WO2005068703A1

WO2005068703A1 - ミシン及びその縫製枠の退避制御方法

Info

Publication number: WO2005068703A1
Application number: PCT/JP2005/000378
Authority: WO
Inventors: Ikuo Tajima; Yuji Sato; Tsutomu Tanaka
Original assignee: Tokai Kogyo Mishin Kabushiki Kaisha
Priority date: 2004-01-15
Filing date: 2005-01-14
Publication date: 2005-07-28
Also published as: DE112005000147T5; CN1878900A; JP2005198814A; KR20060056412A

Abstract

　縫製枠（刺繍枠）(５)を載置するテーブル(２)の端部に作業者が進入可能な凹部(２ａ)を備え、該凹部(２ａ)の近傍には、縫製枠(５)を所定の退避位置まで移動させるための退避指示を与えるために用いる退避スイッチ(１１)を含むスイッチボックス(８)が配置されている。ミシンの停止時において、縫製枠(５)が凹部(２ａ)の上側に位置しているときに、作業者が退避スイッチ(１１)を操作して退避指示を発すると、縫製枠(５)が所定の退避位置まで移動されるようＹ方向駆動機構(７)が制御される。糸切れ検出などにより縫製加工中のミシンが一旦停止されるときの処理を効率的に行えるようにする。

Description

明細書

ミシン及びその縫製枠の退避制御方法

技術分野

[0001] 本発明は、縫製枠を載置するテーブルに作業者の進入可能な凹部を備えるミシンに関し、特に、糸切れの検出などによりミシンを停止させるときに、縫製枠が前記凹部の上側に位置している場合、該縫製枠を凹部力退避させることで、作業者の進入を可能としたミシンの改良に関し、更にはその縫製枠の退避制御方法に関する。背景技術

[0002] 従来力知られるミシンに、縫製枠を載置するテーブルの端部に作業者が進入可能な凹部を備えたものがある。この種のミシンにおいて、縫製カ卩ェ中に糸切れを検出して、縫製枠の駆動を停止するときに、縫製枠が前記凹部の上側に位置している場合には、縫製枠をそこ力も退避させるようにしたミシンの制御方法が、例えば、下記特許文献 1に開示されている。この特許文献 1に記載の方法は、糸切れ時に縫製枠をテーブルの凹部の上側力自動的に退避させることで、作業者が前記凹部に進入できなくなる不都合を防ぎ、糸切れした糸の修復 (糸通し)作業をスムースに行えるようにしたものである。糸を修復した後、縫製力卩ェを再スタートさせるときは、縫製枠を退避させる前の位置に戻して力再スタートさせていた。また、当該ミシンが複数のミシンヘッドを備えた多頭ミシンであった場合には、縫製枠を退避させる前に糸切れしていない全てのミシンヘッドで糸切りを行っておくことで、縫製枠の退避に伴い、糸が余分に繰り出されることを防、でヽた。

特許文献 1：特開 2002-360959号公報

[0003] ところで、糸切れの検出処理に際して、実際には糸が切れていないにも拘らず、糸切れをミス検出してしまう場合がある。上記特許文献 1では、糸切れの検出がミス検出であった場合でも、縫製枠がテーブルの凹部の上側に位置していれば、自動的に縫製枠の退避が実行されてしまい、また、多頭ミシンであれば、糸切れしていないミシンヘッドの糸切りが行われた後、縫製枠の退避が実行されてしまう。従って、糸切れがミス検出であった場合は、再スタート指示によって退避された縫製枠を元の位置に戻してから、縫製作業を再開させなければならず、必要のない縫製枠の退避及び位置を戻す動作によって、余計に時間が掛カり作業効率を損なっていた。多頭ミシンにおいては、更に、全てのミシンヘッドでの糸切りまでが自動的に行われてしまうので、より一層に時間をロスしていた。よって、従来の技術では、糸切れ検出時の処理が非効率的である、という不都合があった。更に、多頭ミシンにおいては、ミス検出であっても縫製枠が退避されてしまうので、該縫製枠の退避に伴い、実際には切れていない糸（糸切れのミス検出がなされた糸）が余分に繰出されてしまうこととなり、再スタート以降の縫！、調子が崩れると！、う不都合があった。

発明の開示

[0004] この発明は、上述の点に鑑みてなされたもので、糸切れ検出などにより縫製力卩ェ中のミシンがー且停止されるときの処理を効率的に行えるようにしたミシンを提供することを目的とする。更に、縫製枠を所定の退避位置まで移動させるための方法、及び、縫製枠を所定の退避位置まで移動させるための手順をコンピュータに実行させるための命令群力もなるプログラムを提供しょうとするものである。

[0005] この発明に係るミシンは、テーブル上に移動可能に載置された縫製枠を具備し、該テーブルの縁部において作業者の進入を可能とするよう凹部が形成されてなるミシンであって、前記縫製枠を所定の退避位置まで移動させるための移動機構と、人為的な操作に応じて、前記縫製枠を所定の退避位置まで移動させるための退避指示を発生する操作器と、前記ミシンの停止時において前記縫製枠が前記凹部の上方に位置して!/ヽるならば、前記操作器の操作に基づき前記退避指示が発生されたこと〖こ応じて、前記移動機構を動作させて該縫製枠を前記所定の退避位置まで移動させるよう制御する制御装置とを具備することを特徴とする。

[0006] この発明によれば、縫製枠を所定の退避位置まで移動させるための退避指示を発生する操作器を具え、該操作器を人為的に操作することによって退避指示が発生された場合に、該縫製枠を所定の退避位置まで移動させるようにしたので、ミシンの停止時において、縫製枠が前記凹部の上方に位置していて、作業者が該凹部に進入することを妨げるような場合に、従来のように一律に自動的に縫製枠を所定の退避位置まで移動させるのではなぐ該縫製枠を所定の退避位置まで移動させるか否かを作業者の判断に応じて適切に選択して行うことが可能となる。

[0007] 例えば、縫製加工中に糸切れが検出されて、ミシンがー且停止された場合、作業者は実際に糸切れがあることを確認してから、前記操作手段によって退避指示操作を行い、該縫製枠を退避させる。一方で、その糸切れの検出がミス検出のときには、直に縫製加工を再スタートさせることによって、不必要な縫製枠の退避動作を省くことができ、時間をロスすることがない。また、作業者の判断に応じて縫製枠の退避を行わせることができるので、実際に糸切れであったとしても、縫製枠が凹部の上側に少しだけ位置してヽる場合など、縫製枠の退避が不要であると作業者が判断した場合には、縫製枠の退避を省略できる。このように、この発明によれば、糸切れ検出などにより縫製カ卩ェ中のミシンがー且停止されるときの処理を効率的に行えるようになるという優れた効果を奏する。

[0008] 一実施態様として、前記縫製枠を前記所定の退避位置まで移動させる前に、当該ミシンに備わる全てのミシンヘッドにおいて糸切りを実行する力否かの選択を可能にする選択手段を更に具えるとよい。これによれば、糸切りを行うか否力を作業者の判断に応じて選択'決定できるので、一律に自動的に糸切りを行う場合に比べて、適切に糸切りの可否が選択できるので、作業効率が向上する。例えば、縫製枠の退避移動量が少ない場合には、作業者の判断に応じて糸切りを行わずに縫製枠を退避させることち可會となる。

[0009] この場合、該選択手段として、前記操作器を使用 (共用)して、前記糸切りを実行するか否かの選択を行うようにするとよい。これによれば、操作器によって糸切りを行うか否かの選択も可能となるので、縫製枠を退避させる前に糸切りを行わせることも、該操作器のみで行うことができる。例えば、複数のミシンヘッドを備えた多頭ミシンにおいて、糸切れが検出された場合に、糸切れしていない全てのミシンヘッドで糸切りを行った後に縫製枠を退避させるという一連の作業を 1つの操作器のみの操作によつて行うことができる。

[0010] 一実施態様として、前記操作器は、前記テーブルにおける前記凹部の近傍に配置されるようにするとよい。これにより、作業者は、糸切れ状態の確認や、縫製枠の退避指示、糸通し作業、ミシンの再駆動指示などの一連の作業を、立ち位置や作業姿勢を大きく動かすことなぐその場で行えるようになり、当該作業の利便性が更に向上する。

[0011] 一実施態様として、前記制御装置は、更に、前記所定の退避位置まで移動させた前記縫製枠を、退避させる前の元の位置に戻すための移動制御を行うものであり、該縫製枠を前記元の位置に戻すにあたって、前記元の位置より少なくとも 1ステッチ前の縫製位置に戻すよう移動制御するようにするとよ、。

例えば、全てのミシンヘッドの糸を切断した後に縫製枠を退避させた場合には、移動前の元の縫製位置（つまり、縫製の停止位置）に丁度一致するように戻して力縫製を再開すると、前回の縫製の停止位置と縫製再開始位置との間で縫い目が飛んでしまう等の不都合が生じうる。これに対して、前記縫製枠を退避前の元の位置より少なくとも 1ステッチ（1針縫い)以上前の縫製位置に戻すことで、そのような不都合を回避することができる。

図面の簡単な説明

[0012] [図 1]この発明の一実施例に係る多頭式ミシンを上力見た平面図。

[図 2]同実施例に係るミシンに備わるスィッチボックスをミシン前面力も見た正面図。

[図 3]図 2に示すスィッチボックスを下方力も見た斜視図。

[図 4]同実施例に係るミシンの電気的なハードウェア構成を示すブロック図。

[図 5]同実施例に係るミシンにおいて、糸切れの検出によってミシンがー且停止されたときの処理例を示すフローチャート。

発明を実施するための最良の形態

[0013] 以下、添付図面を参照してこの発明の一実施例について説明する。この実施例では、この発明を、多頭式刺繍ミシンに適用した例を示す。なお、以下の説明において、説明の便宜上、ミシンに対して左右方向を X方向、また、前後方向を Y方向と称する。

[0014] 図 1は、この実施例に係る多頭式刺繍ミシンを上から見た平面図である。図 1において、符号 1は、当該刺繍ミシンのミシンフレーム、符号 2はテーブルを示す。ミシンフレーム 1の上腕部には、複数 (この例では 10個）のミシンヘッド 3が X方向に沿って配設される。各ミシンヘッド 3は、ミシンフレーム 1からミシン前方側（図において下側）に向けて延びるよう配置されている。各ミシンヘッド 3の直下位置には、ミシンヘッド 3の各々に対応する複数（10個）の釜土台 4が、テーブル 2と略同じ高さに位置するよう設置される。テーブル 2の上面には被刺繍物 (布生地など)を展張保持するための刺繍枠 5が載置されている。この刺繍枠 5は、テーブルの下方に配設された X駆動機構 6及び Y駆動機構 7に連結されており、 X駆動機構 6によって X方向、 Y駆動機構 7〖こよって Y方向に駆動される。図 1において、 2点鎖線は、 Y方向に沿って前方に移動された刺繍枠 5の移動位置を示して、る。上記構成力なる刺繍ミシンにぉ、ては、周知のように、ミシンヘッド 3において上下往復駆動される針と、釜土台 4において回転される釜とが協働することにより、刺繍枠 5に展張保持された被刺繍物に対する刺繍が実行される。

[0015] テーブル 2は、その前方縁部において、作業者が進入可能な凹部 2aが 2つ形成されている。テーブル 2はその奥行き (Y方向）サイズが比較的大きいため、テーブル 2 上の略中央付近に配置された各ミシンヘッド 3及び各釜土台 4からテーブル 2の縁部までの距離が離れてしまう。そこで、作業者がミシンヘッド 3及び釜土台 4に接近して、ミシンヘッド 3における糸の交換や、糸切れへの対応等のメンテナンス作業を容易に行いうるよう、凹部 2aが形成されている。凹部 2aの大きさや設置数は、作業者が楽に出入りでき、且つ、全てのミシンヘッド 3及び釜土台 4に容易に接近できるよう適宜に設定してよい。

[0016] テーブル 2の前端部下面の所定箇所には、 3つのスィッチボックス 8が設置される。

3つのスィッチボックス 8は、凹部 2aに進入した作業者にとって操作しやすいよう、凹部 2aの近傍に配置される。この例では、図示の通り、各スィッチボックス 8は、 2つの凹部 2aに対して左隣及び右隣並びに両凹部 2aの間に、夫々配置されている。

[0017] 図 2は図 1においてテーブル 2の中央に位置するスィッチボックス 8を矢印 Aから見た正面図であり、図 3は図 2をテーブル 2の下面側から見た斜視図である。 3つのスィツチボックス 8は、各々同一な構成であってよぐ図 2及び図 3に示すスィッチボックス 8を一例に、その構成を説明する。スィッチボックス 8〖こは、当該刺繍ミシンの起動を指示するための起動スィッチ 9と、刺繍ミシンの停止を指示するための停止スィッチ 1 0と、刺繍枠 5を所定の退避位置まで移動 (退避)させる指示 (命令)を行うために用いる退避スィッチ 11が設けられている。この実施例において、退避スィッチ 11は、詳しくは後述するように、刺繍枠 5の退避指示と共に、全てのミシンヘッド 3における糸切り指示並びに前記退避位置にある刺繍枠 5を元の作業位置に戻す指示を行うことにも利用される。なお、この実施例においては、詳しくは後述するように、前記退避位置にある刺繍枠 5を元の作業位置に戻すに際して、退避前に全てのミシンヘッド 3にて糸切りが行われた場合には、刺繍枠 5を該元の退避位置より 1針手前の刺繍位置に戻すよう制御できるようになっており、刺繍再開時に縫い目が飛ぶこと等の不都合を回避できるよう工夫されて、る。

スィッチボックス 8に備わる各スィッチ 9一 11は、例えば押しボタン式のスィッチで構成され、図の例では、スィッチボックス 8の前端面に起動スィッチ 9と停止スィッチ 10 が配置され、スィッチボックス 8の下面に退避スィッチ 11が配置されている。なお、スイッチの形状や、各スィッチの配置位置については、図示の例に限定されない。

[0018] 図 4はこの実施例に係る多頭刺繍ミシンのコントローラの電気的構成を示すブロック図である。このコントローラは、 CPU12、 ROM13、 RAM14、入出力インターフエ一ス 16を含み、各装置間がバス 15を介して接続される。周知のように CPU12は ROM 13に格納されているプログラムを実行し、当該コントローラ全体の動作を制御する。 R AM14には、刺繍枠 5の現在位置情報や、後述する退避位置の位置情報等を含む刺繍加工に必要な各種のデータが格納される。図 4の例では、入出力インターフエ一ス 16に接続される装置として、前記 X駆動機構 6及び Y駆動機構 7と、起動スィッチ 9 、停止スィッチ 10及び退避スィッチ 11と、ミシンヘッド 3の針を上下駆動するとともに、釜土台 4の釜を回転駆動するためのミシン主軸駆動機構 17と、各ミシンヘッド 3に内蔵され、当該ミシンヘッド 3における糸切れを検出するための糸切れ検出装置 18と、各釜土台 4に内蔵され、当該釜土台 4において上糸及び下糸を切断するための糸切断装置 19とが含まれる。

[0019] 上記構成力なる刺繍ミシンにおいて、刺繍加工を行うときの各種制御の一例について説明する。作業者によって起動スィッチ 9が押されて、刺繍ミシンの起動が指示されると、ミシン主軸駆動機構 17が駆動され、該ミシン主軸駆動機構 17の駆動によつて、ミシンヘッド 3の針が上下駆動されるとともに、釜土台 4の釜が回転駆動される。これと同期して、刺繍データに基づき X駆動機構 6及び Y駆動機構 7の駆動を制御することで、刺繍枠 5を X方向及び Υ方向に駆動することで、該刺繍データに応じた刺繍加工が行われる。

[0020] 色換え時や終了時などの糸切断時には、各ミシンヘッド 3に対応して設けられた糸切断装置 19を作動させることで、全ミシンヘッド 3の上糸及び下糸を切断することができる。また、刺繍加工中に停止スィッチ 10が押されると、上記刺繍加工動作をー且停止し、ミシン停止時に起動スィッチ 9が押されれば刺繍力卩ェを再スタートするよう制御する。また、ミシン停止時に、停止スィッチ 10が押されると刺繍カ卩ェした部分を順に戻るフレームバック (ステッチバック）が行われる。このフレームバックは、作業者が停止スィッチ 10を押している間、実行される。すなわち、作業者は、次回刺繍加工再開位置が、所望の部分に戻るまで、停止スィッチ 10を押し続けていればよい。

[0021] 刺繍加工中に糸切れが発生した場合は、糸切れ検出装置 18がこれを検出する。

糸切れ検出装置 18によって糸切れが検出されると、これに応じてミシンの動作が一且停止される。このとき、各ミシンヘッド 3に設けた表示ランプ（図示省略)の点灯等によって、糸切れ検出されたミシンヘッド 3の所在が作業者に対して通知されてよい。

[0022] 前記糸切れ検出等によってミシンが停止した際に、刺繍加工の作業進行状況次第で、例えば図 1において 2点鎖線で示すように、刺繍枠 5が凹部 2aの上側に位置した状態で停止する場合がある。ここで作業者は退避スィッチ 11を押すことで、刺繍枠 5 を所定の退避位置まで移動させて、前記凹部 2aの上側力も退避させることができる。すなわち、退避スィッチ 11が押されると、これに応じて Y駆動機構 7が駆動され、刺繍枠 5が Y方向に沿ってミシンの後方へ移動（退避)される。刺繍枠 5の退避位置は、刺繍枠 5が凹部 2aの上側力抜け、作業者が凹部 2aに進入することを妨げない位置でさえあれば、適宜の位置であってよく特に限定されない。退避位置の設定は、例えば γ駆動機構 7の機械原点等を該退避位置として予め定めてお、てもよ、し、或ヽは、作業者が任意に設定できるようにしてもよい。なお、作業者が任意に退避位置を設定する方法としては、図示しない操作パネルからの数値入力による設定方法や、手動操作によって刺繍枠 5を任意の位置に移動させて、当該位置を記憶させる方法など、特に限定されない。設定された退避位置の情報は、 RAM14等に記憶され、刺繍枠 5の退避を実行すべきときに読み出される。

なお、刺繍枠 5が凹部 2aの上側に位置していないときには、退避スィッチ 11が押されても刺繍枠 5の退避は実行されな、ものとしてよ、。

[0023] また、前記刺繍枠 5の退避を指示するに際して、退避スィッチ 11が所定時間以上（例えば 2秒以上)長押しされると、各ミシンヘッド 3に対応して設けられた糸切断装置 1 9が駆動され、全ミシンヘッド 3の糸が切断された後に、刺繍枠 5の退避制御が実行される。これにより、刺繍枠 5の退避に伴い、糸切れしていないミシンヘッド 3の糸が余分に繰り出されることを防ぐ。また、刺繍枠 5が退避位置まで退避した状態において、退避スィッチ 11が押されると、 Y軸駆動機構 7が駆動され、刺繍枠 5を退避される前の作業位置まで戻すことができる。なお、ここで、本実施例においては、全ミシンへッド 3の糸が切断された後に、刺繍枠 5の退避が行われた場合、刺繍枠 5を退避される前の作業位置よりも 1針分手前の刺繍位置に戻すよう制御するものとする。

[0024] 次に図 5に示すフローチャートを参照して、糸切れの検出によってミシンがー且停止されたときの処理例について説明する。刺繍カ卩ェ中に糸切れ検出装置 18によつて糸切れが検出されると、ミシンの動作が一旦停止され、作業者による起動スィッチ 9 、停止スィッチ 10又は退避スィッチ 11の操作に応じて、以下に説明する処理が実行される。

まず、ステップ S101において、退避スィッチ 11がオン操作されたかどうかをチェックし、退避スィッチ 11が押されていない（ステップ S101の No)ときは、処理をステップ S 110に進める。退避スィッチ 11のオン操作があれば (ステップ S101の Yes)、ステツプ S102において刺繍枠 5が退避位置にあるかどうかをチェックし、刺繍枠 5が既に退避位置にある場合には（ステップ S102の Yes)、処理をステップ S103に進める。なお、刺繍枠 5が凹部 2aの上側に位置していない場合は、作業者は刺繍枠 5の退避処理を行う必要がないので、退避スィッチ 11の操作有無に関らず、ステップ S101を Noに分岐して、その他の指示入力を待つよう処理してよい。

[0025] 一方、ステップ S102において刺繍枠 5が退避していないとき、すなわち、刺繍枠 5 力 Sミシン停止時の作業位置に位置して、る場合、この作業位置を現在位置情報 (元の位置）として記憶しておくと共に、ステップ S104において、退避スィッチ 11が所定時間（例えば 2秒)以上押された力どうかをチェックする。 2秒以上押されて、な、場合 (ステップ S 104の No)は、ステップ S105に進み、前述した退避位置情報に基づき γ駆動機構 7を駆動して刺繍枠 5を所定の退避位置まで退避させる。

また、退避スィッチ 11が 2秒以上押された場合 (ステップ S104の Yes)には、ステツプ S106において糸切断装置 19を作動させて全てのミシンヘッド 3の糸を切断した後に、ステップ S 107において刺繍枠 5を退避位置まで退避させる。これにより、刺繍枠 5の退避に伴、、糸切れしてヽな、ミシンヘッド 3の糸が余分に繰り出されることを防ぐ。前記ステップ S104での処理により、退避スィッチ 11の操作に応じて、刺繍枠 5の退避を行う前に、全てのミシンヘッド 3にて糸切りを行うかどうかの選択を行うことを可會になる。

[0026] ステップ S103において、刺繍枠 5を退避させるときに全てのミシンヘッド 3の糸を切断した力どうかをチェックする。全てのミシンヘッド 3の糸を切断した後に刺繍枠 5を退避させた場合 (ステップ S 103の Yes)には、ステップ S 108において、前記記憶された現在位置情報 (元の位置）に基づき刺繍枠 5を退避する前の 1針 (1ステッチ)手前の位置に戻す。糸を切断せずに刺繍枠 5を退避させた場合 (ステップ S 103の No)には、ステップ 109において、前記記憶された現在位置情報 (元の位置）に基づき、刺繍枠 5を退避する前の位置に戻す。すなわち、刺繍枠 5を退避させたときに退避する前の 1針手前の位置に戻すのには、以下の理由がある。すなわち、ミシンを再スタートさせるときの実質的な刺繍再開は、刺繍枠 5を戻した位置の次の位置からとなる。このため、刺繍枠 5を退避させる前に糸を切断した場合に、糸の切断位置を現在位置 (元の位置）とみなしてミシンの再スタートを行うと、該切断位置の次の刺繍位置力刺繍が再開されてしまい、切断位置と再開位置の間の縫い目が 1針分だけ飛んでしまうこととなる。これを回避するために、糸を切断した後に刺繍枠 5を退避させたときには退避する前の 1針手前の位置に戻して、次の刺繍位置 (退避する前の位置)から刺繍を再開するようにしてある。

[0027] ステップ S110において、停止スィッチ 10が押されたかどうかをチェックする。停止スイッチ 10が押されて!/、なければ (ステップ S110の No)、処理をステップ S 116に進める。停止スィッチ 10のオン操作があれば (ステップ S110の Yes)、ステップ S111において刺繍枠 5が退避位置にあるかどうかをチェックし、退避位置以外にある場合 (ステップ S 111の No)は、刺繍枠 5はミシン停止時の作業位置 (元の位置）にあると判断して、ステップ S115において、周知の「フレームバック処理」を実行しうる。この実施例において「フレームノック処理」は、作業者が停止ボタン 10を押し続ける間に実施される。また、ステップ S111において、刺繍枠 5が退避位置にある場合 (Yesの場合）には、ステップ S112において、刺繍枠 5を退避させるときに全てのミシンヘッド 3の糸を切断したかどうかをチェックする。糸を切断した後に刺繍枠 5を退避させた場合 (ステツプ S 112の Yes)には、ステップ S 113において刺繍枠 5を退避する前の 1針手前の位置に戻してから、ステップ S 115において「フレームバック処理」を行う。糸を切断せずに刺繍枠 5を退避させた場合 (ステップ S 112の No)には、ステップ 114において刺繍枠 5を退避する前の位置に戻してから、ステップ S 115にお!/、て「フレームバック処理」を行う。

[0028] ステップ S116においては、起動スィッチ 9が押されたかどうかをチェックする。起動スィッチ 9が押されていなければ (ステップ S116の No)、当該処理をリターンしてステップ S 101以下の処理を繰り返す。起動スィッチ 9のオン操作があれば (ステップ S 11 6の Yes)、ステップ SI 17において刺繍枠 5が退避位置にあるかどうかをチェックし、退避位置以外にあれば (ステップ S 117の No)、刺繍枠 5はミシン停止時の作業位置 (元の位置）にあると判断して、刺繍加工を再開する。また、刺繍枠 5が退避位置にある場合 (ステップ S 117の Yes)は、ステップ S 118において、刺繍枠 5を退避させたときに全てのミシンヘッド 3の糸を切断したかどうかをチェックする。糸を切断した後に刺繍枠 5を退避させた場合 (ステップ S 118の Yes)には、ステップ S119において刺繍枠 5を退避する前の 1針手前の位置に戻してから、刺繍加工を再開する。糸を切断せずに刺繍枠 5を退避させた場合 (ステップ S118の No)には、ステップ 120において刺繍枠 5を退避する前の位置に戻してから、刺繍加工を再開する。

[0029] 次に、本実施例において、糸切れ検出によって刺繍カ卩ェ中のミシンがー且停止されたときに作業者によって行われる作業について説明する。

まず、作業者は、糸切れ検出されたミシンヘッド 3において実際に糸切れしているのかどうか確認する。当該ミシンヘッド 3で糸切れしていなければ (糸切れがエラー検出であれば）、起動ボタン 9をオン操作して刺繍加工を再開させればよい。一方、実際に糸切れしていれば、以下に述べるように、その修復作業を行う。ミシンが停止された状態で、刺繍枠 5が凹部 2aの上側に位置している場合は、作業者は退避スィッチ 11 を押して刺繍枠 5を退避位置まで退避させる。このとき、退避スィッチ 11を所定持間（例えば 2秒)以上長押しすることで、糸切れして!/、な、ミシンヘッド 3の糸切りを行った後、刺繍枠 5を退避させることができる。なお、刺繍枠 5の退避移動量が少なぐ作業者が糸切りが不要と判断した場合には、退避スィッチ 11を長押しせずに、糸切りを行うことなく刺繍枠 5を退避させることも可能である。そして、作業者は、刺繍枠 5を邪魔にならないように移動させた後、凹部 2aに進入して糸切れしたミシンヘッド 3の糸通しを行う。

[0030] 糸切れしたミシンヘッド 3での糸通し作業が済んだ後、作業者は、停止スィッチ 10 を押して、刺繍枠 5を退避する前 (糸を切断した後に退避させたときには 1針手前)の位置に戻すと共に、 2、 3針分だけフレームバックさせてから、起動スィッチ 9を押して刺繍力卩ェを再開するとよい。これは、図 5において、ステップ S110— S115の順で行われる処理に相当する。なお、このときのフレームバックは必ずしも必要でなぐ糸通し作業の後に、直ぐ起動スィッチ 9を押すことで、刺繍枠 5を退避する前 (糸を切断した後に退避させたときには 1針手前）の位置に戻して、そのまま刺繍加工を再開することもできる。これは、図 5において、ステップ S116— S120の順に行われる処理に相当する。

また、糸切れしたミシンヘッド 3での糸通し作業が済んだ後、前述のフレームバック及び Zまたは刺繍加工再開を行うことなぐ退避する前の位置に戻すだけの操作を行う場合は、再度退避スィッチ 11を押すだけでよい。これは、図 5において、ステップ S101、 S102、 S103、 S 108又 ίま S 109の川頁で行われる処理にネ目当する。

[0031] 以上説明したとおり、本実施例によれば、刺繍枠 5を退避させるための退避スィッチ 11を備えたことにより、糸切れ検出があった場合、作業者は、実際の糸切れの状況を確認し、自身の判断に応じて、刺繍枠 5の退避を指示することができるので、不必要な刺繍枠 5の退避動作や糸切り動作を省くことができ、また、実際には切れていない（糸切れのミス検出があった)ミシンヘッドの糸を不要に繰出すこともなくなり、作業効率を向上させることができる。また、多頭式ミシンにおいて、糸切れしていない全てのミシンヘッド 3の糸切りを実行した後に刺繍枠 5を退避させる場合にも、退避スイツチ 11を所定時間（例えば 2秒)以上押すことのみによって、その指示が行えるので、作業者にとって利便性が向上し、有利である。また、刺繍枠 5の退避やミシン動作の起動の指示等を行うためのスィッチ群を有するスィッチボックス 8を凹部 2aに隣接して設けたことから、作業者は、糸切れしたミシンヘッド 3の確認、刺繍枠 5の退避指示及び刺繍加工の再開指示までの一連の作業を、ミシンに対面するという作業位置、作業姿勢を大きく動かすことなぐその場で行えるようになり、このことは、作業者にとつて便利である。また、糸切れしたミシンヘッド 3での糸通し作業が済んだ後、刺繍作業を再開するに際して、全てのミシンヘッド 3の糸を切断した後に刺繍枠 5の退避を行つた場合には、退避前の刺繍位置 (元の位置)よりも 1針手前の刺繍位置に戻すよう制御することで、刺繍再開時に、縫い目力飛んでしまう等の不都合が生じることを防ぐことがでさる。

なお、本実施例にお!、て、起動スィッチ 9、停止スィッチ 10及び退避スィッチ 11を、更に操作パネル (図示せず)等に別途設けることで、その設置数、設置位置を多様ィ匕することで、作業時の利便性をより向上させることも可能である。

また、退避位置にある刺繍枠 5を元の位置に戻す際にブザー警報音などを発生する適宜の通知手段を更に設け、該通知手段の作動によって、作業者にその実行を通知する構成や、それに加えて、凹部 2aにおける作業者の在'不在を検知する検知手段を更に備え、刺繍枠 5を元の位置に戻す際に作業者が凹部 2a内にいることを検知した場合にブザーを鳴らして、作業者が凹部 2aから退出した後に、刺繍枠 5を元の位置に戻す動作を実行するよう構成してもよい。

また、上述の実施例においては、退避させた刺繍枠 5を元の位置に戻すに際して、糸を切断した後に退避させたときには退避する前の 1針手前の位置に戻すものとして説明したが、何針手前に戻すかを任意に設定可能としてよい。また、糸を切断せずに退避させた場合であっても何針か手前の位置に戻せるよう構成してもよい。

Claims

請求の範囲

[1] テーブル上に移動可能に載置された縫製枠を具備し、該テーブルの縁部において作業者の進入を可能とするよう凹部が形成されてなるミシンであって、

前記縫製枠を所定の退避位置まで移動させるための移動機構と、

人為的な操作に応じて、前記縫製枠を所定の退避位置まで移動させるための退避指示を発生する操作器と、

前記ミシンの停止時にぉ、て前記縫製枠が前記凹部の上方に位置して、るならば、前記操作器の操作に基づき前記退避指示が発生されたことに応じて、前記移動機構を動作させて該縫製枠を前記所定の退避位置まで移動させるよう制御する制御装置と

を具備するミシン。

[2] 前記縫製枠を前記所定の退避位置まで移動させる前に、当該ミシンに備わる全てのミシンヘッドにおいて糸切りを実行するか否かの選択を可能にする選択手段を更に具える請求項 1に記載のミシン。

[3] 前記選択手段は、人為的に操作されるものである請求項 2に記載のミシン。

[4] 前記選択手段は、前記糸切りを実行するか否かの選択を、前記操作器を使用して行うものである請求項 3に記載のミシン。

[5] 前記操作器が所定の第 1の操作態様で操作されたことを検出して、この検出に応じて前記退避指示を発生し、他方、前記操作器が所定の第 2の操作態様で操作されたことを検出して、この検出に応じて前記全てのミシンヘッドにおいて糸切りを実行すベきことを指示する指示を発生するようにしたことを特徴とする請求項 4に記載のミシン。

[6] 前記操作器は、前記テーブルにおける前記凹部の近傍に配置されていることを特徴とする請求項 1乃至 5のいずれかに記載のミシン。

[7] 前記制御装置は、更に、前記所定の退避位置まで移動させた前記縫製枠を、退避させる前の元の位置に戻すための移動制御を行うものであり、該縫製枠を前記元の位置に戻すにあたって、前記元の位置より少なくとも 1ステッチ前の縫製位置に戻すよう移動制御することを特徴とする請求項 1乃至 6のいずれかに記載のミシン。

[8] 前記制御装置は、前記縫製枠を前記元の位置に戻すにあたって、前記縫製枠を退避させるときに前記全てのミシンヘッドにおいて糸切りを実行したことを条件に、前記縫製枠を前記元の位置より少なくとも 1ステッチ前の縫製位置に戻すよう移動制御し、糸切りを実行していな力つた場合は、前記縫製枠を前記元の位置に戻すよう移動制御することを特徴とする請求項 7に記載のミシン。

[9] テーブル上に移動可能に載置された縫製枠を具備し、該テーブルの縁部において作業者の進入を可能とするよう凹部が形成されてなるミシンにおいて、前記縫製枠を所定の退避位置まで移動させるための方法であって、

所定の操作器が人為的に操作されたことを検出し、この検出に基づき退避指示を発生するステップと、

前記ミシンの停止時において、前記縫製枠が前記凹部の上方に位置しているならば、前記退避指示が発生されたことに応じて、前記縫製枠を前記所定の退避位置まで移動させるステップと

を具備する方法。

[10] テーブル上に移動可能に載置された縫製枠を具備し、該テーブルの縁部において作業者の進入を可能とするよう凹部が形成されてなるミシンにおいて、前記縫製枠を所定の退避位置まで移動させるための手順を、コンピュータに実行させるための命令群力もなるプログラムであって、前記手順は、

を具備する。