JP2007009971A - ピストンリング - Google Patents
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Abstract
【課題】 リング本体が傾いてもシール効果あるいはオイルの掻き落とし効果を十分に確保することができるピストンリングを提供する。
【解決手段】 シリンダ壁2に接触可能な上下一対の環状摺動部13を有するピストンリング1Aのリング本体10に、複数の環状溝14をリング軸線方向に間隔を空けて設ける。各環状溝14には、シリンダ壁2に接触可能かつリング本体10に対して摺動可能な状態でサイドレール15を装着し、リング本体10に内周側から当接してリング本体10を半径方向外方に付勢する環状のエキスパンダ11を装着する。
【選択図】 図1
【解決手段】 シリンダ壁2に接触可能な上下一対の環状摺動部13を有するピストンリング1Aのリング本体10に、複数の環状溝14をリング軸線方向に間隔を空けて設ける。各環状溝14には、シリンダ壁2に接触可能かつリング本体10に対して摺動可能な状態でサイドレール15を装着し、リング本体10に内周側から当接してリング本体10を半径方向外方に付勢する環状のエキスパンダ11を装着する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、内燃機関等のピストンに装着されるピストンリングに係り、より詳しくはシリンダ壁のオイルの掻き落としを目的として設けられるピストンリングに関する。
内燃機関のピストンリングの一種として、シリンダ壁に接触可能な一対の環状摺動部の間に環状溝を形成し、その環状溝にシリンダ壁と接触可能なサイドレールを装着することにより、環状摺動部の片当たり発生時にそのサイドレールをシリンダ壁に対する環状摺動部として機能させるピストンリングが提案されている(特許文献1参照)。
また、リング本体の軸線方向両端に一対の環状の突出部を形成し、それらの突出部にサイドレールを装着することにより、サイドレールを一対の環状摺動部として機能させるピストンリングも知られている(特許文献2参照)。さらに、リング本体の上下一対のサイドレールの間にコンプレッションリングを嵌め合わせたピストンリング(特許文献3参照)、リング状のスペーサエキスパンダの上面に一枚のサイドレールが装着されたピストンリング(特許文献4参照)、リング本体の上下面にこのリング本体を挟むようにして一対のサイドレールが配置されたピストンリング(特許文献5及び6)もそれぞれ知られている。
特許文献1のピストンリングでは、リング本体がシリンダ壁に対して傾いた場合、単一のサイドレールのみがシリンダ壁と接触するために十分なシール効果あるいはオイル掻き落とし効果が得られず、オイルの消費量が増加するおそれがある。特許文献2のピストンリングでは二本のサイドレールのみがシリンダ壁に接触する構造であるため、リング本体の傾きに対してサイドレールに片当たりが発生し、シール効果が低下してオイル消費量が増加する。ピストンリングの重量の増加により、ピストンの運動質量が増加し、内燃機関の出力性能にも悪影響が及ぶおそれもある。特許文献3〜6のピストンリングについても、シリンダ壁に接する環状摺動部が3本以下であり、リング本体が傾いたときには単一の摺動部のみでシール効果を確保する構成であることから、上記と同様の問題がある。
そこで、本発明は、リング本体が傾いてもシール効果あるいはオイルの掻き落とし効果を十分に確保することができるピストンリングを提供することを目的とする。
本発明のピストンリングは、シリンダ壁に接触可能な上下一対の環状摺動部の間に複数の環状溝がリング軸線方向に間隔を空けて設けられたリング本体と、前記シリンダ壁に接触可能かつ前記リング本体に対して摺動可能な状態で前記環状溝にそれぞれに装着される複数のサイドレールと、前記リング本体に内周側から当接して該リング本体を半径方向外方に付勢する環状のエキスパンダと、を備えることにより、上述した課題を解決する(請求項1)。
本発明のピストンリングによれば、一対の環状摺動部の間に複数のサイドレールをリング本体に対して摺動可能な状態で装着しているため、リング本体が傾いたとしてもそれぞれのサイドレールがリング本体に対して摺動してシリンダ壁との接触を維持する。これにより、シール効果あるいはオイルの掻き落とし効果が十分に確保される。
本発明のピストンリングの一形態において、前記リング本体には、前記環状溝と前記リング本体の内周とを結ぶオイル戻し路が設けられてもよい(請求項2)。この形態によれば、シリンダ壁から掻き落とされて環状溝に流れ込むオイルを環状溝に溜めることなく、オイル戻し路からリング本体の内周へと逐次排出し、オイルドレン路からクランクケース内等へ戻すことができる。このため、シリンダ壁のオイルを掻き落とす際の油膜せん断力の増加を抑え、ピストンの往復運動に対する摩擦抵抗を低減することができる。また、サイドレールとリング本体の環状溝の溝底面あるいは溝側面との間にオイルが絶えず供給されるようになり、それらの間の摩擦抵抗が減少してサイドレールがよりスムーズに動くことができる。
本発明のピストンリングの一形態において、前記環状溝の溝底面が前記サイドレールの内周面と接触し、かつ前記溝底面には前記サイドレールを外周面側に傾ける方向の傾斜が付されてもよい(請求項3)。この形態によれば、サイドレールに作用する圧力を利用してサイドレールをリング本体の軸線と直交する方向に傾け、それによりサイドレールとシリンダ壁との間の接触面積を大きく確保してオイルの掻き落とし効果、あるいはシール効果を良好に保つことができる。この場合において、前記環状溝の溝側面には、前記サイドレールを外周面側に傾ける方向の傾斜が付されていてもよい(請求項4)。これによれば、ピストンリングに作用する圧力が小さい状態ではサイドレールを溝底面に倣って外周面側に確実に傾けておくことができる。これにより、圧力変化に伴うガイドレールの傾き、あるいは姿勢の変化についての再現性を高め、シール効果あるいはオイル掻き落とし効果の改善効果をより確実に発揮させることができる。
本発明のピストンリングの一形態において、前記リング本体の前記環状溝よりも内周側の領域には空洞部が設けられてもよい(請求項5)。この形態によれば、リング本体の剛性を環状溝の内側において低下させて溝底面をより弾性変形し易く構成することができる。これにより、溝底面によるサイドレールの拘束を弱め、サイドレールをシリンダ壁に倣うようにして環状溝内でより円滑に変位させ、それによりシリンダ壁に対するサイドレールの追従性を高めることができる。これにより、シール効果あるいはオイルの掻き落とし効果がさらに向上する。サイドレールの追従性が高まることによりサイドレールの摩耗も減り、ピストンリングの長寿命化も図ることができる。
本発明のピストンリングの一形態において、前記サイドレールと前記環状溝の溝底面との間には、高温時に低温時よりも前記サイドレールを外周側に強く押すように変化する感温部材が設けられてもよい(請求項6)。この形態によれば、高温時にサイドレールをシリンダ壁により強い力で押し付けてサイドレールとシリンダ壁との間に十分なシール効果、あるいはオイル掻き落とし効果を生じさせることができる。一方、低温時はサイドレールをシリンダ壁に押し付ける力を低下させ、それによりピストンの往復運動に対する摩擦抵抗を低下させてピストンの円滑な動作を保障することができる。
本発明のピストンリングの一形態において、前記リング本体の前記環状溝を仕切る壁部には、環状溝同士を結ぶ連通路が設けられてもよい(請求項7)。この形態によれば、環状溝間において連通路を介して圧力を伝えて環状溝の内部圧力を相互にほぼ一致させ、それにより複数のサイドレールの挙動をほぼ一致させることができる。これにより、複数のサイドレールを設けたことによる本発明の効果を確実に発揮させることができる。また、ピストンが上下方向に往復運動する場合には、上部の環状溝に関して連通路をオイル排出路の一部として作用させることができる。
以上に説明したように、本発明のピストンリングによれば、シリンダ壁に接触可能な上下一対の環状摺動部の間に複数の環状溝がリング軸線方向に間隔を空けて設けられたリング本体と、前記シリンダ壁に接触可能かつ前記リング本体に対して摺動可能な状態で前記環状溝にそれぞれに装着される複数のサイドレールと、前記リング本体に内周側から当接して該リング本体を半径方向外方に付勢する環状のエキスパンダとを備えたことにより、リング本体が傾いたときでも複数のサイドレールがシリンダ壁と接触を維持する。従って、シール効果あるいはオイルの掻き落とし効果を十分に確保することができる。
[第1の形態]
図1は本発明の第1の形態に係るピストンリングを示している。このピストンリング1Aは、内燃機関のシリンダ壁2に付着するオイルの掻き落としを目的としてピストン3の外周のリング溝4に装着されるものであり、オイルリングと呼ばれることもある。なお、図1において、上方が燃焼室(圧力室)側、下方がクランクケース側である。ピストン3にはリング溝4からピストン3の内部を介してクランクケース側にオイルを排出するためのオイルドレン路5が形成されている。ピストンリング1Aよりも上方にはコンプレッションリングが装着されるがその図示は省略した。
図1は本発明の第1の形態に係るピストンリングを示している。このピストンリング1Aは、内燃機関のシリンダ壁2に付着するオイルの掻き落としを目的としてピストン3の外周のリング溝4に装着されるものであり、オイルリングと呼ばれることもある。なお、図1において、上方が燃焼室(圧力室)側、下方がクランクケース側である。ピストン3にはリング溝4からピストン3の内部を介してクランクケース側にオイルを排出するためのオイルドレン路5が形成されている。ピストンリング1Aよりも上方にはコンプレッションリングが装着されるがその図示は省略した。
ピストンリング1Aは、リング本体10の内周10aにはコイルばね状のエキスパンダ11が装着され、エキスパンダ11によりリング本体10を半径方向に押し広げてシール効果を確保する組み合わせ型ピストンリングとして構成されている。リング本体10はその周上の一箇所に合い口と呼ばれる分断箇所を有するC字型のリングとして形成され、その内周にはエキスパンダ11が嵌め合わされる溝部12が全周に亘って形成されている。リング本体10のリング軸線方向の両端には、半径方向外周に突出してシリンダ壁2と接触可能な上下一対の環状摺動部13が形成されている。環状摺動部13の外周面13aはリング軸線方向に関して平坦な円筒面状でもよいし、シリンダ壁2に向かって膨らんだバレル形状でもよい。環状摺動部13の間には2本の環状溝14がリング軸線方向に間隔を空けて形成されている。それらの環状溝14にサイドレール15が装着されている。サイドレール15はリング本体10とは別部品として製造される。環状溝14同士の間には両環状溝14を仕切るように環状の壁部16が形成されている。壁部16がシリンダ壁2と接触しないように、壁部16の外径は環状摺動部13の外径よりも幾らか小さく設定されている。このようなリング本体10は例えばプレス成型により一体成形品として製造することができる。なお、リング本体10は自己張力をほとんど持っていない。
サイドレール15は合い口を有するC字型のリング形状に形成されている。サイドレール15はその内周面15aが環状溝14の溝底面14aと接触することによって半径方向に位置決めされている。その位置決めされた状態で、サイドレール15の外周面15bは環状摺動部13の外周面13aと半径方向に関して略同一の位置に揃えられる。サイドレール15の外周面15bも円筒面状又はバレル状等の適宜の形状に形成してよい。
サイドレール15のピストン軸線方向の厚さは、そのサイドレール15を挟み込むように対向する環状溝14の一対の溝側面14b、14cの間隔よりも幾らか小さく設定されている。これにより、溝側面14b、14cとサイドレール15との間には幾らかの隙間が設けられる。このような隙間が設けられることにより、サイドレール15は環状溝14内においてリング本体10に対して周方向に摺動可能であり、かつリング軸線方向に関してもリング本体10に対して摺動可能である。従って、サイドレール15はリング本体10に対して幾らか傾くように摺動することができる。なお、溝底面14aはリング本体10の軸線方向と平行であり、溝側面14b、14cは溝底面14aに対して直交する。サイドレール15は自己張力をほとんど持っていない。
以上の構成のピストンリング1Aによれば、上下一対の環状摺動部13がそれらの全周に亘ってシリンダ壁2と接触してシリンダ壁2のオイル掻き落としが行われる。ピストン3がシリンダ軸線に対して傾いたとしても、2本のサイドレール15のそれぞれと環状溝14の溝側面14b、14cとの間に隙間が設けられているので、それらのサイドレール15がリング本体10に対して傾いてサイドレール15とシリンダ壁2との接触が維持される。これにより、2本の環状摺動部13がシリンダ壁2と接触している場合と同等のオイルの掻き落とし効果あるいはシール効果が確保され、その結果、オイルの消費量が減少する。また、2本の環状摺動部13、及び2本のサイドレール15の合計4箇所にてラビリンス効果、つまりは燃焼室からクランクケースへ抜けようとするブローバイガスの漏れを迷路状の流路構成によって抑える効果が生じるので、シール効果が高くオイルの消費量は益々減少する。
さらに、リング本体10、より具体的には環状摺動部13の合い口隙間を実質的に0に設定することにより、ブローバイガスの排出量をより効果的に減少させることもできる。また、環状溝14の溝底面14aとサイドレール15の内周面15aとの間に僅かに隙間を設け、リング本体10が傾いたときのみ溝底面14aと内周面15aとが接触してサイドレール15が外周側に押し出されてシール効果の確保に必要な押し付け力でサイドレール15がシリンダ壁2に接触するように構成することもできる。この場合には、シリンダ壁2に対するサイドレール15の押し付け力の増加を抑え、ピストン3の上下方向の往復運動に対する摩擦抵抗を小さく抑えてピストン3を円滑に往復運動させることができる。
[第2の形態]
図2は本発明の第2の形態に係るピストンリングを示している。但し、図1との共通部分には同一の参照符号を付してある。図2のピストンリング1Bは、リング本体10に、環状溝14の溝底面14aとリング本体10の内周10aとを結ぶオイル戻し路17が設けられている。
図2は本発明の第2の形態に係るピストンリングを示している。但し、図1との共通部分には同一の参照符号を付してある。図2のピストンリング1Bは、リング本体10に、環状溝14の溝底面14aとリング本体10の内周10aとを結ぶオイル戻し路17が設けられている。
このようなピストンリング1Bによれば、シリンダ壁2から掻き落とされたオイルを環状溝14からオイル戻し路17を介してオイルドレン路5に速やかに排出することができる。このため、シリンダ壁2のオイルを掻き落とす際の油膜せん断力の増加を抑え、ピストン3の往復運動に対する摩擦抵抗を低減することができる。また、サイドレール15とリング本体10の環状溝14の溝底面14a、溝側面14b、14cとの間にリング本体10の背面よりオイルが絶えず供給されるようになり、それらの間の摩擦抵抗が減少する。これにより、リング本体10に対してサイドレール15がよりスムーズに動くことができる。
[第3の形態]
図3は本発明の第3の形態に係るピストンリングのリング本体の摺動面側を示している。但し、図1との共通部分には同一の参照符号を付してある。図3のピストンリング1Cでは、リング本体10の各環状溝14の溝底面14aに、サイドレール15を燃焼室側(外周面側)に傾ける方向の傾斜が付されている。すなわち、溝底面14aはその上端(燃焼室側の端部)が下端よりも中心側に後退するようにリング本体10の軸線方向に対して角度θで傾けられている。なお、図では上側の溝底面14aのみ角度θを示しているが、下側の溝底面14aについても同様の傾斜角が付されている。溝側面14b、14cはリング本体10の軸線と直交する方向に延びている。但し、それらの溝側面14b、14cとサイドレール15との間の隙間量は、サイドレール15が溝底面14aの傾きに倣って燃焼室側に傾いた状態から、リング本体10の軸線に対して直交する状態へと変位し得るように設定されている。なお、図3ではピストン3及びリング本体10の内周側の構成の図示を省略したが、それらは図1又は図2と同様でよい。
図3は本発明の第3の形態に係るピストンリングのリング本体の摺動面側を示している。但し、図1との共通部分には同一の参照符号を付してある。図3のピストンリング1Cでは、リング本体10の各環状溝14の溝底面14aに、サイドレール15を燃焼室側(外周面側)に傾ける方向の傾斜が付されている。すなわち、溝底面14aはその上端(燃焼室側の端部)が下端よりも中心側に後退するようにリング本体10の軸線方向に対して角度θで傾けられている。なお、図では上側の溝底面14aのみ角度θを示しているが、下側の溝底面14aについても同様の傾斜角が付されている。溝側面14b、14cはリング本体10の軸線と直交する方向に延びている。但し、それらの溝側面14b、14cとサイドレール15との間の隙間量は、サイドレール15が溝底面14aの傾きに倣って燃焼室側に傾いた状態から、リング本体10の軸線に対して直交する状態へと変位し得るように設定されている。なお、図3ではピストン3及びリング本体10の内周側の構成の図示を省略したが、それらは図1又は図2と同様でよい。
このようなピストンリング1Cによれば、燃焼室側からサイドレール15にガス圧が作用することにより、サイドレール15の外周側が下方に押されてサイドレール15がリング本体10の軸線と直交する方向にその傾き又は姿勢を変化させる。これにより、ガス圧が作用する状態において、サイドレール15の外周面15bとシリンダ壁2との間の接触面積を大きく確保することができ、オイルの掻き落とし効果、あるいはシール効果が良好に保たれる。
[第4の形態]
図4は本発明の第4の形態に係るピストンリングのリング本体の摺動面側を示している。この形態のピストンリング1Dは、上述した第3の形態のピストンリング1Cに対して、各環状溝14の溝底面14aのみならず、溝側面14b、14cにもサイドレール15を燃焼室側に傾ける方向の傾斜が付された点が異なる。具体的には溝側面14b、14cはその外周側が内周側よりも燃焼室側に偏るように、リング本体10の軸線方向と直交する方向に対して角度θで傾けられている。なお、角度θは全ての溝底面14a、溝側面14b、14cにおいて同様に付されている。溝側面14b、14cとサイドレール15との間の隙間量は、サイドレール15が溝底面14aの傾きに倣って燃焼室側に傾いた状態から、リング本体10の軸線に対して直交する状態へと変位し得るように設定されている。図4においてもピストン3及びリング本体10の内周側の構成の図示を省略したが、それらは図1又は図2と同様でよい。
図4は本発明の第4の形態に係るピストンリングのリング本体の摺動面側を示している。この形態のピストンリング1Dは、上述した第3の形態のピストンリング1Cに対して、各環状溝14の溝底面14aのみならず、溝側面14b、14cにもサイドレール15を燃焼室側に傾ける方向の傾斜が付された点が異なる。具体的には溝側面14b、14cはその外周側が内周側よりも燃焼室側に偏るように、リング本体10の軸線方向と直交する方向に対して角度θで傾けられている。なお、角度θは全ての溝底面14a、溝側面14b、14cにおいて同様に付されている。溝側面14b、14cとサイドレール15との間の隙間量は、サイドレール15が溝底面14aの傾きに倣って燃焼室側に傾いた状態から、リング本体10の軸線に対して直交する状態へと変位し得るように設定されている。図4においてもピストン3及びリング本体10の内周側の構成の図示を省略したが、それらは図1又は図2と同様でよい。
このようなピストンリング1Dによれば、燃焼ガスの圧力が小さい状態ではサイドレール15を溝底面14aに倣って燃焼室側に確実に傾けておくことができる。これにより、燃焼室の圧力の変化に伴うサイドレール15の傾き、あるいは姿勢の変化についての再現性を高め、上述した第3の形態の作用効果をより確実に発揮させることができる。
[第5の形態]
図5は本発明の第5の形態に係るピストンリングを示している。但し、図1との共通部分には同一の参照符号を付してある。図5のピストンリング1Eは、第1の形態のピストンリング1Aに対して、リング本体10の溝底面14aの背後(内周側)に空洞部18が追加されたものである。
図5は本発明の第5の形態に係るピストンリングを示している。但し、図1との共通部分には同一の参照符号を付してある。図5のピストンリング1Eは、第1の形態のピストンリング1Aに対して、リング本体10の溝底面14aの背後(内周側)に空洞部18が追加されたものである。
このようなピストンリング1Eによれば、第1の形態のピストンリング1Aとの対比において、リング本体10の剛性が環状溝14の内側で低下して溝底面14aが弾性変形し易くなる。そのため、溝底面14aによるサイドレール15の拘束が弱くなり、サイドレール15がシリンダ壁2に倣うようにして環状溝14内でより柔軟に動けるようになる。このため、シリンダ壁2に対するサイドレール15の追従性が向上する。これにより、シール効果が向上し、オイルの掻き落とし効果もさらに向上する。サイドレール15の追従性が高まることによりサイドレール15の摩耗も減り、ピストンリング1Eの長寿命化にも効果がある。
[第6の形態]
図6は本発明の第6の形態に係るピストンリングの摺動面側リング本体の部分拡大断面図である。但し、図1との共通部分には同一の参照符号を付してある。図6のピストンリング1Fは、リング本体10の環状溝14の溝底面14aとサイドレール15の内周面15aとの間に感温部材19が設けられた点で第1の形態のピストンリング1Aと異なっている。感温部材19は、例えば、形状記憶合金、バイメタル材料、樹脂材料等を素材としてコイルリング状に形成されており、高温時には低温時よりもサイドレール15を外周側に強く押すように変化する。例えば、感温部材19は温度上昇に伴って膨張してサイドレール15を外周側により強く押すように構成される。あるいは、感温部材19は、高温時に低温時よりも弾性率が上昇し、それによりサイドレール15を外周側により強く押すように構成されてもよい。なお、図6では上側の環状溝14及びサイドレール15のみを示すが、下側の環状溝14及びサイドレール15に関しても同様に感温部材19が装着される。ピストン3及びリング本体10の内周側の構成は図1又は図2と同様でよい。
図6は本発明の第6の形態に係るピストンリングの摺動面側リング本体の部分拡大断面図である。但し、図1との共通部分には同一の参照符号を付してある。図6のピストンリング1Fは、リング本体10の環状溝14の溝底面14aとサイドレール15の内周面15aとの間に感温部材19が設けられた点で第1の形態のピストンリング1Aと異なっている。感温部材19は、例えば、形状記憶合金、バイメタル材料、樹脂材料等を素材としてコイルリング状に形成されており、高温時には低温時よりもサイドレール15を外周側に強く押すように変化する。例えば、感温部材19は温度上昇に伴って膨張してサイドレール15を外周側により強く押すように構成される。あるいは、感温部材19は、高温時に低温時よりも弾性率が上昇し、それによりサイドレール15を外周側により強く押すように構成されてもよい。なお、図6では上側の環状溝14及びサイドレール15のみを示すが、下側の環状溝14及びサイドレール15に関しても同様に感温部材19が装着される。ピストン3及びリング本体10の内周側の構成は図1又は図2と同様でよい。
このようなピストンリング1Fによれば、高温時にはサイドレール15がシリンダ壁2により強い力で押し付けられるので、燃焼温度が高くなる高負荷高回転時等においてもサイドレール15とシリンダ壁2との間に十分なシール効果、あるいはオイル掻き落とし効果が確保され、オイルの消費が抑えられる。一方、低温時はサイドレール15をシリンダ壁2に押し付ける力が減少する。このため、冷間始動時等の低温時においてピストン3の往復運動に対する摩擦抵抗が減少し、内燃機関の始動性の向上、燃費の向上といった効果が得られる。
[第7の形態]
図7は本発明の第7の形態に係るピストンリングを示している。但し、図1との共通部分には同一の参照符号を付してある。図7のピストンリング1Gでは、リング本体10の環状溝14を仕切る壁部16に、環状溝14同士を結ぶ連通路20が形成されている点で第1の形態のピストンリング1Aと異なっている。なお、ピストン3は図1と同様でよい。
図7は本発明の第7の形態に係るピストンリングを示している。但し、図1との共通部分には同一の参照符号を付してある。図7のピストンリング1Gでは、リング本体10の環状溝14を仕切る壁部16に、環状溝14同士を結ぶ連通路20が形成されている点で第1の形態のピストンリング1Aと異なっている。なお、ピストン3は図1と同様でよい。
このようなピストンリング1Gによれば、環状溝14同士を結ぶ連通路20を介して燃焼ガスの圧力が伝わるので、環状溝14の内部圧力を相互にほぼ一致させて上下のサイドレール15の挙動をほぼ一致させることができる。これにより、上下方向に関して複数のサイドレール15を設けたことによる本発明の効果を確実に発揮させることができる。上部の環状溝14に関して連通路20をオイル排出路の一部として作用させることができ、それによりオイルを効率よくクランクケース内に戻すことができる。なお、ピストンリング1Gによるラビリンス効果は連通路20の断面積を適度に制限することによって十分に確保することができる。
本発明は以上の形態に限るものではなく、種々の形態にて実施してよい。例えば、サイドレールは2本に限らず、3本以上設けられてもよい。また、溝底面、溝側面の傾斜角度θは同一である場合に限らず、それぞれに対して互いに異なる角度を設定してもよい。サイドレールの張力については、ほとんど自己張力はないが、上下のサイドレールに同一の張力が与えられてもよく、さらに、上下のサイドレールに互いに異なる張力が与えられてもよい。上述した形態を適宜に組み合わせてピストンリングを構成することも勿論可能である。例えば、図2に示したオイル戻し路17は第3〜第7の形態のそれぞれに対して適用してよい。また、図5に示した空洞部18は第3、第4、第6及び第7の形態のそれぞれに対して適用してよく、図6に示した感温部材19は第3、第4、第5及び第7の形態のそれぞれに対して適用してよく、図7に示した連通路20は第3、第4、第5及び第6の形態のそれぞれに対して適用してよい。
上記では本発明を内燃機関のピストンリングに適用した場合について説明したが、圧縮機等のピストンに装着されるピストンリングに対しても、上記の形態の燃焼室を圧縮室に置き換えて適用することができる。
1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G ピストンリング
3 ピストン
5 オイルドレン路
10 リング本体
10a リング本体の内周
11 エキスパンダ
13 環状摺動部
14 環状溝
14a 溝底面
14b、14c 溝側面
15 サイドレール
16 壁部
17 オイル戻し路
18 空洞部
19 感温部材
20 連通路
3 ピストン
5 オイルドレン路
10 リング本体
10a リング本体の内周
11 エキスパンダ
13 環状摺動部
14 環状溝
14a 溝底面
14b、14c 溝側面
15 サイドレール
16 壁部
17 オイル戻し路
18 空洞部
19 感温部材
20 連通路
Claims (7)
- シリンダ壁に接触可能な上下一対の環状摺動部の間に複数の環状溝がリング軸線方向に間隔を空けて設けられたリング本体と、前記シリンダ壁に接触可能かつ前記リング本体に対して摺動可能な状態で前記環状溝にそれぞれに装着される複数のサイドレールと、前記リング本体に内周側から当接して該リング本体を半径方向外方に付勢する環状のエキスパンダと、を備えたことを特徴とするピストンリング。
- 前記リング本体には、前記環状溝と前記リング本体の内周とを結ぶオイル戻し路が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のピストンリング。
- 前記環状溝の溝底面が前記サイドレールの内周面と接触し、かつ前記溝底面には前記サイドレールを外周面側に傾ける方向の傾斜が付されていることを特徴とする請求項1に記載のピストンリング。
- 前記環状溝の溝側面には、前記サイドレールを外周面側に傾ける方向の傾斜が付されていることを特徴とする請求項3に記載のピストンリング。
- 前記リング本体の前記環状溝よりも内周側の領域に空洞部が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のピストンリング。
- 前記サイドレールと前記環状溝の溝底面との間には、高温時に低温時よりも前記サイドレールを外周側に強く押すように変化する感温部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のピストンリング。
- 前記リング本体の前記環状溝を仕切る壁部には、環状溝同士を結ぶ連通路が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のピストンリング。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005189368A JP2007009971A (ja) | 2005-06-29 | 2005-06-29 | ピストンリング |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005189368A JP2007009971A (ja) | 2005-06-29 | 2005-06-29 | ピストンリング |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007009971A true JP2007009971A (ja) | 2007-01-18 |
Family
ID=37748759
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005189368A Pending JP2007009971A (ja) | 2005-06-29 | 2005-06-29 | ピストンリング |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007009971A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2113690A1 (en) * | 2008-04-30 | 2009-11-04 | Teikoku Piston Ring Co., Ltd. | Combined oil ring |
JP2011503486A (ja) * | 2007-11-14 | 2011-01-27 | マリキャップ オーワイ | ロックリング |
JP2011196431A (ja) * | 2010-03-18 | 2011-10-06 | Mayekawa Mfg Co Ltd | シリンダ装置 |
-
2005
- 2005-06-29 JP JP2005189368A patent/JP2007009971A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011503486A (ja) * | 2007-11-14 | 2011-01-27 | マリキャップ オーワイ | ロックリング |
EP2113690A1 (en) * | 2008-04-30 | 2009-11-04 | Teikoku Piston Ring Co., Ltd. | Combined oil ring |
US8616556B2 (en) | 2008-04-30 | 2013-12-31 | Teikoku Piston Ring Co., Ltd. | Combined oil ring |
JP2011196431A (ja) * | 2010-03-18 | 2011-10-06 | Mayekawa Mfg Co Ltd | シリンダ装置 |
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