WO2004036095A1 - 往復動シール - Google Patents

Abstract

本発明は、例えばショックアブソーバに用いられる往復動シールに関するもので、メインシールリップ３２を、第１リップ３２ａと第２リップ３２ｂからなる２段リップ構造とし、第２リップ３２ｂの摺接面に、軸方向に伸びる複数の突起３４を設けることで、摩擦力特性の向上を図りつつ、密封性能の向上を図る。

Description

明細書 往復動シール 技術分野

この発明は、例えばショ ックァブソーバに用いられる往復動シ ールに関する。 背景技術

従来、 この種の自動車等に搭載されるショ ックァブソーバに、 往復動シールを用いたものが知られている。このよ うな従来技術 に係る往復動シールと しては、例えば図 3に示すものがある。 図 3は従来技術に係る往復動シールの模式的断面図である。

往復動シールは、軸方向に相対的に移動する不図示の軸とハゥ ジング （より詳し'くはハウジングに設けられた軸孔） 内周との間 の環状隙間に配設されて、 密封空間を形成する。

図示のように、 従来技術に係る往復動シール 1 0 0は、 概略、 金属環 2 0 0と、金属環 2 0 0に焼付けられるゴムシール 3 0 ひ と、 を備えている。 ゴムシール 3 0 0は、 ノヽウジング内周に嵌着 される外周シール部 3 0 1 と、軸の外周表面に摺接するメィンシ ールリ ップ 3 0 2と、同じく軸の外周表面に摺接するサブシール リ ップ 3 0 3 と、 を備えている。

このよ うに構成される往復動シールにおいては、摩擦力特性を 良くすることが要求される。 すなわち、往復動シールが軸表面を 摺接する際に発生する微振動を極力少なくすることが要求され る。 これは、 例えば、 自動車のショ ックァブソーバに用いられる 場合には、摩擦力特性が良いほど振動が少なく、 自動車の乗り心 地が良くなるからである。

そこで、 摩擦力特性を良くするために、 図 3に示すように、 メ インシールリ ップ 3 0 .2は、 1段目の第 1 リ ップ 3 0 2 a と 2段 目の第 2 リ ップ 3 0 2 bからなる 2段リ ップ構造となっている。 このよ うに、第 1 リ ップ 3 0 2 a と第 2 リ ップ 3 0 2 bを共に 軸表面に摺接させることで、メインシールリ ップ 3 0 2の姿勢の 安定化が図られている。 そして、 これにより、 摩擦力の均一化が 図られ、 摩擦力特性が向上される。

し力、し、 2段目の第 2 リ ップ 3 0 2 bを軸表面に摺接させるこ とによって摩擦力の均一化を図っても、第 2 リ ップ 3 0 2 bの摺 接によって、 摩擦力は増加してしまう。 従って、 メインシールリ ップ 3 0 2のスムーズな摺接が妨げられ、摩擦力特性は十分に向 上されない。

そこで、 2段目の第 2 リ ップの表面を粗く して、 第 2 リ ップ 3 0 2 bによる摩擦力を低下させる技術が開発されている（例えば、 特開 2 0 0 1 — 3 5 5 7 4 0号公報参照。）。

このよ うに、 第 2 リ ップの表面を粗くする構造と しては、 リ ツ プ表面に梨地加工を施したり、スパイラル状のネジ突起を施した り、 軸に垂直な平行突起を施したりする構造が挙げられる （前記 公報参照）。

しかし、梨地加工を施した構造の場合には、 リ ップ表面の凹凸 形状がランダムとなる。 そのため、 密封流体 （通常は油であるた め、 以下、 密封流体を油として説明する） の漏れ量が不均一とな り、 部分的に漏れ量が大きくなつてしまうおそれがある。 また、 摩擦力についても不均一となるおそれがある。 つまり、梨地加工を施す構造の場合には、漏れ量や摩擦力分布 の精密な管理が困難であるという問題がある。

また、スパイラル状のネジ突起や軸に垂直な平行突起を施した 構造の場合には、 リ ップ表面が軸表面に摺接すると、 これらの突 起が油を搔き出す。 従って、 油膜が厚くなりすぎて、 その結果、 油の漏れ量が多くなってしまう という問題がある。 発明の開示

上記の通り、 従来技術の場合には、摩擦力特性の向上を図りつ つ、 密封性能の向上を図ることが困難であった。

本発明の目的は、摩擦力特性の向上を図りつつ、密封性能の向 上を図った往復動シールを提供することにある。

上記目的を達成するために本発明にあっては、以下の構成を採 用した。

すなわち、軸方向に相対的に移動する軸とハウジングとの間の 環状隙間に設けられ、前記軸表面に摺接するシールリ ップを備え た往復動シールにおいて、

前記シールリ ップを 2段リ ップ構造とすると共に、 2段目のリ ップ表面に、軸方向に伸びる複数の突起を設けることを特徴とす るものである。

本発明の構成によれば、シールリ ップが 2段リ ップ構造である ため、 シールリ ップの姿勢が安定する。 これにより、 シールリ ッ プと軸との間で生ずる摩擦力の分布の均一化が図られる。そして、 2段目のリ ップ表面には、複数の突起が設けられているため、.摩 擦力の増加が抑制される。 また、 この複数の突起は、 軸方向に延 びる構成であることから、突起が密封流体を搔き出してしまう と いうことはない。 図面の簡単な説明

図 1は本発明の実施の形態に係る往復動シールの模式的断面 図である。

図 2は本発明の実施の形態に係る往復動シールに設けられる 突起部分をィメージ的に示した断面図である。

図 3は従来技術に係る往復動シールの模式的断面図である。 発明を実施するための最良の形態

以下に図面を参照して、この発明の最良の実施の形態を例示的 に詳しく説明する。 ただし、 この実施の形態に記載されている構 成部品の寸法、 材質、 形状、 その相対配置などは、 特に特定的な 記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨 のものではない。

図 1を参照して、本発明の実施の形態に係る往復動シールにつ いて説明する。図 1は本発明の実施の形態に係る往復動シールの 模式的断面図である。

本発明の実施の形態に係る往復動シール 1は、自動車等に搭載 されるショ ックァブソーバなどに好適に用いることができる。ま た、 本発明の実施の形態に係る往復動シール 1は、軸方向に相対 的に移動する不図示の軸とハウジング（より詳しくはハウジング に設けられた軸孔） 内周との間の環状隙間に配設されて、密封空 間を形成する。 そして、 ショ ックァブソーバと して、 往復動シー ル 1を用いる場合には、往復動シール 1により形成された密封空 間の中に密封流体である油を密封させておく。 これにより、 軸と ハゥジングが相対的に往復動を行う際に、往復動シール 1は緩衝 機能を発揮する。

本実施の形態に係る往復動シール 1は、 図 1に示すように、概 略、 金属環 2 と、 金属環 2に焼付けられるゴムシール 3 と、 を備 えている。 ゴムシール 3は、 不図示のハウジング内周 （ハウジン グに設けられた軸孔の内周） に嵌着される外周シール部 3 1 と、 不図示の軸の外周表面に摺接するメインシールリ ップ 3 2と、同 じく軸の外周表面に摺接するサブシールリ ップ 3 3 と、を備えて いる。 また、 メインシールリ ップ 3 2の外周側にはリ ップを軸表 面に押し付けるためのスプリング 4が備えられている。

そして、メインシールリ ップ 3 2は 2段リ ップ構造となってい る。 すなわち、 メインシールリ ップ 3 2は、 密封流体側に位置す る 1段目の第 1 リ ップ 3 2 a と、反密封流体側に位置する 2段目 の第 2 リ ップ 3 2 b と、 を備えている。

このように 2段リ ツプ構造を採用し、第 1 リ ップ 3 2 a と第 2 リ ップ 3 2 bを共に軸表面に摺接させることで、メインシールリ ップ 3 2の姿勢の安定化が図られる。 これにより、摩擦力の分布 の均一化が図られ、 摩擦力特性が向上される。 すなわち、 メイ ン シールリ ップ 3 2 と軸表面との摺接時に発生する微振動が低減 される。

そして、本実施の形態においては、 第 2 リ ップ 3 2 b の摺接面 (本実施の形態では反密封流体側のリ ップ表面） に、 軸方向に伸 ぴる複数の突起 3 4が設けられている。 この突起 3 4は、 等間隔 に全周にわたって設けられている。

この突起の好適な例について説明する。図 2は本発明の実施の 形態に係る往復動シールに設けられる突起部分をイメージ的に 示した断面図である。

突起の断面形状は三角形状とすると好適である。 そして、 その 高さ hは 2〜 5 0 0 m、弾性的な接触を加味すると 5 ~ 1 0 0 /X mとすると好適である。 また、 突起の間隔 （頂点間の間隔） w は 0. 0 0 5〜 1. 0 mm、 弾性的な接触を加味すると 0. 0 1 〜 0. 2 mmとすると好適である。 また、 突起の頂角は 6 0〜 1 2 0° とすると好適である。

より具体的な一例と して、 突起高さ Hを 0. 0 3 mm, 突起の 間隔 wを 0. 1 5 m;m， 突起の頂角を 9 0° , 突起の長さを 1. 2 m mと したものが挙げられる。

このよ うに、本実施の形態においては、複数の突起 3 4が第 2 リ ップ 3 2 bの摺接面に設けられているため、摩擦力の増加が抑 制される。

そして、本実施の形態では、 突起 3 4によつて摩擦力の増加を 抑制する構成であることから、梨地加工を施す場合のように、 凹 凸形状がランダムになつてしまう ということはない。 すなわち、 突起 3 4の形状や寸法を精密に管理することができる。 従って、 油膜の厚みの均一化が図られ、 密封流体の漏れ量 （漏れ分布） の ばらつきや摩擦力の分布のばらつきが抑制される。

また、複数の突起 3 4は軸方向に伸びる構成である。すなわち、 突起 3 4の伸びる方向は、 軸とハウジングの相対的な移動方向、 及び軸表面に対するメィ ンシールリ ップ 3 2の移動 （摺接） 方向 に一致する。

従って、メインシールリ ップ 3 2が軸表面に対して摺接しなが ら往復移動する場合であっても、突起 3 4が密封流体（通常、油） を搔き出すということはない。 これにより、 密封流体の膜 （通常、 油膜） が厚くなりすぎてし まうことは防止される。 また、 これにより、 密封流体の漏れは抑 制される。

なお、 突起を設けずに構成した往復動シール （従来品） と、 本 実施の形態のように、突起を設ける構成と した往復動シールにつ いて、 速度比漏れ試験 （V ,t e n / V c o m p = 4 ( m / s ) / 1 ( m / s ) , 軸のス ト ローク ± .2 5 m m， カロ振回数 3 0 0回， 圧力 O M P a及び 0 . 5 M P aの 2通り） を行った。 すると、 両 者の間で、 漏れ量に殆ど差は生じなかった。

また、軸方向に対して 6 0 ° の傾きを持ったスパイラル形状の 複数のネジ突起を施した往復動シールについても上記試験を行 つた。 すると、 この往復動シールの場合には、 突起を設けない往 復動シールや本実施の形態に係る往復動シールに比べて約 2倍 程度の量の漏れがあった。

なお、速度比漏れ試験とは、 押し速度と引き速度が異なる速度 となるように、 軸の抜き差しを行って、漏れ量を測定する試験で ある。 つまり、 往復動シールの場合には、 軸が引き出される際に 軸表面上に薄い油膜が形成される。 この油膜の厚さは、 軸の移動 速度が速いほど厚くなる性質がある。従って、軸を速く抜き取り、 ゆつく り押し込むようにすると、 引き工程 （抜き工程） では油膜 が厚く、 押し工程では油膜が薄くなる。 そのため、 油が搔きださ れ易くなる。

このように、軸の抜き差しで速度差をつけて繰り返すことによ つて搔き出された油の漏れ量を測定するのが速度比漏れ試験で ある。上記の試験では引き工程の引き抜き速度を押し工程の押し 速度の 4倍の速度で行っている。 以上のように、 本実施の形態に係る往復動シールによれば、 メ インシールリ ップ 3 2の軸表面に対する摩擦力の分布の均一化 を図ることができ、 かつ、 摩擦力の増加の抑制を図ることができ る。 これにより、 摩擦力特性の向上、 すなわち、 メインシールリ ップ 3 2 と軸表面との搢接時に発生する微振動の低減を図るこ とができる。

また、密封流体の漏れを抑制することができ、密封性能を向上 させることができる。 産業上の利用可能性

以上説明したように、本発明の構成によれば、 摩擦力特性の向 上を図りつつ、 密封性能の向上を図ることができる。

Claims

請求の範囲

1 . 軸方向に相対的に移動する軸とハウジングとの間の環状隙 間に設けられ、前記軸表面に摺接するシールリ ップを備えた往復 動シーノレにおいて、

前記シールリ ップを 2段リ ップ構造とすると共に、 2段目のリ ップ表面に、軸方向に伸びる複数の突起を設けることを特徴とす る往復動シール。