JP3041642B2 - 高分子スピロピラン化合物 - Google Patents

高分子スピロピラン化合物

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JP3041642B2 JP3503821A JP50382191A JP3041642B2 JP 3041642 B2 JP3041642 B2 JP 3041642B2 JP 3503821 A JP3503821 A JP 3503821A JP 50382191 A JP50382191 A JP 50382191A JP 3041642 B2 JP3041642 B2 JP 3041642B2
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、新規なフォトクロミック高分子化合物に関
し、更に詳しくは、紫外光照射又は暗所放置により発色
し、可視光照射により消色する高分子スピロピラン化合
物に関する。
従来の技術 光又は熱エネルギーにより可逆的に発消色する典型的
な有機化合物としてスピロピラン誘導体が最もよく知ら
れており、例えばG.H.Brown著のPhotochromism(John W
iley & Sons,Inc.1971年)にこれら誘導体の具体例や
物性がまとめられている。
しかしながら、従来のスピロピラン誘導体を、例えば
光応答性材料として実用化する場合、発色種又は消色
種が溶液中でも高分子バインダー中でも光又は熱安定性
に欠けるため、直ちに消色系又は発色系に戻る。光及
び熱による発消色を繰返す過程で準安定系が不安定なた
めに起こる副反応によってスピロピラン誘導体が分解劣
化し、充分な繰返し寿命が得られない、材料として媒
体化する手段として高分子物質中に分散させる方法が通
常行なわれるが、スピロピラン誘導体と高分子物質との
相溶性が一般に良くないため、高分子物質中からスピロ
ピラン誘導体が溶出したり、相分離を起して析出する等
の難点がある。
スピロピラン骨格を高分子鎖に化学結合で導入したい
わゆる高分子スピロピラン系化合物はフォトクロミック
材料として最も有用なものとなり得ると考えられる。し
かしながら、その研究例は低分子スピロピラン系化合物
のそれと比較して極めて少なく、例えば日本化学会誌13
23(1972)、J.Polym.Sci.Polym.Chem.Ed.,12,2511(19
74)、特開昭53−88895号公報、特開昭61−76514号公報
などに開示されているにすぎない。これらに開示されて
いる例はいずれもインドリン系もしくはベンゾチアゾリ
ン系のスピロピラン化合物を高分子鎖に化学結合で導入
した高分子化合物である。
上記日本化学会誌1323(1972)に一般式 で表わされるスピロベンゾピラン化合物が開示されてお
り、該化合物を単独重合させて得られる重合体又は該化
合物とスチレンもしくはメタクリル酸メチルとを共重合
させて得られる重合体のフォトクロミック特性が検討さ
れている。
しかしながら、一般に高分子化すると発色種の安定性
は増大するものと考えられているにも拘らず、例えば該
化合物とスチレンとの共重合体の発色種は非常に不安定
であり、このもののベンゼン中での半減期は約1分程度
と極めて短い。即ち、常温で直ちに安定状態に戻る(消
色する)ので、光応答材料として実用化する上で大きな
欠点を有している。
発明の開示 本発明は、従来のスピロピラン誘導体の前記欠点を解
消する化合物を提供することを目的とする。特に、本発
明は、安定なフォトクロミズムを示す化合物を提供する
ことを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、
特定構造の重合可能なスピロベンゾチオピラン化合物も
しくはベンゾセレナゾリン系スピロピラン化合物の単独
重合体又は該化合物と重合性ビニル化合物との共重合体
が上記目的を達成することを見出し、本発明を完成する
に至った。
本発明は、 (a)一般式 〔式中、Wは を示す。R1は炭素数1〜20のアルキル基又はアラルキル
基を示す。R2、R3、R4及びR5は、同一又は異なって、水
素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基、アラ
ルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ハロゲン原
子、シアノ基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチ
ル基又はニトロ基を示す。R6及びR7は、同一又は異なっ
て、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アリール
基、アラルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ
基を示す。Xは酸素原子又は硫黄原子を示す。
但し、Wが である場合、Xは硫黄原子を示す。〕 で表わされる構造単位0.001〜100モル%及び (b)一般式 〔式中、Yは水素原子またはメチル基を示し、Zはカル
ボキシル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、カル
バモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、アセトキ
シ基、フェニル基又はメチルフェニル基を示す。〕 で表わされる構造単位0〜99.999モル%を含む重合体を
提供するものである。
本発明の化合物は安定なフォトクロミズムを示す化合
物である。本発明の化合物はスピロピラン骨格が高分子
鎖に化学結合で導入されている。その結果スピロピラン
化合物の発色状態及び消色状態の安定性が増大するのみ
ならず、高分子物質中からの溶出乃至析出という前記従
来の問題が解消され、本発明の化合物単独で光応答性を
有するフィルム等の媒体が形成できるし、光応答性高分
子化合物として構造変化や極性、粘性、溶解性等の性能
を光可逆的に引き出すことが可能となる。その結果高密
度光記録材料、光学フィルター、画像形成材料、感光材
料、非線型光学素子、或いは光エネルギーの力学エネル
ギーへの変換等の分野での利用が期待できる化合物であ
る。
本発明の高分子スピロピラン化合物において、一般式
(I)で示されるスピロピラン構造単位中、アラルキル
基としては、ベンゼン環上に置換基としてC1−C6アルキ
ル基、C1−C6アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、
トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基又はニトロ
基を1〜5個(特に、1、2又は3個)有していてもよ
いフェニル−C1−C6アルキル基を例示でき、アリール基
としては、置換基としてC1−C6アルキル基、C1−C6アル
コキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、トリクロロメチル
基、トリフルオロメチル基又はニトロ基を1〜5個(特
に1、2又は3個)有していてもよいフェニル基を例示
できる。また、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩
素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を例示できる。
一般式(II)の構造単位において、Zで示されるアル
コキシカルボニル基のアルコキシ基としては、炭素数1
〜8程度のものが例示できる。
また、一般式(II)の構造単位のうちでも、特に、Y
がメチル基であり、Zがメトキシカルボニル基であるも
の、Yが水素原子であり、Zがフェニル基であるもの等
が好ましい。
本発明の一実施態様によれば、一般式 〔式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7は前記に同じで
ある。〕 で表わされるスピロベンゾチオピラン構造単位0.001〜1
00モル%と前記一般式(II)で表わされる構造単位0〜
99.999モル%を含む重合体が提供される。
上記本発明の高分子スピロベンゾチオピラン化合物
は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)法(溶媒=テ
トラヒドロフラン、温度=40℃、ポリスチレン換算)に
よる数平均分子量が1×103〜1×106程度、好ましくは
5×103〜3×105程度であり、同GPC法による重量平均
分子量が1×103〜1×106程度、好ましくは5×103
5×105程度である。
本発明の化合物は、前記一般式(I−1)の構造単位
のみからなる単独重合体であってもよく、また、一般式
(I−1)の構造単位と一般式(II)の構造単位とを含
む共重合体であってもよい。このような共重合体である
場合、一般式(I−1)で表わされるスピロチオピラン
構造単位が少なすぎると所望のフォトクロミズムを得る
ことができないので、該スピロチオピラン構造単位が、
該共重合体中に、0.001〜50モル%程度、好ましくは0.0
1〜25モル%程度、より好ましくは0.1〜10モル%程度存
在し、残部が一般式(II)の構造単位であるのがよい。
この化合物は前記従来から知られているスピロピラン
誘導体と比べて、発色種(不安定系)が大巾に安定化さ
れ長寿命化されたものである。即ち、上記一般式(I−
1)の構造単位を含む本発明の化合物は紫外光照射によ
り無色(安定系)から発色種(不安定系)に移行する
が、この発色種は熱的に完全な消色系に戻ることはな
く、着色状態が固定化される。より詳しく述べると、該
発色種は紫外光照射の後若干減衰するが、その減衰も極
めて緩慢となり、数か月以上経過すると、上記極めて緩
慢な減衰も認められなくなる。その結果、着色状態は、
少なくとも年のオーダーで極めて長期間維持される。
また、この発色種は可視光照射により完全に消色し、
再度紫外光照射すると発色種に移行した後再び上記のよ
うに着色状態が固定化される。
さらに本発明の化合物はその発色種のフィルム状態に
於ける極大吸収波長(λmax)が670〜715nm付近まで長
波長シフトしており、その吸収末端は900nm付近にまで
至るという特徴をも有している。そのため、例えば、半
導体発振レーザー光のような700nm以上の長波長の光に
対しても高い吸収性能を有している。
上記一般式(I−1)の構造単位のうちでも、R1が炭
素数1〜20のアルキル基であり、R2、R3、R4及びR5が同
一又は異なって、水素原子、メチル基、エチル基、フェ
ニル基、メトキシフェニル基、メトキシ基、エトキシ
基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基又はニ
トロ基であり、R6及びR7が同一又は異なって水素原子、
メチル基、エチル基、フェニル基又はナフチル基である
もの、特にR1が炭素数1〜29のアルキル基であり、R2
R3、R4及びR5が同一又は異なって水素原子、フェニル
基、メトキシ基、塩素原子、臭素原子、シアノ基又はニ
トロ基であり、R6及びR7が同一又は異なって、水素原
子、フェニル基又はナフチル基であるもの、が好まし
く、R1が炭素数1〜18のアルキル基であり、R2、R3
R4、R5、R6及びR7が水素原子であるものがより好まし
い。
また、本発明の他の実施態様によれば、一般式 〔式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びXは前記に同
じである。〕 で表わされるベンゾセレナゾリン系スピロピラン構造単
位0.001〜100モル%と前記一般式(II)で表わされる構
造単位0〜99.999モル%を含む重合体が提供される。
上記本発明の高分子ベンゾセレナゾリン系スピロピラ
ン化合物は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)法
(溶媒=テトラヒドロフラン、温度=40℃、ポリスチレ
ン換算)による数平均分子量が1×103〜1×106程度、
好ましくは5×103〜3×105程度であり、同GPC法によ
る重量平均分子量が1×103〜2×106程度、好ましくは
5×103〜5×105程度である。
本発明の化合物は、前記一般式(I−2)の構造単位
のみからなる単独重合体であってもよく、また、一般式
(I−2)の構造単位と一般式(II)の構造単位とを含
む共重合体であってもよい。このような共重合体である
場合、一般式(I−2)で表わされるスピロピラン構造
単位が少なすぎると所望のフォトクロミズムを得ること
ができないので、該スピロピラン構造単位が、該共重合
体中に、0.001〜50モル%程度、好ましくは0.01〜25モ
ル%程度、より好ましくは0.1〜10モル%程度存在し、
残部が一般式(II)の構造単位であるのがよい。
この化合物は通常(室温下)発色しており、可視光の
照射により消色し、紫外線照射又は加熱により元の発色
種に戻るという所謂逆フォトクロミズムを示すという特
徴を有している。
より具体的には、この化合物は、可視光照射により消
色するが、得られた無色の化合物(消色種)は、熱の影
響で徐々に着色する。この場合の熱半減期は原料のモノ
マーに比し極めて長いものになっている。上記消色種は
少なくとも室温程度の温度において完全に着色すること
はなく、半消色状態が固定される。
またこの半消色状態に固定された化合物を再度可視光
照射すると消色種に移行し、引き続き室温程度の温度に
放置すると半消色状態を維持するというサイクルが繰り
返し行なえる。
上記一般式(I−2)の構造単位のうちでも、R1が炭
素数1〜20のアルキル基であり、R2、R3、R4及びR5が同
一又は異なって、水素原子、メチル基、エチル基、フェ
ニル基、メトキシフェニル基、メトキシ基、エトキシ
基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基又はニ
トロ基であり、R6及びR7が同一又は異なって水素原子、
メチル基、エチル基、フェニル基又はナフチル基である
もの、特にR1が炭素数1〜20のアルキル基であり、R2
R3、R4及びR5が同一又は異なって水素原子、フェニル
基、メトキシ基、塩素原子、臭素原子、シアノ基又はニ
トロ基であり、R6及びR7が同一又は異なって、水素原
子、フェニル基又はナフチル基であるものが好ましく、
R1が炭素数1〜20のアルキル基であり、R2及びR5が水素
原子であり、R3が水素原子又は炭素数1〜5のアルコキ
シ基であり、R4が水素原子、炭素数1〜6のアルキル基
又は炭素数1〜5のアルコキシ基であり、R6及びR7が水
素原子であり、Xが酸素原子であるもの、特にR1がメチ
ル基又はオクタデシル基、R2、R3、R5、R6及びR7が水素
原子であり、R4が水素原子、メチル基又はメトキシ基で
あり、Xが酸素原子であるものがより好ましい。
本発明化合物は、前記一般式(I)のスピロピラン構
造単位に対応する下記一般式 〔式中、W、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びXは前記
と同一の意味を有する。〕 で表わされるスピロピラン化合物を単独重合させるか又
は一般式(II)の構造単位に対応する一般式 〔式中、Y及びZは前記と同一の意味を有する。〕で表
わされる重合性ビニルモノマーと共重合させることによ
り製造される。
上記一般式(II a)のビニルモノマーはいずれも公知
のものであり、例えば、メタクリル酸、アクリル酸、メ
タクリル酸又はアクリル酸のC1−C8アルキルエステル、
アクリロニトリル、アクリル酸アミド、N,N−ジメチル
アクリルアミド、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルス
チレン、ビニルトルエン等が好適に使用される。
一般式(I a)の化合物のうち、Wが である化合物は、下記反応式−1に示すように、一般式
(IV−1)で表わされる2−メチレン−3,3−ジメチル
インドレニン誘導体と一般式(III)で表わされる3−
メタクリロキシメチル−5−ニトロチオサリチルアルデ
シド誘導体とを加熱下で反応させることにより容易に製
造される。
〔式中R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7は前記に同じ。〕 出発原料として用いられる一般式(III)で表わされ
る3−メタクリロキシメチル−5−ニトロチオサリチル
アルデヒド誘導体は、例えば次のようにして得られる。
即ち、一般式(V) 〔式中R6及びR7は前記に同じ。〕 で表わされるサリチルアルデヒド誘導体を、5〜20倍モ
ル量程度のクロルメチルメチルエーテルと、塩化アルミ
ニウムの存在下に室温〜70℃程度で2〜25時間反応させ
て一般式(VI) 〔式中R6及びR7は前記に同じ。〕 で表わされる3−クロロメチル−5−ニトロサリチルア
ルデヒド誘導体とする。次に一般式(VI)の化合物に1
〜2倍モル量程度のメタクリル酸銀をトルエン等の溶媒
中で100〜120℃程度で2〜20時間反応させて一般式(VI
I) 〔式中R6及びR7は前記に同じ。〕 で表わされる3−メタクリロキシメチル−5−ニトロサ
リチルアルデヒド誘導体とする。次に一般式(VII)の
化合物に、例えば特開昭60−54388号記載の方法と同様
にして、N,N−ジメチルチオカルバモイルクロライドを
反応させせ一般式(VIII) 〔式中R6及びR7は前記に同じ。〕 で表わされる2−O−(N,N−ジメチルチオカルバモイ
ル)ベンズアルデヒド誘導体とする。引き続きこれをエ
タノール、トルエン等の溶媒中で2〜24時間程度還流温
度にて加熱して異性化して一般式(IX) 〔式中R6及びR7は前記に同じ。〕 で表わされる2−S−(N,N−ジメチルチオカルバモイ
ル)ベンズアルデヒド誘導体に導き、引き続いてメタノ
ール中室温にてアルカリ加水分解処理することにより一
般式(III)の化合物が製造される。
一方、一般式(IV−1)で表わされる2−メチレン−
3,3−ジメチルインドレニン誘導体は、対応する2,3,3−
トリメチルインドレニン誘導体と等モル量以上、好まし
くは1.05〜1.5モル倍量の一般式R1I(式中R1は前記に同
じ)で表わされる化合物とを50〜120℃程度で0.5〜20時
間程度反応させて対応するヨウ化1−置換−2,3,3−ト
リメチルインドレニウムとし、これに水酸化アルカリ水
溶液を加えて室温〜80℃にて0.3〜18時間程度加熱する
ことにより製造できる。上記2,3,3−トリメチルインド
レニン誘導体は、Helv.Chim.Acta,23,2471(1940)、特
公昭58−58654号、特開昭62−232461号、特公昭62−217
80号、特開昭63−267783号等に記載される公知化合物で
あるか、またはこれら文献に記載の方法に従い製造でき
る。
上記一般式(III)の3−メタクリロキシメチル−5
−ニトロチオサリチルアルデヒド誘導体と一般式(IV−
1)の2−メチレン−3,3−ジメチルインドレニン誘導
体との反応は、これら両方を適当な溶媒中に溶解し、室
温〜該溶媒の沸点程度の温度にて1〜20時間程度加熱す
ればよい。一般式(III)の化合物は、一般式(IV−
1)の化合物1モルに対し、0.9〜1.1モル程度使用する
のが好ましい。上記溶媒としては、一般式(III)の化
合物及び一般式(IV−1)の化合物を溶解し得る有機溶
媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン
類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ジクロメ
タン、ジクロルエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭
化水素類、ジメチルホルムアミド等が使用できる。
以上の一般式(III)の化合物及び一般式(IV−1)
の化合物の製造法並びに一般式(III)の化合物と一般
式(IV−1)の化合物との反応による一般式(I−1a)
の化合物の製造法の詳細を後記参考例1〜7に示す。
一方、前記一般式(I a)のモノマーのうち、Wが−S
e−である化合物は、下記反応式−2に示すように、一
般式(IV−2)で表わされるベンゾセレナゾリウム誘導
体と一般式(III′)で表わされる3−メタクリロキシ
メチル−5−ニトロサリチルアルデヒド誘導体とをアミ
ン触媒の存在下で縮合反応させることにより容易に製造
される。
〔式中R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びXは前記に同じ
であり、Aは塩素、臭素又は沃素等のハロゲン原子、R8
SO3基等を表わす。ここで、R8は、メチル基、エチル基
等の低級アルキル基、置換基としてフッ素、塩素、臭
素、沃素等のハロゲン原子又はC1−C4アルキル基を有し
ていてもよいフェニル基を示す。〕 出発原料として用いられる一般式(III′)で表わさ
れる3−メタクリロキシメチル−5−ニトロサリチルア
ルデヒド誘導体は、前記反応行程式−1における一般式
(III)の化合物の製法と同様にして製造できる。
一方、一般式(IV−2)で表わされるベンゾセレナゾ
リウム誘導体は、対応する2−メチルベンゾセレナゾー
ル誘導体と1倍モル量以上、好ましくは1.05〜1.5倍モ
ル量の一般式R1A(式中R1及びAは前記に同じ)で表わ
される化合物とを50〜120℃程度で0.1〜5日程度反応さ
せることにより製造できる。上記2−メチルベンゾセレ
ナゾール誘導体は、例えばJ.Amer.Chem.Soc.,68,1536
(1946)又は英国特許第1411957号(1975)に記載され
る公知化合物であるか、またはこれら文献に記載の方法
に従い製造できる。
上記一般式(III′)の3−メタクリロキシメチル−
5−ニトロサリチルアルデヒド誘導体と一般式(IV−
2)のベンゾセレナゾリウム誘導体との反応は、これら
両者を適当な溶媒中に溶解し、室温〜該溶媒の沸点程度
の温度にてこれにアミン触媒を少量ずつ滴下し、1〜24
時間程度加熱すればよい。一般式(III′)の化合物
は、一般式(IV−2)の化合物1モルに対し、0.9〜1.1
モル程度使用するのが好ましい。上記溶媒としては、一
般式(III′)の化合物及び一般式(IV−2)の化合物
を溶解し得る有機溶媒、例えば、メタノール、アセト
ン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢
酸ブチル等のエステル類、ジクロルメタン、ジクロルエ
タン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ジメチ
ルホルムアミド等が使用できる。また、上記アミン触媒
としては、ピペリジン、モルホリン、トリエチルアミ
ン、ピリジン、ルチジン、1,4−ジアザビシクロ〔2,2,
2〕オクタン、1,5−ジアザビシクロ〔4,3,0〕ノネン、
1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデセン等が使用で
き、その使用量は、一般式(IV−2)の化合物1モルに
対し1〜10モル程度とすればよい。
このようにして得られる一般式(I a)のスピロベン
ゾチオピラン化合物又はベンゾセレナゾリン系スピロピ
ラン化合物の単独重合方法及び該化合物と一般式(II
a)のビニルモノマーとの共重合方法について以下に記
載する。
上記単独重合法及び共重合方法は、通常のビニル樹脂
等の合成反応と同等の方法、条件で行なうことができ
る。例えば、単量体である一般式(I a)の化合物を単
独で又は一般式(II a)の化合物と共に有機溶媒中に溶
解させ、ラジカル重合開始剤の存在下で50〜100℃程度
の温度で撹拌しながら加熱する方法を例示することがで
きる。反応時間は、一般式(I−1a)のモノマーを使用
する場合0.1〜100時間程度、一般式(I−1a)のモノマ
ーを使用する場合は通常1〜50時間程度とすればよい。
また、有機溶剤としては、使用する単量体及び生成高分
子化合物に対して不活性なもの、例えばN,N−ジメチル
ホルムアミド等のアミド系極性有機溶媒、その他ジエチ
ルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、
トルエン等の炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル
等のエステル系溶媒、アセトン、メチルイソブチルケト
ン等のケトン系溶媒等を使用できる。これらのうちで
も、一般式(I−1a)のモノマーを用いる場合はトルエ
ン等の炭化水素系溶媒が好ましく、一般式(I−2a)の
モノマーを用いる場合は、N,N−ジメチルホルムアミド
等のアミド系極性有機溶媒が好ましい。またラジカル開
始剤としては、通常用いられているものをいずれも用い
ることができ、その代表例として、過酸化ベンゾイル、
ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ
−2−エチルヘキサノエート等の過酸化物、アゾビスイ
ソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等
のアゾ化合物等を挙げることができる。また、上記と同
様な条件下、フェニルマグネシウムブロマイド等のグリ
ニア試薬を開始剤として用いて重合させることもでき
る。
本発明の化合物が一般式(I)の構成単位と一般式
(II)の構成単位とからなる共重合体である場合、共重
合体中の両構成単位の割合(共重合比)は、一般式(I
a)のスピロピラン化合物と一般式(II a)のビニル化
合物との仕込比、共重合方法等により決まるので、予め
これらの要因をパラメーターとしてその関係を求めてお
けば、所望の共重合比の共重合体を容易に製造できる。
こうして得られた本発明の高分子スピロベンゾピラン
化合物の単離は、公知慣用の方法を用いて行うことがで
き、例えば、上記重合反応後の反応液中に、メタノー
ル、エーテル等の貧溶媒を滴下することにより固体とし
て析出せしめ、該固体を過等の方法で分離することに
より行なうことができる。
以下に実施例を掲げて本発明をより一層明らかにす
る。
第1図は、実施例1で得られた緑色フィルムの27℃に
おける可視吸収スペクトルを示す。
第2図は、実施例3で得られた緑色フィルムの28.5℃
における可視吸収スペクトルを示す。
第3図は、実施例4で得られた緑色フィルムの28℃に
おける可視吸収スペクトルを示す。
第4図は、実施例6で得られた緑力フィルムの28℃に
おける可視吸収スペクトルを示す。
それぞれ(1)は紫外光照射前、(2)は紫外光照射
終了直後、(3)は紫外光照射後徐々に消色が起こりは
じめて着色濃度の減少が認められなくなった時点、即ち
発色種の固定化達成時点のスペクトルを示す。
第5図は、実施例8で得られたフィルムの室温での可
視吸収スペクトルを示す。
第6図は、実施例11で得られたフィルムの室温での可
視吸収スペクトルを示す。
第7図は、実施例13で得られたフィルムの室温での可
視吸収スペクトルである。
第5図〜第7図において、それぞれ(1)はフィルム
作製時、(2)は可視光照射終了直後、(3)は可視光
照射後ゆっくり着色が起こりはじめて最終的に着色濃度
の増加が認められなくなった(消色種の固定化達成)時
点のスペクトルを示す。
尚、前記一般式(I−1a)のスピロベンゾチオピラン
化合物の製造例を、参考例1〜7に示す。また、一般式
(I−2a)のベンゾセレナゾリン系スピロピラン化合物
の製造例を、参考例8〜19に示す。
参考例1 5−ニトロサリチルアルデヒド20.0gをクロルメチル
メチルエーテル200mlに混合して氷浴で冷却したものに
塩化アルミニウム80gを加え、室温で1時間、次に63℃
で17時間反応させた。反応液を氷浴で冷却後、氷水300m
lを加え、生じた白色沈澱は別してヘキサンで再結晶
することにより、3−クロロメチル−5−ニトロサリチ
ルアルデヒドを18.6g得た(収率72%)。1 H−NMR(CDCl3);δppm 4.7(s,2H,−CH2−) 8.5(s,2H,ArH) 10.0(s,1H,CHO) 12.1(s,1H,OH) 参考例2 3−クロロメチル5−ニトロサリチルアルデヒド10.0
gとメタクリル酸銀14.5gの混合物をトルエン200ml中、1
20℃で18時間加熱攪拌した。反応液を過して得た溶液
を減圧下で濃縮することにより、3−メタクリロキシメ
チル−5−ニトロサリチルアルデヒドが12.5g得られた
(収率96%)。1 H−NMR(CDCl3);δppm 2.0(d,3H,CH3) 5.3(s,2H,−CH2−) 5.7(m,1H,ビニル) 6.2(m,1H,ビニル) 8.5(s,2H,ArH) 10.0(s,1H,CHO) 12.0(brs,1H,OH) IR(KBr);2950,1705,1660,1600,1520,1345cm-1 参考例3 3−メタクリロキシメチル−5−ニトロサリチルアル
デヒド13.8g及び1,4−ジアザビシクロ〔2,2,2〕オクタ
ン11.2gをジメチルホルムアミド300mlに溶解させて50℃
に加熱した。このものに、N,N−ジメチルチオカルバモ
イルクロライド12.9gをジメチルホルムアミド50mlに溶
解したものを徐々に加え、その後50℃で2時間加熱し
た。反応液を酢酸エチルで抽出し、抽出液は飽和食塩水
で洗浄して減圧下で濃縮すると、2−O−(N,N−ジメ
チルチオカルバモイル)−3−メタクリロキシメチル−
5−ニトロベンズアルデヒドが17.6g得られた(粗収率9
6%)。1 H−NMR(CDCl3);δppm 2.0(m,3H,CH3) 3.5(d,6H,N−CH3) 5.3(d,2H,−CH2−) 5.7(m,1H,ビニル) 6.2(m,1H,ビニル) 8.6(d,1H,ArH) 8.7(d,1H,ArH) 10.0(s,1H,CHO) 参考例4 2−O−(N,N−ジメチルチオカルバモイル)−3−
メタクリロキシメチル−5−ニトロベンズアルデヒド1
2.6g及びエタノール100mlの混合物を21時間加熱還流さ
せた。反応液を減圧下で濃縮して得た残渣を真空乾燥
し、シリカゲルカラムで精製すると、2−S−(N,N−
ジメチルチオカルバモイル)−3−メタクリロキシメチ
ル−5−ニトロベンズアルデヒドが10.7g得られた(収
率85%)。1 H−NMR(CDCl3);δppm 2.0(s,3H,CH3) 3.1(d,6H,N−CH3) 5.5(s,2H,−CH2−) 5.7(m,1H,ビニル) 6.2(m,1H,ビニル) 8.6(d,1H,ArH) 8.7(d,1H,ArH) 10.3(s,1H,CHO) IR(KBr);1720,1690,1660,1535,1345cm-1 参考例5 2−S−(N,N−ジメチルチオカルバモイル)−3−
メタクリロキシメチル−5−ニトロベンズアルデヒド1
4.1g及びメタノール200mlの混合溶液に0.64規定水酸化
ナトリウム水溶液140mlを室温下で添加した。次に0.488
規定塩酸380mlを加えて反応液をpH2に酸性化した後、減
圧下で濃縮した。得られた残渣をエーテルで抽出し、抽
出液は水洗した後、減圧下で濃縮することにより、3−
メタクリロキシメチル−5−ニトロチオサリチルアルデ
ヒド9.79gを橙色結晶として得た(収率87%)。1 H−NMR(CDCl3);δppm 2.0(m,3H,CH3) 5.3(s,2H,−CH2−) 5.7(m,1H,ビニル) 6.2(m,1H,ビニル) 8.4(m,2H,ArH) 10.1(s,1H,CHO) 参考例6 2,3,3−トリメチルインドレニン16.0g及びクロロホル
ム100mlの溶液に沃化メチル15.9gを加え、オートクレー
ブ中で80℃で21時間加熱した。生成した沈澱を過して
単離し、沃化1,2,3,3−テトラメチルインドレニウム27.
5gを白色結晶として得た。このものに窒素雰囲気下で10
規定水酸化カリウム水溶液270mlを加え、50℃で2.5時間
加熱した。次に反応液をエーテルで抽出し、抽出液は硫
酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で濃縮すると、2−メ
チレン−1,3,3−トリメチルインドリンが14.1g得られた
(収率81%)。1 H−NMR(CDCl3);δppm 1.3(s,6H,CH3) 3.0(s,3H,N−CH3) 6.5〜7.0(dd,2H,ビニル) 7.0〜7.2(m,4H,ArH) 参考例7 3−メタクリロキシメチル−5−ニトロチオサリチル
アルデヒド14.1g及び2−メチレン−1,3,3−トリメチル
インドリン8.7gを2−ブタノン120mlに溶解し、窒素雰
囲気下で20時間加熱還流した。反応液を減圧下で濃縮
し、残渣をシリカゲルカラムで精製することにより、
8′−メタクリロキシメチル−6′−ニトロ−1,3,3−
トリメチルスピロ〔インドリン−2,2′(2′H)−
1′−ベンゾチオピラン〕を淡黄色結晶として15.9g得
た(収率73%)。1 H−NMR(CDCl3);δppm 1.24(s,3H,CH3) 1.39(s,3H,CH3) 1.97(d,3H,CH3) 2.67(s,3H,N−CH3) 5.15(dd,2H,CH2) 5.62(t,1H,ビニル) 6.05(d,1H,チオピラン) 6.16(s,,1H,ビニル) 6.51(d,1H,チオピラン) 6.65(t,1H,インドリン) 6.96(d,1H,インドリン) 7.06(d,1H,インドリン) 7.17(t,1H,インドリン) 8.02(d,1H,ベンゾチオピラン) 8.08(d,1H,ベンゾチオピラン) 実施例1 参考例7で得た8′−メタクリロキシメチル−6′−
ニトロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔インドリン−2,2′
(2′H)−1′−ベンゾチオピラン〕979mg(2.25mmo
l)をトルエン30ml及びメタクリル酸メチル2.30g(23.0
mmol)に溶解した。窒素雰囲気下の暗所でこれにα,
α′−アゾビスイソブチロニトリル18.2mg(0.11mmol)
を加えて85℃で125時間重合反応させた。得られた黄色
の反応液をメタノール500mlに滴下すると黄色重合体が
析出した。析出物をグラスフィルターで分離し乾燥させ
て1.90gの淡黄色重合体を得た。
このものは下記物性から、原料スピロチオピラン体と
メタクリル酸メチルの共重合体と確認した。赤外吸収ス
ペクトル(IR)分析の結果、強いエステル性カルボニル
(1732cm-1)の吸収の他にニトロ基の吸収(1522cm-1
1388cm-1)が存在する。またこのものは、GPC測定(溶
媒=テトラヒドロフラン、温度=40度、ポリスチレン換
算、以下の実施例においても同じ)の結果単一ピークを
与え、数平均分子量Mn=2.66×104、重量平均分子量Mw
=4.21×104であった。また、元素分析値は、C59.48%,
H7.15%,N1.56%であり、この結果から、一般式(I−
1)に対応するスピロチオピランユニットの含量は5.5
モル%であった。
このポリマー10mgをベンゼン2mlに溶解させ、石英板
上にキャストして淡黄色の薄膜を得た。この薄膜に超高
圧水銀灯(ウシオUSH−500D)及び紫外線バンドパスフ
ィルター(ケンコーU−350)を用いて350nm付近の紫外
光を1分間照射したところ緑色に変化し、その極大吸収
波長λmaxは670nmであった。またその吸収末端は900nm
付近まで広がりをもっていた。またこの緑色フィルムは
23℃において完全に消色することはなく、着色種固定化
率53%で完全に固定化されて着色状態を維持した。
但し、ここで用いる着色種固定化率は下式のように定
着した(以下の実施例及び比較例においても同じ)。
ここで、「固定化時吸光度」は、試験すべき試料にも
よるが、通常、24時間程度可視吸収スペクトルを測定
し、吸光度の低下が実質的に認められなくなった状態で
のλmaxでの吸光度を指す。また、「消色時吸光度」
は、製造直後の薄膜に波長500nm以上の可視光を照射し
て消色させた状態で測定した前記λmaxにおける吸光度
を指す。
第1図に、本実施例で得られた上記緑色フィルムの27
℃における可視吸収スペクトルを示す。
また、上記固定化されて着色状態を維持している薄膜
に、可視光線を照射したところ、消色して紫外光照射前
の色彩に戻った。更に、紫外光による着色種の固定化及
び可視光線による消色のサイクルは再現性をもって繰り
返し行うことができた。
実施例2 参考例7で得た8′−メタクリロキシメチル−6′−
ニトロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔インドリン−2,2′
(2′H)−1′−ベンゾチオピラン〕842mg(1.80mmo
l)に、充分脱気したスチレン16g(150mmol)及び乾燥
トルエン30mlを加えた。これにα,α′−アゾビスイソ
ブチロニトリル114mg(0.6mmol)を開始剤として加え、
80℃で68時間重合反応させた。得られた反応液をメタノ
ール500mlに滴下すると淡黄色重合体が析出した。析出
物をグラスフィルターで分離し乾燥させて9.82gの黄色
粉状重合体を得た。
このものは下記物性から、原料スピロピラン体とスチ
レンとの共重合体と確認した。IRスペクトルでニトロ基
(1520cm-1、1357cm-1)及びチオピラン環(1645cm-1
に由来する吸収が認められる。またこのものは、GPC測
定の結果単一ピークを与え、数平均分子量Mn=2.34×10
4、重量平均分子量Mw=3.79×104であった。また、元素
分析値は、C88.89%、H7.63%、N0.48%であり、この結
果から、一般式(I−1)に対応するスピロチオピラン
ユニットの含量は3.4モル%であった。
このポリマー10mgをベンゼン2mlに溶解させ、石英板
上にキャストして淡黄色フィルムを得た。このフィルム
に超高圧水銀灯及び紫外線バンドパスフィルター(ケン
コーU−350)を用いて波長350nm付近の紫外光を1分間
照射したところ緑色に変化し、λmax=715nmに極大吸収
を持っていた。この緑色フィルムは室温下で完全に消色
することはなく、着色種固定化率21%で完全に固定化さ
れた。
また、上記固定化されて着色状態を維持している薄膜
に、可視光線を照射したところ、消色して紫外光照射前
の色彩に戻った。更に、紫外光による着色種の固定化及
び可視光線による消色のサイクルは再現性をもって繰り
返し行うことができた。
実施例3 別途参考例1〜7の一般的手法に従い合成した3,3−
ジメチル−1−イソプロピル−8′−メタクリロキシメ
チル−6′−ニトロスピロ〔インドリン2,2′(2′
H)−1′−ベンゾチオピラン〕452mg(0.97mmol)
に、充分脱気したスチレン3.5g(34mmol)及び乾燥トル
エン15mlを加えた。これにα,α′−アゾビスイソブチ
ロニトリル21mg(0.13mmol)を反応開始剤として加え、
80℃で70時間重合反応した。以下、実施例1と同様に処
理し、967mgの黄色粉状重合体が得られた。
このものは下記物性から、原料スピロチオピラン体と
スチレンとの共重合体と確認した。IRスペクトルにおい
て、ニトロ基(1522、1356cm-1)及びチオピラン環(16
46cm-1)に由来する吸収が認められる。またこのもの
は、GPC測定の結果単一ピークを与え、数平均分子量Mn
=1.38×104、重量平均分子量Mw=2.15×104であった。
このポリマー10mgをベンゼン2mlに溶解させ、石英板
上にキャストして淡黄色フィルムを得た。このフィルム
に実施例1と同様にして350nm付近の紫外線を1分間照
射したところ、緑色に変化し、その極大波長λmaxは691
nmであった。この緑色フィルムは室温下で完全に消色す
ることはなく、着色種固定化率46%で完全に固定化され
た。
また、上記固定化されて着色状態を維持している薄膜
に、可視光線を照射したところ、消色して紫外光照射前
の色彩に戻った。更に、紫外光による着色種の固定化及
び可視光線による消色のサイクルは再現性をもって繰り
返し行うことができた。
第2図に、上記緑色フィルムの28.5℃における可視吸
収スペクトルを示す。
実施例4 別途参考例1〜7の一般的手法に従い合成した3,3−
ジメチル−8′−メタクリロキシメチル−6′−ニトロ
−1−オクタデシルスピロ〔インドリン−2,2′(2′
H)−1′−ベンゾチオピラン〕1.14g(1.70mmol)を
トルエン30ml及びメタクリル酸メチル3.1g(31.0mmol)
に溶解した。窒素雰囲気下の暗所でこれにα,α′−ア
ゾビスイソブチロニトリル24mg(0.13mmol)を加え、80
℃で90時間重合反応させた。以下、実施例1と同様に処
理し、2.18gの黄色粉末状重合体を得た。
このものは下記物性から、原料スピロピランとメタク
リル酸メチルとの共重合体と確認した。
IRスペクトルにおいて、ニトロ基(1518、1362cm-1
及びチオピラン環(1643cm-1)に由来する吸収が認めら
れる。このものは、GPC測定の結果単一ピークを与え、
数平均分子量Mn=3.58×104、重量平均分子量Mw=5.13
×104であった。また、元素分析値は、C62.91%、H8.17
%、N1.22%であり、この結果から、一般式(I−1)
に対応するスピロチオピランユニットの含量は4.2モル
%であった。
このポリマーを実施例1と同様の手法で淡黄色薄膜と
し、350nm付近の紫外光を1分間照射したところ、緑色
フィルムが得られた。その極大吸収波長λmaxは665nmで
あった。この緑色フィルムは室温下で完全に消色するこ
とはなく、着色種固定化率81%で完全に固定化された。
また、上記固定化されて着色状態を維持している薄膜
に、可視光線を照射したところ、消色して紫外光照射前
の色彩に戻った。更に、紫外光による着色種の固定化及
び可視光線による消色のサイクルは再現性をもって繰り
返し行うことができた。
第3図に、上記緑色フィルムの28℃における可視吸収
スペクトルを示す。
実施例5 3,3−ジメチル−8′−メタクリロキシメチル−6′
−ニトロ−1−オクタデシルスピロ〔インドリン−2,
2′(2′H)−1′−ベンゾチオピラン〕572mg(0.85
mmol)を、トルエン25ml及びメタクリル酸メチル3.7g
(37mmol)に溶解した。窒素雰囲気下の暗所でこれにフ
ェニルマグネシウムブロマイド590mg(3.2mmol)を加
え、70℃で19時間重合反応させた。以下、実施例1と同
様に処理し、2.24gの淡黄色粉状重合体を得た。
このものは下記物性から、原料スピロピランとメタク
リル酸メチルとの共重合体と確認した。
IRスペクトルにおいて、ニトロ基(1520、1355cm-1
及びチオピラン環(1645cm-1)に由来する吸収が認めら
れる。また1H−NMR(400MHz)分析において、メタクリ
ル酸ユニットのα−メチル基がδ=1.56ppmに単一ピー
クとして現れたことから、この重合体はほぼ100%アイ
ソタクティックな立体規則性を有していた。またこのも
のはGPC測定の結果、数平均分子量Mn=3.81×104、重量
平均分子量Mw=2.07×104であった。
このポリマーを実施例1と同様の手法で淡黄色薄膜と
し、350nm付近の紫外光を1分間照射したところ、緑色
フィルムとなった。その極大吸収波長λmaxは659nmであ
った。この緑色フィルムは室温下で完全に消色すること
はなく、着色状態を維持していた。その着色種固定化率
は38%であった。
また、上記固定化されて着色状態を維持している薄膜
に、可視光線を照射したところ、消色して紫外光照射前
の色彩に戻った。更に、紫外光による着色種の固定化及
び可視光線による消色のサイクルは再現性をもって繰り
返し行うことができた。
実施例6 3,3−ジメチル−8′−メタクリロキシメチル−6′
−ニトロ−1−オクタデシルスピロ〔インドリン−2,
2′(2′H)−1′−ベンゾチオピラン〕1.22mg(1.8
0mmol)に、乾燥トルエン50ml及び充分脱気したスチレ
ン3.3g(32.0mmol)を加えた。これにα,α′−アゾビ
スイソブチロニトリル45mg(0.27mmol)を反応開始剤と
して加え、80℃で70時間重合反応させた。以下、実施例
1と同様に処理すると1.64gの黄色粉状重合体が得られ
た。
このものは下記物性から、原料スピロピランとスチレ
ンとの共重合体と確認した。IRスペクトルにおいて、ニ
トロ基(1520、1361cm-1)及びチオピラン環(1645c
m-1)に由来する吸収が認められる。またこのものはGPC
測定の結果単一ピークを示し、数平均分子量Mn=1.20×
104、重量平均分子量Mw=1.89×104であった。また、元
素分析値は、C56.95%、H7.63%、N1.15%であり、この
結果から、一般式(I−1)で表わされるスピロピラン
ユニットの含量は3.6モル%であった。
このポリマーを実施例1と同様の手法により淡黄色薄
膜とした後、350nm付近の紫外光を1分間照射すると緑
色フィルムに変化した。その極大吸収波長λmaxは693nm
であった。この緑色フィルムは室温下で完全に消色する
ことはなく、着色状態を維持していた。その着色種固定
化率は31%であった。
また、上記固定化されて着色状態を維持している薄膜
に、可視光線を照射したところ、消色して紫外光照射前
の色彩に戻った。更に、紫外光による着色種の固定化及
び可視光線による消色のサイクルは再現性をもって繰り
返し行うことができた。
第4図に、上記緑色フィルムの28℃における可視吸収
スペクトルを示す。
実施例7 参考例7で得た8−メタクリロキシメチル−6−ニト
ロ−1′,3′,3′−トリメチルスピロ〔2H−1−ベンゾ
チオピラン−2,2′−インドリン〕873mg(2.00mmol)を
トルエン20mlに溶解し、窒素雰囲気下の暗所でこれに
α,α′−アゾビスイソブチロニトリル11.4mg(0.60mm
ol)を加え80℃で70時間重合反応させた。得られた黄色
の反応液をメタノール100mlに加えると黄色沈殿が析出
した。析出物を過して単離し乾燥させて0.15gの淡黄
色重合体を得た。
このものはIR分析の結果エステル性カルボニル基が17
33cm-1にシフトした他にニトロ基(1521、1385cm-1)及
びチオピラン環(1645cm-1)に由来する吸収を有してい
た。またGPC測定の結果は単一ピークを与え、数平均分
子量n=1.30×103、重量平均分子量w=1.90×103
であった。また元素分析値はC65.89%、H5.24%、N6.62
%でありこれらの結果から原料スピロピラン体の単独重
合体と確認した。
このポリマーをジクロルメタンに溶解し実施例1と同
様な手法で紫外線照射すると紫色系統の溶液に変色し
た。この溶液に波長500nm以上の可視光を照射すると、
紫外光照射前の色彩に戻った。更に、紫外光による着色
及び下記光による消色のサイクルは再現性をもって繰返
し行うことができた。この溶液の極大吸収波長λmax=6
00nmであり、原料モノマーと比べて約40nm長波長シフト
していた。
比較例1 ポリメタアクリル酸メチルに参考例7で得た8′−メ
タクリロキシメチル−6′−ニトロ−1,3,3−トリメチ
ルスピロ〔インドリン−2,2′(2′H)−1′−ベン
ゾチオピラン〕を10モル%混合して得られた組成物を実
施例1と同様にして薄膜化し、紫外光照射した。得られ
た紫色フィルムは23℃で直ちに消色し、6時間後の着色
種固定化率は7%であった。
比較例2 ポリメタアクリル酸メチルに実施例4で用いた3,3−
ジメチル−8′−メタクリロキシメチル−6′−ニトロ
−1−オクタデシルスピロ〔インドリン−2,2′(2′
H)−1′−ベンゾチオピラン〕を9.5モル%混合して
得た組成物を実施例1と同様にして薄膜化し、紫外光照
射した。得られた紫色フィルムは室温下で直ちに消色
し、一夜放置後の着色種固定化率はほぼ0%であった。
参考例8 5−ニトロサリチルアルデヒド12.0g及びクロルメチ
ルメチルエーテル100mlの混合物を氷浴上で冷却しなが
ら、これに無水塩化アルミニウム43.9gを少量ずつ加
え、室温で10分攪拌した後、22時間加熱還流した。次に
反応液を氷浴で冷却し、これに水200mlをよく攪拌しな
がら加えると、白色の結晶が析出した。この白色結晶を
取出し、熱ヘキサンに溶解させて過した後、母液を冷
却することにより、3−クロロメチル−5−ニトロサリ
チルアルデヒドが無色針状晶として14.9g得られた(収
率72%)。1 H−NMR(COCl3);δppm 4.72(s,2H,−CH2Cl) 8.56(s,2H,ArH) 10.00(s,1H,CHO) 12.10(s,1H,OH) 参考例9 3−クロロメチル−5ニトロサリチルアルデヒド10.5
gをトルエン100mlに溶解させ、これにメタクリル酸銀1
1.4gを加えた。この混合物を120℃で2.5時間加熱した
後、室温まで冷却し、生じた沈澱物を別して除去し
た。得られたトルエン溶液を減圧下で濃縮することによ
り、3−メタクリロキシメチル−5−ニトロサリチルア
ルデヒドが淡黄色粉末として12.7g得られた(収率98
%)。1 H−NMR(COCl3);δppm 2.00(t,3H,CH3) 5.34(s,2H,−CH2−) 5.67(t,1H,ビニル) 6.22(m,1H,ビニル) 8.53(m,2H,ArH) 10.00(s,1H,CHO) 12.10(brs,1H,OH) 参考例10 2−メチルベンゾセレナゾール10.1gをクロロホルム1
00mlに溶解させた後、沃化メチル10.0gを加えてオート
クレーブ中で80℃で5日間加熱した。反応で生じた結晶
を別して取り出し、エーテルで洗浄後に乾燥すると、
沃化2,3−ジメチルベンゾセレナゾリウムが16.4g生成し
ていた(収率94%)。1 H−NMR(D2O);δppm 3.13(s,3H,2−メチル) 4.16(s,3H,3−メチル) 7.73(t,1H,ArH) 7,83(d,1H,ArH) 8.13(d,1H,ArH) 8.15(t,1H,ArH) 参考例11 3−メタクリロキシメチル−5−ニトロサリチルアル
デヒド10.6g及び沃化2,3−ジメチルベンゾセレナゾリウ
ム13.6gをメタノール200mlに加え、この混合物を加熱還
流させながらこれにピペリジン34.2gをメタノール50ml
に溶解させたものを少しずつ滴下した。27時間加熱還流
を継続した後、反応液を室温まで冷却し、生成した茶色
結晶を分離すると、8′−メタクリロキシメチル−3−
メチル−6′−ニトロ−1−セレナスピロ−[2H−1′
−ベンゾピラン−2,2′−ベンゾセレナゾリン]が18.0g
生成していた(収率100%)。1 H−NMR(OMSO);δppm 1.91(s,3H,メタクリル−CH3) 4.10(s,3H,N−CH3) 5.03(s,2H,−CH2−) 5.70(s,1H,ビニル) 6.06(s,1H,ビニル) 7.58(t,1H,6−H) 7.71(t,1H,5−H) 7.90(d,1H,3′−H) 8.05(d,1H,4−H) 8.17(d,1H,7′−H) 8.32(d,1H,7−H) 8.53(d,1H,4′−H) 8.70(d,1H,5′−H) 参考例12 2−メチルベンゾセレナゾール6.17gにオクタデシル
パラクロロベンゼンスルホネート19.1gを加え、130℃で
6時間加熱した。反応で生成した結晶をエーテルで洗浄
後にn−プロパノールから再結晶し乾燥すると、2−メ
チル−3−オクタデシルベンゾセレナゾリウムパラクロ
ロベンゼンスルホネートが12.8g得られた(収率65
%)。1 H−NMR(COCl3);δppm 0.88(t,3H,メチル) 1.25(m,30H,CH2 15) 1.84(qui,2H,−CH2−C−N) 3.27(s,3H,2−メチル) 4.68(t,2H,−CH2−N) 7.2−8.3(m,8H,ArH) 参考例13 3−メタクリロキシメチル−5−ニトロサリチルアル
デヒド2.07g及び2−メチル−3−オクタデシルベンゾ
セレナゾリウムパラクロロベンゼンスルホネート5.00g
をメタノール80mlに加え、この混合物に、ピペリジン0.
81gをメタノール20mlに溶解した溶液を室温で少量ずつ
滴下した。5時間加熱還流後反応液を冷却した。生成し
た紫色固体を別し、シリカゲルカラムクロマトグラフ
ィーによって分離精製することにより、8′−メタクリ
ロキシメチル−6′−ニトロ−3−オクタデシル−1−
セレナスピロ−〔2H−1′−ベンゾピラン−2,2′−ベ
ンゾセレナゾリン〕4.67gを得た(収率86%)。1 H−NMR(COCl3);δppm 0.88(t,3H,メチル) 1.23(m,30H,CH2 15) 1.92(qui,2H,−CH2−C−N) 2.03(s,3H,メタクリル−CH3) 4.46(t,2H,−CH2−N) 5.23(s,2H,−CH2−Ar) 5.63(s,1H,ビニル) 6.24(s,1H,ビニル) 7.66(br.d,1H,4′−H) 8.81(br.s,1H,3′−H) 7.2〜8.1(m,6H,ArH) 参考例14 2,5−ジメチルベンゾセレナゾール3.96gにオクタデシ
ルパラクロロベンゼンスルホネート11.5gを加え、130℃
で6時間加熱した。反応で生成した結果をエーテルで洗
浄後に酢酸エチルから再結晶し乾燥すると、2,5−ジメ
チル−3−オクタデシルベンソセレナゾリウムパラクロ
ロベンゼンスルホネートが7.42g得られた(収率61
%)。1 H−NMR(COCl3);δppm 0.88(t,3H,メチル) 1.25(m,30H,CH2 15) 1.86(qui,2H,−CH2−C−N) 2.58(s,3H,5−メチル) 3.29(s,3H,2−メチル) 4.67(t,2H,−CH2−N) 7.2−8.1(m,7H,ArH) 参考例15 3−メタクリロキシメチル−5−ニトロサリチルアル
デヒド2.83g及び2,5−ジメチル−3−オクタデシルベン
ゾセレナゾリウムパラクロロベンゼンスルホネート7.00
gをメタノール80mlに加え、この混合物に、ピペリジン
1.11gをメタノール20mlに溶解したものを室温で少量ず
つ滴下した。5時間加熱還流後、反応液を冷却した。生
成した紫色固体を別し、シリカゲルカラムクロマトグ
ラフィーによって分離精製することにより、8′−メタ
クリロキシメチル−5−メチル−6′−ニトロ−3−オ
クタデシル−1−セレナスピロ−〔2H−1′−ベンゾピ
ラン−2,2′−ベンゾセレナゾリン〕6.65gを得た(収率
88%)。1 H−NMR(COCl3);δppm 0.88(t,3H,メチル) 1.25(m,30H,CH2 15) 1.90(qui,2H,−CH2−C−N) 2.05(s,3H,メタクリル−CH3) 2.50(s,3H,CH3−Ar) 4.44(t,2H,−CH2−N) 5.24(s,2H,−CH2−Ar) 5.65(s,1H,ビニル) 6.27(s,1H,ビニル) 7.53(br.d,1H,4′−H) 8.80(br.s,1H,3′−H) 7.3〜7.9(m,5H,ArH) 参考例16 5−メトキシ−2−メチルベンゾセレナゾール5.13g
にオクタデシルパラクロロベンゼンスルホネート11.1g
を加え、130℃で5時間加熱した。反応で生成した結晶
をエーテルで洗浄後ベンゼンから再結晶すると、5−メ
トキシ−2−メチル−3−オクタデシルベンゾセレナゾ
リウムパラクロロベンゼンスルホネートが9.98g得られ
た(収率67%)。
1H−NMR(COCl3);δppm 0.88(t,3H,メチル) 1.25(m,30H,CH2 15) 1.84(qui,2H,−CH2−C−N) 3.22(s,3H,2−メチル) 3.94(s,3H,CH3O) 4.64(t,2H,−CH2−N) 7.1〜8.1(m,7H,ArH) 参考例17 3−メタクリロキシメチル−5−ニトロサリチルアル
デヒド2.20g及び5−メトキシ−2−メチル−3−オク
タデシルベンゾセレナゾリウムクロロベンゼンスルホネ
ート5.57gをメタノール80mlに加え、この混合物に、ピ
ペリジン0.90gをメタノール20mlに溶解した溶液を室温
で滴下した。5時間加熱還流後、反応液を冷却した。生
成した紫色固体を別し、シリカゲルカラムクロマトグ
ラフィーによって分離精製することにより、8′−メタ
クリロキシメチル−5−メトキシ−6′−ニトロ−3−
オクタデシル−1−セレナスピロ−〔2H−1′−ベンゾ
ピラン−2,2′−ベンゾセレナゾリン〕4.35gを得た(収
率72%)。1 H−NMR(COCl3);δppm 0.88(t,3H,メチル) 1.25(m,30H,CH2 15) 1.92(qui,2H,−CH2−C−N) 2.03(s,3H,メタクリル−CH3) 3.91(s,3H,CH3O) 4.40(t,2H,−CH2−N) 5.23(s,2H,−CH2−) 5.62(s,1H,ビニル) 6.24(s,1H,ビニル) 7.59(br.d,1H,4′−H) 8.79(br.s,1H,3′−H) 7.0〜8.0(m,5H,ArH) 参考例18 5,6−ジメトキシ−2−メチルベンゾセレナゾール5.8
4gにオクタデシルパラクロロベンゼンスルホネート11.2
gを加え、130℃で6時間加熱した。反応で生成した結晶
をエーテルで洗浄後ヘキサン−ベンゼン混合溶媒から再
結晶し、乾燥することにより、5,6−ジメトキシ−2−
メチル−3−オクタデシルベンゾセレナゾリウムパラク
ロロベンゼンスルホネートを10.4g得た(収率65%)。1 H−NMR(COCl3);δppm 0.88(t,3H,メチル) 1.25(m,30H,CH2 15) 1.83(qui,2H,−CH2−C−N) 3.09(s,3H,2−メチル) 3.98(s,3H,5−CH3O又は6−CH3O) 4.03(s,3H,6−CH3O又は5−CH3O) 4.63(t,2H,−CH2−N) 7.2−7.9(m,6H,ArH) 参考例19 3−メタクリロキシメチル−5−ニトロサリチルアル
デヒド2.36g及び5,6−ジメトキシ−2−メチル−3−オ
クタデシルベンゾセレナゾリウムパラクロロベンゼンス
ルホネート6.24gをメタノール80mlに加え、この混合物
に、ピペリジン0.94gをメタノール20mlに溶解した液を
室温で滴下した。5時間加熱還流後、反応液を冷却し
た。生成した紫色固体を別し、シリカゲルカラムクロ
マトグラフィーによって分離精製することにより、8′
−メタクリロキシメチル−5,6−ジメトキシ−6′−ニ
トロ−3−オクタデシル−1−セレナスピロ−〔2H−
1′−ベンゾピラン−2,2′−ベンゾセレナゾリン〕5.1
7gを得た(収率77%)。1 H−NMR(COCl3);δppm 0.87(t,3H,メチル) 1.24(m,30H,CH2 15) 1.92(qui,2H,−CH2−C−N) 2.03(s,3H,メタクリル−CH3) 3.99(s,3H,5−CH3O又は6−CH3O) 4.00(s,3H,6−CH3O又は5−CH3O) 4.41(t,2H,−CH2−N) 5.19(s,2H,−CH2−Ar) 5.62(s、1H、ビニル) 6.23(s,1H,ビニル) 7.52(br.d,1H,4′−H) 8.77(br.s,1H,3′−H) 6.9−8.0(m,4H,ArH) 実施例8 参考例11で得た8′−メタクリロキシメチル−3−メ
チル−6′−ニトロ−1−セレナスピロ−〔2H−1′−
ベンゾピラン−2,2′−ベンゾセレナゾリン〕290mg(0.
64mmol)を、窒素気流下で蒸留したN,N−ジメチルホル
ムアミド30mlに溶解させ、これに乾燥したメタクリル酸
メチル3.7g(37.0mmol)を加えた。これに重合開始剤と
してα,α′−アゾビスイソブチロニトリル53mg(0.32
mmol)を加え、80℃で45時間重合反応を行なった。反応
後の溶液にメタノール500mlを滴下すると紫色固体が析
出した。析出物をグラスフィルターで分離し乾燥させて
2.80gの重合体を得た。
このものは下記物性より、原料スピロピラン体とメタ
クリル酸メチルとの共重合体であることを確認した。IR
スペクトルにおいて、強いエステル性カルボニル基(17
20〜1745cm-1)及びニトロ基(1545、1375cm-1)に由来
する吸収が認められる。またこのものは、GPC測定(溶
媒=テトラヒドロフラン、温度40度、ポリスチレン換
算)の結果単一ピークを示し、数平均分子量Mn=1.86×
104、重量平均分子量Mw=2.31×104であった。また元素
分析値は、C58.62%,H7.93%、N1.04%であり、この結
果からこの重合体中の一般式(I−2)で表わされるス
ピロピランユニットの含量は3.0モル%であることを確
認した。
このポリマー10mgをベンゼン2mlに溶解させ、石英板
上にキャストして、紫色の薄膜を得た。このものは初め
568nmに極大吸収を有していたが、500nm以上の可視光を
透過させるカットオフフィルターを装着した500w超高圧
水銀灯を用いて可視光照射したところ、先の極大吸収ピ
ークは消失し、無色透明フィルムとなった。この無色フ
ィルムは室温(22℃)で徐々に紫色に着色した。このと
き、消色種が熱着色する時の1次速度定数から算出した
消色種の熱半減期(τ1/2)は3.8時間であり、原料モノ
マー(クロロホルム溶液)の熱半減期と比べて実に29倍
もの長寿命化が達成された。またこのフィルムは室温に
おいて完全に着色することはなく、消色種固定化率31%
で安定に固定化されて半消色状態を維持した。このこと
を示す可視吸収スペクトルを第5図に示す。
このフィルムは紫外光照射により着色種になり、再度
可視光照射で無色(消色種)に移行し、引続き22℃に放
置すると31%の消色種固定化率で半消色状態を維持する
サイクルが繰返し行なえた。
但し、ここで用いる消色種固定化率は下式のように定
着されるものである(以下の実施例でも同じ)。
ここで、「固定化時吸光度」とは、試験する試料にも
よるが、可視光照射から通常約24時間程度経過後に、吸
光度の増加が実質的に認められなくなった状態での極大
吸収波長での吸光度を指す。また、「消色時吸光度」と
は、可視光を照射して消色させた直後の上記極大吸収波
長での吸光度を指す。
実施例9 参考例8〜11の一般的手法に従い別途合成した8′−
メタクリロキシメチル−5−メトキシ−3−メチル−
6′−ニトロ−1−セレナスピロ−〔2H−1′−ベンゾ
ピラン−2,2′−ベンゾセレナゾリン〕440mg(0.90mmo
l)を、窒素気流下で蒸留したN,N−ジメチルホルムアミ
ド40mlに溶解させ、これに乾燥したメタクリル酸メチル
7.0g(70.0mmol)を加えた。これに重合開始剤として
α,α′−アゾビスイソブチロニトリル48mg(0.29mmo
l)を加え、80℃で12時間重合反応させた。以下、実施
例8と同様に処理を行ない、6.45gの紫色粉状重合体を
得た。
このものは下記物性から、原料スピロピラン体とメタ
クリル酸メチルとの共重合体であることを確認した。IR
スペクトルにおいて、強いエステル性カルボニル基(17
30〜1745cm-1)及びニトロ基(1540、1355cm-1)に由来
する吸収が認められる。またこのものは、GPC測定(溶
媒=テトラヒドロフラン、温度40度、ポリスチレン換
算)の結果単一ピークを示し、数平均分子量Mn=2.17×
104、重量平均分子量Mw=3.45×104であった。また原料
スピロピランモノマーのクロロホルム溶液のλmaxにお
ける吸光係数(ε=33000)と上記生成重合体のそれ
(ε=1700)との比較から計算することによりこの重合
体中の一般式(I−2)で表わされるスピロピランユニ
ットの含量は1.1モル%であった。
このポリマーを実施例8と同様な手法で紫色の薄膜と
し、500nm以上の可視光を照射すると、初めに認められ
た534nmの極大吸収ピークは消失し無色透明フィルムと
なった。このフィルムは室温で徐々に着色し、21℃での
熱半減期(τ1/2)は6.4時間であり、原料モノマー(ク
ロロホルム溶液)の熱半減期と比べ実に58倍も長寿命化
していた。
また、半消色状態を維持している上記薄膜は、紫外光
照射により、着色して元の色彩に戻り、再度可視光照射
により無色(消色系)に移行し、引き続き室温程度の温
度で放置すると半消色状態を維持するというサイクルが
繰り返し行うことができた。
実施例10 参考例8〜11の一般的手法に従い別途合成した8′−
メタクリロキシ−3,5−ジメチル−6′−ニトロ−1−
セレナスピロ−〔2H−1′−ベンゾピラン−2,2′−ベ
ンゾセレナゾリン〕320mg(0.68mmol)を、窒素気流下
で蒸留したN,N−ジメチルホルムアミド40mlに溶解さ
せ、これに乾燥したメタクリル酸メチル9.5g(95.0mmo
l)を加えた。この混合物に重合開始剤としてα,α′
−アゾビスイソブチロニトリル41mg(0.25mmol)を加
え、80℃で11時間重合反応させた。反応液を実施例8と
同様に処理すると7.23gの紫色粉状重合体が得られた。
このものは下記物性から、原料スピロピラン体とメタ
クリル酸メチルとの共重合体であることを確認した。IR
スペクトルにおいて、強いエステル性カルボニル基(17
32〜1740cm-1)及びニトロ基(1528、1383cm-1)に由来
する吸収が認められる。またこのものは、GPC測定(溶
媒=テトラヒドロフラン、温度40度、ポリスチレン換
算)の結果単一ピークを示し、数平均分子量Mn=2.72×
104、重量平均分子量Mw=4.00×104であった。また元素
分析値は、C58.14%、H8.01%、H0.78%であり、この結
果から、この重合体中の一般式(I−2)で表わされる
スピロピランユニットの含量は2.0モル%であった。
このポリマーを実施例8と同様な手法で紫色の薄膜と
し、500nm以上の可視光を照射すると、初めに認められ
た544nmの極大吸収ピークは消失し、無色透明フィルム
となった。このフィルムは室温で徐々に着色し、21℃で
の熱半減期(τ1/2)は6.1時間であり、原料モノマー
(クロロホルム溶液)の熱半減期と比べ46倍も長寿命化
していた。
また、半消色状態を維持している上記薄膜は、紫外光
照射により、着色して元の色彩に戻り、再度可視光照射
により無色(消色系)に移行し、引き続き室温程度の温
度で放置すると半消色状態を維持するというサイクルが
繰り返し行うことができた。
実施例11 8′−メタクリロキシメチル−5−メトキシ−3−メ
チル−6′−ニトロ−1−セレナスピロ−〔2H−1′−
ベンゾピラン−2,2′−ベンゾセレナゾリン〕318mg(0.
65mmol)を、窒素気流下で蒸留したN,N−ジメチルホル
ムアミド30mlに溶解させ、これに充分脱気したスチレン
8.05g(77.4mmol)を加えた。これに重合開始剤として
α,α′−アゾビスイソブチロニトリル156mg(0.95mmo
l)を加え、90℃で42時間重合反応させた。実施例8と
同様に処理を行い、2.36gの紫色粉状重合体を得た。
このものは、下記物性から原料スピロピラン体とスチ
レンとの共重合体であることを確認した。GPC測定(溶
媒=テトラヒドロフラン、温度40度、ポリスチレン換
算)の結果単一ピークを示し、数平均分子量Mn=5.29×
103、重量平均分子量Mw=7.43×103であった。またこの
ものはIRスペクトルにおいて、強いエステル性カルボニ
ル基(1735〜1748cm-1)及びニトロ基(1520、1365c
m-1)に由来する吸収が認められる。また元素分析値
は、C87.47%、H7.37%、H1.06%であり、この結果から
この重合体中の一般式(I−2)で表わされるスピロピ
ランユニットの含量は3.6モル%であった。
このポリマー10mgをクロロホルム2mlに溶解し、500nm
以上の可視光を照射すると、初めに認められた583nmの
極大吸収ピークは消失し、無色の溶液となった。このフ
ィルムは室温で徐々に紫色に着色し、その熱半減期(τ
1/2)は26.4分であり、原料モノマー(クロロホルム溶
液)の熱半減期と比べ、4.0倍長寿命化していた。
またこのポリマー溶液を石英板上にキャストして得た
薄膜を実施例8と同様に可視光照射すると無色透明にな
った。このフィルムは、室温で完全に着色することはな
く、消色種固定化率35%で完全に固定化されて半消色状
態を維持した。このことを示す可視吸収スペクトルを第
6図に示す。
また、半消色状態を維持している上記薄膜は、紫外光
照射により、着色して元の色彩に戻り、再度可視光照射
により無色(消色系)に移行し、引き続き室温程度の温
度で放置すると半消色状態を維持するというサイクルが
繰り返し行うことができた。
実施例12 実施例2で用いた8′−メタクリロキシメチル−5−
メトキシ−3−メチル−6′−ニトロ−1−セレナスピ
ロ−〔2H−1′−ベンゾピラン−2,2′−ベンゾセレナ
ゾリン〕477mg(0.98mmol)を窒素気流下で蒸留したN,N
−ジメチルホルムアミド20mlに溶解させ、これに重合開
始剤としてα,α′−アゾビスイソブチロニトリル113m
g(0.69mmol)を加え80℃で24時間重合反応を行った。
反応後に得られた溶液にメタノール100mlを加えると、
紫色沈殿が析出した。このものを遠心分離して単離し、
乾燥させて210mgの重合体を得た。
このものはIR分析の結果エステル性カルボニル基の吸
収が1735cm-1にシフトしたほかにニトロ基(1532、1385
cm-1)に由来する吸収を有していた。またGPC測定の結
果は単一ピークを与え、数平均分子量n=1.85×1
03、重量平均分子量w=2.21×103であった。また元
素分析値はC53.87%、H4.04%、N5.98%であり、これら
の結果から原料スピロピラン体の単独重合体と確認し
た。
このポリマーのクロロホルム溶液は室温(20℃)で紫
色に着色しておりλmax=575nmであった。この紫色溶液
に実施例8と同様にして可視光を照射すると先の極大吸
収ピークは消失して無色の溶液となった。この無色溶液
は室温で徐々に紫色に着色した。
実施例13 8′−メタクリロキシメチル−6′−ニトロ−3−オ
クタデシル−1−セレナスピロ−〔2H−1′−ベンゾピ
ラン−2,2′−ベンゾセレナゾリン〕198mg(0.285mmo
l)を、窒素気流下で蒸留したN,N−ジメチルホルムアミ
ド30mlに溶解させ、これに乾燥メタクリル酸メチル5.90
g(59.0mmol)を加えた。これに重合開始剤としてα,
α′−アゾビスイソブチロニトリル47mg(0.29mmol)を
加え、60℃で24時間重合反応を行った。反応後の溶液に
メタノール500mlを滴下すると、紫色固体が析出した。
析出物をグラスフィルターで分離し、乾燥させて、3.20
gの重合体を得た。
このものは下記物性より、原料スピロピラン体とメタ
クリル酸メチルとの共重合体であることを確認した。IR
スペクトルにおいて、強いエステル性カルボニル基(17
20〜1745cm-1)、ニトロ基(1545、1375cm-1)、アルキ
ル基(2920cm-1)に由来する吸収が認められる。またこ
のものは、GPC測定(溶媒=テトラヒドロフラン、温度4
0度、ポリスチレン換算)の結果単一ピークを示し、数
平均分子量n=3.7×104、重量平均分子量w=9.4
×104であった。また元素分析値は、C59.04%、H8.02
%、N0.30%であり、この結果からこの重合体中の一般
式(I−2)で表わされるスピロピランユニットの含量
は1.1モル%であることを確認した。
このポリマー10mgをベンゼン2mlに溶解させ、石英板
上にキャストして、紫色の薄膜を得た。このものは初め
562nmに極大吸収を有していたが、500nm以上の可視光を
透過させるカットオフフィルターを装着した500w超高圧
水銀灯を用いて可視光照射したところ、先の極大吸収ピ
ークは消失し、無色透明フィルムとなった。この無色フ
ィルムは、室温(25℃)で徐々に着色したが、完全に着
色することはなく、消色種固定化率61%で安定に固定化
されて半消色状態を維持した。このことを示す可視吸収
スペクトルを第7図に示す。
このフィルムは紫外光照射により着色種になり、再度
可視光照射で無色(消色種)に移行し、引続き25℃に放
置すると61%の消色種固定化率で半消色状態を維持する
というサイクルが繰返し行なえた。
実施例14 8′−メタクリロキシメチル−5−メチル−6′−ニ
トロ−3−オクタデシル−1−セレナスピロ−〔2H−
1′−ベンゾピラン−2,2′−ベンゾセレナゾリン〕200
mg(0.282mmol)を、窒素気流下で蒸留したN,N−ジメチ
ルホルムアミド30mlに溶解させ、これに乾燥メタクリル
酸メチル5.80g(58.0mmol)を加えた。これに重合開始
剤としてα,α′−アゾビスイソブチロニトリル46mg
(0.28mmol)を加え、60℃で24時間重合反応を行った。
反応後の溶液にメタノール500mlを滴下すると、紫色固
体が析出した。析出物をグラスフィルターで分離し、乾
燥させて、3.36gの重合体を得た。
このものは下記物性より、原料スピロピラン体とメタ
クリル酸メチルとの共重合体であることを確認した。IR
スペクトルにおいて、強いエステル性カルボニル基(17
20〜1745cm-1)、ニトロ基(1545、1375cm-1)、アルキ
ル基(2920cm-1)に由来する吸収が認められる。またこ
のものは、GPC測定(溶媒=テトラヒドロフラン、温度4
0度、ポリスチレン換算)の結果単一ピークを示し、数
平均分子量n=4.4×104、重量平均分子量w=11.9
×104であった。また元素分析値は、C59.04%、H7.95
%、N0.30%であり、この結果からこの重合体中の一般
式(I−2)で表わされるスピロピランユニットの含量
は1.1モル%であることを確認した。
このポリマー10mgをベンゼン2mlに溶解させ、石英板
上にキャストして、紫色の薄膜を得た。このものは初め
561nmに極大吸収を有していたが、500nm以上の可視光を
透過させるカットオフフィルターを装着した500w超高圧
水銀灯を用いて可視光照射したところ、先の極大吸収ピ
ークは消失し、無色透明フィルムとなった。この無色フ
ィルムは、室温(25℃)で徐々に着色したが、完全に着
色することはなく、消色種固定化率61%で安定に固定化
されて半消色状態を維持した。
このフィルムは紫外光照射により着色種になり、再度
可視光照射で無色(消色種)に移行し、引続き25℃に放
置すると61%の消色種固定化率で半消色状態を維持する
というサイクルが繰返し行なえた。
実施例15 8′−メタクリロキシメチル−5−メトキシ−6′−
ニトロ−3−オクタデシル−1−セレナスピロ−〔2H−
1′−ベンゾピラン−2,2′−ベンゾセレナゾリン〕206
mg(0.284mmol)を、窒素気流下で蒸留したN,N−ジメチ
ルホルムアミド30mlに溶解させ、これに乾燥メタクリル
酸メチル6.00g(60.0mmol)を加えた。これに重合開始
剤としてα,α′−アゾビスイソブチロニトリル47mg
(0.29mmol)を加え、60℃で24時間重合反応を行った。
反応後の溶液にメタノール500mlを滴下すると、紫色固
体が析出した。析出物をグラスフィルターで分離し、乾
燥させて、2.68gの重合体を得た。
このものは下記物性より、原料スピロピラン体とメタ
クリル酸メチルとの共重合体であることを確認した。IR
スペクトルにおいて、強いエステル性カルボニル基(17
20〜1745cm-1)、ニトロ基(1542、1372cm-1)、アルキ
ル基(2930cm-1)に由来する吸収が認められる。またこ
のものは、GPC測定(溶媒=テトラヒドロフラン、温度4
0度、ポリスチレン換算)の結果単一ピークを示し、
n=4.0×104、w=8.6×104であった。また元素分析
値は、C58.78%、H7.78%、N0.27%であり、この結果か
らこの重合体中の一般式(I−2)で表わされるスピロ
ピランユニットの含量は1.0モル%であることを確認し
た。
このポリマー10mgをベンゼン2mlに溶解させ、石英板
上にキャストして、紫色の薄膜を得た。このものは初め
561nmに極大吸収を有していたが、500nm以上の可視光を
透過させるカットオフフィルターを装着した500w超高圧
水銀灯を用いて可視光照射したところ、先の極大吸収ピ
ークは消失し、無色透明フィルムとなった。この無色フ
ィルムは、室温(25℃)で徐々に紫色に着色した。この
時、消色種が熱着色する時の1次速度定数から算出した
消色種の熱半減期(τ1/2)は79.4日であり、原料モノ
マー(クロロホルム溶液)の熱半減期と比べて、実に45
700倍もの長寿命化が達成された。またこのフィルムは
室温において完全に着色することはなく、消色種固定化
率85%で安定に固定化されて半消色状態を維持した。
このフィルムは紫外光照射により着色種になり、再度
可視光照射で無色(消色種)に移行し、引続き25℃に放
置すると85%の消色種固定化率で半消色状態を維持する
というサイクルが繰返し行なえた。
実施例16 8′−メタクリロキシメチル−5,6−ジメトキシ−
6′−ニトロ−3−オクタデシル−1−セレナスピロ−
〔2H−1′−ベンゾピラン−2,2′−ベンゾセレナゾリ
ン〕217mg(0.287mmol)を、窒素気流下で蒸留したN,N
−ジメチルホルムアミド30mlに溶解させ、これに乾燥メ
タクリル酸メチル6.00g(60.0mmol)を加えた。これに
重合開始剤としてα,α′−アゾビスイソブチロニトリ
ル48mg(0.29mmol)を加え、60℃で24時間重合反応を行
った。反応後の溶液にメタノール500mlを滴下すると、
紫色固体が析出した。析出物をグラスフィルターで分離
し、乾燥させて、3.13gの重合体を得た。
このものは下記物性より、原料スピロピラン体とメタ
クリル酸メチルとの共重合体であることを確認した。IR
スペクトルにおいて、強いエステル性カルボニル基(17
30〜1745cm-1)及びニトロ基(1545、1370cm-1)に由来
する吸収が認められる。またこのものは、GPC測定(溶
媒=テトラヒドロフラン、温度40度、ポリスチレン換
算)の結果単一ピークを示し、n=3.8×104、w=
8.8×104であった。また元素分析値は、C58.89%、H7.9
4%、N0.29%であり、この結果からこの重合体中の一般
式(I−2)で表わされるスピロピランユニットの含量
は1.1モル%であることを確認した。
このポリマー10mgをベンゼン2mlに溶解させ、石英板
上にキャストして、紫色の薄膜を得た。このものは初め
540nmに極大吸収を有していたが、500nm以上の可視光を
透過させるカットオフフィルターを装着した500w超高圧
水銀灯を用いて可視光照射したところ、先の極大吸収ピ
ークは消失し、無色透明フィルムとなった。この無色フ
ィルムは、室温(25℃)で徐々に紫色に着色したが完全
に着色することはなく、消色種固定化率76%で安定に固
定化されて半消色状態を維持した。
このフィルムは紫外光照射により着色種になり、再度
可視光照射で無色(消色種)に移行し、引続き25℃に放
置すると76%の消色種固定化率で半消色状態を維持する
というサイクルが繰返し行なえた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−122577(JP,A) 特開 昭63−308014(JP,A) 特開 平1−29489(JP,A) 特開 平1−152182(JP,A) 特開 平2−78685(JP,A) 日本化学会誌、1972年 第7巻、7 月、p.1323−1330 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 20/00 - 20/70 C08F 120/00 - 120/70 C08F 220/00 - 220/70 C09K 9/00 - 9/02 CAS

Claims (28)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)一般式 〔式中、Wは を示す。R1は炭素数1〜20のアルキル基又はアラルキル
    基を示す。R2、R3、R4及びR5は、同一又は異なって、水
    素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基、アラ
    ルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ハロゲン原
    子、シアノ基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチ
    ル基又はニトロ基を示す。R6及びR7は、同一又は異なっ
    て、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アリール
    基、アラルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ
    基を示す。Xは酸素原子又は硫黄原子を示す。但し、W
    の場合、Xは硫黄原子を示す。〕 で表わされる構造単位0.001〜100モル%及び (b)一般式 〔式中、Yは水素原子またはメチル基を示し、Zはカル
    ボキシル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、カル
    バモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、アセトキ
    シ基、フェニル基又はメチルフェニル基を示す。〕 で表わされる構造単位0〜99.999モル%を含み、一般式
    (I)の構造単位が繰り返された単独重合体であるか、
    又は一般式(I)の構造単位と一般式(II)の構造単位
    との共重合体であることを特徴とする高分子スピロピラ
    ン化合物。
  2. 【請求項2】一般式 〔式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7は、請求の範囲
    第1項におけると同じ意味を有する。〕 で表される構造単位0.001〜100モル%と一般式 〔式中、Y及びZは、請求の範囲第1項におけると同じ
    意味を有する。〕 で表される構造単位0〜99.999モル%を含み、一般式
    (I−1)の構造単位が繰り返された単独重合体である
    か、又は一般式(I−1)の構造単位と一般式(II)の
    構造単位との共重合体である請求の範囲第1項に記載の
    化合物。
  3. 【請求項3】ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)法
    (溶媒=テトラヒドロフラン、温度=40℃、ポリスチレ
    ン換算)による数平均分子量が1×103〜1×106であ
    り、同GPC法による重量平均分子量が1×103〜1×106
    である請求の範囲第2項に記載の化合物。
  4. 【請求項4】ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)法
    (溶媒=テトラヒドロフラン、温度=40℃、ポリスチレ
    ン換算)による数平均分子量が5×103〜3×105であ
    り、同GPC法による重量平均分子量が5×103〜5×105
    である請求の範囲第2項に記載の化合物。
  5. 【請求項5】一般式(I−1)の構造単位のみからなる
    単独重合体である請求の範囲第2項に記載の化合物。
  6. 【請求項6】一般式(I−1)の構造単位を0.001〜50
    モル%及び一般式(II)の構造単位を50〜99.999モル%
    含有する請求の範囲第2項に記載の化合物。
  7. 【請求項7】一般式(I−1)の構造単位を0.01〜25モ
    ル%及び一般式(II)の構造単位を75〜99.99モル%含
    有する請求の範囲第2項に記載の化合物。
  8. 【請求項8】一般式(I−1)の構造単位を0.1〜10モ
    ル%及び一般式(II)の構造単位を90〜99.9モル%含有
    する請求の範囲第2項に記載の化合物。
  9. 【請求項9】一般式(I−1)において、R1が炭素数1
    〜20のアルキル基であり、R2、R3、R4及びR5が同一又は
    異なって、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル
    基、メトキシフェニル基、メトキシ基、エトキシ基、フ
    ッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基又はニトロ基
    であり、R6及びR7が同一又は異なって水素原子、メチル
    基、エチル基、フェニル基又はナフチル基である請求の
    範囲第2項に記載の化合物。
  10. 【請求項10】一般式(I−1)において、R1が炭素数
    1〜20のアルキル基であり、R2、R3、R4及びR5が同一又
    は異なって、水素原子、フェニル基、メトキシ基、塩素
    原子、臭素原子、シアノ基又はニトロ基であり、R6及び
    R7が同一又は異なって、水素原子、フェニル基又はナフ
    チル基である請求の範囲第2項に記載の化合物。
  11. 【請求項11】一般式(I−1)において、R1が炭素数
    1〜18のアルキル基であり、R2、R3、R4、R5、R6及びR7
    が水素原子である請求の範囲第2項に記載の化合物。
  12. 【請求項12】一般式(II)において、Yがメチル基で
    あり、Zがメトキシカルボニル基であるか、またはYが
    水素原子であり、Zがフェニル基である請求の範囲第2
    項に記載の化合物。
  13. 【請求項13】一般式(II)において、Yがメチル基で
    あり、Zがメトキシカルボニル基である請求の範囲第2
    項に記載の化合物。
  14. 【請求項14】一般式(II)において、Yが水素原子で
    あり、Zがフェニル基である請求の範囲第2項に記載の
    化合物。
  15. 【請求項15】一般式 〔式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びXは、請求の
    範囲第1項におけると同じ意味を有する。〕 で表される構造単位0.001〜100モル%と一般式 〔式中、Y及びZは、請求の範囲第1項におけると同じ
    意味を有する。〕 で表される構造単位0〜99.999モル%を含み、一般式
    (I−2)の構造単位が繰り返された単独重合体である
    か、又は一般式(I−2)の構造単位と一般式(II)の
    構造単位との共重合体である請求の範囲第1項に記載の
    化合物。
  16. 【請求項16】ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)法
    (溶媒=テトラヒドロフラン、温度=40℃、ポリスチレ
    ン換算)による数平均分子量が1×103〜1×106であ
    り、同GPC法による重量平均分子量が1×103〜2×106
    である請求の範囲第15項に記載の化合物。
  17. 【請求項17】ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)法
    (溶媒=テトラヒドロフラン、温度=40℃、ポリスチレ
    ン換算)による数平均分子量が5×103〜3×105であ
    り、同GPC法による重量平均分子量が5×103〜5×105
    である請求の範囲第15項に記載の化合物。
  18. 【請求項18】一般式(I−2)の構造単位のみからな
    る単独重合体である請求の範囲第15項に記載の化合物。
  19. 【請求項19】一般式(I−2)の構造単位を0.001〜5
    0モル%及び一般式(II)の構造単位を50〜99.999モル
    %含有する請求の範囲第15項に記載の化合物。
  20. 【請求項20】一般式(I−2)の構造単位を0.01〜25
    モル%及び一般式(II)の構造単位を75〜99.99モル%
    含有する請求の範囲第15項に記載の化合物。
  21. 【請求項21】一般式(I−2)の構造単位を0.1〜10
    モル%及び一般式(II)の構造単位を90〜99.9モル%含
    有する請求の範囲第15項に記載の化合物。
  22. 【請求項22】一般式(I−2)において、R1が炭索数
    1〜20のアルキル基であり、R2、R3、R4及びR5が同一又
    は異なって、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル
    基、メトキシフェニル基、メトキシ基、エトキシ基、フ
    ッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基又はニトロ基
    であり、R6及びR7が同一又は異なって、水素原子、メチ
    ル基、エチル基、フェニル基又はナフチル基である請求
    の範囲第15項に記載の化合物。
  23. 【請求項23】一般式(I−2)において、R1が炭素数
    1〜20のアルキル基であり、R2、R3、R4及びR5が同一又
    は異なって、水素原子、フェニル基、メトキシ基、塩素
    原子、臭素原子、シアノ基又はニトロ基であり、R6及び
    R7が同一又は異なって、水素原子、フェニル基又はナフ
    チル基である請求の範囲第15項に記載の化合物。
  24. 【請求項24】一般式(I−2)において、R1が炭素数
    1〜20のアルキル基であり、R2及びR5が水素原子であ
    り、R3が水素原子又は炭素数1〜5のアルコキシ基であ
    り、R4が水素原子、炭素数1〜5のアルコキシ基又は炭
    素数1〜6のアルキル基であり、Xが酸素原子である請
    求の範囲第15項に記載の化合物。
  25. 【請求項25】一般式(I−2)において、R1がメチル
    基又はオクタデシル基であり、R2、R3、R5、R6及びR7
    水素原子であり、R4が水素原子、メチル基又はメトキシ
    基であり、Xが酸素原子である請求の範囲第15項に記載
    の化合物。
  26. 【請求項26】一般式(II)において、Yがメチル基で
    あり、Zがメトキシカルボニル基であるか、またはYが
    水素原子であり、Zがフェニル基である請求の範囲第15
    項に記載の化合物。
  27. 【請求項27】一般式(II)において、Yがメチル基で
    あり、Zがメトキシカルボニル基である請求の範囲第15
    項に記載の化合物。
  28. 【請求項28】一般式(II)において、Yが水素原子で
    あり、Zがフェニル基である請求の範囲第15項に記載の
    化合物。
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日本化学会誌、1972年 第7巻、7月、p.1323−1330

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