JP2992424B2 - ベンゾチオフェン・インドール置換マレイミド誘導体、フォトクロミック材料及びそれを用いた光記録材料 - Google Patents
ベンゾチオフェン・インドール置換マレイミド誘導体、フォトクロミック材料及びそれを用いた光記録材料Info
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Description
ン・インドール置換マレイミド誘導体、フォトクロミッ
ク材料及びそれを用いた光記録材料に関する。
るフォトクロミック材料は、光記録材料、サングラス等
の光学的フィルター、マスキング用材料、ディスプレイ
用材料等の各種用途に広く使用されている。この様なフ
ォトクロミック材料として、種々の有機化合物が知られ
ているが、例えばスピロピラン系化合物が提案されてい
る(特公昭45−28892号公報)。また本発明等の
提案にかかる特開昭63−24245号公報には、1,
2−ジ(2,3,5−トリメチルチエニル)無水マレイ
ン酸等のジ複素環置換エテン誘導体が、フォトクロミッ
ク材料として提案されている。
は、光の照射に伴う分子構造の異性化により、発色及び
消色を生じるものであるが、その発色或いは消色の量子
収率が高いこと、発色が鮮明で、しかも発色及び消色の
コントラストが大きいこと、及び発色或いは消色の状態
が熱的に比較的安定であること等が要求される。
2位にベンゾチオフェン基及びインドリル基を有するマ
レイミド誘導体、即ち下記式
びR2 の各々はメチル基であり、環Bの窒素原子に対し
てオルソ位には水素原子またはメトキシ基が存在する、
を合成し、この誘導体がフォトクロミック材料として有
用なことを見い出した。
に相溶させて、膜状に成形して(開環体)、記録体と
し、200nm〜490nmの可視光等により閉環体と
し、着色してデータの書き込みを行うことができる。し
かしながら、この化合物は、開環体から閉環体(シクロ
ヘキサジエン体)への異性化率が未だ低く、コントラス
トが低く、異性化分子の維持能が低いため、光ディスク
或いはその他の光記録媒体として未だ実用性に欠けると
いう欠点を有している。
化合物の合成に成功し、この化合物はフォトクロミック
材料として有用であることを見い出した。
ンゾチオフェン基及びインドリル基を有するマレイミド
誘導体において、ヘキサジエン環の形成の活性サイトと
なるベンゾチオフェン基或いはインドリル基の2位に電
子供与性基であるアルキルチオ基またはアルコキシ基を
有する新規マレイミド誘導体を提供するにある。
子収率が高く、発色が鮮明で、しかも発色及び消色のコ
ントラストが大きく、且つ発色或いは消色の状態が室温
で比較的安定であるフォトクロミック材料を提供するに
ある。
環体から閉環体(シクロヘキサジエン体)への異性化率
が高く、コントラストが高く、異性化分子の維持能も優
れている光ディスク或いはその他の光記録材料を提供す
るにある。
(1):
基であり、R1 及びR2 の各々は、少なくとも一方がア
ルキルチオ基またはアルコキシ基であるという条件下
に、水素原子、アルキル基、アルキルチオ基またはアル
コキシ基であり、R3 はアルキル基またはアシル基であ
り、環A及びBの各々は未置換でも、或いはアルキル
基、アルコキシ基またはハロゲン原子で置換されていて
もよい、で表わされる化合物が提供される。
式(2)で表される化合物からなるフォトクロミック材
料が提供される。
たは式(2)で表される化合物を含有することを特徴と
する光記録材料が提供される。
にベンゾチオフェン基及びインドリル基を置換基として
有しており、ベンゾチオフェン基またはインドリル基の
2位に、好適にはベンゾチオフェン基の2位に、電子供
与性であるアルキルチオ基またはアルコキシ基を有する
ことが化学構造上の特徴である。
ル基を置換基として有するマレイミド誘導体は、優れた
フォトクロミック特性を有することが分かった。
式(2)の化合物とは互変異性体であり、式(1)の化
合物は開環体であり、式(2)の化合物は閉環体(シク
ロジエン環)である。式(1)の化合物は概して黄色の
濃色であり、式(2)の化合物は明るい緑色等の透明色
である。
ール置換マレイミド誘導体は、490〜500nmの可
視光等の光線照射により、式(2)の閉環体となるが、
この閉環体の量子収率は、このマレイミド誘導体が存在
する媒体の極性にも依存し、極性の小さい程閉環体の量
子収率は大きくなる。
換マレイミド誘導体は、ベンゾチオフェン基またはイン
ドリル基の2位にアルキルチオ基またはアルコキシ基を
有することにより、アルキルチオ基およびアルコキシ基
の代わりにアルキル基を有する化合物に比して閉環体の
量子収率が大きいという利点を有する。後述する表1に
示すとおり、式(1)において、R1 及びR2 がともに
メチル基である対照化合物の閉環体への量子収率を1と
したとき、R1 がメチルチオ基及びR2 がメチル基であ
る本発明の化合物の閉環体への量子収率は2.1であっ
て、本発明のマレイミド誘導体は、閉環体への量子収率
において優れている。
換マレイミド誘導体は、式(2)の閉環体から式(1)
への開環体への異性化が媒体の極性変化により、高能率
で行われるという利点を有する。即ち、ポリマーにレー
ザー光を照射すると、ポリマーの温度が上昇し、その極
性が変化する(小さくなる)ことが知られている。本発
明によれば、この特徴を利用して、光記録を高いコント
ラストで能率よく行うことができる。
において、R1 がメチルチオ基及びR2 がメチル基であ
る〔後述の化合物3〕)と、対照マレイミド誘導体(式
(1)においてR1 及びR2 がともにメチル基である
〔後述の化合物1〕)とについて、極性の大きいベンゼ
ンと極性の小さいヘキサンとを種々の割合で混合した媒
体中での異性化率(ヘキサン100%中での開環体の量
を1とした開環体の量比)をプロットしたものである。
この図1の横軸は左から右へ媒体の極性が小さくなって
いることを示しているが、本発明のベンゾチオフェン・
インドール置換マレイミド誘導体では、極性の減少によ
る閉環体から開環体への異性化率の変化が大きいという
驚くべき事実が明かとなる(詳細は後述する)。
量子収率が大きいことから、カラーフィルター等のフォ
トクロミック材料として使用し得るのは勿論のこと、光
記録材料として特に有用である。
おいて、光記録材料1はポリマー中に本発明のベンゾチ
オフェン・インドール置換マレイミド誘導体を溶解させ
たものからなっており、この記録材料1は予め490〜
500nmの可視光を照射され、閉環体(白抜で示す)
となった状態にある(書き込み前)。次いで、書き込み
に際して、550nm以上の光2を照射する。この55
0nm以上の光照射により、照射部3の温度が上昇し、
ポリマー中の極性が減少し、照射部3では、マレイミド
誘導体が開環体へと異性化し、着色体となる。かくし
て、書き込み終了により、透明性の高いバックグラウン
ド4と着色した画像部5からなるポジの記録体6が形成
されることになる。光記録材料1を全体として透明化す
るには、これを加熱すればよく、また全体を不透明化す
るには全体を550nm以上の光照射して発色させれば
よい。不透明化した記録材料は、暗所に保存すればよ
い。
いて、Rは置換乃至未置換の一価炭化水素基であり、炭
化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル
基等のアルキル基;フェニル、トリル基等のアリール
基;ベンジル、フェネチル基等のアラールキル基である
ことができる。炭素数4以下の低級アルキル基が特に好
ましい。
く、また置換されていてもよい。置換基の適当な例は、
シアノ基、アミド基、カルボキシル基、アルコキシカル
ボニル基等である。シアノ基が好適である。
2位にあるR1 及びR2 の各々は、少なくとも一方がア
ルキルチオ基またはアルコキシ基であるという条件下
に、水素原子、アルキル基またはアルキルチオ基である
ことができる。アルキル基としては、メチル、エチル、
プロピル、ブチル基等の炭素数4以下の低級アルキル基
が好ましく、立体障害性の少ないメチル基が好ましい。
アルキルチオ基またはアルコキシ基としては、−XR4
(R4 は低級アルキル基であり、Xは酸素原子または硫
黄原子である)で表される基、特にメチルチオ基、エチ
ルチオ基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ
基等の炭素数4以下の低級アルコキシ基が好ましい。ア
ルキルチオ基またはアルコキシ基はチアナフテニル基の
2位に結合していることが好ましく、一方アルキル基
は、インドリル基の2位に結合していることが好まし
い。
で、アルキル基またはアシル基が導入されている。アル
キル基としては、炭素数26までのアルキル基が挙げら
れるが、ポリマーへの相溶性の見地から、炭素数8以上
のアルキル基、例えばエチルヘキシル基、ラウリル基、
パルミチル基、ステアリル基等を用いるのがよい。アシ
ル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ラウロイ
ル基、パルミトイル基、ステアロイル基等を挙げること
ができる。
ンドリル基のベンゼン環Bの各々は未置換でも、或いは
アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子で置換さ
れていてもよい。アルキル基は、既に述べた低級アルキ
ル基であるのがよく、アルコキシ基としては、メトキ
シ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ基等の低級アルコ
キシ基が好ましい。
ミド誘導体と、下記式(4)
ハライド誘導体とを縮合と同時に脱水環化させることに
より合成される。この縮合反応は、脱塩酸反応であり、
アミン類等の酸結合剤の存在下に行われる。マレイミド
環への脱水環化は無水硫酸マグネシウム等の脱水縮合剤
の存在下に行われる。尚、上記式(3)及び(4)にお
いて、R1 〜R3 の各基は、式(1)及び式(2)につ
いて説明した通りのものである。
ミド誘導体、特にR2 が水素原子であるものは、次の様
にして合成される。
キル基或いはアシル基を導入して、下記式(3b):
る。アルキル基或いはアシル基の導入には、アルキルハ
ライド或いはアシルハライドと酸結合剤との組み合わせ
が使用される。
るアミン類と、オキサリルハライドとを、酸結合剤の存
在下に反応させて、式(3)のインドリル−3−オキサ
リルアミド誘導体基を生成せしめる。
は、上記アミン類として、ω−アミノニトリル誘導体、
特に酸付加塩を使用すればよい。またこのニトリルを部
分加水分解或いは完全加水分解すると、アミド誘導体或
いはカルボキシル誘導体が得られ、これをそれ自体公知
の方法でエステル化すると、エステル誘導体が得られる
ので、これらを式(3b)の誘導体と反応させれば、R
を種々の置換基を有する炭化水素基とする式(3)の化
合物が得られる。
化合物を合成する場合には、式(3a)においてインド
ールの2位にアルコキシ基が導入された化合物が公知で
あるので、これを出発物質として上述した反応工程を行
なえばよい。
(3)の化合物を合成する場合には、式(3a)のイン
ドール類に二硫化アルキルとアルキルリチウムとを作用
させてその2位にチオアルキル基を導入し、これを出発
物質として上述した反応工程を行なえばよい。
ルヨードとアルキルリチウムとを式(3a)のインドー
ル類に作用させてその2位にアルキル基を導入したもの
を出発物質として上述した反応工程を行なえばよい。
セチルハライド誘導体は、R1 が水素原子であるものを
例にとると、次の経路で合成される。
ものは、式(4a)において2位にアルコキシ基が導入
された化合物が公知であるので、これを出発物質として
上記の反応工程を行なえばよい。
のは、二硫化アルキルとアルキルリチウムとを式(4
a)の3−メチルベンゾチオフェンに作用させてその2
位にチオアルキル基を導入し、これを出発物質として上
記の反応工程を行なうことにより合成される。
は、上記の二硫化アルキルの代わりにアルキルヨードを
用いて同様にして式(4a)の化合物の2位にアルキル
基を導入し、これを出発物質として上記の反応工程を行
なうことにより合成される。
して有用である。即ち、このマレイミド誘導体をポリマ
ー中に溶解させて、この組成物を造膜或いは適当な形状
に成形し、フォトクロミック材料として使用する。
るには、予め形成されたポリマーの溶液中にマレイミド
誘導体の溶液を溶解させ、この溶液をキャスティング等
の手段で造膜乃至成形する手段を用いることができる。
或いは、別法として、重合硬化性のモノマー或いはプレ
ポリマー中にマレイミド誘導体を溶解させ、これをキャ
スティング等の手段で造膜乃至成形した後、重合硬化さ
せる。
脂が使用され、例えばスチレン系重合体やアクリル系重
合体、スチレン−アクリル系共重合体或いはカーボネー
ト系重合体等が使用される。
リル酸エチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸2−エ
チルヘキシル、マレイン酸モノ又はジ・エチル、酢酸ビ
ニル、プロピオン酸ビニル、アクリルアミド、メタクリ
ルアミド、マレイミド、アクロレイン、メタクロレイ
ン、ビニルメチルケトン、ビニルブチルケトン、アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリル、γ−ヒドロキシメタ
クリル酸プロピル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、アリル
エチルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジル
メタクリレート、グリシジルビニルエーテル、スチレン
等の他に、多官能性の単量体、例えばポリアルキレンポ
リオール(メタ)アクリル酸エステル、ビスジエチレン
グリコールカーボネート、ジビニルベンゼン等が、ラジ
カル開始剤との組み合わせで使用される。この重合時に
本発明のベンゾチオフェン・インドール置換マレイミド
誘導体とポリマーとの間にグラフト等の反応が生じても
何等差し支えがない。
トクロミック材料として使用することができる他に、他
のフォトクロミック材料と組み合わせでもフォトクロミ
ック材料として使用でき、この後者の場合には、発色時
の色調を所望の色調に調節し得るという利点がある。
イミド誘導体溶解ポリマーの単独を使用することもでき
るが、一般には、二軸延伸PETのようなプラスチック
フィルムの表面にマレイミド誘導体溶解ポリマー組成物
を記録層としてコートしたものを用いるのがよい。光線
透過性が要求されない用途には、基体として、紙或いは
金属箔等を用いることもできる。
源としては、490nm或いは550nm等の可視光線
が有利であり、一方、書き込みに際しての熱源としての
レーザー光としては、550nm以上の光源を発するH
e、Ne、Arイオン等の半導体レーザー、ルビー、ガ
ラス等の固体レーザー等が使用される。
ヒドロフラン)溶液を−30℃まで冷却し、n−BuL
i/ヘキサン溶液14mlを滴下し、−30℃〜−10
℃で2hr撹拌した。再び−50℃まで冷却し、MeI
3.2g(0.023mol )/THFを滴下し、終夜撹拌し
た。水を加え、エーテルで3回抽出を行い無水硫酸マグ
ネシウムで乾燥し、次いで溶剤等を留去後、ヘキサンを
デベロッパーとしてカラムクロマトグラフィーで精製し
た。 収量 2.1g 収率 94.6%
ンゾチオフェンの合成 2−メチルベンゾチオフェン1.5g(10.0mmol)/ジク
ロロメタン10mlに室温でクロロメチル−メチルエー
テル5ml(68mmol)を滴下し、塩化亜鉛0.1g(0.70
mmol)を加え、室温で1hr撹拌した。水を加えクロロ
ホルムにて抽出、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒
を留去し、目的の化合物を得た。
ンゾチオフェンの合成 上記2−メチル−3−クロロメチルベンゾチオフェン
に、水10ml、NaCN1.5g、テトラ−n−ブチルア
ンモニウムブロマイド0.2gを加え、4hr還流した。
冷却後、5%NaOH 10ml を加え、クロロホルム抽出
後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去し、ヘ
キサン:アセト酢酸エステルをデベロッパーとしてカラ
ムクロマトグラフィーにより精製し、目的化合物を得
た。 収量 0.883g 収率 47.0%
ルベンゾチオフェンの合成 2−メチル−3−シアノメチルベンゾチオフェン0.6g
(3.2mmol)、20%KOH15mlを3hr還流し、放
冷後、1N−HClを加え、析出結晶を濾過、乾燥し、
目的化合物を得た。 収量 0.54g 収率 82.0%
ンドールの合成 DMSO(ジメチルスルフォキシド)35mlを氷冷し、60
%NaH2.0g(50mmol)をヘキサン洗浄後加え、 2−メチルインドール 63.3g(25mmol)/DMSO 15ml を室温で滴下した。滴下後35℃で1hr撹拌し、再び
氷冷後、臭化オクタデシル 0.83 g(25mmol)を滴下し
た。室温で1hr撹拌し、水に注ぎベンゼンで抽出後、
無水硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を留去後シリカゲル
クロマト(ヘキサン:クロロホルム=3:1)にて精製
し、目的化合物を得た。 収量 8.62g 収率 90.0%
ンドリル−3−オキサリル−N−シアノメチルアミドの
合成 硫酸アミノアセトニトリル492 mg (2.34mmol)、ト
リエチルアミン0.86ml(0.24mmol)及びジクロロメタン
10mlの混合溶液を、6時間還流し、次いで放冷した。
デシルインドール0.6g(1.56mmol)及びジクロロメタン
5mlを別の容器で氷冷し、これにオキサリルクロライド
0.2g(1.5mmol )を滴下した後、1時間撹拌した。こ
の反応溶液を、上記で得られた反応溶液に室温で滴下
し、終夜撹拌した後、水を加え、クロロホルム抽出、無
水硫酸マグネシウムを用いての乾燥を行ない、さらに溶
媒を留去した。得られた固体をヘキサンで再結晶し、濾
過後乾燥して目的物質を得た。収量 0.62g
収率 80.0%
−3−)−β−(2−メチル−N−オクタデシルインド
リル−3−)−N−シアノメチルマレイミド〔化合物
1〕の合成 2−メチル−3−カルボキシメチルベンゾチオフェン0.
1g(4.9×10-4mol)に塩化チオニル6mlを室温で滴
下後、1hr撹拌した後、未反応の塩化チオニルを留去
し、さらに10mlのジクロロメタンを加えた。また別の
容器に、2−メチル−N−オクタデシルインドリル−3
−オキサリル−N−シアノメチルアミド 0.12 g(2.5
×10-4mol )、トリエチルアミン5ml及びジクロロメタ
ン10mlの混合溶液を調製した。この混合溶液に、上記で
調製されたジクロロメタンの溶液を室温で滴下し、終夜
撹拌を行なった。次いでクロロホルムによる抽出、水洗
及び塩酸洗浄を行なった後、無水硫酸マグネシウムによ
る乾燥及び溶媒留去を行ない、シリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(展開液;ヘキサン:酢酸エチル=2:
1)で精製し、プレート分取して目的物を得た。 収量 0.10g 収率 64.0%
ドールの代わりに、2−メチル−5−メトキシインドー
ルを使用する以外は合成例1と同様にして、2−メチル
−5−メトキシ−N−オクタデシルインドリル−3−オ
キサリル−N−シアノメチルアミドを合成し、それを用
いて合成例1と同様にして、α−(2−メチルチアナフ
テニル−3−)−β−(2−メチル−5−メトキシ−N
−オクタデシルインドリル−3−)−N−シアノメチル
マレイミド〔化合物2〕を合成した。
の合成 3−メチルベンゾチオフェン1.5g(10mmol)/TH
F12mlを−30℃に冷却し、n−BuLi/ヘキサン
7.5ml(12mmol)を滴下した。−30℃〜−10℃で
2hr撹拌後、−60℃にて(MeS)2 (二硫化メチ
ル)1.1g(12mmol)を滴下した。終夜撹拌後、水を
加え、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を加え、撹拌後、脱
MeHを行った。氷冷し、濃HClを加え、酸性化後、
エーテル抽出、水洗、無水硫酸マグネシウムで乾燥後溶
媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーに
て(展開液;ヘキサン)精製し、目的物を得た。 収量 1.9g 収率 97.9%
ル−ベンゾチオフェンの合成 2−メチルチオ−3−メチル−ベンゾチオフェン0.5g
(2.6mmol)/ベンゼン10mlにNBS(N−ブロモ琥珀
酸イミド)0.46g(2.6mmol)とAIBN(アゾイソブ
チロニトリル)0.21g(1.3mmol)を加え、60℃で3
hr撹拌した。次いで水を注ぎ、クロロホルム抽出後、
無水硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を留去した。これを
水10ml、NaCN 0.2g(4.0mmol)及びテトラ−n
−ブチルアンモニウムブロマイド 0.13 g(4.0mmol)
の混合溶液に加え、5hr還流した。これを水に注ぎク
ロロホルム抽出後、乾燥し、シリカゲルカラムクロマト
グラフィーにて(展開液;ヘキサン:酢酸エチル=3:
1)精製し、目的物を得た。 収量 0.30g 収率 52.7%
シメチル−ベンゾチオフェンの合成 2−メチルチオ−3−シアノメチル−ベンゾチオフェン
0.23 g(1.1mmol)を含むKOH20%水溶液を3h
r還流した。放冷後水を加え、氷冷中で1N−HClを
加え、析出結晶を濾過、乾燥し、目的物を得た。 収量 0.189g 収率 72.2%
フテニル−3−)−β−(2−メチル−N−オクタデシ
ルインドリル−3−)−N−シアノメチルマレイミド
〔化合物3〕の合成 2−メチルチオ−3−カルボキシメチル−ベンゾチオフ
ェン 0.15 g(0.63mmol)に塩化チオニル10mlを加
え、室温で1hr撹拌した。次いで未反応の塩化チオニ
ルを留去後、10mlのジクロロメタンを加えた。また別
の容器に、2−メチル−N−オクタデシルインドリル−
3−オキサリル−N−シアノメチルアミド 0.20 g(0.
38mmol)、ジクロロメタン10ml及びトリエチルアミン
5mlを入れ、撹拌後、この混合溶液を上記で調製された
ジクロロメタン溶液に滴下し、室温で終夜撹拌を行なっ
た。次いでクロロホルムによる抽出、水洗及び塩酸洗浄
を行なった後、無水硫酸マグネシウムによる乾燥及び溶
媒留去を行ない、シリカゲルカラムクロマトグラフィー
(展開液;ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、
プレート分取して目的物を得た。 収量 0.127g 収率 29.0%
ドールの代わりに、2−メチル−5−メトキシインドー
ルを使用する以外は合成例1と同様にして、2−メチル
−5−メトシキ−N−オクタデシルインドリル−3−オ
キサリル−N−シアノメチルアミドを合成し、それを用
いて合成例3と同様にして、α−(2−メチルチオ−チ
アナフテニル−3−)−β−(2−メチル−5−メトキ
シ−N−オクタデシルインドリル−3−)−N−シアノ
メチルマレイミド〔化合物4〕を合成した。分析結果は
以下の通りである。
代わりに同じモル量の二硫化エチルを使用する以外は合
成法(8)と同様にして、2−エチルチオ−3−メチル
ベンゾチオフェンを合成し、それ以外は合成例3と同様
にしてα−(2−エチルチオ−チアナフテニル−3−)
−β−(2−メチル−N−オクタデシルインドリル−3
−)−N−シアノメチルマレイミド〔化合物5〕を合成
した。
ドールの代わりに、2−メチル−5−メトキシインドー
ルを使用する以外は合成例1と同様にして、2−メチル
−5−メトキシ−N−オクタデシルインドリル−3−オ
キサリル−N−ジアノメチルアミドを合成し、それを用
いる以外は合成例3と同様にして、α−(2−エチルチ
オ−チアナフテニル−3−)−β−(2−メチル−5−
メトキシ−N−オクタデシルインドリル−3−)−N−
シアノメチルマレイミド〔化合物6〕を合成した。分析
結果は以下の通りである。
メトキシ−3−ベンゾチエニル酢酸と乾燥ベンゼン14
mlを入れ、この溶液にオキサリルクロリド0.14ml(1.78
mmol)を室温で加えた。室温で約4時間撹拌後20分加
熱還流した。溶媒とオキサリルクロリドを留去し、これ
を1,2−ジクロロエタン5mlに溶かし、あらかじめ用
意しておいた0.375 g(0.71mmol)のN−オクタデシル
−2−メチル−3−(N−シアノメチルオキサモイル)
インドールと5mlのトリエチルアミン及びジクロロメタ
ン15mlの混合溶液中へ室温で滴下した。室温で約40
時間撹拌後、水を加えてクロロホルムで抽出した。有機
層を希塩酸で洗浄し、次いで水洗した後、無水硫酸マグ
ネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた固体をシ
リカゲルカラムで分離し、赤色固体の2−(2−メトキ
シ−3−ベンゾチエニル)−3−(N−オクタデシル−
2−メチル−5−メトキシ−3−インドリル)−N−シ
アノメチルマレイミド〔化合物7〕を合成した。 収量 0.342g 収率 67.8% 分析結果は以下の通りである。
化合物6を、トルエン中に溶解し、これらの化合物のポ
リスチレン中の濃度がスチレン単位当たり0.2モル%に
なるように該溶液にポリスチレンを溶解し、スライドガ
ラス上に、乾燥後の膜厚が100μmとなるように塗布
し、乾燥し積層板を得た。550nm以上の光照射前の
フォトクロミック層は、何れも鮮明な緑色であり、55
0nm以上の光照射後のフォトクロミック層は濃黄色で
あった。
l/l)に励起波長を照射し、十分に閉環させる。液体
クロマトグラフィーにて、この溶液を開環体と、閉環体
に分取する。上記閉環体溶液を減圧下で乾燥し、ヘキサ
ンに溶かし、閉環体のみの吸収スペクトルを測定し、図
5 (曲線B)に示した。上記閉環体溶液に、550nm
以上の光のみをカットフィルターにて取り出して照射
し、開環体とした後、この開環体のみの吸収スペクトル
を測定し、図5 (曲線C)に示した。次に上記開環体溶
液に、490nmの活性光線を定常状態となるように照
射した後の吸収スペクトルを測定し、図5 (曲線D)に
示した。各々の溶液の吸収スペクトルの測定は、分光光
度計 日立UV−3400Aを用いて行った。
を夫々、ベンゼン(スペクトルグレード キシダ化学
製)及びヘキサン(スペクトルグレード キシダ化学
製)中に溶解し、490nmの活性光線を定常状態にな
るように照射した。各化合物中の閉環体への異性化率及
び吸収スペクトルの最大吸収波長(λmax )は次の通り
であった。
た。化合物4を例に取ると、図5における吸光度を用
い、ヘキサン中での異性化率は、D′/B′×100で
算出する事ができ、65となった。
レード キシダ化学製)とベンゼン(スペクトルグレー
ド キシダ化学製)との80:20、60:40、4
0:60、20:80、0:100の混合溶媒中に溶解
し、490nmの活性光線を定常状態になるように照射
した。各化合物の開環体から閉環体への異性化率はヘキ
サン中での値を1として、図1に示す通りであった。
体及び開環体の相対量子収率Φ,Φ′及び吸光係数ε,
ε′を求めた。結果を下記表1に示す。 測定法; 量子収率が既知の下記化合物フルギド〔開環反応:Φ1
=0.048 (492nm)、ε1 =8200〕を用
い、
ターナショナルライト製,リサーチラジオメーターIN
1700)にて求め、その結果をαとし、I1 =492
αとする。
(光学的に薄い)ヘキサン溶液を調製した(波長492
nmでの吸光度:0.2abs)。上記の溶液に、49
2nmの光を照射して開環反応を起こし、照射時間tに
対して logAをプロットする。Aはt時間照射後の閉環
体のλmax (492nm)の吸光度である。これにより
得られた直線の傾Δ1 を求める。
サン溶液(波長490nmでの吸光度:0.2abs)
を調製する。この溶液について、490nmの光を照射
し、上記と同様にして照射時間tに対して logAをプロ
ットし、得られた直線の傾きΔ2 を求める。Aはt時間
照射後の閉環体のλmax (639nm)の吸光度であ
る。また化合物4の閉環反応の励起波長490nmでの
光量を光量計により計測し、これをβとし、I2 =49
0βとする。
Φが求まる。化合物2についても、同様に閉環体の量子
収率Φを求めることができる。
ン溶液(波長639nmでの吸光度:0.2abs)を
調製し、この溶液について、639nmの光を照射し、
上記と同様にして照射時間tに対して logAをプロット
し、得られた直線の傾きΔ3を求める。Aはt時間照射
後の閉環体のλmax (639nm)の吸光度である。ま
た化合物4の開環反応の励起波長639nmでの光量を
光量計により計測し、これをγとし、I2 ′=439r
とする。
Φ′が求まる。化合物2についても、同様に開環体の相
対量子収率が求まる。
に照射し、鮮明な緑色の記録用原板を調製した。この記
録用原板に、Ar−イオンのレーザ光を用いて画像露光
した。濃黄色の画像で、鮮明で、コントラストの高い記
録体が得られた。
を得た。この積層板に、500nmの光線を十分に照射
し、緑色の記録用原板を調整した。この記録用原板に、
663nmの光線を用いて画像露光した。濃赤色の画像
で、鮮明で、コントラストの高い記録体が得られた。
置換マレイミド誘導体は、開環状態において濃黄色であ
り、活性光線照射後の閉環状態に鮮明な緑色であるとい
う特徴を有する。また、この誘導体においては、チアナ
フテニル基またはインドリル基の2位にアルキルチオ基
あるいはアルコキシ基を有することにより、アルキルチ
オ基等の代わりにアルキル基を有する化合物に比して閉
環体の量子収率が大きいという利点を有する。
換マレイミド誘導体は、式(1)の開環体から、式
(2)への閉環体への異性化が媒体の極性変化により、
高能率で行われるという利点を有する。即ち、ポリマー
にレーザー光を照射すると、ポリマーの温度が上昇し、
その極性が変化する(小さくなる)ことが知られてい
る。本発明によれば、この特徴を利用して、光記録を高
いコントラストで能率よく行うことができる。
量子収率が大きいことから、カラーフィルター等のフォ
トクロミック材料として使用し得るのは勿論のこと、光
記録材料として特に有用である。
イミド誘導体とについて、極性の大きいベンゼンと極性
の小さいヘキサンとを種々の割合で混合した媒体中での
異性化率(ヘキサン100%中での閉環体の量を1とし
た閉環体の量比)をプロットしたグラフである。
る。
である。
である。
バックグラウンド、5は画像部。
Claims (6)
- 【請求項1】 下記式(1): 【化1】 または下記式(2): 【化2】 式中、Rは置換乃至未置換の一価炭化水素基であり、 R1 及びR2 の各々は、少なくとも一方がアルキルチオ
基またはアルコキシ基であるという条件下に、水素原
子、アルキル基、アルキルチオ基またはアルコキシ基で
あり、 R3 はアルキル基またはアシル基であり、 環A及びBの各々は未置換でも、或いはアルキル基、ア
ルコキシ基またはハロゲン原子で置換されていてもよ
い、 で表わされる化合物。 - 【請求項2】 前記式において、R1 がアルキルチオ基
であり、R2 がアルキル基である請求項1記載の化合
物。 - 【請求項3】 前記式において、R1 がアルコキシ基で
あり、R2 がアルキル基である請求項1記載の化合物。 - 【請求項4】 前記式において、Rがシアノアルキル基
である請求項1記載の化合物。 - 【請求項5】 請求項1の化合物から成るフォトクロミ
ック材料。 - 【請求項6】 請求項1の化合物を含有する層を有する
ことを特徴とする光記録材料。
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JP5068926A JP2992424B2 (ja) | 1993-03-26 | 1993-03-26 | ベンゾチオフェン・インドール置換マレイミド誘導体、フォトクロミック材料及びそれを用いた光記録材料 |
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