WO2006025173A1

WO2006025173A1 - エンジンの位相可変装置

Info

Publication number: WO2006025173A1
Application number: PCT/JP2005/014071
Authority: WO
Inventors: Hiroaki Watanabe; Koichi Honma
Original assignee: Nittan Valve Co., Ltd.
Priority date: 2004-09-01
Filing date: 2005-08-02
Publication date: 2006-03-09
Also published as: EP1832719A4; EP1832719A1; US20090260590A1; CN1993538A; JPWO2006025173A1; KR20070047284A

Abstract

　【課題】　自動車用のエンジンの可変位相装置において、摩擦による発熱を生じないようにする。　【解決手段】　エンジンのクランクシャフトの回転が伝達されるスプロケット（１２）を有する外筒部（１０）と、外筒部に相対回転可能でエンジンの吸気弁又は排気弁を開閉させるカムシャフト（２）に連結された内筒部（２０）と、外筒部及び内筒部にヘリカルスプラインで噛み合う中間部材（３０）とを備え、中間部材を軸方向に移動させることによって、外筒部と内筒部の間に相対回転を生じさせて、吸気弁又は排気弁の開閉タイミングを変化させる位相可変装置において、中間部材に螺合するとともに永久磁石とされた回転ドラム（４４）と、回転ドラムを制動又は加速する電磁クラッチ（４２）とを有する電磁制御手段（４０ａ）を備える。　　

Description

明細書

エンジンの位相可変装置

技術分野

[0001] 本発明は、自動車用エンジンのクランクシャフトの回転をエンジンの吸気弁又は排気弁を開閉させるためのカムシャフトに伝達するとともに、エンジンの負荷や回転数等の運転状態によって吸気弁又は排気弁の開閉タイミングを変化させる自動車用ェンジンの位相可変装置に関する。

背景技術

[0002] この種の位相可変装置としては、本出願人らの提案による下記特許文献 1に開示されたようなものが知られている。これを図 7に示す。

[0003] この位相可変装置は、吸気弁又は排気弁を開閉するため、図示しないエンジンケース (位相可変装置用カバー）に組み付けた形態で用いられ、エンジンのクランクシャフトの駆動力力図示しないチェーンによって伝達されるスプロケット 12を有する円環状の外筒部 10と、この外筒部 10と同軸に配置されて外筒部 10に対し相対回動可能で、カムシャフト 2の一部を構成する従動側の円環状の内筒部 20と、外筒部 10と内筒部 20にそれぞれヘリカルスプライン係合して外筒部 10と内筒部 20間に介装され、軸方向に移動して外筒部 10に対する内筒部 20の位相を変える中間部材 30と、内筒部 20のカムシャフト 2の配設された側と反対側に設けられて、中間部材 30を軸方向に移動させる電磁制御手段である電磁ブレーキ 40とを備えて、る。このカムシャフト 2には、吸気弁又は排気弁の一方を開閉するためのカム 2aが設けられる。

[0004] 外筒部 10は、内周縁にリング状の凹部 13が設けられたスプロケット 12と、スプロケット 12の側面に密着し、凹部 13と協働してフランジ係合溝 13Aを画成する内フランジプレート 14と、内フランジプレート 14をスプロケット 12に共締め固定し、中間部材 3 0とのスプライン係合部 17が内周に形成されたスプラインケース 16とから構成されている。外筒部 10の凹部 13の開口側の大径凹部 13a、凹部 13の奧側の小径凹部 13 bで、両凹部 13a, 13b間には、内筒部 20側のフランジ 24の外周縁と正対する段差部 13cが設けられて!/、る。スプロケット 12と内フランジプレート 14とスプラインケース 1 6は、締結ねじ 11によって一体化されているので、フランジ係合溝 13Aと、スプラインケース 16におけるスプライン係合部 17の形成が容易になって、る。

[0005] なお、外筒部 10には小径スプロケット 12Aが固着されている力この小径スプロケット 12Aは、図示省略するが、吸気弁又は排気弁の他方を開閉するための位相可変装置のスプロケットとチェーンで連結されて、吸気弁と排気弁の両方を開閉制御するためのものである。

[0006] ところで、中間部材 30の内外周面には雌雄のへリカルスプライン 32、 33が設けられ、内筒部 20の外周面には雄へリカルスプライン 23が設けられ、スプラインケース 1 6の内周面のスプライン係合部 17には雌へリカルスプラインが形成されてヽる。そして、中間部材 30の内外のスプライン 32, 33は逆方向のへリカルスプラインとされていて、中間部材 30の軸方向への僅かな移動で、外筒部 10に対し内筒部 20の位相を大きく変化させることができるようになつている。中間部材 30の外周面には雄ねじ部 3 1が形成されている。

[0007] 電磁ブレーキ 40は、クラッチケース 60内に電磁石（電磁コイル） 62を備え、クラッチケース表面に摩擦材 66を固着した電磁クラッチ 42と、電磁クラッチ 42の摩擦材 66から制動力を受けるため強磁性体力もなる回転ドラム 44と、回転ドラム 44と外筒部 10 間に軸方向に介装されたねじりコイルばね 46とから構成される。電磁クラッチ 42は、ピン 68がエンジンケースに設けた孔に係合していて、軸方向に移動可能だが回転不能にエンジンケースに支持される。回転ドラム 44は、ベアリング 22によって内筒部 20 に回転可能に支承され、中間部材 30の雄ねじ部 31に螺合する雌ねじ部 45が形成されている。回転ドラム 44が外筒部 10に対して相対回転すると、両ねじ部 45, 31の働きによって中間部材 30は軸方向に移動する。

[0008] 電磁クラッチ 42が OFFのときは、回転ドラム 44には制動力が働かないため、回転ドラム 44と外筒部 10とは、ねじりコイルばね 46によって初期位置に固定され、外筒部 1 0, 内筒部 20, 中間部材 30および回転ドラム 44は一体に回転し、外筒部 10と内筒部 20には位相差を生じない。すると、内筒部 20はカムシャフト 2に連結され、外筒部 10はクランクシャフトに設けられたクランクプーリとチェーンで連結されているので、クランクシャフトの回転に応じて、通常のタイミングで吸気弁又は排気弁を開閉することができる。

電磁クラッチ 42を ONにすると、電磁クラッチ 42に設けた摩擦材 66と回転ドラム 44 には摩擦による制動力が作用する。制動力が回転ドラム 44に作用すると、回転ドラム 44が外筒部 10に対して回転遅れが生じ、中間部材 30がねじ部 31, 45の働きによつて図 7で右方向に移動し、中間部材 30の内外へリカルスプライン 32, 23によって、内筒部 20が外筒部 10に対し回動して、両者の位相差が変わる。そして、回転ドラム 44は、制動力とねじりコイルばね 46のばね力とがバランスする位置に保持される。電磁クラッチ 42の電磁石に供給する電流を制御すると、内筒部 20と外筒部 10とを所望の位相差に制御できる。これにより、吸気弁又は排気弁の開閉タイミングを適切に変ィ匕させることができる。

[0009] 再び、電磁クラッチ 42を OFFにすると、制動力が回転ドラム 44に働かなくなり、ねじりコイルばね 46の作用により中間部材 30は、初期位置まで回転し、ねじ部 31, 45の働きによって図 7で左方向に初期位置まで移動する。すると、内筒部 20が外筒部 10 に対し逆方向に初期位置まで回動して、両者の位相差がなくなり、通常のタイミングで吸気弁又は排気弁を開閉するようになる。

[0010] ところで、内筒部 20のフランジ 24と、外筒部 10のフランジ係合溝 13Aの側面間に摩擦トルク付加部材 51, 55が介装されて、外筒部 10と内筒部 20間の相対摺動部の摩擦トルクを高めるとともに、中間部材 30と外筒部 10および内筒部 20間のヘリカルスプライン係合部 23, 32、 33, 17における歯部同士がぶつ力る打音の発生が抑制している。

[0011] また、この位相可変装置内部には、エンジンオイル力カムシャフト 2の入口 73a、カムシャフト 2内のオイル通路、出口 73bを経て供給される。出口 73bから出たェンジンオイルは、電磁クラッチ 42表面に設けた摩擦材 66と回転ドラム 44間の摺動面との間に供給されて、摩擦材 66と回転ドラム 44との摩擦による過熱を防止するようになつている（詳細は下記特許文献 1参照)。

特許文献 1 :特開 2002— 371814号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題 [0012] 前述したように、前記位相可変装置では、摩擦材 66と回転ドラム 44の相対摺動面では、摩擦熱により摺動面温度が高温となると、エンジンオイル中に分散している酸化防止剤や摩擦調整剤、清浄分散剤等の添加剤の反応物ゃ不溶解分により、一般に多孔質材で構成されている摩擦材の表面が目詰まりし、摩擦材 66と回転ドラム 44 に発生する摩擦トルクが低下する可能性があり、摩擦材 66と回転ドラム 44との間にエンジンオイルを流すための冷却機構が必須なものとなる。この冷却機構を構成するために、位相可変装置は、複雑な構造となって、高価になるという問題があった。

[0013] 本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、自動車用のエンジンの可変位相装置にぉ、て、摩擦による発熱を生じな、ようにすることを課題とする。

課題を解決するための手段

[0014] 前記課題を達成するために、請求項 1に係る発明は、エンジンのクランクシャフトの回転が伝達されるスプロケットを有する外筒部と、該外筒部に相対回転可能でェンジンの吸気弁又は排気弁を開閉させるカムシャフトに連結された内筒部と、前記外筒部及び内筒部にヘリカルスプラインで嚙み合う中間部材とを備え、該中間部材を軸方向に移動させることによって、前記外筒部と前記内筒部の間に相対回転を生じさせて、前記吸気弁又は排気弁の開閉タイミングを変化させるエンジンの位相可変装置において、前記中間部材に螺合するとともに永久磁石とされた回転ドラムと、該回転ドラムを制動する電磁クラッチとを有する電磁制御手段を備えたことを特徴とする。

[0015] 請求項 2に係る発明は、請求項 1に係る発明において、前記回転ドラムには複数の磁極が形成され、前記電磁クラッチにも前記磁極に対応した磁極が形成されるように電磁石を配置し、該電磁石の極性を前記磁極に対して適当な位相で変化させることにより、前記回転ドラムを制動又は加速することを特徴とする。

[0016] 請求項 3に係る発明は、請求項 1又は 2に係る発明において、前記回転ドラムの内方側面に近接させて前記電磁クラッチが配置されたことを特徴とする。

[0017] 請求項 4に係る発明は、請求項 1又は 2に係る発明において、前記回転ドラムの外周付近のみが磁化され、前記回転ドラムの外周付近に近接させて前記電磁クラッチが配置されたことを特徴とする。

発明の効果 [0018] 請求項 1係る発明の位相可変装置によれば、電磁クラッチの電磁石と永久磁石である回転ドラムとの間の電磁力によって回転ドラムを制動するから、摩擦材が不要になる。また、この可変位相装置は、電磁クラッチの摩擦材と回転ドラムとの接触による摩擦熱によって高温になることがないので、エンジンオイル劣化低減効果がある。また、電磁クラッチと回転ドラムに対する冷却機構が不要となって、構造が簡単となるうえ、故障しにくぐ長寿命となる。さらに、この可変位相装置は、冷却用のエンジンォィルを少なくすることができ、し力も摩擦材が不要になることもあって、経済的である。

[0019] 請求項 2係る発明によれば、さらに、前記回転ドラムには複数の磁極が形成され、前記電磁クラッチにも前記磁極に対応した磁極が形成されるように電磁石を配置し、電磁石の極性を回転ドラムの磁極に対して適当な位相で変化させると、電磁クラッチと回転ドラムとの間に吸引力又は反発力を自由自在に持続して発生させることができ、回転ドラムの制動又は加速が自由自在となる。したがって、この位相可変装置では、電磁クラッチ 42によって回転ドラム 44の制動と加速の両方できるので、回転ドラム 4 4を初期位置に戻すねじりコイルばねが必要なくなり、部品点数を減らすことができる

[0020] 請求項 3係る発明によれば、さらに、回転ドラムの内方側面に近接させて電磁クラッチが配置されたから、従来の回転ドラムの外方側面に近接させて電磁クラッチが配置されたものより、位相可変装置の全長を短くすることができる。また、従来どおりの全長が許される場合は、中間部材の軸方向への移動範囲を広くでき、従来のものより広範囲に位相変更できる。

[0021] 請求項 4係る発明によれば、さら〖こ、回転ドラムの外周付近のみが磁化され、回転ドラムの外周付近に近接させて電磁クラッチが配置されたから、 V、つそう位相可変装置の全長を短くすることができる。また、電磁クラッチが回転ドラムの側方にないから、回転ドラムの直径を小さくすることもできて、回転ドラムの慣性モーメントも小さくでき、この位相可変装置の応答性を良くすることができる。さらに、回転ドラムが軸方向へ移動しても、回転ドラムと電磁クラッチとが常に等距離に保たれるため、高精度で安定な位相制御が可能となる。

発明を実施するための最良の形態 [0022] 次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。

[0023] 図 1及び図 2に、本発明の位相可変装置の電磁ブレーキに係る第 1実施例を示す。図 1の (A)は、この位相可変装置の縦断面図であり、図 1の（B)は、この位相可変装置の回転ドラム 44の正面図であり、図 1の（C)は、この位相可変装置の電磁クラッチ 42の正面図である。図 2は、この電磁クラッチ 42の電磁石 62への電流供給回路を示す図である。

[0024] 本実施例の位相可変装置は、後述する回転ドラム 44及び電磁クラッチ 42とからなる電磁制御手段 40aと、同じく電磁石 62への電流供給回路以外は、前記従来の位相可変装置と同じである。以下、本実施例については、従来と同じ部分の説明を省略して、電磁制御手段 40aと電磁石 62への電流供給回路について説明する。

[0025] この位相可変装置の電磁制御手段 40aでは、図 1の（B)に示したように、回転ドラム 44は、周方向に沿って N極と S極が交互に 6つの磁極 N、 Sが現れるように軸方向に向けて強く磁ィ匕された永久磁石となっており、また、図 1の（C)に示したように、電磁クラッチ 42は、回転ドラム 44の外方側面に近接して配置され、クラッチケース内に直列接続された 3つの電磁石（電磁コイル） 62を周方向に沿って回転ドラム 44の磁極 N、 Sと対応させた位置に配置している。また、この電磁制御手段 40aでは、回転ドラム 4 4を初期位置に付勢するためのねじりコイルパネを備えておらず、さらに、電磁クラッチ 42は、エンジンケース 58に対して軸方向及び径方向移動可能にされておらず、回転ドラム 44に摺接する摩擦材も備えて、な、。

[0026] 電磁石 62への電流供給回路は、図 2に示したように、電源 Vcc力電磁石 62に供給される電流を制御する 4つの電流制御器（トランジスタ） 64a〜64dと、各電流制御器 64a〜64dに制御信号を送るコントローラ 65と力もなる。コントローラ 65からの制御信号により、互いに対角に位置する一対の電流制御器 64a、 64dと、互いに対角に位置する別の一対の電流制御器 64b、 64cとを交互に ON、 OFFさせることによって、電磁石 62の極性を交互に変えることができる。この際、回転ドラム 44の磁極 N、 S に対する電磁石 62の相対位相を図示しない適当な回転検出センサで検出して、電磁石 62に供給する電流の極性切換を回転ドラム 44の回転に同期させるとともに、磁極 N、 Sに対して適当な位相 (位相遅れ又は位相進み)で制御すると、各電磁石 62と回転ドラム 44間に吸引力又は反発力の一方のみが持続して働くようにでき、これにより回転ドラム 44を自由自在に制動又は加速することができる。

[0027] また、コントローラ 65には、図示しないクランクプーリとカムシャフト 2それぞれに設けられた図示しない回転検出センサからの信号が送られてきて、て、コントローラ 65は、クランクプーリに対するカムシャフト 2の位相を検出している。そして、コントローラ 65 は、エンジン回転数やアクセル位置等に応じた指令位相差を算出して、クランクブーリに対するカムシャフト 2の位相制御をしている。すなわち、コントローラ 65は、制御信号を各電流制御器 64a〜64dへ送って、クランクプーリとカムシャフト 2の位相差が指令位相差に等しくなるまで回転ドラム 44を制動又は加速し、クランクプーリとカムシャフト 2の位相差を指令位相差に一致させるように制御することができる。ここで用いたクランクプーリに対するカムシャフト 2の位相を検出する回転検出センサは、前述した回転ドラム 44の磁極 N、 Sに対する電磁石 62の位相検出センサとしても使用することができる。

[0028] 本実施例の位相可変装置によれば、電磁クラッチ 42の電磁石 62と回転ドラム 44との間の吸引力又は反発力によって、回転ドラム 44に制動又は加速を行うため、両者間に摩擦を生じないので、電磁クラッチ 42に摩擦材が不要となる。また、この位相可変装置によれば、電磁制御手段 40aは、摩擦熱によって高温になることがないので、冷却機構が不要となって、構造も簡単になり、故障しにくぐ長寿命となる。そして、冷却用のエンジンオイルを少なくすることができ、し力も摩擦材が不要になることもあつて経済的である。さらに、電磁クラッチ 42によって回転ドラム 44の制動と加速の両方できるので、回転ドラム 44を初期位置に戻すねじりコイルばねが必要なくなり、部品点数を減らすことができる。

[0029] 図 3に、本発明の位相可変装置に係る第 2実施例を示す。図 3の (A)は、この位相可変装置の縦断面図であり、図 3の（B)は、この位相可変装置の回転ドラム 44の正面図であり、図 3の（C)は、この位相可変装置の電磁クラッチ 42の正面図である。

[0030] この位相可変装置では、図 3の (A)に示したように、前記第 1実施例とは、電磁クラツチ 42と回転ドラム 44の配置とエンジンケース 58への取付方が相違する。すなわち、電磁クラッチ 42は、回転ドラム 44の内方側面に近接して配置されるとともに、回転ドラム 44の軸部 44aにベアリング等の軸受 43を介して支持されている。さらに、電磁クラッチ 42に設けたピン 42aをエンジンケース 58の回り止め溝 58aに係合させて、電磁クラッチ 42の回転規制が行われている。回り止め溝 58aとピン 42aを係合させたため、電磁クラッチ 42は回転ドラム 44との距離を一定に保ったまま軸方向に移動できるようになつている。これ以外は前記第 1実施例と同じである。

[0031] 本実施例の位相可変装置によれば、電磁クラッチ 42が回転ドラム 44の内方に配置されるので、前記第 1実施例のものより全長を短くすることが可能である。また、電磁クラッチ 42は回転ドラム 44との距離を一定に保って、るので、回転ドラム 44へカ卩える制動力又は加速力が一定に保たれ、高精度で安定した位相制御が可能になる。

[0032] 図 4に、本発明の位相可変装置に係る第 3実施例を示す。図 4の (A)は、この位相可変装置の縦断面図であり、図 4の（B)は、この位相可変装置の回転ドラム 44の正面図であり、図 4の（C)は、この位相可変装置の電磁クラッチ 42の正面図である。

[0033] この位相可変装置では、図 4の (A)に示したように、前記第 1実施例とは、電磁クラツチ 42を回転ドラム 44の外周に近接して配置し、図 4の（B)に示したように、回転ドラム 44の外周付近のみを磁化させた点で相違し、これ以外は、前記第 1実施例と同じである。なお、磁気力の大きさは磁極間の距離の影響が大きいため、回転ドラム 44の外周付近のみを磁化させただけでも、磁極 Sと電磁石 62との距離が近く充分な磁気力が得られる。

[0034] 本実施例の位相可変装置によれば、電磁クラッチ 42を回転ドラム 44の外周側に配置したから、前記第 1実施例のものよりも全長を短くすることが可能である。また、電磁クラッチ 42が回転ドラム 44の側方に配置されないから、回転ドラム 44の直径を小さくして、回転ドラム 44の慣性モーメントを小さくし、この位相可変装置の応答性を良くすることができる。さらに、回転ドラム 44が軸方向へ移動しても、回転ドラム 44と電磁クラツチ 42が常に等距離に保たれるため、高精度で安定な位相制御が可能となる。

[0035] ところで、本発明は前記実施例に限るものではない。たとえば、次のように変形可能である。

[0036] 回転ドラム 44と電磁クラッチ 42は、図 5及び図 6に示したように変形できる。ここで、図 5の（A)は、この位相可変装置の回転ドラム 44の正面図であり、図 5の（B)は、図 5 の（A)の V— V線に沿う断面図であり、図 6の（A)は、この位相可変装置の電磁クラッチ 42の正面図であり、図 6の（B)は、電磁クラッチ 42の側面図である。すなわち、回転ドラム 44に形成する磁極 N、 Sは、前記各実施例のように回転ドラム 44の周方向に沿って交互に設ける必要はなぐ図 5に示したように、回転ドラム 44の周方向に沿つて等間隔に同一極 N (又は S)を配置し、磁気クラッチ 42に備える電磁石 42は、その軸方向を前記各実施例のように電磁クラッチ 42の周方向に沿わせる必要はなぐ図 6に示したように電磁クラッチ 42と直交方向に向けてもょ、。

[0037] また、回転ドラム 44に形成する磁極 N、 Sは、前記各実施例のように 6極にする必要なぐ 2極以上の任意の数でよい。もちろん、電磁クラッチ 42に設ける電磁石 62の極数も、回転ドラム 44に形成した磁極 N、 Sと同じ数にする必要はなぐ電磁石 62によつて回転ドラム 44に持続して吸引力又は反発力を与えられるようにすれば、どのような数でどのような配置にしてもよい。

[0038] さらに、電磁クラッチ 42を回転ドラム 44の内側に配置した前記第 2実施例では、電磁クラッチ 42を回転ドラム 44との距離を一定に保ったまま軸方向に移動できるようにしたが、構造を簡単にするためには、電磁クラッチ 42をエンジンケース 58に固着して、軸方向に移動不能にしてもよい。

[0039] さらに、前記各実施例では、電磁制御手段 40aが回転ドラム 44を制動又は加速の V、ずれも行えるようにしたが、電磁制御手段 40aは制動のみを行うようにしてもょ、。この場合は、回転ドラム 44を初期位置に付勢するためのねじりコイルパネが必須である。該ねじりコイルばねは、電磁クラッチ 42が故障した場合にもエンジン駆動可能にするため、前記第 1〜3の各実施例においても弱めのものを備えてもよい。

図面の簡単な説明

[0040] [図 1]本発明の第 1実施例に係る位相可変装置を説明する図である。

[図 2]前記第 1実施例に係る位相可変装置の電磁石への電流供給回路を説明する図である。

[図 3]本発明の第 2実施例に係る位相可変装置を説明する図である。

[図 4]本発明の第 3実施例に係る位相可変装置を説明する図である。

[図 5]本発明に係る位相可変装置の回転ドラムの変形例を説明する図である。 [図 6]本発明に係る位相可変装置の電磁クラッチの変形例を説明する図である。圆 7]従来の位相可変装置の縦断面図である。

符号の説明

2 カムシャフト

10 外筒部

12 スプロケット

20 内筒部

30 中間部材

40a 電磁制御手段

42 電磁クラッチ

44 回転ドラム

62 電磁石

N、 S 磁極

Claims

請求の範囲

[1] エンジンのクランクシャフトの回転が伝達されるスプロケットを有する外筒部と、該外筒部に相対回転可能でエンジンの吸気弁又は排気弁を開閉させるカムシャフトに連結された内筒部と、前記外筒部及び内筒部にヘリカルスプラインで嚙み合う中間部材とを備え、該中間部材を軸方向に移動させることによって、前記外筒部と前記内筒部の間に相対回転を生じさせて、前記吸気弁又は排気弁の開閉タイミングを変化させるエンジンの位相可変装置において、

前記中間部材に螺合するとともに永久磁石とされた回転ドラムと、該回転ドラムを制動する電磁クラッチとを有する電磁制御手段を備えたことを特徴とするエンジンの位相可変装置。

[2] 前記回転ドラムには複数の磁極が形成され、前記電磁クラッチにも前記磁極に対応した磁極が形成されるように電磁石を配置し、該電磁石の極性を前記回転ドラムの磁極に対して適当な位相で変化させることにより、前記回転ドラムを制動又は加速することを特徴とする請求項 1に記載のエンジンの位相可変装置。

[3] 前記回転ドラムの内方側面に近接させて前記電磁クラッチが配置されたことを特徴とする請求項 1又は 2に記載のエンジンの位相可変装置。

[4] 前記回転ドラムの外周付近のみが磁化され、前記回転ドラムの外周付近に近接させて前記電磁クラッチが配置されたことを特徴とする請求項 1又は 2に記載のェンジンの位相可変装置。