JP2024050067A - 硬化性組成物およびシーリング剤 - Google Patents

硬化性組成物およびシーリング剤 Download PDF

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Abstract

【課題】貯蔵安定性に優れる硬化性組成物を提供する。【解決手段】下記(A)~(C)成分を含有することを特徴とする、硬化性組成物。(A)フッ素ゴム。(B)ジアミン系架橋剤。(C)炭酸エステル。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性組成物に関する。より詳細には、貯蔵安定性に優れる硬化性組成物およびシーリング剤に関する。
硬化性組成物は、生産性ないし加工性等の観点から、ゴム成分等の固形分と、固形分を溶解するための溶媒とを含有する剤型として広く活用されている。具体的には、対象物の表面に塗工する剤型であるコーティング剤、シーリング剤、接着剤等として、各種工業分野において広く活用されている。
例えば、固形分としてフッ素ゴムを含有する硬化性組成物からなるコーティング剤やシーリング剤等は、耐薬品性、耐溶剤性、耐熱性等に優れた特性を示すことから、自動車関連製品等のように、過酷な環境下において用いられる工業製品において有効に活用されている。
特許文献1には、自動車用の金属ガスケットコーティング等に有用な硬化性組成物として、非晶質ペルオキシド硬化性のフッ素ゴムと、ペルオキシドと、溶媒とを含有する硬化性組成物からなるコーティング剤等が開示されている(特許文献1:請求項1等)。
特表2015-533924号公報
しかしながら、硬化性組成物は、スコーチに伴う貯蔵安定性の低下に課題があり、その保管方法や輸送方法等に制約があるため、未だ改善の余地がある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、貯蔵安定性に優れる硬化性組成物を提供することを目的とする。
即ち、本発明者等は、硬化性組成物の貯蔵安定性を向上させる手法を種々検討する過程において、硬化性組成物に含まれる溶媒および架橋剤の各成分と貯蔵安定性との技術的関連性に着目した。本発明者等は、溶媒の種別および架橋剤の種別が貯蔵安定性に与える影響について更に研究を重ねた結果、意外にも、特定のゴム成分、特定の架橋剤、および特定の溶媒を併用することによって、貯蔵安定性に優れる硬化性組成物を提供し得ることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[5]を、その要旨とする。
[1] 下記(A)~(C)成分を含有することを特徴とする、硬化性組成物。
(A)フッ素ゴム。
(B)ジアミン系架橋剤。
(C)炭酸エステル。
[2] 前記(C)が、沸点200℃以下の炭酸エステルである、[1]記載の硬化性組成物。
[3] 前記(C)が、炭酸ジメチルである、[1]または[2]記載の硬化性組成物。
[4] 前記(C)の含有量が、前記硬化性組成物全量に対して、15~99質量%である、[1]~[3]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[5] [1]~[4]のいずれかに記載の硬化性組成物からなるシーリング剤。
本発明によれば、貯蔵安定性に優れる硬化性組成物を提供できる。
本発明の好ましい実施形態によれば、貯蔵安定性に優れると共に、成膜性やシーリング性に優れる硬化性組成物を提供できる。
本発明の実施形態について詳しく説明する。ただし、本発明は、この実施形態に限られるものではない。
本発明の一実施形態である硬化性組成物(以下、「本硬化性組成物」という場合がある)は、下記(A)~(C)成分を含有することを特徴とする。
(A)フッ素系ゴム。
(B)ジアミン系架橋剤。
(C)炭酸エステル。
本硬化性組成物において、各種ゴムのなかでも特に(A)フッ素ゴム、各種架橋剤のなかでも特に(B)ジアミン系架橋剤、および、各種溶媒のなかでも特に(C)炭酸エステルを用いることが重要である。とりわけ、硬化性組成物の貯蔵安定性を効果的に向上させるためには、架橋剤として(B)ジアミン系架橋剤を用いると共に、溶媒として(C)炭酸エステルを用いることが特に重要である。本硬化性組成物は、貯蔵安定性に優れると共に、成膜性に優れるものである。また、本硬化性組成物は、シーリング性にも優れるものである。
(A)~(C)成分を含有する硬化性組成物とすることによって貯蔵安定性が向上する理由は必ずしも明らかではないが、貯蔵安定性の低下はスコーチ(早期架橋)を一因とする現象であるところ、本発明者等は、(C)炭酸エステルが(B)ジアミン系架橋剤と溶媒和を形成することにより、(A)フッ素ゴムの架橋反応を抑制することによって、硬化性組成物の貯蔵安定性が向上するものと推察している。
以下、本硬化性組成物の構成原料等について詳しく説明する。
〔(A)フッ素ゴム〕
本硬化性組成物に用いられる(A)フッ素ゴムは、主鎖または側鎖にフッ素原子を含有する単独重合体または共重合体からなるゴムである。通常、フッ素原子を含有する単量体(モノマー)を重合または共重合することによって得られる。(A)フッ素ゴムは、単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
(A)フッ素ゴムの具体例としては、例えば、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、テトラフルオロエチレン、ビニルフルオライド等のフルオロオレフィン;パーフルオロメチルビニルエーテル、パーフルオロプロピルビニルエーテル等のフルオロアルキルビニルエーテル等の単量体等を重合または共重合させて得られるゴムが挙げられる。(A)フッ素ゴムは、二元系フッ素ゴムや三元系フッ素ゴムであってもよい。
二元系フッ素ゴムとしては、例えば、ビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/プロピレン等が挙げられる。三元系フッ素ゴムとしては、例えば、ビニリデンフロライド/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド/テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等が挙げられる。
これらのなかでも、ビニリデンフルオライド由来の構成単位を含有する二元系フッ素ゴムまたは三元系フッ素ゴムが好ましく、より好ましくはビニリデンフルオライド由来の構成単位を含有する二元系フッ素ゴムであり、更により好ましくはビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレン共重合体である。
(A)フッ素ゴムにおけるフッ素含有量は、特に限定されないが、耐薬品性等の観点から、65質量%以上が好ましく、より好ましくは66質量%以上である。フッ素含有量の上限値は特に限定されないが、通常、71質量%以下である。なお、(A)フッ素ゴムのフッ素含有量とは、(A)フッ素ゴムの全質量に対する全フッ素原子を合計した質量の割合を意味する。
(A)フッ素系ゴムのムーニー粘度(ML1+10(100℃))は、特に限定されないが、40~100が好ましく、より好ましくは50~80である。なお、ムーニー粘度は、JIS K6300に準拠して測定される。
(A)フッ素ゴムの含有量は、本硬化性組成物全量(100質量%)に対して、通常、1質量%以上であり、好ましくは5~30質量%、より好ましくは10~25質量%、更により好ましくは12~25質量%である。(A)フッ素ゴムの含有量が前記範囲よりも少なすぎるとシーリング性が低下する傾向があり、前記範囲よりも多すぎると塗工性が悪化する(斑が発生する)傾向がある。
また、(A)フッ素ゴムの含有量は、本硬化性組成物に含まれる固形分全量(100質量%)に対して、例えば、70~85質量%であり、75~80質量%が好ましい。(A)フッ素ゴムの含有量が前記範囲よりも少なすぎるとシーリング性が低下する傾向があり、前記範囲よりも多すぎると塗工性が悪化する(斑が発生する)傾向がある。
〔(B)ジアミン系架橋剤〕
本硬化性組成物に用いられるジアミン系架橋剤としては、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、ヘキサメチレンテトラミン等の脂肪族ポリアミン類、p-フェニレンジアミン、クメンジアミン、N,N'-ジシンナミリデン-1,6-ヘキサンジアミン等の芳香族ポリアミン類、エチレンジアミンカーバメート、ヘキサメチレンジアミンカーバメート等のアミンカルバミン酸塩類等が挙げられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、硬化性組成物の貯蔵安定性を向上させる観点から、芳香族ポリアミン類が好ましく、より好ましくはN,N'-ジシンナミリデン-1,6-ヘキサンジアミンである。
(B)ジアミン系架橋剤の含有量は、硬化性組成物の貯蔵安定性を向上させる観点から、(A)フッ素ゴム100質量部に対して、0.1~10質量部が好ましく、より好ましくは0.5~8質量部であり、更により好ましくは1~6質量部である。(B)ジアミン系架橋剤の含有量が前記範囲よりも少なすぎるとシーリング性が低下する傾向があり、前記範囲よりも多すぎると貯蔵安定性が低下する傾向がある。
〔(C)炭酸エステル〕
本硬化性組成物に用いられる炭酸エステルとしては、例えば、炭酸ジメチル(沸点:約90℃)、炭酸ジエチル(沸点:約126℃)、炭酸ジプロピル(沸点:約167℃)、炭酸ジブチル(沸点:約206℃)、炭酸ジカプリリル(沸点:約117℃)、炭酸ジイソプロピル(沸点:約147℃)、炭酸エチルメチル(沸点:約107℃)等が好適に用いられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
炭酸エステルは、一般的な溶媒に比べてヘテロ(酸素)原子を多く有する溶媒であること等に起因して、極性架橋剤である(B)ジアミン系架橋剤と溶媒和を形成しやすく、(A)フッ素ゴムの加硫反応を抑制することができるため、硬化性組成物の貯蔵安定性の向上に寄与し得ると推察される。
本硬化性組成物に用いられる炭酸エステルとしては、硬化性組成物の貯蔵安定性と共に、成膜性を向上させる観点から、沸点200℃以下の炭酸エステルが好ましい。炭酸エステルの沸点が200℃超になると成膜性やシーリング性が低下する傾向がある。かかる観点から、炭酸エステルの沸点は、より好ましくは180℃以下、更により好ましくは150℃以下、特に好ましくは110℃以下である。具体的には、炭酸ジメチル(沸点:約90℃)、炭酸ジエチル(沸点:約126℃)が好ましく、より好ましくは炭酸ジメチル(沸点:約90℃)である。なお、かかる沸点の下限値は、通常50℃以上である。
(C)炭酸エステルの含有量は、硬化性組成物の貯蔵安定性や成膜性を向上させる観点から、本硬化性組成物全量(100質量%)に対して、15~99質量%が好ましく、より好ましくは15~90質量%、更により好ましくは20~85質量%、特に好ましくは35~80質量%、殊に好ましくは50~80質量%である。(C)炭酸エステルの含有量が前記範囲よりも少なすぎると貯蔵安定性が低下する傾向がある。
〔炭酸エステル以外の溶媒〕
本硬化性組成物は、(C)炭酸エステルと、炭酸エステル以外の溶媒とを併用してもよい。炭酸エステル以外の溶媒としては、特に限定されないが、例えば、トルエン、キシレン、n-ヘキサン等の芳香族または脂肪族炭化水素、酢酸メチル、酢酸エチル等のカルボン酸エステル、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン等のケトン類、水等が挙げられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸メチルからなる群より選ばれる1種以上が好ましく、より好ましくはアセトン、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)からなる群より選ばれる1種以上である。
(C)炭酸エステルおよび炭酸エステル以外の溶媒を併用する場合、(C)炭酸エステルの含有量は、硬化性組成物の貯蔵安定性や成膜性を向上させる観点から、本硬化性組成物全量(100質量%)に対して、15~30質量%が好ましく、更により好ましくは16~25質量%である。また、炭酸エステル以外の溶媒の含有量は、硬化性組成物全量(100質量%)に対して、30質量%以上であることが好ましく、より好ましくは35~75質量%、更により好ましくは45~70質量%である。
(C)炭酸エステルおよび炭酸エステル以外の溶媒を併用する場合、混合溶媒の沸点は、200℃以下が好ましく、より好ましくは180℃以下、更により好ましくは150℃以下、特に好ましくは110℃以下である。なお、かかる沸点の下限値は、通常50℃以上である。なお、混合溶媒の沸点は、JIS K2233-1989「自動車用非鉱油系ブレーキ液」、「平衡還流沸点試験方法」に準じて測定することができる。
〔その他の成分〕
本硬化性組成物には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、硬化性組成物中に配合される通常の成分を用いることができる。例えば、補強剤、受酸剤、加工助剤、可塑剤、着色剤、安定剤、粘着付与剤、離型剤、ジアミン系架橋剤以外の架橋剤、架橋促進剤、フッ素ゴム以外のゴム成分等を含有させることができる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
〔補強剤〕
補強剤としては、例えば、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム等が挙げられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、硬化物の機械的強度の観点から、カーボンブラック、シリカが好ましく、より好ましくはカーボンブラックである。
カーボンブラックとしては、例えば、SAF級、ISAF級、HAF級、MAF級、FEF級、GPF級、SRF級、FT級、MT級等の種々のグレードのカーボンブラックが挙げられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、MT級のカーボンブラックが好ましい。
カーボンブラックのヨウ素吸着量は、10~150mg/gが好ましく、より好ましくは10~75mg/g、更により好ましくは20~65mg/gである。また、カーボンブラックのDBP(フタル酸ジブチル)吸収量は、例えば、20~180mL/100gが好ましく、より好ましくは20~150mL/100gである。
なお、カーボンブラックのヨウ素吸着量は、JIS K 6217-1(A法)に準拠して測定された値であり、カーボンブラックのDBP吸収量は、JIS K6217-4に準拠して測定された値である。
補強剤の含有量は、硬化物の機械的強度を調整する観点から適宜設定されるが、例えば、(A)フッ素ゴム100質量部に対して、5~50質量部が好ましく、より好ましくは10~40質量部、更により好ましくは15~30質量部である。
〔受酸剤〕
受酸剤としては、例えば、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等が挙げられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
受酸剤の含有量は、(A)フッ素ゴム100質量部に対して、例えば、1~30質量部が好ましく、より好ましくは2~25質量部、更により好ましくは3~20質量部である。
本硬化性組成物の好ましい実施形態としては、例えば、(A)フッ素系ゴム、(B)ジアミン系架橋剤、(C)炭酸エステル、補強剤、および、受酸剤を含有する硬化性組成物が挙げられる。前記補強剤としては前述のカーボンブラックを用いることが好ましい。
〔本硬化性組成物の調製方法〕
本硬化性組成物は、(A)~(C)成分を用い、更に、必要に応じて、その他の成分を用いて、これらをニーダー、バンバリーミキサー、オープンロール、二軸スクリュー式撹拌機等の混練機を用いて混練することにより、調製することができる。混練の温度条件としては、特に限定はされないが、例えば50~100℃が好ましく、より好ましくは60~90℃である。
〔本硬化性組成物の硬化方法〕
本硬化性組成物の硬化方法は、特に限定されるものではないが、好適な条件としては、例えば、150~170℃、5~30分間の条件において熱処理することにより硬化物(加硫体)を得ることができる。
〔本硬化性組成物の用途〕
本硬化性組成物は、各種の用途に使用可能であるが、好適な用途としては、各種基材の表面に被膜を形成するために用いられるコーティング剤、水密や気密を必要とする構成部材間の間隙に用いられるシーリング剤、或いは、構成部材同士を接着するために用いられる接着剤等が挙げられる。より具体的には、例えば、燃料用ホース等の産業用ホースと継手部材の間隙に用いられるシーリング剤、多層構造を有する燃料用ホース等の産業用ホースにおける層間接着剤等の用途が挙げられる。
本硬化性組成物からなるシーリング剤、コーティング剤または接着剤等を塗工する方法としては、公知の方法から適宜選択することができる。具体的には、ディスペンシング、スプレー、インクジェット、スクリーン印刷、グラビア印刷、ディッピング、スピンコート等の各種方法を適宜選択し、塗工することができる。
〔燃料用ホースに用いられるシーリング剤および連結構造体〕
本硬化性組成物からなるシーリング剤(以下、「本シーリング剤」という場合がある。)の好適な実施形態としては、燃料用ホースの内周面と、燃料用ホースに連結される継手部材の外周面との間隙に形成されるシーリング剤の硬化物が挙げられる。また、燃料用ホースと、燃料用ホースの一端側に連結される継手部材とを有し、継手部材の外周面と燃料用ホースの内周面との間隙に本シーリング剤の硬化物を介在させてなる連結構造体が挙げられる。
前記燃料用ホースとしては、特に限定されないが、例えば、自動車用燃料用ホースが挙げられる。具体的には、燃料(ガソリン、ガソリン蒸気等)と接触するフィラーネックホース、ブリーザーホース、エバポレーションホース、パージホース等が挙げられる。
燃料用ホースを構成する材料に含まれるゴム成分としては、特に限定されないが、例えば、NBR(ニトリルゴム)、CR(クロロプレンゴム)、CSM(クロロスルフォン化ポリエチレン)、FKM(フッ素ゴム)、ECO(エピクロロヒドリンゴム)、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)等が挙げられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
なお、燃料用ホースは、単層構造体であっても、単層構造体の外周に少なくとも1つの層を形成した多層構造体であってもよい。
前記継手部材は、公知の部材であり、例えば、燃料用ホースと他の燃料用ホースとを接続するため、または、燃料用ホースと燃料の供給先である機器類とを接続するために用いられる筒状部材である。燃料用ホースと機器類とを接続する継手部材としては、例えば、SUSやアルミ合金等の金属材料や、ナイロン等の樹脂で形成された中空筒状の本体部の一端側に機器類と接続する口金部が形成される一方、本体部の他端側には燃料用ホースに接続する管部が形成されている。
継手部材の本体部の他端側に形成された管部の外周面と、管部に外嵌された燃料用ホースの内周面(最内周面)の間隙に形成されるシーリング剤の硬化物(シーリング層)の形成方法は、例えば、継手部材の本体部の他端側に形成された管部の外周面に対して、本シーリング剤を塗工する塗工工程と、塗工された本シーリング剤を加熱する熱処理工程とを有する成膜方法が挙げられる。具体的には、塗工工程としては、例えば、ディップする方法が好ましく、熱処理工程としては、例えば、乾燥炉を用いて40~80℃条件下において乾燥した後、熱風炉を用いて150~170℃条件下において加熱して硬化(架橋)させる方法が好ましい。シーリング層が成膜された管部に対して、例えば、別途成形された燃料用ホースを外嵌することにより、本シーリング剤の硬化物からなるシーリング層を有する連結構造体が製造される。
本シーリング剤からなるシーリング層を有する燃料用ホースの連結構造体は、水密や気密状態を維持する機能を奏するため、シーリング性に優れている。とりわけ、本シーリング剤の硬化物は、金属材料で形成された継手部材に対して強固に固着するため、優れたシーリング性を発揮するものである。かかる優れたシーリング性を発揮する理由は、各種架橋剤の中でも特にジアミン系架橋剤を用いていることにより、金属密着性に優れると推察される。これらはシーリング剤の成膜から熱処理においては酸素が存在する大気中で行うために、過酸化物架橋系では架橋が阻害される。また、ポリオール架橋系は架橋に比較的高い熱エネルギーを必要とする。これらの理由から酸素存在下においても架橋阻害が起こらず、比較的低い熱エネルギーにおいても架橋するジアミン架橋系が金属との固着性が有利に働くと考えられる。
〔燃料用ホースの層間接着剤〕
本硬化性組成物からなる接着剤の好適な実施形態としては、多層構造体からなる燃料用ホースに用いられる層間接着剤が挙げられる。
多層構造体からなる燃料用ホースの層数や層構成材料は特に限定されないが、例えば、NBRやFKM等のゴム成分から形成される最内層、ポリビニルアルコール等から形成される低透過層、NBRやFKM等のゴム成分から第1外層、PET等の補強糸を網組してなる補強層、ECO等のゴム成分からなる第2外層が、内側から順次積層された多層構造体からなる燃料用ホースが挙げられる(例えば、特開2008-114452号参照)。
本硬化性組成物からなる層間接着剤を用いた燃料用ホースの製造方法は、特に限定されないが、例えば、接着対象となる一方の層を管状に押出形成し、その外周面に層間接着剤を塗工した後、塗工面に対して他方の層を管状に押出成形し、スチーム架橋を行う方法が挙げられる。
本発明の実施例および比較例を説明する。ただし、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。まず、下記の原料を準備した。
〔フッ素ゴム(FKM)〕
・ビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(フッ素含有量:66質量%、ムーニー粘度(ML1+10(100℃)):65)
〔ジアミン系架橋剤〕
・N,N’-ジシンナミリデン-1,6-ヘキサンジアミン
〔炭酸エステル〕
・炭酸ジメチル
〔その他の溶媒〕
・メチルエチルケトン(MEK)
・トルエン
・アセトン
〔補強剤〕
・MT級カーボンブラック(ヨウ素吸着量:20mg/g、DBP吸油量:44mL/100g)
〔受酸剤〕
・酸化マグネシウム
[実施例1~4、比較例1~4]
次に、前記各原料を、表1に示す割合で配合して混練することにより、硬化性組成物を調製した。具体的には、フッ素ゴム等の固形分を、ニーダーを用いて混練し、更に、各種溶媒を加えて混合・撹拌して、硬化性組成物を調製した。なお、前記固形分とは、フッ素ゴム100質量部に対し、補強剤を20質量部、受酸剤を4質量部、ジアミン系架橋剤を3質量部として配合したものである。
また、表1に示す炭酸エステル含有量(%)は、前記固形分および炭酸エステル等の溶媒の合計含有量(硬化性組成物全量)に対する炭酸エステルの含有割合を示すものである。
前記で得られた実施例および比較例の硬化性組成物を用い、下記の基準に従って、各特性の評価を行った。
<貯蔵安定性評価試験>
硬化性組成物の貯蔵安定性を評価するため、調製直後の粘度(初期粘度)、および、低温(5℃)雰囲気下に3週間静置した後、常温(23℃)雰囲気下に1週間静置した後の粘度(貯蔵後粘度)を測定した。そして、初期粘度を100としたときの指数を用いて貯蔵後粘度を示した。
このとき、貯蔵後粘度の指数が250未満のものを「〇」、当該指数が250以上のもの、またはゲル化したものを「×」と評価した。
なお、上記粘度の測定は、JIS K 6833、6.3に準拠して行った。具体的には、粘度計は東機産業社製のTVB-10を使用し、ローターはM2を使用した。また、初期粘度および貯蔵後粘度の測定温度は23℃であり、回転数は12rpmとし、1分間回転させた後の測定値を粘度とした。
<成膜性評価試験>
硬化性組成物の成膜性(乾燥性)を評価するため、鉄製板(縦70mm×横150mm×厚み0.8mm)の表面に、ディップにより、硬化性組成物を塗工し、70℃、10分間の条件で乾燥し、更に23℃、5分間風乾した後、被膜の中央を指で触れ、粘着性を有さないものを「〇」、粘着性を有するものを「×」と評価した。
<シーリング性(密着性)評価試験>
硬化性組成物のシーリング性(密着性)を評価するため、鉄製板(縦70mm×横150mm×厚み0.8mm)の表面に、ディップにより、硬化性組成物を塗工し、70℃、10分間の条件で乾燥し、更に23℃、5分間風乾し、160℃、10分間の条件で熱処理することにより、各硬化性組成物の被膜を作製して試験用サンプルを得た。試験用サンプルにおける被膜の厚さは0.01mmであった。
JIS K5600-5-4に準拠して、鉛筆を試験面に対して45°になるように設置し、荷重750g、速度1mm/sで引っかき、傷の有無からシーリング性(密着性)を下記基準により評価した。
〔評価基準〕
○・・・2H以上。
×・・・H以下または乾燥不足による試験不可。
Figure 2024050067000001
表1に示す結果から、本発明の各実施例は、(A)フッ素ゴム、(B)ジアミン系架橋剤、(C)炭酸エステルを含有するため、貯蔵安定性に優れていることが確認された。また、本発明の各実施例は、貯蔵安定性のみならず、成膜性およびシーリング性にも優れていることが確認された。
他方、(A)フッ素ゴム、(B)ジアミン系架橋剤を含有するものの、(C)炭酸エステルを含有しない各比較例は、本発明の実施例に比して、貯蔵安定性に劣ることが確認された。
本発明の硬化性組成物は、例えば、コーティング剤、シーリング剤、接着剤等として好適に用いることができる。より具体的には、例えば、燃料用ホースと継手部材の間隙に用いられるシーリング剤、多層構造を有する燃料用ホースにおける層間接着剤等の用途が好適である。

Claims (5)

  1. 下記(A)~(C)成分を含有することを特徴とする、硬化性組成物。
    (A)フッ素ゴム。
    (B)ジアミン系架橋剤。
    (C)炭酸エステル。
  2. 前記(C)が、沸点200℃以下の炭酸エステルである、請求項1記載の硬化性組成物。
  3. 前記(C)が、炭酸ジメチルである、請求項1または2記載の硬化性組成物。
  4. 前記(C)の含有量が、前記硬化性組成物全量に対して、15~99質量%である、請求項1または2記載の硬化性組成物。
  5. 請求項1または2記載の硬化性組成物からなるシーリング剤。
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