明細書 フォトクロミック材料 技術分野
本発明は、 ジヘテロァリールェテン系化合物よりなるフォトクロミック材料に に関する。 , 背景技術
フォトクロミック材料は、 光の作用により状態の異なる 2つの異性体を可逆的 に生成する分子又は分子集合体を含む。 フォトクロミック材料は、光照射により、 色のみならず屈折率、 誘電率、 酸化/還元電位など様々な物性が可逆的に変化す ることから、光メモリ媒体或いは光表示材料などの光機能材料に応用がされうる。 特開平 3— 2 6 1 7 8 2号公報には、 以下に示すような、 閉環/開環反応に関 与する 2力所の反応部位に共にメ トキシ基を有するジヘテロァリールェテン系フ オトクロミック材料が開示されている。
フォトクロミック材料よりなる光メモリ媒体或いは光表示材料は、 その記録或 いは表示が、 室内光などの璩境光で消滅することがある。 ジァリールェテン系化 合物の閉環体における開環反応時の量子収率 (以下、'「開環反応量子収率」 と称 す。) が 1 0—
2程度であると、 室内の蛍光灯で数時間後にはほぼ完全に消滅する。 特開平 3 _ 2 6 1 7 8 2号公報に開示される前述のジヘテロァリールェテン系 化合物は 3 . 3 X 1 0 -
2と 1 0—
2よりも大きい開環反応量子収率を有する。
発明の開示
本発明のフォトクロミック材料は、 一般式 [ I ] で表されるジヘテロァリール ェテン系化合物よりなる。
一般式 [ I] において、 Aは下記置換基 [i]又は [ii]を表し、 Bは下記置換基 [iii]又 は [iv]を表わす。
置換基 [i] 及ぴ [ii] において、 R
1はアルコキシ基を表し、 R
2は— Q_A r を表す。 Qは直接結合又は任意の 2価の基を表し、 A rは置換されていてもよい 芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表ず。 R
3は水素原子、 アルキル基、 アル コキシ基、 ハロゲン原子、 フッ化アルキル基、 シァノ基又は置換されていてもよ ぃァリール基を表し、 Yは一 O—又は一 S—を表す。
置換基 [iii] 及び [iv] において、 R4はアルコキシ基を表し、 R^i—Q— A rを表す。 Qは直接結合又は任意の 2価の基を表し、 A rは置換されていてもよ い芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。 R 6は水素原子、 アルキル基、 ァ ルコキシ基、 ハロゲン原子、 フッ化アルキル基、 シァノ基又は置換されていても
よいァリール基を表し、 Zは一 O—又は一 S—を表わす。
本発明のフォトクロミック材料は、 1 0一3以下の開環反応量子収率を有する。 発明の好ましい形態
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のフォトクロミック材料は、 前記一般式 [I] で表されるジヘテロァリ ールェテン系化合物よりなる。
一般式 [ I ] の置換基 [i] 〜 [iv] において、 R1及び R 4は各々独立に、 例え ばメ トキシ基、 エトキシ基などの炭素数 1〜 3のアルコキシ基を表し、 好ましく はメ トキシ基又はエトキシ基であり、 より好ましくはメ トキシ基である。
1 2及ぴ1 5は各々独立に_(3— rを表す。 Qは直接結合又は任意の 2価の基 を表し、 A rは置換されていてもよい芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。 ジァリールェテン構造の両ヘテロァリール環から置換基 R 2及び R 5へと、 共役が 延びている構造であることが好ましい。 一般式 [ I] における Qは、 好ましくは 直接結合、 一 (_GH=CH— ) n— (ポリエチレン基) (n= l〜5)、 或いは ― (― C≡C— ) n - (ポリアセチレン基) (n= l〜5) であり、 A rは好まし くは 5員環又は 6員環単環からなる基であるか、 5員環及ぴ Z又は 6員環が 2〜 3個、 直接結合又は縮合してなる基が好ましく、 これらはいずれも置換さ てい てもよい。 A rが置換基を有する場合、 置換基としては、 例えば、 メチル基、 ェ チル基、 ブチル基、 へキシル基などの、 炭素数 1〜1 0の直鎖又は分岐のアルキ ル基; メ トキシ基、 エトキシ基、 ブトキシ基、 へキシルォキシ基などの、 炭素数 1〜1 0の直鎖又は分岐のアルコキシ基; フッ素原子、 塩素原子などのハロゲン 原子; トリフスレオロメチル基、 ペンタフルォロェチル基、 2—フノレオ口ェチル基、 2, 2—ジフルォロェチル基、 パーフルオロー n—へキシル基、 2— (パーフル ォロブチル) ェチル基などの、 炭素数 1〜6の直鎖又は分岐のフッ化アルキル基 などが挙げられる。
ジァリールェテン構造におけるヘテロァリール環 (構造 [i] 〜 [iv] に示した 一 Y—又は一 Z—を含む複素環) と R2や R5とが同一平面を形成している構造が 好ましい。 このため、 Ar上の、 一般式 [I] で表されるジァリールェテン構造
のオルト位 (A rがへテロァリール環に結合している位置に対するオルト位) は比較的嵩の低い基を有することが好ましい。
A rの具体例としては、 次のようなものが挙げられる。
ヽ N 、Nク
N N へ
R
2, R
5の好ましい具体例としては次のようなものが挙げられる,
本発明では、 R1及ぴ R4のアルコキシ基と共に、 R2及ぴ R5に上記 A r基を導' 入することにより、 開環反応量子収率を飛躍的に低減することができる。
R3及び R6は各々独立に、 例えば水素原子;メチル基、 ェチル基、 ブチル基、 へキシル基などの、 炭素数 1〜1 0の直鎖又は分岐のアルキル基; メ トキシ基、 エトキシ基、 ブトキシ基、 へキシルォキシ基などの、 炭素数 1〜1 0の直鎖又は 分岐のアルコキシ基; フッ素原子、 塩素原子などのハロゲン原子; トリフルォロ メチル基、 ペンタフルォロェチル基、 2—フノレオ口ェチル基、 2, 2—ジフルォ 口ェチル基、 パーフルオロー n—へキシル基、 2— (パーフルォロプチル) ェチ ル基などの、 炭素数 1〜 6の直鎖又は分岐のフッ化アルキル基; シァノ基; フヱ ニル基、 トシル基などの、 置換されていてもよいァリール基を表す。 1 3及ぴ1 6 としては、 比較的嵩の低い基が好ましく、 特に直鎖のアルキル基が好ましい。 このような本発明のジヘテロァリールェテン系化合物としては、 例えば次のよ うなものが例示される。
いずれの化合物においても、 紫外線照射により閉環反応を生起して効率よく発 色し、 その色は室内に置いておいても数時間で消失することはなく、 長時間安定 に維持することができる。
以下に合成例及び実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、 本発明は 以下の実施例に限定されない。
合成例 1 : 1,2-ビス [2-メ トキシ -5-フエニル -3-チェニル] ペルフルォロシクロ ペンテンの合成
( 1 - 1 ) 3,5-ジブロモ -2-メ トキシチォフェンの合成
四塩化炭素 40 mlに 2-メ トキシチォフェン 16 g (145 mmol) を加え、 氷水浴 下で撹拌しながら N-プロモスクシンィミ ド 51 g(290 mmol)と四塩化炭素 250 ml を徐々に加えた。 水浴を外して終夜撹拌した後、 氷水浴で冷却し、 吸引濾過によ り固形物を濾過した。 濾液をクロ口ホルムで抽出した後、 炭酸水素ナトリウム水 溶液及ぴ水で順次洗浄し、 その後硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。 濾過によ り硫酸マグネシウムを取り除き、 濃縮した。 シリカゲルカラムを用いてへキサン で展開分離し、 無色の液体を得た (R
f =0.65)。 この液体を減圧蒸留 Cb.p =90 °C、 8 mmHg) で精製して目的とする 3,5-ジブロモ -2-メ トキシチォフェンを得た。 収 量は 24.6 g、 収率は 62.3 %であった。
¾ NMR (200 MHz, CDC13 , TMS): δ 3.93 (s, 3H), 6.75 (s, 1H),
MSm/z二 270, 272, 274 (M+)
( 1 - 2 ) 3-ブロモ -2-メ トキシ -5-フエ.二ルチオフェンの合成
3,5-ジブ'ロモ -2-メ トキシチォフェン 24 g (88 mmol) にアルゴン雰囲気下で無 水 THF250 mlを加え、 ドライアイス- タノールで- 78 °Cとした。 その後、 15 % η-プチルリチウムへキサン溶液 56 ml (92 mmol)をゆつく り滴下した。 1時間撹 拌後、 -60°C以下でホウ酸トリ n-ブチル '32 ml (123 mmol)をゆつく り滴下して 2 時間撹拌した。 室温に戻し、 20 wt % Na2C03 90 ml, ョ一ドベンゼン 18 g (88 mmol)、 Pd (Ph3P)4 4.4 g (0.36 mmol)を加え、 70 °Cで 5時間還流した。 エーテ ルで抽出して、 塩水で洗浄し、 硫酸マグネシウムで乾燥した。 濾 により硫酸マ グネシゥムを取り除き濃縮した。 シリカゲルカラムを用いてへキサンで展開分離 し、無色固体の 3-ブロモ -2-メ トキシ -5-フエ二ルチオフェンを得た (Rf=0.35)。収 量は 15 g、 収率は 63 %であった。 .
Ή NMR (400 MHz, CDC13,TMS): δ 4.00 (s, 3H), 6.98 (s, 1H), 7.2-7.5 (m,
5H),
MSm/z = 268, 270 (M+)
Anal. Calcd. for CnH9BrOS: 0=49.09, H=3.37
Found: C=49.20, H=3.38
( 1 - 3 ) 1,2-ビス [2-メ トキシ -5-フエ二ノレ- 3-チェニル] レフノレォロシク口' ンテン (化合物 1 ) の合成
3—プロモ—2-メ トキシ -5-フエ二ルチオフェン 14 g (52 ππηοΐ)にアルゴン雰囲気 下で無水 THF 140 mlを加え、 ドライアイス-メタノール浴で- 60 °C以下に冷却し た。 これに 15 %n-ブリルリチウムへキサン溶液 36 ml (52 mmol)をゆつく り滴下 し、 1時間撹拌した。 次に、 無水 THF 10 mlにペルフルォロシクロペンテン 3.5 ml (26 mmol)を加え、 -60°C以下で徐々に滴下し 2時間撹拌した。 メタノールを 加えクェンチした後、 1 N塩酸で洗浄し、 エーテルで抽出した。 有機層を水で洗 浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた後、濾過して硫酸マグネシウムを取り除き、 濃縮した。 シリカゲルカラムを用いてへキサン: クロ口ホルム二 9 : 1で展開分 離し、 化合物 1を単離した (Rf= 0.56)。 収量は 7.2 g、 収率は 50 %であった。
Ή NMR (400 MHz, CDC13,TMS) : δ 3.71 (s, 3H), 7.15 (s, lH),7.2-7.5 (m, 5H),
MSm/z = 552 (M+)
Ή NMR (200 MHz, CDC13, TMS): δ 3.71 (s, 6H), 7.16( s, 2H), 7.2-7.5 (m, 10H),
Anal. Calcd for C27H18F602S2: C=58.69, H=3.28
Found: C=58.87, H=3.37
合成例 2 : 1, 2-ビス [2-エトキシ- 5-フエニル- 3-チェニル] ペルフルォロシクロ ペンテンの合成
(2-1) ' 5 -メ トキシ- 2-フニ二ルチオフェンの合成
アルゴン雰囲気下のフラスコに 2-ョードチォフェン 15 g (69 mmol)、 ナトリ ゥムエトキシド 9. 4 g (140 讓 ol)、 酸化銅 2. 7 g (35 腿 ol)、 無水エタノール 80 ml を加え、 2晚還流した。 さらに、 TLCで原料スポッ トが消えるまで、 ナトリウ ムェトキシド 7. 0 g (100 mmol)、 ョゥ化カリウム 57 mg (0. 35 mmol)を加え、 7 時間還流した。 反応溶液を室温に戻し、 吸引濾過 、 氷水を加えた。 エーテルで 抽出後、 食塩水で洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥した。 硫酸マグネシウムを濾別 し、 溶媒を留去後、 減圧蒸留 (b. p. = 56 °C、 8 mmHg) により無色のオイルの 5 - メ トキシ- 2-フエ二ルチアゾール を得た。 収量は 3. 1 g 収率は 57%であった。
MSm/z = 128 (M+)
¾ NMR (200 MHz, CDC13, TMS) : δ 1. 41 (t, 7 Hz, 3H), 4. 09 (q, = 7 Hz, 2H) , 6. 20 (d, / = 3. 6 Hz, 1H) , 6. 53 (d, / = 5. 8 Hz, 1H), 6. 71 (t, / = 4. 8 Hz, 1H),
(2-2) 3, 5-ジブロモ-
2-エトキシチォフェンの合成
2-ェトキシチォフェン 3. 1 g (24 mmol)の四塩化炭素 8 mlに、 ^プロモスクシ ミ ド 8. 5 g (48 mmol) の四塩化炭素 40 mlを氷水浴上で攪拌し がら徐々に 加えた。 その後、 氷水浴を外して終夜攪拌した。 反応溶液を氷水浴で冷却し、 吸 引濾過により固形物を除いた。 濾液をクロ口ホルムで抽出し、 重そう、 チォ硫酸 ナトリウム、 水で洗浄後、 硫酸マグネシウムで乾燥した。 硫酸マグネシウムを瀘
別し、 溶媒を留去後、 へキサンを展開溶媒としたシリカカラムを用いてへキサン で展開分離し、 うす黄色のオイルの 3, 5-ジブロモ- 2-エトキシチォフェンを得た (Rf = 0.48)。 収量は 6.5 g、 収率は 94%であった。
MSm/z =284, 286, 288 (it)
¾ NMR (200 MHz, CDC13, TMS): δ 1.43 (t, = 7 Hz, 3H), 4.13 (q, = 7 Hz, 2H), 6.75 (s, 1H), .
Anal. Calcd for C6H6Br20S: C=25.20, H=2.11
Found: C=25.50, H=2.14
(2-3) 3-ブロモ -2-ェトキシ- 5-フエ二ルチオフェンの合成
アルゴン雰囲気下のフラスコに無水 THF 150 ml、 3, 5-ジブ口モ- 2-エトキシチ. ォフェン 6.5 g (23 mmol) を加え、 - 78°Cで 15 % Λ-BuLiへキサン溶液を 15 ml (25 賺 ol)を つく り滴下した。- 78°Cで 1時間.攪拌後、ホウ酸トリ n~ブチル
9. l ml (34 讓 ol)を滴下し、 1.5時間攪拌した。 室温にもどして水でタエンチした後、 ョード ベンゼン 4.6 g (23 mmol) , Pd(PPh
3)
4 1.1 g (0.95 mmol), 20 wt Na
2C0
3 水溶 液 50 mlを加え、 70°Cで終夜還流レた。 エーテルで抽出し、 食塩水で洗浄後、 硫 酸マグネシウムで乾燥した。 硫酸マグネ.シゥムを濾別し、 溶媒を留去後、 へキサ ンを展開溶媒としたシリカカラムを用いてへキサンで展開分離し、 3 -ブロモ -2 - ェトキシ- 5-フヱニルチオフェンを得た (R
f = 0.31)。 収量は 4.9 g、 収率は 76% でめつ 7こ。
MS m/z = 282, ' 284 (M+)
¾ NMR (200 MHz, CDC13) : 5 1. 8 (t, /= 7 Hz, 3H), 4.21 (q, J: 7 Hz, 2H) , 6.98 (s, 1H), 7.25-7.49 ( , 5H), - Anal. Calcd for C12HuBr0S : C=50.90, H=3.92
Found: C=51.17, H=3.89
(2-4) 1, 2-ビス [2 -ェ トキシ- 5-フエニル -3-チェ二ノレ]ペルフルォロシク口ペン テン (化合物 2) の合成 ·
2
" ァノレゴン雰囲気のフラスコに 3-ブロモ -2-ェトキシ- 5-フエニノレチォフェン 4. 9 g (17 mmol)、 無水 THF 45 mlを加え、 - 78°Cで 15 % ττ-BuLiへキサン溶液を 12 mL (19 ol)をゆっく り滴下した。 - 78°Cで 1. 5時間攪拌後、 ペルフルォロシクロべ ンテン 1. 2 ml (34 ol)の無水 THF 5 ml溶液をゆっく り滴下し、 3時間攪拌した。 室温にもどして水でタエンチした後、 1N塩酸で洗浄した。 エーテルで抽出し、 食 塩水で洗浄後、 硫酸マグネシウムで乾燥した。 硫酸マグネシウムを濾別後、 シリ 力ゲルカラムを用いてへキサン:クロ口ホルム =7 : 3で展開分離し、 1, 2-ビス [2 -ェ トキシ -5-フエニル- 3-チェニル]ペルフルォロシクロペンテン化合物 2 を単離し た。 (Rf = 0. 47)。 収量は 1. 8 g、 収率は 36°/。であった。
MS m/z =580 (M+)
¾ NMR (200 MHz, CDC13) - δ 1. 08 (t, J = 7 Hz, 6H) , 3. 92 (q, J : 7 Hz, 4H) , 7. 22 (s 2H), 7. 26-7. 51 (m, 10H '
Anal. Calcd for C29H22N2F602S2 : C=59. 99, H=3. 82
Found : 060. 03 H=3. 80 合成例 3: 1, 2 -ビス [5-メ トキシ- 2 -フェニル- 3-チアゾィル] ノレフノレ才ロシク口 ペンテンの合成 .
(3-1) 5-メ トキシ -2-フエ二ルチアゾールの合成
ベンゾィルグリシンメチルエステル 1. 0 g (5. 2 raraol) と五硫化二リン 1. 4 g (6. 4 mmol) をすばやく反応容器に加えた後、 無水クロ口ホルム(15 ml)を加えて 80て前後に加熱した。 硫化水素の発生の減少と反応溶液中に白色沈殿の生成が認 められたところで、 アルゴン風船を取り付け、 24時間還流した。 反応終了後、 そ の溶液に強アル力リ水溶液を加えて沈殿物を融解させジクロロメタンで有機層を 抽出し、 硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。 続いて溶媒を除去した。 シリカ カラムクロムを用いて酢酸ェチル : へキサン = 5 : 5で展開分離し、 5 -メ トキシ - 2-フエ二ルチアゾール を得た (R
f = 0. 40)。 収量は 566 mg収率は 57%であった。
MSra/z = 191 (M+)
¾丽 R (200 MHz, CDC13, TMS) : δ 7. 84-7. 80 (ra, 2H), 7. 60-7. 40 (m, 3H) , 6. 65 (br s, 1H) , 4. 27 (d, / = 4. 8 Hz, 2H) , 3. 82 (s, 3H),
Anal . Cal cd for C10H9N0S : C=62. 80, H=4. 74, N=7. 32
Found : C=62. 64, H=4. 78, N=7. 34
(3-2) 4 -プロモ- 5 -メ トキシ- 2 -フエ二ルチアゾールの合成
5-メ トキシ- 2-フエ二ルチアゾール 400 mg (2. 1 mmo l) の無水クロ口ホルム溶 液 10 mlに 0 °C条件下で ブロモスクシンィミ ド 400 mg (2. 1 画 ol)を加え、 室温下で 4時間撹拌した。 反応終了後、 酢酸ェチルで有機層を抽出し、 硫酸マグ ネシゥムを加えて乾燥させた。 続いて溶媒を除去したのち、 シリカカラムクロム 'を用いて酢酸ェチル : へキサン = 1 : 3で展開分離し、 4-ブロモ -5-メ トキシ -2- フエ-ルチアゾールを得た (Rf = 0. 50)。 収量は 550 mg収率 97%であった。
MSm/z =271 (M+)
¾ MR (200 MHz, CDC13, TMS): δ 7. 85-7. 78 (m, 2Η) , 7. 45-7. 36 (m, 3H) , 4. 03 (s, 3H), .
Anal. Calcd for C10H8NOSBr : C=44. 46, H=2. 98, N=5. 18
Found : C=44. 56, H=2. 99, N=5. 19
(3-3) 1- [5-メ トキシ- 2-フエニル- 3-チア'ゾィル]ペルフルォロシクロぺ 合成
4-ブロモ -5-メ トキシ- 2-フエ二ルチアゾール 540 mg (2. 0 讓 ol)にアルゴン雰 囲気下で無水 THF 8 ml を加え、 ドライアイス ·メタノール溶液で - 78°C以下に冷 却した。 これに 15。/。 ブチルリチウムへキサン溶液 1. 3 ml (2. 1 mmol)をゆつく り 滴下し 15分間撹拌した。 次に、 無水 THF 2 mlにペルフルォロシクロペンテン 0. 2 ml (0. 93 醒 ol)を加え、 - 78°C以下で徐々に滴下し 2. 5時間撹拌した。 水を加え てクェンチした後、 エーテルで抽出した。 有機層を水で洗浄し、 硫酸マグネシゥ ムで乾燥させた後、 濾過して硫酸マグネシウムを取り除き、 濃縮した。 シリカゲ "カラムを用いてへキサン:酢酸ェチル = 1 : 3 で展開分離し、 1 - [5-メ トキシ- 2 - フエ二/レ- 3 -チアゾィル]ぺノレフルォロシクロペンチンを単離した (Rf = 0. 30)。 収量は 510 mg、 収率は 72%であった。
MS m/z = 383 (M+)
¾ 匪 R (200 MHz, CDC13, TMS) : δ 7. 88-7. 80 (m, 2H), 7. 48-7. 40 (m, 3H) , 4. 13 (s, 3H), '
Anal. Calcd for C15¾N0SF7 : C=47. 00, H=2. 10; N=3. 65
Found: C=47. 25, H=2. 08, N=3. 66
(3-4) 1, 2-ビス [5 -メ トキシ— 2—フエ二ル- 3—チアゾィノレ]ぺノレフノレォロシク口ペン テン (化合物 3) の合成
3
4 -プロモ- 5 -メ トキシ -2-フエ二ルチアゾ一ル 540 mg (2.0 mraol) にァノレゴン雰 囲気下で無水 THF 8 ml を加え、 ドライアイス · メタ.ノール溶液で -ァ8 X以下に 冷却した。 これに 15% n-ブチルリチウムへキサン溶液 1.3 ml (2.1 mraol)をゆつく り滴下し 15分間撹拌した。 次に、 無水 THF2nLUこ 1_(5-メ トキシ- 2 -フエ二ル- 3- チアゾィノレ)ペルフルォロシク口ペンテン 510 mg (1.33 mraol)を加え、 - 78°C以下 で徐々に滴下し 2.5時間撹拌した。 水を加えてタエンチした後、 エーテルで抽出 した。 有機層を水で洗浄し、 硫酸マグネシウムで乾燥させた後、 濾過して硫酸マ グネシゥムを取り除き、 濃縮した。 シリカゲルカラムを用いてへキサン:酢酸ェ チル = 3:7 で展開分離し、 1,2 -ビス [5 -メ トキシ- 2-フエニル- 3-チアゾィル]ペル フルォロシクロペンテン化合物 3を単離した (Rf = 0.1り)。 収量は 540 mg、 収率 は 68%であった。
MS m/z =554 (M+)
¾ NMR (200 MHz, CDC13, TMS) : 5 7.86—7.74 (m, 4H) , 7.44-7.35 (m, 6H), 3.83 (s, 6H), . .
Anal. Calcd for C25HI6N202S2F6: C=54.15, H=2.91; =5.05
Found: C=54.25, H=2.97, N=5.10
実施例 1 '
合成例 1において合成した化合物 1をへキサンに溶解し、 3 1 3 nm光を照射 した所、 溶液は青く着色し、 ^収極大は 6 2 5 nmに認められた (ε = 1. 5 X 1 04M— i c m— 着色体 (閉環体) の生成量子収率は、 0. 44と求められ た。 この青色は、 可視光を照射しても顕著な消色は認められなかった。 消色に対 応する開環反応量子収率は、 1. 7 X 1 0—5と求められた。
(閉環反応量子収率測定手順)
① 化合物 1と比較試料とした 1, 2—ビス (2—メチルー 5—フエ二ルー 3 一チェニル) ペルフルォロシクロペンテン (化合物 2) の開環体のへキサン溶液 をつく り、 照射波長 309 nm (化合物 1の開環体の吸収極大波長) での吸光度 を 0. 2〜0. 3の間で両者同じにそろえた。
② 吸収セルでの溶液の量を等しくした。
③ 測定では閉環体の可視域での吸収極大波長 (化合物 1 : 625 ηπι, 化合 物 2 : 5 7 5 nm) での吸光度変化を検出した。 キセノンランプで化合物 1と 2 のリファレンスともに 30 9 nmを照射して検出波長の吸光度が 0〜0. 1程度 の範囲内で 1 0点測定した。
④ 時間に対する吸光度の変化をプロットし、 その傾き'の比較から (化合物 2 の量子収率 =0. 59) 化合物 1の閉環反応量子収率 0. 44を得た。
どの程度消色され くいかの定量的測定を以下のように行った。 光退色はほと んど認められなかった。
(開環反応量子収率測定の手順)
① 化合物 1のへキサン溶液をつく り、 紫外光 (波長 3 1 3 nm) 照射して可 視域の吸収極大波長 6 25 nmの吸光度を 0. 5程度にした。 キセノンランプで 6 25 nmを照射して吸光度がおおよそ 0. 0 1程度変化する時間ごとに測定を 订つた。
② 比較試料としてはフルギドを用い、 そのトルエン溶液を化合物 1と同じよ うにして 49 2 nmの光を照射して 492 n mでの吸光度がおおよそ 0 · 5から 0. 2へ変化する範囲で数点測定した。
③ 光量計を用いて 6 25 nmと 492 nmでの光量を測定した。
④ 時間に対して l o g (1 0A— 1) (Aは吸光度) をプロットしてその傾き と③での光量の値による補正を行うことで相対量子収率を求めた。 その結果、 消 色反応 (開環反応) の量子収率は 1. 7 1 0_5と認められた。 室内光に 3ヶ月 間曝していても退色 (開環反応) は認められなかった。
実施例 2
合成例 1 において合成した化合物 1 (10 mg) とポリスチレン 200 mgとをト ェ
ン 3 mLに溶解し、 その溶液をテフロン板上にキャストして厚さ約 500 μηιのポリ スチレンフィルムを作製した。 このフィルムに 366 nm光を照射した所、 フィルム は直ちに青く着色した。 この青色は、 室内光に 3ヶ月間さらしても退色 (開環反 応) は認められなかった。
実施例 3
合成例 2において合成した化合物 2をトルエンに溶解し、 313■光を照射したと ころ、 溶液は青く着色し、 吸収極大は 625 nmに認められた (ε = 1. 3 X 104 M— m—り。 着色体 (閉環体) の生成量子収率は 0. 48と求められた。 この青色は、 可視光を照 射しても顕著な消色は認.められなかった。 消色に対応する開環反応量子収率は : 2. 5 X 10— 4と求められた。
(閉環反応量子収率測定手順)
① 化合物 2と比較試料としたフルギドの開環体のへキサン溶液をつく り、 照射 波長 310 nm (化合物 3の開環体の吸収極大波長) での吸光度を 0. 2〜0. 3の間で 両者同じにそろえた。
② 吸収セルでの溶液の量を等しくした。
③ 測定では閉環体での可視域での吸収極大波長 (化合物 2: 625 nm、 フルギド: 492 nm) での吸光度変化を検出した。 キセノンランプで化合物 2、 フルギドとも に 310 nmを照射して検出波長の吸光度が 0〜0. 1程度の範囲内で 10点測定した。
④ 時間に対する吸光度の変化をプロットし、 その傾きの比較から (フルギドの 量子収率 = 0. 20) 化合物 2の閉環反応量子収率 0. 48を得た。
どの程度消色されにくいかの定量的測定を以下のように行った。 光退色はほと んど認められなかった。
(開環反応量子収率測定の手順)
① 化合物 2のへキサン溶液をつく り、 紫外光 (波長 313 nm) 照射して可視域の 吸収極大波長 625 nmの吸光度を 0. 4程度にした。 キセノンランプで 625 nmを照 射して吸光度がおおよそ 0. 01程度変化する時間ごとに測定を行った。
② 比較試料としてはフルギドを用い、 そのトルエン溶液を化合物 2と同じよう にして 492 nmの光を照射して 492 nmでの吸光度がおおよそ 0. 4から 0. 2 へ変化 する範囲で数点測定した。
③ 光量計を用いて 625 nmと 492 nmでの光量を測定した。
④ 時間に対して log (10A- 1) (Aは吸光度)をプロットしてその傾きと③での光量 の値による補正を行うことで相対量子収率を求めた。 その結果、 消色反応 (開環 反応) の量子収率は 2. 5 X 10—4と認められた。
実施例 4
合成例 3において合成した化合物 3をトルエンに溶解し、 313皿光を照射した ところ、 溶液は紫に着色し、 吸収極大は 555 nmに認められた (ε = 1 · 3 X 104 Μ-1 01^)。 着色体 (閉環体) の生成量子収率は 0. 29 と求められた。 この紫色は、 可 視光を照射しても顕著な消色は認められなかった。 消色に対応する開環反応量子 収率は 3. 3 X 10— 4と求められた。
(閉環反応量子収率測定手順) . -
① 化合物 3と比較試料としたフルギドの開環体のトルエン溶液をつく り、 照射 波長 313 nmでの吸光度を 0. 2〜0. 3の間で、両者同じにそろえた。
② 吸収セルでの溶液の量を等しくした。
③ 測定では閉環体での可視域での吸収極大波長(化合物 3: 555 nm、 フルギド: 492 nm) での吸光度変化を検出した。 キセノンランプで化合物 3、·フルギドとも に 313 nmを照射して検出波長の吸光度が 0— 0. 1程度の範囲内で 10点測定した。
④ 時間に対する吸光度の変化をプロットし、 その傾きの比較から (フルギドの 量子収率 = 0. 20) 化合物 3の閉環反応量子収率 0. 29を得た。
どの程度消色されにくいかの定量的測定を以下のように行った。 光退色はほと んど認められなかった。
(開環反応量子収率測定の手順)
① 化合物 3のトルエン溶液をつく り、 紫外光 (波長 313 nm) 照射して可視域の 吸収極大波長 555 nmの吸光度を 0. 4程度にした。 キセノンランプで 555 nmを照 射して吸光度がおおよそ 0. 01程度変化する時間ごとに測定を行った。
② 比較試料としてはフルギドを用い、 そのトルエン溶液を化合物 3と同じよう にして 492 nmの光を照射して 492 醒での吸光度がおおよそ 0. 4から 0. 2 へ変化 する範囲で数点測定した。
③ 光量計を用いて 555 nmと 492 nmでの光量を測定した。
④ 時間に対して log (10A- 1) (Aは吸光度)をプロットしてその傾きと③での光量 の値による補正を行うことで相対量子収率を求めた。 その結果、 消色反応 (開環 反応) の量子収率は 3. 3 X 10—4と認められた。 産業上の利用可能性
以上詳述した通り、 本発明によれば、 開環反応量子収率が著しく小さく、 環境 光による退色の問題が殆どなく、 記録又は表示された情報の長期安定性に優れた フォトクロミック材料が提供される。
本発明のフォトクロミック材料は、 光メモリ媒体或いは光表示材料としての応 用が期待されるのみならず、 新規光学素子への応用が可能である。