明 細 書 電池パックの製造方法 技術分野
本発明は、 小型の携帯電子機器等の電池電源に適するように構成要素 を樹脂充填により一体化し、 小型化並びに堅牢性の向上を図った電池パ ックとその製造方法に関するものである。 背景技術
携帯電話機や P D Aなどの携帯電子機器の小型化あるいは薄型化、 更 には高機能化の進展は著しく、 それに対応してその電源となる電池に小 型、 薄型で高容量化が要求されている。 小型で高容量化を可能にする電 池としてリチウムイオン二次電池が有効であり、 中でも扁平な角形のも のは機器の薄型化に好適であり、 繰り返し使用ができる二次電池として 携帯電子機器への適用が増加している。
前記リチウムィオン二次電池はエネルギー密度が高く、 電解液として 可燃性の有機溶媒を用いているため、 安全性への配慮が重要となる。 何 らかの原因によって異常が生じたときにも人体や機器に損傷を与えない ように安全性を確保する必要がある。 例えば、 電池の正極端子と負極端 子との間が何らかの原因によって短絡した場合、 エネルギー密度の高い 電池では過大な短絡電流が流れ、 内部抵抗によってジュール熱が発生し て電池の温度が上昇する。 電池が高温になると正極板活物質と電解液と の反応や電解液の気化、分解などが生じて電池内部のガス圧が急上昇し、 電池は破裂や発火に至る恐れがある。 電池が高温状態に陥る原因は上記 外部短絡だけでなく、 二次電池を過充電した場合や、 電池を装填した携 帯電子機器を暖房機の傍らに置いたり、 炎天下に駐車した車内に放置し
差替え用紙 (規則 26)
た場合なども該当する。
電池が異常な状態に陥る原因は、 電気的、 機械的、 熱的など種々の要 因が考えられ、 リチウムィオン二次電池をはじめとする非水電解質二次 電池では、 電池が異常状態に陥ることを防止すると共に、 異常状態に陥 つた場合にも危険な状態にならないようにする機能が設けられる。 電池 自体の機能として、 極板の活物質や電解液が過剰な反応を起こしにくい ように工夫され、 セパレー夕として用いられるポリオレフィ ン系微多孔 膜は異常な高温になると軟化して細孔が塞がれることによるシャツ トダ ゥン機能が備わっている。また、円筒形のリチウムイオン二次電池では、 封口部に入出力回路と直列に接続した P T C (P o s i t i v e T h e r m a 1 C o e f f i c i e n t ) 素子を配設して、 外部短絡によ る過大電流を制限する保護機能が設けられている。 電池内に前記 P T C 素子を設けるスペースがない小型の電池では、 外付けの回路部品として
P T C素子や温度ヒューズが配線接続され、 更に過充電や過放電等から 電池を保護する電池保護回路を設けるのが必須要件となっており、 これ らの構成要素を二次電池と共にパックケース内に収容して電池パックの 形態に構成されたものが一般的である。
しかし、 前記パックケースを形成するための樹脂成形金型は、 その製 作費用が高く、 開発期間も長くなるので、 新機種の投入期間が短い携帯 電子機器などに対応できない。 また、 前述のように携帯電子機器の小型 化、 薄型化に対応する電池パックを構成するにも、 樹脂成形の成形可能 な肉厚に限度があるので、 樹脂成形による外装ケースには限界がある。
また、 電池パックは、 それを分解して間違った使用や興味本位で使用 されることを防く、ために、 分解し難いように構成することや、 分解した ことが分かるように構成することが安全確保上で重要である。 また、 携 帯電子機器に適用されることを考慮すると、 落下等による衝撃や振動に 耐え得る堅牢な構造や電子回路部位の耐湿性が要求される。 このような
分解し難く堅牢且つ耐湿性を有する構造を実現すぺく、 電池保護回路等 を構成した回路基板と電池とを樹脂モ一ルディ ングにより一体化するこ とが構想されている。
上記樹脂モールディングによる電池パックは、 日本国特許公開公報 2 0 0 2— 1 3 4 0 7 7号および同 2 0 0 2— 1 6 6 4 4 7号に開示され たものがあり、 電池と回路基板とを接続部材により接続した中間完成品 を金型内に配置し、 回路基板に形成した外部接続端子が外部露出するよ うにして中間完成品の周囲に樹脂を充填する。
また、 日本国特許公開公報 2 0 0 0— 3 1 5 4 8 3号では、 電池と回 路基板とを接続部材により接続したものを金型内に配置し、 回路基板を 樹脂封止して電池上又はパックケース (電池蓋体) に固定する構成、 あ るいは回路基板と電池とを樹脂封止する構成が開示されている。
前述したようにリチウムィオン二次電池を用いた電池パックでは、 外 部短絡や過充電等によつて温度上昇しないように二次電池を保護する機 能が設けられるが、 このような保護機能が機能しなかった場合の最終的 な安全機能として電池回路を遮断するために温度ヒューズや P T C素子 などの熱感応素子を設けて電池パックが構成される。
熱感応素子は過大電流だけでなく二次電池の温度によっても作動する ように二次電池に熱結合した状態に配設され、 二次電池から回路基板に 至る回路に接続されるので、 二次電池と回路基板との間に樹脂を充填成 形する場合に、 充填された樹脂の温度により熱感応素子が熱破壊されな いようにする必要がある。 温度ヒューズの場合では一般的に 1 0 4 °Cで 溶断するように設定されており、 これに対して充填される樹脂が比較的 溶融温度の低いホッ トメルトであっても、 その温度は 2 0 0 °Cを越える 温度である。 ホッ トメルトは他の成形用樹脂に比して溶融温度が低く取 り扱いが容易であるが、 それでも温度ヒュ一ズの溶断温度をはるかに越 える温度である。 このホヅ トメルトが直接温度ヒューズに接触すると、
温度ヒューズは間違いなく溶断し、 電池パックは回路が切断されて機能 しないものとなる。 また、 P T C素子の場合でも 2 0 0 °Cを越える温度 の樹脂により主要な構成材料である導電性ポリマ一の架橋状態等に変化 を来し、 温度—電流特性やト リップ温度を変動させ、 P T C素子の信頼 性を損なう状態になる。従って、熱感応素子を用いて安全機能を構成し、 二次電池と回路基板とを樹脂充填により一体化して構成される電池パッ クでは、 製造途上で熱感応素子を破壊させてしまわない対策を講じるこ とが必須の要件となる。
本発明が目的とするところは、 電池と回路基板とを樹脂モールドによ り一体化して電池パックに構成するとき、 .安全機能として設けられた熱 感応素子が充填される樹脂により破壊されない構造を設けた電池パック とその製造方法を提供することにある。 発明の開示
上記目的を達成するための本願第 1発明は、 二次電池の封口板側に間 隙を隔てて外部接続端子が形成された基板を配置し、 前記間隙に充填成 形された樹脂が二次電池と前記基板とを一体化する電池パックであって、 前記間隙に二次電池に熱結合された熱感応素子が配置され、 前記熱感応 素子が前記樹脂を除く他の構成要素にて熱的に遮蔽されてなることを特 徴とするものである。 溶融 (軟化) した状態にある高温度の成形樹脂が 間隙に充填される際に、 熱感応素子を取り囲む様に接続リード、 絶縁シ 一ト等の前記成形樹脂を除く他の構成要素を介在させ、 この構成要素が 熱感応素子を成形樹脂から熱的に遮蔽することで、 高温度の前記成形樹 脂に直接曝されるのを防止し、 熱感応素子の機能破壊や特性悪化という 不具合の発生を抑制できる。 また、 熱感応素子が二次電池に熱的に結合 されていることで、 二次電池温度の検出精度が向上する。 これは、 二次 電池と基板との間隙に熱感応素子を配すると共に、 この間隙に成形樹脂
を充填成形する本願特有の構成を採用する電池パックであっても、 電池 温度の検出精度の向上を可能にする特有の効果を奏するものである。 一 方、 二次電池と熱感応素子との熱結合は両者を直接接触させることでな され、 二次電池の熱が熱感応素子へと伝わり、 熱感応素子による二次電 池の温度の検出精度を向上させるものである。 さらに熱結合は、 熱感応 素子と二次電池との間にシリコーン樹脂等の熱伝導性を有する絶縁性材 料を介在させる構成として良い。 この構成で有れば、 二次電池と熱感応 素子との絶縁性を確保できる。 また、 単なる接触に比べて熱伝導性が大 幅に向上し、 検出精度の面でも好ましい効果を発揮する。
また、 本願第 2発明は、 二次電池と間隙を隔てて外部接続端子が形成 された基板を配置し、 前記間隙に樹脂を充填成形することによって二次 電池と回路基板とを一体化した電池パックであって、 前記間隙内に前記 二次電池に熱結合させて熱感応素子を配設し、 この熱感応素子を被覆し て断熱部材が設けられてなることを特徴とするものである。 熱感応素子 が断熱部材によって被覆されていることにより、 二次電池と回路基板と の間に充填された樹脂が熱感応素子上に流れ込んでも、 熱感応素子には 樹脂が直接触れることがなく、 断熱部材により樹脂の熱が熱感応素子に 伝熱することが抑制され、 樹脂の充填成形時に熱感応素子を破壊してし まうことなく樹脂充填成形による電池パックを構成することができる。 断熱部材としては、 樹脂や無機物からなる周知の断熱素材からなるシ一 トが用いられ、 熱感応素子を断熱すると同時に、 間隙内に配置される接 続リード等の構成要素に対する絶縁性を有する必要がある。 また、 断熱 素材からなるシートを配置する構成に代えて、 熱感応素子が断熱性を有 する樹脂材料にて被覆する構成を採用してもよい。 何れの構成であって も、熱感応素子は、二次電池の正負極の何れか一方に電気的に接続され、 さらに二次電池に熱結合された状態で、所定位置に配置される。この後、 熱感応素子を被覆する様に、 断熱シ一トを配置或いは樹脂材料にて被覆
する工程を実施することで、 断熱部材によって熱感応素子が被覆される ものである。
また、 本願第 3発明は、 二次電池の封口板側に間隙を隔てて外部接続 端子が形成された基板を配置し、 前記間隙に樹脂を充填成形することに よって二次電池と基板とを一体化した電池パックであって、 前記封口板 に形成された凹部内に熱感応素子を前記二次電池に熱結合させて配設し、 前記凹部上を覆って断熱部材あるいは他の構成要素が配設されてなるこ とを特徴とするものである。 感熱温度素子が凹部内に配設され、 凹部上 を覆って他の構成要素が配設されていることにより、 充填された樹脂が 熱感応素子に触れることがなく、 樹脂の充填成形時に樹脂の温度により 熱感応素子を破壊することなく電池パックに構成することができる。 ま た、 熱感応素子を凹部内に配設すると二次電池の熱が熱感応素子に伝熱 しゃすくなり、 二次電池の異常な温度上昇を速やかに検出して作動させ ることができる。
また、 本願第 4発明は、 二次電池の封口板側に間隙を隔てて外部接続 端子が形成された基板を配置し、 前記間隙に充填成形された樹脂が二次 電池と前記基板とを一体化する電池パックであって、 前記間隙に二次電 池に熱結合された熱感応素子を配してなり、 この熱感応素子は断熱性を 有する被覆層が形成されてなることを特徴とする。 熱感応素子が有する 被覆層は、 断熱性を有しており、 この被覆層が形成された側が成形樹脂 と接する構成とすることで樹脂成形の際に、 熱感応素子が高温の成形樹 脂に曝されるのを防止し、 素子特性の悪化を防止できる。 この構成であ れば、 熱感応素子が被覆層にて保護されており、 断熱部材にて熱感応素 子を被覆する必要が無くなる。 製造時においては、 断熱手段を配置する 必要が無くなり、工数の削減を実現する共に、部品点数の削減を実現し、 コス ト削減の面で効果を奏する。 尚、 上述した被覆層は断熱性を有する 樹脂材料を適用するのが好ましい。 一方、 二次電池に対して熱結合する
必要があり、 二次電池に接する部位には被覆層を未形成とするのが好ま しい。 そこで、 二次電池に接する部位のみに被覆層を形成しない構成を 採用することで樹脂成形時の熱遮蔽と二次電池温度の検出精度に優れた 熱感応素子を具現化できる。 このような素子は、 作成工数を増加させ、 さらに熱感応素子を二次電池に配置する際の工程の煩雑化を招いてしま うことから、 樹脂成形を実施する短時間は熱遮蔽の効果を奏し、 電池パ ックを構成した後は二次電池温度の検出精度を低下させない程度の熱特 性を有する樹脂を用いることで、 熱遮蔽、 検出精度に加え、 作成工数、 コス トにも優れた熱感応素子を提供できる。
上記各構成において、 熱感応素子は温度ヒューズとして構成すること ができ、 二次電池の温度が異常上昇レたとき溶断して電池回路を遮断し て、温度上昇の要因となる電池回路への接続を絶つことができる。また、 熱感応素子は P T C素子を適用することができ、 外部短絡の発生時に過 大電流を制限するだけでなく、 二次電池の異常な温度上昇により抵抗値 を急増させて電池回路の電流を制限するので、 温度上昇の要因となる電 池回路への接続を遮断した状態にすることができる。 また、 熱感応素子 はバイメタル式サーモス夕ヅ トを適用することができ、 外部短絡の発生 時の温度上昇により電流を遮断するだけでなく、 二次電池の異常な温度 上昇により回路を遮断させて電池回路の電流を制限するので、 電池温度 上昇の要因となる電池回路への接続を遮断した状態にすることができる, また、 本願第 5発明は、 二次電池に回路接続した外部接続端子が形成 された基板を二次電池と間隙を隔てて配置した樹脂充填対象物を金型内 に配置し、 前記間隙内に樹脂を充填成形することによって二次電池と基 板とを一体化する電池パックの製造方法であって、 少なく とも前記間隙 内に配設されている熱感応素子の配設位置に対応する部位が熱伝導性に 優れた材料によって形成された金型内に、 前記樹脂充填対象物を配置し て、 間隙内に樹脂を充填成形す ことを特徴とするものである。 金型の
熱感応素子の配設位置に対応する部位を熱伝導性のよい材料によって形 成することによって、 充填された樹脂の熱は熱伝導性のよい材料面に伝 熱するので、 樹脂から熱感応素子に伝熱する熱量が抑制され、 充填され た樹脂の熱によって熱感応素子が熱破壊されることがなく樹脂充填によ り二次電池に基板を一体化した電池パックを製造することができる。 図面の簡単な説明
図 1は、 本発明の実施形態に係る電池パックの外観を示す斜視図であ り、
図 2は、 同電池パックの各構成要素を示す分解斜視図であり、 図 3 Aは、 二次電池の構成を示す平面図であり、 図 3 Bは、 同二次電 池の封口板側の断面図であり、 図 3 Cは、 同二次電池に温度ヒューズを 取り付けた状態の平面図であり、
図 4 Aは、 回路基板の構成を示す外面側の斜視図であり、 図 4 Bは、 同回路基板の内面側の斜視図であり、 図 4。は、 同回路基板へのリード 板取付け状態を示す斜視図であり、
図 5 A〜図 5 Bは、 同回路基板の二次電池への取付け状態を示す斜視 図であり、
図 6は、 金型による位置決め方法を説明する模式図であり、
図 7は、 一次モールド金型の構成を示す斜視図であり、
図 8は、 一次モールド体を形成した状態を示す断面図であり、 図 9は、 二次モールド金型の構成を示す斜視図であり、
図 1 0は、 二次モールド体を形成した状態を示す断面図であり、 図 1 1 A〜図 1 1 Cは、 製造工程の各段階での形成状態を順に示す斜 視図であり、
図 1 2は、 連結成形部の形成位置を説明する断面図であり、
図 1 3は、 温度ヒューズの配設構造の別態様を示す断面図である。
発明を実施するための最良の形態
以下、 添付図面を参照して本発明の実施形態について説明し、 本発明 の理解に供する。 尚、 以下に示す実施形態は本発明を具体化した一例で あって、 本発明の技術的範囲を限定するものではない。
本実施形態は、 扁平角形のリチウムイオン二次電池を用いて携帯電話 機に適用する電池パックを構成した例を示すものである。 携帯電話機に 適用する電池パックは、 小型、 軽量、 薄型に加えて高機能化に対応する 高エネルギー密度、 携帯機器として避けられない落下等による衝撃に耐 え得る機械的強度、 分解され難い構造、 短絡や過充電、 高温等から二次 電池を保護する安全機能など備えることが要求されており、 以下に示す 電池パックはこれらの要件を満たすように構成されている。
図 1は、 実施形態に係る電池パック 1の外観を示すもので、 一方端面 に正極端子及び負極端子、 温度検出端子からなる外部接続端子 6を外部 露出させ、水没シール 9を貼着した扁平形状に構成されている。図 2は、 この電池パック 1を分解して各構成要素を示したもので、 以下に各構成 要素の詳細と、 各構成要素を用いた電池パック 1の製造方法について説 明する。
リチウムイオン二次電池 (以下、 二次電池) 2は、 図 3 Aおよび図 3 Bに示すように、 横断面形状が長円形の有底筒状に形成されたアルミ二 ゥム製の電池缶 2 2内に発電要素を収容し、 電池缶 2 2はその開口端に 封口板 2 3をレーザ一溶接することにより封口されている。 電池缶 2 2 に接合して電池正極となる封口板 2 3には、 その中央に上ガスケッ ト 2 4 a及び下ガスケヅ ト 2 4 bで絶縁して電池負極 2 5が凸形成されてい る。 また、 封口板 2 3の両側には封口板 2 3をプレス加工してキノコ状 の係合突起 2 6、 2 6が形成される。 尚、 2 7は電解液注入口を閉じる 封栓で、 電池缶 2 2内に電解液を注入した後、 電解液注入口は封栓 2 7
によって閉じられ、 封栓 2 7は封口板 2 3に溶接される。
前記係合突起 2 6は、 封口板 2 3の所定位置にプレス加工により円筒 状の突出部を形成し、 これの頭部が周囲に開くようにプレス加工すると、 図示するようなキノコ状に形成される。 尚、 係合突起 2 6はプレス加工 によらずキノコ状や逆 L字状の部材を封口板 2 3に溶接することによつ ても形成することができる。
上記二次電池 2には、 図 3 Cに示すように、 電池負極 2 5に温度ヒュ —ズ (熱感応素子) 1 0の一方接続片 1 0 aがスポッ ト溶接される。 温 度ヒューズ 1 0の上面には破線で示すように断熱シート 1 6が貼着され、 後述する樹脂充填時に温度ヒューズ 1 0が溶断することを防止している, 断熱シート 1 6 として、 ここではァク リル樹脂を発泡処理したシートに 粘着剤層を形成した 0 . 6 m m厚さの V H Bアクリルフォーム (住友 3 M社製) を適用しているが、 後述する素材を用いることもできる。 温度 ヒューズ 1 0の他方接続片 1 0 bは、 封口板 2 3上に貼着した絶縁紙 2 1上に配置され、 後述する負極リード板 5が接続される。 また、 温度ヒ ュ一ズ 1 0は熱伝導性の接着剤により封口板 2 3に固定されることによ り、 二次電池 2と熱結合された状態に配設される。
二次電池 2を過充電や過放電、 過電流から保護する保護回路を構成し た回路基板 3は、 その外面側となる一方面に、 図 4 Aに示すように、 前 記外部接続端子 6やテス ト端子 3 0が形成され、 二次電池 2側となる他 方面に、 図 4 Bに示すように、 集積回路部品をはじめとする電子部品 3 1が実装され、 両側に二次電池 2に接続するための正極半田付けランド 3 2、 負極半田付けラン ド 3 3が形成されている。 尚、 各図は回路パ夕 ーンゃスルーホール等の表示は省略している。 前記正極半田付けランド 3 2には電子部品 3 1上に絶縁紙 3 '4を配して正極リード板(接続部材) 4の一端が、 負極半田付けラン ド 3 3には負極リ一ド板 (接続部材) 5 の一端が、 図 4 Cに示すように半田付けされる。
この接続加工を終えた回路基板 3は、 図 5 Aに示すように、 二次電池 2に対し、 正極リ一ド板 3 2の他端は封口板 2 3の板面に、 負極リード 板 3 3の他端は前記温度ヒューズ 1 0の他方接続片 1 0 b上に、 それそ れスポッ ト溶接される。 この接続状態では、 回路基板 3は封口板 2 3の 板面に対して直交する方向になっているので、 図 5 Bに示すように、 正 極及び負極の各リード板 4、 5を折り曲げ、 回路基板 3の板面と封口板 2 3の板面との間に間隙を設け、 封口板 2 3 と略並行になる状態に整形 する。 このように二次電池 2に回路基板 3を接続して、 図 1 1 Aに示す ような樹脂充填対象物 7が形成される。
上記樹脂充填対象物 7の二次電池 2 と回路基板 3との間の間隙に樹脂 を充填し、 二次電池 2に回路基板 3を一体化する。 このとき、 二次電池 2の底面から回路基板 3の外部接続端子 6の形成面までの高さ Hが所定 寸法になるように樹脂成形することが重要で、 それを実現する製造方法 について以下に説明する。
図 6に示すように、 一次モールド金型 3 5の下型 3 6は、 可動部 4 1 が付勢手段 4 5によって固定部 4 2側に移動可能に構成され、 可動部 4 1には真空吸着部 4 3が設けられている。 前記可動部 4 1を後退させた 状態にして下型 3 6内に樹脂充填対象物 7 (図では二次電池 2 と回路基 板 3のみを表示) を配置し、 可動部 4 1を前進させると二次電池 2はそ の底面が固定部 4 2内の壁面に押し付けられて位置決めされる。 一方、 回路基板 3は真空吸着部 4 3からの真空吸引により真空吸着部 4 3の壁 面に密着して位置決めされる。
前記二次電池 2の底面から回路基板 3の外部接続端子 6の形成面まで の高さ寸法 Hは、 二次電池 2の高さ寸法 hのバラヅキ及び回路基板 3が 一定位置に固定されないことが原因で変動するが、 回路基板 3は真空吸 引によって一定位置に固定され、 可動部 4 1は二次電池 2の高さ寸法 h に応じて、 その前進量が変化するので、 下型 3 6内に位置決めされた二
次電池 2 と回路基板 3とは、 それらの間の間隙の高さ寸法 Gの変化によ り、 二次電池 2の底面から回路基板 3の外部接続端子 6の形成面までの 高さ寸法 Hは一定の状態になる。
上記のように二次電池 2 と回路基板 3 とを位置決めした下型 3 6上に、 図 7に示すように上型 3 7を下降させ、 上型 3 7に設けられたゲート 4 4から二次電池 2 と回路基板 3との間の間隙に樹脂を注入する。 図 8に 示すように、 注入された樹脂は、 回路基板 3に実装された電子部品 3 1 や正極及び負極の各リ一ド板 4、 5の周囲にも回り込んで回路基板 3に 接合し、 二次電池 2の封口板 2 3上に形成された係合突起 2 6のアンダ —カッ ト部分にも回り込んで封口板 2 3に接合する。 樹脂は電子部品 3 1や二次電池 3、 あるいは温度ヒューズ 1 0に悪影響を与えない程度の 温度で流動化し、 温度低下により硬化するホッ トメル卜が好適である。 樹脂の温度が比較的低くても 2 0 0 °Cを越える温度であるため、 溶断 温度が 1 0 4 °Cに設定されている温度ヒューズ 1 0に触れると、 温度ヒ ユーズ 1 0は溶断して電池パック 1 自体の機能を停止させてしまうこと になる。 その対策として、 前述したように断熱シート 1 6により温度ヒ ュ一ズ 1 0を覆い、 温度ヒューズ 1 6を樹脂の熱から遮蔽している。
充填された樹脂を硬化させた後、 上型 3 7を開き、 真空吸着部 4 3の 真空吸引を解除し、 可動部 4 1を後退させると、 二次電池 2と回路基板 3とが樹脂の硬化により形成された一次モールド体 1 1により一体化さ れ、 図 1 1 Bに示すような中間完成品 8 として下型 3 6から取り出すこ とができる。 この中間完成品 8の周囲に外装被覆を施すことによって電 池パック 1に形成することができる。
外装被覆は、 二次モ一ルディングと卷着シ一卜の貼着によって形成さ れる。 二次モールディ ングを実施する前に、 二次電池 2の底面にイ ンシ ユレ一夕 1 4を貼着する。
二次モ一ルディ ングは、 図 9に示すように、 二次モールド金型 4 6に
前記中間完成品 8を配置して、 中間完成品 8の所要部位に樹脂を成形す る。 二次モールド金型 4 6の下型 4 7には中間完成品 8を収容する凹部 5 0が形成されており、 凹部 5 0の一側壁面には内方に進出付勢される 3個の外部接続端子用突起 5 1 とテス ト端子用突起 5 2 とが設けられ、 対向する他側壁面には内方に進出付勢される底面用突起 5 4が設けられ ている。 凹部 5 0内に中間完成品 8を配置し、 前記外部接続端子用突起 5 1及びテス ト端子用突起 5 2、 底面用突起 5 4を進出させると、 外部 接続端子用突起 5 1は回路基板 3上に形成された 3か所の外部接続端子 6に圧接し、 底面用突起 5 4は二次電池 2に底面に貼着されたィンシュ レ一夕 1 4に圧接する。
この状態の下型 4 7上を上型 4 8で閉じ、 上型 4 8に設けられたゲ一 ト 5 3から二次モールド金型 4 6内に樹脂を充填する。 樹脂は 4か所か ら二次モールド金型 4 6内に射出され、 図 1 0に示すように、 中間完成 品 8の外部接続端子 6及びテス ト端子 3 0を外部露出させて一次モール ド体 1 1及び回路基板 3を被覆し、 図 1 1 Cに示すように二次電池 2の 封口板 2 3上に固着した上部成形部 1 7を形成すると共に、 二次電池 2 の底面にインシユレ一夕 1 4の周囲を包み込んで所定厚さに固着した下 部成形部 1 8を形成し、 更に前記上部成形部 1 7 と下部成形部 1 8 とを 二次電池の側面コーナーで連結する連結成形部 1 9が形成される。 前記 連結成形部 1 9は、 図 1 2に示すように、 横断面形状が長円形の二次電 池 2の円弧側面の一方側 9 0度部位が直角に形成されるように樹脂が成 形される。 前記上部成形部 1 7及び下部成形部 1 8、 連結成形部 1 9に よって、 図 2に示した二次モールド体 1 2が形成される。
前記上部成形部 1 7の周面の二次電池寄りには段差部 3 8が形成され ており、 これを貼着位置決め線として、 二次電池 2の側周面を卷回して 卷着シート 1 3が卷着される。 この後、 テス ト端子 3 0を用いて動作状 態が検査され、 検査合格品にはテス ト端子 3 0周囲の凹部内に水没シー
ル 9が貼着され、テス ト端子 3 0は水没シール 9 によって被覆隠蔽され、 図 1 に示したような電池パヅク 1が形成される。
このように形成された電池パック 1は、 扁平な一方面の両肩部分が二 次電池 2の両側面の円弧が表面に現れる円弧コーナ一に形成され、 他方 面の両肩部分が連結成形部 1 9 によって角形コーナ一に形成されるので. 外部接続端子 6が非対称位置に形成されていることと相まって機器への 逆装填が防止できる。 また、 円弧コーナ一は機器ケースの角部のアール 形状に対応し、 無駄な空間が形成されることなく機器への収納が可能と なる。
上記構成においては、 温度ヒューズ 1 0等の熱感応素子が充填される 樹脂の熱により破壊や変質に至ることを防止するために断熱シート 1 6 を貼着する構成を示したが、 充填された樹脂が固化するまでの間、 熱感 応素子への熱的影響を阻止することができるものを適用することができ る。 断熱処理の形態としては、 断熱性のシートを熱感応素子上に貼着す る方法と、 熱感応素子を断熱性の樹脂で被覆する方法とを適用すること ができる。
熱感応素子を被覆する断熱性樹脂としては、 充填される樹脂よ り高い 溶融温度を有する樹脂が選択され、 P P S (ポリ フエ二レンサルフアイ ド)、 P A (ポリアミ ド)、 P A I (ポリアミ ドイ ミ ド)、 P I (ポリイ ミ ド)、 P E E K (ポリエ一テルエ一テルケ トン) などが好適で、 更に充填 される樹脂との密着性に優れたものがより好ましい。
熱感応素子に貼着する断熱シ一ト としては、 発泡処理を施したァク リ ル樹脂やポリウレ夕ンのシート、 上記断熱性樹脂を用いたシートやポリ ウレタン、 液晶ポリマ一、 フヱノール樹脂、 フヅ素樹脂を用いたシート を適用することができる。 また、 セラミ ックス、 ガラスウールやガラス クロス等を基層として耐熱性樹脂を含侵させたシートなどを適用するこ とができる。 これらのシートは、 充填成形される樹脂からの断熱及び射
出圧力からの保護の観点から 0 . 3〜 1 . 0 m m程度の厚さのものが好 適でめる。
上記構成において、 二次電池 2 と回路基板 3 との間に樹脂を充填成形 する際に、 温度ヒューズ 1 0に樹脂からの熱影響が及ばないようにする 対策構造として、 以下に示すような対策構造あるいは充填成形方法を適 用することもできる。
図 1 3に示すように、 二次電池 2の封口板 2 3に凹部 2 8を形成し、 この凹部 2 8内に温度ヒューズ 1 0を配設する。 温度ヒューズ 1 0上は 凹部 2 8の開口を閉じるように断熱シート 1 6を貼着してもよいが、 他 の構成要素を配置して凹部 2 8内への樹脂の流入を阻止しても、 同様の 効果が得られる。 この構成の場合、 二次電池 2の温度が温度ヒューズ 1 0に伝熱しやすくなるので、 二次電池 2が異常に温度上昇したことを温 度ヒューズ 1 0により検出して作動する検出精度及び応答速度が向上す る効果が得られる。温度ヒューズ 1 0の両側に設けられた接続片 1 0 a、 1 0 bはそれそれ絶縁紙 2 9、 2 9によって封口板 2 3から絶縁され、 温度ヒューズ 1 0の本体は凹部 2 8内に熱伝導性の接着剤 (例えば、 シ リコ一ン樹脂) により固定されることにより、 二次電池 2 と熱結合した 状態に配設される。
また、 一次モールド金型 3 5の少なく とも温度ヒューズ 1 0の配設位 置に対応する部位を熱伝導性のよい材質 (例えば、 アルミニウム) で形 成することにより、 樹脂の熱を金型側に放散させ、 温度ヒューズ 1 0へ の熱伝導を抑制することによっても樹脂の充填成形時に温度ヒューズ 1 0が溶断することを防止することができる。
また、 一次モールド金型 3 5は、 その全体もしくは下型 3 6の固定部 4 2を熱伝導性のよい材料、 例えばアルミニウム合金で形成することに より、 温度ヒューズ 1 0が配設された部位の熱伝導性を高めることがで きる。
また、 一次モールド金型 3 5及び二次モールド金型 4 6は、 樹脂充填 対象物 7又は中間完成品 8の活電部位、 例えば正極リード板 4、 負極リ ード板 5、 外部接続端子 6、 テス ト端子 3 0などに対応する部位に絶縁 層を形成して、 活電部位が金型に接触することによる短絡や漏電の発生 を防止する。 絶縁層はアルミニウム製の金型にアルマイ ト処理、 フッ素 樹脂処理等を施すことにより、 熱伝導性に優れると同時に絶縁性を有す る金型とすることができる。
上記説明では、 断熱シ一トで温度ヒューズを成形樹脂から熱的に遮蔽 する構成として説明したが、 断熱シートの代わりに、 二次電池と基板と を電気接続する接続リードが温度ヒューズを覆うように配置することに よって成形樹脂から熱的に遮蔽することができる。
以上説明した構成における温度ヒューズ 1 0は P T C素子に変更する ことができる。 P T C素子は周知の通り平常温度状態では微小な抵抗値 であるが、 所定温度に温度上昇したとき抵抗値が急増して流れる電流値 を一気に制限するもので、 短絡等による過大電流が流れたときには自己 発熱して抵抗値を急増させて過大電流を制限する。 また、 二次電池 2に 熱結合させて配置すると、 二次電池 2が異常温度上昇したことを感熱し て抵抗値を増加させ、 異常温度上昇の原因となっている電流を一気に制 限して温度上昇を停止させる。
この P T C素子を用いた場合にも、 樹脂の充填成形時に樹脂が直接触 れると、 その機能が破壊される恐れがある。 従って、 温度ヒューズ 1 0 の場合と同様に熱遮蔽の構造を設ける必要がある。
さらに、 前述の構成における温度ヒューズ 1 0はバイメ夕ル式サ一モ ス夕ヅ トに変更することができる。 バイメタル式サーモスタッ トは、 熱 膨張係数の異なる 2種類の金属をはりあわせて可動接点を形成し、 所定 温度に温度上昇すると熱膨張係数の差に伴う変形により可動接点が開と なって電流を遮断する素子で、 短絡等による過大電流が流れたときには
自己発熱による温度上昇から電流を遮断する。 また、 二次電池 2 に熱結 合させて配置すると、 二次電池 2が異常温度上昇したことを感熱し、 異 常温度上昇の原因となっている電池電流を遮断して温度上昇を停止させ る。
このバイメタル式サーモスタッ トを用いた場合にも、 樹脂の充填成形 時に樹脂が直接触れると、 温度ショ ック等によりその機能に悪影響を及 ぼす恐れがある。 従って、 温度ヒューズ 1 0の場合と同様に熱遮蔽の構 造を設けるのが好ましい。 断熱シ一 卜で覆う ことによ り よ り断熱性が向 上し、 内部のバイメタル素子への熱影響がよ り確実に回避される。
二次電池と熱結合する部位以外が断熱樹脂で被覆外装されているバイ メタル式サ一モスタツ トを用いると、 単体で樹脂成形時の熱から遮蔽す ることができ、 この場合には、 断熱シートは不要となる。
なお、 これらの熱感応素子は、 設計に応じて設定温度の異なる素子を 組み合わせて使用することもできる。
また、二次電池 2に熱結合される熱感応素子に加えて、回路基板 3に、 所定の電流値を超えると電流を遮断する非復帰式電流遮断機能を発揮す るパターンヒューズを形成し、 複数の電流規制 遮断機能を有する素子 を具備することで、 電池パックの信頼性を大幅に向上させることができ る。 この構成では、 パターンヒューズも、 温度ヒューズ 1 0や P T C素 子と同様に溶融状態にある成形樹脂からの熱影響を受け、 本願発明に係 る課題と同様の作用にてパターンヒューズの特性悪化を招いてしまう。 そこで、 回路基板 3 においてパターンヒューズの形成部位に成形樹脂の 熱を遮蔽する要素を付加する。 具体的には、 請求項 1 に係る樹脂を除く 他の構成要素によ り熱遮蔽する構成、 或いは請求項 2 に係る断熱部材を 配置する構成を採用することで、 本願発明と同様に熱影響を排除できる 効果を得ることができる。
産業上の利用可能性
以上の説明の通り本発明によれば、 外部接続端子が形成された基板を 二次電池と間隙を隔てて配置し、 その間隙に樹脂を充填成形することに より基板と二次電池とを一体化して電池パックに構成するときに、 前記 間隙内に配置される熱感応素子が充填される樹脂により熱破壊されるこ とがないことから、 樹脂充填成形により堅牢に構成された電池パックを 提供することに適している。