WO2003097774A1

WO2003097774A1 - Composition d'huile destinee au laminage a froid

Info

Publication number: WO2003097774A1
Application number: PCT/JP2003/006059
Authority: WO
Inventors: Hideo Sugii; Seiichi Shido
Original assignee: Idemitsu Kosan Co., Ltd.
Priority date: 2002-05-15
Filing date: 2003-05-15
Publication date: 2003-11-27
Also published as: KR101011892B1; KR20050000536A; TWI272304B; JPWO2003097774A1; TW200404887A; CN1653166A; JP4658594B2; CN1289646C

Description

明細書

冷間圧延油組成物

背景技術

本発明は冷間圧延油組成物に関し、さらに詳しくは、耐ヒートスクラッチ性能 (圧延性) を向上させると共に、特にステンレス鋼材の圧延板の光沢むらを抑制し得る冷間圧延油組成物に関する。

金属材料の圧延において、圧延が正常に行われている際に圧延材が通過した部分のワークロールには、ロールコーティングと呼ばれる一定の色調で着色する現象が生じる。このロールコーティングは、該ワークロールが圧延材に常に直接接触していることから、圧延性や圧延製品の表面性状と大きな関係がある。

前記ワークロールは、金属材料を圧延することにより、摩擦熱や加工熱で熱膨張するため、板幅方向の圧延圧力が不均一となり、口一ルコーティングむらが生じやすくなる。このコーティングむらは、転写により圧延板の表面にむらを生じさせて光沢むらを引き起こし特に高い表面品質が要求されるステンレス鋼などの金属材料の圧延においては大きな問題となる。

ところで、ステンレス鋼などの硬い金属材料の圧延においては、材料との接触面積を小さくして、単位面積当たりに高荷重をかけられる小径ロールをワークロールに用レヽることが多い。しかしながら、ロールの径が小さいと、ロール自体の剛性が低く、大径の中間ロールゃバックアップロールで補強することが必要となる。このような形式の圧延機としては、例えばクラスタータイプの圧延機が知られている。このクラスタータイプの圧延機においては、バックアップロールは、軸方向に 5個以上のロー^^に分割されており、これらは分割バックアップロールと呼ばれる。この分割パックアップロールは、特殊設計円筒コロ軸受けからなるクラウン調整機能を有し、各軸受けの押し出し量が、偏心プッシュ機構により、それぞれ独立して操作できるため、ワークロールに多様なクラゥンパターンを作ることができ、圧延板の形状制御も可能となる。分割バックアップ口ール形式の圧延機では、中間口一ルを介して分割バックアップロールがワークロールに接触する部分と、そうでない部分があり、それが原因で前述のロールコーティングにむらを発生させることがある。そして、このロールコ一ティングむらが、圧延板に転写されて圧延板表面に光沢むらが発生する原因となる。

一方、このような金属材料の圧延加工に用いられる圧延油の性能としては、圧延性に優れること、すなわち低圧延荷重で高圧下率が得られ、また苛酷の条件下でヒートスクラッチを生じないことなども要求される。発明の開示

本発明は、このような状況下で、分割バックアップロールのロールコーティングむらによる圧延板の光沢むらの低減、ワークロール幅方向でのロールコーティングむらによる圧延板の光沢むらの低減及び耐ヒートスクラッチ性能（圧延性）の向上を図ることができる冷間圧延油組成物を提供することを目的とするものである。本発明者らは、前記の優れた機能を有する冷間圧延油組成物を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、基油と共に、炭素数が特定の範囲にある、分岐状脂肪族ジカルボン酸と直鎖状脂肪族アルコールとから得られたジエステル、炭素数が特定の範囲にあるモノエステル及びリン系化合物を、それぞれ所定の割合で含む組成物により、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。

すなわち、本発明は、

( 1 ) 基油と共に、（A) 主骨格が飽和又は不飽和の炭化水素鎖からなる炭素数 6 〜 2 8の脂肪族ジカルボン酸と、炭素数 1〜 9の脂肪族アルコールとから得られたジエステル 0 . 5 〜 3 0質量％及び ( C ) リン系化合物 0. 0 1〜 5. 0質量％を含むことを特徴とする冷間圧延油組成物、

( 2 ) ( A )成分のジエステルにおける脂肪族ジカルボン酸の炭化水素鎖が分岐状である上記（ 1 ) 記載の冷間圧延油組成物、

( 3 ) さらに（ B ) 炭素数 1 3〜 4 8 のモノエステル 0. 5〜 4 0 質量％を含むことを特徴とする上記（ 1 )記載の冷間圧延油組成物、 ( 4 ) (A)成分のジエステルにおける脂肪族ジカルボン酸が炭素数 1 2〜 2 8 の脂肪族ジカルボン酸と、炭素数 1 〜 6の直鎖状脂肪族アルコールとから得られたジエステルである上記（ 1 ) 記載の冷間圧延油組成物、

( 5 ) ( A )成分のジエステルにおける脂肪族ジカルボン酸が飽和脂肪族ジカルボン酸である上記（ 1 ) 記載の冷間圧延油組成物、

( 6 ) ( C ) 成分のリン系化合物が、正リン酸エステル、そのアミン塩及びアルキルチオホスフエ一トの中から選ばれる少なくとも一種である上記（ 1 ) 記載の冷間圧延油組成物、および

( 7 ) ( C ) 成分のリン系化合物が、正リン酸エステルのアミン塩である上記（ 1 ) 記載の冷間圧延油組成物、

を提供するものである。発明を実施するための最良の形態

本発明の冷間圧延油組成物においては、基油として鉱油及び/又は合成油を使用することができる。

前記鉱油としては、種々のものを挙げることができる。例えば、パラフィン基系原油、中間基系原油あるいはナフテン基系原油を常圧蒸留するか、あるいは常圧蒸留の残渣油を減圧蒸留して得られる留出油、またはこれを常法にしたがつて精製することによって得られる精製油、例えば、溶剤精製油、水添精製油、脱ロウ処理油、白土処理油等を挙げることができる。

また、合成油としては、例えば、炭素数 8〜 1 4 のポリ一 α —ォレフイン、ォレフィンコポリマー (例えば、エチレン一プロピレンコポリマーなど）、あるいはポリブテン、ポリプロピレン等の分岐ォレフインやこれらの水素化物、さらにはポリオールエステル（トリメチロールプロノンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステルなど）等のエステル系化合物、アルキルベンゼン等を用いることができる。

本発明においては、基油として、前記鉱油を一種用いてもよいし、二種以上組み合わせて用いてもよく、前記合成油を一種用いてもよいし、二種以上組み合わせて用いてもよい。また、該鉱油一種以上と合成油一種以上を併用することもできる。そして、該基油としては、温度 4 0 °Cにおける動粘度が、：！〜 3 0 m m 2 / s の範囲にあるものが好ましレ、。この動粘度が 1 mm² Z s 未満では引火点が低く、引火による火災などの危険性が増すおそれがあり、一方、 3 0 mm² / s を超えると、圧延板表面にオイルピットが発生して光沢度が低下したり、巻きズレが発生するなどの不具合が生じる原因となる場合がある。より好ましい動粘度は、 4〜 2 0 mm2 Z s である。

本発明の組成物においては、（A) 成分として、主骨格が飽和又は不飽和の炭化水素鎖からなる炭素数 6〜 2 8 の脂肪族ジカルボン酸と、炭素数 1 〜 9の脂肪族アルコールとから得られたジエステルが用いられる。

前記脂肪族ジカルボン酸が、炭素数 6未満のものでは耐ヒートスクラッチ性能に劣り、一方 2 8 を超えるものは、特に低粘度の基油を用いた場合にジエステルの溶解性が悪くなる。好ましい炭素数は、

1 2〜 2 8であり、さらに好ましくは 1 4〜 2 4であり、特に 1 6

〜 2 0が好ましレ、。

また、該脂肪族ジカルボン酸は、分岐鎖を有することが好ましく、分岐鎖を有することにより、ジエステルの溶解性が良くなり、所望の性能を有する圧延油組成物が容易に得られるという利点がある。本発明においては、前記脂肪族ジカルボン酸として、飽和及び不飽和のいずれも用いることができるが、これらの中で飽和脂肪族ジカルボン酸が好ましい。この飽和脂肪族ジカルボン酸としては、例えば一般式（ I )

HOOC— (CH₂)_m— CH— (CH₂)_n— COOH

I · · ·( I )

(CH₂)_kCH₃

(式中、 kは 0〜 3 の整数、 m及び nは、それぞれ 1 〜 2 3 の整数を示し、 k と mと n との合計は 8〜 2 4の整数である。）で表される化合物を好ましく挙げることができる。本発明において、（A ) 成分であるジエステルに用いられる、主骨格が飽和又は不飽和の分岐状炭化水素鎖からなる炭素数 6〜 2 8 の脂肪族ジカルボン酸の具体例としては、下記の化学式

HOOC-(CH₂)5-CH-(CH₂)io-COOH

CH₂CH₃ (C= 20)

HOOC— (CH₂)₅— CH— (CH₂)₂—CH=CH— (CH₂)₆ - COOH

CH=CH₂ (C= 20)

HOOC - (CH₂)₅— CH— (CH₂)₆— COOH

CH₂CH₃ (C= 16)

HOOC - (CH₂)₅-CH— (CH₂)₆-COOH

CH=CH₂ (C= 16)

HOOC— CH— (CH₂)₅— COOH

(CH₂)₃— CH₃ (C= 12)

HOOC-(CH₂)₆— C=CH— (CH₂)₂—CH=C(CH₂)₆— COOH

CH₃ CH₃ (C= 22) で表される化合物などを挙げることができる。一方、脂肪族アルコールとしては、炭素数 1 〜 9のものが用いられる。この炭素数が 9 を超えるものではジエステルの溶解性が悪くなる。好ましい炭素数は 1 〜 6、さらに好ましくは 1 〜 4である。また、該脂肪族アルコールは直鎖状であることが好ましい。分岐鎖を有するものでは、耐ヒートスクラッチ性能が劣る場合がある。

このような直鎖状脂肪族アルコールの具体例としては、メタノール、エタノーノレ、 n —プロパノール、 n—プタノ一ノレなどを挙げることができる。

本発明においては、（ A ) 成分として、前記の脂肪族ジカルボン酸と脂肪族アルコールから得られたジエステルが用いられるが、該ジエステルは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、圧延油組成物における該ジエステルの含有量は、 0 . 5 〜 3 0質量％の範囲で選定される。この含有量が 0 . 5質量％未満では圧延板の光沢むらの低減及ぴ耐ヒートスクラツチ性能の向上効果が充分に発揮されず、本発明の目的が達せられない。一方 3 0質量％を超えるとその量の割には効果の向上が認められず、むしろ経済的に不利となる。該ジエステルの好ましい含有量は、 1〜 2 0質量。/。の範囲であり、特に 1 〜 1 5質量％の範囲が好ましい。本発明の組成物においては、さらに（ B ) 成分として、炭素数 1 3〜 4 8 のモノエステルを含むことが好ましい。このモノエステルを、前記（A )成分のジエステルと組み合わせて用いることにより、ジエステルを単独で用いる場合に比べて、より一層の光沢むらの低減及び耐ヒートスクラッチ性能の向上効果が発揮される。しかも、このモノエステルを用いることにより、ジエステルの使用量を低減させることができる。

前記（ B ) 成分のモノエステルとしては、例えば一般式（II)

R C O O R ¹ ··· ( II) (式中、 Rは炭素数 1 1 〜 2 2のアルキル基、 R i は炭素数 1 〜 2 5 のアルキル基を示し、 R と R i の合計炭素数は 1 2 〜 4 7 である。）

で表される化合物を挙げることができる。

前記一般式（II) で表されるモノエステルの好ましい炭素数は 1 3〜 3 6の範囲である。該モノエステルの具体例としては、ステアリン酸メチル、ステアリン酸プチル、ステアリン酸ォクチル、パルミチン酸ォクチルなどが好ましく挙げられるが、これらの中で、性能及び入手の容易さなどの点から、ステアリン酸プチルが好ましい。

本発明においては、（ B ) 成分として、前記モノエステルを一種用いてもよく、二種以上組み合わせて用いてもよい。また、圧延油組成物における該モノエステルの含有量は、 0 . 5〜 4 0質量％の範囲が好ましい。この含有量が 0 . 5質量％未満では圧延板の光沢むらの低減及び耐ヒートスクラッチ性能の向上効果が充分に発揮されず、本発明の目的が達せられない場合がある。一方 4 0質量％を超えるとその量の割には効果の向上が認められず、むしろ経済的に不利となる上、低温流動性が悪化する場合がある。該モノエステルの好ましい含有量は、 3〜 3 0質量％の範囲であり、特に 5〜 2 0質量％の範囲が好ましい。

本発明の組成物においては、（ C )成分としてリン系化合物が用いられる。このリン系化合物としては、特に制限はなく、例えば正リン酸エステル、そのアミン塩、アルキルチオホスフェートなどが好ましく用いられ、これらの中でも正リン酸エステルのァミン塩が好ましい。前記正リン酸エステルとしては、例えば一般式（III)

で表される化合物を挙げることができる。

前記一般式（III)で表される正リン酸エステルにおいて、 R ² ， R ³ 及び R 4 は、それぞれ水素原子又は炭素数 4〜 2 0 の炭化水素基であり、それらはたがいに同一であっても異なっていてもよいが、その中の少なくとも 1 つは炭素数 4〜 2 0 の炭化水素基であることが好ましい。炭素数 4〜 2 0 の炭化水素基としては、炭素数 4〜 2 0 の直鎖状、分枝鎖状若しくは環状のアルキル基又はアルケニル基、炭素数 6 〜 2 0 のァリール基、炭素数 7〜 2 0 のアルキルァリール基、炭素数 7〜 2 0 のァリールアルキル基などを挙げることができる。これらのうち、炭素数 7〜 2 0のアルキルァリール基が好ましい。このようなものの具体例としては、ブチル基、ペンチノレ基、へキシル基、シクロへキシル基、ォクチル基、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、ォレイル基、エイコシノレ基、フエニル基、メチルフエニル基、ィソプロピルフエ二ノレ基、キシリル基、ベンジル基、フエネチノレ基などが挙げられ、これらのうち特にメチルフエニル基、ィソプロピルフエニル基が好ましい。また、正リン酸エステルのアミン塩としては、一般式（IV)

0

(R⁵0)_aP— (OH)_3-a · (NH_bR⁶ _3-b)3-a · · ·( IV ) で表される化合物を挙げることができる。

前記一般式（IV) において、は炭素数 4〜 2 0 の炭化水素基であり、炭素数 8〜 1 8の炭化水素基が好ましく、炭素数 1 2〜 1 8の炭化水素基がさらに好ましい。 R⁶ は炭素数 4〜 2 0の直鎖状、分岐鎖状、環状のアルキル基又はアルケニル基であり、炭素数 8〜 1 8のもの、さらには炭素数 1 2〜 1 6の直鎖状、分岐鎖状、環状のアルキル基又はアルケニル基であることが好ましレ、。 a及び bはそれぞれ 1又は 2であり、複数の R 5 は同一でも異なっていてもよく、また複数の R ⁶ は同一でも異なっていてもよい。

前記 R 5 で表される炭素数 4〜 2 0の炭化水素基については、前述の一般式（III)における R²〜R⁴ のうちの炭素数 4〜 2 0の炭化水素基の説明と同じである。また R ⁶ としては、例えばブチル基、ペンチル基、へキシル基、シクロへキシル基、ォクチル基、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、ォレイル基、エイコシル基などが挙げられる。

—方、アルキルチオホスフエ一トとしては、アルキル基が炭素数 4〜 2 0の直鎖状、分岐鎖状、環状の飽和又は不飽和基である各種のモノチォホスフェート、ジチォホスフェート、トリチォホスフエートなどを挙げることができる。ここで、該アルキル基としては、前記一般式（IV) における R⁶ の説明において、例示した基と同じものを挙げることができる。

本発明においては、この（ C) 成分のリン系化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、圧延油組成物における該リン系化合物の含有量は、 0. 0 1〜 5.

0質量％の範囲で選定される。この含有量が 0. 0 1質量％未満では光沢むらの抑制効果が充分に発揮されず、一方 5. 0質量％を超えるとその量の割には効果の向上が認められず、むしろ経済的に不利となる。該リン系化合物の好ましい含有量は、 0 . 0 2〜 4質量％の範囲であり、特に 0 . 1〜 3質量％の範囲が好ましい。

本発明の組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により各種添加剤、例えば酸化防止剤、防鲭剤、腐食防止剤、消泡剤などを単独又は二種以上組み合わせて、適宜含有させることができる。

.前記酸化防止剤としては、例えばアルキル化ジフヱニルァミン、フエニノレー _a 一ナフチノレアミン、アルキノレイ匕一 α —ナフチノレアミンなどのアミン系、 2， 6 —ジー t 一プチノレ一 ρ —タレゾールなどのフエノール系、及び硫黄系などが、防鲭剤ゃ腐食防止剤としては、例えばソルビタンエステル、中性アルカリ金属若しくはアル力リ土類金属スルホネート、アル力リ金属若しくはアル力リ土類金属フヱネート、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属サリチレート、チアジアゾール、ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。また、消泡剤としては、例えばジメチルポリシロキサン、フルォロエーテルなどが挙げられる。

これらの必要に応じて用いられる添加剤の合計含有量は、 1 0質量％以下が好ましく、 5質量％以下がさらに好ましい。

本発明の圧延油組成物においては、その粘度については特に制限はないが、潤滑性と板表面光沢を得るために、 1〜 2 0 m m ² Z s の範囲が好ましく、特に 2〜 1 0 m m ² / s の範囲が好ましい。

このような組成を有する本発明の冷間圧延油組成物は、以下に示す効果を奏する。 ( 1 ) 分割バックアップロールを用いた形式の圧延機で、分割バックアップロールによる形状制御を実施しながらも、ロールコーティングむらや圧延板の光沢むらを減少させることができる。すなわち、圧延製品の形状と表面品質（光沢むら）を改善することができる。

( 2 ) 圧延速度を上げると、圧延時の単位時間当たりの発熱量が大きく、ロールの蓄熱が大きくなつて板幅方向の熱膨張が不均一となるので、ロールコーティングむらや圧延板の光沢むらが生じやすく 'なるが、本発明の圧延油組成物を用いることにより、圧延速度を上げても光沢むらが生じにくくなる。

( 3 ) 耐ヒートスクラッチ性能が向上する。

( 4 ) 上記（ 1 ) 〜（ 3 ) より、生産性の向上と製品の品質向上とを両立させることができる。

本発明の冷間圧延油組成物が適用される金属材料については特に制限はないが、金属材料の中でもステンレス鋼材に適用するのが好ましい。

次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではなレ、。

実施例 1 一 9及び比較例 1一 5

( 1 ) 冷間圧延油組成物の調製

4 0 °Cの動粘度が 8 . 0 mm² / s のパラフィン基系鉱油に対し、第 1表に示す成分を、組成物全量に基づき第 1表に示す量で配合することにより、冷間圧延油組成物を調製した。

なお、使用した成分は、次のとおりである。

モノエステノレ：ステアリン酸ブチルジエステル 1 HOOC-(CH₂)₅— CH— (CH₂)₁₀-COOH

し Hっ H3

で表される分岐鎖を有する脂肪族ジカルボン酸とメチルアルコールとのジエステル（特公平 7 — 4 5 6 7 4公報第 1表の Aを使用）ジエステル 2 ： HOOC-(CH₂)₆— C=CH-(CH₂)₂— CH=C(CH₂)₆— COOH

hU

'で表される分岐鎖を有する脂肪族ジカルボン酸とメチルアルコールとのジエステル（特公平 7— 4 5 6 7 4公報第 1表の I を使用）ジエステル 3 ：アジピン酸ジイソノニル（ D I N A )

T C P ：トリクレジルホスフェート

リン酸エステノレのアミン塩：ジォレイノレアシッドホスフエートの炭素数 1 2〜 1 4 のアルキルアミン塩

( 2 ) 圧延実験

第 2表に示す圧延実験条件で、第 3表に示すパススケジュールに従って圧延実験を行い、 3パス目で高速圧延時の光沢むらを評価し、 4ノス目に押し付けロール（外径 1 3 5 mm、幅 1 O mm) を 1 9 . 6 k Nで押し付けて分割ロールの接触部分、非接触部分の光沢むらを評価した。さらに、 5パス目でヒートスクラッチ限界圧下率を求め、耐ヒートスクラッチ性能を評価した。（第 5 1回塑性加工連合講演会（ 2 0 0 0 . 1 1 . 3〜 5 ) 予稿集、 3 0 3〜 3 0 4頁「ステンレス冷間圧延における分割ロールによる表面光沢むらのシミュレーシヨン」参照）結果を第 1表に示す。なお、光沢むらは、目視により、下記の 4 段階評価を行った。

0 ：むらなし

1 ：かす力にむらあり

2 ：はっきりとしたむらが確認できる

3 ：強度のむらが認められる。

第 1 表

第 1 表一 3

比較例

1 2 3 4 5 モノエステル 15.0 18.0 15.0 15.0 ジエステノレ 1 3.0

ジエステレ 2 3.0 成分組成ジエステリレ 3 30.0

(重量％) TCP

リン酸エステルのアミン塩

C₈トリチォフォスフェート

3パス目光沢ムラ 2 2 1 1 2

4パス目光沢ムラ 2 2 2 2 2 評価

5パス目ヒートスクラッチ

18.3 19.0 38.2 38.4 38.1 限界圧下率 (％) 第 2表

第 3 ¾:

産業上の利用可能性

本発明によれば、分割バックアップ口 'ノレのローノレコーティングむらによる圧延板の光沢むらの低減、ヮクロールの幅方向での口一ルコーティングむらによる圧延板の光沢むらの低減及び耐ヒートスクラッチ性能（圧延性）の向上を図ることができ、特にステンレス鋼材の圧延に好適な冷間圧延油組成物を提供することができる。

Claims

請求の範囲

1 . 基油と共に、（ A) 主骨格が飽和又は不飽和の炭化水素鎖からなる炭素数 6〜 2 8 の脂肪族ジカルボン酸と、炭素数 1〜9 の脂肪族アルコールとから得られたジエステル 0. 5〜 3 0質量⁰ /₀及び（ C ) リン系化合物 0. 0 1〜 5. 0質量％を含むことを特徴とする冷間圧延油組成物。

2 . ( A )成分のジエステルにおける脂肪族ジカルボン酸の炭化水素鎖が分岐状である請求項 1記載の冷間圧延油組成物。

3 . さらに（ B ) 炭素数 1 3〜4 8 のモノエステル 0 . 5〜4 0質量％を含むことを特徴とする請求項 1記載の冷間圧延油組成物。

4 . (A)成分のジエステルにおける脂肪族ジカルボン酸が炭素数 1 2〜2 8 の脂肪族ジカルボン酸と、炭素数 1〜 6 の直鎖状脂肪族ァルコールとから得られたジエステルである請求項 1記載の冷間圧延油組成物。

5 . (A)成分のジエステルにおける脂肪族ジカルボン酸が飽和脂肪 '族ジカルボン酸である請求項 1記載の冷間圧延油組成物。

6 . ( C ) 成分のリン系化合物が、正リン酸エステル、そのアミン塩及びアルキルチオホスフエ一トの中から選ばれる少なくとも一種で 'ある請求項 1記載の冷間圧延油組成物。

7 . ( C ) 成分のリン系化合物が、正リン酸エステルのアミン塩である請求項 1記載の冷間圧延油組成物。