明 細 書
化学発光増強剤 技術分野
本発明は、 液体媒体中に分散可能な微細固体担体に固定化される抗原または/ および抗体を用いる固相免疫測定法におけるシグナル検出において、 化学発光基 質の酵素作用による化学発光を増強する為に用いられる化学発光増強剤に関する。 背景技術
微量成分を測定する分野、 特に臨床診断学の分野では、 免疫学の原理を応用し た測定方法が利用され、 固相に微細固体担体を用いた免疫測定方法が広く用いら れている。 その微細固体担体には赤血球、 ゼラチン粒子、 ラテックス粒子などが あり、 それらの表面に、 抗原または Zおよび抗体を吸着させ、 試験試料中の該抗 原または Zおよび抗体に対する抗体または Zおよぴ抗原を免疫学的に反応させる ことにより定量的分析に供される。 これらの微細固体担体を用いた免疫測定法は 臨床診断以外の分野でも汎用されていることも周知である。
1 , 2—ジォキセタン類のような化学発光基質にアル力リフォスファターゼの ような酵素を作用させて化学発光を起こさせる化学発光反応を利用した化学発光 測定は、 検体中の測定対象物の存在又は濃度を迅速、 高感度に測定することがで き、 H I V, H C V等のウィルス、 その他生体内微量成分などを測定するために 広く用いられている (特表平 8— 5 0 7 6 9 4号参照)。
液体媒体中で、 特には水性媒体中で、 ジォキセタンを有する化学発光基質の分 解による化学発光に際して、 消光反応が生じることは周知である。 多くの試験試 料は、 概して生体試料であるから、 これらによる試料の測定は、 一般的には、 水 性媒体中で実施される。 したがって、 消光反応が、 ジォキセタンを有する化学発 光基質の分解によつて実際に観測される化学発光を実質的に減少させることがあ る。 特定の試験試料、 例えば核酸、 ウィルス抗体およびその他の蛋白質など、 低 レベルの検出が必要である測定法では、 不可避的なパックグラウンドシグナルと 合わせて、 消光反応により減少した化学発光が測定法の感度を低下させるため、
極めて低レベルのものを検出できないことがある。 これらの消光反応を改善する 為に、 天然および合成分子の双方を包含している水溶性高分子の添加 (米国特許 第 5 , 1 4 5 , 7 7 2号参照)、 試験試料への各種の水溶性増強剤の添加 (米国 特許第 4, 9 7 8 , 6 1 4号参照)、 または、 水溶性重合第四級アンモニゥム塩 として、 ポリ (ビニルベンジルトリメチルアンモニゥムクロライ ド) (TMQ)、 ポリ (ビエルべンジルトリブチルアンモニゥムクロライド) (T B Q ) およぴポ リ (ビエルベンジルジメチルベンジルアンモニゥムクロライ ド) (B DMQ) の ような水溶性重合第四級アンモニゥム塩が用いられてきた (米国特許第 5 , 1 1 2 , 9 6 0号、 特表平 8— 5 0 7 6 9 4号参照)。
ところで、 上記 TMQ、 T B Q及び B DMQなどの化学発光増強剤は、 高分子 量のポリマーであり、 液体媒体中に分散可能な微細固体担体に固定化される抗原 または/およぴ抗体を用 、る固相免疫測定法におけるシグナル検出に使用される 場合、 例えば免疫反応後に洗浄するために、 一旦担体を物理的に凝集させると、 その後に微細固体担体の分散を妨げ、 被検物質の濃度に依存したジォキセタンを 有する化学発光基質の酵素反応による発光を阻害し、 正確な測定値を得ることが できないという問題が生じる場合があった。 発明の開示
本発明の目的は、 公知の化学発光増強剤において、 化学発光基質による発光反 応に際して微細固体担体の分散性を良好に保ち、 安定して化学発光増強作用を発 揮させるように処理した化学発光増強剤を提供することである。
本願発明者らは、 鋭意研究の結果、 酸化作用または還元作用を有する試薬で処 理した水溶性高分子第四級アンモニゥム塩、 第四級スルホ二ゥム塩または第四級 ホスホニゥム塩などの化学発光増強剤が、 固相免疫測定法におけるシグナル検出 において、 ジォキセタンを有する化学発光基質の酵素反応による発光をより安定 して増強し、 かつより正確な測定結果を提供することを見出し、 本発明を完成し た。
すなわち、 本発明は、 液体媒体中に分散可能な微細固体担体に固定化される抗 原または および抗体を用 ヽる固相免疫測定法におけるシダナル検出に使用され、
ジォキセタンを有する化学発光基質の酵素反応による発光を増強するための水溶 性高分子第四級アンモニゥム塩、 第四級スルホ二ゥム塩または第四級ホスホユウ ム塩からなる化学発光増強剤であって、 酸化剤または還元剤処理により前記微細 固体担体の凝集抑制処理を施したものである化学発光増強剤、 該化学発光増強剤 を用いた化学発光方法およぴキットを提供する。
該増強剤の好ましい態様としては、 限外ろ過法で分離される分子量において、 分子量約 4 0万ダルトンを越える成分を実質的に含有しない該化学発光増強剤で める。 発明を実施するための最良の形態
上記の通り、 本発明の化学発光増強剤は、 水溶性高分子第四級アンモニゥム塩、 第四級スルホ二ゥム塩または第四級ホスホニゥム塩などを、 酸化作用または還元 作用を有する試薬で処理したものであり、 下記一般式 (I ) で示される。
一般式 [I] 中、 R5、 R6および R7は、 それぞれ、 1〜2 0個の炭素原子を有 する直鎖状または分枝鎖状非置換アルキル基、 (例えばメチル基、 ェチル基、 n —ブチル基、 t一ブチル基またはへキシル基等)、 1個またはそれ以上のヒ ドロ キシル基、 アルコキシ基 (例えばメ トキシ基、 エトキシ基、 ベンジルォキシ基ま たはポリオキシェチルエトキシ基)、 ァリールォキシ基 (例えばフエノキシ基)、 アミノ基、 置換アミノ基 (例えばメチルァミノ基)、 アミ ド基 (例えばァセトァ ミ ド基) またはゥレイ ド基 (例えばフヱニルゥレイ ド基) で置換された 1〜 2 0個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状アルキル基、 フルォロアルカン
基、 フルォロアリール基 (例えばヘプタフルォロブチル基)、 3〜1 2個の環炭 素原子を有する非置換モノシクロアルキル基 (例えばシク口へキシル基またはシ クロォクチル基)、 1個以上のアルキル基、 アルコキシ基または縮合べンゾ基で 置換された 3〜1 2個の環炭素原子を有する置換モノシクロアルキル基 (例えば メ トキシシクロへキシル基または 1 , 2, 3 , 4—テトラヒ ドロナフチル基)、 それぞれが 5〜1 2個の炭素原子を有する 2個以上の縮合環を有する、 非置換で あるか 1個以上のアルキル基、 アルコキシ基またはァリール基で置換されたポリ シクロアルキル基 (例えば 1ーァダマンチル基または 3—フエ二ルー 1—ァダマ ンチル基)、 非置換であるか 1個以上のアルキル基、 ァリール基、 フッ素または ヒドロキシル基で置換された、 少なくとも 1個の環および全部で 6〜 2 0個の炭 素原子を有するァリール基、 アルカリール基またはァラルキル基 (例えばフエ二 ル基、 ナフチノレ基、 ペンタフルオロフヱ-ル基、 ェチルフヱニル基、 ベンジル基、 ヒ ドロキシベンジル基、 フエ二ルべンジル基またはデヒ ドロアビエチル基) で あってもよく、 R5、 R6および R7のうち少なくとも 2個は、 それらが結合して いる第四級原子とともに、 飽和または不飽和の、 3〜 5個の炭素原子および 1〜
3個のへテロ原子を有し、 かつベンゼン環が縮合していてもよい窒素、 リンまた は硫黄を含有する非置換であるか、 または置換された環 (例えば 1一ピリジニゥ ム、 1— ( 3—アルキル) イミダゾリゥム、 1― ( 3 _ァラノレキル) イミダゾリ ゥム、 モルホリノ、 アルキルモルホリニゥム、 アルキノレピペリジニゥム、 N—ァ シルピペリジニゥム、 ピペリジノ、 ァシルビペリジノ、 ベンゾォキサゾリゥム、 ベンズチアゾリゥムまたはべンズアミダゾリゥム) を形成し得る基を意味する。 一般式 [I] 中の記号 Yは、 単独に、 または合わさって、 ハロゲンイオン、 す なわちフッ素イオン、 塩素イオン、 臭素イオン、 ヨウ素イオン、 硫酸イオン、 ァ ルキルスルホン酸ィオン (例えばメチノレスノレホン酸イオン)、 ァリールスノレホン 酸イオン (例えば p—トルエンスルホン酸イオン)、 置換ァリールスルホン酸ィ オン (例えばァニリノナフチレンスルホン酸イオンと各種の異性体)、 ジフヱ二 ルアントラセンスルホン酸イオン、 過塩素酸イオン、 アルカン酸イオン (例えば 酢酸イオン)、 ァリールカルボン酸イオン (例えばフルォレセインまたはフルォ レセイン誘導体)、 ベンゼン複素環式ァリールカルボン酸イオン (例えば 7—ジ
ェチルァミノ一 4—シァノクマリンー 3一力ルボン酸イオン) のような部分を包 含できる対イオンを表す。 p—テレフタル酸イオンなどの有機ジァニオン類も Y によって表されてよレ、。
さらに記号 nは、 そのようなポリ (ビニルベンジル第四級塩) の分子量が、 固 有粘度または L A L L S法を用いて測定して約 500〜約 500, 000 (平均 分子量)、 好ましくは約 20, 000〜約 70, 000の範囲にわたる数を表す。 Mが窒素であるこれらの重合体、 関連共重合体および関連出発材料を調製する方 法は、 G. D. Jones ら : Journal of Polymer Science, 第 2 5卷 2 0 1ページ (1 958年)、 米国特許第 2, 780, 604号、 第 3, 1 78, 396号、 第 3, 770, 439号、 4, 308, 335号、 第 4, 340, 522号、 第
4, 424, 326号、 およびドイツ国公開特許第 2, 447, 6 1 1号公報に 開示されている。 記号 Mは、 リンまたは硫黄でもよく、 ここで、 対応するホスホ ニゥムまたはスルホニゥム重合体は先行技術に記載されている (米国特許第 3, 236, 820号おょぴ第 3, 065, 272号参照)。
一般式 [I] で示される構造を有する化学発光増強剤としては、 ポリ [ビュル ベンジル (ベンジルジメチルアンモ -ゥムクロライ ド)] (BDMQ)ゝ ポリ (ビ ニルベンジルトリメチルアンモニゥムクロライド) (TMQ)、 ポリ [ビュルベン ジル (トリブチルアンモニゥムクロライ ド)] (TBQ)、 ベンジルジメチルセチ ルアンモニゥムクロライ ド (BDMCAC)、 ポリメタァクリルアミ ドプロピレ ンメチルアンモニゥムクロライ ド (ポリ MAPTAC)、 ポリ [ビエルべンジル
(トリェチルアンモ -ゥムクロライ ド)] (T E Q)、 ポリ [ビュルべンジル (2—ベンジルァミノ) ェチルジメチルアンモニゥムクロライ ド] (BAEDM)、 ポリ [ビュルベンジルジメチル (2—ヒ ドロキシ) ェチルアンモニゥムクロライ ド (DME (OH) B)、 ポリ [ビュルべンジル (トリメチルホスホニゥムクロ ライ ド)] (TM)、 ポリ [ビニルベンジル (トリブチルホスホニゥムクロライ ド)] (TB) 及びポリ [ビエルべンジル (トリォクチルホスホニゥムクロライ ド)] (TO) 並びにそれらの共重合体から選択されるものが好適である。
本発明において特に好ましい、 一般式 [I] の化学発光増強剤は、 ポリ [ビニ ルベンジル (ベンジルジメチルアンモニゥムクロライ ド) ] (BDMQ)、 ポリ
(ビュルべンジルトリメチルアンモ -ゥムクロライ ド) (TMQ)、 ポリ [ビュル ベンジル (トリブチルアンモニゥムクロライ ド) ] (TBQ)、 ポリ [ビュルベン ジル (トリェチルアンモニゥムクロライ ド) ] (TEQ)、 ポリ [ビュルべンジル
(トリメチルホスホニゥムクロライド (TM)、 ポリ [ビュルべンジル (トリブチ ルホスホニゥムクロライド) ] (TB) 及びポリ [ビュルべンジル (トリオクチル ホスホニゥムクロライ ド) ] (TO) 並びにそれらの共重合体から選択されるも のであり、 さらに好ましくは、 ポリ (ビニルベンジルトリメチルアンモユウムク 口ライ ド) (TMQ)、 ポリ [ビュルべンジノレ (トリブチルアンモニゥムクロライ ド) ] (TBQ) 及びポリ [ビニノレべンジノレ (ベンジルメチルアンモ -ゥムクロラ イ ド) ] (BDMQ)、 ポリ [ビュルべンジル (トリェチルアンモニゥムクロライ ド) ] (TEQ)、 並びにそれらの共重合体から選択されるものであり、 最も好ま しくは、 ポリ [ビュルべンジル (トリブチルアンモニゥムクロライ ド) ] (TB Q) 又はポリ [ビニルベンジル (ベンジルメチルアンモニゥムクロライド) ] (B DMQ) である。
下記一般式 [II] に記載するように、 2個以上の異なるォニゥム側鎖を有する 共重合体も、 ここに述べた本発明で利用できる。 記号 Y、 M'、 R5'、 R6' およ ぴ R7' は、 Y、 M、 R5、 R6および R7として前記で説明したものと同様である c 記号 yおよび zは、 共重合体を構成する個々の単量体のモル分率を表す。 した がって、 記号 yおよび zの合計は常に 1に等しく、 個別的には 0. 0 1から 0. 99まで変動してよい。 好適な部分として、 Mは窒素またはリンであり、
R
5〜R
7は、 それぞれ独立して、 1〜.20個の炭素原子を有する、 非置換である 力、 ヒ ドロキシル基、 アミノ基、 アミ ド基またはウレイド基で更に置換されたァ ルキル基、 シクロアルキル基、 ポリシクロアルキル基 (例えばァダマンタン基)、 ァラルキル基またはァリール基であるか、 あるいは併せて、 M原子とのスピロ結 合を介して複素環式の (場合により他の窒素、 硫黄または酸素のへテロ原子を含 む芳香族、 脂肪族もしくは混合の) ォ-ゥム基を形成する。
r + 、厂 ,+
R5— M Y R5'— M, Y
Re R7 Rr 本発明の化学発光増強剤が使用される化学発光反応自体は公知である。 化学発
R
光反応を行うための酵素としては、 酸ホスファ6 /タ, ーゼ、 アルカリホスファターゼ、 ガラク トシダーゼ、 ダルコシダーゼ、 グルクロニダーゼ又はエステラーゼを挙げ ることができ、 好ましい例としては、 酸フォスファターゼ、 アルカリフォスファ ターゼ、 ダルコシダーゼ、 ガラクトシダーゼ及びエステラーゼを挙げることがで きる。 最も好ましくは、 アルカリフォスファターゼである。 これらの酵素は動物、 植物又は細菌などから公知の方法で精製することができ、 また市販もされている。 市販品も好ましく用いることができる。 これらの酵素は遊離の状態であってもよ く、 また、 抗原、 抗体又はハプテン等の他の物質に結合された状態にあってもよ い。
ここで用いられる化学発光反応の基質としては、 下記一般式 [III] で表され るジォキセタン誘導体を挙げることができる。
[式中、 R2は x _ォキシ基で置換されたァリール基であって、 Xは酸、 塩基、 塩、 酵素、 有機又は無機触媒及び電子供与体から選択した活性化剤で Xを除去し て反応を誘発すると不安定なォキシド中間体の 1 , 2—ジォキセタン化合物を形
成し、 その不安定な 1, 2—ジォキセタン化合物が電子エネルギーを放出して分 解し、 光と 2個のカルボニル含有化合物とを生成し、 また Xは酵素により除去さ れる化学的に易反応性の基であり、 はアルキル基、 アルコキシ基、 ァリール ォキシ基、 ジアルキルァミノ基、 トリアルキルシリルォキシ基、 ァリールシリル ォキシ基、 ァリール基、 及びァリール基 R2と結合して 1, 2—ジォキセタン環 にスピロ結合するところの、 X—ォキシ基置換の多環式ァリ一ル基を形成するァ リール基から成る群から選択されたものであり、 また R3と R4はそれぞれアルキ ル基またはへテロアルキル基であって、 R3と R4が互いに結合して 1 , 2—ジォ セタン環にスピロ結合する多環式アルキレン基を形成していてもよレ、。 ]
一般式 [III] 式中、 が R2と結合していないときは、 この は前記したよ うにアルキル基、 アルコキシ基、 ァリールォキシ基、 ジアルキルアミノ基、 トリ アルキルシリルォキシ基、 ァリールシリルォキシ基またはァリール基であり、 好 ましくは、 1〜 8個の炭素原子を有する低級のアルキル基またはアルコキシ基で ある。 はまた、 6〜2◦個の炭素原子を有するァリール基、 ァリールォキシ 基またはァリールシリルォキシ基であってもよい。 がァリール基である R2と 結合して 1, 2—ジォキセタン環にスピロ結合する多環式ァリ一ル基を形成する 場合、 その多環式ァリール基は炭素数 3 0までのものであることが好ましい。 こ の場合の多環式ァリール基はキサンテニル基のように、 炭素原子に代わって酸素 原子を含むものであってもよく、 スピロ結合多環式ァリール基が、 同基の C 9位 で 1, 2—ジォキセタン環にスピロ結合するフルォレニル又はキサンテニルが好 ましい。
R2は、 X—ォキシ基 (O X基) で置換されたァリール基であり、 ァリール基 を含む基はフエニル基、 ビフエ二ル基、 結合フエニル基または他のァリール基で、 6〜 3 0個の炭素原子を含み、 且つ他の置換体を含んでいてもよい。 Xは、 安定 なジォキセタン構造を分解して化学発光 (シグナル) を生じさせるために、 ジォ キセタンから活性化剤により除去される基である。 O X基はヒ ドロキシ基、 アル キルシリルォキシ基、 ァリールシリルォキシ基、 無機ォキシ酸塩 (特にリン酸塩 または硫酸塩)、 ビラノシド酸素、 ァリールカルボキシルエステルまたはアルキ ルカルボキシルエステル基から選択するのが好ましい。 また、 O X基がヒ ドロキ
シ基である場合、 同基の水素原子は力リゥム t一ブトキシドのような有機塩基あ るいは水酸化力リゥムのような無機塩基と易反応性であって、 塩基により分解さ せて化学発光を生じさせることができる。 活性化剤が、 免疫測定用または DNA プローブ検出用に、 標識として通常良く用いられる酵素である場合には、 該酵素 と易反応性の Xを有する OX基を適宜、 選択すればよい。 例えば、 免疫測定用ま たは DN Aプローブ検出において、 比色基質又は蛍光基質により検出させるもの として、 汎用されているアル力リホスファターゼ、 β—ガラクシドダーゼ、 了 リールまたはァセチルコリンエステラーゼなどである場合、 ΟΧ基としてリン酸 塩、 ピラノシド酸素または酢酸エステル基を選択することができる。
R3または R4はそれぞれアルキル基またはへテロアルキル基であり、 また互に 結合して環状構造を形成し、 多環式アルキレン基としていてもよい。 多環式アル キレン基は 6〜 30個の炭素原子を含み、 また異種原子 (窒素、 酸素、 硫黄又は リン) を含んでいてもよい。 好ましい多環式アルキレン基はァダマンチル基であ る。 R3、 R4はジォキセタン構造に対し安定性をもたらし、 安定性を損なう置換 基でない限り、 置換基を有していてもよい。
以上のような、 ジォキセタン構造を有する化合物の中で、 好適な化学発光基質 は、 3― (4—メ トキシスピロ 〔1, 2—ジォキセタン一 3, 2、 ートリシクロ [3. 3. I3·7]デカン〕 _4_ィル) フエ二ルリン酸、 特にその 2ナトリウム塩 (AMP P D) と、 3一 ( 4ーメ トキシスピ口 〔 1, 2 -ジォキセタンー 3, 2 ' 一 (5, 一クロ口) トリシクロ [3. 3. I3·7]デカン〕 一 4一ィル) フエニルリン酸およびその 2ナトリウム塩 (C S PD) である (米国特許第 4, 962, 162号、 特許 255241 3号参照)。
本発明で用いられる微細固体担体としては、 動物赤血球、 ゼラチン粒子、 ラ テックス粒子、 磁性粒子などが挙げられる。 ここで言うゼラチン粒子とは、 ゼラ チンに、 水溶性多糖類、 メタリン酸ナトリゥム及びアルデヒド架橋剤などよりな る粒子を指し (特開平 5— 306 1 1 3号、 特公昭 63— 4802 1号参照)、 ラテックス粒子とは、 有機高分子であるポリスチレン、 アクリル樹脂などの合成 樹脂よりなる粒子を指し、 市販もされている。 市販品も好ましく用いることがで さる。
本発明において用いられる微細固体担体には、 核が有機高分子で表面が酸化鉄 系のフェライト被覆層を有する磁性粒子を帯びるように加工したものも含まれる。 磁性粒子は磁力を利用 して効率良く B Z F分離ができる (特許第 3 1 9 2 1 4 9号、 特許第 2 9 7 9 4 1 4号参照)。 特に好適に用いられる磁性 粒子としては、 例えば、 マグネタイトを核としてシランを被覆した粒子 (特開昭
5 5— 1 4 1 6 7 0号、 特開昭 5 0— 1 2 2 9 9 7号参照)、 磁性金属酸化物を 核としてシランを被覆した粒子 (特開昭 6 0— 1 5 6 4号参照)、 有機高分子化 合物を核と して、 酸化鉄系のフェライ ト被覆層を有した磁性粒子 (特許 2 9 7 9 4 1 4号参照)、 さらに、 有機高分子化合物を核とした磁性粒子の表面 にゼラチンを有する粒子などが挙げられる (特許 3 1 9 2 1 4 9号参照)。
特にこれらに限定しないが、 前記の微細固体担体は、 各測定の目的や測定キッ トの構成により、 適切な担体が選択され、 固相免疫測定法において使用する担体 であれば、 該化学発光増強剤により、 発明の効果を発揮する。
本発明に係る化学発光増強剤は、 酸化作用または還元作用を有する試薬を用い た処理によって調製され得る。 ここで用いられる酸化剤または還元剤としては過 硫酸アンモユウム、 過ヨウ素酸ナトリウム、 亜硫酸ナトリウム、 次亜塩素酸ナト リウム、 過酸化水素、 メタ過ヨウ素酸ナトリウム、 過マンガン酸カリウム、 重ク ロム酸力リゥムなどがあげられる。 特に好ましい酸化剤または還元剤としては、 過硫酸アンモニゥム、 亜硫酸ナトリウム、 次亜塩素酸ナトリウム及びメタ過ヨウ 素酸ナトリウムを挙げることができ、 さらに好ましくは、 亜硫酸ナトリウム及び 次亜塩素酸ナトリゥムを挙げることができる。
本発明に係る化学発光増強剤を調製するに際しては、 既知の方法により製造さ れた前記一般式 [I] または [II] の化学発光増強剤または市販品の該化学発光 増強剤が、 前記の酸化剤または還元剤により適切な条件下で処理される。 処理条 件としては、 該化学発光増強剤の有する化学種、 分子量、 濃度等を考慮すること により、 酸化剤又は還元剤の試薬濃度、 反応時間、 反応温度、 使用する溶媒系等 が適切に選択され得る。 特に限定するものではないが、 例えば、 化学発光増強剤 が数 g〜数 1 0 0 g程度の量である場合、 水性溶液中において、 5 mM亜硫酸ナ トリゥムでは室温にて 1時間、 あるいは 0 . 1 %次亜塩素酸ナトリゥムでは室温
にて 2時間、 あるいは ImM過硫酸アンモニゥム及び ImM メタ過ヨウ素酸ナトリ ゥムでは 60°Cにて 2時間、 あるいは 15%過酸化水素では室温にて 17時間、 あるいは ImM過マンガン酸力リゥム及ぴ ImM重クロム酸力リゥムでは 80°Cで 2時間の処理により、 本願発明に係る化学発光増強剤を得ることができる。 なお、 亜硫酸ナトリゥムは条件により酸化作用又は還元作用を示すことが知られている。 下記の実施例をもつて例示するように、 本発明の化学発光増強剤は次亜塩素酸 ナトリゥム処理後に、 約 14000以下の分子量をカツトする透析膜を用いて精 製することが望ましい。 また、 未処理の化学発光増強剤の多くは、 分子量 30万 カットの限外ろ過フィルターを通過しえないが、 一方で、 本発明の化学発光増強 剤は通過しえるようになることが判明している。 さらに、 酸化 '還元の条件に よっては、 フィルターの透過率が低い化学発光増強剤であっても、 透析液の条件 を変更することにより、 本発明の化学発光増強剤の透過率が向上することを見出 している。
下記の実施例をもって例示するように、 本発明の化学発光増強剤を微細固体担 体、 すなわち例えば磁性粒子の分散系に添加すると、 未処理の化学発光増強剤の 添加と比較して、 分散性が改善されていることが判明した。 このような微細固体 担体の良好な分散性が、 ジォキセタンを有する化学発光基質の酵素反応による発 光 (シグナル) の増強 ·安定化をもたらすものと考えられる。 実施例
以下、 本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。 尚、 本発明は下記実施 例に限定されるものではない。 実施例 1一 1 未処理と酸化還元処理 TBQの化学発光測定に与える影響 T B Q溶液 ( 3 5. 2 mg/ml ) 2 ml に、 2 mM 亜硫酸ナトリ ウム溶液、
0. 015% (有効塩素濃度) 次亜塩素酸ナトリウム溶液、 2mM メタ過ヨウ素 酸ナトリゥム溶液又は 2 mM過硫酸アンモニゥム溶液を 2 ml 加え、 混合後、 6 0 °Cにて 4時間処理した。 これら処理 TB Qを透析膜 (分子量カッ ト 12000〜 14000、 三光純薬社製) に分注後 M i 1 1 i Q水 (超純水) を
外液として透析を行い、 処理 TBQとした。 次に 0. 8mg/ral の未処理 TB Q又 は処理 TB Qを含有した 0. 4mg/mlAMP PD液 (0. 2Mジェタノールアミ ン (DEA;)、 ImM塩化マグネシウム (M g C 12) 0. 0 5 %アジ化ナトリウ ム (N a N3) pHl 0. 0) を調製した (基質液)。 0. 0 1 5 %アルカリフォ スファターゼ (AL P) 結合磁性粒子を反応容器に 2 0 0 分注し、 磁石を接 して粒子を集磁させ上清を除き洗浄した。 この反応容器に、 前記の基質液 2 0 0 μ ΐ を加えて混合し、 3 7 °Cで 5分間反応させた後、 フオトンカウンター (浜松フォト二タス社製) で発光 (シグナル) をカウントし、 2秒間の積算値を 求めた。 上記の磁生粒子と基質による反応を 5回行った。 この結果を表 1に示す。 未処理 TBQと比較し、 いずれの処理条件においても、 処理 TBQ添加群はシグ ナルが増加し、 同時再現性 (CV値) も向上した。
処理 TBQ
未処理 TBQ
過硫酸 亜硫酸 Na 次亜塩素酸 Naメタ過ヨウ素酸 Na
平均 1151623 1780439 1879897 1866716 1857394
CV 2.8% 1.0% 1.0% 0.8% 1.0%
実施例 1一 2 未処理と酸化還元処理 TB Qの粒子分散に与える影響
0. 8 mg/ml 未処理 T B Q又は処理 T B Qを含む 0. 1 M D EA溶液 (pH 1 0. 0) を調製した。 0. 0 3%磁性粒子を反応容器に 1 0 0 分注し、 磁 石を接して粒子を集磁させ上清を除いた。 前記 TB Qを含む DEA溶液 2 0 0 μ 1 を加えて 3 0秒攪拌した。 攪拌後 1 5秒後にピペットマン (G I L S ON社製 マイクロピぺット) で液上面から 1 5 0 μ 1 を吸引し、 分光光度計用セルに分注 し、 1 0秒後に分光光度計 (SH I MAD ZU社製 UV_ 1 2 0 0) で濁度 (O D 5 0 0) を測定した。 この結果を表 2に示す。 処理 TB Qは未処理 TBQにく
らベて、 濁度が高く、 粒子の分散は向上した。 表 2
処理 TBQ
未処理 TBQ
亜硫酸 Na 次亜塩素酸 Naメタ過ヨウ素酸 Na 度 0.035 0.261 0.368 0.430 0.487
実施例 2— 1 未処理と酸化還元処理 T B Qの化学発光測定に与える影響
3 5.
丁80溶液21111 に、 有効塩素濃度として 0. 0 0 5 %、 0. 05%又は 0. 5%次亜塩素酸ナトリウムを含む溶液を 2ml 加え、 混合後、 2 5°Cにて 2 4時間放置した。 次に、 透析膜 (分子量力ッ ト 1 2 0 0 0〜 14000、 三光純薬社製) に分注後 Mi 1 1 i Q水を外液として透析を行い、 処理 TBQとした。 0. 8mg/ml の未処理 TBQ又は処理 TBQを含有した 0. 2mg/mlAMP PD液 (0. 1M DEA、 1 mM M g C 1
2、 0. 05% NaN
3、 ρΗΙ Ο. 0) を調製した (基質液)。 次に 0. 01 5% A LP結合磁 性粒子を反応容器に 200 分注し、 磁石を接して粒子を集磁させ上清を除き 洗浄した。 前記の基質液 200 Ail を加えて混合し、 37°Cで 5分間反応させた 後、 フオトンカウンター (浜松フォト二タス社製) で発光 (シグナル) をカウン トし、 2秒間の積算値を求めた。 この結果を表 3に示す。 未処理 TBQと比較し、 いずれの処理条件においても、 処理 TBQ添加群はシグナルが増加し、 同時再現 性 (CV値) も向上した。
表 3
次亜塩素酸ナトリウム処理 TBQ
•^ ^ϋίϊ
0.005%処理 0.05%処理 0.5%処理 カウン卜 1243067 1939907 1874673 1742837
1138533 1951098 1904467 1747014
1185676 1958058 1896528 1742927
1213137 1958925 1928099 1749573
1046363 1944462 1889804 1753686
1198577 1931453 1879883 1738024 平均 1170892 1947317 1895576 1745677
CV 6.0% 0.6% 1.0% 0.3%
実施例 2— 2
未処理と酸化還元処理 T B Qの粒子分散に与える影響
実施例 2— 1に記した方法により処理 TBQを得た。 0. 8mg/ml 未処理 TB Q又は処理 TBQを含む 0. IM DEA溶液 (pH 1 0. 0) を調製した。 0. 03 %磁性粒子を反応容器に 100 μ 1 分注し、 磁石を接して粒子を集磁さ せ上清を除いた。 前記 TBQを含む DEA溶液 200 を加えて 30秒攪拌し た。 攪拌後 15秒後にピペットマンで液上面から 1 50μ1 を吸引し、 分光光度 計用セルに分注し、 1 0秒後に分光光度計 (S H I MAD ZU社製 UV— 1200) で濁度 (〇D 500) を測定した。 この結果を表 4に示す。 各処理 T B Qは未処理 T B Qに比べて濁度が高く、 粒子の分散は向上した。 表 4
次亜塩素酸ナトリウム処理 TBQ 未処理 TBQ
実施例 3 未処理と酸化還元処理 T B Qの限外ろ過フィルタ一の透過率
0. 1M又は 1M塩化ナトリウム (Na C l) 溶液で未処理と各処理 T B Qを
1 mg/ml 以下に希釈した。 この溶液を分子量 30万カットの限外ろ過フィルター (ミリポア社製) で限外ろ過し、 ろ液の吸光度 (OD 268) を測定し、 透過率 を算出した。 その結果を表 5に示す。 未処理 TBQと比較し、 各処理 TBQの フィルター透過率は上昇した。 更に、 0. 1M N a C 1溶液では低い透過率で あった 0. 005%次亜塩素酸ナトリウム処理 TBQは 1M Na C l溶液に溶 解した場合、 フィルター透過率は向上した。 表 5
次亜塩素酸ナトリウム処理 TBQ 未処理 TBQ -
0.005%処理 0.05%処理 0.5%処理 フィルター 案 O.IM NaGI溶液 3% 31% 94% 95%
1M NaCl溶液 7% 96%
実施例 4 未処理と酸化還元処理 TBQの化学発光免疫測定に与える影響 (1) 35. 2mg/mlTBQ溶液2mlに2M亜硫酸ナトリゥム溶液を2ml加ぇ、 混合 後、 60°Cにて 4時間処理した。 次にこれを透析膜 (分子量カツト 1 2000〜
14000、 三光純薬社製) に分注後 M i 1 1 i Q水を外液として透析を行い、 処理 TBQとした。 0. 8mg/ml の未処理 TBQ又は処理 TBQを含有した 0. 2mg/mlAMP P D液 ( 0. 1M DEA、 1 mM Mg C l2、 0. 05% Na N3、 pHl 0. 0) を調製した (基質液)。 ひ フエトプロテイン (AF P) 0、 1 0、 1 00、 800及ぴ 2000 ng/ml を含む試験試料を B S A溶液で
20倍希釈した。 0. 03 %抗 A F P抗体結合磁性粒子 50 μ 1 を入れた反応容 器中に各測定試料を各々 20 添加 '混合し、 37°Cで 8分間反応させた。 こ の後、 反応容器に磁石を接して粒子を集磁させ上清を除き洗浄した。 0. 1 μ g/ml ALP結合抗 A F P抗体溶液を 50 μ 1 添力卩 ·混合し、 37 °Cで 8分間 反応させた。 反応後この反応容器に磁石を接して粒子を集磁させ上清を除き洗浄 した。 この粒子に前記基質液を 200 ^1 添加 '混合した。 37 °Cで 4分間反応 させた後、 フオトンカウンター (浜松フォト二クス社製) で発光 (シグナル) を カウントし、 2秒間の積算値を求めた。 その結果を表 6に示す。 未処理 TBQと
比較し、 亜硫酸ナトリウム処理 TBQの同時再現性 (CV値) は向上した c 表 6
未処理 TBQ
AFP濃度(ng/ml)
0 10 100 800 2000 カウン卜 737 22413 190157 1204985 2201469
689 25275 205970 874704 1396455
822 30756 199645 932275 2335765
824 30605 205809 816211 2214843
859 33443 189985 946657 1430978
853 22297 196053 1064297 1374801 平均 797 27465 197937 973188 1825719
CV 8.6% 17.3% 3.6% 14.4% 25.6% 亜硫酸ナド Jゥム処理 TBQ
AFP濃度(ng/m I)
0 10 100 800 2000 カウン卜 354 17298 165651 1230392 2391362
380 17595 166482 1236687 2514891
370 17634 167006 1245664 2397218
385 17515 167636 1192276 2515427
381 17557 166714 1191075 2442702
371 16806 164900 1216407 2540877 平均 374 17401 166398 1218750 2467080
CV 3.0% .1.8% 0.6% 1.9% 2.6%
実施例 5 未処理と酸化還元処理 TBQの化学発光免疫測定に与える影響 (2)
35. 2mg/mlTBQ溶液 30 Oml に 1 M亜硫酸ナトリウム一 H C 1溶液 (pH 6. 0) を 15ml加え、混合後、 25 °Cにて 24時間処理した。 次にこれを透析 膜 (分子量力ット 12000— 14000、 三光純薬社製) に分注後、 Mi l l i Q水を外液として透析を行い、 処理 TBQとした。 0. 8mg/ml の未処理 TB Q又は処理 TBQを含有した 0. 2mg/mlAMP PD液 (0. 1M DEA、 ImM MgC l2、 0. 05% NaN3、 pHl 0. 0) を調整した (基質液)。 前記実施例 4と同様に試験試料として αフエトプロテインを用いて、 免疫測定を
行い発光 (シグナル) をカウントして測定を行った。 その結果を表 7に示す。 未 処理 TBQと比較し、 亜硫酸ナトリウム処理 TBQ同時再現性 (CV値) は向上 した。 平平 C G
V V均均
表 7
未処理 TBQ
AFP濃度 (ng/ml)
0 10 100 800 2000
カウン卜 549 37542 188792 1064676 1714369
560 38510 219614 908606 1985371
609 41285 212975 958981 1866508
551 38169 207767 1051242 1464529
505 41844 232717 983756 1498278
472 27779 211984 1054501 1684947
541 37522 212308 1003627 1702334
8.8% 13.5% 6.8% 6.3% 11.9%
亜硫酸ナトリウム処理 TBQ
AFP澳度(ng/ml)
0 10 100 800 2000
カウン卜 374 27079 234281 1140508 2163595
380 25361 233081 1160725 1925163
362 27141 220616 1153611 2031717
363 25705 228368 1117495 2060136
426 27389 221167 1104866 1978776
399 24851 227564 1130180 2036848
384 26254 227513 1134564 2032706
6.4% 4.1% 2.5% 1.9% 4.0%
実施例 6 未処理と酸化還元処理 BDMQの化学発光免疫測定に与える影響
BDMQ溶液 (25. 4mg/ml) 1 Oml に 1 M亜硫酸ナトリウム— HC 1溶液 (pH6. 0) を 0. 5ml 加え、 混合後、 25 °Cにて 24時間処理した。 次にこ れを透析膜 (分子量力ット 12000— 14000、 三光純薬社製) に分注後、 Mi l l i Q水を外液として透析を行い、 処理 BDMQとした。
次に 0. 4mg/ml の未処理 B DMQ又は処理 B DMQを含有した 0. 2mg/ml
AMPPD液 (0. 1Mジエタノールァミン (DEA)、 1 mM 塩化マグネシゥ ム (Mg C 1 2)、 0. 05% アジ化ナトリウム (N a N3) pH 10. 0) を調 製した (基質液)。
ひ フエ ト プロテイ ン (A F P ) 0 , 1 0 , 1 0 0 , 8 0 0および 2000 ng/ml を含む試験試料を B S A溶液で 10倍希釈した。 0. 015 %抗 A FP抗体結合磁性粒子 250 ^1 を入れた反応容器中に各測定試料を各々 20 ΐ 添加 '混合し、 37°Cで 10分間反応させた。 この後、 反応容器に磁石 を接して粒子を集磁させ上清を除き洗浄した。 0. l ^ug/ml ALP結合抗 AF P抗体溶液を 250 μ 1 添加 '混合し、 37°Cで 10分間反応させた。 反応後、 この反応容器に磁石を接して粒子を集磁させ上清を除き洗浄した。 この粒子に前 記基質液を 200 μ 1 添加 ·混合した。 37でで 5分間反応させた後、 フオ トン カウンター (浜松フォト二タス社製) .で発光 (シグナル) をカウントし、 2秒間 の積算値を求めた。 その結果を表 8示す。 未処理 BDMQと比較し、 亜硫酸ナト リウム処理処理 BDMQの同時再現性 (CV値) は向上した。
表 8
未処理 BDMQ
AFP濃度 (ng/m il)
0 10 100 800 2000 カウン卜 235 29915 200489 860407 1600060
242 30126 203080 904037 1735060
222 29949 198255 891405 1759976
242 29466 208122 935003 1512594 平均 235 29864 202487 897713 1651923
CV 4.00% 0.90% 2.10% 3.40% 7.10% 亜硫酸ナトリウム処理 BDMQ
AFP濃度 (ng/m I)
0 10 100 800 2000 カウン卜 201 24969 198765 1212549 2354980
212 25586 195978 1210283 2371754
207 25043 196434 1213840 2339963
184 25086 195111 1219413 2371016 平均 201 29864 202487 897713 1651923
CV 6.10% 0.90% 0.80% 0.40% 0.90%
実施例 7 未処理と酸化還元処理 B D M Qの粒子分散に与える影響
BDMQ溶液 (25. 4mg/ml) 10 ml に 1 M亜硫酸ナトリウム— H C 1溶 液 (pH6. 0) を 0. 5ml 加え、 混合後、 25 °Cにて 24時間処理した。 次に これを透析膜 (分子量力ット 12000— 14000、 三光純薬社製) に分注後、 Mi l l i Q水を外液として透析を行い、 処理 BDMQとした。
次に 0. 4mg/ml 未処理 B DMQ又は処理 B DMQを含む 0. 1M DEA (pH 1 0. 0) を調製した。 0. 03%磁性粒子を反応容器に 100 分注し、 磁石を接して粒子を集磁させ上清を除いた。 前記 BDMQを含む DE Α溶液 200 μ 1 を加えて 30秒攪拌した。 攪拌後、 1 5秒後にピぺットマンで液上面 から 1 50 μΐ を吸引し、 分光光度計用セルに分注し、 1 0秒後に分光光度計 (SH I MAD ZU社製 UV— 1200) で濁度 (OD 500) を測定した。 こ の結果を表 9に示す。 処理 BDMQは未処理 BDMQに比べて、 濁度は高く、 粒 子の分散性は向上した。
表 ¾
未処理 BDMQ 処理 BDMQ
濁度 0.045 0.339
発明の効果
上記のように、 酸化剤または還元剤処理により、 液体媒体中に分散可能な微細 固体担体に固定化される抗原または/および抗体を用いる固相免疫測定法におけ るシグナル検出に使用され、 従来の化学発光増強剤と比較して該微細固体担体の 分散性を改善し、 ジォキセタンを有する化学発光基質の酵素反応による発光の増 強作用の優れた化学発光増強剤、 該化学発光増強剤を用いた化学発光方法及び キットが提供された。 また、 本発明の化学発光増強剤を用いると測定値の同時再 現性が向上し、 より正確な定量が可能になる。