I型結晶構造のフッ化ビニリデン単独重合体の製造方法
技術分野
[0001] 本発明は、 I型結晶構造を高純度で含有するフッ化ビニリデン単独重合体の製造 方法および該 I型結晶構造を高純度で含有するフッ化ビ-リデン単独重合体力 なる 薄膜の形成方法に関する。
背景技術
[0002] ポリマー型の強誘電材料は、セラミックなどの無機系強誘電材料に対して、フレキシ ブル、軽量、加工性が良く安価といった長所を有している。その代表的なものとして、 ポリフッ化ビ-リデン(PVdF)ゃフッ化ビ-リデン Zトリフルォロエチレン (VdFZTrF E)共重合体と!/、つたフッ化ビ-リデン系重合体が知られて 、る。
[0003] ところで PVdFは大きく分けて I型( 13型とも言う)、 II型(ひ型)および III型( γ型)の 3 種の結晶構造が存在し、そのうち充分大きな強誘電性を発現できるのは I型結晶の みである。
[0004] 従来、ラジカル重合法で製造した高分子量体の PVdFは II型結晶構造を形成し、そ のままでは強誘電性は示さな 、。 II型結晶構造の PVdFを I型結晶に変換するために は、フィルムの延伸'熱処理工程や、またキャスト時における高圧急冷など複雑な後 工程が必要となる。
[0005] 松重らは、 II型の結晶構造を有するフッ化ビ-リデンオリゴマー: CF (CH CF ) I (
3 2 2 n 数平均重合度 n= 17)を用いて、 I型結晶構造のフッ化ビ-リデンオリゴマーの薄膜 形成について検討している(M&BE最前線: M&BE Vol. 11, No. 2, 145 (2000 ) )。
[0006] し力しながら松重らはフッ化ビ-リデンオリゴマーの末端がヨウ素原子であるもので しか検討していない。
[0007] 奥居らは、 CC1を連鎖移動剤(テロ
4 一ゲン)として用い、ジノルマルパーォキシジカ ーボネートを触媒としてラジカル重合して得たフッ化ビ-リデンオリゴマー: CC1 (CH
3 2
CF ) C1 (数平均重合度 n= 9)について結晶構造解析を行なっており、このものが I
型( j8型)結晶構造と III型( γ型)結晶構造の混合物であること、さらに結晶融点 Tm を 2点(74°Cと 110°C)有することを報告している(Polymer Journal, Vol. 30, No. 8, pp659— 663 ( 1998)、 POLYMER Vol. 38, No. 7, ppl677 - 1683 ( 1997 ) )。し力しながら奥居らは末端が塩素原子であるものでし力検討して ヽな 、。
[0008] その他、連鎖移動剤 (テロ一ゲン)としてメタノールを用いる重合方法により末端に 水酸基を導入する方法があるが(Macromol. Chem. Phys. , 199, ρρ 1271— 1 289 ( 1998) )、単に重合方法についての検討がされているだけであり、強誘電特性 を発現できる I型( β型)の結晶構造をもつ単独重合体を純度良く、また効率良く製造 する方法は示されて 、な 、。もちろん薄膜の形成に関しては全く検討されて 、な 、。
[0009] さらに Macromolecules, 35, pp2682 - 2688 (2002) Τ\重量平均分子量が 53 4, 000といった高分子量の PVdFをジメチルホルムアミド(DMF)とジメチルスルホキ サイド(DMSO)、ァセトニトリル、ジメチルァセトアミド(DMA)、アセトンなどの各種の 溶剤との有機混合溶剤に溶解させ、 I型結晶構造( )8型)の生成における有機溶剤の 双極子モーメントおよび水分の影響を検討している。しかし、有機溶剤からの析出で は III型結晶構造( γ型)力 II型( oc型)のものし力得られておらず、高純度の I型結晶 構造(j8型)の PVdFフィルムは得られていない(Macromolecules, 35, pp2682— 2688 (2002)の表 1参照)。
[0010] また特開昭 63— 145353号公報には、ポリフッ化ビ-リデンなどのフッ素系の強誘 電性高分子と非強誘電性高分子とを N—メチル—2—ピロリドンに溶解させて加熱成 膜すると、基材密着性が向上した混合薄膜が得られることが開示されている。しかし、 この特開昭 63— 145353号公報で得られたとされる強誘電性薄膜の自発分極は 80 〜500nCZcm2程度と低ぐ到底、実用の目途がつくものではない。
発明の開示
[0011] 本発明の第一の目的は、高純度の I型結晶構造を含有するフッ化ビ-リデン単独重 合体を溶剤の選択により容易に製造する方法を提供することにある。
[0012] 本発明の第二の目的は、多様な機能を有する高純度 I型結晶構造のフッ化ビ-リ デン単独重合体の薄膜の形成方法を提供することにある。
[0013] 本発明者らは鋭意研究を行なった結果、フッ化ビニリデン単独重合体を特定の有
機溶剤を単独でまたは一部として含む溶剤に溶解し、その有機溶剤を蒸散させると いう簡単な処理により、 I型結晶構造の純度が飛躍的に向上することを見出し、本発 明を完成するに至った。
[0014] すなわち本発明は、数平均重合度 3〜20のフッ化ビニリデン単独重合体 (以下、「 特定のフッ化ビ-リデン単独重合体」ということもある)を双極子モーメントが 2. 8以上 の有機溶剤を単独でまたは一部として含む溶剤に溶解させた後、該溶剤を蒸散させ ることを特徴とする I型結晶構造を 70質量%以上含有するフッ化ビ-リデン単独重合 体の製造方法に関する。
[0015] 本発明はまた、数平均重合度 3〜20のフッ化ビニリデン単独重合体を双極子モー メントが 2. 8以上の有機溶剤を単独でまたは一部として含む溶剤に溶解させた後、 基材に適用して、該溶剤を蒸散させることを特徴とする I型結晶構造を 70質量%以上 含有するフッ化ビ-リデン単独重合体の薄膜の形成方法にも関する。
[0016] 前記フッ化ビニリデンの単独重合体としては、式(1):
- (R1) -Y (1)
(式中、 R1は 2価の有機基、ただしフッ化ビ-リデン単独重合体の構造単位は含まな い; nは 0または 1; Yは水素原子、ハロゲン原子またはハロゲン原子を含んでいてもよ いアルキル基。ただし、 nが 0のとき、 Yはヨウ素原子ではない)で表される部位を片末 端または両末端に有し、かつフッ化ビ-リデン単独重合体単位の数平均重合度が 3 〜20であるフッ化ビ-リデン単独重合体に適用するときに特に有効である。
[0017] また、前記有機溶剤に可溶な他のポリマーを共に溶解させておいても、得られる薄 膜は強誘電性を示す。
図面の簡単な説明
[0018] [図 1]全 I型結晶構造のフッ化ビニリデン単独重合体の IRチャートである。
[図 2]全 II型結晶構造のフッ化ビ-リデン単独重合体の IRチャートである。
[図 3]1型結晶構造と II型結晶構造の混合物力もなるフッ化ビニリデン単独重合体の I Rチャートから I型結晶構造と II型結晶構造の特性吸収のピーク高さを読み取る方法 の説明の図面である。
[図 4]11型結晶構造と III型結晶構造の混合物力もなるフッ化ビニリデン単独重合体の I
Rチャートから II型結晶構造と III型結晶構造の特性吸収のピーク高さを読み取る方法 の説明の図面である。
[図 5]1型結晶構造の含有率 F(I)が判っている I型と II型と III型の混合物力もなるフツイ匕 ビ-リデン単独重合体の IRチャートから I型結晶構造と III型結晶構造の特性吸収の ピーク高さを読み取る方法の説明の図面である。
発明を実施するための最良の形態
[0019] つぎに本発明を具体的に説明する。
[0020] フッ化ビニリデン単独重合体の I型結晶構造は、重合体分子中の 1つの主鎖炭素に 隣り合う炭素原子に結合したフッ素原子と水素原子がそれぞれトランスの立体配位( TT型構造)、つまり隣り合う炭素原子に結合するフッ素原子と水素原子が炭素 炭 素結合の方向から見て 180度の位置に存在することを特徴とする。
[0021] 本発明において I型結晶構造を有するフッ化ビ-リデン単独重合体は、 1つの重合 体分子全体が TT型構造を有して ヽてもよ ヽし、また重合体分子の一部が TT型構造 を有するものであってもよぐかつ少なくとも 4つの連続するフッ化ビニリデン単量体単 位のユニットにおいて上記 TT型構造の分子鎖を有するものを示すものである。いず れの場合も TT型構造の部分が TT型の主鎖を構成する炭素 炭素結合は平面ジグ ザグ構造をもち、 C-F、 C-H結合の双極子能率が分子鎖に対して垂直方向の成
2 2
分を有して ヽる。 I型結晶構造を有するフッ化ビニリデン単独重合体にっ ヽて IR分析 を行なうと、 1274cm— 1163cm— 1および 840cm— 1付近に特徴的なピーク(特性吸収 )を有し、粉末 X線回折分析においては 2 Θ = 21度付近に特徴的なピークを有する。
[0022] なお、 IR分析において、 I型結晶構造の特性吸収は認められるが実質的に II型結 晶構造および III型結晶構造の特性吸収が認められないものを「全 I型結晶構造」とい
[0023] フッ化ビニリデン単独重合体の II型結晶構造は、重合体分子中のある 1つの主鎖炭 素に結合するフッ素原子 (または水素原子)に対し、一方の隣接する炭素原子に結 合した水素原子 (またはフッ素原子)がトランスの位置にあり、なおかつもう一方 (逆側 )に隣接する炭素原子に結合する水素原子 (またはフッ素原子)がゴーシュの位置 (6 0度の位置)にあり、その立体構造の連鎖が 2つ以上連続して有すること
( T G T G型構造)
[0024] を特徴とするものであって、分子鎖が
T G T G
[0025] 型で C F、 C H結合の双極子能率が分子鎖に垂直方向と平行方向とにそれぞ
2 2
れ成分を有して!/ヽる。 Π型結晶構造を有するフッ化ビニリデン単独重合体につ ヽて IR 分析を行なうと、 1212cm— 1183cm 1および 762cm 1付近に特徴的なピーク (特性 吸収)を有し、粉末 X線回折分析においては 2 0 = 17.7度、 18. 3度および 19. 9度 付近に特徴的なピークを有する。
[0026] なお、 IR分析において、 II型結晶構造の特性吸収は認められるが実質的に I型結 晶構造および III型結晶構造の特性吸収が認められないものを「全 II型結晶構造」とい
[0027] フッ化ビニリデン単独重合体の III型結晶構造は、 TT型構造と TG型構造が交互に 連続して構成された立体構造
T G T G
[0028] を有することを特徴とし、分子鎖が
T 3 G T 3 G
[0029] 型で C F、 C H結合の双極子能率が分子鎖に垂直方向と平行方向とにそれぞ
2 2
れ成分を有して 、る。 III型結晶構造を有するフッ化ビ-リデン単独重合体にっ 、て I R分析を行なうと、 1235cm 1および 811cm 1付近に特徴的なピーク (特性吸収)を有 し、粉末 X線回折分析においては 2 0 = 18度付近に特徴的なピークを有する。
[0030] なお、通常、 III型結晶構造は I型結晶構造および Zまたは II型結晶構造と混在する 形でその存在が確認される。
[0031] I型、 II型および III型結晶構造のフッ化ビニリデン単独重合体の確認や存在比率に
ついては、 X線解析や IR分析法など種々の方法で分析できるが、本発明において、 フッ化ビ-リデン単独重合体中の I型結晶構造の含有率 F(I)は、 IR分析により測定し たチャートの各結晶構造の特性吸収のピーク高さ(吸光度 A)から、以下の方法により 算出する。
[0032] (1) 1型と II型の混合物中の I型の含有率 (質量%。 F(I) X 100)の算出
(1-1)計算式
Beerの法貝 IJ :A= ε bC
(式中、 Aは吸光度、 εはモル吸光係数、 bは光路長、 Cは濃度)から、 I型結晶構造 の特性吸収の吸光度を A"、 II型結晶構造の特性吸収の吸光度を A"、 I型結晶のモル 吸光係数を ε II型結晶のモル吸光係数を ε "、 I型結晶の濃度を C"、 II型結晶の濃 度を C"とすると、
ここで、モル吸光係数の補正係数( εソ ε ")を ΕΙΛΙとすると、 I型結晶構造の含有率 F D ^C'/ ^' + C") )は、
[0033] [数 1]
E Ι/Π
A1
Ει/ι (2
Αι: 十 A1
[0034] となる。
[0035] したがって、補正係数 ΕΙΛΙを決定すれば、実測した I型結晶構造の特性吸収の吸光 度 Α1と II型結晶構造の特性吸収の吸光度 Α"から、 I型結晶構造の含有率 F(I)を算出 できる。
[0036] (1-2)補正係数 ΕΙΛΙの決定方法
全 I型結晶構造のサンプル (図 1)と全 II型結晶構造のサンプル (図 2)とを混合して I
型結晶構造の含有率 F(I)が分力ゝつているサンプルを調製し、 IR分析する。得られた チャートから各特性吸収の吸光度 (ピーク高さ) A1および A"を読み取る(図 3)。
[0037] ついで上記式(2— a)を ΕΙΛΙについて解いた式(3— a):
[0038] [数 2]
A! X ( l -F(l))
ΕΙ/Π = (3 - a)
AH X F(I)
[0039] に代入して、補正係数 ΕΙΛΙを求める。混合比を変えたサンプルについて繰り返し行な つて補正係数 ΕΙΛΙを求め、それらの平均値として 1. 681を得た。
[0040] I型結晶構造の特性吸収として 840cm 1を用い (参照文献:バックマンら、ジャーナ ル'ォブ 'アプライドヽフイジタス、 50卷、 10号(1979) (Bachmann et al., J. Appl. Phys . , Vol.50, No.10(1979)) )、同文献力も II型結晶構造の特性吸収として 763cm 1を用 いた。
[0041] (2) 1型と III型の混合物中の I型の含有率 F(I)
III型結晶構造のみ力 なる物質が得にく 、ので、 II型と III型の混合物を標準物質と して使用する。
[0042] (2-1)まず、 II型と III型の標準混合物中の III型結晶構造の含有率を上記式(2— a)に ぉ 、て A1および A"をそれぞれ A"および A"1とし、 II型と III型の混合物における補正係 数 E"/mを文献 (エス'ォサキら、ジャーナル'ォブ'ポリマー'サイエンス:ポリマー フィ ジクス エディション、 13卷、 pp l071— 1083 ( 1975) (S.OSAKI et al" J. POLYME R SCIENCE: Polymer physics Edition, Vol.13, ppl071— 1083(1975))から 0. 81とし、 II 型と ΠΙ型の標準混合物の IRチャート(図 4)カゝら読み取った A"および A1"を代入して算 出した (F(III) = 0. 573)。 III型結晶構造の特性吸収として 81 lcm 1を用いた (参照文 献:バックマンら、ジャーナル'ォブ 'アプライド 'フイジタス、 50卷、 10号(1979) )。
[0043] (2-2)っ 、で、 III型の含有率が判明した II型と III型の標準混合物と全 I型結晶構造の 物質を所定の割合で混合し、 I型の含有率 F(I)が判って 、る I型と II型と III型の混合物 を調製し、この混合物を IR分析してチャート(図 5)から A1および A"1を読み取り、上記 式 (3— a) (ただし、 A"を A1"とする)から補正係数 , εソ ε を算出する。 II型と III
型の標準混合物と I型のみの物質混合比を変えたサンプルについて繰り返し行なつ て補正係数 E1,111を求め、それらの平均値として 6. 758を得た。
[0044] (2-3)この補正係数 Ε^^δ. 758を用い、上記式 (2— a) (ただし、 A"を A"1とする)か ら I型と III型の混合物中の I型の含有率 F(I)を求める。
[0045] 本発明において、フッ化ビ-リデン単独重合体は末端に式(1):
- (R1) -Y (1)
(式中、 R1は 2価の有機基、ただしフッ化ビ-リデン単独重合体単位は含まない; nは 0または 1; Yは水素原子、ハロゲン原子またはハロゲン原子を含んでいてもよいアル キル基。ただし、 n力 ^のとき Yはヨウ素原子ではない)で示される部位を有することが 好ましい。
[0046] R1は 2価の有機基 (ただし、フッ化ビ-リデン単独重合体単位は含まな 、)である。
R1の 2価有機基として具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレ ン基等のアルキレン基;メチレンォキシエチレン基、メチレンォキシプロピレン基、ェ チレンォキシプロピレン基等のアルキレンォキシアルキレン基;フエ-レンエチレン基 、フエ-レンプロピレン基、フエ二レンブチレン基等のァリーレンアルキレン基;フエ二 レンォキシエチレン基、フエ-レンォキシプロピレン基等のァリーレンォキシアルキレ ン基などが例示され、好ましくはエチレン基およびプロピレン基である。またこれらの 基の一部の水素原子がフッ素原子に置換されて 、てもよ 、。
[0047] Yは水素原子、ハロゲン原子またはハロゲン原子を含んで 、てもよ 、アルキル基で ある。
[0048] ハロゲン原子を含んでいてもよいアルキル基としては、炭素数 1以上であり、好まし くは炭素数 5以下、さらには炭素数 2以下であることが、 I型結晶構造の純度の向上の 点で有利である。
[0049] アルキル基のもつ分子構造としては、より詳細には次のものが好ましくあげられる。
i)一般式: C H (n= l〜5)で示される、水素原子の一部または全てがフッ素原子
n 2n+l
、塩素原子、臭素原子のいずれかに置換されていてもよい、直鎖状または分岐鎖状 のアルキル基。
ii)一般式: C H I (n= 1〜5)で示される、末端にヨウ素原子を有し、水素原子の
n 2n 一
部または全てがフッ素原子、塩素原子、臭素原子のいずれかに置換されていてもよ い、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基。
[0050] 具体例としては、たとえば水素原子; CH、 CH CH、 CH (CH ) 、 CH CH CH、
3 2 3 3 2 2 2 3
CH CH CH CH、 CH CH CH CH CHなどのアルキル基;フッ素原子; CF、 CF
2 2 2 3 2 2 2 2 3 3
(CH ) 、 CH (CF ) (CH )、 CH (CF )、 CF (CF )、 CH CF、 CH CH CH CF、
3 2 3 3 3 2 3 2 2 3 2 2 2 3
CH CH CH CH CF、 CH CF CF CH CF、 CH CF CF CF CF、 CF CF CF
2 2 2 2 3 2 2 2 2 3 2 2 2 2 3 2 2 2
CF CFなどの含フッ素アルキル基; CH CH I、 CH CH CH Iなどの末端ヨウ素化
2 3 2 2 2 2 2
アルキル基などが例示できる。
[0051] これらのうち、 I型結晶構造の純度の向上の点から、水素原子、フッ素原子、 CH、
3
CH CH、 CF、 CH CFカ好まし!/ヽ。
2 3 3 2 3
[0052] フッ化ビ-リデン単独重合体中のフッ化ビ-リデンのみの繰返し単位に着目した数 平均重合度は、下限は 4、さらには 5、特に 7であることが好ましぐ上限は 20、さらに は 17である。強誘電性材料として利用する場合の数平均重合度は、下限は 4、特に 7であり、上限は 20、より好ましくは 17、さらには 15であるのが好ましい。数平均重合 度が大きすぎると I型結晶構造の比率が低下することがある。
[0053] 本発明に用いる原料としてのフッ化ビ-リデン単独重合体は、 II型単独でも、 I型と II 型の混合物でも、さらには III型をも含んで 、てもよい。
[0054] 原料としてのフッ化ビ-リデン単独重合体は、例えば、末端がヨウ素原子または臭 素原子のフッ化ビ-リデン単独重合体を製造し、っ ヽで末端を前記式(1)で示される 部位に変性することにより製造することができる。
[0055] このとき末端の変性は一段階の反応で進めてもよいが、ー且他の末端基に変性し てから、目的とする末端基に変性してもよい。変性方法については、後述する。
[0056] 末端がヨウ素原子または臭素原子の I型結晶構造を単独または主成分として有する フッ化ビ-リデン単独重合体の製造方法は、本発明者らが開発したものである。
[0057] すなわち、フッ化ビニリデンを式 ( 1 A):
R9— X1。 (1A)
(式中、 R9は 1価の有機基、ただし I型結晶構造を単独または主成分とするフッ化ビ- リデン単独重合体単位は含まない; x1Qはヨウ素原子または臭素原子)で示されるヨウ
素化合物または臭素化合物または式(IB):
X10 _R2 _X10 ( 1 B)
(式中、 R2は 2価の有機基、ただし I型結晶構造を単独または主成分とするフッ化ビ- リデン単独重合体単位は含まない; x1Qはヨウ素原子または臭素原子)で示されるヨウ 素化合物または臭素化合物を連鎖移動剤 (テロ一ゲン)として存在させてラジカル重 合することにより、末端力ヨウ素原子または臭素原子の I型結晶構造を単独または 50 質量%以上有するフッ化ビ-リデン単独重合体を得ることができる。
[0058] 以上に、原料としての I型結晶構造を単独または主成分として含むヨウ素原子また は臭素原子末端のフッ化ビ-リデン単独重合体について説明したが、上述したおよ び後述するとおり、特定の溶剤に溶解して析出させる本発明の製造方法では、フッ 化ビニリデン単独重合体であれば、結晶構造は II型単独でも、 I型と II型の混合物でも 、さらには III型を含んでいるものでもよい。
[0059] これらの II型結晶構造を単独または一部として含むフッ化ビ-リデン単独重合体は 、従来公知の II型結晶構造を含むヨウ素原子または臭素原子末端のフッ化ビ -リデ ン単独重合体(例えば松重ら、 Jpn. J. Appl. Phys., 39, 6358 (2000)などに記載)の末 端を前記式(1)で示される部位に変性することにより製造することができる。
[0060] 本発明の製造方法は、数平均重合度が 3〜20の、好ましくは少なくとも一方の末端 に部位(1)を有する I型結晶構造フッ化ビニリデン単独重合体を特定の有機溶剤に 溶解し、ついで有機溶剤を蒸散させる方法である。
[0061] フッ化ビ-リデン単独重合体は、重合反応生成物 (原末)をそのまま有機溶剤に溶 解してもよいし、フッ化ビ-リデン単独重合体に何らかの処理工程をカ卩えたのちに溶 解してちょい。
[0062] 加える処理工程としては、例えば、重合体原末中の低分子量不純物などを除去す る洗浄処理工程のほか、フッ化ビニリデン単独重合体を特定の分子量のものに分離 する分離工程、再沈および再結晶などの工程、乾燥を目的とする加熱工程、真空処 理工程、結晶を成長させる目的の熱処理工程などがあげられる。
[0063] 本発明にお 、て I型結晶構造フッ化ビ-リデン単独重合体を溶解する有機溶剤は、 双極子モーメントが 2. 8以上の有機溶剤を単独でまたは一部として含む溶剤である
。双極子モーメントが 2. 8以上の有機溶剤を単独でまたは一部として含む溶剤を用 いることにより I型結晶構造が高純度で得られる理由は不明である。
[0064] なお、本発明で使用する双極子モーメントの値は、主として化学便覧'基礎編 '改 訂 3版(日本化学会編:丸善)および CRC Handbook of Chemistry and Physics (Lide, David R.編: CRC Press)に記載されている値を採用している。
[0065] 双極子モーメントが 2. 8以上の有機溶剤としては、たとえばジメチルホルムアミド( 双極子モーメント = 3. 82)、ァセトニトリル(3. 92)、アセトン(2. 88)、ジメチルァセト アミド(3. 81)、ジメチルスルフオキサイド(3. 96)、へキサメチルフォスホルアミド(5. 39)、 N—メチルー 2—ピロリドン(4. 09)、テトラメチルゥレア(3. 47)などの 1種また は 2種以上の混合溶剤が例示できる。これらのうち、 I型結晶構造の生成率が高い点 から、有機溶媒の双極子モーメントは、 3. 0以上が好ましぐより好ましくは 3. 5以上 、特に 3. 7以上である。
[0066] 本発明においては、双極子モーメントが 2. 8以上の有機溶剤を一部として含む溶 剤も有効に使用できる。この混合溶剤では双極子モーメントが 2. 8以上の有機溶剤 を 5質量%以上、さらには 10質量%以上、特に 30質量%以上含んでいれば、双極 子モーメントが 2. 8以上の有機溶剤の単独使用に匹敵する I型結晶構造の高純度化 効果が奏される。
[0067] 混合する他の有機溶剤としては、併用する双極子モーメントが 2. 8以上の有機溶 剤よりも沸点が低いものが好ましぐたとえばメチルェチルケトン (MEK)、テトラヒドロ フラン(THF)、酢酸ェチル、酢酸、ピリジン、シクロペンタノン、シクロへキサノン、酢 酸ブチル、ポリエチレングリコールメチルエーテルアタリレート(PEGMEA)、メチルァ ミルケトン(MAK)などが例示できる。
[0068] 溶解温度は、通常— 30〜150°C、好ましくは 0〜80°C、より好ましくは 25〜50°Cが 採用される。高すぎるとフッ化ビニリデン単独重合体もしくは溶媒の変質がおきる傾 向となり、低すぎると溶媒が固化したり、粘度が上昇したり、フッ化ビニリデン単独重 合体が溶解しにくくなる傾向にある。
[0069] フッ化ビ-リデン単独重合体溶液の濃度としては、有機溶剤の種類や溶解温度な どによって適宜選定すればよいが、飽和溶解度まで溶解させても本発明の効果は奏
される。好ましい濃度は、 0. 1質量%以上、好ましくは 0. 5質量%以上、より好ましく は 1質量%以上であり、 50質量%以下、好ましくは 30質量%以下、より好ましくは 20 質量%以下である。
[0070] 本発明の製造方法においては、つぎにこの溶液力も有機溶剤を蒸散させてフツイ匕 ビ-リデン単独重合体を析出させる。
[0071] 有機溶剤を蒸散させる方法としては特に制限はなぐたとえば大気圧下に開放系で 放置する方法、大気圧下に密閉系で放置する方法、減圧下に室温で蒸散させる方 法、減圧下に加熱して蒸散させる方法など通常の方法が採用できる。ただ、高温に 加熱すると析出したフッ化ビニリデン単独重合体自身が溶融する傾向にあるので、周 囲圧力に関係なぐフッ化ビニリデン単独重合体が溶融しない温度が好ましぐ具体 的には 0°C以上、好ましくは 25°C以上、より好ましくは 30°C以上であり、 150°C以下、 好ましくは 100°C以下、より好ましくは 50°C以下である。
[0072] 周囲圧力は蒸散温度を低下させる点力 大気圧、特に減圧下が好ましい。好まし い周囲圧力は 0. 0013Pa以上、さらには 0. 133kPa以上、特に 1. 333kPa以上で あり、大気圧以下、さら【こ ίま 9. 333kPa以下、特【こ 6. 666kPa以下である。
[0073] 蒸散は残留溶媒による電気物性、特に強誘電特性の低下防止の点から溶剤が充 分に除去されるまで時間をかけて行うことが望ましい。
[0074] 有機溶剤を充分に蒸散して除去することにより析出したフッ化ビ-リデン単独重合 体は、出発物中の I型結晶構造の含有率に関係なぐ I型結晶構造が 70質量%以上 の高純度のフッ化ビニリデン単独重合体になっている。生成物中の I型結晶構造の 存在比率は、使用する目的によって決定すればよぐ好ましくは 80質量%以上、より 好ましくは 90質量%以上、さらには 95質量%以上、特に好ましくは 100質量%であ る。
[0075] なお、出発物中の I型結晶構造の含有率は 70質量%未満である必要はなぐ 70質 量%以上の含有率のものに本発明の製造方法を適用すれば、純度をさらに高めるこ とがでさる。
[0076] 本発明の製造方法により得られる高純度の I型結晶構造のフッ化ビニリデン単独重 合体は、 I型結晶構造のフッ化ビ-リデン単独重合体の集合体の形態で得られる。
[0077] そこで、フッ化ビ-リデン単独重合体溶液を基材に適用し、溶剤を蒸散させることに より、高純度の I型結晶構造のフッ化ビ-リデン単独重合体の薄膜を基板上に形成す ることがでさる。
[0078] すなわち本発明はさらに、数平均重合度 3〜20のフッ化ビニリデン単独重合体を 双極子モーメントが 2. 8以上の有機溶剤を単独でまたは一部として含む溶剤に溶解 させた後、基材に適用して、該溶剤を蒸散させることを特徴とする I型結晶構造を 70 質量%以上含有するフッ化ビ-リデン単独重合体の薄膜の形成方法にも関する。
[0079] また、前記有機溶剤に可溶な他のポリマーを共に溶解させておいても、得られる薄 膜は強誘電性を示すので、薄膜の強度や成膜加工性の向上が図れる。
[0080] 他のポリマーとしては、強誘電性のポリマーであっても、非強誘電性のポリマーであ つても、両者の混合物でもよい。また、液晶性ポリマー、導電性ポリマーのような強誘 電性以外の電気的、光学的な機能性を示すポリマーでもよ ヽ。
[0081] 他のポリマーが強誘電性のポリマーである場合は、その強誘電性ポリマー単独の薄 膜の場合よりも強誘電性が向上する。他のポリマーが非強誘電性のポリマーである場 合は、形成された薄膜に強誘電性が発現する。
[0082] 前記有機溶剤に可溶な他の強誘電性ポリマーとしては、たとえばフッ化ビ-リデン 単独重合体のうち、上記の本発明で使用する特定のフッ化ビニリデン単独重合体以 外のフッ化ビニリデン単独重合体、たとえば数平均重合度が 20を超える高分子量の ポリフッ化ビ-リデンのほ力 フッ化ビ-リデン—トリフルォロエチレン共重合体、フッ 化ビ -リデンーテトラフルォロエチレン共重合体、フッ化ビ-リデンーフッ化ビュル共 重合体、フッ化ビ -リデンーテトラフルォロエチレン一へキサフルォロプロピレン共重 合体などのフッ素系ポリマー;ビ -リデンシァナミドービ-リデンアセテート共重合体 などのシァノ系ポリマー;ナイロン 9やナイロン 11などの奇数ナイロン;芳香族ポリアミ ドなどが例示できる。これらのうち良好な強誘電特性を示す点から、フッ素系ポリマー 、特にフッ化ビ-リデンートリフルォロエチレン共重合体、数平均重合度が 20を超え る高分子量のポリフッ化ビ-リデンが好まし 、。
[0083] 前記有機溶剤に可溶な他の非強誘電性ポリマーとしては、たとえばォレフィン、含 フッ素ォレフィン、アクリル系化合物、メタクリル系化合物、含フッ素アクリル系化合物
、含フッ素メタクリル系化合物、ノルボルネンィ匕合物、オルガノシラン系化合物、含フ ッ素ノルボルネン化合物、スチレン系化合物、含フッ素スチレン系化合物、ビュルェ 一テル、含フッ素ビュルエーテルなどの単量体の 1種または 2種以上を重合して得ら れるポリマーのうち、強誘電性を示さないものが例示できる。
[0084] ォレフィンとしては、エチレン、プロピレンなどが例示でき、含フッ素ォレフィンとして は、フッ化ビュル、フッ化ビ-リデン、トリフルォロエチレン、クロ口トリフルォロエチレン 、テトラフルォロエチレン、へキサフルォロプロピレン、へキサフルォロイソブテンなど が例示できる。
[0085] アクリル系化合物およびメタクリル系化合物としては側鎖について特に制限なく使 用でき、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルについては、エステル部位につい て特に制限なく使用できる。具体例としては、たとえばメチルアタリレートート、メチルメ タクリレート、ェチルアタリレート、ェチルメタタリレート、 n—プロピルアタリレート、 n- プロピルメタタリレート、イソプロピルアタリレート、イソプロピルメタタリレート、 n—ブチ ノレアタリレート、 n ブチルメタタリレート、イソブチノレアタリレート、イソブチルメタクリレ ート、 n—へキシルアタリレート、 n—へキシルメタタリレート、 n—ォクチルアタリレート、 n—ォクチルメタタリレート、 2—ェチルへキシルアタリレート、 2—ェチルへキシルメタ タリレート、ラウリルアタリレート、ラウリルメタタリレート、 2—ヒドロキシェチルアタリレー ト、 2—ヒドロキシェチノレメタタリレート、 2—ヒドロキシプロピルアタリレート、 2—ヒドロキ シプロピルメタタリレート、 tーブチノレアタリレート、 t ブチルメタタリレートなどのアタリ ル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル;エチレングリコール基、プロピレングリコ ール基もしくはテトラメチレングリコール基を含有したアクリル酸エステルまたはメタタリ ル酸エステル;アルコキシシラン基を含有するアクリル酸エステルまたはアルコキシシ ラン基を含有するメタクリル酸エステル; 3—ォキソシクロへキシルアタリレート、 3—ォ キソシクロへキシルメタタリレート、ァダマンチルアタリレート、ァダマンチルメタクリレー ト、アルキルァダマンチルアタリレート、アルキルァダマンチルメタタリレート、シクロへ キシルアタリレート、シクロへキシルメタタリレート、トリシクロデ力-ルアタリレート、トリ シクロデ力-ルメタタリレート、ラタトン環やノルボルネン環を含むアクリル酸またはメタ クリル酸エステルなどの環構造を含むアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル
;アクリルアミド、メタクリルアミド、 N—メチロールアクリルアミド、 N—メチロールメタタリ ルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどの不飽和アミド;アクリロニトリル、メタタリ口-トリ ル、アルコキシシラン基を含有するビニルシラン、アクリル酸、メタクリル酸などが使用 できる。さらに OCシァノ基含有の上記アタリレート類ィ匕合物や類似化合物としてマレイ ン酸、フマル酸、無水マレイン酸などが例示できる。
[0086] 含フッ素アクリル系化合物および含フッ素メタクリル系化合物としては側鎖について 特に制限なく使用でき、含フッ素アクリル酸エステル、含フッ素メタクリル酸エステル については、エステル部位について特に制限なく使用できる。含フッ素アクリル酸ェ ステルおよび含フッ素メタクリル酸エステルとしては、フッ素原子を有する基をアクリル 酸の α位に有する含フッ素アクリル酸エステルまたは含フッ素メタクリル酸エステル、 エステル部位がフッ素原子を有する含フッ素アクリル酸エステルまたは含フッ素メタク リル酸エステルがあげられる。後者の場合、 α位にシァノ基がさらに導入されていて ちょい。
[0087] a位に含フッ素アルキル基が導入された含フッ素アクリル酸エステルまたは含フッ 素メタクリル酸エステルとしては、上記非フッ素系のアクリル酸エステルまたはメタタリ ル酸エステルであって、 ひ位〖こトリフルォロメチル基、トリフルォロェチル基、ノナフル ォロ— n—ブチル基などが結合したものが例示できる。
[0088] 含フッ素エステル部位としては、パーフルォロアルキル基、フルォロアルキル基であ る含フッ素アルキル基;エステル部位に環状構造とフッ素原子が共存する部位であつ て、その環状構造がたとえばフッ素原子やトリフルォロメチル基で置換された含フッ 素ベンゼン環、含フッ素シクロペンタン環、含フッ素シクロへキサン環、含フッ素シクロ ヘプタン環などである部位があげられる。
含フッ素アクリル酸エステルまたは含フッ素メタクリル酸エステルのうち特に代表的な ものとしては、たとえば 2, 2, 2—トリフルォロェチルアタリレート、 2, 2, 3, 3—テトラフ ルォロプロピルアタリレート、 1, 1, 1, 3, 3, 3—へキサフルォロイソプロピルアタリレ ート、ヘプタフルォロイソプロピルアタリレート、 1, 1ージヒドロへプタフルオロー n—ブ チルアタリレート、 1, 1, 5—トリヒドロォクタフルオロー n—ペンチルアタリレート、 1, 1 , 2, 2—テトラヒドロトリデカフルオロー n—ォクチルアタリレート、 1, 1, 2, 2—テトラヒ
ドロヘプタデカフルオロー n—デシルアタリレート、パーフルォロシクロへキシルメチル アタリレートなどの含フッ素アクリル酸エステル; 2, 2, 2—トリフルォロェチルメタクリレ 一卜、 2, 2, 3, 3—テ卜ラフルォロプロピルメタクジレー K 1, 1, 1, 3, 3, 3—へキサフ ノレォロイソプロピノレメタタリレート、ヘプタフノレォロイソプロピノレメタタリレート、 1, 1ージ ヒドロへプタフルオロー n—ブチルメタタリレート、 1, 1, 5—トリヒドロォクタフルオロー n—ペンチルメタタリレート、 1, 1, 2, 2—テトラヒドロトリデカフルォ口一 n—ォクチルメ タクリレート、 1, 1, 2, 2—テトラヒドロヘプタデカフルオロー n—デシルメタタリレート、 パーフルォロシクロへキシルメチルメタタリレートなどの含フッ素メタクリル酸エステル などがあげられる。
[0089] ノルボルネンィ匕合物および含フッ素ノルボルネン化合物は、一核または複数の核 構造を有するノルボルネン化合物である。この際ァリルアルコール、含フッ素ァリルァ ルコール、アクリル酸、 ひフルォロアクリル酸、メタクリル酸、本明細書で記載したすべ てのアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル、含フッ素アクリル酸エステルまた はメタクリル酸エステルなどの不飽和化合物と、シクロペンタジェン、シクロへキサジ ェンとを用いてディールスアルダー(Diels Alder)付カ卩反応を行ったノルボルネン化 合物が採用される。
[0090] スチレン系化合物または含フッ素スチレン系化合物としては、スチレン、フッ素化ス チレン、ヒドロキシスチレンなどの他、へキサフルォロアセトンを付カ卩したスチレン系化 合物、トリフルォロメチル基で水素を置換したスチレンまたはヒドロキシスチレン、 α位 にハロゲン、アルキル基、含フッ素アルキル基が結合した上記スチレンまたは含フッ 素スチレン系化合物などが例示できる。
[0091] また、ビュルエーテルおよび含フッ素ビュルエーテルとしては、メチル基、ェチル基 、ヒドロキシェチル基、ヒドロキシブチル基などのヒドロキシ基を含有してもよいアルキ ルビ-ルエーテルであって、その水素の一部または全部がフッ素で置換されて 、て もよ 、。またシクロへキシルビ-ルエーテルやその環状構造内に水素やカルボ-ル 結合を有した環状型ビニルエーテル、それらの環状型ビニルエーテルの水素の一部 または全部がフッ素で置換された単量体も例示できる。
[0092] なお、ァリルエーテル、ビュルエステル、ビュルシランについても公知の化合物であ
れば特に制限なく使用することが可能である。
[0093] これらの単量体を用いたポリマーのうち、強誘電性向上の点から、含フッ素ォレフィ ン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、含フッ素アクリル酸エステル、含フッ素 メタクリル酸エステル、含フッ素スチレン系化合物、ビュルエーテル、含フッ素ビュル エーテルの 1種または 2種以上の単量体を用いたポリマーが好まし 、。
[0094] 前記特定のフッ化ビニリデン単独重合体と他のポリマーを混合することにより得られ た薄膜は、強誘電性の発現または向上に加えて、他のポリマーの特性、たとえば延 伸加工性の向上などの加工性や機械的強度の向上が期待できる。また、強誘電性 に付随する電気的 ·光学的特性、たとえば電気光学効果などを向上させることもでき る。
[0095] これらのコーティング溶液における特定のフッ化ビ-リデン単独重合体の濃度は、 目的とする膜厚やコーティング溶液の粘度などによって異なるが、 0. 1質量%以上、 好ましくは 0. 5質量%以上、より好ましくは 1質量%以上であり、 50質量%以下、好ま しくは 30質量%以下、より好ましくは 20質量%以下である。
[0096] 他のポリマーを共存させる場合は、他のポリマーの種類や目的とする追加の特性な どによって異なる力 他のポリマーと特定のフッ化ビ-リデン単独重合体の混合物全 体の質量に対してフッ化ビニリデン単独重合体力 たとえば 5質量%以上、好ましく は 7質量%以上、さらに好ましくは 10質量%以上を占めるように配合することが望まし い。上限は、塗膜の膜質維持の点から、 95質量%、好ましくは 90質量%、さらに好ま しくは 85質量%である。
[0097] これらのコーティング溶液を用いて基材に塗布する方法としては、スピンコート、ディ ップコート、スプレーコート、ロールコート、グラビアコートなどの公知の塗装方法が採 用可能であり、なかでも薄膜を効率よく形成する方法として、スピンコート法、グラビア コート法などが好ましく、特にスピンコ一トが好まし 、。
[0098] 上記の方法で塗布した後、溶媒を蒸散して除去する。蒸散の条件は上記の製造方 法で説明した方法が採用できる。
[0099] 薄膜の形成においては、特定のフッ化ビ-リデン単独重合体の融点を下回る温度 での加熱乾燥が好ましい。加熱による乾燥の温度は、使用する溶媒の沸点などによ
つて異なるが、好ましい蒸散温度としては 0°C以上、好ましくは 25°C以上、より好まし くは 30°C以上であり、 150°C以下、好ましくは 100°C以下、より好ましくは 50°C以下 である。
[0100] このようにして、コーティング溶液の形態で塗布され基材に形成されたフッ化ビニリ デン単独重合体薄膜は I型の結晶構造を維持しており、優れた強誘電性を発現する 能力を有するものである。
[0101] 基材の種類は、 目的と用途などによって適宜選択される力 シリコン系基材または 金属系基材のほか、ガラス系基材などのセラミックス系基材、榭脂系基材など力ゝら選 ばれる。
[0102] フッ化ビ-リデン単独重合体薄膜の電気特性を利用する場合、基材としては、例え ば、電極を形成できる導電性の基材であることが好ましい。また、シリコン系基材、セ ラミックス系基材 (ガラス系基材など)、榭脂系基材など絶縁性基材の上に、導電性材 料の薄膜を形成したものも導電性の基材として好まし 、。
[0103] 導電性基材または導電性薄膜用の金属系材料としては、アルミニウム、銅、クロム、 ニッケル、亜鉛、ステンレス、金、銀、白金、タンタル、チタン、ニオブ、モリブデン、ィ ンジゥム錫酸ィ匕物(ITO)などを用いることができる。なかでも、シリコンウェハ上にァ ルミ-ゥム、金、銀、白金、タンタル、チタンなどの薄膜を形成したものが好ましい。 また、金属系基材として、アルミニウム、銅、金、銀および白金なども好ましい。
[0104] なお、基材表面に設けられたこれら導電性薄膜は、必要に応じてフォトリソグラフィ 一法やマスクデポジット法などの公知の方法で所定の回路にパターユングされてい てもよい。
[0105] こうした基材の上に、前述の方法で I型結晶構造のフッ化ビニリデン単独重合体薄 膜が形成される。
[0106] 基材への適用方法としては、コーティング溶液 (塗料)の形態で塗布する方法 (コー ティング溶液法)が好ましく利用できる。またコーティングした薄膜を基材とともに用い てもよいし、基材カも薄膜を剥がし取り、フィルムとして用いてもよい。
[0107] I型結晶構造のフッ化ビニリデン単独重合体薄膜の膜厚は、 目的とする積層体の狙 いと用途によって適宜選択される力 通常、 lnm以上、好ましくは 5nm以上、特に好
ましくは lOnm以上であり、 10 /z m以下、好ましくは 1 m以下、特に好ましくは 500η m以下程度である。フィルムとする場合には、膜厚は通常 0. 5 m以上、好ましくは 1 μ m以上、特に好ましくは 2 μ m以上であり、 100 μ m以下、好ましくは 80 μ m以下、 特に好ましくは 50 μ m以下程度である。
[0108] 本発明の形成方法で得られた薄膜は、機械的強度が向上し、耐熱性も高くなるの で、環境耐性が高く高性能な FE— RAM、赤外線センサー、マイクロホン、スピーカ 一、音声付ポスター、ヘッドホン、電子楽器、人工触覚、脈拍計、補聴器、血圧計、 心音計、超音波診断装置、超音波顕微鏡、超音波ハイパーサーミア、サーモグラフィ 一、微小地震計、土砂崩予知計、近接警報 (距離計)侵入者検出装置、キーボード スィッチ、水中通信バイモルフ型表示器、ソナ一、光シャッター、光ファイバ一電圧計 、ハイド口ホン、超音波光変調偏向装置、超音波遅延線、超音波カメラ、 POSFET、 加速度計、工具異常センサ、 AE検出、ロボット用センサ、衝撃センサ、流量計、振動 計、超音波探傷、超音波厚み計、火災報知器、侵入者検出、焦電ビジコン、複写機 、タツチパネル、吸発熱反応検出装置、光強度変調素子、光位相変調素子、光回路 切換素子などの圧電性、焦電性、電気光学効果あるいは非線形光学効果を利用し たデバイス、高誘電率を利用したコンデンサーなどに利用可能である。
実施例
[0109] つぎに本発明を合成例、実施例などをあげて説明するが、本発明はかかる例のみ に限定されるものではない。
[0110] まず、本発明の説明で使用するパラメーターの測定法について説明する。
[0111] [ 1]フッ化ビニリデン (VdF)重合体の数平均重合度の測定法
(1) CF (VdF) Iの数平均重合度 (n)
3 n
19F— NMRより求める。具体的には、— 61ppm付近のピーク面積 (CF—由来)と、
3
— 90〜― 96ppm付近のピーク面積(― CF— CH—由来)からつぎの計算式で算
2 2
出する。
(数平均重合度) = ((- 90〜― 96ppm付近のピーク面積) /2)/((— 6 lppm付近のピ ーク面積) /3)
[0112] [2]各種の測定 (分析)方法および装置
(1) IR分析
(1-1)測定条件
KBr法。 l〜5mgのフッ化ビ-リデン重合体粉末を 100〜500mgの KBr粉末に混 合し、加圧してペレット化した後、測定装置にペレットを固定し、 25°Cにて測定する。 (1-2)測定装置
PERKIN ELMER社製の FT— IR spectrometer 1760X
[0113] (2) iH— NMRおよび19 F— NMR分析
(2-1)測定条件
フッ化ビ-リデン重合体粉末 10〜20mgを d6—アセトン中に溶解し、得られたサン プルをプローブにセットして測定する。
(2-2)測定装置
Bruker社製の AC— 300P
[0114] (3)粉末 X線回折分析
(3-1)測定条件
専用のガラスプレート上にフッ化ビ-リデン重合体粉末を塗布し、ガラスプレートを 測定装置にセットして測定する。
(3-2)測定装置
Rigaku社製の Rotaflex
[0115] (4)強誘電性測定装置
(4-1)測定条件
アルミニウム電極(下部電極)が形成されている基板上に、強誘電性を示す物質を 塗布して薄膜を形成し、ついでその上に真空蒸着によりアルミニウム電極 (上部電極 )を形成して電極付きサンプルを作製し、これを測定装置にセットして測定する。 (4-2)測定装置
東陽テク-力 (株)製 FCE—1
[0116] 合成例 l (CF (VdF) Iの合成)
3 15
ノ レブ、圧力ゲージ、温度計を備えた 300ml容のステンレススチール製オートタレ ーブに、 HCFC— 225を 50g入れ、ドライアイス Zメタノール溶液で冷却しながら、ジ
—n—プロピルパーォキシジカーボネイト(50質量%メタノール溶液) 0. 27gを加え、 系内をチッ素ガスで充分置換した。系内を減圧にした後、ノ レブカゝら CF Iを 2. 5g仕
3 込み、系を 45°Cまで昇温の後、 VdFを系内圧が 0. 8MPaGになるまで仕込み、系 内圧 0. 8MPaG、系内温度を 45°Cに維持しながら VdFを連続供給し、 9時間反応を 行なった。
[0117] 反応終了後、系内温度を 25°Cまで冷却し、未反応物 (VdFと CF I)を放出した後、
3
析出した反応固形物 (VdF重合体)を取り出し、デシケーター内で反応固形物を恒 量になるまで真空乾燥し、 VdF重合体 12. 2gを得た。
[0118] この VdF重合体を19 F— NMRにより分析し、 VdFの数平均重合度(n)を求めたとこ ろ、 14. 6であった。
[0119] この VdF重合体について IR分析を行なったところ、 I型結晶構造に特徴的なピーク と II型結晶構造に特徴的なピークの両方が観測され、 I型結晶構造と II型結晶構造の ものが混在していることを確認した。さらに、 I型結晶構造の含有率 (F(I))を算出した ところ、 60質量%であった。
[0120] 合成例 2 (CF (VdF) C H Iの合成)
3 15 2 4
ノ レブ、圧力ゲージ、温度計を備えた 300ml容のステンレススチール製オートタレ ーブに、系内温度は 25°Cのまま、合成例 1で得たフッ化ビ-リデンオリゴマー (n= l 5)を 3. Og、酢酸ェチルを 30g、 AIBNを 0. 021g力!]え、系内をチッ素ガスで充分置 換した。その後系内を減圧にし、 65°Cまで昇温し、エチレンガスを系内圧が 0. 7MP aGになるまで仕込み、系内圧 0. 7MPaG、系内温度 65°Cを維持しながら、エチレン ガスを連続供給し 5時間反応を行なった。
[0121] 反応終了後、系内温度を 25°Cまで冷却し、未反応物のエチレンガスを放出した後 、系中の酢酸ェチル溶液をへキサン中に投入し、析出した反応固形物(以下、「フッ 化ビ-リデンオリゴマーエチレン付加体」という)をろ過により取り出した。デシケータ 一内でフッ化ビ-リデンオリゴマーエチレン付加体を恒量になるまで真空乾燥し、 2. 8gを得た。
[0122] このフッ化ビ-リデンオリゴマーエチレン付カ卩体は、 — NMRおよび19 F— NMR により分析したところ、 -CF I末端由来の— 38ppm付近のピークの消失が確認され
、付カ卩したエチレン由来のピークが 3. 4〜3. 2ppmと 2. 8〜2. 6ppmに H— NMR より観測された。このとき1 H—NMRより求められた末端変性率は 96%であった。
[0123] この VdF重合体について IR分析を行なったところ、 I型結晶構造に特徴的なピーク と II型結晶構造に特徴的なピークの両方が観測され、 I型結晶構造と II型結晶構造の ものが混在していることを確認した。さらに、 I型結晶構造の含有率 (F(I))を算出した ところ、 52質量%であった。
[0124] 合成例 3 (CF (VdF) C Hの合成)
3 15 2 5
環流冷却器、温度計、撹拌装置、滴下漏斗を備えた 50ml四ッロフラスコに、酢酸 30ml、合成例 2で合成されたフッ化ビ-リデンオリゴマーエチレン付加体: CF (VdF
3
) C H Iを 0. 5g、亜鉛粉末を 0. 33g仕込み加熱還流を 4時間行った。
15 2 4
[0125] 反応終了後、系内温度を 25°Cまで冷却し、亜鉛粉末をろ過により除いた後、反応 物の酢酸溶液を純水中に投入し、反応固形物を再沈殿することにより取り出した。デ シケーター内で反応固形物を恒量になるまで真空乾燥し、 0. 31gを得た。
[0126] 反応固形物は、 iH—NMRにより分析したところ、付カ卩したエチレン由来の 3. 4〜3 . 2ppmと 2. 8〜2. 6ppmのピークが消失し、末端メチル基由来のピークが 1. 1〜0 . 8ppmに観測され、フッ化ビ-リデンオリゴマーエチレン付加体の末端ヨウ素がプロ トンィ匕されていることが確認された。このとき1 H—NMRより求められた末端変性率は 98%であった。
[0127] この VdF重合体について IR分析を行なったところ、 I型結晶構造に特徴的なピーク と II型結晶構造に特徴的なピークの両方が観測され、 I型結晶構造と II型結晶構造の ものが混在していることを確認した。さらに、 I型結晶構造の含有率 (F(I))を算出した ところ、 57質量%であった。
[0128] 実施例 1
合成例 3で合成した CF (VdF) C H原末 (I型結晶構造を 57質量%含有)を表 1
3 15 2 5
に示す溶剤に 25°Cにて 10質量%となるように溶解した。
[0129] ついでスピンコーターに固定されたシリコン基板に上記溶液を約 30mgほど滴下し 、 lOOOrpmで 1秒間、ついで 2000rpmで 30秒間というスピンコート条件で薄膜を形 成した。スピンコート終了後、デシケーターにて減圧乾燥 (約 14. 6kPa : 25°C)を 1時
間行い残存溶媒を留去した。
[0130] シリコン基板上に形成された薄膜を剥がし取り、 KBr法により IR分析で I型結晶構 造の含有率を求めた。結果を表 1に示す。
[0131] 比較例 1
合成例 1で合成した CF (VdF) I原末 (I型結晶構造を 60質量%含有)を表 1に示
3 15
す溶剤に 25°Cにて 10質量%となるように溶解した。
[0132] ついでスピンコーターに固定されたシリコン基板に上記溶液を約 30mgほど滴下し
、 lOOOrpmで 1秒間、ついで 2000rpmで 30秒間というスピンコート条件で薄膜を形 成した。スピンコート終了後、デシケーターにて減圧乾燥 (約 14. 6kPa : 25°C)を 1時 間行い残存溶媒を留去した。
[0133] シリコン基板上に形成された薄膜を剥がし取り、 KBr法により IR分析で I型結晶構 造の含有率を求めた。結果を表 1に示す。
[0134] なお、表 1中の溶剤の略号はつぎの溶剤である。
DMF:ジメチルホルムアミド
DMA:ジメチルァセトアミド
THF :テトラヒドロフラン
MEK:メチルェチルケトン
[0135] [表 1]
表 1
[0136] 実施例 2
実施例 1の実験番号 1 1で調製したフッ化ビ-リデンオリゴマーの 10質量0 /0の D MF溶液をシリコン基板、ガラス基板およびアルミニウム基板上に約 30mgほど滴下し 、デシケーターにて減圧乾燥 (約 14. 6kPa: 25°C)を一時間行い残存溶媒を留去し た。基板上に形成した薄膜を剥がし取り、 KBr法により IR分析で I型結晶構造の含有 率を求めた。
[0137] また、アルミニウム基板については、 DMF: MEK= 1: 9 (質量比)の混合溶剤を用 いた 10質量%の溶液についても同様にして薄膜を形成し、 I型結晶構造の含有率を 求めた。
[0138] 結果を表 2に示す。
[0139] [表 2]
表 2
[0140] 実施例 3
合成例 3で合成した CF (VdF) C H原末 (I型結晶構造を 57質量%含有) 100質
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量部および VdF トリフルォロエチレン(TrFE)共重合体(VdF: TrFE = 75: 25モ ル%) 100質量部を DMFに 25°Cにて、溶剤の質量に対して TrFEと特定のフッ化ビ ユリデン単独重合体の混合物全体の質量が 10質量%となるように溶解した。
[0141] ついでスピンコーターに固定されたシリコン基板に上記溶液を約 30mgほど滴下し 、 lOOOrpmで 1秒間、ついで 2000rpmで 30秒間というスピンコート条件で薄膜を形 成した。スピンコート終了後、デシケーターにて減圧乾燥 (約 14. 6kPa : 25°C)を 1時 間行い残存溶媒を留去した。
[0142] シリコン基板上に形成された薄膜を剥がし取り、 KBr法により IR分析で I型結晶構 造の含有率を求めたところ、 I型結晶構造の含有率は 100%であった。
[0143] 実施例 4
合成例 3で合成した CF (VdF) C H原末 (I型結晶構造を 57質量%含有) 100質
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量部およびポリメチルメタタリレート 100質量部を DMFに 25°Cにて 10質量%となるよ うに溶解した。
[0144] ついでスピンコーターに固定されたシリコン基板に上記溶液を約 30mgほど滴下し 、 lOOOrpmで 1秒間、ついで 2000rpmで 30秒間というスピンコート条件で薄膜を形 成した。スピンコート終了後、デシケーターにて減圧乾燥 (約 14. 6kPa : 25°C)を 1時 間行い残存溶媒を留去した。
[0145] シリコン基板上に形成された薄膜を剥がし取り、 KBr法により IR分析で I型結晶構 造の含有率を求めたところ、 I型結晶構造の含有率は 100%であった。
[0146] 実施例 5
合成例 3で合成した CF (VdF) C H原末 (I型結晶構造を 57質量%含有)および
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VdF—トリフルォロエチレン(TrFE)共重合体(VdF :TrFE = 75: 25モル0 /0)を表 3 に示す比率で 25°Cにて DMFに 10質量%となるように溶解させた。
[0147] ついでアルミニウムを表面に蒸着したシリコン基板をスピンコーターに固定し、上記 溶液を約 30mgほど滴下し、 lOOOrpmで 1禾少間、 ヽで 2000rpmで 30禾少間と!/ヽぅス ピンコート条件で薄膜を形成した。スピンコート終了後、デシケーターにて減圧乾燥( 約 14. 6kPa : 25°C)を 1時間行い残存溶媒を留去した。
[0148] ついで、当該混合ポリマー塗布基板にアルミニウムを上部電極として蒸着し、強誘 電性測定装置 (測定周波数: 1ΚΗζ、印加電圧: 200MV/m)を用いて強誘電特性 の測定を行なった。結果を表 3に示す。
[0149] [表 3]
表 3
[0150] その結果、 CF (VdF) C H原末の混合比率の高いほうが残留分極が向上し、強
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誘電特性が改善した。
産業上の利用可能性
[0151] 本発明によれば、溶解、蒸散という極めて簡易な手段により高純度の I型結晶構造 のフッ化ビ-リデン単独重合体を製造することができ、また薄膜も容易に形成できる。