JP2020023089A - 多層構造体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な層構成でありながら、耐ブロッキング性に優れた多層構造体、及びその製造方法を提供する。【解決手段】金属板21の少なくとも一方の表面にゴム層22,23が形成された多層構造体2であって;ゴム層22,23が、ゴム(A)及び無機粒子(B)を含有するゴム組成物を加硫させてなるものであり、無機粒子(B)の平均粒径が1〜30μmであり、ゴム(A)100質量部に対する無機粒子(B)の含有量が20〜300質量部であり、かつ、ゴム層22,23の表面粗さ(Ra:JIS B0601−2001)の平均値が、0.3〜0.6μmである多層構造体。【選択図】図3

Description

本発明は、金属板の少なくとも一方の表面にゴム層が形成された多層構造体に関する。また本発明は、その多層構造体の製造方法に関する。
金属板の表面にゴム層が形成された多層構造体(ラバーコートメタルと称されることがある)は様々な分野で用いられている。このような多層構造体の代表的な用途として、ガスケットやワッシャーなどのシール材が挙げられる。
ところで、このような多層構造体は、その表面にゴム層が形成されているため、多層構造体を重ねて保管した場合、ゴム層同士が貼り付く(ブロッキングする)ことがあった。そのため、運搬性や作業性が悪化するという問題があった。
このような問題に対して、特許文献1には、ガスケット本体層の表面に非粘着性表面層を形成して、当該表面を非粘着性にしたガスケットが開示されている。
また、特許文献2には、ステンレス鋼板、接着剤層および加硫ニトリルゴム層からなる複合体であって、接着剤層および加硫ニトリルゴム層の少なくとも一方の層中にステンレス鋼粉末を含有せしめたステンレス鋼−ニトリルゴム複合体が記載されている。特許文献2に記載の発明においては、ゴム同士やゴムと金属との粘着を防止する目的で、加硫ニトリルゴム層上にさらに粘着防止剤層を設けることが記載されている。
上述したように特許文献1に記載のガスケットや特許文献2に記載の複合体においては、それぞれ非粘着性表面層や粘着防止剤層を形成することにより耐ブロッキング性を確保している。そのため、層構成が複雑であり製造コストも高かった。
特開平5−187556号公報 特開2005−28816号公報
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、簡易な層構成でありながら耐ブロッキング性に優れた多層構造体、及びその製造方法を提供するものである。
上記課題は、金属板の少なくとも一方の表面にゴム層が形成された多層構造体であって;
前記ゴム層が、ゴム(A)及び無機粒子(B)を含有するゴム組成物を加硫させてなるものであり、無機粒子(B)の平均粒径が1〜30μmであり、ゴム(A)100質量部に対する無機粒子(B)の含有量が20〜300質量部であり、かつ、前記ゴム層の表面粗さ(Ra:JIS B0601−2001)の平均値が、0.3〜0.6μmであることを特徴とする多層構造体を提供することによって解決される。
このとき、ゴム(A)が、アクリルゴム、ニトリルゴム及びフッ素ゴムからなる群から選択される1種であることが好ましい。また、無機粒子(B)が、クレー、タルク、マイカ、ガラスビーズ及びシラスバルーンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
また、無機粒子(B)の平均粒子径が6μm以上であることが好ましい。前記ゴム層の厚みが10〜50μmであることも好ましい。前記金属板と前記ゴム層との間に接着剤層を有することも好ましい。
上記多層構造体からなるシール材が本発明の好適な実施態様である。また、当該シール材からなるガスケットも本発明の好適な実施態様である。当該シール材からなるワッシャーも本発明の好適な実施態様である。
上記課題は、前記金属板の表面に前記ゴム組成物を塗布する塗布工程と、塗布された該ゴム組成物を加熱することによって加硫する加硫工程を有する、上記多層構造体の製造方法を提供することによっても解決される。
このとき、前記塗布工程において、前記金属板をゴム液に浸す工程1と、前記ゴム液が入ったゴム液槽の上方に設けられた2本のロッドを近接させて、該ロッドの間隔を前記金属板の厚さよりも広い所定の間隔とする工程2と、前記ゴム液に浸された前記金属板を、2本のロッドの間を通して引き上げながら該ロッドでゴム液層の表面を均して前記金属板の表裏面にゴム液層を形成する工程3とを有する製造方法が好ましい。
本発明によれば、簡易な層構成でありながら耐ブロッキング性に優れた多層構造体、及びその製造方法を提供することができる。
実施例1で用いたゴム液塗布装置を示した図である。 実施例1におけるゴム液塗布工程を示した図である。 実施例1で得られた多層構造体の断面図である。
本発明は、金属板の少なくとも一方の表面にゴム層が形成された多層構造体に関する。
本発明におけるゴム層は、ゴム(A)及び無機粒子(B)を含有するゴム組成物を加硫させてなるものである。
金属板としては、鉄、アルミニウム等からなる金属板又はこれらの合金板が挙げられる。これらの金属板は、めっきなどの表面処理が施されたものであってもかまわない。例えばJIS(G3313)で示されるSECC、JIS(G4305)で示されるSUS301、SUS301L、SUS304、SUS403、SUS430、JIS(G3141)で示されるSPCCなどが挙げられる。金属板の厚さは0.1〜2mmであることが好ましい。
ゴム(A)の種類は特に限定されず、例えば、フッ素ゴム(FKM)、天然ゴム(NR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)(ニトリルゴム)などのジエン系ゴム;ブチルゴム(IIR)、エチレン・プロピレンゴム(EPM)、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、ウレタンゴム(U)、シリコーンゴム(Q)、エチレンアクリルゴム(AEM)、アクリルゴム(ACM)などが挙げられる。中でも、ゴム(A)が、アクリルゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、及びフッ素ゴムからなる群から選択される1種であることが好ましい。
また、ゴム(A)がアクリロニトリル・ブタジエンゴム(以下、単にニトリルゴムと称すことがある)の場合は、未水添のものであってもよいし、水添されたものであってもよい。当該ゴム中のアクリロニトリル単位の含有量は、15〜50質量%であることが好ましい。1,3−ブタジエン単位の含有量は水素添加されたものも含めて、残りの全部又は大部分を占める。
ゴム(A)のムーニー粘度(ML1+4、100℃)が、10〜120であることが好ましい。ムーニー粘度が10未満の場合、ゴム層の強度が低下するおそれがある。ムーニー粘度は20以上であることがより好ましい。一方、ムーニー粘度が120を超える場合、ゴム層の成形性が低下するおそれがある。ムーニー粘度は100以下であることがより好ましい。
無機粒子(B)の種類は特に限定されず、炭酸塩、ケイ酸塩、硫酸塩、金属酸化物などが挙げられる。また、無機粒子(B)として、ガラスビーズやシラスバルーンなども挙げられる。炭酸塩としては、炭酸カルシウムなどが挙げられる。ケイ酸塩としては、クレー、タルク、マイカなどが挙げられる。これらの無機粒子(B)は、単独で又は2種以上を併用しても構わない。
中でも、無機粒子(B)が、クレー、タルク、マイカ、ガラスビーズ及びシラスバルーンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、クレー、タルク、マイカ及びシラスバルーンからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、クレーであることがさらに好ましい。
無機粒子(B)の平均粒子径は1〜30μmであることが重要である。平均粒子径をこの範囲にすることにより、耐ブロッキング性に優れた多層構造体を得ることができる。後述するように、耐ブロッキング性に優れた多層構造体を得る観点から、前記ゴム層の表面粗さ(Ra:JIS B0601−2001)の平均値が、0.3〜0.6μmであることも重要である。平均粒子径が1〜30μmである無機粒子(B)を用いることにより、上記表面粗さの平均値が上記範囲内に維持されると推測している。その結果、多層構造体を重ねて保管した際に、上側の多層構造体の重みが下側の多層構造体のゴム層に作用しても下側の多層構造体のゴム層表面の凹凸を維持でき、ゴム層同士のブロッキングを防止することができると考えられる。平均粒子径は、2μm以上であることが好ましく、4μm以上であることがより好ましい。一方、平均粒子径は、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。ここで、本明細書における平均粒子径とは、体積基準の粒度分布に基づいて決定される体積基準積算値が50%となるときの粒径のことをいう。
ゴム(A)100質量部に対する無機粒子(B)の含有量は20〜300質量部である。無機粒子(B)の含有量が20質量部未満の場合、耐ブロッキング性に優れた多層構造体を得ることができない。無機粒子(B)の含有量は30質量部以上であることが好ましい。一方、無機粒子(B)の含有量が300質量部を超える場合、ゴム層の成形性が悪化する。無機粒子(B)の含有量は200質量部以下であることが好ましい。
本発明におけるゴム組成物は、加硫剤(架橋剤)を含むことが好ましい。加硫剤(架橋剤)としては、過酸化物、硫黄、ポリアミン、ポリオールなど、ゴムの加硫に通常用いられるものを採用することができる。加硫剤の量はゴム(A)100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましい。加硫剤の含有量が0.1質量部未満の場合、加硫時間が長くなるとともに、ゴム層の機械特性が悪化するおそれがある。加硫剤の含有量は、好適には0.2質量部以上である。一方、加硫剤の含有量が10質量部を超える場合、得られる多層構造体の機械特性が悪化するおそれがある。加硫剤の含有量は、好適には8質量部以下である。
本発明におけるゴム組成物は、本発明の効果が阻害されない範囲で、ゴム(A)、無機粒子(B)、及び加硫剤以外の他の成分を含んでいてもかまわない。他の成分としては、共加硫剤、加硫助剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、接着剤、受酸剤、着色剤、可塑剤、加工助剤、老化防止剤、安定剤など、各種の添加剤が挙げられる。
本発明において、前記ゴム層の表面粗さ(Ra:JIS B0601−2001)の平均値が、0.3〜0.6μmであることも重要である。Raの平均値をこの範囲にすることにより、耐ブロッキング性に優れた多層構造体を得ることができる。Raの平均値は0.32μm以上であることが好ましい。一方、Raの平均値が0.6μmを超える場合、シール性能の低下が懸念される。Raの平均値は0.55μm以下であることが好ましく、0.50μm以下であることがより好ましい。ここでいうRaの平均値とは、前記金属板の表面に形成されたゴム層の表面全体において、任意に30ヶ所の測定地点を定めて当該測定地点でRaを測定して(JIS B0601−2001に準拠、基準長さ285μm)、それらを算術平均した値である。
ゴム層の厚みは、多層構造体の用途に応じて適宜調整することができるが、10〜50μmであることが好ましい。ゴム層の厚みが10μm未満の場合、面圧が低いときに相手面の粗さを吸収できずシール性が低下するおそれがある。ゴム層の厚みは15μm以上であることがより好ましい。一方、ゴム層の厚みが50μmを超える場合、コストや重量が増加したり、へたりやすくなったりするおそれがある。ゴム層の厚みは40μm以下であることがより好ましい。金属板の両面にゴム層が形成されている場合には、上記ゴム層の厚みは、片面のゴム層の厚みのことをいう。
本発明の多層構造体は、金属板の少なくとも一方の表面にゴム層が形成されたものである。
前記多層構造体が前記金属板と前記ゴム層との間に接着剤層を有することが好ましい。このようにすることによって、ゴム層の剥離を効果的に防止することができる。接着剤層を構成する接着剤としては、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤、シラン系接着剤、フェノール系接着剤などが挙げられる。中でも、接着剤層を構成する接着剤がエポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤又はシラン系接着剤であることが好ましい。耐水性の観点からはエポキシ系接着剤であることが好ましい。なお、エポキシ系接着剤の主成分には、クレゾールノボラック変性エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、又はビスフェノールF型エポキシ樹脂等が用いられる。
接着剤層は単層であっても多層であってもよい。接着剤層が多層の場合、複数の接着剤層を構成する接着剤は同じ種類の接着剤であってもよいし、異なる種類の接着剤であってもよい。接着剤層の厚みは、0.5〜20μmであることが好ましい。金属板の両面に接着剤層を有する場合には、上記接着剤層の厚みは、その片面の厚さのことをいう。なお、ゴム層とエポキシ系接着剤層との間にシリコーン系接着剤層、シラン系接着剤層、又はフェノール系接着剤層をさらに有していても構わない。この場合、耐熱性の観点からは、シリコーン系接着剤層又はシラン系接着剤層を有することが好ましい。
本発明の多層構造体の製造方法は特に限定されないが、好適な製造方法は、前記金属板の表面に前記ゴム組成物を塗布する塗布工程と、塗布された該ゴム組成物を加熱することによって加硫する加硫工程を有する方法である。
上記方法において、金属板の表面にゴム組成物を塗布する方法は特に限定されない。ゴム(A)及び無機粒子(B)を含むゴム液を調製して、当該ゴム液を金属板の表面に塗布する方法が挙げられる。このときのゴム液は、ゴム(A)、無機粒子(B)、及び加硫剤などを、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン(MIBK)、キシレン、エチルベンゼン、イソブチルアルコール(IBA)、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等の有機溶剤に混合することで得ることができる。
また、本発明の効果が阻害されない範囲で、ゴム(A)、無機粒子(B)、加硫剤以外の他の成分をゴム液に混合しても構わない。ゴム液の固形分濃度は、通常、10〜90質量%である。
ゴム液の塗布は、ロールコーター、ディッピング、ナイフコーター、バーコーターなどを用いて行うことができる。金属板の表面に均質にゴム液を塗布することができる点から、特開2016−166644号公報に記載の装置(後述する図1の装置参照)を用いた塗布方法が好適に採用される。図1に記載の装置1は、金属板21を保持する保持部(留め具12)と、前記保持部を降下させて前記金属板21を前記ゴム液に浸して、その後、該保持部を上昇させて前記金属板21を前記ゴム液から引き上げる垂直移動機構(アーム13)と、前記ゴム液槽11の上方に設けられ、前記金属板21が前記ゴム液から引き上げられる際に該金属板21の表裏面のゴム液層を均す2本のロッド14と、前記2本のロッド14を近接又は離間させる水平移動機(図示せず)とを備えるものである。
そして、図1に示す装置を用いて金属板の表面にゴム液を塗布する。このときの塗布方法としては、金属板をゴム液に浸す工程1と、前記ゴム液が入ったゴム液槽の上方に設けられた2本のロッドを近接させて、該ロッドの間隔を前記金属板の厚さよりも広い所定の間隔とする工程2と、前記ゴム液に浸された前記金属板を、2本のロッドの間を通して引き上げながら該ロッドでゴム液層の表面を均して前記金属板の表裏面にゴム組成物を含むゴム液層を形成する工程3を有する方法が好ましい。
次に、ゴム組成物を加硫することで多層構造体を得ることができる。加硫温度は、150〜250℃であることが好ましい。加硫時間は、1分〜24時間であることが好ましい。加熱方法としては、圧縮加熱、スチーム加熱、オーブン加熱、熱風加熱などが挙げられる。金属板の形状や寸法などによっては、内部まで十分に加硫されない場合があるので、さらに加熱して二次加硫を行ってもよい。
本発明の製造方法において、前記金属板の表面に前記ゴム組成物を塗布する塗布工程の前に、前記金属板の表面に接着剤を塗布する接着剤塗布工程を有することが好ましい。この工程は複数回繰り返して行ってもかまわない。接着剤塗布工程において、上述したエポキシ系接着剤を塗布することが好ましい。このとき、上述したシリコーン系接着剤、シラン系接着剤又はフェノール系接着剤をさらに塗布することもできる。接着剤を塗布する方法は特に限定されず、ディッピング、スプレー塗布、ロールコートなどにより行うことができる。
本発明の製造方法において、接着剤塗布工程の後、接着剤焼付工程を有することがより好ましい。接着剤焼付工程は、接着剤が塗布された金属板を加熱することにより行うことができる。加熱温度は、100〜200℃であることが好ましい。加熱時間は、3〜60分であることが好ましい。加熱方法としては、オーブン加熱などが挙げられる。
本発明の好適な実施態様は多層構造体からなるシール材である。当該シール材からなるガスケット又はワッシャーがより好適な実施態様である。ガスケットやワッシャーの製造方法は特に限定されず、ゴムを加硫した後に、金属板を所望の形状にプレス加工する方法、金属板をプレス加工した後にゴムを加硫する方法、ゴムの加硫と同時に金属板をプレス加工する方法が挙げられる。プレス加工によってゴム層に厚みムラが生じることがあるので、ゴムを加硫した後に、金属板を所望の形状にプレス加工する方法が好ましい。
本発明のガスケット及びワッシャーは、流体を封止する各種の用途に好適に用いられる。本発明のガスケット及びワッシャーは、流体を封止する性能(シール性)に優れているとともに、高温のクーラント液に接触したとしても金属板からゴム層が剥離し難いので、エンジン本体における、シリンダヘッドカバーとシリンダヘッドとの締結部、オイルパンとシリンダブロックとの締結部、インテークマニホールドとシリンダヘッドとの締結部に好適に用いることができる。また、ウォーターポンプ、サーモスタット、ウォーターインレット、ウォーターアウトレット、EGR(Exhaust Gas Recirculation)クーラーなどのエンジン補機類にも好適に用いることができる。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。
実施例1
(金属板)
金属板21は、縦480mm×横300mm×厚み0.2mmの長方形のSECC(電気亜鉛めっき鋼板)である。
(ゴム液)
トルエンを溶媒としてゴム液を作製した。原料の詳細は下記の通りであり、その配合量は表1に示す通りである。
・ゴムA
ランクセス株式会社製のニトリルゴム「クライナック 3345 F」
(アクリロニトリル含有量33.0%、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)45)
・カーボンブラック
東海カーボン株式会社製の「シースト G116」(DBP吸着量133mg/g、平均粒径38nm)
・白色充填剤
バーゲス・ピグメント社製のクレー「オプチホワイト」(平均粒子径:6.11μm)
上記平均粒子径は、体積基準の粒度分布に基づいて決定される累積体積平均メジアン径(d50)である。
・可塑剤
田岡化学工業株式会社製のイソノニルアジペート「DINA」
・加硫助剤A
堺化学工業株式会社製の亜鉛華「ジンカ 20」
・加硫助剤B
日油株式会社製の「ステアリン酸 さくら」
・老化防止剤
大内新興化学工業株式会社製の4,4'-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン「ノクラックCD」
・滑材
パラフィンワックス
・加硫剤
細井化学工業株式会社製の「微粉硫黄500mesh」
・加硫促進剤A
三新化学工業株式会社製の2,2’−ジベンゾチアゾリルジスルフィド(MBTS)「サンセラーDM」
・加硫促進剤B
三新化学工業株式会社製のテトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)「サンセラーTET−G」
(ゴム液塗布装置)
ゴム液の塗布は、特開2016−166644号公報に記載の装置を用いた(図1参照)。図1に示す装置において、ゴム液槽11には上述したゴム液50Lが入れられている。2本のロッド14は直径50mmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の丸棒である。送り出しローラー15に巻かれている保護フィルム17は、厚さ50μmのポリエチレンフィルムである。
[多層構造体の製造工程]
(接着剤塗布工程)
ディッピングで金属板21の両面にエポキシ系接着剤を塗布した。そして、エポキシ系接着剤が塗布された金属板21を室温で1時間自然乾燥させることにより、金属板21の両表面にエポキシ系接着剤層を形成させた。接着剤層の厚みは、2μmであり、もう一方の面の接着剤層の厚みも2μmであった。
(接着剤焼付工程)
その後、金属板21をオーブン内に145℃×10分間載置して、焼付けを行った。
(ゴム液塗布工程)
図1に示した装置を用いて上記接着剤層の表面に上記ゴム液を塗布した。以下、図1及び2を参照しつつゴム液塗布工程について説明する。
(1)金属板21を留め具12に掛け、この留め具12を50mm/秒の速度で下降させて金属板21をゴム液槽11のゴム液に浸漬させた(図2の(a))。
(2)ゴム液槽11の上方に設けられた2本のロッド14を近接させた(図2の(b))。このときのロッド14の間隔は0.6mmであった。
(3)ゴム液に金属板21を浸漬させてから1秒経過後、アーム13を動かして留め具12を50mm/秒の速度で上昇させた。こうすることで、金属板21を2本のロッド14の間を通して引き上げながら、該ロッド14を覆っているポリエチレンフィルムでゴム液層の表面を均した(図2の(c))。
(4)巻き取りローラー16を回転させてゴム液が付着したポリエチレンフィルムを巻き取った(図2の(d))。
(加硫工程)
その後、留め具12に掛けたまま金属板21を室温で自然乾燥させた後、留め具12から金属板21を取り外し、両表面にゴム層が形成された板を得た。そして、この板を170℃で10分間加熱して加硫することで多層構造体2を得た。得られた多層構造体の断面図を図3に示す。図3に示すように、金属板21の両表面には、図示しない接着剤層を介して、ゴム層22、23が形成されている。このときのゴム層の厚さは、ゴム層22、23ともに26μmであった。
(シール材成形工程)
多層構造体2をプレス加工により打ち抜いて、丸型形状のシール材を得た。
[評価]
(表面粗さの平均値の測定)
KEYENCE社製の形状測定レーザマイクロスコープ「VK−X200」を用いて、JIS B 0601−2001に準拠した方法により、多層構造体2の表面粗さの平均値を測定した。具体的には、多層構造体2の一方のゴム層の表面全体において、任意に30ヶ所の測定地点を定めて当該測定地点でRaを測定した(基準長さ285μm)。そして、得られたRaを算術平均することによりRaの平均値を求めた。その結果、Raの平均値は、0.336μmであった。結果を表1に示す。
(固着力の測定)
多層構造体2を、縦10mm×横32mmにカットして、固着力測定用のサンプルを4枚作製した。プラテン(固定式圧盤、高炭素高クロム鋼製)の表面に等間隔でサンプル4枚を並べた後、もう1つのプラテンでサンプルを挟んだ。次いで、この2つのプラテンをボルトで締結した。このときの締結力は20.6MPaであった。次いで、ボルトで締結したままプラテンを100℃のオーブンに入れて22時間放置した。次いで、プラテンをオーブンから取り出した後、ボトルを外して、プラテンを上下から引っ張った。このとき、2つのプラテンを分離させるのに必要だった力(固着力と称す)を測定した。この固着力の値が耐ブロッキング性の指標となるものであり、値が小さいほど耐ブロッキング性に優れているといえる。結果を表1に示す。
比較例1
表1に示すように、白色充填剤を含まないゴム液に変えた以外は、実施例1と同様にして多層構造体2を作製した後、Raの平均値及び固着力を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2020023089
1 ゴム液塗布装置
2 多層構造体
11 ゴム液槽
12 留め具
13 アーム
14 ロッド
15 送り出しローラー
16 巻き取りローラー
17 保護フィルム
21 金属板
22、23 ゴム層

Claims (11)

  1. 金属板の少なくとも一方の表面にゴム層が形成された多層構造体であって;
    前記ゴム層が、ゴム(A)及び無機粒子(B)を含有するゴム組成物を加硫させてなるものであり、
    無機粒子(B)の平均粒径が1〜30μmであり、
    ゴム(A)100質量部に対する無機粒子(B)の含有量が20〜300質量部であり、かつ、
    前記ゴム層の表面粗さ(Ra:JIS B0601−2001)の平均値が、0.3〜0.6μmであることを特徴とする多層構造体。
  2. ゴム(A)が、アクリルゴム、ニトリルゴム及びフッ素ゴムからなる群から選択される1種である請求項1に記載の多層構造体。
  3. 無機粒子(B)が、クレー、タルク、マイカ、ガラスビーズ及びシラスバルーンからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載の多層構造体。
  4. 無機粒子(B)の平均粒子径が6μm以上である請求項1〜3のいずれかに記載の多層構造体。
  5. 前記ゴム層の厚みが10〜50μmである請求項1〜4のいずれかに記載の多層構造体。
  6. 前記金属板と前記ゴム層との間に接着剤層を有する請求項1〜5のいずれかに記載の多層構造体。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の多層構造体からなるシール材。
  8. 請求項7に記載のシール材からなるガスケット。
  9. 請求項7に記載のシール材からなるワッシャー。
  10. 前記金属板の表面に前記ゴム組成物を塗布する塗布工程と、塗布された該ゴム組成物を加熱することによって加硫する加硫工程を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の多層構造体の製造方法。
  11. 前記塗布工程において、
    前記金属板をゴム液に浸す工程1と、
    前記ゴム液が入ったゴム液槽の上方に設けられた2本のロッドを近接させて、該ロッドの間隔を前記金属板の厚さよりも広い所定の間隔とする工程2と、
    前記ゴム液に浸された前記金属板を、2本のロッドの間を通して引き上げながら該ロッドでゴム液層の表面を均して前記金属板の表裏面にゴム液層を形成する工程3とを有する請求項10に記載の製造方法。
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