JP4519799B2 - エンジンの位相可変装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車用エンジンのクランクシャフトの回転をエンジンの吸気弁又は排気弁を開閉させるためのカムシャフトに伝達するとともに、エンジンの負荷や回転数等の運転状態によって吸気弁又は排気弁の開閉タイミングを変化させる自動車用エンジンの位相可変装置に関する。
このような位相可変装置としては、下記特許文献1に開示されたようなものが知られている。これを図13に示す。
この位相可変装置は、吸気弁又は排気弁を開閉するため、図示しないエンジンケース(位相可変装置用カバー)に組み付けた形態で用いられ、エンジンのクランクシャフトの駆動力が、図示しないチェーンによって伝達されるスプロケット12を有する円環状の外筒部10と、この外筒部10と同軸に配置されて外筒部10に対し相対回動可能で、カムシャフト2の一部を構成する従動側の円環状の内筒部20と、外筒部10と内筒部20にそれぞれヘリカルスプライン係合して外筒部10と内筒部20間に介装され、軸方向に移動して外筒部10に対する内筒部20の位相を変える中間部材30と、内筒部20のカムシャフト2の配設された側と反対側に設けられて、中間部材30を軸方向に移動させる電磁制御手段である電磁ブレーキ40とを備えている。このカムシャフト2には、吸気弁又は排気弁の一方を開閉するためのカム2aが設けられる。
外筒部10は、内周縁にリング状の凹部13が設けられたスプロケット12と、スプロケット12の側面に密着し、凹部13と協働してフランジ係合溝13Aを画成する内フランジプレート14と、内フランジプレート14をスプロケット12に共締め固定し、中間部材30とのスプライン係合部17が内周に形成されたスプラインケース16とから構成されている。外筒部10の凹部13の開口側の大径凹部13a、凹部13の奧側の小径凹部13bで、両凹部13a,13b間には、内筒部20側のフランジ24の外周縁と正対する段差部13cが設けられている。スプロケット12と内フランジプレート14とスプラインケース16は、締結ねじ11によって一体化されているので、フランジ係合溝13Aと、スプラインケース16におけるスプライン係合部17の形成が容易になっている。
なお、外筒部10には小径スプロケット12Aが固着されているが、この小径スプロケット12Aは、図示省略するが、吸気弁又は排気弁の他方を開閉するための位相可変装置のスプロケットとチェーンで連結されて、吸気弁と排気弁の両方を開閉制御するためのものである。
ところで、中間部材30の内外周面には雌雄のヘリカルスプライン32、33が設けられ、内筒部20の外周面には雄ヘリカルスプライン23が設けられ、スプラインケース16の内周面のスプライン係合部17には雌ヘリカルスプラインが形成されている。そして、中間部材30の内外のスプライン32,33は逆方向のヘリカルスプラインとされていて、中間部材30の軸方向への僅かな移動で、外筒部10に対し内筒部20の位相を大きく変化させることができるようになっている。中間部材30の外周面には雄ねじ部31が形成されている。
電磁ブレーキ40は、クラッチケース60内に電磁石(電磁コイル)62を備え、クラッチケース表面に摩擦材66を固着した電磁クラッチ42と、電磁クラッチ42の摩擦材66から制動力を受けるため強磁性体からなる回転ドラム44と、回転ドラム44と外筒部10間に軸方向に介装されたねじりコイルばね46とから構成される。電磁クラッチ42は、ピン68がエンジンケースに設けた孔に係合していて、軸方向に移動可能だが回転不能にエンジンケースに支持される。回転ドラム44は、ベアリング22によって内筒部20に回転可能に支承され、中間部材30の雄ねじ部31に螺合する雌ねじ部45が形成されている。回転ドラム44が外筒部10に対して相対回転すると、両ねじ部45,31の働きによって中間部材30は軸方向に移動する。
電磁クラッチ42がOFFのときは、回転ドラム44には制動力が働かないため、回転ドラム44と外筒部10とは、ねじりコイルばね46によって初期位置に固定され、外筒部10,内筒部20,中間部材30および回転ドラム44は一体に回転し、外筒部10と内筒部20には位相差を生じない。すると、内筒部20はカムシャフト2に連結され、外筒部10はクランクシャフトに設けられたクランクプーリとチェーンで連結されているので、クランクシャフトの回転に応じて、通常のタイミングで吸気弁又は排気弁を開閉することができる。
電磁クラッチ42をONにすると、電磁クラッチ42に設けた摩擦材66と回転ドラム44には摩擦による制動力が作用する。制動力が回転ドラム44に作用すると、回転ドラム44が外筒部10に対して回転遅れが生じ、中間部材30がねじ部31,45の働きによって図13で右方向に移動し、中間部材30の内外ヘリカルスプライン32,33によって、内筒部20が外筒部10に対し回動して、両者の位相差が変わる。そして、回転ドラム44は、制動力とねじりコイルばね46のばね力とがバランスする位置に保持される。電磁クラッチ42の電磁石に供給する電流を制御すると、内筒部20と外筒部10とを所望の位相差に制御できる。これにより、吸気弁又は排気弁の開閉タイミングを適切に変化させることができる。
再び、電磁クラッチ42をOFFにすると、制動力が回転ドラム44に働かなくなり、ねじりコイルばね46の作用により中間部材30は、初期位置まで回転し、ねじ部31,45の働きによって図13で左方向に初期位置まで移動する。すると、内筒部20が外筒部10に対し逆方向に初期位置まで回動して、両者の位相差がなくなり、通常のタイミングで吸気弁又は排気弁を開閉するようになる。
ところで、内筒部20のフランジ24と、外筒部10のフランジ係合溝13Aの側面間に摩擦トルク付加部材51,55が介装されて、外筒部10と内筒部20間の相対摺動部の摩擦トルクを高めるとともに、中間部材30と外筒部10および内筒部20間のヘリカルスプライン係合部23,32、33,17における歯部同士がぶつかる打音の発生が抑制している。
また、この位相可変装置内部には、エンジンオイルが、カムシャフト2の入口73a、カムシャフト2内のオイル通路、出口73bを経て供給される。出口73bから出たエンジンオイルは、電磁クラッチ42表面に設けた摩擦材66と回転ドラム44間の摺動面との間に供給されて、摩擦材66と回転ドラム44との摩擦による過熱を防止するようになっている(詳細は下記特許文献1参照)。
特開2002−371814号公報
前述したように、前記位相可変装置では、摩擦材66と回転ドラム44の相対摺動面では、摩擦熱により摺動面温度が高温となると、エンジンオイル中に分散している酸化防止剤や摩擦調整剤、清浄分散剤等の添加剤の反応物や不溶解分により、一般に多孔質材で構成されている摩擦材の表面が目詰まりし、摩擦材66と回転ドラム44に発生する摩擦トルクが低下する可能性があり、摩擦材66と回転ドラム44との間にエンジンオイルを流すための冷却機構が必須なものとなる。この冷却機構を構成するために、位相可変装置は、複雑な構造となって高価になるという問題があった。
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、自動車用のエンジンの可変位相装置を摩擦による発熱を生じないようにするとともに、簡単な構造で安価にすることを課題とする。
前記課題を達成するために、請求項1に係る発明は、エンジンのクランクシャフトの回転が伝達される外筒部と、該外筒部に相対回転可能でエンジンの吸気弁又は排気弁を開閉させるカムシャフトに連結された内筒部と、前記外筒部及び内筒部にヘリカルスプラインで噛み合う中間部材とを備え、該中間部材を軸方向に移動させることによって、前記外筒部と前記内筒部の間に相対回転を生じさせて、前記吸気弁又は排気弁の開閉タイミングを変化させるエンジンの位相可変装置において、前記中間部材に螺合する回転ドラムと、該回転ドラムの周方向に沿って所定間隔で前記回転ドラムに固定された複数の磁石と、該磁石に磁力を及ぼす複数の磁化部を周方向に沿って所定間隔で設けた鉄心及び該鉄心に巻かれたコイルとを備える電磁クラッチと、前記磁化部を磁化させるときに前記コイルに給電するコイル駆動回路と、前記磁石の接近を検出して磁気信号を発生する磁気センサと、前記エンジンから送られてくるクランク角信号及びカム角信号から、カム角とクランク角との間の位相の設定値からの偏差である位相偏差を求め、該位相偏差と前記磁気信号とに基づいて、前記回転ドラムを加速、減速又は定速回転させるときに前記コイルへ供給する電流の向き及びON、OFFを指示する駆動信号を前記コイル駆動回路へ送るコントローラとを備え、前記磁石は回転ドラムの径方向に沿って磁化され、かつ隣接する磁石は互いに逆方向に磁化されたことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記鉄心は溝を有したU字形断面をした環状体であり、前記コイルは前記溝内に配置され、前記磁化部は前記鉄心の同一径方向上の外周側及び内周側に位置し互いに向かい合った外側磁化片及び内側磁化片からなり、前記磁石は前記外側磁化片及び前記内側磁化片の間に配置されたことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記鉄心は溝を有したU字形断面をした環状体であり、前記コイルは前記溝内に配置され、前記磁化部は前記鉄心の同一径方向上の外周側及び内周側に位置し互いに向かい合った外側磁化片及び内側磁化片からなり、両磁化片の一方の磁化片は他方の磁化片より長くされ、前記磁石の一方の磁極の正面は前記一方の磁化片の側面と対向させ、前記磁石の他方の磁極の側面は前記他方の磁化片の先端面と対向させたことを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記鉄心は溝を有したU字形断面をした環状体であり、前記コイルは前記溝内に配置され、前記磁化部は前記鉄心の外周側と内周側に交互に配置された外側磁化片及び内側磁化片からなり、前記磁石は回転ドラムの周方向に沿うとともに前記磁石は前記外側磁化片及び前記内側磁化片の間に2列に配置されたことを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記鉄心は溝を有したU字形断面をした環状体であり、前記コイルは前記溝内に配置され、前記磁化部は前記鉄心の外周側又は内周側に配置された磁化片であり、隣接する一対の磁石は互いに側面を貼り合わされるとともに磁極の正面を前記磁化片の側面に対向させたことを特徴とする。
請求項6に係る発明は、エンジンのクランクシャフトの回転が伝達される外筒部と、該外筒部に相対回転可能でエンジンの吸気弁又は排気弁を開閉させるカムシャフトに連結された内筒部と、前記外筒部及び内筒部にヘリカルスプラインで噛み合う中間部材とを備え、該中間部材を軸方向に移動させることによって、前記外筒部と前記内筒部の間に相対回転を生じさせて、前記吸気弁又は排気弁の開閉タイミングを変化させるエンジンの位相可変装置において、前記中間部材に螺合する回転ドラムと、該回転ドラムの周方向に沿って所定間隔で前記回転ドラムに固定された複数の磁石と、該磁石に磁力を及ぼす複数の磁化部を周方向に沿って所定間隔で設けた鉄心及び該鉄心に巻かれたコイルとを備える電磁クラッチと、前記磁化部を磁化させるときに前記コイルに給電するコイル駆動回路と、前記磁石の接近を検出して磁気信号を発生する磁気センサと、前記エンジンから送られてくるクランク角信号及びカム角信号から、カム角とクランク角との間の位相の設定値からの偏差である位相偏差を求め、該位相偏差と前記磁気信号とに基づいて、前記回転ドラムを加速、減速又は定速回転させるときに前記コイルへ供給する電流の向き及びON、OFFを指示する駆動信号を前記コイル駆動回路へ送るコントローラとを備え、前記鉄心は溝を有したU字形断面をした環状体であり、前記コイルは前記溝内に配置され、前記磁石は前記回転ドラムの軸方向に沿って磁化され、かつ隣接する磁石は互いに逆方向に磁化されたことを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項6に係る発明において、前記磁化部は前記鉄心の外周側と内周側に交互に配置された外側磁化片及び内側磁化片からなり、前記磁石は前記外側磁化片及び内側磁化片の先端に対向させたことを特徴とする。
請求項8に係る発明は、請求項6に係る発明において、前記磁化部は前記鉄心の同一径方向上の外周側及び内周側に位置し互いに向かい合った外側磁化片及び内側磁化片からなり、前記磁石は前記外側磁化片又は内側磁化片の先端に対向させて前記回転ドラムの周方向に沿って2列に配置されたことを特徴とする。
請求項1に係る発明の位相可変装置によれば、回転ドラムを従来のように電磁クラッチの摩擦材で制動するのではなく、回転ドラムに固定された磁石と電磁クラッチの磁化部との間に働く電磁力によって回転ドラムを加速又は減速することによって、吸気弁又は排気弁の開閉タイミングを変化させるようにしたから、電磁クラッチの摩擦材と回転ドラムとの接触による摩擦熱によって高温になることがない。このため、エンジンオイル劣化による不都合が生じないうえ、摩擦材や回転ドラムを初期位置に戻すねじりコイルばねや電磁クラッチと回転ドラムに対する冷却機構が不要となって構造が簡単となるので、故障しにくく長寿命で安価となる。また、位相可変装置の各部には軸方向の公差が緩いのに対して、径方向には厳しい公差が要求されているので、磁石が回転ドラムの径方向に磁化されていると、磁石の磁極の正面を電磁クラッチの磁化部に充分に近接させることが可能となる。これにより、回転ドラムの磁石と電磁クラッチの磁化部との間に強い電磁力を発生させ、回転ドラムに加速又は減速のトルクを加えることができ、小形で高効率で高トルクが得られ、応答性の良い位相可変装置を得ることができる。
請求項2に係る発明によれば、さらに、磁化部は鉄心の同一径方向上の外周側及び内周側に位置し互いに向かい合った外側磁化片及び内側磁化片からなり、磁石は前記外側磁化片及び内側磁化片の間に配置されたから、内外一対の磁化片と該磁化片の間に位置する4つの磁極との間に働く磁力、すなわち全磁化片と全磁極との間に働く磁力によって、効果的に回転ドラムに加速又は減速のトルクを加えることができ、いっそう小形で高効率で高トルクが得られ、応答性の良い位相可変装置を得ることができる。
請求項3に係る発明によれば、一方の磁化片は他方の磁化片より長くされ、各磁石の一方の磁極の正面は一方の磁化片の側面と対向させ、他方の磁極の側面は他方の磁化片の先端面と対向させたから、内外一対の磁化片と該磁化片の間に位置する4つの磁極との間に働く磁力によって、すなわち全磁化片と全磁極との間に働く磁力によって、効果的に回転ドラムに加速又は減速のトルクを加えることができ、いっそう小形で高効率で高トルクが得られ、応答性のよい可変位相装置が得られる。また、磁石と他方の磁化片の先端面とが重なる分だけ位相可変装置の直径を小さくできる。
請求項4に係る発明によれば、磁化部は鉄心の外周側と内周側に交互に配置された外側磁化片及び内側磁化片からなり、磁石は回転ドラムの周方向に沿うとともに外側磁化片及び前記内側磁化片の間に2列に配置されているから、内外の3つの磁化片と該磁化片の間に位置する4つの磁極との間に働く磁力によって、効果的に回転ドラムに加速又は減速のトルクを加えることができ、いっそう小形で高効率で高トルクが得られ、応答性のよい可変位相装置が得られる。
請求項5に係る発明によれば、磁化部は鉄心の外周側又は内周側に配置された磁化片であり、隣接する一対の磁石は互いに側面を貼り合わされるとともに磁極の正面を磁化片の側面に対向させたから、隣接する2つの磁化片と該磁化片の間に位置する2つの磁極との間に働く磁力によって、効果的に回転ドラムに加速又は減速のトルクを加えることができる。また、鉄心の外周側又は内周側の一方には磁化部を設けないから、鉄心の構造が簡単で製造が容易になるとともに、磁石を鉄心の外周側又は内周側の一方の上に重ねた分だけ位相可変装置の直径を小さくできる。
請求項6に係る発明によれば、回転ドラムを従来のように電磁クラッチの摩擦材で制動するのではなく、回転ドラムに固定された磁石と電磁クラッチの磁化部との間に働く電磁力によって回転ドラムを加速又は減速することによって、吸気弁又は排気弁の開閉タイミングを変化させるようにしたから、電磁クラッチの摩擦材と回転ドラムとの接触による摩擦熱によって高温になることがない。このため、エンジンオイル劣化による不都合が生じないうえ、摩擦材や回転ドラムを初期位置に戻すねじりコイルばねや電磁クラッチと回転ドラムに対する冷却機構が不要となって構造が簡単となるので、故障しにくく長寿命で安価となる。また、磁石が回転ドラムの軸方向に磁化されているから、回転ドラムに固定された磁石と電磁クラッチの磁化部とは軸方向に沿って配置することになる。これにより、位相可変装置の各部には径方向には厳しい公差が要求されるのに対して、軸方向には厳しい公差が要求されていないので、磁石の磁極と電磁クラッチの磁化部の形状、寸法及び取付位置に厳しい精度が要求されず、この位相可変装置の製造が容易となる。さらに、位相可変装置の直径を小さくでき、エンジンへの装着も容易になる。
請求項7に係る発明によれば、さらに、磁化部は鉄心の外周側と内周側に交互に配置された外側磁化片及び内側磁化片からなり、磁石は外側磁化片及び内側磁化片の先端に対向させたから、3つの磁化片と該磁化片の間に位置する2つの磁極との間に働く磁力によって、効果的に回転ドラムに加速又は減速のトルクを加えることができ、いっそう小形で高効率で高トルクが得られ、応答性のよい可変位相装置が得られる。
請求項8に係る発明によれば、磁化部は鉄心の同一径方向上の外周側及び内周側に位置し互いに向かい合った外側磁化片及び内側磁化片からなり、磁石は外側磁化片又は内側磁化片の先端に対向させて前記回転ドラムの周方向に沿って2列に配置されたから、内外一対の磁化片と該磁化片の間に位置する4つの磁極との間に働く磁力によって、効果的に回転ドラムに加速又は減速のトルクを加えることができ、いっそう小形で高効率で高トルクが得られ、応答性のよい可変位相装置が得られる。
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、図1〜図7に基づいて、本発明の第1実施例に係る位相可変装置について説明する。図1の(A)は、この位相可変装置の縦断面図であり、図1の(B)は、この位相可変装置の回転ドラムの正面図であり、図1の(C)は、この位相可変装置の電磁クラッチの正面図である。図2は、前記電磁クラッチの斜視図である。図3は、図1の(A)においてIII−III線に沿う断面図である。図4は、回転ドラムを加減速する原理について説明する図である。図5は、電磁クラッチのコイルへ流す電流を制御する制御回路のブロック図である。図6は、コイル駆動回路及び各コイルの配線図である。図7は、回転ドラムの加減速制御を行うための手順を説明するフローチャートである。
この位相可変装置は、図1に示したように、回転ドラム44と電磁クラッチ42とからなる電磁制御手段40aと、電磁制御手段40aの制御回路以外は、前記従来の位相可変装置と同じである。そこで、本実施例については、従来と同じ部分については説明を省略し、電磁制御手段40aとその制御回路について以下に説明する。
この位相可変装置の電磁制御手段40aでは、図1の(B)に示したように、回転ドラム44には18個の磁石45が周方向に沿って等間隔に固定されている。そして、各磁石45は回転ドラム44の径方向に磁化され、各磁石45の磁極45a(N極又はS極)の正面45bは、それぞれ回転ドラム44の径方向で外方及び中心方向を向いている。しかも、各磁石45は、隣接する磁石45と互いに逆方向に磁化されている。
一方、電磁クラッチ42は、図1の(A)及び図3に示したように、回転ドラム44の外方側面に近接して配置され、図2に示したように、この電磁クラッチ42は、底122aと一対の側壁122b、122cからなる溝形断面のリング状の鉄心122と、鉄心122の溝124内に巻かれたコイル120とからなり、溝124の開口は回転ドラム44側に向けられている。この鉄心122の外側壁122bと内側壁122cからは、それぞれ9個の外側磁化片126aと内側磁化片126bが等間隔で突設されている。外側磁化片126aと内側磁化片126bとは、同一径方向上で互いに向かい合うようになっている。コイル120に通電すると、外側磁化片126aと内側磁化片126bは、互いに異なる磁極N、Sに磁化される。コイル120に流す電流の方向を逆にすると、内外の磁化片126b、126aは、それぞれの磁極が反転する。
図1の(A)及び図3に示したように、回転ドラム44に設けられた磁石45は、電磁クラッチ42の鉄心122に設けられた内外の磁化片126b、126aの間に配置される。磁石45の各磁極45aの正面45bと各磁化片126a、126bは、できるだけ近接して対向させて、両者間に強い磁力が働くようにされる。
なお、この電磁制御手段40aでは、回転ドラム44を初期位置に付勢するためのねじりコイルバネを備えておらず、さらに、電磁クラッチ42は、エンジンケース58に対して軸方向及び径方向移動可能にされておらず、回転ドラム44に摺接する摩擦材も備えていない。
図4に基づいて、回転ドラム44を加減速する原理について説明する。ただし、図4では、回転ドラム44の磁石45と電磁クラッチ42の各磁化片126a、126bとの位置関係を理解し易くするため、回転ドラム44と電磁クラッチ42を磁石45及び磁化片126a、126bの位置で平面状に展開して説明している。ここでは、回転ドラム44の回転方向を右方向とし、この右方向を前とし、逆の左方向を後とする。また、対向する磁化片126a、126b(たとえば、1番目)の一方の前端付近には磁気センサ108を設けておく。磁気センサ108としては、例えば、一方の磁極N(又はS)が接近するとH信号(+1)を出力し、他方の磁極S(又はN)が接近するとL信号(0)を出力するようなものを使用する。このような磁気センサ108としては、ホール素子が用いられる。もちろん、サーチコイル等、適宜磁気センサを使用することも可能である。
まず、回転ドラム44を加速する場合を説明する。図4の(A)に示したように、時刻T1のとき、磁気センサ108からの磁極信号cにより、磁気センサ108に最も近接しているのがN極かS極のいずれであるかが分かる。これで、磁石45と磁化片126a、126bは、それぞれに等間隔に配置されているから、全ての磁石45の磁極45aと全ての磁化片126a、126bとの位置関係も分かる。この直後の時刻T2のときには、図4の(B)に示した位置まで回転ドラム44が回転する。このとき、回転ドラム44を加速するためには、時刻T1のときから、磁気センサ108が設けられた側の磁化片126aを、磁極センサ108が検出した磁極と同極にするとともに、反対側の磁化片126bを磁極センサ108が検出した磁極と逆極にするようにコイル120に通電する。
時刻T3になったとき、図4の(C)に示した位置まで回転ドラム44が回転して、磁気センサ108からの磁極信号cが反転する。この直後の時刻T4のときには、図4の(D)に示した位置まで回転ドラム44が回転する。このとき、回転ドラム44を加速するには、時刻T3のときから、磁気センサ108が設けられた側の磁化片126aを磁極センサ108が検出した磁極と同極に、反対側の磁化片126bを磁極センサ108が検出した磁極と逆極にするように、コイル120に供給する電流の極性を反転させる。
以下同様に、磁気センサ108からの磁極信号cで検出した極性が反転する度に、コイル120に加える電流の向きを反転させて、磁気センサ108が設けられた側の磁化片126aを磁極センサ108が検出した磁極と同極に、反対側の磁化片126bを磁極センサ108が検出した磁極と逆極にすることによって、回転ドラム44の加速を続けることができる。
回転ドラム44の加減速が必要無いときは、コイル120への供給電流を遮断する。これで、回転ドラム44は定速回転を続ける。回転ドラム44を減速するには、前述した回転ドラム44を加速する場合と逆向きの電流をコイル120に流せばよい。回転ドラム44を減速するには、コイル120に発生した逆起電力を適宜抵抗又はバッテリーに流して、電磁クラッチ42を電気ブレーキ又は再生ブレーキとしてもよい。
図5に示したように、電磁クラッチ42のコイル120へ流す電流を制御する制御回路100は、コントローラ(マイクロコンピュータ)102、コイル駆動回路104、可変電圧電源106及び磁気センサ108とからなる。
コントローラ102は、エンジン110から送られてくるクランク角信号a及びカム角信号bと、磁気センサ108からの磁極信号cとに基づいて、クランク角に対するカム角の位相角の設定値からの偏差、すなわち位相偏差が無くなるように、回転ドラム44の加速又は減速制御するための駆動信号dをコイル駆動回路104に送るものである。回転ドラム44の加減速を停止するには、駆動信号dを停止すればよい。また、コントローラ102は、位相偏差の絶対値に応じて、コイル120に加える電圧を変化させるための電源制御信号eを可変電圧電源106へ送って、よりきめ細かな位相制御を可能にしている。
コイル駆動回路104は、コントローラ102から送られてくる駆動信号dに応じて、コイル120に供給する電流をON・OFFするとともに電流の方向を変える半導体スイッチ回路である。駆動信号dには、スイッチング用トラジスタ80をON・OFFするためのH1信号とH2信号が含まれる。H1信号とH2信号としては、それぞれH(高電位)信号又はL(低電位)信号が出される。
可変電圧電源106は、コントローラ102から送られてくる電源制御信号eに応じて出力電圧を昇圧又は降圧させコイル駆動回路104へ送るものである。本実施例では、位相偏差の絶対値が小さい場合、電源制御信号eに応じてパルス幅変調(PWM)することにより、出力電圧を下げる。一方、位相偏差の絶対値が大きい場合は、コイル120に充分な電流を流すために、適宜昇圧手段によって可変電圧電源106の出力電圧を上げる。
図6にコイル駆動回路104とコイル120の配線図の一例を示す。コイル駆動回路104は、4つのスイッチング用トラジスタ80とコイル120とからなるブリッジ回路である。なお、スイッチング用トラジスタ80に並列に挿入されたダイオード84は、コイル120に発生する逆起電力がスイッチング用トラジスタ80にかかるのを防止するためのものである。
コントローラ102からは駆動信号dとして、スイッチング用トラジスタ80をON・OFFするためのH1信号とH2信号が送られてくる。H1信号がH信号(H1=1)でH2信号がL信号(H2=0)であれば、コイル120を右向きに電流が流れ、磁化片126a、126bを磁化できる。ここで、H1信号がL信号(H1=0)でH2信号がH信号(H2=1)にそれぞれ反転すれば、コイル120を左向きに電流が流れ、磁化片126a、126bの極性を反転させることができる。こうして、コントローラ102からH1信号又はH2信号をコイル駆動回路104へ送ることにより、コイル120に供給する電流の向きを制御して、両磁化片126a、126bを適切な磁極にすることにより、回転ドラム44の加速又は減速を自在に行うことができる。
それでは、図7に基づいて、回転ドラム44の加減速制御を行うために、この位相可変装置のコントローラ102の行う制御手順を説明する。この位相可変装置が動作をスタートすると、まず、ステップS1に進んで、エンジン110から送られてくるクランク角信号a及びカム角信号bとから、クランク角に対するカム角の位相角の設定値からの偏差、すなわち位相偏差の絶対値が所定値K1以上か否かを判断する。位相偏差の絶対値が所定値K1未満のときは、回転ドラム44の加減速制御は必要ないので、ステップS2に進んで、コイル駆動回路104への駆動信号dを停止(H1=0、H2=0)して、コイル120への給電を停止し、各磁化片126a、126bを非励磁状態として、ステップS1に戻る。
ステップS1で位相偏差の絶対値が所定値K1以上のときは、回転ドラム44の加減速制御が必要なので、ステップS3に進んで、位相偏差の正負から回転ドラム44を加速するか減速するか判断する。例えば、位相偏差が負のときは回転ドラム44を減速することに決定して、ステップS4〜S6を実行する。ただし、中間部材30の内外ヘリカルスプライン32、33(図12参照)の方向によっては、回転ドラム44を逆に加速することになる。
ステップS4に進むと、磁気センサ108からの磁極信号cを調べて、磁気センサ108に最も接近している磁石45がN極かS極のいずれであるかを検出して、コイル120に電流を流す方向を指示する駆動信号d(H1信号及びH2信号)を決定する。
次にステップS5に進んで、位相偏差の絶対値から電源制御信号eを決定する。位相偏差の絶対値が所定値K2(ただし、K2>K1)以上のときは、可変電圧電源106は、位相偏差の絶対値に応じて出力電圧を電源(バッテリー)電圧より上げるが、位相偏差の絶対値が所定値K2未満のときは、位相偏差の絶対値に応じて出力電圧を電源電圧より下げる。
さらに、ステップS6に進んで、電源制御信号eを可変電圧電源106に送るとともに、駆動信号dをコイル駆動回路104へ送って、電磁クラッチ42のコイル120に電流を流しす。この後、ステップS1に戻る。こうして、ステップS1、S3〜S6を繰り返して、回転ドラム44を減速して、位相偏差の絶対値が所定値K1以内になるまで、位相偏差を小さくしていく。
ステップS3で、位相偏差が正で回転ドラム44を増速することに決定したときは、ステップS7〜S9を実行する。ステップS7では、前述したステップS4と同じく駆動信号dを決定するのであるが、回転ドラム44を増速させるため、駆動信号dを構成するH1信号及びH2信号は、前記ステップS4のときとは反転している。ステップS8とS9は、前述したステップS5とS6と同じである。結局、ステップS7〜S9が実行されると、ステップS4〜S6が実行された場合とは、コイル120に流す電流の方向は逆向きになる。この後、ステップS1に戻り、以下、ステップS1、S3、S7〜S9を繰り返して、回転ドラム44を加速して、位相偏差の絶対値が所定値K1以内になるまで、位相偏差を小さくしていく。
以上のように、ステップS1〜S9を実行することにより、この位相可変装置では常に位相偏差を所定値K1以内に保つことができる。
本実施例によれば、図13に示した従来のもののように、電磁クラッチ42表面に設けた摩擦材66と回転ドラム44との摩擦による発熱を生じないので、エンジンオイル中に分散している酸化防止剤や摩擦調整剤、清浄分散剤等の添加剤の反応物や不溶解分により摩擦材の表面が目詰まりし、摩擦材66と回転ドラム44に発生する摩擦トルクが低下することもなくなり、この位相可変装置の信頼性が高まる。また、この位相可変装置は、摩擦材66と回転ドラム44との間にエンジンオイルを流すための冷却機構も不要となるうえ、コイル120が1つであるから、コイル駆動回路104の構成が簡単になるとともに、部品点数を減らすことができて簡単な構造となり、故障しにくく長寿命とできるうえ、安価に製造できる。
特に、本実施例では、回転ドラム44に設けられた磁石45は、外側磁化片126aと内側磁化片126bの間に配置され、各磁石45の磁極45aの正面45bと各磁化片126a、126bはできるだけ近接させている。これにより、両者間に強い磁力が働くようにされたから、軽量小型ながら迅速に高精度の位相可変制御が可能となる。磁極45aの正面45bと各磁化片126a、126bをできるだけ近接させることができるのは、位相可変装置では、軸方向の寸法公差に比べて、径方向の寸法公差が厳しく決められているからである。
次に、図8に基づいて、本発明の第2実施例に係る位相可変装置について説明する。この位相可変装置は、図8に示したように、電磁クラッチ42において、内側磁化片126bが外側磁化片126aより短くされ、回転ドラム44に固定された磁石45の内側の磁極の側面45cを内側磁化片126bの先端に対向させている点が前記第1実施例と異なるのみで、これ以外は前記第1実施例と同じである。もちろん、図8に示したものと逆に、内側磁化片126bが外側磁化片126aより長くされ、回転ドラム44に固定された磁石45の外側の磁極の側面が外側磁化片126aの先端に対向するようにしてもよい。本実施例によれば、一方の磁化片が他方の磁化片より長くされ、回転ドラム44に固定された磁石45の一方の磁極の正面45bが一方の磁化片に対向し、他方の磁極の側面45cが他方の磁化片の先端に対向しているから、位相可変装置の直径を小さくすることができる。
次に、図9に基づいて、本発明の第3実施例に係る位相可変装置について説明する。この位相可変装置は、図9に示したように、電磁クラッチ42において、鉄心122の外周側の外側壁122bにのみに外側磁化片126aを突設し、内周側の内側壁122cには磁化片を設けず、また、回転ドラム44に固定された磁石45は、隣接する一対のものどうしの側面が貼り付けられており、磁石45の内方側の側面45cを内側壁122cの先端に対向させている。このことが前記第2実施例と異なるのみで、これ以外は前記第2実施例と同じである。本実施例によれば、電磁クラッチ42において、内側壁122cからは磁化片を突設させないので、内側壁122cと磁石45とを重ねた分だけ位相可変装置の直径を小さくできる他、鉄心122の製造が容易になるという効果がある。
本実施例の場合も、図9に示したものと逆に、電磁クラッチ42において、鉄心122の内側壁122cにのみに磁化片を突設し、外側壁122bには磁化片を設けないようにしてもよい。外側壁122bに外側磁化片126aを設けて、外側磁化片126aで回転ドラム44を加速したほうが大きなトルクが得られるが、内側壁122cに内側磁化片126bを設けて、内側磁化片126bで回転ドラム44を加速したほうが大きな最大速度を得られる。必要なトルクと最大速度に応じて、内外の側壁122c、122bのどちら側に磁化片126a、126bを設けるか決定する。
次に、図10に基づいて、本発明の第4実施例に係る位相可変装置について説明する。この位相可変装置においては、図10に示したように、回転ドラム44に固定された磁石45は、回転ドラム44の軸方向に磁化されており、電磁クラッチ42の鉄心122から突設させた外側磁化片126aと内側磁化片126bとの間に挿入されておらず、両磁化片126a、126bの先端に磁極45aの正面45bを対向させて、回転ドラム44の周方向に沿って2列に配置されている。このことを除いては、本実施例は前記第1実施例と同じである。本実施例の位相可変装置によれば、回転ドラム44に固定された磁石45が両磁化片126a、126bの間に挿入されていないから、両磁化片126a、126bと磁石45の形状、寸法及び取付位置に厳しい精度が要求されず、この位相可変装置の製造が容易となる。
次に、図11に基づいて、本発明の第5実施例に係る位相可変装置について説明する。この位相可変装置は、図11に示したように、電磁クラッチ42の鉄心122に設けられた外側磁化片126aと内側磁化片126bとが、周方向に沿って互い違いに配置されており、回転ドラム44に固定された磁石45の磁極の正面45bが、回転ドラム44の軸方向を向いており、この磁石45の磁極の正面45bが両磁化片126a、126bの先端に対向している。このことを除いて、本実施例は前記第4実施例と同じである。本実施例によれば、2つの磁極と3つの磁化片126a、126bによって回転ドラム44に加速又は減速のトルクを加えることができ、小形で高効率で高トルクが得られ、応答性のよい可変位相装置が得られる。
次に、図12に基づいて、本発明の第6実施例に係る位相可変装置について説明する。この位相可変装置は、図12に示したように、電磁クラッチ42の鉄心122に設けられた外側磁化片126aと内側磁化片126bとが、周方向に沿って互い違いに配置されており、回転ドラム44に固定された磁石45は、回転ドラム44の径方向に沿って磁化されており、隣接するものとは互いに逆方向に磁化されるとともに、両磁化片126a、126bの間に回転ドラム44の周方向に沿って2列に配置されている。このことを除いて、本実施例は前記第1実施例と同じである。本実施例によれば、4つの磁極と3つの磁化片126a、126bによって回転ドラム44に加速又は減速のトルクを加えることができ、小形で高効率で高トルクが得られ、応答性のよい可変位相装置が得られる。
ところで、本発明は前記実施例に限るものではなく、例えば、次のように種々の変形可能である。
回転ドラム44に固定する磁石45及び電磁クラッチ42の鉄心122に設ける磁化片126a、126bの数は、前記各実施例の数と同じにする必要はなく、必要な精度やトルクやコスト等に応じて適宜増減してもよい。
また、前記各実施例では位相偏差に応じて、可変電圧電源106の出力電圧を制御しているが、特に高精度が要求されない限り、電源電圧の制御をしなくても実用上問題ない。
さらに、前記各実施例では鉄心122に1つのコイル120を巻いたが、内外の磁化片126b、126aを高速にN極とS極に切り替えるためには、コイル120を複数個並列に接続して、全コイルの合成インダクタンスを小さくするようにしてもよい。
本発明の第1実施例に係る位相可変装置の概略の構造を説明する図である。 この位相可変装置の電磁クラッチの斜視図である。 図1の(A)において、III−III線に沿う断面図である。 この位相可変装置の回転ドラムを加減速する原理について説明する図である。 この位相可変装置における電磁クラッチの制御回路のブロック図である。 この位相可変装置におけるコイル駆動回路及び各コイルの配線図である。 この位相可変装置の動作を説明するフローチャートである。 本発明の第2実施例の位相可変装置を説明する図である。 本発明の第3実施例の位相可変装置を説明する図である。 本発明の第4実施例の位相可変装置を説明する図である。 本発明の第5実施例の位相可変装置を説明する図である。 本発明の第6実施例の位相可変装置を説明する図である。 従来の位相可変装置の構造を説明する図である。
符号の説明
2 カムシャフト
10 外筒部
12 スプロケット
20 内筒部
30 中間部材
42 電磁クラッチ
44 回転ドラム
45 磁石
102 コントローラ
104 コイル駆動回路
108 磁気センサ
120 コイル
122 鉄心
122b、122c 側壁
124 溝
126a、126b 磁化片(磁化部)
a クランク角信号
b カム角信号
c 磁気信号
d 駆動信号

Claims (8)

  1. エンジンのクランクシャフトの回転が伝達される外筒部と、該外筒部に相対回転可能でエンジンの吸気弁又は排気弁を開閉させるカムシャフトに連結された内筒部と、前記外筒部及び内筒部にヘリカルスプラインで噛み合う中間部材とを備え、該中間部材を軸方向に移動させることによって、前記外筒部と前記内筒部の間に相対回転を生じさせて、前記吸気弁又は排気弁の開閉タイミングを変化させるエンジンの位相可変装置において、
    前記中間部材に螺合する回転ドラムと、該回転ドラムの周方向に沿って所定間隔で前記回転ドラムに固定された複数の磁石と、該磁石に磁力を及ぼす複数の磁化部を周方向に沿って所定間隔で設けた鉄心及び該鉄心に巻かれたコイルとを備える電磁クラッチと、前記磁化部を磁化させるときに前記コイルに給電するコイル駆動回路と、前記磁石の接近を検出して磁気信号を発生する磁気センサと、前記エンジンから送られてくるクランク角信号及びカム角信号から、カム角とクランク角との間の位相の設定値からの偏差である位相偏差を求め、該位相偏差と前記磁気信号とに基づいて、前記回転ドラムを加速、減速又は定速回転させるときに前記コイルへ供給する電流の向き及びON、OFFを指示する駆動信号を前記コイル駆動回路へ送るコントローラとを備え、
    前記磁石は回転ドラムの径方向に沿って磁化され、かつ隣接する磁石は互いに逆方向に磁化されたことを特徴とするエンジンの位相可変装置。
  2. 前記鉄心は溝を有したU字形断面をした環状体であり、前記コイルは前記溝内に配置され、前記磁化部は前記鉄心の同一径方向上の外周側及び内周側に位置し互いに向かい合った外側磁化片及び内側磁化片からなり、前記磁石は前記外側磁化片及び前記内側磁化片の間に配置されたことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの位相可変装置。
  3. 前記鉄心は溝を有したU字形断面をした環状体であり、前記コイルは前記溝内に配置され、前記磁化部は前記鉄心の同一径方向上の外周側及び内周側に位置し互いに向かい合った外側磁化片及び内側磁化片からなり、両磁化片の一方の磁化片は他方の磁化片より長くされ、前記磁石の一方の磁極の正面は前記一方の磁化片の側面と対向させ、前記磁石の他方の磁極の側面は前記他方の磁化片の先端面と対向させたことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの位相可変装置。
  4. 前記鉄心は溝を有したU字形断面をした環状体であり、前記コイルは前記溝内に配置され、前記磁化部は前記鉄心の外周側と内周側に交互に配置された外側磁化片及び内側磁化片からなり、前記磁石は回転ドラムの周方向に沿うとともに前記磁石は前記外側磁化片及び前記内側磁化片の間に2列に配置されたことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの位相可変装置。
  5. 前記鉄心は溝を有したU字形断面をした環状体であり、前記コイルは前記溝内に配置され、前記磁化部は前記鉄心の外周側又は内周側に配置された磁化片であり、隣接する一対の磁石は互いに側面を貼り合わされるとともに磁極の正面を前記磁化片の側面に対向させたことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの位相可変装置。
  6. エンジンのクランクシャフトの回転が伝達される外筒部と、該外筒部に相対回転可能でエンジンの吸気弁又は排気弁を開閉させるカムシャフトに連結された内筒部と、前記外筒部及び内筒部にヘリカルスプラインで噛み合う中間部材とを備え、該中間部材を軸方向に移動させることによって、前記外筒部と前記内筒部の間に相対回転を生じさせて、前記吸気弁又は排気弁の開閉タイミングを変化させるエンジンの位相可変装置において、
    前記中間部材に螺合する回転ドラムと、該回転ドラムの周方向に沿って所定間隔で前記回転ドラムに固定された複数の磁石と、該磁石に磁力を及ぼす複数の磁化部を周方向に沿って所定間隔で設けた鉄心及び該鉄心に巻かれたコイルとを備える電磁クラッチと、前記磁化部を磁化させるときに前記コイルに給電するコイル駆動回路と、前記磁石の接近を検出して磁気信号を発生する磁気センサと、前記エンジンから送られてくるクランク角信号及びカム角信号から、カム角とクランク角との間の位相の設定値からの偏差である位相偏差を求め、該位相偏差と前記磁気信号とに基づいて、前記回転ドラムを加速、減速又は定速回転させるときに前記コイルへ供給する電流の向き及びON、OFFを指示する駆動信号を前記コイル駆動回路へ送るコントローラとを備え、
    前記鉄心は溝を有したU字形断面をした環状体であり、前記コイルは前記溝内に配置され、前記磁石は前記回転ドラムの軸方向に沿って磁化され、かつ隣接する磁石は互いに逆方向に磁化されたことを特徴とするエンジンの位相可変装置。
  7. 前記磁化部は前記鉄心の外周側と内周側に交互に配置された外側磁化片及び内側磁化片からなり、前記磁石は前記外側磁化片及び内側磁化片の先端に対向させたことを特徴とする請求項6に記載のエンジンの位相可変装置。
  8. 前記磁化部は前記鉄心の同一径方向上の外周側及び内周側に位置し互いに向かい合った外側磁化片及び内側磁化片からなり、前記磁石は前記外側磁化片又は内側磁化片の先端に対向させて前記回転ドラムの周方向に沿って2列に配置されたことを特徴とする請求項6に記載のエンジンの位相可変装置。
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