明 細 書
フッ素置換イリジウム錯体およびこれを用いた発光材料
技術分野
[0001] 本発明は、有機電界発光 (有機 EL)素子用材料、エレクトロケミルミネッセンス (ECL )素子材料、発光センサー、光増感剤、ディスプレイ、蛍光増白剤、写真用材料、レ 一ザ一色素、カラーフィルター用染料、光通信、色変換フィルター、バックライト、照 明、光増感色素、各種光源などに有用な新規イリジウム錯体、並びに該化合物から なる青色発光材料に関するものである。
背景技術
[0002] 有機電界発光 (有機 EL)素子は次世代の携帯情報端末などのディスプレイ素子と して注目されており、近年になって発光素子に用いられる各種有機材料の開発が活 発に進められるようになつてきた。ここで、発光材料に関して言えば、励起一重項から の発光を利用する蛍光材料と、励起三重項からの発光を利用する燐光材料に大きく 分類できる。励起一重項からの発光を用いる場合、一重項励起子と三重項励起子の 生成比が 1: 3であるため発光性励起種の生成確率が 25%であることと、光の取り出 し効率が約 20%であるため、外部取り出し量子効率の限界は 5%とされている。一方 で、これに励起三重項をも利用できると、内部量子効率の上限が 100%となるため、 励起一重項の場合に比べて原理的に発光効率力 倍となることから注目されている。
[0003] 燐光材料の中でも、トリス(2—フエニルピリジン)イリジウム錯体に代表されるオルト メタル化イリジウム錯体は、発光効率の観点から有望視されており、特に注目されて いる発光素子材料である(特許文献 1)。近年では、発光素子材料として用いられる 燐光材料の開発が活発に行われて 、るが、フルカラー表示に必要な 3原色の中でも 特に青色にぉ 、ては十分な特性の燐光材料は得られて 、な 、。
[0004] これまでに、青色発光特性を示す燐光性イリジウム錯体としては、 2—フエ-ルピリ ジン誘導体配位子のフエニル基の特定部位(2位および 4位)にフッ素原子を導入し たイリジウム錯体が報告されている。例えば、下式 (A)〜(P)で表される 2-(2,4-ジフ ルォロフエ-ル)ピリジン配位子を有する燐光性イリジウム錯体が数多く開示されて ヽ
る。(特許文献 (2)〜( 11)、非特許文献 ( 1)〜 (5) )。
[化 12]
2- (2. 4-ジフルオロフ:!:二ソレ)ピリジン
(式し) (式 M) (式 N )
しかし、これらのイリジウム錯体は、依然として発光に緑色成分が含まれているため 、青色燐光材料として必ずしも満足できるものではなぐ新規燐光材料が渴望されて いる。
[0005] さらに、特許文献(12)〜(15)には、本発明と関連して、フッ素置^リジゥム錯体 ( 例えば、下式 (F— 1)〜(F— 3)など)が記載されているが、これらイリジウム錯体の発 光特性に関する記載は全くなぐ 2—フエ-ルビリジン誘導体配位子のピリジン環上 のフッ素置換基とイリジウム錯体の発光特性の相関については、未だ明らかになって いない。
[化 14]
(式 F— 1 ) (式 F— 2 ) (式 F— 3 )
[0006] 特許文献 1:国際公開第 00/70655号パンフレット
特許文献 2 :国際公開第 02/15645号パンフレット
特許文献 3 :特許公開 2002-117978号公報
特許文献 4:特許公開 2002-170684号公報
特許文献 5:特許公開 2002-235076号公報
特許文献 6:特許公開 2003-133074号公報
特許文献 7:特許公開 2003-253128号公報
特許文献 8:特許公開 2003-321546号公報
特許文献 9:特許公開 2003-342325号公報
特許文献 10:特許公開 2005-38847号公報
特許文献 11:特許公開 2005-82598号公報
特許文献 12 :特許公開 2003-113161号公報
特許文献 13 :特許公開 2003-113163号公報
特許文献 14:特許公開 2003-113164号公報
特許文献 15 :特許公開 2003-113190号公報
非特許文献 1 : Applied Physics Letters 2003年 83卷 3818頁
非特許文献 2 : Chemical Communication 2004年 1774頁
非特許文献 3 : Advanced Materials 2005年 17卷 285頁
非特許文献 4 : Inorganic Chemistry 2005年 44卷 1713頁
非特許文献 5:第 51回応用物理学関係連合講演会講演予稿集 30p— ZN— 5 発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0007] 本発明の目的は、高輝度'高効率発光が可能で耐久性に優れた発光素子、並び に該発光素子に使用でき、有機電界発光素子用材料、エレクトロケミルミネッセンス( ECL)素子材料、発光センサー、光増感剤、ディスプレイ、蛍光増白剤、写真用材料 、レーザー色素、カラーフィルター用染料、光通信、色変換フィルター、バックライト、 照明、光増感色素、各種光源等にも適用できる新規な青色発光性イリジウム錯体を 提供することである。
課題を解決するための手段
[0008] 本発明者は、前述した 2—フエ二ルビリジン誘導体配位子を有する公知イリジウム錯 体が、依然として、その発光に緑色成分が多く含まれている現状に鑑み、鋭意研究 を重ねた結果、イリジウム錯体の発光をさらに短波長シフトさせるためには、配位子で ある 2—フエ二ルビリジン誘導体配位子のピリジン環に、置換フエニル基に対しメタ位 (下式参照)にフッ素原子を導入する手法が極めて有効であることを見出した。
実際に、本手法により得られる新規イリジウム錯体が、ピリジン環上にフッ素原子を 導入していない公知イリジウム錯体と比較して、その発光が短波長シフトし、優れた 青色発光特性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
(WO 02/15645に記載) 本発明化合物 発光極大波長 474rm 発光極大波長 470nm
(THF中) (THF中) すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1) 下記一般式(1)で表されるイリジウム錯体。
[化 1]
/x i 、 1 )
(上記一般式(1)中、 R -R8は水素原子または置換基を表す。ただし、 R1または R3の 少なくとも一つはフッ素原子であり、さらに、 R5または R7の少なくとも一つはフッ素原 子である。 L1は含窒素へテロ環配位子、ジケトン配位子、カルボン酸配位子、ビラゾリ ルボレート配位子、リン配位子、ハロゲン配位子を表す。 n1は 1〜3の整数を表し、 n2 は 0〜4の整数を表す。)
(2) R3がフッ素原子である前記 1に記載のイリジウム錯体。
(3) R6または R8の少なくとも一つはトリフルォロメチル基である前記 1または 2に記 載のイリジウム錯体。
(4) R5および R7がともにフッ素原子である前記 1乃至 3何れかに記載のイリジウム 錯体。
(5) L1が、下記一般式(2)で表される配位子である前記 1乃至 4何れかに記載の イリジウム錯体。
(上記一般式 (2)中、 R1()〜R17は水素原子または置換基を表す。ただし、 R1Qまたは R1 2の少なくとも一つはフッ素原子であり、さらに、 R14または R16の少なくとも一つはフッ素 原子である。 )
(6) L1が、下記一般式(3)で表される配位子である前記 1乃至 4何れかに記載の イリジウム錯体。
[化 3] 般式 ( 3 )
(上記一般式(3)中、 R
2Q〜R
23は水素原子または置換基を表す。 )
(7) L1が、下記一般式 (4)で表される配位子である前記 1乃至 4何れかに記載の イリジウム錯体。
[化 4]
(上記一般式 (4)中、 R3°〜R32は水素原子または置換基を表す。 )
(8) L1が、下記一般式(5)で表される配位子である前記 1乃至 4何れかに記載の イリジウム錯体。
[化 5]
一般 3^ ( o J
(上記一般式(5)中、 R4°〜R41は水素原子または置換基を表す。 )
(9) L1が、下記一般式 (6)で表される配位子である前記 1乃至 4何れかに記載の
イリジウム錯体。
[化 6]
(上記一般式 (6)中、 n3は 0または 1を表す。 X1は水素原子または置換基を表す。 R50 〜R57は、水素原子または置換基を表す。 )
(10) L1が、下記一般式(7)で表される配位子である前記 1乃至 4何れかに記載の イリジウム錯体。
[化 7]
~" 'w A. ( 7"ノ
(上記一般式 (7)中、 R6Q〜R69は水素原子または置換基を表す。 Aは連結基を表す, )
(11) L1が、下記一般式 (8)で表される配位子である前記 1乃至 4何れかに記載の イリジウム錯体。
[化 8] 般式 ( 8 )
(上記一般式 (8)中、 R7°〜R75は水素原子または置換基を表す。 Yおよび Zは、窒素 原子または炭素原子である。ただし、 Yが窒素原子の時は R74は存在せず、 Zが窒素 原子の時は R75は存在しない。 )
(12) L1が、下記一般式(9)で表される配位子である前記 1乃至 4何れかに記載の イリジウム錯体。
[化 9]
一般式 ( 9 )
(上記一般式 (9)中、 R8Q〜R84は水素原子または置換基を表す。 )
(13) L1が、下記一般式(10)で表される配位子である前記 1乃至 4何れかに記載 のイリジウム錯体。
[化 10] 般式 ( 1 0 )
(上記一般式(10)中、 R9°は水素原子または置換基を表す。 )
(14) 前記 1乃至 13何れかに記載のイリジウム錯体力もなる発光材料
(15) 前記 14に記載の発光材料を用いた発光素子
(16) 下記一般式(11)で表されるイリジウム錯体。
[化 11]
(一般式(11)中、 R1QQ〜R115は水素原子または置換基を表す。ただし、 R1QQまたは R1Q 2の少なくとも一つはフッ素原子であり、 R1Q8または Ru°の少なくとも一つはフッ素原子 であり、 R1Mまたは R1Q6の少なくとも一つはフッ素原子であり、 R112または R114の少なくと も一つはフッ素原子である。 )
(17) 前記 16に記載のイリジウム錯体と前記 1に記載の L1とを反応させることを特 徴とする、前記 1乃至 13何れかに記載のイリジウム錯体の製造方法。 発明の効果
[0010] 本発明の新規なイリジウム錯体は、効率よく高輝度で青色領域の発光を有すること から、該化合物を用いた発光素子は、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写 真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア等の分 野に好適である。また、本発明の化合物は、医療用途、蛍光増白剤、写真用材料、
UV吸収材料、レーザー色素、カラーフィルター用染料、色変換フィルター、光通信 等にも適用可能である。また、本発明である青色発光素子を基本とし、赤〜橙色発 光材料、赤〜橙色発光素子を組み合わせることにより、高効率白色発光素子も作製 できる。
図面の簡単な説明
[0011] [図 1]本発明化合物(B— 34)と前式 (C)で表される公知化合物の THF中の発光ス ベクトルである。実線は本発明化合物を表し、点線は前式 (C)で表される公知化合 物を表す。
[図 2]本発明化合物 (B— 106)と前式 (S)で表される公知化合物の THF中の発光ス ベクトルである。実線は本発明化合物を表し、点線は前式 (S)で表される公知化合 物を表す。
[図 3]本発明化合物(B— 118)と前式 (N)で表される公知化合物の THF中の発光ス ベクトルである。実線は本発明化合物を表し、点線は前式 (N)で表される公知化合 物を表す。
[図 4]本発明化合物(B— 136)と前式 (D)で表される公知化合物の THF中の発光ス ベクトルである。実線は本発明化合物を表し、点線は前式 (D)で表される公知化合 物を表す。
発明を実施するための最良の形態
[0012] 本発明に係る前記一般式(1)で表されるイリジウム錯体は新規ィ匕合物であり、配位 子である 2—フエ二ルビリジン誘導体配位子のピリジン環に、置換フエニル基に対しメ タ位に電子吸引性であるフッ素原子を導入することにより得られる該イリジウム錯体が 、 2—フエ-ルビリジン誘導体配位子のピリジン環上が無置換の公知イリジウム錯体と 比較して、その発光が短波長にシフトするという実験事実は予想外であり、従来全く 知られて!/ヽな 、事柄である。
従来、イリジウム錯体の発光を短波長シフトさせるためには、 2—フエ-ルビリジン誘 導体配位子のピリジン環上の置換基に、アルキル基、アミノ基、アルコキシ基、置換 アミノ基などの 、わゆる電子供与性置換基を導入することが好ま 、とされて 、る(特 許文献 3,特許文献 6など参照)。
一方、ピリジン環上に電子吸引性基を導入したイリジウム錯体においては、その発 光が長波長シフトすることは良く知られている。例えば、 Journal of the American Che mical Society 2003年 125卷 12971頁には、代表的な電子吸引性基であるトリフル ォロメチル基を、 2—チエ-ルビリジンのピリジン環上に導入することにより、発光極大 が 550nmから 563nmへ長波長シフトすることが記載されている。さらに、 Chemical Communication 2001年 1494頁においても、トリフルォロメチル基を 2—フエ-ルピリ ジンのピリジン環上に導入することにより、発光極大波長が 522nmから 545nmへ長波 長シフトすることが記載されて 、る。
以上のことから、 2—フエ-ルビリジン誘導体配位子のピリジン環上に、電子吸引性 であるフッ素原子を導入することにより、そのイリジウム錯体の発光が短波長にシフト することは上記技術常識からは全く予見できないことであり、本発明者らの、数多くの 緻密な実験の積み重ねによって見いだされた予想外の新規な知見である。
そして、前記一般式(1)で表される本発明の新規なイリジウム錯体は、これを発光 素子の発光層もしくは発光層を含む複数の有機化合物層に含有させることで、青色 領域に優れた発光色を有する発光素子とすることができる。
また、発光素子を作製する際に、これまで、フッ素置換基を有するイリジウム錯体を 用いることにより、フッ素の電気的効果あるいは立体障害によって、分子間相互作用 が抑制され、物理的には結晶化が抑制されるために膜質が均一化され、またイリジゥ ム錯体間の相互作用によるエネルギー失括が抑制されるために発光効率が向上し、 結果として電気特性の向上、素子安定性の向上が図れることが知られている (特許 公開 2003-68467号、国際公開第 02/44189号、国際公開第 02/45466号など参照)。 し力しながら、青色発光材料の開発という観点からは、 2—フエ-ルビリジン誘導体 配位子のフエ-ル基上にフッ素原子を導入することは前述のように数多く行われてき たものの、 2—フエ-ルビリジン誘導体配位子のピリジン環上にフッ素原子を導入する
ことは従来行われてこな力つた。それは、ピリジン環上にフッ素原子を導入することに よって、イリジウム錯体の発光は長波長シフトし、青色発光材料として適さなくなると考 えられてきた力 である。
本発明では、 2—フエ二ルビリジン誘導体配位子のピリジン環に、置換フエニル基に 対しメタ位にフッ素原子を導入することで、青色純度の良好な発光色を得ることがで きるとともに、さらに、ピリジン環上のフッ素置換基の効果により、真空蒸着法で成膜 するときに、昇華温度が低下して蒸着しやすくなり、素子作製の際の真空蒸着時の 分解が抑制され、さらにイリジウム錯体間の分子間相互作用が低下し濃度消光が抑 制される。本発明のイリジウム錯体を用いることにより、長時間安定した発光が実現で きる。
[0014] 以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の化合物は、前記一般式(1)で表される構造を有すれば良ぐその互変異 性体であっても良い。前記一般式(1)で表される化合物の中でも、溶液中または固 体状態での発光量子収率は、 0. 01以上のものが好ましぐ 0. 1以上のものがより好 ましぐ 0. 3以上のものがさらに好ましい。発光極大波長としては、 500nm以下のもの が好ましぐ 350nm以上 500nm以下のものがより好ましぐ 400nm以上 490nm以下 のものがさらに好ましぐ 410nm以上 480nm以下のものが特に好ましい。
[0015] つぎに、前記一般式(1)〜(11)に記載した記号 ( 〜 、 R1C)〜R17、 R2〜R23、 R
〜R 、 R 〜R 、 R 〜R 、 R 〜R 、 R 〜R 、 R 〜R 、 R 、 R 〜R 、 L
\ n\ n2、 n3、 X1、 A、 Y、および、 Z)について以下に説明する。
一般式(1)〜(11)に記載した置換基としては、例えば、アルキル基 (好ましくは炭 素数 1〜20、より好ましくは炭素数 1〜10であり、例えばメチル、ェチル、イソプロピ ル、ターシャルブチル、ノルマルォクチル、ノルマルデシル、ノルマルへキサデシル、 シクロプロピル、シクロペンチル、シクロへキシルなどが挙げられる。)、ァルケ-ル基( 好ましくは炭素数 2〜20、より好ましくは炭素数 2〜: L0であり、例えばビニル、ァリル、 2—ブテニル、 3—ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基 (好ましくは炭素数 2〜20、より好ましくは炭素数 2〜10であり、例えばプロパルギル、 3—ペンチ-ルな
どが挙げられる。)、ァリール基 (好ましくは炭素数 6〜20、より好ましくは炭素数 6〜1 2であり、例えばフエ-ル、 p—メチルフエ-ル、ナフチル、アントラ-ルなどが挙げら れる。)、アミノ基 (好ましくは炭素数 0〜20、より好ましくは炭素数 0〜: LOであり、例え ばァミノ、メチルァミノ、ジメチルアミ入ジェチルアミ入ジベンジルアミ入ジフエ-ル アミ入ジトリルァミノなどが挙げられる)。アルコキシ基 (好ましくは炭素数 1〜20、より 好ましくは炭素数 1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、 2—ェチルへキ シロキシなどが挙げられる。)、ァリールォキシ基 (好ましくは炭素数 6〜20、より好ま しくは炭素数 6〜 12であり、例えばフエ-ルォキシ、 1 ナフチルォキシ、 2 ナフチ ルォキシなどが挙げられる。)、ヘテロ環ォキシ基 (好ましくは炭素数 1〜20、より好ま しくは炭素数 1〜12であり、例えばピリジルォキシ、ビラジルォキシ、ピリミジルォキシ 、キノリルォキシなどが挙げられる。)、ァシル基 (好ましくは炭素数 1〜20、より好まし くは炭素数 1〜12であり、例えばァセチル、ベンゾィル、ホルミル、ビバロイルなどが 挙げられる。)、アルコキシカルボニル基 (好ましくは炭素数 2〜20、より好ましくは炭 素数 2〜12であり、例えばメトキシカルボ-ル、エトキシカルボ-ルなどが挙げられる 。;)、ァリールォキシカルボ-ル基 (好ましくは炭素数 7〜20、より好ましくは炭素数 7 〜12であり、例えばフエ-ルォキシカルボ-ルなどが挙げられる。)、ァシルォキシ基 (好ましくは炭素数 2〜20、より好ましくは炭素数 2〜: LOであり、例えばァセトキシ、ベ ンゾィルォキシなどが挙げられる。)、ァシルァミノ基 (好ましくは炭素数 2〜20、より好 ましくは炭素数 2〜10であり、例えばァセチルアミ入ベンゾィルァミノなどが挙げられ る。)、アルコキシカルボ-ルァミノ基 (好ましくは炭素数 2〜20、より好ましくは炭素数 2〜12であり、例えばメトキシカルボ-ルァミノなどが挙げられる。)、ァリールォキシ力 ルポニルァミノ基 (好ましくは炭素数 7〜20、より好ましくは炭素数 7〜 12であり、例え ばフエ-ルォキシカルボ-ルァミノなどが挙げられる。)、スルホ -ルァミノ基 (好ましく は炭素数 1〜20、より好ましくは炭素数 1〜12であり、例えばメタンスルホ-ルアミ入 ベンゼンスルホ -ルァミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基 (好ましくは炭素数 0 〜20、より好ましくは炭素数 0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイ ル、ジメチルスルファモイル、フエ-ルスルファモイルなどが挙げられる。 )、カルバモ ィル基 (好ましくは炭素数 1〜20、より好ましくは炭素数 1〜12であり、例えば力ルバ
モイル、メチルカルバモイル、ジェチルカルバモイル、フエ-ルカルバモイルなどが挙 げられる。)、アルキルチオ基 (好ましくは炭素数 1〜20、より好ましくは炭素数 1〜12 であり、例えばメチルチオ、ェチルチオなどが挙げられる。)、ァリールチオ基 (好まし くは炭素数 6〜20、より好ましくは炭素数 6〜12であり、例えばフエ-ルチオなどが挙 げられる。)、ヘテロ環チォ基 (好ましくは炭素数 1〜20、より好ましくは炭素数 1〜12 であり、例えばピリジルチオ、 2—べンズイミゾリルチオ、 2—べンズォキサゾリルチオ、 2—べンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基 (好ましくは炭素数 1〜 20、より好ましくは炭素数 1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、 スルフィエル基 (好ましくは炭素数 1〜20、より好ましくは炭素数 1〜12であり、例え ばメタンスルフィエル、ベンゼンスルフィエルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好まし くは炭素数 1〜20、より好ましくは炭素数 1〜12であり、例えばウレイド、メチルゥレイ ド、フエ-ルゥレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基 (好ましくは炭素数 1〜20、よ り好ましくは炭素数 1〜12であり、例えばジェチルリン酸アミド、フエ-ルリン酸アミド などが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子 (例えばフッ素原子、 塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シァノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、 ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基 (好ましくは炭素数 1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的 にはイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チェ-ル、ピペリジル、モルホリノ、ベン ズォキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、カルバゾリル基、ァゼピニル 基などが挙げられる。)、シリル基 (好ましくは炭素数 3〜30、より好ましくは炭素数 3 〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフエ-ルシリルなどが挙げられる。)、シリルォ キシ基 (好ましくは炭素数 3〜30、より好ましくは炭素数 3〜24であり、例えばトリメチ ルシリルォキシ、トリフエ-ルシリルォキシなどが挙げられる。)などが挙げられる。これ らの置換基は更に置換されてもょ 、。
前記一般式(1)中、 R1または R3の少なくとも一つはフッ素原子であり、 R5または R7 の少なくとも一つはフッ素原子である。 R1は水素原子、フッ素原子、アルキル基又は アルコキシ基が好ましぐ水素原子又はフッ素原子であるのがより好ましい。 R3は水 素原子、フッ素原子、アルキル基又はアルコキシ基が好ましぐフッ素原子であるの
力 り好ましい。 R2及び R4はそれぞれ好ましくは水素原子、フッ素原子、アルキル基 又はアルコキシ基であり、より好ましくは水素原子又はアルキル基である。 R5は好まし くは水素原子、アルキル基又はフッ素原子であり、より好ましくは水素原子又はフッ素 原子であり、特に好ましくはフッ素原子である。 R6及び R8はそれぞれ好ましくは水素 原子、トリフルォロメチル基、又はフッ素原子であり、より好ましくは水素原子である。 R7は好ましくは水素原子、アルキル基又はフッ素原子であり、より好ましくはフッ素原 子である。以上の組み合わせの中でも、 R3、 R5および R7がフッ素原子であることが最 も好ましい。
前記一般式(1)に記載の L1については、好ましくは、含窒素へテロ環配位子 (例え ば、フエ-ルビリジン誘導体、ピラゾリルピリジン誘導体、ベンズイミダゾリルピリジン誘 導体、 2, 2'—ジピリジルァミン誘導体など、他には特許公開 2003-133074号に記載 の配位子などが挙げられる)、ジケトン配位子 (例えば、ァセチルアセトン誘導体など 、他には特許公開 2005-35902号に記載の配位子などが挙げられる)、カルボン酸配 位子 (例えば、酢酸誘導体、ピコリン酸誘導体など、他には特許公開 2004-349224号 に記載の配位子などが挙げられる)、ビラゾリルポレート誘導体 (例えば、 Inorganic C hemistry
2005年 44卷 1713頁に記載の配位子などが挙げられる)、リン配位子 (例えば、ホス フィン誘導体、亜リン酸エステル誘導体など、他には特許公開 2002-170684号ゃ特 許公開 2005-97263号に記載の配位子などが挙げられる)、ハロゲン配位子 (好ましく は塩素配位子、フッ素配位子)である。
前記一般式(1)中、 n1については、 n1は 1〜3の整数を表す。 2または 3が好ましい 。 n2については、 n2は 0〜4の整数を表す。 0〜2力 子ましく、 0または 1がより好ましい 前記一般式 (2)中、 R1C)〜R17は、それぞれ 〜 と同義であり、好ましい範囲も同 じである。
前記一般式(3)中、 R2〜R23は、アルキル基、水素原子、または、水酸基が好まし い。
前記一般式 (4)に記載の R3G〜R32については、アルキル基、水素原子、ァリール
基または置換ァリール基が好ま 、。
前記一般式(5)に記載の R4G〜R41については、水素原子、アルキル基、フエ-ル 基、置換フエ-ル基、ピラゾリル基、置換ピラゾリル基、トリァゾリル基、置換トリアゾリ ル基、ピリジル基、置換ピリジル基、ナフチル基、置換ナフチル基が好ましい。より好 ましくは、水素原子、アルキル基、フエ-ル基、ピラゾリル基、トリァゾリル基である。 前記一般式 (6)中、 R5〜R53については、それぞれ R2〜R23と同義であり、好まし い範囲も同じである。 R54〜R57については、それぞれ R2°〜R23と同義であり、好まし い範囲も同じである。
前記一般式 (6)中、 X1については、水素原子、フエ-ル基、置換フエ-ル基、ピリジ ル基、置換ピリジル基、ナフチル基、置換ナフチル基が好ましい。より好ましくは、水 素原子、置換フエ-ル基である。
前記一般式 (6)中、 n3は 0または 1の整数を表し、 1が好ましい。
前記一般式 (7)中、 R6°〜R69については、アルキル基、水素原子、または、水酸基 が好ましい。
前記一般式(7)中、 Aについては、連結基を表す。炭素数 1〜10のアルキレン基、 フエ-レン基、炭素数 7〜20の置換フエ-レン基が好ましぐ炭素数 1〜5のアルキレ ン基、フエ-レン基、炭素数 7〜15の置換フエ-レン基がさらに好ましい。これらの連 結基にシリコンが含有されたのも好まし 、。
前記一般式 (8)中、 Yおよび Zについては、窒素原子または炭素原子を表す。 前記一般式 (8)中、 RTO〜R73については、それぞれ R2〜R23と同義であり、好まし い範囲も同じである。 R74、 R75については、 Yが窒素原子の時は R74は存在せず、 Z が窒素原子の時は R75は存在しない。 R74、 R75としては、水素原子、アルキル基、ァリ ール基又は電子吸引性基であるのが好ましい。電子吸引性基の中でも、フッ素原子 、トリフルォロメチル基、ァセチル基、メタンスルホ-ル基、トリフルォロアセチル基、ト リフルォロメタンスルホニル基及びシァノ基が好ましぐフッ素原子、トリフルォロメチ ル基、トリフルォロアセチル基及びトリフルォロメタンスルホ-ル基がより好ましぐフッ 素原子及びトリフルォロメチル基が更に好ましぐトリフルォロメチル基が特に好まし い。
前記一般式 (9)中、 R8〜R83については、それぞれ R2〜R23と同義であり、好まし い範囲も同じである。 R84については、好ましくは電子吸引性基であり、より好ましくは 置換カルボ-ル基(ァセチル基、ジアルキルアミノカルボ-ル基、メトキシカルボ-ル 基、パーフルオロフヱ-ルカルポ-ル基等)、置換スルホ -ル基(メタンスルホ -ル基 、ベンゼンスルホニル基等)、置換スルホキシド基 (メチルスルホキシド基等)又はトリ フルォロメチル基であり、更に好ましくはァシル基 (ァセチル基、トリフルォロメチル基 、パーフルォロベンゾィル基等)又は置換スルホ-ル基であり、特に好ましくはフッ素 置換ァシル基、フッ素置換アルキルスルホ -ル基又はフッ素置換ァリールスルホ-ル 基である。
前記一般式(10)中、 R9については、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、 ァルケ-ル基、アルキニル基、ァリール基、アミノ基、アルコキシ基、ァリールォキシ基
、ハロゲン原子であり、高分子残基であってもよい。
前記一般式(11)中、 R1CK)〜R1C)7については、それぞれ 〜 と同義であり、好ま しい範囲も同じである。 R1C)8〜R115については、それぞれ 〜 と同義であり、好ま しい範囲も同じである。
一般式(1)に記載の配位子 (窒素原子、炭素原子、および 〜 力 構成される) としては、例えば、表 1に示されるものが好ましく用いられる。
[表 1]
P
18606 20
一般式 (1)に記載の L
1としては、一例として、表 1および表 2に示されるものが好ま しく用いられる。
[表 2]
すなわち、本発明化合物は、典型的には、表 1と表 2の配位子を組み合わせること により得られる。
一般式(11)に記載のダイマーとしては、例えば、表 3および表 4に示されるものが 好ましく用いられる。
[表 3]
[表 4]
[0020] 前記一般式(1)で示されるイリジウム錯体におけるイリジウム原子の価数は、特に限 定されるものではないが、 3価が好ましい。
[0021] また、前記一般式(1)に示されるイリジウム化合物は、中性錯体でもイオン性錯体で あってもよレ、。イオン性錯体のカウンターイオンとしては特に制限はないが、好ましく
はアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ハロゲンイオン、パークロレイトィォ ン、 PFイオン、アンモ-ゥムイオン、 CF CF CF COOイオン、ボレートイオン又はホ
6 3 2 2
スホ -ゥムイオンである。
[0022] また、前記一般式(1)に示されるイリジウム錯体は、そのまま低分子化合物として用 いることもできるし、また前記一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位を 含む、 、わゆるオリゴマー化合物およびポリマー化合物(質量平均分子量 (ポリスチ レン換算)は、好まし <は 1000〜5000000、より好まし <は 2000〜1000000、さら に好ましくは 3000〜 100000である。)として用いることも好適である。
[0023] 本発明イリジウム錯体の発光スペクトル力 2—フエ-ルビリジン誘導体配位子のピ リジン環上にフッ素原子を導入して 、な 、公知イリジウム錯体や、置換フエ-ル基に 対しオルト位またはパラ位にフッ素を導入したイリジウム錯体と比較して、短波長シフ トする理由につ 、て、現在のところ以下のように推測して 、る。
これらのイリジウム錯体の発光が 3重項状態の MLCT (Metal to Ligand Charge Tra nsfer)励起状態力も生じていると仮定した場合、 MLCT励起状態は、中心金属イリジ ゥムの d軌道から配位子の π *軌道への遷移なので、励起状態では、中心金属イリジ ゥムは 1電子酸化され、一方、 2—フエ二ルビリジン誘導体配位子は 1電子還元された 状態と近似できる。したがって、イリジウム錯体の発光エネルギーは、おおまかにはィ リジゥム錯体の基底状態における酸ィ匕還元電位を測定することで考察できるので、こ れらイリジウム錯体の電気化学測定 (溶媒: MeCN、支持電解質: NBu BF、作用電極
4 4
:白金、対極:白金、参照電極: Ag/AgNO (0.01
3
M))を行った。以下に、結果の一例を示すが、下記の本発明化合物は公知化合物と 比較して、酸化側の電位については 59 mV正側にシフトし、還元側の電位について は 14
mV正側にシフトしていることがわ力つた。すなわち、本発明化合物は、公知化合物よ り 59 mVほど酸ィ匕されにくぐまた 14 mVほど還元されやすくなつていることを意味して いる。
公知化合物
(WO 02 Ί5645に記載) 本発明化合物
E1/2 (酸化) = +992 mV E1/2 (酸化) = +1051 mV
E1/2 (還元) = -2185 mV E (還元) = -2171 mV
[0024] この結果については、置換基の電子吸引性パラメータであるノ、メットの置換基定数
(有機電子論解説第 4版、井本稔著、東京化学同人、 288頁によると、フッ素置換基 のシグマ値については、メタ位は 0.337、オルト位は 0.062と記述されている)でうまく説 明できることがわ力 た。
すなわち、置換フエ-ル基に対しメタ位にフッ素原子を導入したときには、フッ素原 子を基準にメタ位に結合して 、る置換フエニル基の電荷密度が低下し、その影響とし て、中心金属の電荷密度の低下(中心金属の d軌道が下がり、 π *軌道とのエネルギ 一差が大きくなり発光の短波長シフトを引き起こす)の効果が、配位子の π *軌道の 安定化 (配位子の π *軌道が下がり、 d軌道とのエネルギー差が小さくなり発光の長 波長シフトを引き起こす)の寄与よりも、相対的に大きくなり、その発光が短波長シフト したちのと考免られる。
[0025] 一方、置換フエ-ル基に対しオルト位またはパラ位にフッ素を導入すると、発光の 長波長シフトを引き起こす π *軌道の安定ィ匕の寄与が、発光の短波長シフトを引き起 こす中心金属の電荷密度の低下の効果よりも相対的に大きくなるため、発光が長波 長シフトしたものと考えられる。
上記の考察は、実際に、各々のイリジウム錯体の酸ィ匕還元電位を測定するとによつ て裏付けられた。したがって、 2—フエ-ルビリジン誘導体配位子の置換フエニル基 に対しメタ位にフッ素原子を導入したイリジウム錯体の発光は、公知イリジウム錯体と
比較して短波長シフトし、この現象はフッ素原子の特異な電子的性質によって説明 できる。すなわち、 2—フエ二ルビリジン誘導体配位子の置換フエニル基に対しメタ位 にフッ素原子を導入することで、公知のイリジウム錯体の発光を短波長シフトさせるこ とがでさる。
[0026] 本発明に係る前記一般式(11)に示されるイリジウムダイマーを製造するには、従来 公知の方法がすべて利用できる。例えば、前記表 1に示される配位子とハロゲン化ィ リジゥム (例えば、 3塩化イリジウムまたは 6塩化イリジウムの水和物など)とを共存させ 、通常の方法 (溶媒の存在下または非存在下、常温または加熱すること)で反応させ れば良い。窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下で反応を行うのも好ましい。また、加熱 手段は特に制約されないが、反応を円滑するために、マイクロ波を照射することも好 ましく用いられる。マイクロ波の照射時間は 1〜60分が望ましぐより好ましくは 5〜45 分である。マイクロ波の波長に特に制限はないが、 2000〜3000MHz、好ましくは 2 400〜2500MHzである。マイクロ波発振装置としては、市販されている従来公知の 発振装置が全て適用できる。また、加熱手段として、オイルバス、マントルヒーター等 を用いても良い。その場合の反応時間は、 0. 5〜24時間が望ましぐより好ましくは 1 〜 15時間である。
[0027] 本発明に係る前記一般式(1)に示されるイリジウム錯体を製造するには、従来公知 の方法、たとえば、 Inorganic Chemistry 1991年 30卷 1685頁、 Inorganic Chemistry 1994年 33卷 545頁、 Inorganic
Chemistry 2001年 40卷 1704頁、 Chemical Communication 2001年 1494頁、 Che mistry Letters
2003年 32卷 252頁などの方法がすべて利用できる。
例えば、前記記号 L1に示される配位子と前記一般式(11)で表されるイリジウムダイ マーとを共存させ、通常の方法 (溶媒の存在下または非存在下、塩基の存在下また は非存在下、脱ハロゲン化剤としての銀化合物の存在下または非存在下、常温また は加熱すること)で反応させれば良い。窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下で反応を 行うのも好ましい。また、加熱手段は特に制約されないが、反応を円滑するために、
マイクロ波を照射することも好ましく用いられる。マイクロ波の照射時間は化合物によ つても異なるが、 1〜90分が望ましぐより好ましくは 1〜45分である。マイクロ波の波 長に特に帘[|限 ίまな ヽ力 2000〜3000MHz、好ましく ίま 2400〜2500MHzである 。マイクロ波発振装置としては、市販されている従来公知の発振装置が全て適用でき る。また、加熱手段として、オイルバス、マントルヒーター等を用いても良い。その場合 の反応時間は、 0. 5〜24時間が望ましぐより好ましくは 0. 5〜15時間である。
[0028] また、本発明に係る前記一般式(1)で示されるイリジウム錯体を製造するには、該 反応を更に円滑に進めるために、反応溶媒を用いることが望ましい。このような溶媒と しては特に制限はないが、アルコール系溶媒、プロトン性溶媒、非プロトン性溶媒、二 トリル系溶媒などが好ましく用いられ、具体的には、クロ口ホルム、ジクロロメタン、 2- メトキシエタノール、 2—エトキシエタノール、メタノール、エタノール、水、ァセトニトリ ル、 DMF、 DMSO、エチレングリコール、グリセリンなど、もしくはこれらの混合溶媒 が好ましい。
[0029] また、前記一般式(1)で示されるイリジウム錯体を製造する場合の、反応温度、反 応圧力、反応時間は、使用する原料、マイクロ波の出力、溶媒などによって異なるが 、通常、反応温度は 40〜300°C、好ましくは 50〜200°C、反応圧力は l〜30atm、 好ましくは 1〜 5atmである。
[0030] 本発明に係るイリジウム錯体は、通常の合成反応の後処理に従って処理した後、必 要があれば精製してあるいは精製せずに供することができる。後処理の方法としては 、例えば、抽出、冷却、水または有機溶媒を添加することによる晶析、反応混合物か らの溶媒を留去する操作等を単独あるいは組み合わせて行うことができる。精製の方 法としては再結晶、蒸留、昇華あるいはカラムクロマトグラフィー等を単独あるいは組 み合わせて行うことができる。
[0031] 以下に、本発明に係る、前記一般式(1)で示されるイリジウム錯体について、その 代表例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
[0032] [表 5]
[0033] [表 6]
[0034] [表 7]
/vD/ O ssososfcId 9098US0SAV θε
(θεa)
ussos
/vD/ O ssosooifcId 9098nsosAV _ε.
u69S0
SS/SS002T/:12909/8nsos OAV
u0§0
//:/ O cssooI£ 9098US0SAV;
π
/vu/ O ssosooifcld 9098nsosAV 1A g)もH- も
s6§
εΐοκδ
l7CZ0l0/S00Zdf/X3d 9S 90981 l/SOOZ OAV
実施例
[0042] 次に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。
[0043] 本発明化合物の合成
<実施例 1 > (D— 1)の合成
2 クロロー 4 フルォロピリジンを 2g、 2, 4ージフルオロフェ-ルボロン酸を 2. 64 g、 1, 2 ジメトキシェタンを 20mL、炭酸カリウムの 2M水溶液 24mlを二口フラスコ に入れた。この溶液にアルゴンガスを 20分間通気した後、テトラキストリフエ-ルホス フィン (0)パラジウム錯体を 0. 88g入れた。この溶液を、オイルバスを用いてアルゴン 雰囲気下で 16時間加熱還流した。有機層を分離回収し溶媒を減圧留去したところ、 オレンジ色の固体が得られた。この固体をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ジク ロロメタンとメタノールの混合溶媒)により分離精製することで、 4 フルオロー 2— (2 , 4 ジフルオロフェ -ル)ピリジンを 2. 3g得た。化合物の同定は、 NMRを用 いて行った。
¾— NMR (CDCL中): δ 8. 65〜8. 68 (m, 1H)、 8. 04〜8. 09 (m, 1H)、 7
3
. 52 (d, 1H)、 7. 00— 7. 04 (m,2H)、 6. 94 (dd, 1H) .
引き続いて、上記の方法で合成した 4 フルオロー 2— (2, 4 ジフルオロフェ-ル )ピリジンを 0. 71g、 3塩化イリジウム n水和物を 0. 3g、 2 エトキシエタノールを 20m L、水を 8ml、をナスフラスコに入れた。このナスフラスコをマイクロ波発振装置(HIT ACHI製、 MR- 250)に入れ、反応装置の上部には還流冷却管を取り付けた。還 流冷却管の上部からはテフロン (登録商標)管を通じて、この溶液にアルゴンガスを 2 0分間通気した。その後、マイクロ波(2450MHz)を 30分間照射した。この溶液を室 温まで冷却した後、アルゴンガスを止め、溶媒を減圧濃縮し、水を添加することで黄 色固体を得た。その後、シリカゲルクロマトグラフィー (溶媒:ジクロロメタンとメタノール の混合溶媒)により分離精製した。化合物の同定は、 NMRを用いて行った。 'H— NMR (CDCL中): δ 9. 10 (t, 4H)、 8. 04 (dd, 4H)、 6. 71 (dd, 4H)、 6
3
. 38 (dd, 4H)、 5. 30 (d, 4H) .
<実施例 2> (D— 28)の合成
2 クロ口一 4 フルォロピリジンの代わりに、 2 ブロモ 6 フルォロピリジンを用 いる以外、実施例 1と同様に合成することで、 6 フルオロー 2— (2, 4 ジフルォロ フエニル)ピリジンを得た。化合物の同定は、 NMRを用いて行った。
Ή— NMR (CDCL中): δ 8. 05〜8. 10 (m, 1H)、 7. 83〜7. 88 (m, 1H)、 7.
3
68〜7. 71 (m, 1H) , 6. 99〜7. 03 (m, 1H)、 6. 89〜6. 94 (m, 2H) .
引き続いて、上記の方法で合成した 6 フルオロー 2— (2, 4 ジフルオロフェ-ル )ピリジンを用いて、実施例 1と同様の方法で (D— 28)を合成した。
<実施例 3 > (D— 13)の合成
2, 4ージフルオロフェ-ルボロン酸の代わりに、 4 フルオロフェ-ルボロン酸を用 いる以外、実施例 1と同様に合成することで、 4 フルオロー 2— (4 フルオロフェニ ル)ピリジンを得た。化合物の同定は、 NMRを用いて行った。
— NMR (アセトン- d中): δ 8. 65〜8. 68 (m, 1H)、 8. 18〜8. 23 (m, 2H)
6
、 7. 75 (d, 1H)、 7. 23〜7. 28 (m,2H)、 7. 14〜7. 18 (m, 1H) .
引き続いて、上記の方法で合成した 4 フルオロー 2— (4 フルオロフェ -ル)ピリ ジンを用いて、実施例 1と同様の方法で (D— 13)を合成した。
<実施例 4> (D— 14)の合成
2, 4ージフルオロフェ-ルボロン酸の代わりに、 2 フルオロー 5 (トリフルォロメチ ル)フエニルボロン酸を用いる以外、実施例 1と同様に合成することで、 4 フルォロ - 2- (2 フルォロ 5 トリフルォロメチル)ピリジンを得た。化合物の同定は、 — NMRを用いて行った。
NMR (アセトン- d中): δ 8. 77〜8. 80 (m, 1H)、 8. 45 (d, 1H)、 7. 87〜
6
7. 90 (m, 1H)、 7. 74 (d, 1H)、 7. 55 (t, 1H)、 7. 30〜7. 34 (m, 1H) .
引き続いて、上記の方法で合成した 4 フルオロー 2—(2 フルオロー 5 トリフル ォロメチル)ピリジンを用いて、実施例 1と同様の方法で (D— 14)を合成した。 く実施例 5 > (B— 21)の合成
(D— 1)を 0. 05g、ァセチルアセトンを 0. 6g、炭酸ナトリウムを 0. 083g、 2 ェ卜キ シエタノールを 20mL、をナスフラスコに入れた。このナスフラスコをマイクロ波発振装 置 (HITACHI製、 MR— 250)に入れ、反応装置の上部には還流冷却管を取り付け
た。還流冷却管の上部からはテフロン (登録商標)管を通じて、この溶液にアルゴンガ スを 20分間通気した。その後、マイクロ波(2450MHz)を 15分間照射した。この溶 液を室温まで冷却した後、アルゴンガスを止め、溶媒を減圧濃縮し、水を添加するこ とで黄色固体を得た。その後、ジクロロメタンとへキサン力 再結晶し、黄色結晶を得 た。化合物の同定は、 NMRを用いて行った。
'H— NMR (CD CL中): δ 8. 38 (t, 2H)、 7. 97 (d, 2H)、 7. 05 (dd, 2H)、 6
2 2
. 40 (dd, 2H)、 5. 72 (d, 2H)、 5. 33 (s, 1H)、 1. 81 (s, 6H) .
<実施例 6 > (B— 30)の合成
ァセチルアセトンの代わりに、 1, 3 ジフエ-ル一 1, 3 プロパンジオンを用いる以 外、実施例 5と同様に合成することで目的化合物を得た。化合物の同定は、 'Η-Ν MRを用いて行った。
¾— NMR (CD CL中): δ 8. 49 (t, 2H)、 8. 00 (d, 2H)、 7. 78 (d, 4H)、 7.
2 2
46 (t, 2H)、 7. 34 (t, 4H)、 6. 97 (dd, 2H)、 6. 63 (s, 1H)、 6. 45 (dd, 2H)、 5 . 84 (d, 2H) .
<実施例 7 > (B— 34)の合成
(D— 1)を 0. lg、ピコリン酸ナトリウムを 0. 056g、 2 エトキシエタノールを 20mL、 をナスフラスコに入れた。このナスフラスコをマイクロ波発振装置(HITACHI製、 MR - 250)に入れ、反応装置の上部には還流冷却管を取り付けた。還流冷却管の上部 からはテフロン (登録商標)管を通じて、この溶液にアルゴンガスを 20分間通気した。 その後、マイクロ波(2450MHz)を 15分間照射した。この溶液を室温まで冷却した 後、アルゴンガスを止め、溶媒を減圧濃縮し、水を添加することで黄色固体を得た。 その後、ジクロロメタンとへキサン力も再結晶し、黄色結晶を得た。化合物の同定は、 1 H— NMRを用 V、て行つた。
'H— NMR (CDCL中): δ 8. 70 (t, 1H)、 8. 35 (d, 1H)、 7. 94〜8. 03 (m,
3
3H)、 7. 77 (d, 1H)、 7. 46 (dd, 1H)、 7. 36 (t, 1H)、 6. 99 (dd, 1H)、 6. 77 (d d, 1H)、 6. 51 (dd, 1H)、 6. 43 (dd, 1H)、 5. 85 (d, 1H)、 5. 58 (1H) .
く実施例 8 > (B— 51)の合成
D—1の代わりに、 D— 28を用いる以外、実施例 7と同様に合成することで目的化合 物を得た。化合物の同定は、 一 NMRを用いて行った。
'H— NMR (CDCL中): δ 8. 26 (d, 1H)、 8. 14〜8. 17 (m, 2H)、 7. 85〜7
3
. 91 (m, 3H)、 7. 77 (d, IH)、 7. 33 (dd, IH)、 6. 82 (d, IH)、 6. 71 (d, IH)、 6. 52 (dd, 1H)、 6. 44 (dd, 1H)、 5. 97 (d, 1H)、 5. 61 (d, IH) .
<実施例 9 > (B— 35)の合成
ピコリン酸ナトリウムの代わりに、 3—ヒドロキシピコリン酸および炭酸ナトリウムを用い る以外、実施例 7と同様に合成することで目的化合物を得た。化合物の同定は、 ¾ — NMRを用いて行った。
'H— NMR (CDCL中): δ 13. 49 (s, IH)、 8. 63 (t, IH)、 8. 02 (d, IH)、 7
3
. 96 (d, 1H)、 7. 46 (d, 1H)、 7. 42 (dd, 1H)、 7. 25〜7. 31 (m, 2H)、 7. 03 ( dd, 1H)、 6. 84 (dd, 1H)、 6. 51 (dd, 1H)、 6. 44 (dd, 1H)、 5. 80 (d, 1H)、 5 . 59 (d, IH) .
<実施例 10 > (B— 36)の合成
ピコリン酸ナトリウムの代わりに、 3—メチルピコリン酸および炭酸ナトリウムを用いる以 外、実施例 7と同様に合成することで目的化合物を得た。化合物の同定は、 JH-N MRを用いて行った。
'H— NMR (CDCL中): δ 8. 73 (t, 1H)、 8. 00 (d, 1H)、 7. 95 (d, 1H)、 7.
3
75 (d, 1H)、 7. 65 (d, 1H)、 7. 35 (t, 1H)、 7. 28 (dd, 1H)、 7. 00 (dd, 1H)、 6 . 78 (dd, 1H)、 6. 49 (dd, 1H)、 6. 42 (dd, 1H)、 5. 82 (d, 1H)、 5. 57 (d, IH )、 2. 87 (s, 3H) . く実施例 11 > (B— 52)の合成
ピコリン酸ナトリウムの代わりに、ニコチン酸ナトリウムを用いる以外、実施例 7と同様
に合成することで目的化合物を得た。化合物の同定は、 NMRを用いて行った 'H— NMR (CDCL中): δ 10. 82 (s, 1H)、 9. 22 (t, 1H)、8. 21 (d, 1H)、 8
3
. 07 (d, 1H)、 7. 97 (d, 1H)、 7. 85 (d, 1H)、 7. 60 (d, 1H)、 7. 18 (dd, 1H)、 7. 05〜7. 13 (m, 1H)、 6. 71 (dd, 1H)、 6. 38〜6. 48 (m, 2H)、 5. 76 (d, 1H )、 5. 61 (d, 1H) .
<実施例 12 > (B— 53)の合成
ピコリン酸ナトリウムの代わりに、 5—ブロモニコチン酸および炭酸ナトリウムを用いる 以外、実施例 7と同様に合成することで目的化合物を得た。化合物の同定は、 NMRを用いて行った。
'H— NMR (CDCL中): δ 10. 72 (s, 1H)、9. l l (t, 1H)、8. 38 (s, 1H)、7
3
. 99〜8. 08 (m, 2H)、 7. 86 (s, 1H)、 7. 59 (t, 1H)、 7. 09 (dd, 1H)、 6. 78 (d d, 1H)、 6. 39〜6. 51 (m, 2H)、 5. 75 (d, 1H)、 5. 56 (d, 1H) . く実施例 13 > (B— 72)の合成
2- (2, 4 ジフルオロフェ -ル)ピリジンの代わりに、 4 フルオロー 2— (2, 4 ジフ ルォロフエ-ル)ピリジンを、カリウムテトラキス(1 ピラゾリル)ボレートの代わりに、力 リウムジフエ-ルビス(1—ピラゾリル)ボレートを用いて、 Polyhedron 2004年 23卷 419 頁に記載の方法と同様に合成した。化合物の同定は、 NMRを用いて行った。
<実施例 14 > (B— 71)の合成
2- (2, 4 ジフルオロフェ -ル)ピリジンの代わりに、 4 フルオロー 2— (2, 4 ジフ ルォロフエ-ル)ピリジンを、カリウムテトラキス(1 ピラゾリル)ボレートの代わりに、力 リウムヒドロトリス(1—ピラゾリル)ボレートを用いる以外、 Polyhedron 2004年 23卷 419 頁に記載の方法と同様に合成した。化合物の同定は、 NMRを用いて行った。
<実施例 15 > (B— 91)の合成
(D— 1)を 0. lg、 5- (2 ピリジル) 1H—テトラゾールを 0. 029g、ナトリウムメトキ シド 28%メタノール溶液を 20mg、 2 エトキシエタノールを 12mL、をナスフラスコに 入れた。このナスフラスコをマイクロ波発振装置(HITACHI製、 MR— 250)に入れ、 反応装置の上部には還流冷却管を取り付けた。還流冷却管の上部からはテフロン( 登録商標)管を通じて、この溶液にアルゴンガスを 20分間通気した。その後、マイクロ 波(2450MHz)を 15分間照射した。この溶液を室温まで冷却した後、アルゴンガス を止め、溶媒を減圧濃縮し、水を添加することで黄色固体を得た。その後、ジクロロメ タンとへキサン力ゝら再結晶し、黄色結晶を得た。化合物の同定は、 NMRを用い て行った。
'H NMR (CDCL中): δ 8. 49 (d, 1H)、 7. 95〜8. 03 (m, 3H)、 7. 81 (d,
3
1H)、 7. 56 (t, 1H)、 7. 33〜7. 37 (m, 2H)、 6. 76 (dd, 1H)、 6. 69 (dd, 1H) 、 6. 57 (dd, 1H)、 6. 51 (dd, 1H)、 5. 84 (d, 1H)、 5. 72 (d, 1H) . く実施例 16 > (B— 106)の合成
(0—1)を0. lg、 2,2,ージピリジルァミンを 0. 033g、 2 エトキシエタノールを 12 mL、をナスフラスコに入れた。このナスフラスコをマイクロ波発振装置(HITACHI製 、 MR- 250)に入れ、反応装置の上部には還流冷却管を取り付けた。還流冷却管 の上部からはテフロン (登録商標)管を通じて、この溶液にアルゴンガスを 20分間通 気した。その後、マイクロ波(2450MHz)を 5分間照射した。この溶液を室温まで冷 却した後、アルゴンガスを止め、溶媒を減圧濃縮し、 NH PF飽和水溶液を加え、レモ
4 6
ン色固体を得た。その後、水とへキサンで洗浄し、減圧乾燥した。化合物の同定は、 1
H— NMRおよびエレクトロースプレーイオン化質量分析を用いて行!、、 M/Z = 74
4 (B— 106のカチオン部分に相当)の親イオンピークを観測した。
'H— NMR (CDCL中): δ 8. 81 (s, 1H)、 8. 14 (t, 2H)、 8. 04 (dd, 2H)、 7
3
. 77 (dd, 2H)、 7. 57 (d, 2H)、 7. 48 (d, 2H)、 7. 03 (dd, 2H)、 6. 77 (dd, 2H )、6. 53 (dd, 2H)、 5. 60 (d, 2H) . く実施例 17 > (B— 118)の合成
(D— 1)を 0. lg、式 (U)で表される配位子を 0. 048g、ナトリウムメトキシド 28%メタノ ール溶液を 20mg、 2—エトキシエタノールを 12mL、をナスフラスコに入れた。このナ スフラスコをマイクロ波発振装置 (HITACHI製、 MR— 250)に入れ、反応装置の上 部には還流冷却管を取り付けた。還流冷却管の上部からはテフロン (登録商標)管を 通じて、この溶液にアルゴンガスを 20分間通気した。その後、マイクロ波(2450MHz )を 45秒間照射した。この溶液を室温まで冷却した後、アルゴンガスを止め、溶媒を 減圧留去することで黄色固体を得た。その後、ジクロロメタンとへキサン力 2回再結 晶し、黄色結晶を得た。化合物の同定は、 NMRを用いて行った。 式 ( U )
'Η NMR (CDCL中): δ 8. 74 (t, 1H)、 8. 01〜8. 04 (m, 1H)、 7. 96〜7
3
. 99 (m, 1H)、 7. 81 (dd, 1H)、 7. 63 (d, 1H)、 7. 50〜7. 53 (m, 2H)、 7. 09 ( t, 1H)、 6. 92 (dd, 1H)、 6. 76 (dd, 1H)、 6. 49 (dd, 1H)、 6. 38 (dd, 1H)、 5. 57 (dd, 2H)、 5. 36 (d, 1H)、 5. 07 (d, 1H) . く実施例 18 > (B— 136)の合成
(D— 1)を 0. 05g、 1, 2 ビス(ジフエ-ノレホスフイノ)ベンゼンを 0. 038g、 2 エト キシエタノールを 20mL、をナスフラスコに入れた。このナスフラスコをマイクロ波発振 装置 (HITACHI製、 MR— 250)に入れ、反応装置の上部には還流冷却管を取り付 けた。還流冷却管の上部からはテフロン (登録商標)管を通じて、この溶液にアルゴン ガスを 20分間通気した。その後、マイクロ波(2450MHz)を 5分間照射した。この溶
液を室温まで冷却した後、アルゴンガスを止め、溶媒を減圧濃縮し、 NH PF飽和水
4 6 溶液を加え、白色固体を得た。その後、水とペンタンで洗浄し、減圧乾燥した。化合 物の同定は、 ¾ NMRおよびエレクトロースプレーイオン化質量分析を用いて行い 、 M/Z= 1056 ( (B- 136)のカチオン部分に相当)の親イオンピークを観測した。 'H— NMR (CDCL中): δ 8. 07〜8. 14 (m, 4H)、 7. 46〜7. 58 (m, 12H)、
3
7. 29 (t, 2H)、 7. 16 (t, 2H)、 6. 91〜6. 96 (m, 4H)、 6. 59 (dd, 2H)、 6. 52 ( dd, 4H)、 6. 17〜6. 20 (m, 2H)、 5. 59〜5. 62 (m, 2H) . く実施例 19 > (B— 138)の合成
1, 2—ビス(ジフエニノレホスフイノ)ベンゼンの代わりに、ビス(ジフエニノレホスフイノ)メ タンを用いる以外、実施例 18と同様に合成することで目的化合物を得た。化合物の 同定は、 iH— NMRおよびエレクトロースプレーイオン化質量分析を用いて行い、 M ZZ= 1006 ( (B- 138)のカチオン部分に相当)の親イオンピークを観測した。 く実施例 20 > (B— 137)の合成
1, 2—ビス(ジフエニノレホスフイノ)ベンゼンの代わりに、シス 1, 2—ビス(ジフエ二 ルホスフイノ)エチレンを用いる以外、実施例 18と同様に合成することで目的化合物 を得た。化合物の同定は、 NMRおよびエレクトロースプレーイオンィ匕質量分析 を用いて行い、 M/Z = 994 ( (B- 137)のカチオン部分に相当)の親イオンピークを 観測した。 く実施例 21 > (B— 148)の合成
(D— 1)を 0. lg、亜リン酸トリェチルを 0. 028g、 2 エトキシエタノールを 12mL、を ナスフラスコに入れた。このナスフラスコをマイクロ波発振装置(HITACHI製、 MR— 250)に入れ、反応装置の上部には還流冷却管を取り付けた。還流冷却管の上部か らはテフロン (登録商標)管を通じて、この溶液にアルゴンガスを 20分間通気した。そ の後、マイクロ波(2450MHz)を 5分間照射した。この溶液を室温まで冷却した後、 アルゴンガスを止め、溶媒を減圧濃縮し、水を添加することで黄色固体を得た。その
後、ジクロロメタンとヘプタン力 再結晶し、黄色結晶を得た。化合物の同定は、 ¾— NMRを用いて行った。
'H— NMR (CD CL中): δ 9. 78 (t, 1H)、 9. 29 (t, 1H)、 8. 02 (m, 1H)、 7
2 2
. 96 (m, 1H)、 7. 04 (dd, 1H)、 6. 94 (dd, 1H)、 6. 35〜6. 43 (m, 2H)、 5. 82 (d, 1H)、 5. 45 (t, 1H)、 3. 83〜3. 97 (m, 6H)、 1. 06 (t, 9H) .
<実施例 22 > (B— 12)の合成
3塩化イリジウム n水和物を 0. 03g、 4 フルオロー 2—(4 フルオロフェ -ル)ピリジ ンを 0. 813g、エチレングリコールを 12mL、をナスフラスコに入れた。このナスフラス コをマイクロ波発振装置 (HITACHI製、 MR— 250)に入れ、反応装置の上部には 還流冷却管を取り付けた。還流冷却管の上部からはテフロン (登録商標)管を通じて 、この溶液にアルゴンガスを 20分間通気した。その後、マイクロ波(2450MHz)を 90 分間照射した。この溶液を室温まで冷却した後、アルゴンガスを止め、ろ過して得ら れた固体をメタノールで洗浄後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ジクロロメ タンとメタノールの混合溶媒)により分離精製した。化合物の同定は、 NMRを用 Vヽて行 、、フェイシャル体とメリジォナル体が得られたことがわかった。
フェイシャル体:1 H—NMR (CD CL中): δ 7. 62 (dd, 3H)、 7. 56 (d, 3H)、 7
2 2
. 50 (t, 3H)、 6. 75 (dd, 3H)、 6. 65 (dd, 3H)、 6. 35 (d, 3H) .
メリジォナル体:1 H—NMR (CD CL中): δ 7. 60〜7. 64 (m, 3H)、 7. 48〜7
2 2
. 57 (m, 4H)、 7. 37 (s, 1H)、 7. 33 (d, 1H)、 6. 72〜6. 76 (m, 2H)、 6. 60〜 6. 65 (m, 3H)、 6. 57 (d, 1H)、 6. 32〜6. 40 (m, 3H) .
<実施例 23 > (B— 50)の合成
(D—l)の代わりに、(D— 13)を用いる以外、実施例 7と同様に合成することで目的 化合物を得た。化合物の同定は、 NMRを用いて行った。
'H— NMR (CDCL中): δ 8. 69 (t, 1H)、 8. 34 (d, 1H)、 7. 94 (dd, 1H)ゝ 7
3
. 76 (d, 1H)、 7. 46〜7. 59 (m, 4H)、 7. 41 (dd, 1H)、 7. 34 (t, 1H)、 6. 95 (d d, 1H)、 6. 68〜6. 75 (m, 2H)、 6. 63 (dd, 1H)、 6. 04 (d, 1H)、 5. 80 (d, 1H
) .
<実施例 24 > (B— 47)の合成
(D—l)の代わりに、(D— 14)を用いる以外、実施例 7と同様に合成することで目的 化合物を得た。化合物の同定は、 NMRを用いて行った。
'H— NMR (CD CL中): δ 8. 29 (d, 1H)、 8. 01〜8. 08 (m, 2H)、 7. 86〜7
2 2
. 91 (m, 2H)、 7. 57 (d, 1H)、 7. 35〜7. 46 (m, 3H)、 6. 84〜6. 96 (m, 3H) 、 6. 62 (d, 1H)、 6. 39 (d, 1H) . く実施例 25 > (B—l)の合成
4 フルォロ一 2— (4 フルオロフェ -ル)ピリジンの代わりに 4 フルォロ一 2— (2, 4 ジフルオロフェニル)ピリジンを、それぞれ用いる以外、実施例 22と同様に合成 することで目的化合物を得た。化合物の同定は、 NMRを用いて行った。 本発明化合物の発光特性を以下に示す。
<実施例 26 > 本発明化合物(B— 34)
本発明化合物 (B— 34)を THFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、島津製作 所製 RF— 5300PCを用いて、室温での発光スペクトルを測定したところ、発光極大 波長は、 470nmであった。発光の量子収率は 0. 82であり、非常に高い値を示した( キュン硫酸塩の 0. 5M硫酸溶液中での量子収率 0. 546を基準とした)。
く比較例 1 > (フッ素原子が導入されていない場合)
前式 (C)で表される化合物の THF中での発光スペクトルを測定したところ、発光極 大波長は、 474nmであった。
<比較例 2 > (オルト位にフッ素原子を導入した場合)
式 (Q)で表される化合物の THF中での発光スペクトルを測定したところ、発光極大 波長は、 494nmであった。
[化 16]
(式 Q )
く比較例 3〉(パラ位にフッ素原子を導入した場合)
式 (R)で表される化合物の THF中での発光スペクトルを測定したところ、発光極大 波長は、 481nmであった。
[化 17]
(式
<実施例 27〉 本発明化合物(B— 21)
本発明化合物(B— 21)を THFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、島津製作
所製 RF— 5300PCを用いて、室温での発光スペクトルを測定したところ、発光極大 波長は、 482nmであった。
く比較例 4 > (フッ素原子が導入されていない場合)
前式 (B)で表される化合物の THF中での発光スペクトルを測定したところ、発光極 大波長は、 485nmであった。 く実施例 28 > 本発明化合物 (B— 136)
本発明化合物 (B— 136)を THFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、島津製作 所製 RF— 5300PCを用いて、室温での発光スペクトルを測定したところ、発光極大 波長は、 439nm及び 468nmであった。
<比較例 5 > (フッ素原子が導入されて 、な 、場合)
前式 (D)で表される化合物の THF中での発光スペクトルを測定したところ、発光極 大波長は、 444nm及び 474nmであった。 く実施例 29 > 本発明化合物 (B— 91)
本発明化合物 (B— 91)を THFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、島津製作 所製 RF— 5300PCを用いて、室温での発光スペクトルを測定したところ、発光極大 波長は、 457nm及び 483nmであった。
<比較例 6 > (フッ素原子が導入されて 、な 、場合)
前式 (H)で表される化合物の THF中での発光スペクトルを測定したところ、発光極 大波長は、 460nm及び 487nmであった。 く実施例 30 > 本発明化合物 (B— 118)
本発明化合物 (B— 118)を THFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、島津製作 所製 RF— 5300PCを用いて、室温での発光スペクトルを測定したところ、発光極大 波長は、 466nm及び 489nmであった。
<比較例 7> (フッ素原子が導入されていない場合)
前式 (N)で表される化合物の THF中での発光スペクトルを測定したところ、発光極
大波長は、 469nm及び 496nmであった。
<実施例 31 > 本発明化合物 (B— 106)
本発明化合物(B— 106)を THFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、島津製作 所製 RF— 5300PCを用いて、室温での発光スペクトルを測定したところ、発光極大 波長は、 454nm及び 483nmであった。
<比較例 8 > (フッ素原子が導入されて 、な 、場合)
式 (S)で表される化合物の THF中での発光スペクトルを測定したところ、発光極大 波長は、 458nm及び 487nmであった。
(式 S )
<実施例 32 > 本発明化合物 (B— 148)
本発明化合物(B— 148)を THFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、島津製作 所製 RF— 5300PCを用いて、室温での発光スペクトルを測定したところ、発光極大 波長は、 455nm及び 478nmであった。
<比較例 9 > (フッ素原子が導入されて 、な 、場合)
式 (T)で表される化合物の THF中での発光スペクトルを測定したところ、発光極大 波長は、 457nm及び 485nmであった。
(式 τ)
<実施例 33 > 本発明化合物 (Β— 12)
本発明化合物 (Β— 12)をトルエンに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、島津製 作所製 RF— 5300PCを用いて、室温での発光スペクトルを測定したところ、発光極 大波長は、 478nmであった。
く比較例 10 > (フッ素原子が導入されていない場合)
式 (V)で表される化合物のトルエン中での発光スペクトルを測定したところ、発光極 大波長は、 483nmであった。
[0046] 以上の結果より、 2 フエ-ルビリジン誘導体配位子のピリジン環に、置換フエ-ル 基に対しメタ位にフッ素原子を導入することにより、フッ素原子を導入前の公知イリジ ゥム錯体や、オルト位またはパラ位にフッ素を導入したイリジウム錯体と比べ、その発 光は短波長シフトすることが明らかになった。一例として、本発明化合物と公知化合 物の室温 THF中の発光スペクトル(400〜500nmの範囲を拡大)を図 1〜4に示す。
[0047] 図 1〜4の発光スペクトルの比較により、本発明化合物(B— 34)、本発明化合物(B
106)、本発明化合物(B— 118)、および、本発明化合物(B— 136)、は、前式 (C )、前式 (S)、前式 (N)、および、前式 (D)で表される比較ィ匕合物と比較して、それぞ れ発光スペクトルが短波長シフトし、青色領域の発光成分が相対的に増大しているこ とがわかる。すなわち、本発明化合物は、青色純度に優れ青色発光材料として好適 に用いることができる。
[0048] なお、その他の本発明イリジウム錯体についても、 2 フエ-ルビリジン誘導体配位 子のピリジン環にフッ素原子を導入して 、な 、公知イリジウム錯体と比較して、発光ス ベクトルが 2〜5nm程度、短波長シフトすることが観測された。
[0049] 以上のことから、青色発光イリジウム錯体を設計するために、配位子である 2 フエ -ルピリジン誘導体配位子のピリジン環に、置換フエ-ル基に対しメタ位にフッ素原
子が導入された、前記一般式(1)で表される新規イリジウム錯体が、公知イリジウム錯 体と比較して、その発光スペクトルが短波長シフトし、青色発光の色純度が改善され ることがわかった。