JP3526929B2 - ペルフルオロシクロペンテン誘導体、フォトクロミック材料及び光記録媒体 - Google Patents

ペルフルオロシクロペンテン誘導体、フォトクロミック材料及び光記録媒体

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JP3526929B2
JP3526929B2 JP28083194A JP28083194A JP3526929B2 JP 3526929 B2 JP3526929 B2 JP 3526929B2 JP 28083194 A JP28083194 A JP 28083194A JP 28083194 A JP28083194 A JP 28083194A JP 3526929 B2 JP3526929 B2 JP 3526929B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なペルフルオロシ
クロペンテン誘導体、フォトクロミック材料及びそれを
用いた光記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光の照射により発色或いは消色す
るフォトクロミック材料は、光記録媒体、サングラス等
の光学的フィルター、マスキング用材料、ディスプレイ
用材料等の各種用途に広く使用されている。
【0003】このようなフォトクロミック材料として、
種々の有機化合物が知られているが、代表的なものとし
てスピロピラン系化合物が挙げられる(例えば特公昭4
5−28892号公報)。
【0004】また、ペルフルオロシクロペンテン誘導体
がフォトクロミック材料として有用であることも知られ
ており、例えば特開平3−261947号公報には、下
記式(3)
【0005】
【化7】
【0006】式中、Meはメチル基である(以下同
様)、の誘導体から成るフォトクロミック材料が記載さ
れている。
【0007】この式(3)のベンゾチオフェン型のペル
フルオロシクロペンテン誘導体のモル吸光係数(ε)は
9100と小さく、このモル吸光係数を増大させるた
め、これにフェニルアゾ基を導入して、下記式(4)
【0008】
【化8】
【0009】のフェニルアゾベンゾチオフェン型ペルフ
ルオロシクロペンテン誘導体(ε=56000)をフォ
トクロミック材料として用いることが提案されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】フォトクロミック材料
は、光の照射に伴なう分子構造の異性化(閉環、開環)
により、発色乃至消色を生じるものであるが、モル吸光
係数が高いこと、及び発色の場合閉環体への異性化率が
高いこと等が要求される。
【0011】しかしながら、前述した式(4)のペルフ
ルオロシクロペンテン誘導体では、モル吸光係数(ε)
は向上しているものの、後述する比較例1に示す通り、
異性化分子(閉環分子)への異性化率(転化率、%)が
17%と低く、事実上の感度は式(3)の化合物と変わ
らず、十分な感度が得られないという欠点がある。
【0012】従って、本発明の目的は、ペルフルオロシ
クロペンテン誘導体において、そのモル吸光係数(ε)
が高く、しかも閉鎖体への異性化率の高い新規なペルフ
ルオロシクロペンテン誘導体を提供するにある。
【0013】本発明の他の目的は、モル吸光係数(ε)
及び閉環体への異性化率が高く、像のコントラストに優
れ、感度及び記録の保持性が向上したフォトクロミック
材料及びそれを用いた光記録媒体を提供するにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、下記式
(1)
【0015】
【化9】
【0016】または下記式(2)
【0017】
【化10】
【0018】式中、R1 は水素原子または低級アルキル
基であり、R2 は低級アルキル基であり、環A及びBの
各々は未置換でも或いはアルキル基、アルコキシ基、ア
リール基、シアノ基、水酸基、アミノ基またはハロゲン
原子で置換されていてもよい、で表わされるペルフルオ
ロシクロペンテン誘導体が提供される。
【0019】本発明によればまた、上記式(1)または
(2)のペルフルオロシクロペンテン誘導体から成るフ
ォトクロミック材料が提供される。
【0020】本発明によれば更に、上記式(1)または
(2)のペルフルオロシクロペンテン誘導体を含有する
層を基体上に設けて成る光記録媒体が提供される。尚、
前記式(1)及び(2)において、低級アルキル基と
は、炭素数が4以下のものを意味する。
【0021】
【作用】本発明の化合物は、ペルフルオロシクロペンテ
ン誘導体のα位及びβ位にチオフェン環を有し且つチオ
フェン環の5−位にフェニルアゾフェニル基を有するこ
とが化学構造上の特徴である。式(1)は開環体であ
り、式(2)は閉環体である。
【0022】ベンゾチオフェン環をチオフェン環に変更
することで、閉環体への異性化率が、後述する例に示す
とおり、65%と向上し、しかもチオフェン環の5−位
にフェニルアゾフェニル基を導入することで、共役結合
(π結合)が延長され、吸収極大波長が可視域となり、
モル吸光係数(ε)も、後述する例に示すとおり、61
000と向上した。
【0023】本発明において、前記一般式(1)の化合
物は開環体であり、前記一般式(2)の化合物は閉環体
(シクロヘキサジエン)であって、概して開環体は赤色
であるのに対して閉環体は緑色であって色相を異にし、
しかもモル吸光係数(ε)が顕著に向上し、しかも閉環
体への異性化率が顕著に高いレベルに向上したことと相
俟って、高いコントラストが得られる。
【0024】本発明のペルフルオロシクロペンテン誘導
体は、閉環体への量子収率が大きく、開環体への量子収
率が小さいことから、カラーフィルター等の一般的なフ
ォトクロミック材料として使用し得ることは勿論である
が、光記録媒体として特に有用である。
【0025】光記録媒体としての作用を説明するための
図1において、光記録媒体1は、基体(透明基体)2上
に、本発明のペルフルオロシクロペンテン誘導体をポリ
マー中に溶解させたものを記録層3として設けたものか
ら成っている。この記録層3は、書込み前Aでは、開環
体(自抜きで示す)の状態にある。次いで、書込みBに
際して光4を照射する。これにより明部Lではペルフル
オロシクロペンテン誘導体が閉環体(斜線で示す)が生
成し、暗部Dではペルフルオロシクロペンテン誘導体が
開環体のまま残留する。読み取りに際しては、書き込ん
だ記録層3´に光線5を照射すると、前述した暗部Dで
は光線が透過し、明部Lでは光線が遮断されるので、光
線像(ネガ像)に再現することができる。一旦書き込み
を行った記録層3´は、開環量子収率が低いので、これ
を暗所に保存することにより、所定回数の光線像の再現
に用いることができる。使用済みの記録層3´には消去
工程Dで大出力の光源からの光の照射を行うことによ
り、開環体とし、消去を行うことができる。
【0026】
【発明の好適態様】
[ペルフルオロシクロペンテン誘導体]本発明の前記一
般式(1)及び(2)のペルフルオロシクロペンテン誘
導体において、チオフェン環の基、R1 は水素原子また
は低級アルキル基であることができ、ここで低級アルキ
ル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル基等
が挙げられる(以下同様)。メチル基が好ましい。チオ
フェンの基R2 は低級アルキル基であり、立体障害性の
ないメチル基が好ましい。
【0027】環A及びBの各々は未置換でも或いはアル
キル基、アルコキシ基、アリール基、シアノ基、水酸
基、アミノ基またはハロゲン原子の一種或いは二種以上
で置換されていてもよい。アルコキシ基としては、メト
キシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ基等の低級アル
コキシ基が挙げられ、アリール基としては、フェニル、
トリル、クミール、ナフチル基等が挙げられる。アミノ
基としては、ジ置換アミノ基、例えば、メチル、エチ
ル、プロピル、ブチル基等でジ置換されたアミノ基が挙
げられる。また、ハロゲン原子としては、塩素原子、フ
ッ素原子、臭素原子を挙げることができる。
【0028】環Bは未置換であることが一般に好まし
く、環Aは、合成上アゾカップリング成分であることが
一般に好ましい。かくして、アゾ基に対してp−位にジ
置換アミノ基或いはo−位に水酸基を有するのがよい。
【0029】好適な化合物の例は、次のとおりである。
1,2−ビス[2,4−ジメチル−5−(4−(p−
N,N−ジエチルアミノフェニルアゾ)フェニル)チオ
フェン−3−イル]ペルフルオロシクロペンテン、1,
2−ビス[2,4−ジメチル−5−(4−(o−ヒドロ
キシ−p−N,N−ジエチルアミノフェニルアゾ)フェ
ニル)チオフェン−3−イル]ペルフルオロシクロペン
テン
【0030】[合成法]本発明のペルフルオロシクロペ
ンテン誘導体は、下記式(5)
【0031】
【化11】
【0032】で表されるビスアミノフェニルチエニルペ
ルフルオロシクロペンテン誘導体と、下記式(6)
【0033】
【化12】
【0034】で表される化合物とを、それ自体公知の手
段で、アゾカップリングさせることにより合成される。
【0035】前記式(5)のビスアミノフェニルチエニ
ルペルフルオロシクロペンテン誘導体は、次のように合
成される。即ち、下記式
【0036】
【化13】
【0037】の反応スキームにおいて、式(7)のチオ
フェン類の2位に低級アルキル基を有する誘導体を、式
(8)に示すチエニル塩化亜鉛誘導体とし、これと式
(9)に示すの4−ハロニトロベンゼンとを反応させ
て、式(10)に示す2−低級アルキル−5−p−ニト
ロフェニルチオフェン誘導体とし、これを式(11)に
示す2−低級アルキル−3−ヨード−5−p−ニトロフ
ェニルチオフェン誘導体とし、これをペルフルオロシク
ロペンテンと反応させて、式(12)に示ビスニトロフ
ェニルチエニルペルフルオロシクロペンテン誘導体と
し、このもののニトロ基をアミノ基に還元することによ
り得られる。
【0038】[用途]本発明のペルフルオロシクロペン
テン誘導体は、フォトクロミック材料として有用であ
る。即ち、このペルフルオロシクロペンテン誘導体をポ
リマー中に溶解させて、この組成物を造膜或いは適当な
形状に成形し、フォトクロミック材料として使用する。
【0039】ペルフルオロシクロペンテン誘導体をポリ
マー中に溶解させるには、予め形成されたポリマーの溶
液中にペルフルオロシクロペンテン誘導体の溶液を溶解
させ、この溶液をキャスティング等の手段で造膜乃至成
形する手段を用いることができる。或いは、別法とし
て、重合硬化性のモノマー或いはプレポリマー中にペル
フルオロシクロペンテン誘導体を溶解させ、これをキャ
スティング等の手段で造膜乃至成形した後、重合硬化さ
せる。
【0040】ポリマーとしては、光学的特性に優れた樹
脂が使用され、例えばスチレン系重合体やアクリル系重
合体、スチレン−アクリル系共重合体或いはカーボネー
ト系重合体等が使用される。
【0041】重合硬化型の単量体としては、例えばアク
リル酸エチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸2−エ
チルヘキシル、マレイン酸モノ又はジ・エチル、酢酸ビ
ニル、プロピオン酸ビニル、アクリルアミド、メタクリ
ルアミド、マレイミド、アクロレイン、メタクロレイ
ン、ビニルメチルケトン、ビニルブチルケトン、アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリル、γ−ヒドロキシメタ
クリル酸プロピル、 β−ヒドロキシアクリル酸エチ
ル、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ア
リルエチルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシ
ジルメタクリレート、グリシジルビニルエーテル、スチ
レン等の他に、多感能性の単量体、例えばポリアルキレ
ンポリオール(メタ)アクリル酸エステル、ビスジエチ
レングリコールカーボネート、ジビニルベンゼン等が、
ラジカル開始剤との組み合わせで使用される。
【0042】この重合時に本発明のペルフルオロシクロ
ペンテン誘導体とポリマーとの間にグラフト等の反応が
生じても何等差し支えがない。
【0043】本発明のペルフルオロシクロペンテン誘導
体は、単独でフォトクロミック材料として使用すること
ができる他に、他のフォトクロミック材料と組み合わせ
でもフォトクロミック材料として使用でき、この後者の
場合には、発色時の色調を所望の色調に調節し得るとい
う利点がある。
【0044】光記録材料としての使用に際しては、ペル
フルオロシクロペンテン誘導体溶解ポリマーの単独を使
用することもできるが、一般には、二軸延伸PETのよ
うなプラスチックフィルムの表面にペルフルオロシクロ
ペンテン誘導体溶解ポリマー組成物を記録層としてコー
トしたものを用いるのがよい。光線透過性が要求されな
い用途には、基体として、紙或いは金属箔等を用いるこ
ともできる。
【0045】本発明のペルフルオロシクロペンテン誘導
体を発色させる紫外線としては、253.7nm或いは
184.9nm等の紫外線が有利であり、一方、書き込
みに際しての熱源としてのレーザー光としては、HeN
e、CO2 ,Arイオン、エキシマ等のガスレーザー、
アレキサンドライト、YAG、ルビー、ガラス等の固体
レーザー等が使用される。
【0046】
【実施例】本発明を次の例で更に詳細に説明する。
【0047】合成例 1,2−ビス(2,4−ジメチル−5−(4−N,N−
ジエチルアミノフェニルアゾフェニル)チオフェン−3
−イル)ペルフルオロシクロペンテンの合成
【0048】2,4−ジメチルチオフェンの合成 11のフラスコに窒素雰囲気において、3−メチルチオ
フェン25.0(0.26mol)、乾燥ジエチルエー
テル100ml、テトラメチルエチレンジアミン(TM
EDA)46.8ml(0.31mol)を入れ、氷浴
上で0℃にした。そこに、滴下ロートから、n−ブチル
リチウム/ヘキサン溶液(1.6N)を195ml
(0.31mol)滴下した。滴下終了後、1時間0℃
で撹拌し、さらに2時間室温で撹拌した。再び氷浴上で
0℃に冷却後、ヨウ化メチル19.5ml(0.31m
ol)を滴下し、0℃で2時間撹拌し、室温で終夜撹拌
した。反応溶液に水を加え、有機層を分離し、水層をジ
エチルエーテルで3回抽出し、有機層を合わせて希塩
酸、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶
媒留去後、減圧蒸留し、下記式(13)
【0049】
【化14】
【0050】の2,4−ジメチルチオフェンを得た。 収量18.2g(62.6%) (62〜65℃/75
mmHg) 60MHz 1H NMR(CDCl3 ) δ=2.18(s,3H,Ar−CH3 ) 2.38(s,3H,Ar−CH3 ) 6.48(s,1H,Ar−H) 6.50(s,3H,Ar−H)
【0051】3,5−ジメチル−2−(4−ニトロフェ
ニル)チオフェンの合成 50ml4つ口フラスコに、窒素雰囲気下で2,4−ジ
メチルチオフェン0.7g(6.3mmol)、乾燥ジ
エチルエーテル10ml、TMEDA1.1ml(7.
5mmol)を入れ、室温で撹拌した。そこにn−ブチ
ルリチウム/ヘキサン溶液(1.6N)4.7ml
(7.5mmol)を室温で滴下した。室温で2時間撹
拌後、無水THFを少量加え、塩化亜鉛/エーテル溶液
7.5ml(7.5mmol)を滴下後、室温で4時間
撹拌し、下記式(14)
【0052】
【化15】 のチエニル塩化亜鉛を調製した。
【0053】別の容器に、窒素雰囲気下で4−ブロモニ
トロベンゼン1.9g(9.5mol)、無水THF1
0ml、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジ
ウム(O)0.1g(1mol%)を入れ撹拌した。こ
こに、先に調製したチエニル塩化亜鉛を室温で滴下し、
50℃で5時間撹拌後、室温で終夜撹拌した。反応終了
後、水、ジエチルエーテルを加え有機層を分離し、水層
はエーテルで3回抽出した。有機層を合わせて希塩酸、
水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留
去した。カラムクロマトグラフィーにより精製し、下記
式(15)
【0054】
【化16】
【0055】の3,5−ジメチル−2−(4−ニトロフ
ェニル)チオフェンを得た。 収量 0.85g(57.6%) 60MHz 1H NMR(CDCl3 ) δ=2.21(s,3H,Ar−CH3 ) 2.44(s,3H,Ar−CH3 ) 6.50(s,1H,Ar−H) 7.03−7.85(m,4H,Ar−H)
【0056】3−ヨード−2,4−ジメチル−5−(4
−ニトロフェニル)チオフェンの合成 50mlの3つ口フラスコに酢酸5mlと四塩化炭素5
ml、3,5−ジメチル−2−(4−ニトロフェニル)
チオフェンを0.82g(3.5mmol)を入れ撹拌
した。そこに、水0.5mlに溶解させたヨウ素酸0.
14g(0.79mmol)を加え、60−65℃まで
加熱した。反応溶液にヨウ素0.36g(1.4mmo
l)を加え、加熱還流を3時間行った。放冷後、水およ
びチオ硫酸ナトリウム水溶液を加えてクロロホルムによ
り抽出を行い、有機層を炭酸ナトリウム水および水で洗
浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒留去後、
カラムクロマトグラフィーにより精製し、下記式(1
6)
【0057】
【化17】
【0058】の3−ヨード−2,4−ジメチル−5−
(4−ニトロフェニル)チオフェンを得た。 収量 0.95g(75.6%) 60MHz 1H NMR(CDCl3 ) δ=2.20(s,3H,Ar−CH3 ) 2.41(s,3H,Ar−CH3 ) 7.10−7.85(m,4H,Ar−H)
【0059】1,2−ビス[2,4−ジメチル−5−
(4−(p−ニトロフェニル)アゾフェニル)チオフェ
ン−3−イル]ペルフルオロシクロペンテンの合成 50mlの3つ口フラスコに窒素雰囲気下で、3−ヨー
ド−2,4−ジメチル−5−(4−ニトロフェニル)チ
オフェンを0.95g(2.65mmol)、乾燥TH
F60mlを入れ、−100℃まで冷却した。そこにn
−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(1.6N)2.43
ml(4.0mmol)を滴下ロートにより滴下し、−
100℃で1時間撹拌した。この反応溶液にペルフルオ
ロシクロペンテン0.18ml(1.33mmol)を
2回にわけて加えた。−100℃で3時間撹拌後、−1
00℃でメタノールおよび水を加えて、クロロホルムに
より抽出後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を
留去後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、
下記式(17)
【0060】
【化18】
【0061】の目的物を得た。 収量 1.17g(71.0%)
【0062】1,2−ビス[2,4−ジメチル−5−
(4−アミノフェニル)チオフェン−3−イル]ペルフ
ルオロシクロペンテンの合成 水素化ホウ素ナトリウム60mg(1.58mmol)
と硫黄粉末151.2mg(4.73mmol)を氷冷
し、これにTHF5mlを加え15min撹拌した。こ
れに1,2−ビス[2,4−ジメチル−5−(4−(p
−ニトロフェニル)アゾフェニル)チオフェン−3−イ
ル]ペルフルオロシクロペンテン 0.66g(1.0
5mmol)/THF10mlを滴下し、24hr還流
した。放冷後水を加えジエチルエーテルより抽出後、無
水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去後、カラム
クロマトグラフィーにより精製を行い、下記式(18)
【0063】
【化19】
【0064】の目的物を得た。 収量 0.50g(83.1%) 60MHz 1H NMR(CDCl3 ) δ=2.15(s,6H,Ar−CH3 ) 2.25(s,6H,Ar−CH3 ) 5.32(s,4H,Ar−NH2 ) 6.83−7.40(m,8H,aromatic−p
roton)
【0065】1,2−ビス[2,4−ジメチル−5−
(4−(p−N,N−ジエチルアミノフェニル)アゾフ
ェニル)チオフェン−3−イル]ペルフルオロシクロペ
ンテンの合成 1,2−ビス[2,4−ジメチル−5−(4−アミノフ
ェニル)チオフェン−3−イル]ペルフルオロシクロペ
ンテン0.50g(0.87mmol)、ジクロロメタ
ン40mlを氷冷し、これに0.5mol/l H2
4 16.0ml、亜硝酸ナトリウム132mg
(1.91mmol)、TFPB5.0mgを加え15
min氷冷撹拌した。これにジエチルアニリン393m
g(1.91mmol)を加え終夜撹拌した。水を加え
クロロホルム抽出、水洗、乾燥後、カラムクロマトグラ
フィーにより精製し、下記式(19)
【0066】
【化20】
【0067】の目的物を得た。 収量 0.54g 収率 69.6% 元素分析 cal.C:65.91 H:5.38
N:9.41 fon.C:65.90 H:5.42 N:9.39 m.p.95.2℃
【0068】1,2−ビス[2,4−ジメチル−5−
(4−(o−ヒドロキシ−p−N,N−ジエチルアミノ
フェニルアゾ)フェニル)チオフェン−3−イル]ペル
フルオロシクロペンテンの合成 1,2−ビス[2,4−ジメチル−5−(4−アミノフ
ェニルチオフェン−3−イル]ペルフルオロシクロペン
テン0.50g(0.87mmol)、ジクロロメタン
40mlを氷冷し、これに0.5mol/l H2 SO
4 16.0ml、亜硝酸ナトリウム132mg(1.
91mmol)、TFPB5.0mgを加え15min
氷冷撹拌した。これにヒドロキシジエチルアニリン42
5mg(1.8mmol)を加え終夜撹拌した。水を加
えクロロホルム抽出、水洗、乾燥後、カラムクロマトグ
ラフィーにより精製し、下記式(20)
【0069】
【化21】
【0070】の目的物を得た。 収量 0.40g 収率 61.5% 元素分析 cal.C:63.6 H:51.9 N:
9.09 fon.C:63.2 H:51.8 N:9.07
【0071】実施例1及び比較例1 (異性化率測定)前記式(4)
【0072】
【化22】
【0073】の化合物(以下化合物1と呼ぶ)のヘキサ
ンを溶媒とした溶液(1×10-4mol/l)に励起波
長(313nm)を照射し、十分に閉環させる。これを
液体クロマロトグラフィーにより閉環体と開環体に分取
する。
【0074】上記閉環体溶液を減圧乾燥し、ヘキサンに
溶解させ、閉環体のみの吸収スペクトルを測定した。こ
の閉環体溶液に520nm以上の光をカットフィルター
により取り出し照射し、開環体とした後、この開環体の
みの吸収スペクトルを測定した。
【0075】さらにこの開環体溶液に励起波長(313
nm)を照射し、光定常状態とし、吸収スペクトルを測
定した。各々の溶液の吸収スペクトルの測定は分光光度
計日立UV−3400Aを用いて行った。下記式(1
9)
【0076】
【化23】
【0077】の化合物(以下化合物2と呼ぶ)も、上記
と同様にして各々の状態の吸収スペクトルを測定した。
【0078】測定結果より化合物1、化合物2のヘキサ
ン中での異性化率は以下の通りであった。またεの測定
結果も示す。 転化率 λmax 化合物1 17% ε=56000 600nm 化合物2 65% ε=61000 653nm
【0079】実施例2 化合物2をトルエン中に溶解し、ポリメタクリル酸メチ
ル中の濃度がポリメタクリル酸メチル単位当たり0.2
mol%になる様に溶解させ、スライドガラスに乾燥後
の膜厚が100μmとなるように塗布し乾燥し記録膜を
得た。
【0080】上記記録膜に紫外光を照射し記録部を作成
した。この記録部は緑色であり、未記録部の赤色に対し
てコントラストの強い記録膜であった。
【0081】
【発明の効果】本発明によれば、ペルフルオロシクロペ
ンテン誘導体のα位及びβ位にチオフェン環を有し且つ
チオフェン環の5−位にフェニルアゾフェニル基を有す
る誘導体が得られた。
【0082】公知の誘導体のベンゾチオフェン環をチオ
フェン環に変更することで、閉環体への異性化率が、後
述する例に示すとおり、65%と向上し、しかもチオフ
ェン環の5−位にフェニルアゾフェニル基を導入するこ
とで、共役結合(π結合)が延長され、吸収極大波長が
可視域となり、モル吸光係数(ε)も、61000と向
上した。
【0083】本発明において、前記一般式(1)の化合
物は開環体であり、前記一般式(2)の化合物は閉環体
(シクロヘキサジエン)であって、概して開環体は赤色
であるのに対して閉環体は緑色であって色相を異にし、
しかもモル吸光係数(ε)が顕著に向上し、しかも閉環
体への異性化率が顕著に高いレベルに向上したことと相
俟って、高いコントラストが得られる。
【0084】本発明の誘導体は、閉環体への異性化が大
きく、モル吸光係数(ε)も大きいことから、カラーフ
ィルター等の一般的なフォトクロミック材料として使用
し得ることは勿論であるが、光記録媒体として特に有用
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】光記録媒体としての作用を説明するための説明
図である。
【符号の説明】
1 光記録媒体 2 基体(透明基体) 3 記録層 4 光 D 暗部 3´露光された記録層 4 明部L
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G11B 7/24 516 G11B 7/24 516 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 333/20 C07D 495/04 101 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1) 【化1】 または下記式(2) 【化2】 式中、Rは水素原子または炭素数4以下の低級アルキ
    ル基であり、R炭素数4以下の低級アルキル基であ
    り、環A及びBの各々は未置換でも或いはアルキル基、
    アルコキシ基、アリール基、シアノ基、水酸基、アミノ
    基またはハロゲン原子で置換されていてもよい、 で表されるペルフルオロシクロペンテン誘導体。
  2. 【請求項2】 R及びRがメチル基である請求項1
    記載のペルフルオロシクロペンテン誘導体。
  3. 【請求項3】 環Aがアゾ基に対するパラ位にジアルキ
    ルアミノ基を有する請求項1記載のペルフルオロシクロ
    ペンテン誘導体。
  4. 【請求項4】 下記式(1) 【化3】 または下記式(2) 【化4】 式中、Rは水素原子または炭素数4以下の低級アルキ
    ル基であり、R炭素数4以下の低級アルキル基であ
    り、環A及びBの各々は未置換でも或いはアルキル基、
    アルコキシ基、アリール基、シアノ基、水酸基、アミノ
    基またはハロゲン原子で置換されていてもよい、 で表されるペルフルオロシクロペンテン誘導体からなる
    ことを特徴とするフォトクロミック材料。
  5. 【請求項5】 下記式(1) 【化5】 または下記式(2) 【化6】 式中、Rは水素原子または炭素数4以下の低級アルキ
    ル基であり、R炭素数4以下の低級アルキル基であ
    り、環A及びBの各々は未置換でも或いはアルキル基、
    アルコキシ基、アリール基、シアノ基、水酸基、アミノ
    基またはハロゲン原子で置換されていてもよい、 で表されるペルフルオロシクロペンテン誘導体を含有す
    る層を基体上に設けて成ることを特徴とする光記録媒
    体。
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