WO2005049929A1 - ゴミと油の除去装置及びその回収袋 - Google Patents

Abstract

　飲食店の排水に含まれるゴミや油に触れることなくしかも簡単にそれらを除去することができるゴミと油の除去装置及びその回収袋を提供するものである。 　グリーストラップ１０の内部にその水面３６ｂより上位の位置に支持手段４０の支持台４６を配置する。支持手段４０に回収袋４２を取付け、その回収袋４２の複数層の袋部６８ａ，６８ｂ，６８ｃを支持台４６の上に載せる。各袋部６８ａ，６８ｂ，６８ｃは油の付着が可能な素材とし、各袋部６８ａ，６８ｂ，６８ｃに多数の水通過用穴７２を設ける。複数層の袋部６８ａ，６８ｂ，６８ｃの一番内部に排水を導入して、各袋部６８ａ，６８ｂ，６８ｃに順に排水を通過させて、各袋部６８ａ，６８ｂ，６８ｃにゴミと油を付着させる。これによって、回収袋４２の交換による作業を簡素化でき、グリーストラップ１０内に溜まる油の量を減らすことができる。

Description

明 細 書

ゴミと油の除去装置及びその回収袋

技術分野

[0001] 本発明は、飲食店の排水に含まれるゴミと油とを除去するための除去装置及びゴミ と油の回収袋に関するものである。

背景技術

[0002] 調理や食器の洗浄等を頻繁に行う飲食店等の業務用厨房の排水中には形のある ゴミ (食物残渣ゃ楊枝や串等)と油（油脂分等の汚泥物質)とが多量に混在しており、 下水管を流下する際にそれらが管内に付着し凝固することによって、管径を縮小した り管を閉塞させる恐れがある。また、それらゴミゃ油が公共下水道に流出することによ つて、河川等環境に悪影響を及ぼすという問題があった。

[0003] 上記問題を防ぐため、飲食店等では公共下水道に至る排水経路の上流側に、排 水に含まれる油を水と分離するためのグリーストラップ (特許文献 1)を設置し、このグ リーストラップにおいてゴミと油を水から除去し、公共下水道にゴミゃ油を流入させな いようにしている。

特許文献 1 :特開 2002-161577号 (第 2-3頁、図 1)

[0004] ここで、従来既知のグリーストラップを図 10で説明する。グリーストラップ 10は、本体 12の内部に飲食店の調理場の洗浄用シンク力も排出される排水を溜める内部空間 を有する。その内部空間は、スライド自在な隔板 14a, 14bによって互いに区画される 第一槽 16,第二槽 18及び第三槽 20とに分けられている。調理場の洗浄用シンク（ 図示せず)からの排水は、溝や管等の上流側排水通路 22を介して第一槽 16に導入 される。第一槽 16と第二槽 18とは隔板 14aの下側で通じており、第二槽 18と第三槽 20とは隔板 14bの下側で通じている。この第二槽 18内の底には上方に伸びる仕切り 板 24が設けられており、この仕切り板 24によって第一槽 16から第二槽 18に導入さ れる排水は、必ず第二槽 18の上方にー且は移動するようになる。内部空間を形成す る本体 12は、図 10ではコンクリート製の壁状のものを示している力 金属製や FRP 製の容器状のものも採用することができる。 [0005] 飲食店の調理場の洗浄用シンクからの排水には、形のあるゴミ (食用残渣ゃ楊枝や 串等）と油とが含まれている。第一槽 16内には、例えば直径約 5mmの穴を多数形成 した金属製のパンチボードで形成される残渣かご 26が備えられており、この残渣かご 26の内部に上流側排水通路 22からの排水が導入されるように設定されている。この 残渣かご 26は、食用残渣ゃ楊枝や串等の形のあるゴミを捕集するものであり、形の ない油は水と共に残渣かご 26の穴から第一槽 16内に排出される。残渣かご 26に捕 集されたゴミには油が付着するので、残渣力ご 26内に若干の油が捕集されるが、排 水に含まれる殆どの油は残渣かご 26の穴から第一槽 16内に排出される。

[0006] 残渣かご 26を経て第一槽 16内に排出された排水は、隔板 14aの下側を通って第 ニ槽 18内に至る。この第二槽 18に至った排水は仕切り板 24によってー且は上方に 移動させられる。この第二槽 18において水と油とが分離され、第二槽 18の上部に油 が溜り下部に水が溜まる。第二槽 18の下方に溜まった水は、隔板 14bの下側を通つ て第三槽 20に至る。第三槽 20内には開口部を水面より充分下方に位置させた下流 側排出管 30が備えられ、第三槽 20内に至った水は、下流側排出管 30から図示しな い公共下水道に導かれる。

[0007] 第一槽 16から残渣かご 26を取出す場合や、隔板 14a, 14b,第一槽 16,第二槽 1 8及び第三槽 20等を洗浄するために、第一槽 16,第二槽 18及び第三槽 20の上方 に把手の付いた蓋 32が備えられている。また、上流側排水通路 22が溝の場合に、 その溝の上方に蓋 34が備えられる。

[0008] グリーストラップ 10では、第一槽 16に残渣かご 26を備え、その残渣かご 26によって 排水中の形のあるゴミを捕集する。また、第二槽 18では、そこで油水分離を行って油 を上方に浮き上がらせて蓄積し、その第二槽 18に蓄積した油を除去する。第三槽 20 では、ゴミと油とを除去した後の水を溜め、その水を下流側排出管 30から公共下水 道等に排出する。グリーストラップ 10に排水が流れ込まない状態のグリーストラップ 1 0内の水面の高さを水面 36aとすると、下流側排出管 30の開口部は水面 36aより充 分下位に配置されており、グリーストラップ 10内に排水が流れ込んで、第三槽 20内 の水面の高さが水面 36bになった時に、第三槽 20内の水が下流側排出管 30を通つ て公共下水道等に排出される。 発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0009] 第一槽 16内に取付けられた残渣かご 26は、上部が水面 36a, 36bより上方にある 力 その大部分は水面 36a, 36bより下に浸漬されている。この残渣かご 26は食物残 渣ゃ楊枝や串等の形のあるゴミを捕集する力 その形のあるゴミゃ残渣かご 26の表 面に油が付着する。食物残渣は水に浸漬された状態で長時間経過すると、酸化腐 敗して不快な臭!、を発生する。

[0010] 飲食店では一般に、食物残渣を含むゴミから不快な臭 、が発生しな!、うちに残渣 力ご 26で捕集したゴミを除去することを目的として、残渣かご 26からのゴミの除去作 業と残渣力ご 26の洗浄作業とを毎日行うよう規定しているところが多い。ゴミの除去 作業と残渣力ご 26の洗浄作業は、飲食店の店員の仕事になっている。この他に、第 ニ槽 18に溜まる油を例えば一週間毎に除去する作業と、グリーストラップ 10の本体 1 2 (第一槽 16,第二槽 18及び第三槽 20)の内壁面を例えば一ヶ月毎に清掃する作 業とがあるが、これらは一般に清掃専門業者に依頼している。

[0011] ファーストフード店等の飲食店ではアルバイトの店員が多ぐ一般店員やアルバイト 店員等は臭いを発生する食物残渣の除去作業や油がべっとり付着した残渣力ご 26 の洗浄作業を嫌がる人が多い。これに対して、それらの洗浄作業を一般店員やアル ノイト店員等に強制すれば、それらの作業が嫌いという理由でアルバイトや仕事を辞 める人が多ぐその結果、常に一般店員やアルバイト店員等の店員を募集しなけれ ばならな 、と 、う不具合が生じて 、た。食物残渣の除去作業と残渣力ご 26の洗浄作 業とを怠ると、腐敗が進行して腐敗臭が増すことから、忙しい店長がそれらの作業を 行わなければならず、店長の仕事の負担が増えるという欠点があった。

[0012] 本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、飲食店の排水に含まれるゴミゃ 油に触れることなくし力も簡単にそれらを除去することができるゴミと油の除去装置及 びその回収袋を提供するものである。

課題を解決するための手段

[0013] 本発明のゴミと油の除去装置は、飲食店力 出る排水を排水通路力 導入するダリ 一ストラップに用いるものであって、前記排水通路力もの排水を内部に導入するため のものであって油の付着が可能な素材の複数層から成る袋部を有する回収袋と、前 記複数層の各袋部に設けた多数の水通過用穴と、前記グリーストラップに溜まる水面 より上位で前記袋部を支持するための支持手段とから成るようにしたものである。

[0014] 本発明のゴミと油の除去装置は、前記回収袋を剛性のある素材力 成る基部と前 記複数層から成る袋部とから構成し、前記基部に前記複数層の袋部の内部と連絡す る排水導入用穴を形成し、前記排水通路における前記グリーストラップ側への出口を 管とし、その管を前記排水導入用穴に挿入させるようにしたものである。本発明のゴミ と油の除去装置は、前記支持手段に前記回収袋の前記基部と係合する係合手段を 備えるようにしたものである。本発明のゴミと油の除去装置は、前記支持手段が、脚 部と、前記回収袋を支持する支持台と、前記回収袋の前記基部と係合する係合手段 を備えるものであって前記脚部に対して変位可能な可動部材とを有し、前記可動部 材の一方の移動端において回収袋が前記管と離れた状態にあり、前記可動部材の 他方の移動端において前記回収袋の袋部の内部に前記管の先端を位置させるよう にしたものである。本発明のゴミと油の除去装置は、前記基部に把手用穴を形成する ようにしたものである。本発明のゴミと油の除去装置は、前記複数層の袋部を網で形 成するようにしたものである。本発明のゴミと油の除去装置は、前記網の素材を合成 榭脂または合成繊維とするにしたものである。本発明のゴミと油の除去装置は、前記 複数層から成る袋部の素材を不織布とするにしたものである。本発明のゴミと油の除 去装置は、前記水通過用穴の大きさを 1一 5ミリとするようにしたものである。

[0015] 本発明のゴミと油の回収袋は、飲食店から出る排水に含まれるゴミと油を回収する ものであって、排水導入用穴を形成した剛性のある基部と、その基部の前記穴の周 囲を開口部で覆った状態で固定される複数層の袋部とから成り、複数層の各袋部を 油の付着が可能な素材で構成し、複数層の各袋部に多数の水通過用穴を形成する ようにしたものである。

[0016] 本発明のゴミと油の回収袋は、前記基部に把手用穴を形成するようにしたものであ る。本発明のゴミと油の回収袋は、前記複数層の袋部を網で形成するようにしたもの である。本発明のゴミと油の回収袋は、前記網の素材を合成樹脂または合成繊維と するにょうにしたものである。本発明のゴミと油の回収袋は、前記複数層の袋部の素 材を不織布とするにょうにしたものである。本発明のゴミと油の回収袋は、前記水通 過用穴の大きさを 1一 5ミリとしたものである。

発明の効果

[0017] 本発明によれば、回収袋を支持手段力 取出すだけで、その回収袋を備えなけれ ばグリーストラップ内に排出されことになるゴミと大量の油とを除去することができる。 また、作業としては回収袋を交換するだけの簡単なものであり、従来必要とした残渣 力ご力ものゴミの除去作業と油の付着した残渣力ごの洗浄作業とを無くすことができ る。この結果、グリーストラップに関連するいやな作業がなくなるので、飲食店におけ る一般店員やアルバイト店員等の定着率を向上させることができる。また、回収袋の 袋部はグリーストラップ内の水面よりも上位に常に配置されているので、袋部内の水 が切れた後に回収袋を除去するようにすれば、回収袋力 水がしたたり落ちることが なくなり、排水によって手が汚れることはない。本発明では、支持手段における回収 袋を着脱する可動部材を、脚部やその他の箇所に対して移動自在とすることで、支 持部材全体を移動させずに可動部材のみを移動させることで、回収袋を排水管に着 脱することができ、回収袋の着脱作業が非常に容易になる。

[0018] 本発明では、回収袋の袋部を複数層のものとし、しかも各袋部の素材を油の付着 が可能なものとしている。これによつて、複数層の各袋部でゴミと油とを捕集でき、回 収袋の袋部で、排出手段力 グリーストラップに向けて排出される油の大部分と油に 付着するゴミとを捕集できる。この結果、グリーストラップの第二槽に溜まる油の量を 大幅に低減することができ、第二槽カもの油の除去作業間隔を大幅に延長させると 共にグリーストラップ内の清掃間隔も延長させることができ、清掃作業コストを大幅に 低減することができる。

図面の簡単な説明

[0019] [図 1]本発明に係るゴミと油の除去装置をグリーストラップ内に備える状態を示す断面 図である。

[図 2]本発明に使用する支持手段の一例を示す斜視図である。

[図 3]本発明に使用する回収袋の一例を示す斜視図である。

[図 4]図 3の回収袋の要部断面図である。 圆 5]図 2の支持手段に図 3の回収袋を取付けた状態を示す斜視図である。 圆 6]排水管と回収袋とを嵌合させた状態を示す断面図である。

[図 7]本発明に使用する他の回収袋の要部拡大正面図である。

圆 8]本発明に使用する支持手段の他の例を示す斜視図である。

圆 9]図 8に示す支持手段の使用状態を示す側面図である。

[図 10]従来のグリーストラップの一例を示す断面図である。

符号の説明

[0020] 10 グリーストラップ

12 本体

38 排水管

40 支持手段

42 回収袋

46 支持台

56 係合部材

64

66 排水導入用穴

68

68a 袋部

68b 袋部

68c 袋部

70 把手用穴

72 水通過用穴

78 網

82 係合部材

94 アーム

96 ピン

発明を実施するための最良の形態

[0021] 以下、本発明を図面に基づいて説明する 図 1は本発明に係るゴミと油の除去装置をグリーストラップ内に備える状態を示す断 面図、図 2は本発明に使用する支持手段の一例を示す斜視図、図 3は本発明に使 用する回収袋の一例を示す斜視図である。なお、図 1において図 10と同一符号は同 一部材を示す。本発明では、従来既知のグリーストラップ 10を使用する。但し、ダリー ストラップ 10の第一槽 16へ排水を導入する上流側排水通路としては、その出口側は 溝ではなく排水管 38とするのが望ましい。本発明に係るゴミと油の除去装置は、図 1 0に示す残渣かご 26に代えて、図 2に示す支持手段 40と、図 3に示す回収袋 42とを 使用するものである。

[0022] 図 2に示す支持手段 40は、図 3に示す回収袋 42の袋部 68を載せるためのもので あって複数の水通過穴 44を形成した支持台 46を有するものである。この支持台 46 の高さは、グリーストラップ 10に最大の水量が蓄積されても、水没することがない高さ に設定されている。支持手段 40は更に、支持台 46より上に位置する正面壁 48とそ の正面壁 48の両側の側壁 50とを有している。正面壁 48の中央には穴または切欠 5 2が形成されている。この正面壁 48において切欠 52の両側に溝 54が上下方向に形 成されている。この嵌合用溝 54は、第一係合手段としての正面壁 48とその内側に固 定される L字形の係合部材 56とによって形成される。側壁 50における支持台 46より 下方は、側壁 50と一体に形成される脚 58となっている。支持台 46における正面壁 4 8と反対側の端には、回収袋 42が落下するのを防止するために上方に立ち上げた 落下防止ガイド 60が設けられている。図 1に示すように、第一槽 16の底には台 62が 備えられ、支持手段 40の脚 58は台 62の上に載せられる。なお、台 62を無くし、支持 手段 40の脚 58を長くして、その脚 58の下端を第一槽 16の底に接触させるようにして も良い。

[0023] 図 3に示す回収袋 42は、第二係合手段としての剛性のある素材力も成る板状の基 部 64と、その基部 64に形成される排水導入用穴 66と、その排水導入用穴 66を開口 部が囲むように基部 64に固定される袋部 68とからなる。袋部 68は、開口部の位置を 同じ位置にする例えば 3層の袋部 68a, 68b, 68cとから成る。第二係合手段としての 基部 64は、例えば剛性のある板状の紙や板状の剛性樹脂で形成されるのが望ましく 、この第二係合手段としての基部 64を第一係合手段である溝 54に上下方位に挿入 させることによって、支持手段 40に基部 64 (回収袋 42)を外れることなく取付けること 力 Sできる。回収袋 42の基部 64を支持手段 40に着脱自在に取付けることができれば 良いため、第一係合手段は溝 54に限るものではなぐまた第二係合手段は溝 54に 嵌合する板状のものに限るものではない。基部 64に形成される排水導入用穴 66は、 調理場の洗浄用シンク力も排出される排水が袋部 68 (3層の袋部 68a, 68b, 68cの うちの一番内側の袋部 68a)の内部に導入するためのものである。基部 64には排水 導入用穴 66の他に、手を挿入できる把手用穴 70が形成されて 、る。

[0024] 各袋部 68a, 68b, 68cは、油の付着が可能な素材、例えば不織布を用いる。不織 布は水を通過させるが油を通過させないものである。 3層の袋部 68は、基部 64の排 水導入用穴 66をその開口部で囲む袋部 68aを備え、その袋部 68aの外側を袋部 68 bで覆い、袋部 68bの外側を袋部 68cで覆うものである。図 4に示すように、各袋部 68 a, 68b, 68cには、水が通過できる多数の水通過用穴 72が形成されている。この水 通過用穴 72は、その直径が例えば lmmカゝら最大でも 5mm (両端の数値を含む）の ものが望ましいが、それに限るものではない。水通過用穴 72の直径が lmm以下であ ると水が流れにくくなるおそれがあり、水通過用穴 72の直径が 5mm以上であるとゴミ が通過してゴミを捕捉できなくなるおそれがある。各袋部 68a, 68b, 68cは、例えば 帯状の不織布を織り込んで、その織り込んだ不織布に多数の網目状の空間を形成し 、その他数の空間を水通過用穴 72としても良い。

[0025] 図 4に示すように、袋部 68aと袋部 68bとの間に第一空間 74が形成され、袋部 68b と袋部 68cとの間に第二空間 76が形成される。図 4において、袋部 68は内側力も外 側に向けて 3層の袋部 68a, 68b, 68cから成る構成とした力 2層以上の複数層であ れば良い。即ち、しかし、 2層の袋部 68では油の捕集量が少なくなり、 4層以上の袋 部 68になると重量が重くなつて着脱に力が要るため、袋部 68は 3層が好ましい。

[0026] 図 1に示す状態は、支持手段 40を第一槽 16に収容してあるが、その支持手段 40 には回収袋 42が未だ取付けられていない状態を示す。この図 1の状態から、回収袋 42の基部 64を支持手段 40の溝 54の上部力も挿入係合させる。これによつて、回収 袋 42は支持手段 40に取付けられる（図 5)。回収袋 42を支持手段 40に取付けた状 態においては、袋部 68は支持台 46の上に載せられる。この支持台 46の高さは、ダリ 一ストラップ 10に最大の水量が導入されても、水没することがない高さに設定されて いるので、グリーストラップ 10内に溜まっている水によって袋部 68が濡らされることは ない。

[0027] 回収袋 42を支持手段 40に取付けた後、支持手段 40を図 5において台 62に対して 矢印 A方向に移動させる（支持手段 40を図 6で本体 12に対して矢印 A方向へ移動さ せる）。この支持手段 40を移動させることによって、図 6に示すように、回収袋 42の基 部 64の排水導入用穴 66に排水管 38の先端が挿入させられる。これによつて、飲食 店等の調理場の洗净用シンクから排水管 ₃₈を経て排出される排水は、袋部 68 (— 番内側の袋部 68a)の内部に確実に導入することができる。

[0028] 飲食店等の調理場の洗浄用シンクからの排水には、形のあるゴミ (食用残渣ゃ楊枝 や串等）と油（油脂等の汚泥物質)とが含まれているが、形のあるゴミは一般には最も 内側の袋部 68aによって捕集される。形のあるゴミのうち、例えば先が鋭い串等のゴミ 力 内側の袋部 68aを突き破ることが考えられる力 真中の袋部 68bや外側の袋部 6 8cによって串等のゴミを捕集することができる。一方、袋部 68a, 68b, 68cの素材は 、水を通過させるが油を付着させる（油を通過させない）不織布等を用いるので、排 水に含まれる油は内側の袋部 68aの内壁に付着する。また、袋部 68aの内壁に付着 した油は、袋部 68aで捕集されたゴミに付着する。内側の袋部 68aの水通過用穴 72 を通過した油や袋部 68aの内壁で捕集できなくなった油は、袋部 68aと袋部 68bの 間の第一空間 74に入り、袋部 68bの内壁に付着させて油を捕集する。更に、袋部 6 8bの水通過用穴 72を通過した油や袋部 68bの内壁で捕集できなくなった油は、袋 部 68bと袋部 68cの間の第二空間 76に入り、袋部 68cの内壁に付着させて油を捕集 する。

[0029] このように、 3層の袋部 68a, 68b, 68cに導入された排水に含まれる油は、各袋部 68a, 68b, 68cの内壁によって捕集されると共に、袋部 68a内に捕集されたゴミに付 着することでも捕集される。 3層の袋部 68a, 68b, 68cによっても捕集されなかった 油は第一槽 16に排出される。その後、第一槽 16に排出された油は第二槽 18に移動 して、通常のグリーストラップ 10と同様に第二槽 18に溜められ、第二槽 18から取出さ れる。しかし、本発明の回収袋 42を備えることにより、排水に含まれる油の殆どを回 収袋 42で捕集することができ、第一槽 16や第二槽 18に至る油の量を大幅に減らす ことが出来る。更に、各袋部 68a, 68b, 68cの内壁に付着した油が小さなゴミを付着 させ、各袋部 68a, 68b, 68cの内部に小さなゴミを捕捉できるという利点も生じる。

[0030] 飲食店において、 1日の仕事の終了時または翌日の仕事の開始時に、回収袋 42を グリーストラップ 10から取出す。回収袋 42の取出し作業は、先ず第一槽 16の蓋 32を 外し、その後、図 6の状態から支持手段 40を B方向に移動させて、回収袋 42の基部 64の排水導入用穴 66を排水管 38の先端力も外す。次に、回収袋 42の基部 64の把 手用穴 70に手を入れて回収袋 42を持上げることによって、回収袋 42を支持手段 40 力も取出すことができる。回収袋 42に触る箇所は、袋部 68から離れた基部 64の把手 用穴 70の位置 (排水で汚れな 、位置）であるので、回収袋 42の取出し作業にぉ 、て 手が汚れることはない。袋部 68はグリーストラップ 10内の水面 36a, 36bよりも上位に あるので、最後の排水を流した後、ある程度時間が経過すれば、袋部 68からは水が 切れた状態となり、回収袋 42を取出しても袋部 68からは水が垂れることはない。

[0031] 従来は形のあるゴミ (食用残渣ゃ楊枝や串等)を残渣力ご 26から除去し、油（油脂 分等の汚泥物質)の付着した残渣かご 26を洗浄しなければならなかったが、本発明 では回収袋 42を支持手段 40から取出すだけで良ぐ回収袋 42の着脱の際に手が 汚れることはない。しかも、回収袋 42はグリーストラップ 10内の水に浸漬されていな いので、回収袋 42を例えば毎日交換すれば、回収袋 42内の食物残渣が臭いを発 生する前に回収袋 42を除去するので、作業者である店員がいやな臭いを感じること はない。このように、本発明では、グリーストラップ 10に関連する仕事に関して、飲食 店の店員にいやな思いをさせることがなくなるので、一般店員やアルバイト店員の定 着率を大幅に向上させることができる。

[0032] 回収袋 42では例えば 3層の袋部 68a, 68b, 68cによって油を捕集しているので、 グリーストラップ 10に向けて排出される排水に含まれる油の大部分は回収袋 42によ つて捕集される。よって、グリーストラップ 10の第二槽 18に溜まる 1日当たりの油の量 は大幅に低減することができる。この結果、グリーストラップ 10からの油の除去作業間 隔を従来の間隔より大幅に延ばすことができ、それに伴なつてグリーストラップ 10内 の清掃間隔も延ばすことができ、グリーストラップ 10に関する清掃作業コストを大幅に 低減することができる。

[0033] 袋部 68の各層は、不織布に代えて、油の付着が可能な素材 (例えば合成樹脂や 合成繊維)カゝら成る多数の水通過用穴 72を形成した網 78としても良 ヽ（図 7)。合成 榭脂ゃ合成繊維は水も油も通過させないものである。このため、袋部 68を 3層とした 場合、第一の層の網 78において、水通過用穴 72を水が通過するが、付着性のある 油は第一の層の網 78に付着する。第一の層の網 78への付着を免れた油でも、第二 の層の網 78や第三層の網 78に付着する。これに対して、水は、各層の網 78の水通 過用穴 72を通過して、複数層から成る袋部 68の内部を通過して外部に至る。更に、 各袋部 68a, 68b, 68cの内壁に付着した油にゴミが付着するので、各袋部 68a, 68 b, 68cの内部に油もゴミも捕捉できるという利点がある。

[0034] このように、袋部 68を例えば 3層の網 78で構成しても、網 78に油が付着するので、 3層の網 78で油の殆どとその油に付着するゴミを捕捉することができる。合成樹脂や 合成繊維等を素材とする網 78は、多数の水通過用穴 72を形成する他の素材よりも 丈夫でかつ安価である。袋部 68の各層を網 78とした場合においても、水通過用穴 7 2の 1辺または直径が lmmカゝら最大でも 5mm (両端の数値を含む）が望ましいが、そ れに限るものではない。

[0035] なお、支持部材 40を第一槽 16の底や台 62の上に置く構造のものとした力 支持部 材をフック（図示せず）によって第一槽 16の上から下方に吊るす構造ものにしても良 い。また、支持手段 40に回収袋 42の第二係合手段と係合する第一係合手段を設け たが、グリーストラップ 10の本体 12に第二係合手段と係合する第一係合手段を設け るようにしても良い。

[0036] 次に、図 2に示した支持手段 40の変形例の支持手段 80を図 8に示す。図 8の支持 手段 80において図 2と同一参照番号は、同一部材を示す。図 2に示す支持手段 40 においては、回収袋 42を着脱する係合部材 56を取付けた正面壁 48は、支持台 46 や脚 58と固定していたが、図 8に示す支持手段 80では、回収袋 42を着脱する係合 部材 82を備える正面壁である可動部材 84は、支持台 46や脚 58に対して移動可能 即ち揺動自在に取付けられて 、る。可動部材 84の中央には切欠 86が形成されて 、 る。この可動部材 84の切欠 86の両側に、係合部材 82が折り曲げて形成されている。 第一係合手段である材 82と正面壁である可動部材 84とによって、回収袋 42の基部 64を挿入できる嵌合用溝 88が形成されている。両側の係合部材 82の上部に、それ ら両側の係合部材 82を連結する連結棒 90が固定されている。可動部材 84の下部 には、回収袋 42の基部 64の下縁を支持するための支持部 92が設けられている。可 動部材 84の両側面には下方に伸びるアーム 94が固定され、各アーム 94の下端付 近にピン 96が固定され、ピン 96が脚 58に回転自在に保持されている。即ち、可動部 材 84は、 2個のピン 96が脚 58に保持された位置を中心として、脚 58に対して摇動自 在となるよう取り付けられている。なお、可動部材 84は脚 58に対して、他の移動手段 で水平方向に移動できるようにしても良い。各脚 58には、各アーム 94が支持台 46か ら所定以上離れる方向に傾斜するのを防止するためのストツバ 98が設けられている

[0037] 回収袋 42を支持手段 80に取付けるには、図 8に示すように、支持手段 80の可動 部材 84と係合部材 82とによって形成される嵌合用溝 88に、回収袋 42の基部 64を 挿入する。支持手段 80の嵌合用溝 88に回収袋 42の基部 64を挿入した状態では、 回収袋 42の袋部 68は可動部材 84の切欠 86 (図 8)を通過し、図 9に示すように、そ の袋部 68の下面は支持台 46の上に載せられる。図 9に示すように、回収袋 42の袋 部 68を支持手段 80の嵌合用溝 88に装着する場合には、排水管 38は回収袋 42と 接触しないように、可動部材 84を一方側の移動位置 (支持台 46に近い位置）に移動 させておく。この状態の可動部材 84と回収袋 42の基部 64とアーム 94を、図 9におい て実線で示す。その後、連結棒 90を手で持って、ピン 96の位置を中心にアーム 94 を揺動させ、可動部材 84や回収袋 42の基部 64を排水管 38の先端側に倒す。排水 管 38側に倒した状態の可動部材 84や基部 64やアーム 94を、図 9において一点鎖 線で示す。可動部材 84と共に回収袋 42を排水管 38の先端側に傾斜させることによ つて、排水管 38の先端が回収袋 42の袋部 68 (—番内側の袋部 68a)の内部に位置 させることがでさる。

[0038] このように、図 8並びに図 9に示す支持手段 80では、可動部材 84やアーム 94を傾 斜させることで、排水管 38の先端を回収袋 42の袋部 68の内部に挿入することができ るので、図 2の場合の支持手段 40全体を前後に移動させる作業をに比べて、排水管 38の先端を回収袋 42の袋部 68内に位置させる作業が容易になる。なお、回収袋 4 2を支持手段 80から取り外す場合には、図 9の一点鎖線の状態から可動部材 84や アーム 94を支持台 46に近い位置（図 9の実線位置）に移動させる。これによつて、排 水管 38の先端が回収袋 42から外れる。その後、回収袋 42を上方に引き上げれば、 回収袋 42は排水管 38に妨げられることなぐ支持手段 80から取り外すことができる。 このように、回収袋 42を着脱する可動部材 84を脚 58に対して揺動自在に取付ける ようにすることで、回収袋 42を着脱する際に支持手段 80全体を移動させる必要がな くなり、回収袋 42の着脱作業が非常に容易になる。

Claims

請求の範囲

[1] 飲食店から出る排水を排水通路力 導入するグリーストラップに用いるものであって

、前記排水通路力 の排水を内部に導入するためのものであって油の付着が可能な 素材の複数層から成る袋部を有する回収袋と、前記複数層の各袋部に設けた多数 の水通過用穴と、前記グリーストラップに溜まる水面より上位で前記袋部を支持する ための支持手段とから成ることを特徴とするゴミと油の除去装置。

[2] 前記回収袋を剛性のある素材力 成る基部と前記複数層から成る袋部とから構成 し、前記基部に前記複数層の袋部の内部と連絡する排水導入用穴を形成し、前記 排水通路における前記グリーストラップ側への出口を管とし、その管を前記排水導入 用穴に挿入させたことを特徴とする請求項 1記載のゴミと油の除去装置。

[3] 前記支持手段に前記回収袋の前記基部と係合する係合手段を備えたことを特徴と する請求項 2記載のゴミと油の除去装置。

[4] 前記支持手段が、脚部と、前記回収袋を支持する支持台と、前記回収袋の前記基 部と係合する係合手段を備えるものであって前記脚部に対して変位可能な可動部材 とを有し、前記可動部材の一方の移動端において回収袋が前記管と離れた状態に あり、前記可動部材の他方の移動端において前記回収袋の袋部の内部に前記管の 先端を位置させることを特徴とする請求項 3記載のゴミと油の除去装置。

[5] 前記基部に把手用穴を形成したことを特徴とする請求項 2記載のゴミと油の除去装 置。

[6] 前記複数層の袋部を網で形成したことを特徴とする請求項 1記載のゴミと油の除去 装置。

[7] 前記網の素材を合成樹脂または合成繊維としたことを特徴とする請求項 6記載のゴ ミと油の除去装置。

[8] 前記複数層から成る袋部の素材を不織布としたことを特徴とする請求項 1記載のゴ ミと油の除去装置。

[9] 前記水通過用穴の大きさを 1一 5ミリとしたことを特徴とする請求項 1記載のゴミと油 の除去装置。

[10] 飲食店から出る排水に含まれるゴミと油を回収するものであって、排水導入用穴を 形成した剛性のある基部と、その基部の前記穴の周囲を開口部で覆った状態で固定 される複数層の袋部とから成り、複数層の各袋部を油の付着が可能な素材で構成し 、複数層の各袋部に多数の水通過用穴を形成したことを特徴とするゴミと油の回収 袋。

[11] 前記基部に把手用穴を形成したことを特徴とする請求項 10記載のゴミと油の回収 袋。

[12] 前記複数層の袋部を網で形成したことを特徴とする請求項 10記載のゴミと油の回 収袋。

[13] 前記網の素材を合成樹脂または合成繊維としたことを特徴とする請求項 12記載の ゴミと油の回収袋。

[14] 前記複数層の袋部の素材を不織布としたことを特徴とする請求項 10記載のゴミと 油の回収袋。

[15] 前記水通過用穴の大きさを 1一 5ミリとしたことを特徴とする請求項 10記載のゴミと 油の回収袋。