明 細 書 抗菌活性を有する新規な第四級アンモ-ゥム塩化合物およびそ の製造方法 技術分野
本発明は抗菌活性を有する新規なビス第四級アンモニゥム塩化 合物およびその製造方法に関する。 背景技術 ·
細菌や真菌などに抗菌活性を発揮するビス第四級アンモニゥム 塩化合物は古くから知られており、 現在も抗菌剤として広く実用化さ れている。 しかしながら、 現在用いられている抗菌性のビス第四級ァ ンモ-ゥム塩化合物は、 通常、 抗菌活性は優れているが、 同時に生分 解生成物の残留毒性も髙いため、 実際の使用に関しては、 環境に対す る安全性と水に対する溶解性および安定性に問題があり、 その適用範 囲には制限があった。 また、 従来のビス第四級アンモニゥム塩化合物 は、 抗菌力が糖質、 蛋白質および脂質などに拮抗され、 抗菌力が p H の低い (酸性) 領域では低下し、 かつ細胞芽胞に効果がないなどの欠 点があった。
そこで、 下記一般式 (A ) および (B ) で表されるビス第四級アン モニゥム塩化合物 (特開平 8 - 3 0 1 7 0 3号公報参照) や、 一般式 (A) 2X一
(上記式中、 Yはピリ ジン環、 キノ リン環、 イ ソキノ リン環またはチ ァゾリ ン環を、 R 1は炭素数 2〜 1 0のアルキレン基あるいはァルケ 二レン基を、 R2は Υの窒素原子に結合した炭素数 6〜 1 8のアルキ ル基を示し、 いずれも置換基を含んでもよい。 Xはァニオンを示す。 ) 下記一般式 (C) で表されるビス第四級アンモニゥム塩化合物 (特開 平 1 0— 0 9 5 7 7 3号公報参照) 、
一般式 (C)
0 0
R4— Ζ— C— — R3— Ν— C— Ζ— R4 2X~
Ri R2
(上記式中、 Zはピリ ジン環を示し、 R iおよび R 2は同一または異な り、 各々水素原子または炭素数 1〜 6のアルキル基を示し、 R 3は炭 素数 3〜 1 8のァルケ二レン基を示し、 R 4は Zの環窒素原子に結合 した炭素数 6〜 1 8のアルキル基またはアルケニル基を示し、 Xはァ ユオンを示す。 )
下記一般式 (D) で表されるビス第四級アンモニゥム塩化合物 (特開 平 6— 3 2 1 9 0 2号公報参照) が報告されている。
(上記式中、 Zはピリ ジン環またはキノ リ ン環を、 R 3は炭素数 2〜 1 8のアルキレン基あるいはアルケニレン基を、 R4は Zの窒素原子 に結合した炭素数 6〜 1 8のアルキル基を示し、 いずれも置換基を含
んでもよい。 R tおよぴ1 2は同一または異なって、 Zの窒素原子以外 の原子に結合した炭素数 1 〜 3のアルキル基、 水酸基、 アミノ基、 炭 素数 1 〜 3のアルコキシ基あるいは水素原子を、 Xはァニオンをそれ ぞれ示す。 )
上記の従来公知のビス第四級アンモニゥム塩化合物より も抗菌活 性に極めて優れ、 かつ生分解後の化合物は、 残留毒性が少なく、 地球 環境に優しいビス第四級アンモニゥム塩化合物の開発が強く望まれ ている。 従って、 本発明の目的は、 蛋白質などの阻害を受け難く、 広 範囲の P H領域で強力な殺菌力を有し、 広い抗菌スぺク トルを示し、 安全性が高く、 かつ使用後に分解して発生する化合物の残留毒性が極 めて低い、 優れた抗菌活性を有し、 極めて安全性の高い、 新規なビス 第四級アンモ-ゥム塩化合物およびその製造方法を提供することに ある。 発明の開示
上記目的は以下の本発明によって達成される。 すなわち、 本発明 は、 下記一般式 ( 1 )
(上記式中、 P yはピリジン環あるいは縮合ピリジン環を、 R ^ P yの窒素原子に結合した炭素数 6〜 1 8のアルキル基を示し、 いずれ も置換基を含んでもよい。 Zは 0または 1を、 mは 1 、 2または 3を、 nは 0、 1または 2を示し、 X 2はァニオンを示す。 ) で表される抗 菌活性を有する新規な第四級アンモニゥム塩化合物を提供する。
また、 本発明は、 下記一般式 (2 ) で表される 4一置換ピリジン系 化合物のアルコラートと、 下記一般式 ( 3 ) で表されるジハロゲノア
ルキレンを反応させ、 ついで一般式 R iXs は炭素数 6 1 8の アルキル基を示し、 置換基を含んでもよい。 X2はァニオンを示す。 ) で表される化合物を反応させることを特徴とする下記一般式 ( 1 ) で 表される抗菌活性を有する新規な第四級アンモニゥム塩化合物の製 造方法を提供する。
-般式 (2)
Py-(CH2)nOM
(上記式中、 P yはピリジン環あるいは縮合ピリジン環を示し、 nは 0 1または 2を、 Mはアルカリ金属原子を示す。 )
一般式 (3)
X1 (CH。)m (0)2(CH2)m Xx (上記式中、 X はハロゲン原子を示し、 mは 1 2または 3を、 Ζ は 0または 1を示す。 )
Py-(CH2)nOM + Xx (CH2)m(0)z(CH2)m X1 ~~ >
pY 0、 (0)ζ 0 ,Py
(A)
CHJi XCHJ 2 m (CHJ (CH2)/
(A) + 2RXX2 ""- >
-般式 (1)
Ri— Py+ 0 (Q)7 0 .Py— Ri 2Xつ
、(CH2)iT ヽ (CH2V (CH 2 ra (CH2)/
(上記式中、 P y Rい Z m nおよび X 2は前記と同じ意味であ る。 )
また、 本発明は、 上記本発明の前記一般式 ( 1 ) で表される新規な
第四級アンモ-ゥム塩化合物を有効成分と して含有することを特徴 とする抗菌剤を提供する。 発明を実施するための最良の形態
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をより詳細に説明する。 上記一般式 ( 1 ) の化合物において、 のアルキル基は、 炭素数 が 6〜 1 8の範囲のものが用いられるが、 抗菌力の観点から、 炭素数 8〜 1 4の範囲のアルキル基であることがより好ましい。 なお、 X 2 で示されるァ-オンについては、 特に限定されず、 C 1 —、 B r―、 I -、 N03—、 CH3C OO—、 および S 04 2—などを含む。 なお、 ァニ オンについては、 製造工程中、 原料として使用する R iXsの X2を適 当に選択するか、 あるいは最終化合物を公知の方法でァニオン交換す ることによって所望のァニオンを選択できる。
次に本発明のビス第四級アンモニゥム塩化合物の製造方法の一例 を反応式で示すが、 本発明はこれらの反応式に限定されるものではな レ、0
例えば、 下記式 ( 2 ) で示される 4ーヒ ドロキシピリジンにアル力 リ金属を反 させて得られるアルコラート化合物と、 下記式 ( 3 ) で 示されるジハロゲノエタンを反応させて下記式 (4 ) で示される本発 明のビス第四級アンモニゥム塩化合物の中間体を得る。 さらに、 例え ば、 下記式 (4 ) で示される中間体に下記式 ( 5 ) で示される炭素数 6〜 1 8のアルキルハラィ ドを反応させると、 下記式 ( 1 ) で示され る本発明の 1例のビス第四級アンモニゥム塩化合物が得られる。
N
iF~V-OH + Na (K、 その他) > (K、 その他)
H
2CH
2— X:
(4)
以上の例示は、 前記一般式 ( 1 ) において、 m= l、 n = 0、 Z = 0の場合の例であり、 m、 nおよび Zが他の数値の本発明の化合物も 上記と同様な製造方法で得ることができる。
上記反応は通常有機溶媒中、 例えば、 メタノール、 エタノール、 ィ ソプロパノーノレなどのアルコール類や、 N, N ' —ジメチノレホルムァ ミ ド、 N—メチルホノレムアミ ド、 ニ トロメタン、 ニ トロェタン、 ァセ トニ ト リノレ、メチルセ口ソルブ、ェチルセ口ソルブ、ク口口ベンゼン、 塩化エチレンなどの中で、 約 5 0〜 1 2 0 °Cの温度で行う ことができ る。 反応時間は通常 2〜4 8時間程度とすることができる。
あるいは上記反応は、 上記の如き溶媒の存在下に、 ォー トク レーブ 中で加圧下、 好ましくは約 1 0〜 1 0 0 MP a (メガパスカル) にお いて約 5 0〜 1 0 0 °Cの温度で行うこともできる。
本発明において使用される前記一般式 ( 2 ) で表されるアルコラ一 トと前記一般式 ( 3 ) で示される化合物との反応割合は厳密に制限さ れるものではない。上記反応により生成する一般式( 1 )の化合物は、
通常の分離精製手段、 例えば、 再結晶操作などにより容易に精製する ことができる。
以上に述べた方法によって製造される前記一般式 ( 1 ) で示される 化合物におけるァニオン (χ 2 ) は必要に応じて一般的な処理方法に よって所望の他のァニオンと交換することができる。 ァニオン (X 2 ) は、 特に限定されるものでなく、 ヨウ素、 臭素、 フッ素、 塩素、 ヨウ 素酸、 臭素酸、 塩素酸、 過ヨウ素酸、 硫酸、 塩酸、 硝酸、 リン酸など の無機酸などのァ-オン、 有機酸、 ヒ ドロキシ酸類、 ォキソ酸類、 安 息香酸類、 有機スルフォン酸類などのァ-オンを挙げることもできる。 前記一般式 ( 1 ) で表される本発明の新規なビス第四級アンモニゥ ム塩化合物は、 後記の試験例に示すように、 種々の細菌や真菌に対し て広い抗菌スぺク トルを有しており、 しかも、 従来の市販の第四級ァ ンモニゥム塩などに比べて、 1 1 0〜 1 Z 1 0 0の最少殺菌濃度と いう優れた抗菌活性を示す。 特に、 現在一般に広く使用されている塩 化ベンザルコニゥムと比較して約 3 0倍という高い抗菌活性を有し ており、 しかも急性経口毒性値が極めて低く、 強力かつ安全な抗菌剤 として極めて有用である。
しかも前記一般式 ( 1 ) で表される本発明の化合物は、 最少殺菌濃 度が塩化ベンザルコニゥムの 1, 0 0 0分の 1以下に低下するため、 本発明の化合物の分解生成物も極めて少量となるため、環境に対して 優しい抗菌剤ということができる。
前記一般式 ( 1 ) で表される本発明の化合物は、 特に腐敗菌および 変敗菌に対する抗菌力が強く、 従って、 例えば、 スライムコントロー ル剤ゃ防菌防臭加工繊維製品、皮革製品、建材、木材、塗料、接着剤、 プラスチック、 フィルム、 紙、 パルプ、 金属加工油、 食品、 医薬品、 化粧品、 文房具、 畜産分野などにおける抗菌剤として幅広くその応用 が期待できる。
本発明の抗菌剤は、 前記一般式 ( 1 ) で表される化合物を有効成分
とする。 通常は、 水溶液の状態で使用され、 その一般的濃度は 0. 0 1〜 2 0質量%であるが、 アルコールなど有機溶剤の溶液でもよいし. 固体、 顆粒、 その他の形状でもよい。 また、 他の公知の抗菌剤と併用 してもよい。 該抗菌剤の使用方法は、 従来公知の抗菌剤の使用方法と 同様であり、 特に限定されない。 実施例
次に実施例および試験例により本発明をさらに具体的に説明す る。
実施例 1く 4 , 4, - ( 1, 2一ジォキシエチレン) ージピリ ジンの 合成 >
コンデンサー、攪拌機および窒素導入管付き 1 リ ッ トル四つロフラ スコに無水ジメ チルホルムアルデヒ ド 3 0 0 m l と 4ーヒ ドロキシ ピリ ジンの白色結晶 9 5. 0 g ( 1. 0 0モル) を加え、 溶解後金属 ナトリ ウム 24. 1 5 g ( 1. 0 5モル) を加え、 4 0 °Cで、 窒素ガ ス雰囲気および撹拌下、 1 0時間反応を行い、 白色スラ リー状アルコ ラートを得た。 次いで、 該白色スラリー状アルコラートに 1 , 2—ジ クロロェタン 4 9. 4 8 g ( 0. 5 0モル) 溶液を 1時間かけて滴下 した後、 同条件下でさらに 1 0時間反応を継続した。 反応終了後、 過 剰の 1, 2—ジクロロェタンをエーテル洗浄で除去、 次いで水洗浄し て副生した食塩を除去した。 続いてシリ力ゲル (W a k o g e 1、 C - 20 0 ) カラムを用いてメタノールで展開し、 目的物を分離、 濃縮 後、 1. 3 2 K P a、 2 5 °Cで 24時間真空乾燥し、 白色粉末物質 9 9. 3 6 gを得た。
該白色粉末物質は本発明の化合物の中間体である 4 , 4 ' - ( 1 , 2—ジォキシエチレン) ージピリジン (以下、 4 D O B P— 2と略す) と考えられ、 1 H— NMRの測定結果からピリジン環のプロ トンが 7 8 9〜 7. 8 1 p p m ( d ) と 6. 4 9〜 6. 4 5 p p m ( d ) に、
酸素に結合するメチレンプロ トンは 4. 0 5〜 4. 0 0 p p m ( t ) に現れ、 それぞれの積分値も一致した。 上記 4 D O B P— 2の元素分 析結果は次の通りであった。 測定値 (理論値) C : 6 6. 7 3 % ( 6 6. 6 7 % ) 、 H : 5. 6 8 % ( 5. 5 6 %) , N : 1 3. 0 1 % ( 1 2. 9 6 %) で、 いずれも 0. 2 %以内の誤差範囲であった。 なお、 4 D〇 B P— 2の収率は 4—ヒ ドロキシピリ ジンに対し 9 1. 3 6 % であつた。
実施例 2 < 4 D O B P— 2の四級化 >
実施例 1で得られた 4 DO B P— 2の 9 9. 3 6 g ( 0. 4 6モル) を無水エタノール 3 0 0 m l に溶解後、 コンデンサ一、 攪拌機および 窒素導入管付き四つ口フラスコに入れ、 窒素ガス雰囲気および撹拌、 還流下、 ォクチルブロマイ ド 2 3 1. 6 0 g ( 1. 2 0モル) を 1 . 5時間かけて滴下した。 滴下終了後、 同条件で 7 0時間を継続した。 反応終了後、 反応混合物を酢酸ェチル Zエタノール ( 1 : 1 ) の混合 溶液で再結晶を 3回繰り返した。 次いで 1. 3 2 K P a、 2 5°Cで 2 4時間真空乾燥し、 淡黄色粉末状物質 2 4 1. 3 0 gを得た。
該淡黄色粉末状物質は 4 , 4 ' - ( 1, 2—ジォキシエチレン) ビ ス ( 1ーォクチル一ピリジゥムブロマイ ド) (以下、 4 D O B P _ 2 , 8 (B r ) と略す) と考えられ、 1 H— NMRの測定結果からピリジ ン環のプロ トンが 8. 0 0〜 7. 9 7 p p m ( q ) と 6. 5 3〜 6. 5 1 p p m ( q ) に、 酸素に結合するメチレンプロ トンは 3. 5 1〜 3. 4 7 p p m ( t ) に、 窒素に直結するメチレンプロ トンは 4. 4 3〜4. 3 5 p p m ( t ) に、 窒素に結合するアルキル基の末端プロ トンは 0. 9 2〜 0. 8 9 p p m ( t ) に、 その他の窒素直結アルキ レンプロ トンは 1. 4 0〜 1. 3 1 p p m (m) に現れ、 それぞれの 積分値も一致した。 4 D O B P— 2, 8 (B r ) の元素分析結果は次 の通りであった。測定値(理論値) C : 5 5. 9 0 % ( 5 5. 8 1 °/
0) 、 H : 7. 7 7 % ( 7. 6 4 %) 、 N : 4. 6 0 % ( 4. 6 5 %) で、
いずれも 0. 2 %以内の誤差範囲であった。 なお、 4 D O B P— 2 , 8 (B r ) の m pは 1 2 3. 0〜 1 2 4. 2 °C、 収率は 4ーヒ ドロキ シピリジンに対し 8 0. 1 7 %であった。 以上の分析結果から 4 D O B P— 2, 8 (B r ) の構造は下記の通りであることが確認された。
実施例 3 < 4 , 4, 一 ( 1 , 4ージォキシブチレン) —ジピリジンの 合成 >
実施例 1において、 1, 2—ジクロロェタン 4 9. 4 8 g ( 0. 5 0モル) の代わりに 1 , 4—ジプロモブタン 1 0 7. 9 6 g ( 0. 5 0モル) を使用した他は実施例 1 と同様に処理して白色粉末物質 1 0 9. 9 8 gを得た。
該白色粉末物質は 4, 4 ' 一 ( 1 , 4ージォキシブチレン) 一ジピ リ ジン (以下、 4 DO B P— 4と略す) と考えられ、 1 H— NMRの 測定結果からピリジン環のプロ トンが 7. 7 8〜 7. 7 1 p p m ( d ) と 6. 5 3〜 6. 2 6 p p m ( d) に、 酸素に結合するメチレンプロ トンは 4. 2 1〜 4. 0 0 ρ p m ( t ) と 1. 8 5〜 : 1. 7 8 p p m (m) に現れ、 それぞれの積分値も一致した。 上記 4 D O B P— 4の 元素分析結果は次の通りであった。測定値(理論値) C: 6 8. 8 0 % ( 6 8. 8 9 % ) 、 H : 6. 6 8 % ( 6. 5 6 %) , N : 1 1. 8 0 % ( 1 1. 8 4 %) で、 いずれも 0. 2 %以内の誤差範囲であった。 な お、 4 D O B P— 4の収率は 4—ヒ ドロキシピリジンに対して 9 0. 1 5 %であつた。
実施例 4 < 4 D O B P— 4の四級化 >
実施例 1において、 4 D O B P— 2の 9 9. 3 6 g ( 0. 4 6モル) の代わりに 4 DO B P— 4の 1 0 9. 9 8 g ( 0. 4 5モル) を用い た他は実施例 1 と同様に処理して淡黄色粉末状物質が得られた。
該淡黄色粉末状物質は 4 , 4 ' 一 ( 1 , 4—ジォキシブチレン) ビ ス( 1 —ォクチル一ピリ ジゥムブロマイ ド) (以下、 4 DO B P— 4 , 8 (B r ) と略す) と考えられ、 1 H— NMRの測定結果からピリ ジ ン環のプロ トンが 8. 0 0〜 7. 9 7 p p m ( q ) と 6. 5 3〜 6 · 5 1 p p m ( q ) に、 酸素に結合するメチレンプロ トンは 3. 8 8〜 3. 5 7 p p m ( t ) と 2. 0 5〜: 1. 9 8 p p m (m) に、 窒素に 直結するメチレンプロ トンは 5. 5 8〜 5. 3 5 p p m ( t ) に、 ァ ルキル基の末端プロ トンは 1. 0 0〜0. 9 7 p p m ( t ) に、 その 他の窒素直結アルキレンプロ トンは 1. 4 1〜 1. 2 0 p p m (m) に現れ、 それぞれの積分値も一致した。 上記 4 D O B P— 4 , 8 ( B r ) の元素分析結果は次の通りであった。 測定値 (理論値) C : 5 7. 2 0 % ( 5 7. 1 4 % ) 、 H : 8. 0 1 % ( 7. 9 4 % ) 、 N : 4. 5 0 % ( 4. 4 4 %) で、 いずれも 0. 2 %以内の誤差範囲であった。 なお、 4 D O B P— 4, 8 (B r )の m pは 1 2 4. 0〜 1 2 5. 5°C、 収率は 4—ヒ ドロキシピリ ジンに対して 7 9. 0 5 %であった。 以上 の分析結果から 4 D O B P— 4 , 8 (B r ) の構造は下記の通りであ ることが確認された。
実施例 5く 4—ヒ ドロキシェチルピリジンの合成 >
コンデンサー、 攪拌機および窒素導入管付き 1 リ ツ トル四つ口フラ スコに 4—メチルピリジン 1 5 0 g ( 1. 6 1モル) を入れ、 2 0 % ホルマリ ン溶液 1 8 0 g ( 1. 2 0モル) を窒素ガス雰囲気および撹 拌下、 1 3 0°Cで 1時間かけて滴下した。 滴下終了後、 同条件で 4時 間反応を継続した。 反応終了後、 未反応の 4—メチルピリ ジンおよび ホルマリ ンを水蒸気蒸留で留去した。 次いで該反応混合物を減圧蒸留 し、 1. 9 7 K P a、 1 2 5〜 1 2 6 °Cで無色透明の粘稠液体の 4一
ヒ ドロキシェチノレピリ ジン 1 2 4. 8 9 gを得た。 4ーヒ ドロキシェ チルピリ ジンの収率はホルマリ ンに対し 9 5. 0 0 %であった。
実施例 6 < 4 , 4 ' - ( 3 , 6—ジォキシォクタメチレン) ージピリ ジンの合成 >
実施例 1において、 4ーヒ ドロキシピリ ジン 9 5. 0 0 g ( 1. 0 0モル)に代えて、 4—ヒ ドロキシェチルピリ ジン 1 2 4. 8 9 g ( 1. 0 2モル) を用いた他は実施例 1 と同様に処理して白色粉末物質 1 3 4. 0 0 gを得た。
該白色粉末物質は本発明の目的化合物の中間体である 4, 4 '一( 3, 6—ジォキシォクタメチレン) 一ジピリジン (以下、 4 DO B P— A 2— 2と略す) と考えられ、 1 H— NMRの測定結果からピリジン環 のプロ トンが 8. 4 2〜 8. 4 0 p p m ( q ) と 7. 3 3〜 7. 3 2 p p m ( q ) に、 ピリジン環と酸素間のメチレンプロ トンは 3. 8 4 〜 3. 8 1 p p m ( t ) に、 酸素間のメチレンプロ トンは 4. 1 5〜 4. 1 0 p p m ( t ) に現れ、 それぞれの積分値も一致した。 4 D O B P - A 2 - 2の元素分析結果は次の通りであった。測定値(理論値) は C : 7 0. 4 3 % ( 7 0. 5 9 % ) 、 H: 7. 4 8 % ( 7. 3 5 %) 、 N : 1 0. 1 0 % ( 1 0. 2 9 %) でいずれも 0. 2 %以内の誤差範 囲であった。 なお、 4 DO B P— A 2— 2の収率はホルマリ ンに対し て 8 2. 1 1 %であった。
実施例 7 < 4 D O B P— A 2— 2の四級化 >
実施例 1において、 4 DO B P— 2の 9 9. 3 6 g (0. 4 6モル) の代わりに、 実施例 6で合成した 4 D O B P—A 2— 2の 1 3 4. 0 0 g ( 0. 4 9モル) を用いた他は実施例 1 と同様に処理して淡黄色 粉末状物質 2 8 8. 4 0 gを得た。
該淡黄色粉末状物質は本発明の目的物質である 4, 4 ' 一 ( 3 , 6 ージヒ ドロキシォクタメチレン) ビス ( 1ーォクチル一ピリ ジゥムブ ロマイ ド) (以下、 4 DO B P— A 2— 2 , 8 (B r ) と略す) と考
えられ、 1 H— NMRの測定結果からピリジン環のプロ トンが 7. 9 5〜 7. 9 0 p p m ( q ) と 6. 6 7〜 6. 5 0 p p m (q ) に、 酸 素に結合するメチレンプロ トンは 3. 9 8〜 3. 6 7 p p m ( t ) と 2. 1 5〜 2. 0 8 p p m (m) に、 窒素に直結するメチレンプロ ト ンは 5. 6 8〜 5. 4 5 111 ( 1: ) に、 アルキル基の末端プロ トン は、 1. 0 2〜 0. 9 6 p p m ( t ) に、 その他の窒素に直結するァ ルキレンプロ トンは、 1. 4 3〜 : 1. 3 0 p p m (m) に現れ、 それ ぞれの積分値も一致した。 4 DO B P— 2 A— 2, 8 (B r ) の元素 分析結果は次の通りであった。 測定値 (理論値) は C : 5 8. 3 0 % ( 5 8. 3 6 %) 、 H : 8. 1 1 % ( 8. 2 1 %) 、 N : 4. 2 0 % (4. 2 6 %) でいずれも 0. 2 %以内の誤差範囲であった。 なお、 4 DOB P -A 2 - 2 , 8 (B r )の mpは 1 2 6. 5〜 1 2 7. 0。C、 収率はホルマリ ンに対して 74. 6 0 %である。 以上の分析結果から 4 DOB P -A 2 - 2 , 8 (B r ) の構造は下記の通りであることが 確認された。
2Br
実施例 8 < 4 , 4 ' 一 ( 1 , 8—ジヒ ドロキシォクタメチレン) ビス ( 1—ォクチルーピリジゥムプロマイ ド) (以下 4 DOB P— 6 , 8 (B r ) と略す) の合成 >
' 4 DOB P— 6, 8 (B r ) の中間体である 4 , 4 ' ― ( 1, 8— ジヒ ドロキシォクタメチレン) ジピリジンの合成
実施例 1において、 1 , 2—ジクロロェタンの 4 9. 4 8 g ( 0. 5 0モル) の代わりに 1 , 6—ジブロモェタンの 1 2 1. 9 9 g ( 0. 5 0モル) を使用した他は実施例 1 と同様に処理して白色粉末物質 1 1 0. 5 0 gを得た。
該白色粉末物質は 4 D O B P— 6 , 8 (B r ) の中間体である 4,
4 ' 一 ( 1 , 8—ジヒ ドロキシォクタメチレン) ジピリ ジン (以下 4 D O B P— 6 と略す) と考えられ、 1 H— NMRの測定結果からピリ ジン環のプロ トンが 7. 8 1〜 7. 8 0 p p m ( d ) と 6. 4 5〜 6. 4 3 p p m ( d ) に、 酸素に結合するメチレンプロ トンは 3. 9 9〜 3. 9 6 p p m ( t ) に、 酸素原子間のその他のアルキレンプロ トン は 1. 8 0 p p m (m) と 1. 3 6 p p m (m) に現れ、 それぞれの 積分値も一致した。 4 D O B P _ 6の元素分析結果は次の通りであつ た。 測定値 (理論値) は C : 7 0. 4 8 % ( 7 0. 5 9 %) 、 H : 7. 2 8 % ( 7. 3 5 %) 、 N : 1 0. 3 0 % ( 1 0. 2 9 %) であり、 いずれも 0. 2 %以内の誤差範囲であった。 なお、 4 DO B P— 6の 収率は 4—ヒ ドロキシピリジンに対し 8 1. 2 5 %であった。
実施例 9 < 4 DO B P— 6の四級化 >
実施例 1 において、 400 ?ー 2の 9 9. 3 6 g ( 0. 4 6モル) の代わりに 4 D O B P— 6の 1 1 0. 5 0 g ( 0. 4 1モノレ) を用レヽ た他は実施例 1 と同様に処理して淡黄色粉末状物質 2 4 0. 2 1 gが 得られた。
該淡黄色粉末状物質は 4 D O B P _ 6 , 8 (B r ) と考えられ、 1 H— NMRの測定結果からピリジン環のプロ トンが 8. 8 0〜 8. 7 8 p p m (m) と 7. 5 3〜 7. 5 1 p p m (m) に、 酸素に結合す るメチレンプロ トンは 4. 5 1〜 4. 4 7 p p m ( t ) に、 その他の アルキレンプロ トンは 2. 0 0〜 1. 8 5 p p m (m) に、 窒素に直 結するメチレンプロ トンは 5. 5 8〜 5. 3 5 p p m ( t ) に、 アル キル基の末端プロ トンは 0. 9 2〜 0. 8 9 p p m ( t ) に、 その他 の窒素直結アルキレンプロ トンは 1. 5 2〜 1. 3 1 p p m (m) に 現れ、 それぞれの積分値も一致した。 4 DO B P— 6 , 8 (B r ) の 元素分析結果は次の通りであった。 測定値 (理論値) は C : 5 0. 8
6 % ( 5 1. 0 6 % ) 、 H : 6. 9 8 % ( 7. 1 8 % ) 、 N : 3. 6
7 % ( 3. 7 2 %) であり、 いずれも 0. 2 %以内の誤差範囲であつ
た。 なお、 4 D O B P— 6 , 8 (B r ) の m pは 1 2 3. 0〜: 1 2 4. 0 °C、 収率は 4ーヒ ドロキシピリジンに対し 7 3. 0 3 %であった。 以上の分析結果から 4 D O B P— 6 , 8 (B r ) の構造は下記の通り であることが確認された。
試験例 1 <本発明の化合物 ( 1 ) の各種細菌に対する静菌活性〉 本発明の化合物 ( 1 ) として実施例 2で得られた 4 D Ο Β Ρ— 2 , 8 (B r ) , 実施例 4で得られた 4 D O B P— 4 , 8 (B r ) および 実施例 7で得られた 4 DO B P - 2 A- 2 , 8 (B r ) を用いた。 対 照化合物には塩化ベンザルコユウムを用いて最小発育阻止濃度 (M I C) を測定した。
最小発育阻止濃度(M I C)の測定は一般的なブロス希釈法に従い、 ニュ トリエントブロスを用いて、 菌懸濁濃度が 1 06 c e 1 1 /m 1 になるように調整した定常期状態の菌液を段階希釈した薬剤溶液と 混合し、 3 7°C、 2 4時間静置培養後、 増殖の有無により M I C値を 決定した。
供試菌と してグラム陰性菌 1 0種およびグラム陽性菌 6種を用い た。 その結果を表 1に示す。
表 1:静菌スぺク トル
試験例 2 <本発明の化合物 ( 1 ) の各種細菌に対する殺菌活性 (MB C ) >
本発明の化合物の例として、 4 D O B P— 2 , 8 ( B r ) 、 4 D O B P — 4 , 8 ( B r ) および 4 D O B P — 2 A— 2 , 8 ( B r ) を用 いた。 対照化合物にはョゥ化ベンザルコニゥムを用いた。
供試菌と してグラム陰性菌 5種およびグラム陽性菌 4種を用い、 前 記と同様にして最小殺菌濃度 (M B C ) を測定した。 その結果を表 2 に示す。
表 2 :殺菌スぺク トル
a) MBCは希釈法で行った。 30 、 30分。
b) ベンザルコユウム: ヨウィ匕ベンザルコユウム 試験例 3 <真菌に対する最小発育阻止濃度 (M I C ) の測定 >
本発明の化合物 ( 1 ) の例として、 4 D O B P — 2, 8 ( B r ) 、 4 D O B P — 4 , 8 ( B r ) および 4 D O B P — 2 A— 2, 8 ( B r ) を用いた。 対照化合物には T B Z ( 2 — ( 4 ' —チアゾリ ル) ベンズ
ィミダゾール) を用いた。
最小発育阻止濃度 (M I C ) の測定は、 一般的なブロス希釈法に従 い、 サブロー培地を用い、 前培養した供試菌を湿潤剤添加殺菌水で胞 子液を調製した。 希釈薬剤溶液 1 m 1 と胞子液 1 m 1 を混合し、 ィン キュベーダ一中で 3 0 °C、 1週間培養後、増殖の有無を濁度で判定し、 濁度を生じていないところを M I Cとした。 その結果を表 3に示す。 表 3 :抗徽スぺク トル
a) MICはサブロー培地を用い、 ブロス淑法で測定した。 30で、 7日間。
b) TBZ: 2 - (4, 一チアゾリル) ベンズイミダゾール 産業上の利用可能性
本発明の抗菌活性を有する新規なビス第四級アンモニゥム塩化
合物は、 上記試験例からも明らかなように、 既知の第四級アンモ-ゥ ム塩化合物に比べて、 極めて優れた殺菌効果と広い抗菌スぺク トルを 示し、 かつ安全性も高い。