WO2006059474A1

WO2006059474A1 - エラストマー用下塗り塗料組成物及び塗装物品

Info

Publication number: WO2006059474A1
Application number: PCT/JP2005/020734
Authority: WO
Inventors: Toshiyuki Kinoshita; Hiroshi Torimae; Daisuke Mikame; Hiroshi Torii
Original assignee: Daikin Industries, Ltd.
Priority date: 2004-11-15
Filing date: 2005-11-11
Publication date: 2006-06-08
Also published as: JPWO2006059474A1

Abstract

本発明は、金属板とエラストマー層との積層に介在する下塗り層を形成するための塗料組成物であって、金属板との接着性に優れ、得られる積層体の耐熱水性、耐不凍液性、曲げ加工性にも優れた塗料組成物を提供する。本発明は、液状担体及び高分子成分からなるエラストマー用下塗り塗料組成物であって、上記高分子成分は、フッ素ゴムのみからなることを特徴とするエラストマー用下塗り塗料組成物である。

Description

明細書

エラストマ一用下塗り塗料組成物及び塗装物品

技術分野

[0001] 本発明は、エラストマ一用下塗り塗料組成物及び塗装物品に関する。

背景技術

[0002] ステンレス鋼板上に接着剤層を介してエラストマ一層を設けたガスケット用積層板に関して、接着剤としては、従来力も主に有機シラン系接着剤が使用されている。しかしながら、有機シラン系接着剤を使用した場合、接着後の耐熱性ゃ耐不凍液性に劣る問題があり、特に、エラストマ一層にフッ素系ゴムを使用する場合、 200°C以上の温度で加硫すると、接着力が低下し、金属面での剥がれが発生する問題があった。

[0003] 接着力向上を目的として、エポキシ榭脂、レゾール型フエノール榭脂、有機溶剤からなるエラストマ一用下塗り塗料組成物が提案されている (例えば、特許文献 1参照。 ) 。しカゝしながら、この組成物では、塗装膜厚により機械加工性、接着性が変化し、塗装膜厚が厚い場合、曲げ加工に下塗り層が追従せずにクラックを生じる問題、塗装膜厚が薄い場合、接着性が低下する問題があった。

[0004] 金属板、下塗り層及びエラストマ一層をそれぞれ接着した積層体の曲げ加工に耐え、剥がれ防止を目的とした下塗り塗料として、ノボラック型エポキシ榭脂、ノボラック型 p—置換フエノール榭脂、イミダゾールイ匕合物及びフッ素ゴム配合物を含有してなる加硫接着剤配合物が提案されている (例えば、特許文献 2参照。 ) ₀

[0005] しかしながら、この加硫接着剤配合物は、硬化触媒であるイミダゾールイ匕合物の配合量により接着性と経時的安定性が左右される。また、この配合物は、フッ素ゴム配合物 20〜： LOO重量部に対し、上記榭脂を合計 130〜160重量部必要とするものであつた。

特許文献 1 :特開 2002— 309166号公報

特許文献 2 :特開平 6— 88062号公報 (請求項 1、 [0015]〔0016〕）

発明の開示

発明が解決しょうとする課題 [0006] 本発明の目的は、上記現状に鑑み、金属板とエラストマ一層との積層に介在する下塗り層を形成するための塗料組成物であって、被塗装物、特に金属板との接着性に優れ、得られる積層体の耐熱水性、耐不凍液性、曲げ加工性等にも優れた塗料組成物を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0007] 本発明は、フッ素ゴム及び液状担体力なるエラストマ一用下塗り塗料組成物であつて、適宜、榭脂ゃ充填剤、受酸剤を含んでもよい。

本発明は、液状担体及び高分子成分力なるエラストマ一用下塗り塗料組成物であつて、上記高分子成分は、フッ素ゴムのみ力もなることを特徴とするエラストマ一用下塗り塗料組成物である (本明細書において、「エラストマ一用下塗り塗料組成物 (I)」ということがある。 ) o

本発明は、上記榭脂を含む場合には、上記フッ素ゴム 100質量部に対し 0. 1〜300 質量部であることを特徴とするエラストマ一用下塗り塗料組成物である。即ち、本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物は、また、フッ素ゴム、榭脂及び液状担体からなるエラストマ一用下塗り塗料組成物であって、上記榭脂は、上記フッ素ゴム 100質量部に対し 0. 1〜300質量部であることを特徴とするエラストマ一用下塗り塗料組成物である (本明細書において、「エラストマ一用下塗り塗料組成物 (Π)」ということがある。）。

以下に本発明を詳細に説明する。

[0008] 本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物は、フッ素ゴム及び液状担体からなる塗料組成物であり、適宜、榭脂ゃ充填剤、受酸剤を含んでもよい。

本明細書にぉ、て、 (I)及び (Π)を付すことなく単に「エラストマ一用下塗り塗料組成物」と、うときは、上述のエラストマ一用下塗り塗料組成物 (I)とエラストマ一用下塗り塗料組成物 (Π)とを区別することなぐ両者を含む概念を指す。

上記エラストマ一用下塗り塗料組成物は、基材等の被塗装物上にエラストマ一層を形成するに際し、該エラストマ一層の下塗りとして、被塗装物上に塗装することにより、下塗り層を形成するものである。

上記エラストマ一用下塗り塗料組成物は、特に、金属板とエラストマ一層とを含む積層体を形成するに際し、エラストマ一層の下塗り塗料として好適に使用することができる。

[0009] 本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物におけるフッ素ゴムとしては、例えば、以下の構造の繰り返し単位；

— CF— CH CH— CH—、及び、 CH— CH (CH )—から選択される少

2 2 2 2 2 3

なくとも 1種の繰り返し単位、並びに、

-CF CF (CF ) -CF -CF CF— CFC1 CF— CF (CF H)

2 3 2 2 2 2 2

、及び、—CF -CF CORf¹) （式中、 Rf¹は炭素数 1

2 〜9のフルォロアルキル基である。）から選択される少なくとも 1種の繰り返し単位

を有する主鎖力なる共重合体等が挙げられる。

[0010] 上記フッ素ゴムとしては、架橋性の点で、主鎖に CH を有する繰り返し単位から

2

なる含フッ素共重合体が好ましぐ主鎖にビ-リデンフルオライド [VdF]単位を有する弾性状含フッ素共重合体がより好まし、。

上記弹性状含フッ素共重合体としては、例えば、 VdFZへキサフルォロプロピレン [ HFP]共重合体、 VdFZテトラフルォロエチレン [TFE]ZHFP共重合体、エチレン [ Et]ZHFP共重合体、 TFEZプロピレン [Pr]共重合体等が挙げられる力 VdF/ へキサフルォロプロピレン [HFP]共重合体が好まし！/、。

上記フッ素ゴムにおける含フッ素重合体は、 1種又は 2種以上を用いることができる。

[0011] 上記含フッ素共重合体は、重合時に用いる重合開始剤、連鎖移動剤等によりポリマ一鎖末端構造を変えることができ、例えば、末端構造がヨウ素原子を有するもの、イソペンチル基を有するもの等であってょ、。上記フッ素ゴムのポリマー鎖末端構造としては特に限定されないが、金属板との接着力向上の点で、イソペンチル基を有するものが好ましい。

[0012] 上記含フッ素共重合体は、金属板との接着力向上の点で、分子量が比較的低いものが好ましい。上記含フッ素共重合体の分子量としては、例えば、 5000-200000 が好ましぐより好ましい下限は 20000、より好ましい上限は 160000である。

本明細書において、上記分子量は、 GPC (東ソ（株)製 HLC— 3000)に基づき測定したものである。 [0013] 本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物におけるフッ素ゴムは、未加硫のものが好ま、が、分子構造上架橋可能な部位の全部又は一部が加硫したものであってもよい。上記フッ素ゴムとしては、例えば、「ダイエル」（商品名、ダイキン工業社製）「バイトン」（商品名、 E. I.デュポン社製)、「アフラス」（商品名、旭硝子社製)等の商品名で巿販されてヽるものを用いることができる。

[0014] 本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物 (II)は、フッ素ゴム、榭脂及び液状担体からなるエラストマ一用下塗り塗料組成物であって、上記榭脂は、上記フッ素ゴム 100 質量部に対し 0. 1〜300質量部であることを特徴とするエラストマ一用下塗り塗料糸且成物である。

[0015] 本発明における榭脂としては、本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物 (Π)を塗装する際の加熱に耐える耐熱性を有するものを用、る。

上記榭脂は、塗装時の加熱温度によるが、通常 100°C以上の耐熱性を有するものが好ましい。上記樹脂の耐熱性は、 150°C以上であることがより好ましい。

本発明における榭脂の耐熱性は、上記範囲内であれば、本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物 (II)の塗装時加熱による分解を防止する点で、通常、 200°C以下であることが好ましぐ 180°C以下であることがより好ましい。

[0016] 本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物 (Π)における榭脂としては、上記耐熱性を有するものであれば特に限定されず、例えば、エポキシ榭脂、ポリアミド榭脂、ポリアミドイミド榭脂、フエノール榭脂、含フッ素榭脂等が挙げられ、なかでも、エポキシ榭脂、ポリアミド榭脂、ポリアミドイミド榭脂、フエノール榭脂が好ましい。

本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物 (Π)における榭脂としては、 1種又は 2種以上を用いることができる。

[0017] 本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物 (Π)において、上記榭脂は、上述のフッ素ゴム 100質量部に対し 0. 1〜300質量部である。上記フッ素ゴム 100質量部に対する上記樹脂の配合割合について、好ましい上限は 150質量部、より好ましい上限は 100質量部である。

[0018] 本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物 (I)は、液状担体及び高分子成分からなる塗料糸且成物であって、上記高分子成分は、フッ素ゴムのみ力もなることを特徴とする塗料組成物である。

本明細書において、「高分子成分」は、フッ素ゴム及び榭脂を含む概念である。

エラストマ一層の下塗りとしては、従来、高分子成分として当初榭脂のみが用いられ、のちに弾性付与を目的としてフッ素ゴムの併用も提案されるようになってきた経緯がある。エラストマ一層の下塗りの開発経緯において、フッ素ゴムは接着性を悪ィ匕させることが一般に知られており、あくまでも榭脂主体であつたのに対し、本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物は、フッ素ゴム単独、もしくは配合される榭脂を上記範囲のように非常に少なく配合したものであることに特徴がある。

本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物は、フッ素ゴムを単独もしくは比較的多く配合したものであるにもかかわらず、被塗装物との接着性、特に金属板等との接着性に優れた下塗り層を形成することができ、従来汎用されてきた有機シラン系接着剤よりも接着性を向上し、得られる積層体の曲げ力卩ェに耐えることを可能にしたものである。

上記エラストマ一用下塗り塗料組成物は、フッ素ゴム含有率が低く樹脂が主体の組成物、例えば、特開平 6— 88062号公報に記載された配合物に劣らない接着性を有し、曲げ加工性に優れた積層体を作製することができる。

本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物は、得られる積層体において、接着性のみならず、耐熱水性及び耐不凍液性をも有機シラン系接着剤に比べて向上したものである。

[0019] 本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物 (I)は、上記樹脂が上記フッ素ゴム 100質量部に対し 0質量部、即ち、上記榭脂を含有しないものであっても、被塗装物との接着性、特に金属板との接着性に優れた下塗り層を形成することができる。本発明のェラストマー用下塗り塗料組成物 (I)が榭脂を含有せず、高分子成分としてフッ素ゴムのみ力もなるものであっても、得られる下塗り層の接着性に優れることは、上述の従来の技術開発の経緯から予想できな、ものであり、その機構は本願出願時にぉ、て不明である。

[0020] 本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物における液状担体は、液状の塗料組成物として塗装可能なエラストマ一用下塗り塗料組成物を構成するものであればよぐ有機溶剤であってもよいし、水であってもよいが、接着性向上の点で、有機溶剤が好ましい。

上記液状担体は、 1種又は 2種以上を用いることができ、有機溶剤を用いることが好ましい。

[0021] 本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物において、液状担体としては、フッ素ゴムを分散または溶解するものが使用することができる。液状担体としての有機溶剤として、例えば、メチルェチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類；酢酸ブチル、酢酸イソペンチル等のエステル類；ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類；トルエン、キシレン等の炭化水素類; N, N ジメチルァセトアミド、 N—メチル 2—ピロリドン等のアミド類等を用、ることができる。上記液状担体としての有機溶剤は、 1種又は 2種以上を用いることができる。

また、本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物が上記榭脂を含有するものである場合、用いる榭脂を分散または溶解できる有機溶剤を使用する。この場合、フッ素ゴムを分散または溶解する溶剤と上記榭脂を分散または溶解する溶剤が異なる場合、これらを混合し使用することができる。

[0022] 上記有機溶剤としては、本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物が上記榭脂を含有しないものである場合、比較的速乾性がある有機溶剤を用いることも可能となり、塗装作業性の向上、得られる塗膜性能の安定ィ匕に寄与することができる。

その場合、酢酸ブチル、酢酸イソペンチル等のエステル類;メチルェチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類等を好んで用いることができる。

[0023] 上記液状担体として水を用いる場合には、フッ素ゴムを水中に分散させて水性分散液とするため、分散剤を用いる。

上記分散剤としては、ラウリル硫酸塩、パーフルォロアルキルカルボン酸塩、 ω—ハイド口パーフルォロアルキルカルボン酸塩等のァ-オン系界面活性剤；ポリエチレングリコール誘導体、ポリエチレングリコール Ζポリプロピレングリコール誘導体等の非イオン性界面活性剤；アルキルポリエチレングリコールエーテル、アルキルフエ-ルポリエチレングリコールエーテル、アルキルポリエチレングリコールエステル、エチレングリコール Ζプロピレングリコール共重合体、ポリエチレングリコールアルキルエステル、ポリカルボン酸塩等の榭脂系分散剤が挙げられる。

[0024] 本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物は、上述のフッ素ゴム及び液状担体、並びに、所望により用いる榭脂に加え、充填剤及び Z又は受酸剤をも含有するものであってもよい。

上記充填剤としては特に限定されず用途に応じて選択することができるが、液状担体として有機溶剤を用いる場合、一般に、吸水率が低いものが好ましい。本発明における充填剤としては、例えば、カーボンブラック、二硫化モリブデン、ホワイトカーボン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、珪酸カルシウム等が挙げられ、なかでも、珪酸カルシウム等が好まし、。

本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物において、上記充填剤は、必要に応じて、 1種類のみであってもよいし、複数種類を配合することもできる。

上記充填剤は、使用するフッ素ゴム、榭脂等の種類、添加量等に応じた量を適宜配合することができる。

[0025] 本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物は、上述のとおり、受酸剤をも含有するものであってもよい。上記エラストマ一用下塗り塗料組成物は、フッ素ゴムを加硫させるものである場合、受酸剤をも含有するものが好ましい。

上記受酸剤としては、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化亜鉛、ハイド口タルサイト類などの複塩等が挙げられる。

上記受酸剤は、その活性度、フッ素ゴムの含有量や用いる加硫系等に応じた量を、適宜含有することができる力通常、フッ素ゴムの固形分 100質量部に対し、 1〜40 質量部であることが好まし、

[0026] 本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物は、さらにフッ素ゴム用加硫剤をも含有するものであってもよい。上記フッ素ゴム用加硫剤としては、特に限定されず、例えば、ポリアミン系加硫剤、ポリオール系加硫剤、有機過酸ィ匕物等が挙げられる。上記フッ素ゴム用加硫剤は、フッ素ゴムの含有量や用いる加硫系に応じた量を適宜含有することができるが、通常、フッ素ゴムの固形分 100質量部に対し、 0. 1〜20質量部であることが好ましい。

本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物は、フッ素ゴム用加硫剤を含有する場合、公知の加硫促進剤を適宜配合することができる。

[0027] 本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物は、上述のフッ素ゴム及び液状担体、所望により用いる榭脂、充填剤、フッ素ゴム用加硫剤及び受酸剤に加え、増粘剤、安定剤等公知の添加剤を含有するものであってもよ、。

[0028] 本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物は、従来のフッ素ゴム塗料用の組成物の調製方法と同様の方法を用いて調製することができるが、フッ素ゴム、所望により用いる充填剤、受酸剤等の添加剤とを混練してコンパゥンドとし、このコンパウンドに液状担体を配合することにより調製することが好ましい。

また、榭脂を添加する場合、予め榭脂を液状担体に分散または溶解し前記フッ素ゴム溶液と混合することが好ま、。

本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物は、いわゆる一液型の場合、フッ素ゴム用加硫剤等の加硫系を構成する成分をも混合して調製し、塗装に供することができ、いわゆる二液型の場合、フッ素ゴム、榭脂及び液状担体のみ力なるものとして調製し、別途、加硫剤等を配合してなる加硫剤組成物を調製しておき、該加硫剤組成物と混合して塗布するものであってもよ、。

[0029] 本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物は、上述したように、各種エラストマ一層の下塗り塗料として好適に使用することができる。

塗装は、例えば、本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物を、公知の塗布方法を用いて被塗装物上に塗布し、通常、上記塗布により得られる塗布膜を充分に乾燥させたのち、更にエラストマ一含有塗料組成物を塗布し、加熱焼成することにより行うことがでさる。

[0030] 上記被塗装物としては、例えば、鉄、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、真鍮等の金属；ガラス板、ガラス繊維の織布又は不織布等のガラス製品；ポリプロピレン、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン等の汎用榭脂若しくは耐熱性榭脂の成形品又は被覆物;スチレンーブチレンゴム〔SBR〕、プチルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム〔NBR〕、ェチレン一プロピレンゴム〔EPDM〕等の汎用ゴムの成形品又は被覆物；シリコーンゴム、フッ素ゴム等の耐熱性ゴムの成形品又は被覆物；天然繊維若しくは合成繊維の織布又は不織布;等を使用することができる。上記被塗装物としては、金属が好ましく、ステンレス鋼がより好ましい。

上記被塗装物は、金属である場合、本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物を塗布する前に、表面を充分に脱脂、洗浄したものであることが好ましぐ化成処理を施した物であってもよい。

[0031] 上記塗布方法としては、ディスペンサーコーティング、スクリーンコーティング、ハケ塗り、浸漬、フローコーター塗装等が挙げられる。

上記塗布は、加熱焼成後における下塗り層の膜厚が比較的薄いものが好ましぐ 10 /z m以下となるように行うことが好ましい。上記膜厚は、さらに 5 /z m以下であること力 S 望ましい。

上記乾燥は、通常、 100〜300°C前後の温度にて、 1〜15分前後行う。

[0032] 上記塗装に使用するエラストマ一としては、特に限定されず、例えば、本発明のエラストマー用下塗り塗料組成物に配合するフッ素ゴム等が挙げられる。

本明細書において、以下、上記エラストマ一層を構成するフッ素ゴムを、上述した本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物を構成するフッ素ゴムと区別するために「フッ素ゴム (A)」と表すが、フッ素ゴム層を構成するフッ素ゴム (A)は、本発明のエラストマー用下塗り塗料組成物を構成するフッ素ゴムと同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。フッ素ゴム (A)は、 1種又は 2種以上を用いることができる。本明細書において、上述の「エラストマ一層」は、本発明のエラストマ一用下塗り塗料糸且成物を塗装することにより形成される下塗り層とは異なるものであり、上記「エラストマー層」を構成するエラストマ一は、エラストマ一層を構成するものであって下塗り層を構成するものではない点で、上記下塗り層を構成するフッ素ゴムとは区別される概念である。

上記塗装において、上記加熱焼成は、通常、 150〜250°Cの温度下において、 1分〜24時間程度行う。

[0033] 下塗り塗料糸且成物を塗装した際における焼成温度は、榭脂を含有するものである場合、従来、例えば 300°C程度と比較的高温が採用されてきたが、本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物は、榭脂の比率がゼロもしくは比較的低いことから、比較的低温であっても接着性に優れた下塗り層を形成することができる。

[0034] 上記塗装により得られる積層体は、本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物を用いて形成した下塗り層を有するので、焼成後のエラストマ一層の膜厚が、例えば 5〜 50 /z mの範囲にあり、比較的厚膜であっても、耐熱水性及、耐不凍液性、層間接着性、曲げ力卩ェ性等に優れている。

[0035] 上記塗装により得られる積層体は、耐熱水性、耐不凍液性、層間接着性、曲げ加工性等に優れるので、メタルガスケットに適する。また、上記塗装により得られる積層体は、エラストマ一層に使用するフッ素ゴム (A)を適宜選択することにより、耐熱性、耐薬品性、潤滑性、非粘着性が要求される分野において使用することができ、例えば、各種シート'ベルト類； O—リング、ダイヤフラム、バルブシール、化学プラント用ガスケット、エンジンガスケット等のシーリング材;耐薬品性チューブ、燃料ホース、継手等の薬液等流体輸送部材;複写機、プリンター、ファクシミリ等の OA機器用のロール (例えば、定着ロール、圧着ロール)又は搬送ベルト等として使用することができる。

[0036] 金属板、下塗り層及びフッ素ゴム (A)層がこの順に積層されてなる塗装物品であって、上記下塗り層は、上記金属板の片面又は両面に本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物を塗装することにより形成した層である塗装物品もまた、本発明の一つである。

[0037] 上記下塗り層は、上記金属板の片面又は両面に本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物を塗装することにより形成した層である。

上記金属板としては、上述の被塗装物として例示した各種金属が挙げられ、なかでも、ステンレス鋼板が好ましい。上記金属板としては、自動車エンジンガスケットを製造する場合、一般にステンレス鋼板が用いられる。

[0038] 本発明の塗装物品におけるフッ素ゴム (A)層は、上述のフッ素ゴム (A)からなる層である。

本発明の塗装物品は、被塗装物として金属板を用いて、上述の方法により塗装を行うこと〖こより作成することができる。

本発明の塗装物品において、下塗り層及びフッ素ゴム (A)層の各膜厚は、上述の塗装に関して説明した範囲と同様であることが好ましい。本発明の塗装物品において、上記下塗り層は、金属板及びフッ素ゴム (A)層に接していることが好ましい。

本発明の塗装物品は、エンジンガスケット等として好適に使用することができ、自動車エンジン等のヘッドガスケット等として特に好適に使用することができる。発明の効果

[0039] 本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物は、上述の構成よりなるものであるので、被塗装物、特に金属板との接着性に優れ、また、曲げ加工性、耐熱水性及び耐不凍液性に優れた積層体の製造において下塗り塗料として好適に使用することができる。本発明の塗装物品は、上記エラストマ一用下塗り塗料組成物カゝら得られる下塗り層を有するので、上記積層体の利点を有し、特に金属板との接着性に優れている。発明を実施するための最良の形態

[0040] 本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例及び比較例により限定されるものではない。

[0041] 実施例 1

( 1)エラストマ一用下塗り塗料組成物の調製：

フッ素ゴム組成物 (ダイエル G— 801、ダイキン工業社製)の固形分 100質量部に対し、受酸剤 (ハイド口タルサイト DHT— 4A、協和化学工業社製) 5質量部、充填剤（珪酸カルシウム NYAD400、 NYCO製） 30質量部をオープンロールにて混練し、コンパウンドとした。このコンパウンドを酢酸ブチル 1000質量部に溶かして、エラストマ一用下塗り塗料組成物を得た。

(2)塗装物品の作成

予めアセトン洗浄してぉ、た SUS301板（縦 100mm X横 50mm X厚み 0. 5mm) に、得られたエラストマ一用下塗り塗料組成物をディップ塗装して、風乾後、 200°C にて 30分乾燥し、冷却後、フッ素ゴム (A)塗料組成物として、フッ素ゴム塗料 (ダイキン工業 (株)製ダイエル DPA—C4)をフローコーターにて塗装し、 100°Cで 30分乾燥した後に、 200°Cで 30分焼成して、下塗り層厚み 3 /z m エラストマ一層厚み 25 mの塗装板 (塗装物品）を得た。

[0042] 比較例 1 実施例 1と同じ SUS301板を予めアセトンを用いて洗浄したのち、市販のシランカツプリング剤系フッ素ゴム用プライマーを用いてデイツビングし、 100°Cで 30分（プライマー推奨加工条件)予備乾燥し、冷却後、フッ素ゴム (A)塗料組成物として、フッ素ゴム塗料 (ダイキン工業 (株)製ダイエル DPA— C4)をフローコーターにて塗装し、 1 00°Cで 30分乾燥した後に、 200°Cで 30分焼成し、プライマー層厚み 3 m、エラストマー層厚み 25 μ mの塗装板を得た。

[0043] 実施例及び比較例で作成した塗装板について、耐熱水性、耐不凍液性を以下のようにして評価した。

<耐熱水性 >

500ml容積の瓶にイオン交換水 400mlと実施例 1、比較例 1の塗装板を入れ密閉し、 120°Cにて 250時間、塗装板を浸漬した。

浸漬後、塗膜表面上のブリスターの有無を目視にて観察し、評価した。

塗膜外観に変化のないものを〇、部分的にブリスターなどが発生したものを△、全面にブリスターなどが発生したものを Xとした。

<耐不凍液性 >

500ml容積の瓶に、市販のロングライフクーラント（LLC)の 50容量⁰ /₀水溶液 400ml に、実施例 1又は比較例 1の塗装板を入れ、密閉し、 120°Cにて 500時間、塗装板を浸漬した。

浸漬後、塗膜表面上のブリスターなどの有無を目視にて観察し、評価した。

各試験の結果を表 1に示す。

[0044] [表 1]

[0045] 表 1に示すように、実施例 1の塗装板は、耐熱水性及び耐不凍液性ともに優れている iS 比較例 lの塗装板は、耐熱水性及び耐不凍液性ともに劣っていることが分力つた産業上の利用可能性

本発明のエラストマ一用下塗り塗料組成物は、上述の構成よりなるものであるので、被塗装物、特に金属板との接着性に優れ、また、曲げ加工性、耐熱水性及び耐不凍液性に優れた積層体の製造において下塗り塗料として好適に使用することができる。本発明の塗装物品は、上記エラストマ一用下塗り塗料組成物カゝら得られる下塗り層を有するので、上記積層体の利点を有し、特に金属板との接着性に優れている。

Claims

請求の範囲

[1] 液状担体及び高分子成分力なるエラストマ一用下塗り塗料組成物であって、前記高分子成分は、フッ素ゴムのみ力なる

ことを特徴とするエラストマ一用下塗り塗料組成物。

[2] フッ素ゴム、榭脂及び液状担体力もなるエラストマ一用下塗り塗料組成物であって、前記榭脂は、前記フッ素ゴム 100質量部に対し 0. 1〜300質量部である

ことを特徴とするエラストマ一用下塗り塗料組成物。

[3] 更に、充填剤を含む請求項 1又は 2記載のエラストマ一用下塗り塗料組成物。

[4] 更に、受酸剤を含む請求項 1、 2又は 3記載のエラストマ一用下塗り塗料組成物。

[5] 金属板、下塗り層及びフッ素ゴム (A)層がこの順に積層されてなる塗装物品であって前記下塗り層は、前記金属板の片面若しくは両面に請求項 1、 2、 3又は 4記載のェラストマー用下塗り塗料組成物を塗装することにより形成した層である

ことを特徴とする塗装物品。

[6] エンジンガスケットである請求項 5記載の塗装物品。