することができなかった。
特開平7−235781号公報(図2など)
そこで、本出願人は、カーボンを主体として構成されるカーボンシートなどのカーボン含有部材を表面又は内層にカーボン層部として配設することによって、電子部品を冷却するための放熱板を不要として、電子機器の大型化を抑制しつつ、その電子部品を高効率に冷却することができるプリント基板を開発した(未公知)。
しかしながら、そのような放熱性に優れたプリント基板に用いられるカーボン含有部材は、元々、カーボン間の結合力が弱いために、縁端部からカーボン片が脱落し易いという問題点があった。特に、プリント基板にカーボン層として配設されるカーボン含有部材には、スルーホールとの接触を回避するための開口部が多数穿設されており、カーボン片が脱落し易い状況が生じる。
プリント基板の製造過程において、積層されるカーボン含有部材からカーボン片が脱落すると、そのカーボン片がプリント基板における銅箔部分や内層コア材の導電パターン部分に付着し、その結果として、配線不良のプリント基板が製造されてしまうことになる。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、積層されるカーボン含有部材からのカーボン片の脱落を防止することにより、配線不良の発生が抑制されるプリント基板の製造方法及びプリント基板を提供することを目的としている。
この目的を達成するために、請求項1記載のプリント基板の製造方法は、電気絶縁性材料から形成される板状の絶縁材部と、その絶縁材部の少なくとも一方の表面に配設される配線パターン層、又は、その絶縁材部の少なくとも一方の表面および内部に配設される配線パターン層と、前記絶縁材部の介在によって互いに絶縁されて配置された前記配線パターン層を電気的に接続するための導電用孔と、カーボンを主体として構成され、前記絶縁材部を介することにより前記配線パターン層と離間されて積層状に配設される少なくとも1層の板状のカーボン含有部材とを備えたプリント基板を製造するためのものであって、前記絶縁材部を形成する電気絶縁性材料を前記板状のカーボン含有部材の両面に圧着することにより、前記絶縁材部を形成する電気絶縁性材料が両面に被覆された被覆カーボン含有部材を形成する被覆カーボン含有部材形成工程と、その被覆カーボン含有部材形成工程により得られた被覆カーボン含有部材に対し、前記導電用孔に対応する位置に、その導電用孔の外周より大きい外周の孔を穿設する被覆カーボン含有部材穿孔工程と、その被覆カーボン含有部材穿孔工程により前記導電用孔の外周より大きい外周の孔が穿設された前記被覆カーボン含有部材と、前記配線パターン層又は配線パターンを形成するための導体層との間に、前記絶縁材部を形成する電気絶縁性材料を介在させて圧着してプリント基板用積層板を形成するプリント基板用積層板形成工程とを備えている。
請求項2記載のプリント基板の製造方法は、請求項1記載のプリント基板の製造方法において、前記被覆カーボン含有部材形成工程は、前記板状のカーボン含有部材の両面に、前記絶縁材部を形成する電気絶縁性材料を積層すると共に、その電気絶縁性材料の外側にエッチング除去可能な金属から構成される金属板を積層する積層工程と、その積層工程により積層された前記カーボン含有部材と前記電気絶縁性材料と前記金属板とを圧着して積層体を得る圧着工程と、その圧着工程による圧着により得られた積層板から、エッチングにより前記金属板を除去して前記被覆カーボン含有部材を得る金属板除去工程とを備えている。
請求項3記載のプリント基板の製造方法は、請求項1又は2記載のプリント基板の製造方法において、前記プリント基板用積層板形成工程により形成されたプリント基板用積層板における前記絶縁材部の表面に設けられた前記導体層から配線パターンを形成し、配線パターン層とする外層配線パターン形成工程と、その外層配線パターン形成工程により形成された配線パターン上にソルダレジスト膜を形成して前記プリント基板を得るソルダレジスト膜形成工程とを備えている。
請求項4記載のプリント基板の製造方法は、請求項3記載のプリント基板の製造方法において、前記プリント基板が、前記絶縁材部の介在によって互いに絶縁されて配置された前記配線パターン層を電気的に接続するための導電用孔を備えている場合に、前記プリント基板用積層板形成工程により形成されたプリント基板用積層板に、前記導電用孔を穿設する導電用孔穿孔工程と、その導電用孔穿孔工程により穿設された導電用孔に、前記絶縁材部の介在によって互いに絶縁された前記配線パターン層を電気的に接続するめっきを施す通電用孔めっき工程とを備えている。
請求項5記載のプリント基板の製造方法は、請求項3又は4記載のプリント基板の製造方法において、前記プリント基板が、前記絶縁材部の表面に設けられ、その上に1又は複数の電子部品が実装される前記配線パターン層と、前記カーボン含有部材とを連結するための放熱用孔を備えている場合に、前記プリント基板用積層板形成工程により形成されたプリント基板用積層板に、前記放熱用孔を穿設する放熱用孔穿孔工程と、その放熱用孔穿孔工程により穿設された放熱用孔に放熱性材料を充填する放熱性材料充填工程とを備えている。
請求項6記載のプリント基板の製造方法は、請求項1から5のいずれかに記載のプリント基板の製造方法において、前記板状のカーボン含有部材は、熱伝導性材料から編成された網状体の空隙にカーボンを主体とする材料を充填したものである。
請求項7記載のプリント基板は、電気絶縁性材料から構成される絶縁材部と、その絶縁材部の少なくとも一方の表面、又は、その絶縁材部の少なくとも一方の表面及び内部に形成される配線パターンとを備え、1又は複数の電子部品が実装されるものであって、カーボンを主体として構成され、圧延加工によって得られたシート状のカーボン層部を備え、そのカーボン層部は、前記絶縁材部の少なくとも内部に積層状に配設されており、前記絶縁材部の内部に積層状に配設される前記カーボン層部は、前記圧延加工によって得られたシート状のカーボン層部の両面に、前記電気絶縁性材料から形成される被覆層を予め被覆した後、その被覆層によって被覆されたカーボン層部を前記電気絶縁性材料の間に介在させて圧着することによって得られる。
請求項8記載のプリント基板は、請求項7記載のプリント基板において、前記絶縁材部の厚み方向へ凹設または穿設され、その絶縁材部の内部または表面に積層状に配設された前記カーボン層部に接続される受熱孔部を備えており、その受熱孔部は、その開口部が前記電子部品の裏面側に臨むように構成されると共に、その受熱孔部の内部には、金属ペースト又はカーボンペーストが充填されている。
請求項9記載のプリント基板は、請求項7又は8記載のプリント基板において、前記絶縁材部の厚み方向へ凹設または穿設され、その絶縁材部の内部または表面に積層状に配設された前記カーボン層部に接続される放熱孔部を備えており、その放熱孔部は、その開口部を前記電子部品の実装面と反対側の表面に配設するか又は前記電子部品の実装面と同じ側の表面であって上面視において電子部品と重ならない位置に配設することにより、その開口部が前記電子部品の裏面側に臨まないように構成されると共に、その放熱孔部の内部には、金属ペースト又はカーボンペーストが充填されている。
請求項10記載のプリント基板は、請求項9記載のプリント基板において、前記カーボン層部が前記絶縁材部の内部に積層状に配設されている場合には、そのカーボン層部に接続される前記受熱孔部と放熱孔部とが、互いに連通された一本の貫通孔として構成されている。
請求項11記載のプリント基板は、請求項8から10のいずれかに記載のプリント基板において、前記受熱孔部に充填された金属ペースト又はカーボンペーストは、その頂部が前記絶縁材部の表面から盛り上げられており、前記電子部品の裏面側との間隙が小さくされている。
請求項12記載のプリント基板は、請求項8から10のいずれかに記載のプリント基板において、前記受熱孔部に充填された金属ペースト又はカーボンペーストは、その頂部が前記配線パターンと略同等の高さ又は若干高くなるように前記絶縁材部の表面から盛り上げられており、前記電子部品の裏面側に直接または間接的に接触可能とされている。
請求項13記載のプリント基板は、請求項8から12のいずれかに記載のプリント基板において、前記絶縁材部の表面において前記電子部品の裏面側に臨むように形成され、前記受熱孔部に充填された複数の金属ペースト又はカーボンペーストに接続される受熱パターンを備え、その受熱パターンは、上面視において前記複数の各金属ペースト又はカーボンペーストを含む範囲にわたって略面状に形成されている。
請求項14記載のプリント基板は、請求項9から13のいずれかに記載のプリント基板において、前記絶縁材部の内部に積層状に配設された前記カーボン層部は、少なくともその一部が前記絶縁材部の周端縁から露出して構成されている。
請求項15記載のプリント基板は、請求項7から14のいずれかに記載のプリント基板において、前記配線パターンは、グランドに接続されるグランドパターンを備えており、そのグランドパターンと前記カーボン層部とが互いに電気的に接続されている。
請求項16記載のプリント基板は、請求項15記載のプリント基板において、前記放熱孔部の一部又は全部は、前記グランドパターンを貫通しつつ前記絶縁材部の厚み方向へ凹設または穿設されており、その放熱孔部に充填された金属ペースト又はカーボンペーストによって前記グランドパターンとカーボン層部とが互いに電気的に接続されている。
請求項17記載のプリント基板は、請求項7から16のいずれかに記載のプリント基板において、前記カーボン層部は、前記絶縁材部の内部に前記配線パターンが形成される場合にはその配線パターンの近傍を除き、前記絶縁材部の内部または表面のほぼ全域にわたる範囲に積層状に配設されている。
請求項18記載のプリント基板は、請求項7から17のいずれかに記載のプリント基板において、前記絶縁材部の介在によって互いに絶縁されて配置された前記配線パターン層を電気的に接続する導電用孔を備え、前記絶縁材部の内部に積層状に配設されるカーボン層部は、前記圧延加工によって得られたシート状のカーボン層部の両面に、前記電気絶縁性材料から形成される被覆層を圧着によって予め被覆した上で、前記導電用孔に対応する位置に、その導電用孔の外周より大きい外周の孔を穿設した後、前記孔の穿設されたカーボン層部を前記電気絶縁性材料の間に介在させて圧着することによって得られる。
請求項19記載のプリント基板は、請求項7から18のいずれかに記載のプリント基板において、前記カーボン層部は、熱伝導性材料から編成された網状体の空隙にカーボンを主体とする材料を充填したものである。
請求項7記載のプリント基板は、電気絶縁性材料から構成される絶縁材部と、その絶縁材部の少なくとも一方の表面、又は、その絶縁材部の少なくとも一方の表面及び内部に形成される配線パターンとを備え、1又は複数の電子部品が実装されるものであって、カーボンを主体として構成され、圧延加工によって得られたシート状のカーボン層部を備え、そのカーボン層部は、前記絶縁材部の少なくとも内部に積層状に配設されており、前記絶縁材部の内部に積層状に配設される前記カーボン層部は、前記圧延加工によって得られたシート状のカーボン層部の両面に、前記電気絶縁性材料から形成される被覆層を予め被覆した後、その被覆層によって被覆されたカーボン層部を前記電気絶縁性材料の間に介在させて圧着することによって得られる。
請求項8記載のプリント基板は、請求項7記載のプリント基板において、前記絶縁材部の厚み方向へ凹設または穿設され、その絶縁材部の内部または表面に積層状に配設された前記カーボン層部に接続される受熱孔部を備えており、その受熱孔部は、その開口部が前記電子部品の裏面側に臨むように構成されると共に、その受熱孔部の内部には、金属ペースト又はカーボンペーストが充填されている。
請求項9記載のプリント基板は、請求項7又は8記載のプリント基板において、前記絶縁材部の厚み方向へ凹設または穿設され、その絶縁材部の内部または表面に積層状に配設された前記カーボン層部に接続される放熱孔部を備えており、その放熱孔部は、その開口部を前記電子部品の実装面と反対側の表面に配設するか又は前記電子部品の実装面と同じ側の表面であって上面視において電子部品と重ならない位置に配設することにより、その開口部が前記電子部品の裏面側に臨まないように構成されると共に、その放熱孔部の内部には、金属ペースト又はカーボンペーストが充填されている。
請求項10記載のプリント基板は、請求項9記載のプリント基板において、前記カーボン層部が前記絶縁材部の内部に積層状に配設されている場合には、そのカーボン層部に接続される前記受熱孔部と放熱孔部とが、互いに連通された一本の貫通孔として構成されている。
請求項11記載のプリント基板は、請求項8から10のいずれかに記載のプリント基板において、前記受熱孔部に充填された金属ペースト又はカーボンペーストは、その頂部が前記絶縁材部の表面から盛り上げられており、前記電子部品の裏面側との間隙が小さくされている。
請求項12記載のプリント基板は、請求項8から10のいずれかに記載のプリント基板において、前記受熱孔部に充填された金属ペースト又はカーボンペーストは、その頂部が前記配線パターンと略同等の高さ又は若干高くなるように前記絶縁材部の表面から盛り上げられており、前記電子部品の裏面側に直接または間接的に接触可能とされている。
請求項13記載のプリント基板は、請求項8から12のいずれかに記載のプリント基板において、前記絶縁材部の表面において前記電子部品の裏面側に臨むように形成され、前記受熱孔部に充填された複数の金属ペースト又はカーボンペーストに接続される受熱パターンを備え、その受熱パターンは、上面視において前記複数の各金属ペースト又はカーボンペーストを含む範囲にわたって略面状に形成されている。
請求項14記載のプリント基板は、請求項9から13のいずれかに記載のプリント基板において、前記絶縁材部の内部に積層状に配設された前記カーボン層部は、少なくともその一部が前記絶縁材部の周端縁から露出して構成されている。
請求項15記載のプリント基板は、請求項7から14のいずれかに記載のプリント基板において、前記配線パターンは、グランドに接続されるグランドパターンを備えており、そのグランドパターンと前記カーボン層部とが互いに電気的に接続されている。
請求項16記載のプリント基板は、請求項15記載のプリント基板において、前記放熱孔部の一部又は全部は、前記グランドパターンを貫通しつつ前記絶縁材部の厚み方向へ凹設または穿設されており、その放熱孔部に充填された金属ペースト又はカーボンペーストによって前記グランドパターンとカーボン層部とが互いに電気的に接続されている。
請求項17記載のプリント基板は、請求項7から16のいずれかに記載のプリント基板において、前記カーボン層部は、前記絶縁材部の内部に前記配線パターンが形成される場合にはその配線パターンの近傍を除き、前記絶縁材部の内部または表面のほぼ全域にわたる範囲に積層状に配設されている。
請求項18記載のプリント基板は、請求項7から17のいずれかに記載のプリント基板において、前記絶縁材部の介在によって互いに絶縁されて配置された前記配線パターン層を電気的に接続する導電用孔を備え、前記絶縁材部の内部に積層状に配設されるカーボン層部は、前記圧延加工によって得られたシート状のカーボン層部の両面に、前記電気絶縁性材料から形成される被覆層を圧着によって予め被覆した上で、前記導電用孔に対応する位置に、その導電用孔の外周より大きい外周の孔を穿設した後、前記孔の穿設されたカーボン層部を前記電気絶縁性材料の間に介在させて圧着することによって得られる。
請求項19記載のプリント基板は、請求項7から18のいずれかに記載のプリント基板において、前記カーボン層部は、熱伝導性材料から編成された網状体の空隙にカーボンを主体とする材料を充填したものである。
請求項1記載のプリント基板の製造方法によれば、絶縁材部を介することにより導電パターン層と離間されて積層状に配設されるカーボン含有部材を備えたプリント基板を製造する場合に、プリント基板用積層板形成工程に先立って、絶縁材部を形成する電気絶縁性材料を板状のカーボン含有部材の両面に圧着することにより、絶縁材部を形成する電気絶縁性材料により予め両面が被覆された板状のカーボン含有部材である被覆カーボン含有部材が使用される。プリント基板用積層板形成工程により、この被覆カーボン含有部材と配線パターン層又は配線パターンを形成するための導体層とが、絶縁材部を形成する電気絶縁性材料を介して圧着され、それによって、プリント基板用積層板が形成される。
よって、被覆カーボン含有部材、即ち、電気絶縁性材料によって予め被覆されているカーボン含有部材(被覆カーボン含有部材)を使用するので、プリント基板用積層板形成工程の際に、カーボン片がカーボン含有部材から脱落することを防止できるという効果がある。その結果として、製造されたプリント基板における配線不良の発生率を低減できるという効果がある。
また、プリント基板用積層板形成工程に先立って、被覆カーボン含有部材穿孔工程において、被覆カーボン含有部材形成工程により得られた被覆カーボン含有部材に対し、絶縁材部の介在によって互いに絶縁されて配置されている配線パターン層を電気的に接続するための導電用孔に対応する位置に、その導電用孔の外周より大きい外周の孔が穿設される。よって、各配線パターン層を電気的に接続する導電用孔と、カーボン含有部材との接触が回避されるので、プリント基板において電気的接続に無関係であるカーボン含有部材への電流の流出を防止できるという効果がある。
また、プリント基板用積層板形成工程に先立って、被覆カーボン含有部材穿孔工程において、被覆カーボン含有部材形成工程により得られた被覆カーボン含有部材に対し、絶縁材部の介在によって互いに絶縁されて配置されている配線パターン層を電気的に接続するための導電用孔に対応する位置に、その導電用孔の外周より大きい外周の孔が穿設される。よって、各配線パターン層を電気的に接続する導電用孔と、カーボン含有部材との接触が回避されるので、プリント基板において電気的接続に無関係であるカーボン含有部材への電流の流出を防止できるという効果がある。
なお、請求項1における「絶縁材部を形成する電気絶縁性材料」とは、1種類だけでなく、2種類以上である場合も含むものとする。即ち、請求項1のプリント基板の製造方法において、被覆カーボン含有部材においてカーボン含有部材を被覆する電気絶縁性材料と、プリント基板用積層板形成工程において被覆カーボン含有部材と配線パターン層又は配線パターンを形成するための導体層との間に介在させる電気絶縁性材料とが、同じ電気絶縁性材料である場合も、異なる電気絶縁性材料である場合もいずれも含む。
請求項2記載のプリント基板の製造方法によれば、請求項1記載のプリント基板の製造方法の奏する効果に加えて、被覆カーボン含有部材形成工程により形成される被覆カーボン含有部材は、まず、積層工程により、板状のカーボン含有部材の両面に電気絶縁性材料が積層されると共に、その電気絶縁性材料の外側にエッチング除去可能な金属から構成される金属板が積層され、これらが圧着工程により圧着されて積層体が形成される。形成された積層体は、金属板除去工程によりエッチングされて金属板が除去されて、被覆カーボン含有部材とされる。よって、エッチングにより除去可能な金属板を用いることによって、被覆カーボン含有部材を容易に作製することができるという効果がある。
請求項3記載のプリント基板の製造方法によれば、請求項1又は2記載のプリント基板の製造方法の奏する効果に加えて、外層配線パターン形成工程により、プリント基板用積層板形成工程により形成されたプリント基板用積層板における絶縁材部の表面に設けられた導体層は、その導体層から配線パターンが形成されて配線パターン層とされる。次いで、ソルダレジスト膜形成工程により、配線パターンの上にソルダレジスト膜が形成されると、プリント基板が得られる。このプリント基板は内層にカーボン含有部材を有するものであるので、放熱性に優れたプリント基板を得ることができるという効果がある。
請求項4記載のプリント基板の製造方法によれば、請求項3記載のプリント基板の製造方法の奏する効果に加えて、プリント基板が、絶縁材部の介在によって互いに絶縁されて配置された配線パターン層を電気的に接続するための導電用孔を備えている場合には、導電用孔穿孔工程により、プリント基板用積層板形成工程により形成されたプリント基板用積層板に導電用孔が穿設される。次いで、通電用孔めっき工程において、めっきが施されることにより、絶縁材部の介在によって互いに絶縁されて配置された配線パターン層が電気的に接続される。よって、カーボン含有部材を内層に有することにより放熱性に優れた多層プリント基板を得ることができるという効果がある。
請求項5記載のプリント基板の製造方法によれば、請求項3又は4記載のプリント基板の製造方法の奏する効果に加えて、プリント基板が、絶縁材部の表面に設けられ、その上に1又は複数の電子部品が実装される配線パターン層と、カーボン含有部材とを連結するための放熱用孔を備えている場合には、放熱用孔穿孔工程において、プリント基板用積層板形成工程により形成されたプリント基板用積層板に放熱用孔が穿設される。次いで、放熱性材料充填工程において、放熱用孔穿孔工程により穿設された放熱用孔に放熱性材料が充填される。よって、この製造方法により製造されたプリント基板は、電子部品を熱源として発生される熱をカーボン含有部材に効率的に伝達できる。即ち、電子部品から発せられる熱を高効率で放熱し、電子部品の冷却を高効率に行い得るプリント基板を得ることができるという効果がある。
請求項6記載のプリント基板の製造方法によれば、請求項1から5のいずれかに記載のプリント基板の製造方法の奏する効果に加えて、板状のカーボン含有部材は、熱伝導性材料から編成された網状体の空隙にカーボンを主体とする材料を充填したものであるので、網状体によって、カーボン間の結合の弱さが補強される。よって、プリント基板用積層板形成工程の際に、カーボン含有部材からカーボン片が脱落することを効果的に防止できるという効果がある。その結果として、製造されたプリント基板における配線不良の発生率を低減できるという効果がある。
請求項7記載のプリント基板によれば、絶縁材部の少なくとも内部には、カーボンを主体に構成され熱伝導性に優れるカーボン層部が積層状に配設されているので、通電により電子部品から発熱した熱は、カーボン層部へ伝えられ、そのカーボン層部を拡散した後、外部へ放熱される。その結果、電子部品が冷却される。よって、電子部品が通電により発熱した場合には、カーボン層部への熱伝導およびカーボン層部での熱拡散によって、電子部品の放熱を確実に行うことができ、かかる電子部品の冷却を高効率に行うことができるという効果がある。
また、絶縁材部の内部に積層状に配設されるカーボン層部は、圧延加工によって得られたシート状のカーボン層部の両面に、電気絶縁性材料から形成される被覆層を予め被覆した後、その被覆層によって被覆されたカーボン層部を電気絶縁性材料の間に介在させて圧着することによって得られる。よって、一般的に縁端部からカーボン片が脱落され易いとされるカーボン層部の両面に予め被覆層を設けることにより、プリント基板の製造時におけるカーボン層部の縁端部からのカーボン片の脱落が防止されるので、その結果として、カーボン片の脱落に起因する配線不良の発生率が低いという効果がある。
請求項8記載のプリント基板によれば、請求項7記載のプリント基板の奏する効果に加えて、カーボン層部へ接続される受熱孔部を備えると共に、その受熱孔部には熱伝導性に優れる金属ペースト又はカーボンペーストが充填されているので、通電により電子部品から発熱した熱は、主に、受熱孔部内に充填された金属ペースト又はカーボンペーストを介してカーボン層部へ伝えられる。よって、その金属ペースト又はカーボンペーストを介して、電子部品から発熱した熱をカーボン層部へ確実かつ高効率に伝えられるという効果があり、その結果、電子部品の冷却を高効率に行うことができる。
更に、受熱孔部の開口部は、電子部品の裏面側に臨むように構成されているので、その電子部品からの熱を受熱孔部(金属ペースト又はカーボンペースト)で受熱して、電子部品からカーボン層部への熱伝導を確実かつ高効率に行うことができ、その分、電子部品の冷却効率のより一層の向上を図ることができるという効果がある。
請求項9記載のプリント基板によれば、請求項7又は8記載のプリント基板の奏する効果に加えて、カーボン層部へ接続される放熱孔部を備えると共に、その放熱孔部には熱伝導性に優れる金属ペースト又はカーボンペーストが充填されているので、電子部品からカーボン層部へ伝えられた熱の少なくとも一部は、放熱孔部内に充填された金属ペースト又はカーボンペーストを介して外部に放熱される。よって、電子部品からカーボン層部へ伝えられた熱を、放熱孔部の金属ペースト又はカーボンペーストを介して、カーボン層部から外部へ確実かつ高効率に放熱することができるという効果があり、その結果、電子部品の冷却を高効率に行うことができる。
更に、放熱孔部の開口部は、電子部品の実装面と反対側の表面に配設されるか又は電子部品の実装面と同じ側の表面であって上面視において電子部品と重ならない位置に配設されているので、かかる放熱孔部の開口部が電子部品の裏面側に臨まないように構成することができ、その結果、放熱孔部(金属ペースト又はカーボンペースト)からの放熱により電子部品が発熱することを抑制して、電子部品の冷却効率のより一層の向上を図ることができるという効果がある。
請求項10記載のプリント基板によれば、請求項9記載のプリント基板の奏する効果に加えて、受熱孔部と放熱孔部とは、互いに連通された一本の貫通孔として構成されているので、これら両孔部を例えばドリルによる一度の加工で同時に形成することができる。よって、それぞれの孔部を別々に加工する必要がなく、加工工程が簡素化されるので、その分、加工コストを低減することができるという効果がある。
請求項11記載のプリント基板によれば、請求項8から10のいずれかに記載のプリント基板の奏する効果に加えて、受熱孔部に充填された金属ペースト又はカーボンペーストの頂部が絶縁材部の表面から盛り上げられており、かかる金属ペースト又はカーボンペーストと電子部品の裏面側との間隙が小さくされている。よって、電子部品から受熱孔部(金属ペースト又はカーボンペースト)への熱伝導を確実かつ高効率に行うことができ、その分、電子部品の冷却効率のより一層の向上を図ることができるという効果がある。
請求項12記載のプリント基板によれば、請求項8から10のいずれかに記載のプリント基板の奏する効果に加えて、受熱孔部に充填された金属ペースト又はカーボンペーストは、その頂部が配線パターンと略同等の高さ又は若干高くなるように絶縁材部の表面から盛り上げられており、電子部品の裏面側に直接または間接的に接触可能とされている。よって、電子部品から受熱孔部(金属ペースト又はカーボンペースト)への熱伝導を確実かつ高効率に行うことができ、その分、電子部品の冷却効率のより一層の向上を図ることができるという効果がある。
請求項13記載のプリント基板によれば、請求項8から12のいずれかに記載のプリント基板の奏する効果に加えて、絶縁材部の表面には、電子部品の裏面側に臨むと共に、複数の金属ペースト又はカーボンペーストに接続される受熱パターンが形成されており、その受熱パターンは、上面視において複数の各金属ペースト又はカーボンペーストを含む範囲にわたって略面状に形成されている。そのため、電子部品から受熱孔部(カーボンペースト)への熱伝導は、受熱パターンを介して行われる。よって、その受熱パターンの面積分だけ電子部品からの受熱面積を広くすることができるので、電子部品から金属ペースト又はカーボンペーストへの熱伝導をより確実かつ高効率に行うことができるという効果があり、その結果、電子部品の冷却効率のより一層の向上を図ることができるという効果がある。
請求項14記載のプリント基板によれば、請求項9から13のいずれかに記載のプリント基板の奏する効果に加えて、絶縁材部の内部に積層状に配設されたカーボン層部は、少なくともその一部が絶縁材部の周端縁から露出して構成されているので、電子部品からカーボン層部へ伝えられた熱の少なくとも一部は、絶縁板部の周端縁から露出したカーボン層部の露出部を介して外部に放熱される。よって、電子部品からカーボン層部へ伝えられた熱を、絶縁材部の周端縁から露出するカーボン層部の露出部を介して、外部へ確実かつ高効率に放熱することができるという効果があり、その結果、電子部品の冷却を高効率に行うことができる。
請求項15記載のプリント基板によれば、請求項7から14のいずれかに記載のプリント基板の奏する効果に加えて、グランドに接続されるグランドパターンを備えると共に、そのグランドパターンとカーボン層部とが互いに電気的に接続されているので、グランドの面積を大きくして、グランドの電位を安定させることができるという効果があり、その結果、ノイズによる影響を抑制して、電子部品の動作を安定させることができるという効果がある。
請求項16記載のプリント基板によれば、請求項15記載のプリント基板の奏する効果に加えて、放熱孔部に充填された金属ペースト又はカーボンペーストによって、カーボン層部から外部へ確実かつ高効率に放熱することができるだけでなく、この金属ペースト又はカーボンペーストがグランドパターンとカーボン層部との電気的な接続経路を兼ねているので、グランドパターンとカーボン層部とを電気的に接続するための接続経路を別途設ける必要がなく、その分、加工コストや材料コストなどを抑制することができるという効果がある。
また、カーボン層部が電気的に孤立した状態におかれるとコンデンサとして作用して電子部品に悪影響を及ぼすおそれがあり、特に、カーボン層部の面積を大きくした場合には、この問題が顕著となる。そこで、上述のように、カーボン層部をグランドパターン(グランド)に接続することにより、カーボン層部がコンデンサとして作用することを回避して、電子部品へ影響を及ぼすことを抑制することができるという効果がある。
請求項17記載のプリント基板によれば、請求項7から16のいずれかに記載のプリント基板の奏する効果に加えて、絶縁材部には、カーボンを主体として構成されるカーボン層部がその絶縁材部の内部または表面のほぼ全域にわたる範囲に積層状に配設されているので、かかるカーボン層部によっていわゆるシールド効果を得ることができ、電子部品から発生する電磁波が外部へ放出されたり、或いは、外来のノイズにより電子部品が影響を受けたりすることを抑制することができるという効果がある。
請求項18記載のプリント基板によれば、請求項7から17のいずれかに記載のプリント基板の奏する効果に加えて、絶縁材部の内部に積層状に配設されるカーボン層部は、圧延加工によって得られたシート状のカーボン層部の両面に、電気絶縁性材料から形成される被覆層を予め被覆した上で、該絶縁材部の介在によって互いに絶縁されて配置された前記配線パターン層を電気的に接続する導電用孔に対応する位置に、その導電用孔の外周より大きい外周の孔を穿設した後、該孔の穿設されたカーボン層部を電気絶縁性材料の間に介在させて圧着することによって得られる。よって、一般的に縁端部からカーボン片が脱落され易いとされるカーボン層部の両面に予め被覆層が設けられているので、穿設された導電用孔からのカーボン片の脱落が防止される。その結果として、カーボン片の脱落に起因する配線不良の発生率が低いという効果がある。
請求項19記載のプリント基板によれば、請求項7から18のいずれかに記載のプリント基板の奏する効果に加えて、カーボン層部は、熱伝導性材料から編成された網状対の空隙にカーボンを主体とする材料を充填したものであるので、網状体によって、カーボン間の結合の弱さが補強される。よって、プリント基板の製造時におけるカーボン層部の縁端部からのカーボン片の脱落が防止されるので、その結果として、カーボン片の脱落に起因する配線不良の発生率が低いという効果がある。
請求項7記載のプリント基板によれば、絶縁材部の少なくとも内部には、カーボンを主体に構成され熱伝導性に優れるカーボン層部が積層状に配設されているので、通電により電子部品から発熱した熱は、カーボン層部へ伝えられ、そのカーボン層部を拡散した後、外部へ放熱される。その結果、電子部品が冷却される。よって、電子部品が通電により発熱した場合には、カーボン層部への熱伝導およびカーボン層部での熱拡散によって、電子部品の放熱を確実に行うことができ、かかる電子部品の冷却を高効率に行うことができるという効果がある。
また、絶縁材部の内部に積層状に配設されるカーボン層部は、圧延加工によって得られたシート状のカーボン層部の両面に、電気絶縁性材料から形成される被覆層を予め被覆した後、その被覆層によって被覆されたカーボン層部を電気絶縁性材料の間に介在させて圧着することによって得られる。よって、一般的に縁端部からカーボン片が脱落され易いとされるカーボン層部の両面に予め被覆層を設けることにより、プリント基板の製造時におけるカーボン層部の縁端部からのカーボン片の脱落が防止されるので、その結果として、カーボン片の脱落に起因する配線不良の発生率が低いという効果がある。
請求項8記載のプリント基板によれば、請求項7記載のプリント基板の奏する効果に加えて、カーボン層部へ接続される受熱孔部を備えると共に、その受熱孔部には熱伝導性に優れる金属ペースト又はカーボンペーストが充填されているので、通電により電子部品から発熱した熱は、主に、受熱孔部内に充填された金属ペースト又はカーボンペーストを介してカーボン層部へ伝えられる。よって、その金属ペースト又はカーボンペーストを介して、電子部品から発熱した熱をカーボン層部へ確実かつ高効率に伝えられるという効果があり、その結果、電子部品の冷却を高効率に行うことができる。
更に、受熱孔部の開口部は、電子部品の裏面側に臨むように構成されているので、その電子部品からの熱を受熱孔部(金属ペースト又はカーボンペースト)で受熱して、電子部品からカーボン層部への熱伝導を確実かつ高効率に行うことができ、その分、電子部品の冷却効率のより一層の向上を図ることができるという効果がある。
請求項9記載のプリント基板によれば、請求項7又は8記載のプリント基板の奏する効果に加えて、カーボン層部へ接続される放熱孔部を備えると共に、その放熱孔部には熱伝導性に優れる金属ペースト又はカーボンペーストが充填されているので、電子部品からカーボン層部へ伝えられた熱の少なくとも一部は、放熱孔部内に充填された金属ペースト又はカーボンペーストを介して外部に放熱される。よって、電子部品からカーボン層部へ伝えられた熱を、放熱孔部の金属ペースト又はカーボンペーストを介して、カーボン層部から外部へ確実かつ高効率に放熱することができるという効果があり、その結果、電子部品の冷却を高効率に行うことができる。
更に、放熱孔部の開口部は、電子部品の実装面と反対側の表面に配設されるか又は電子部品の実装面と同じ側の表面であって上面視において電子部品と重ならない位置に配設されているので、かかる放熱孔部の開口部が電子部品の裏面側に臨まないように構成することができ、その結果、放熱孔部(金属ペースト又はカーボンペースト)からの放熱により電子部品が発熱することを抑制して、電子部品の冷却効率のより一層の向上を図ることができるという効果がある。
請求項10記載のプリント基板によれば、請求項9記載のプリント基板の奏する効果に加えて、受熱孔部と放熱孔部とは、互いに連通された一本の貫通孔として構成されているので、これら両孔部を例えばドリルによる一度の加工で同時に形成することができる。よって、それぞれの孔部を別々に加工する必要がなく、加工工程が簡素化されるので、その分、加工コストを低減することができるという効果がある。
請求項11記載のプリント基板によれば、請求項8から10のいずれかに記載のプリント基板の奏する効果に加えて、受熱孔部に充填された金属ペースト又はカーボンペーストの頂部が絶縁材部の表面から盛り上げられており、かかる金属ペースト又はカーボンペーストと電子部品の裏面側との間隙が小さくされている。よって、電子部品から受熱孔部(金属ペースト又はカーボンペースト)への熱伝導を確実かつ高効率に行うことができ、その分、電子部品の冷却効率のより一層の向上を図ることができるという効果がある。
請求項12記載のプリント基板によれば、請求項8から10のいずれかに記載のプリント基板の奏する効果に加えて、受熱孔部に充填された金属ペースト又はカーボンペーストは、その頂部が配線パターンと略同等の高さ又は若干高くなるように絶縁材部の表面から盛り上げられており、電子部品の裏面側に直接または間接的に接触可能とされている。よって、電子部品から受熱孔部(金属ペースト又はカーボンペースト)への熱伝導を確実かつ高効率に行うことができ、その分、電子部品の冷却効率のより一層の向上を図ることができるという効果がある。
請求項13記載のプリント基板によれば、請求項8から12のいずれかに記載のプリント基板の奏する効果に加えて、絶縁材部の表面には、電子部品の裏面側に臨むと共に、複数の金属ペースト又はカーボンペーストに接続される受熱パターンが形成されており、その受熱パターンは、上面視において複数の各金属ペースト又はカーボンペーストを含む範囲にわたって略面状に形成されている。そのため、電子部品から受熱孔部(カーボンペースト)への熱伝導は、受熱パターンを介して行われる。よって、その受熱パターンの面積分だけ電子部品からの受熱面積を広くすることができるので、電子部品から金属ペースト又はカーボンペーストへの熱伝導をより確実かつ高効率に行うことができるという効果があり、その結果、電子部品の冷却効率のより一層の向上を図ることができるという効果がある。
請求項14記載のプリント基板によれば、請求項9から13のいずれかに記載のプリント基板の奏する効果に加えて、絶縁材部の内部に積層状に配設されたカーボン層部は、少なくともその一部が絶縁材部の周端縁から露出して構成されているので、電子部品からカーボン層部へ伝えられた熱の少なくとも一部は、絶縁板部の周端縁から露出したカーボン層部の露出部を介して外部に放熱される。よって、電子部品からカーボン層部へ伝えられた熱を、絶縁材部の周端縁から露出するカーボン層部の露出部を介して、外部へ確実かつ高効率に放熱することができるという効果があり、その結果、電子部品の冷却を高効率に行うことができる。
請求項15記載のプリント基板によれば、請求項7から14のいずれかに記載のプリント基板の奏する効果に加えて、グランドに接続されるグランドパターンを備えると共に、そのグランドパターンとカーボン層部とが互いに電気的に接続されているので、グランドの面積を大きくして、グランドの電位を安定させることができるという効果があり、その結果、ノイズによる影響を抑制して、電子部品の動作を安定させることができるという効果がある。
請求項16記載のプリント基板によれば、請求項15記載のプリント基板の奏する効果に加えて、放熱孔部に充填された金属ペースト又はカーボンペーストによって、カーボン層部から外部へ確実かつ高効率に放熱することができるだけでなく、この金属ペースト又はカーボンペーストがグランドパターンとカーボン層部との電気的な接続経路を兼ねているので、グランドパターンとカーボン層部とを電気的に接続するための接続経路を別途設ける必要がなく、その分、加工コストや材料コストなどを抑制することができるという効果がある。
また、カーボン層部が電気的に孤立した状態におかれるとコンデンサとして作用して電子部品に悪影響を及ぼすおそれがあり、特に、カーボン層部の面積を大きくした場合には、この問題が顕著となる。そこで、上述のように、カーボン層部をグランドパターン(グランド)に接続することにより、カーボン層部がコンデンサとして作用することを回避して、電子部品へ影響を及ぼすことを抑制することができるという効果がある。
請求項17記載のプリント基板によれば、請求項7から16のいずれかに記載のプリント基板の奏する効果に加えて、絶縁材部には、カーボンを主体として構成されるカーボン層部がその絶縁材部の内部または表面のほぼ全域にわたる範囲に積層状に配設されているので、かかるカーボン層部によっていわゆるシールド効果を得ることができ、電子部品から発生する電磁波が外部へ放出されたり、或いは、外来のノイズにより電子部品が影響を受けたりすることを抑制することができるという効果がある。
請求項18記載のプリント基板によれば、請求項7から17のいずれかに記載のプリント基板の奏する効果に加えて、絶縁材部の内部に積層状に配設されるカーボン層部は、圧延加工によって得られたシート状のカーボン層部の両面に、電気絶縁性材料から形成される被覆層を予め被覆した上で、該絶縁材部の介在によって互いに絶縁されて配置された前記配線パターン層を電気的に接続する導電用孔に対応する位置に、その導電用孔の外周より大きい外周の孔を穿設した後、該孔の穿設されたカーボン層部を電気絶縁性材料の間に介在させて圧着することによって得られる。よって、一般的に縁端部からカーボン片が脱落され易いとされるカーボン層部の両面に予め被覆層が設けられているので、穿設された導電用孔からのカーボン片の脱落が防止される。その結果として、カーボン片の脱落に起因する配線不良の発生率が低いという効果がある。
請求項19記載のプリント基板によれば、請求項7から18のいずれかに記載のプリント基板の奏する効果に加えて、カーボン層部は、熱伝導性材料から編成された網状対の空隙にカーボンを主体とする材料を充填したものであるので、網状体によって、カーボン間の結合の弱さが補強される。よって、プリント基板の製造時におけるカーボン層部の縁端部からのカーボン片の脱落が防止されるので、その結果として、カーボン片の脱落に起因する配線不良の発生率が低いという効果がある。
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施例におけるプリント基板1の上面図であり、図2は、図1のII−II線におけるプリント基板1の側断面の一部(表面部分)を示す図である。なお、図1及び図2では、プリント基板1の一部が省略して図示されている。また、図1では、電子部品2の図示が省略されると共に、その電子部品2の仮想的な外形が2点鎖線を用いて図示されている。
プリント基板1は、例えば、エンジンコントロールユニット(ECU)などの電子機器を構成する基板であり、その上面側(図1紙面手前側、図2上側)に実装される複数の電子部品2と、それら各電子部品2を電気的に接続する導電パターン3と、その導電パターン3が少なくとも一方の表面(絶縁板4における図2上側に相当する面)に形成される絶縁板4と、その絶縁板4の内層に積層状に配設されるカーボンシート5とを主に備えている。
なお、電子部品2としては、例えば、抵抗器やコンデンサ、トランジスタ、ICなどが例示されるが、これらに特に限定されるものではなく、広くプリント基板に実装される他の電子部品も含まれる。
導電パターン3は、絶縁板4の少なくとも一方の表面(絶縁板4における図2上側に相当する面)に、電子部品2の間を電気的に接続する電気配線回路(特許請求の範囲における「配線パターン」に相当する)として形成されており、銅箔層3aとその銅箔層3aの上面に積層されるめっき層3bとから構成されるものである。導電パターン3(銅箔層3a及びめっき層3b)の表面には、導電パターン3が短絡されることを防止するために、レジスト層12が被覆されている。
なお、導電パターン3は、絶縁板4における他方の表面(絶縁板4における図2上側の面とは反対側の面(非図示))及び/又は絶縁板4の内層に設けられていてもよく、多層の導電パターン3が設けられている場合には、各層の導電パターン3における電気的接続をすべき位置にスルーホールTHが設けられ、このスルーホールTHの表面に設けられためっき層11を介して、各層の導電パターン3が接続される。
絶縁板4は、電気絶縁性を有する略平板状体であり、その四隅部に穿設されたねじ穴4aを利用して電子機器の筺体(非図示)に螺合固定されるものである。この絶縁板4は、紙、ガラスクロス(織布又は不織布)などに含浸させた電気絶縁性樹脂(本実施例ではエポキシ樹脂)を硬化させたものである。なお、後述する被覆カーボンシートAの表層を構成する被覆層15もまた、絶縁板4の一部として構成される。
この絶縁板4には、図1及び図2に示すように、断面略円形の受熱孔部6及び放熱孔部7が板厚方向(図2上下方向)に複数穿設されており、これら受熱孔部6及び放熱孔部7の端部は、後述するカーボンシート5に接続されている。受熱孔部6は、電子部品2が通電により発熱した場合に、その熱を後述するカーボンシート5へ伝えるための部材であり、放熱孔部7は、カーボンシート5の熱を外部へ放熱するための部材である。
なお、図2では、受熱孔部6と放熱孔部7とが、互いに連通されて、後述するカーボンシート5を貫通しつつ延びる一本の貫通孔として構成されたものを図示しているが、受熱孔部6及び放熱孔部7が、後述するカーボンシート5までの深さの孔部としてそれぞれ異なる位置に独立に凹設されていてもよい。
受熱孔部6の内部には、カーボンを主体として構成され熱伝導性に優れるカーボンペースト8が充填されているので、通電により電子部品2が発熱した場合には、このカーボンペースト8を介して、電子部品2の熱を後述するカーボンシート5へ確実かつ高効率に伝達できる。更に、受熱孔部6の開口部(図1紙面手前側、図2上側)は、図1及び図2に示すように、電子部品2の裏面(図2上側の面と反対側の面(非図示))側に臨む位置に配設されているので、電子部品2の熱を確実かつ高効率にカーボンシート5へ伝えることができる。
同様に、放熱孔部7の内部にもカーボンペースト8が充填されているので、電子部品2からカーボンシート5へ伝えられた熱を、このカーボンペースト8を介して、外部へ確実かつ高効率に放熱することができる。更に、放熱孔部7の開口部(図1紙面奥側、図2上側の面と反対側の面(非図示))は、電子部品2の裏面側に臨まないように配設されているので、その放熱孔部7(カーボンペースト8)から放熱された熱により電子部品2が影響を受ける(発熱する)ことを抑制することができる。
ここで、受熱孔部6に充填されたカーボンペースト8は、図2に示すように、その頂部(図2上側)が絶縁板4の表層から盛り上げられており、その分、カーボンペースト8と電子部品2の裏面側(図2に示す電子部品2の下面側)との間隙が小さくされているので、電子部品2からカーボンペースト8への熱伝導を確実かつ高効率に行うことができ、電子部品2の冷却効率のより一層の向上を図ることができる。
また、受熱孔部6の開口部近傍、即ち、電子部品2の裏面に対応する範囲には、図1及び図2に示すように、受熱パターン9が形成されている。受熱パターン9は、電子部品2からの熱を受熱して、受熱孔部6のカーボンペースト8へ伝えるためのものであり、図1に示すように、上面視において各受熱孔部6に充填された複数のカーボンペースト8を含む広い範囲にわたって面状に形成されている。各カーボンペースト8は、この受熱パターン9により互いに接続されている。
よって、この受熱パターン9の面積分だけ電子部品2に対する受熱面積を拡大することができ、また、その受熱パターン9で受熱された熱は、その受熱パターン9内で拡散され、各カーボンペースト8へ伝えられるので、電子部品2から各カーボンペースト8への熱伝導をより確実かつ高効率に行うことができ、その結果、電子部品2の冷却効率のより一層の向上を図ることができる。
更に、受熱パターン9は、上述した導電パターン3と同様に、銅箔層9a、めっき層およびレジスト層12から構成されているので、その形成を導電パターン3の形成と同じ工程で行うことができる。即ち、かかる受熱パターン9を形成するための工程を別途行う必要がないので、その分、製造コストの低減を図ることができる。
なお、受熱孔部6に充填されたカーボンペースト8の頂部を絶縁板4の表層から更に盛り上げて、電子部品2の裏面(図2における電子部品2の下側の面)に接触させても良い。これにより、電子部品2からカーボンペースト8への熱伝導をより確実かつ高効率に行うことができる。この場合、カーボンペースト8は、電子部品2の裏面に直接接触していても良く、或いは、受熱パターン9を介して間接的に接触していても良い。
ここで、カーボンペースト8は、メタノールにカーボン粉末およびバインダーとしてのフェノール樹脂を混合しペースト状にした後、各孔部6,7に充填して硬化させたものである。この場合、カーボン粉末は、20μm以下の粒径のものを用いることが好ましい。なお、フェノール樹脂およびメタノールに代えて、他の樹脂や溶剤を使用することは当然可能である。
カーボンシート5は、カーボンを主体として構成された熱伝導性に優れるシート状体であり、図1及び図2に示すように、絶縁板4の内層に積層状に配設されると共に、その絶縁板4のほぼ全面にわたる範囲に広がって配設されている。そのため、電子部品2が通電により発熱した場合には、その熱は、上述した受熱孔部6(カーボンペースト8)を介してカーボンシート5へ伝わり、そのカーボンシート5における熱拡散によって、プリント基板1の全域へ拡散される。
その結果、プリント基板1における熱の分布は、従来のプリント基板のように電子部品2近傍のみが極端に高温となることがなく、カーボンシート5による熱拡散によって電子部品2近傍の熱を四方へ移動させることにより、プリント基板1全体としてよりなだらかな熱の分布とすることができるので、その分、電子部品2近傍における熱のピーク(絶対値)を抑制することができる。
また、カーボンシート5は、その端部が絶縁板4の周端縁(図2右側)から露出して構成されているので、上述した放熱孔部7(カーボンペースト8)からだけでなく、かかる露出部からも熱を外部に高効率に放熱することができる。
その結果、電子部品2を適切に冷却することができるので、従来のプリント基板のように電子部品2を冷却するための放熱板を別途設けることを不要とすることができる。よって、その分、プリント基板上の限られたスペースにおける電子部品2の実装密度を高めることができ、電子機器全体としての小型化を図ることができると共に、部品点数を低減して、部品コストや組み立てコストを抑制することができる。
更に、カーボンシート5を絶縁板4の内層のほぼ全域にわたる広い範囲に積層状に配設することにより、いわゆるシールド効果を得ることができるので、電子部品2から発生する電磁波が外部へ放出されたり、或いは、外来のノイズにより電子部品2が影響を受けたりすることを抑制することができる。
ここで、プリント基板1には、グランドパターン10が形成されており、このグランドパターン10には、カーボンシート5が電気的に接続されている。よって、その分、グランドパターン10(グランド)の容量(面積)を拡大することができるので、グランドの電位を安定させることができ、その結果、ノイズによる影響を抑制して、電子部品2の動作を安定させることができる。なお、グランドパターン10は、ねじ穴4aに螺合されるねじを介してグランドに接続される。
また、カーボンシート5が電気的に孤立した状態となると、コンデンサとして作用してしまい、電子部品2に悪影響を及ぼすおそれがある。特に、上述のように、シールド効果を得るべくカーボンシート5の面積を大きくした場合には、その問題が顕著となる。そこで、かかるカーボンシート5をグランドパターン10(グランド)へ電気的に接続することにより、カーボンシート5がコンデンサとして作用することが回避して、電機部品2へ悪影響を及ぼすことを抑制することができる。
更に、このグランドパターン10とカーボンシート5との接続は、図1及び図2に示すように、放熱孔部7に充填されたカーボンペースト8によって行われる。即ち、このカーボンペースト8は、放熱用の熱伝導経路と電気的な接続経路とを兼ねているので、カーボンシート5の熱を外部へ確実かつ高効率に放熱することができるだけでなく、カーボンシート5とグランドパターン10とを電気的に接続するための接続経路を別途設ける必要がなく、その分、加工コストや材料コストなどを抑制することができる。
カーボンシート5は、カーボン単体により構成されるシートであり、例えば、天然黒鉛を酸処理後膨張させ圧延加工でシートにした膨張カーボンシートや樹脂シートを2000℃以上の高温で炭化処理したグラファイトシートなどを使用できる。
このカーボンシート5は、カーボン間の結合が弱いために、縁端部(外周縁部や開口部5aの縁端部)からカーボン片が脱落しやすい。そこで、後述するように、本実施例のプリント基板1を製造する場合には、カーボンシート5は、絶縁板4を構成する電気絶縁性樹脂を含有する材料(電気絶縁性材料)から形成される被覆層15を表面に被覆した被覆カーボンシートAの状態で他の材料と共に圧着される。カーボンシート5が被覆層15により被覆されているので、縁端部からのカーボン片の脱落を防止することができるので、脱落したカーボン片に起因してプリント基板1に生じる配線不良を防止することができる。
また、カーボンシート5には、図1及び図2に示すように、上面視略円形の開口部5aが開口形成されており、スルーホールTHの表面に設けられためっき層11との接触が回避されており、めっき層11を介して通電される電流が、カーボンシート5へ流出しないように構成されている。
次に、図3〜図5を参照して、上記の構成を有するプリント基板1の製造方法を説明する。なお、以下の説明では、プリント基板1を4層プリント基板として説明する。
図3は、プリント基板1の製造方法における各工程のフローチャートである。また、図4は、被覆カーボンシートAを形成する各工程を模式的に示す図であり、図5は、積層板を形成する各工程を模式的に示す図である。
図3に示すように、4層プリント基板であるプリント基板1の製造方法では、まず、被覆カーボンシート形成工程(S1)により、被覆カーボンシートAを形成する。この被覆カーボンシート形成工程(S1)では、まず、レイアップ工程を行う(S1a)。このレイアップ工程(S1a)は、カーボンシート5の両面に、それぞれ、エポキシ樹脂をガラスクロスに含浸させて半硬化状態とさせたプリプレグPと銅箔層Cuとを積層する工程である(図4(a)参照)。
レイアップ工程(S1a)の後、積層プレス工程を行う(S1b)。積層プレス工程(S1b)は、レイアップ工程(S1a)により積層されたカーボンシート5、プリプレグP、銅箔層Cuを、真空状態で加熱圧着する工程である。加熱圧着により、プリプレグPを硬化させて、カーボンシート5を被覆する被覆層15が形成される(図4(b)参照)。また、積層プレス工程(S1b)によりプリプレグPが硬化されると、レイアップ工程(S1a)により積層された各層が一体化されて一枚の板状体が形成される。
積層プレス工程(S1b)の後、銅箔層除去工程を行う(S1c)。銅箔層除去工程(S1c)は、積層プレス工程(S1b)により得られた板状体(図4(b)参照)から、銅箔層Cuをエッチングにより除去する工程であり、その結果として、カーボンシート5が被覆層15により被覆された被覆カーボンシートAが得られる(図4(c)参照)。
上記した通り、カーボンシート5はカーボン単体により構成されるために、カーボン間の結合が弱く、縁端部(外周縁部や開口部5aの縁端部)からカーボン片が脱落しやすい。しかし、被覆カーボンシートAは、カーボンシート5が被覆層15により被覆されているので、カーボンシート5の縁端部が補強されており、その結果として、カーボン片の脱落を防止することができる。
また、この被覆カーボンシート形成工程(S1)では、取り扱いが容易であり、エッチングにより容易に除去可能な銅箔層Cuを用いるので、被覆カーボンシートAを容易に作製することができる。
被覆カーボンシート形成工程(S1)(銅箔層除去工程(S1c))の後、孔開け工程を行う(S3)。この孔開け工程(S3)では、被覆カーボンシート形成工程(S1)により得られた被覆カーボンシートAに、プリント基板1に設けられるスルーホールTHの位置に応じて、そのスルーホールTHの外周より大きな外周の孔(開口部5a)を穿設する工程である(図4(d)参照)。
この孔開け工程(S3)により、被覆カーボンシートA(カーボンシート5)にスルーホールTHの外周より大きな外周を有する孔が穿設されることによって、めっき層11からカーボンシート5への電流の流出が防止されたプリント基板1を得ることができる。
また、本実施例におけるプリント基板1の製造方法では、図3に示すように、上記のような被覆カーボンシート形成工程(S1)により被覆カーボンシートAを形成する一方で、内層の導電パターンを両面に備える内層コア材I(図5参照)を形成する内層コア材形成工程を行う(S2)。
この内層コア材形成工程(S2)では、プリプレグPと同様のプリプレグを両側から銅箔で挟み、真空下で加熱圧着してプリプレグを硬化させて内層コア材用の銅張り基板を得、次いで、得られた内層コア材用の銅張り基板をエッチングして内層の導電パターンを形成することにより、内層コア材Iを形成する。
次に、孔開け工程(S3)により開口部5aが穿設された被覆カーボンシートAと、内層コア材形成工程(S2)により形成された内層コア材Iとを用い、積層板形成工程(S4)により、銅張り積層板(特許請求の範囲における「プリント基板用積層板」に相当する)を形成する。
この積層板形成工程(S4)では、まず、レイアップ工程を行う(S4a)。このレイアップ工程(S4a)では、孔開け工程(S3)により開口部5aが穿設された被覆カーボンシートAと、内層コア材形成工程により形成された内層コア材Iと、プリプレグPと、銅箔層3aとが、図5(a)に示す順序で積層される。
レイアップ工程(S4a)の後、積層プレス工程を行う(S4b)。この積層プレス工程(S4b)では、レイアップ工程(S4a)により積層された被覆カーボンシートA、内層コア材I、プリプレグP、銅箔層3aを、真空状態で加熱圧着する工程である。加熱圧着によりプリプレグPが硬化され、それによって、積層された各層が一体化されて一枚の銅張り積層板が形成される(図5(b)参照)。なお、積層プレス工程(S4b)において配置されたプリプレグPと、被覆カーボンシートAの被覆層15とから、絶縁板4が形成される。
積層板形成工程(S4)の後、孔開け工程が行われる(S5)。この孔開け工程(S5)では、積層板形成工程(S4)により形成された銅張り積層板の所定位置に、後述する外層回路形成工程(S8)により形成される外層の導電パターン3と内層コア材Iに設けられた導電パターンとを電気的に接続するためのスルーホールTH、並びに、受熱孔部6及び放熱孔部7が所定の位置に穿設される。
孔開け工程(S5)の後、カーボンペースト充填工程(S6)を行い、受熱孔部6及び放熱孔部7にカーボンペースト8を充填して硬化させる。これによって、受熱孔部6及び放熱孔部7とカーボンシート5とが、カーボンペースト8により連結される。このカーボンペースト充填工程(S6)により、受熱孔部6及び放熱孔部7がカーボンペースト8により連結されたことによって、電子部品2から発生される熱がカーボンシート5へ効率的に伝えられるので、放熱性に優れたプリント基板1を得ることができる。
次いで、めっき工程(S7)を行い、銅箔層3a及びスルーホールTHに、それぞれ、めっき層3b及びめっき層11を形成する。めっき工程(S6)の後、銅箔層3a及びめっき層3bをエッチングすることにより、外層の導電パターン3を形成する外層回路形成工程(S8)を行う。
外層回路形成工程(S8)の後、レジストインク塗布工程(S9)を行う。レジストインク塗布工程(S9)は、外層回路形成工程(S8)により形成された外層の導電パターン3上にレジストインクを塗布することにより、導電パターン3(銅箔層3a及びめっき層3b)の表面にレジスト層12を被覆する工程である。
このレジストインク塗布工程(S9)によりレジスト層12が導電パターン3上に被覆されると、4層プリント基板であるプリント基板1が得られる。このプリント基板1は、内層に配設されたカーボンシート5の存在により、優れた放熱性を有する。
次に、図6を参照して、第2実施例のプリント基板1について説明する。図6は、第2実施例のプリント基板に用いられるカーボンシート50を説明する図である。なお、前記した第1実施例と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
上記したように、第1実施例のプリント基板1では、カーボンシート5として、カーボン単体により構成されるシートを用いた。これに対し、第2実施例のプリント基板では、カーボンシート5に換えて、後述するカーボンシート50を用いる。
カーボンシート50は、図6に示すように、銅線50bをメリヤス編みによって編成した網状体(銅ニット)の空隙に、カーボン含有材料50aを充填して圧延加工して得られたものである。
このカーボンシート50は、カーボン間の結合の弱さが銅線50bによって補強されているために、カーボン単体から構成されるカーボンシート5に比べてカーボン片の脱落をより効果的に防止できる。よって、そのようなカーボンシート50を用いることにより、カーボンシート50の表面に被覆層15を被覆して得られた被覆カーボンシートからのカーボン片の脱落はより効果的に抑制されることになる。
その結果、積層板形成工程(S4)において、カーボンシート50からカーボン片が脱落することがより効果的に防止されるので、配線不良を有するプリント基板1の発生をより効果的に防止することができる。
なお、請求項1記載のプリント基板用積層板形成工程としては、図3のフローチャートにおける積層板形成工程(S4)が該当する。また、請求項1記載の被覆カーボン含有部材形成工程としては、図3のフローチャートにおける被覆カーボンシート形成工程(S1)が該当する。
また、請求項2記載の積層工程としては、図3のフローチャートにおけるレイアップ工程(S1a)が該当し、請求項2記載の圧着工程としては、図3のフローチャートにおける積層プレス工程(S1b)が該当し、請求項2記載の金属板除去工程としては、図3のフローチャートにおける銅箔層除去工程(S1c)が該当する。
また、請求項1記載の被覆カーボン含有部材穿孔工程としては、図3のフローチャートにおける孔開け工程(S3)が該当する。また、請求項3記載の外層配線パターン形成工程としては、図3のフローチャートにおける外層回路形成工程(S8)が該当し、請求項3記載のソルダレジスト膜形成工程としては、図3のフローチャートにおけるレジストインク塗布工程(S9)が該当する。
また、請求項4記載の導電用孔穿孔工程としては、図3のフローチャートにおける孔開け工程(S5)が該当し、請求項4記載のめっき工程としては、図3のフローチャートにおけるめっき工程(S7)が該当する。
また、請求項5記載の放熱用孔穿孔工程としては、図3のフローチャートにおける孔開け工程(S5)が該当し、請求項5記載の放熱性材料充填工程としては、図3のフローチャートにおけるカーボンペースト充填工程(S6)が該当する。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定される物ではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施例では、プリプレグPに含まれる電気絶縁性樹脂としてエポキシ樹脂を用いたが、これは電気絶縁性樹脂がエポキシ樹脂に限定されることを意味するものではない。即ち、エポキシ樹脂に換えて、フェノール樹脂や変形ポリイミドやポリイミドなどの電気絶縁性樹脂を使用してプリプレグPを構成することは当然可能である。
また、上記実施例は、被覆カーボンシート形成工程(S1)及び積層板形成工程(S3)においても、エポキシ樹脂を含むプリプレグPを使用したが、被覆層15を形成するためのプリプレグPに含まれる電気絶縁性樹脂と、積層板を形成するためのプリプレグPに含まれる電気絶縁性樹脂とが異なる樹脂であってもよい。
また、上記第1実施例では、カーボンシート5としてカーボン単体により構成されるシートを用いたが、必ずしもカーボン単体のみから構成されるシートに限定されるものではなく、他の材料を混合させて構成されたシートを用いることは当然推察可能である。即ち、カーボンシート5は、少なくともカーボンを含むものであればよい。
同様に、第2実施例で使用したカーボンシート50において、銅線50bから編成される網状体を充填するカーボン含有材料50aは、カーボン単体により構成されるものであってもよいし、カーボンと他の材料との混合物であってもよい。
また、上記第2実施例で使用したカーボンシート50では、銅線50bから編成された網状体にカーボン含有材料50aを充填するように構成したが、網状体を形成する部材は、銅線50bに限定されるものではなく、熱伝導性を有する材料であれば置換できることは当然推察可能である。例えば、銅線50bに換えて、銀線などの金属線を用いてもよい。また、網状体の網目の形状は、図2に示したようなメリヤス編み形状に限定されるものではなく、他の網目形状とすることは当然推測可能である。
また、上記各実施例のプリント基板1では、いずれも受熱孔部6及び放熱孔部7を備えて構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるわけではなく、これら受熱孔部6及び放熱孔部7のいずれか一方又は両方を省略して構成することは当然可能である。
更に、上記各実施例のプリント基板1では、受熱孔部6及び放熱孔部7にカーボンペースト8が充填される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるわけではなく、カーボンペースト8に代えて金属ペーストを充填することは当然可能である。なお、金属ペーストとしては、例えば、銅や銀などを用いたペーストが例示される。
ここで、1枚にプリント基板1に受熱孔部6又は放熱孔部7が複数ある場合には、それらすべての孔部6,7に同じ種類のペースト(金属ペースト又はカーボンペースト8)を充填する必要は必ずしもなく、1枚のプリント基板1に金属ペーストとカーボンペースト8との両ペーストを使用することは当然可能である。
また、第1実施例のプリント基板1では、カーボンシート5の端部の一部が絶縁板4の周端縁(図2右側)から露出して構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるわけではなく、カーボンシート5の端部全域が絶縁板4の周端縁から露出されないように構成することは当然可能である。これにより、例えば、絶縁板4の周端縁に端面端子(導電パターン)を形成する場合に、カーボンシート5との接触(導通)を考慮する必要がなくなり、好適である。
また、第1実施例のプリント基板1では、絶縁板4の電子部品2が実装される側と反対側の面(図2上側とは反対側に表面(非図示))に放熱孔部7を設ける場合を説明したが、かかる実装面と反対側の表層に放熱孔部7を設けないようにしても良い。即ち、放熱孔部7を設けないか、或いは、放熱孔部7を電子部品2が実装される側と同じ側の表層(図2上側)のみに設けるのである。これにより、かかる実装面と反対側の表面(図2上側とは反対側の表面(非図示))が筺体などにより囲まれている場合には、放熱孔部7から放熱された熱が筺体との対向面間にこもってしまうことを防止することができる。
また、上記実施例では、プリント基板1の製造方法として、4層プリント基板の製造方法を例示したが、これに限定されるものではなく、片面基板,両面基板,4層以外の多層基板の製造方法に適用可能であることは当然推測可能である。
また、上記各実施例のプリント基板1では、カーボンシート5又はカーボンシート50が、各層の導電パターン(表層の導電パターン3(銅箔3a)及び内層コア材Iの導電パターン)の間に絶縁板4を介して一層ずつ配設される場合(図2又は図5(b)参照)について説明したが、カーボンシート5又はカーボンシート50の配設位置はこれに限定されるものではなく、カーボンシート5又はカーボンシート50が、導電パターン(表層の導電パターン3(銅箔3a)及び内層コア材Iの導電パターン)から絶縁板4を介して離間された位置に少なくとも一層配設されていればよい。
例えば、図5(b)に示した4層プリント基板用の銅張り積層板において、2層設けられたカーボンシート5(被覆カーボンシートA)のうち、一方のカーボンシート5(被覆カーボンシートA)を非設置とする構成であってもよい。また、片面基板において、カーボンシート5又はカーボンシート50を、導電パターンが設けられていない側の表面に設けるような構成であってもよい。
また、上記各実施例のプリント基板1では、カーボンシート5又はカーボンシート50が、絶縁板4を介して各層の導電パターン(表層の導電パターン3(銅箔3a)及び内層コア材Iの導電パターン)の間に一層ずつ配設される場合(図2又は図5(b)参照)について説明したが、これに限定されるものではなく、各層の導電パターン(表層の導電パターン3(銅箔3a)及び内層コア材Iの導電パターン)の間に絶縁板4を介して二層以上のカーボンシート5,50が積層状に配設されていても良く、或いは、カーボンシート5,50が組み合わされて積層状に配設されていても良い。
1 プリント基板
2 電子部品
3 導電パターン(配線パターン層,配線パターン)
3a 銅箔層(配線パターン層,導体層,配線パターン)
3b めっき層(配線パターン層,配線パターン)
4 絶縁板(絶縁材部)
15 被覆層(絶縁材部)
4a ねじ穴
5,50 カーボンシート(カーボン含有部材,カーボン層)
5a 開口部(孔)
6 受熱孔部(放熱用孔,受熱孔部)
7 放熱孔部(放熱用孔,放熱孔部)
8 カーボンペースト(放熱性材料)
9 受熱パターン
9a 銅箔層
9b めっき層
10 グランドパターン
11 めっき層
12 レジスト層(ソルダレジスト膜)
50a カーボン含有材料(カーボンを主体とする材料)
50b 銅線(熱伝導性材料)
A 被覆カーボンシート(被覆カーボン含有部材)
I 内層コア材(配線パターン層)
P プリプレグ(電気絶縁性材料)
Cu 銅箔層(金属板)
TH スルーホール(導電用孔)
2 電子部品
3 導電パターン(配線パターン層,配線パターン)
3a 銅箔層(配線パターン層,導体層,配線パターン)
3b めっき層(配線パターン層,配線パターン)
4 絶縁板(絶縁材部)
15 被覆層(絶縁材部)
4a ねじ穴
5,50 カーボンシート(カーボン含有部材,カーボン層)
5a 開口部(孔)
6 受熱孔部(放熱用孔,受熱孔部)
7 放熱孔部(放熱用孔,放熱孔部)
8 カーボンペースト(放熱性材料)
9 受熱パターン
9a 銅箔層
9b めっき層
10 グランドパターン
11 めっき層
12 レジスト層(ソルダレジスト膜)
50a カーボン含有材料(カーボンを主体とする材料)
50b 銅線(熱伝導性材料)
A 被覆カーボンシート(被覆カーボン含有部材)
I 内層コア材(配線パターン層)
P プリプレグ(電気絶縁性材料)
Cu 銅箔層(金属板)
TH スルーホール(導電用孔)
Claims (19)
- 電気絶縁性材料から形成される板状の絶縁材部と、その絶縁材部の少なくとも一方の表面に配設される配線パターン層、又は、その絶縁材部の少なくとも一方の表面および内部に配設される配線パターン層と、前記絶縁材部の介在によって互いに絶縁されて配置された前記配線パターン層を電気的に接続するための導電用孔と、カーボンを主体として構成され、前記絶縁材部を介することにより前記配線パターン層と離間されて積層状に配設される少なくとも1層の板状のカーボン含有部材とを備えたプリント基板の製造方法において、
前記絶縁材部を形成する電気絶縁性材料を前記板状のカーボン含有部材の両面に圧着することにより、前記絶縁材部を形成する電気絶縁性材料が両面に被覆された被覆カーボン含有部材を形成する被覆カーボン含有部材形成工程と、
その被覆カーボン含有部材形成工程により得られた被覆カーボン含有部材に対し、前記導電用孔に対応する位置に、その導電用孔の外周より大きい外周の孔を穿設する被覆カーボン含有部材穿孔工程と、
その被覆カーボン含有部材穿孔工程により前記導電用孔の外周より大きい外周の孔が穿設された前記被覆カーボン含有部材と、前記配線パターン層又は配線パターンを形成するための導体層との間に、前記絶縁材部を形成する電気絶縁性材料を介在させて圧着してプリント基板用積層板を形成するプリント基板用積層板形成工程とを備えていることを特徴とするプリント基板の製造方法。 - 前記被覆カーボン含有部材形成工程は、
前記板状のカーボン含有部材の両面に、前記絶縁材部を形成する電気絶縁性材料を積層すると共に、その電気絶縁性材料の外側にエッチング除去可能な金属から構成される金属板を積層する積層工程と、
その積層工程により積層された前記カーボン含有部材と前記電気絶縁性材料と前記金属板とを圧着して積層体を得る圧着工程と、
その圧着工程による圧着により得られた積層板から、エッチングにより前記金属板を除去して前記被覆カーボン含有部材を得る金属板除去工程とを備えていることを特徴とする請求項1記載のプリント基板の製造方法。 - 前記プリント基板用積層板形成工程により形成されたプリント基板用積層板における前記絶縁材部の表面に設けられた前記導体層から配線パターンを形成し、配線パターン層とする外層配線パターン形成工程と、
その外層配線パターン形成工程により形成された配線パターン上にソルダレジスト膜を形成して前記プリント基板を得るソルダレジスト膜形成工程とを備えていることを特徴とする請求項1又は2記載のプリント基板の製造方法。 - 前記プリント基板は、前記絶縁材部の介在によって互いに絶縁されて配置された前記配線パターン層を電気的に接続するための導電用孔を備えており、
前記プリント基板用積層板形成工程により形成されたプリント基板用積層板に、前記導電用孔を穿設する導電用孔穿孔工程と、
その導電用孔穿孔工程により穿設された導電用孔に、前記絶縁材部の介在によって互いに絶縁された前記配線パターン層を電気的に接続するめっきを施す通電用孔めっき工程とを備えていることを特徴とする請求項3記載のプリント基板の製造方法。 - 前記プリント基板は、前記絶縁材部の表面に設けられ、その上に1又は複数の電子部品が実装される前記配線パターン層と、前記カーボン含有部材とを連結するための放熱用孔を備えており、
前記プリント基板用積層板形成工程により形成されたプリント基板用積層板に、前記放熱用孔を穿設する放熱用孔穿孔工程と、
その放熱用孔穿孔工程により穿設された放熱用孔に放熱性材料を充填する放熱性材料充填工程とを備えていることを特徴とする請求項3又は4記載のプリント基板の製造方法。 - 前記板状のカーボン含有部材は、熱伝導性材料から編成された網状体の空隙にカーボンを主体とする材料を充填したものであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のプリント基板の製造方法。
- 電気絶縁性材料から構成される絶縁材部と、その絶縁材部の少なくとも一方の表面、又は、その絶縁材部の少なくとも一方の表面及び内部に形成される配線パターンとを備え、1又は複数の電子部品が実装されるプリント基板において、
カーボンを主体として構成され、圧延加工によって得られたシート状のカーボン層部を備え、
そのカーボン層部は、前記絶縁材部の少なくとも内部に積層状に配設されており、
前記絶縁材部の内部に積層状に配設される前記カーボン層部は、前記圧延加工によって得られたシート状のカーボン層部の両面に、前記電気絶縁性材料から形成される被覆層を予め被覆した後、その被覆層によって被覆されたカーボン層部を前記電気絶縁性材料の間に介在させて圧着することによって得られることを特徴とするプリント基板。 - 前記絶縁材部の厚み方向へ凹設または穿設され、その絶縁材部の内部または表面に積層状に配設された前記カーボン層部に接続される受熱孔部を備えており、
その受熱孔部は、その開口部が前記電子部品の裏面側に臨むように構成されると共に、その受熱孔部の内部には、金属ペースト又はカーボンペーストが充填されていることを特徴とする請求項7記載のプリント基板。 - 前記絶縁材部の厚み方向へ凹設または穿設され、その絶縁材部の内部または表面に積層状に配設された前記カーボン層部に接続される放熱孔部を備えており、
その放熱孔部は、その開口部を前記電子部品の実装面と反対側の表面に配設するか又は前記電子部品の実装面と同じ側の表面であって上面視において電子部品と重ならない位置に配設することにより、その開口部が前記電子部品の裏面側に臨まないように構成されると共に、その放熱孔部の内部には、金属ペースト又はカーボンペーストが充填されていることを特徴とする請求項7又は8記載のプリント基板。 - 前記カーボン層部が前記絶縁材部の内部に積層状に配設されている場合には、そのカーボン層部に接続される前記受熱孔部と放熱孔部とが、互いに連通された一本の貫通孔として構成されていることを特徴とする請求項9記載のプリント基板。
- 前記受熱孔部に充填された金属ペースト又はカーボンペーストは、その頂部が前記絶縁材部の表面から盛り上げられており、前記電子部品の裏面側との間隙が小さくされていることを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載のプリント基板。
- 前記受熱孔部に充填された金属ペースト又はカーボンペーストは、その頂部が前記配線パターンと略同等の高さ又は若干高くなるように前記絶縁材部の表面から盛り上げられており、前記電子部品の裏面側に直接または間接的に接触可能とされていることを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載のプリント基板。
- 前記絶縁材部の表面において前記電子部品の裏面側に臨むように形成され、前記受熱孔部に充填された複数の金属ペースト又はカーボンペーストに接続される受熱パターンを備え、
その受熱パターンは、上面視において前記複数の各金属ペースト又はカーボンペーストを含む範囲にわたって略面状に形成されていることを特徴とする請求項8から12のいずれかに記載のプリント基板。 - 前記絶縁材部の内部に積層状に配設された前記カーボン層部は、少なくともその一部が前記絶縁材部の周端縁から露出して構成されていることを特徴とする請求項9から13のいずれかに記載のプリント基板。
- 前記配線パターンは、グランドに接続されるグランドパターンを備えており、
そのグランドパターンと前記カーボン層部とが互いに電気的に接続されていることを特徴とする請求項7から14のいずれかに記載のプリント基板。 - 前記放熱孔部の一部又は全部は、前記グランドパターンを貫通しつつ前記絶縁材部の厚み方向へ凹設または穿設されており、
その放熱孔部に充填された金属ペースト又はカーボンペーストによって前記グランドパターンとカーボン層部とが互いに電気的に接続されていることを特徴とする請求項15記載のプリント基板。 - 前記カーボン層部は、前記絶縁材部の内部に前記配線パターンが形成される場合にはその配線パターンの近傍を除き、前記絶縁材部の内部または表面のほぼ全域にわたる範囲に積層状に配設されていることを特徴とする請求項7から16のいずれかに記載のプリント基板。
- 前記絶縁材部の介在によって互いに絶縁されて配置された前記配線パターン層を電気的に接続する導電用孔を備え、
前記絶縁材部の内部に積層状に配設されるカーボン層部は、前記圧延加工によって得られたシート状のカーボン層部の両面に、前記電気絶縁性材料から形成される被覆層を圧着によって予め被覆した上で、前記導電用孔に対応する位置に、その導電用孔の外周より大きい外周の孔を穿設した後、前記孔の穿設されたカーボン層部を前記電気絶縁性材料の間に介在させて圧着することによって得られることを特徴とする請求項7から17のいずれかに記載のプリント基板。 - 前記カーボン層部は、熱伝導性材料から編成された網状体の空隙にカーボンを主体とする材料を充填したものであることを特徴とする請求項7から18のいずれかに記載のプリント基板。
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