JP3404156B2 - ペルフルオロシクロペンテン誘導体、フォトクロミック材料、光記録媒体及び光記録方法 - Google Patents

ペルフルオロシクロペンテン誘導体、フォトクロミック材料、光記録媒体及び光記録方法

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JP3404156B2
JP3404156B2 JP27788294A JP27788294A JP3404156B2 JP 3404156 B2 JP3404156 B2 JP 3404156B2 JP 27788294 A JP27788294 A JP 27788294A JP 27788294 A JP27788294 A JP 27788294A JP 3404156 B2 JP3404156 B2 JP 3404156B2
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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)
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  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Oxygen Or Sulfur (AREA)
  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)
  • Optical Recording Or Reproduction (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なペルフルオロシ
クロペンテン誘導体、フォトクロミック材料及びそれを
用いた光記録媒体に関するもので、より詳細には、記録
の再生回数の顕著に向上した光記録媒体として有用なペ
ルフルオロシクロペンテン誘導体及びフォトクロミック
材料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光の照射により発色或いは消色す
るフォトクロミック材料は、光記録媒体、サングラス等
の光学的フィルター、マスキング用材料、ディスプレイ
用材料等の各種用途に広く使用されている。
【0003】このようなフォトクロミック材料として、
種々の有機化合物が知られているが、代表的なものとし
てスピロピラン系化合物が挙げられる(例えば特公昭4
5−28892号公報)。
【0004】また、ペルフルオロシクロペンテン誘導体
がフォトクロミック材料として有用であることも知られ
ており、例えば特開平3−261947号公報には、下
記式(4)
【0005】
【化12】
【0006】式中、Meはメチル基である(以下同
様)、の誘導体から成るフォトクロミック材料が記載さ
れている。この式(4)のベンゾチオフェン型のペルフ
ルオロシクロペンテン誘導体を、ポリマー中にドープさ
せ、或いはポリマーの主鎖に導入後、フィルムにキャス
トし、或いは基板上に積層し、記録媒体を作成する。こ
の記録層に、紫外光を照射し、式(5)
【0007】
【化13】
【0008】の閉環体に転化して、記録の書き込みを行
い、次いで可視光を用いて記録の読み出しを行う。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】フォトクロミック材料
は、光の照射に伴なう分子構造の異性化(閉環、開環)
により、発色乃至消色を生じるものであるが、これを記
録材料として使用する場合、異性化率が高くしかも記録
の再生回数を向上させることが最大の課題である。
【0010】ところが、上記式(4)及び(5)に見ら
れるような公知のフォトクロミック材料の殆どのもの
は、光化学反応に閾い値を持たないという傾向がある。
【0011】このため、活性光線により、有色の閉環体
を形成させても、この像を光学的に読み取る際、開環体
に異性化する傾向があり、多数回読み取りを行うと像が
消失するという欠点が認められる。
【0012】従って、本発明の目的は、ジアリールエテ
ン誘導体をフォトクロミックメモリ媒体として用いる
際、その異性化率が高く、かつ記録の読み出し時のレー
ザー光に対して異性化分子の光安定性が高い、すなわち
しきい値を持つジアリールエテン誘導体を提供し、光記
録媒体としての実用性を高めることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、下記式
(1)
【0014】
【化14】 、下記式(2)
【0015】
【化15】 または下記式(3)
【0016】
【化16】
【0017】式中、R1 は水素原子または低級アルキル
基であり、R2 は低級アルキル基であり、Rは水素原
子、アルキル基、アルコキシ基、3級アミノ基またはシ
アノ基であり、nは1乃至5の数であり、kは1乃至5
の数であり、mは1乃至5の数である、で表わされるペ
ルフルオロシクロペンテン誘導体が提供される。
【0018】本発明によれば、前記式(1)または前記
式(2)で表わされるペルフルオロシクロペンテン誘導
体から成ることを特徴とするフォトクロミック材料が提
供される。
【0019】本発明によればまた、前記式(1)、前記
式(2)または前記式(3)で表わされるペルフルオロ
シクロペンテン誘導体を含有する層を基体上に設けて成
ることを特徴とする光記録媒体が提供される。
【0020】本発明によれば更に、前記式(1)で表わ
されるペルフルオロシクロペンテン誘導体(開環体)を
含有する層を活性光線で照射して前記式(2)で表され
る異性化分子(閉環体)から成る像を形成させ、次いで
この像を酸化することにより前記式(3)で表される化
合物(還元体)からなる像を形成させ、異性化分子を読
み出し用光線に対して安定化させることを特徴とする光
記録方法が提供される。
【0021】この光記録方法では、安定化された式
(3)の化合物を還元して、式(2)の化合物(閉環
体)とし、次いで可視光線を照射して式(1)の化合物
に転化することにより像の消去を行うことができる。
【0022】
【作用】本発明の化合物は、ペルフルオロシクロペンテ
ン誘導体のα位(1位)及びβ位(2位)にチオフェン
環を有し且つチオフェン環の5−位にアリール置換アミ
ノアリール基を有することが化学構造上の特徴である。
式(1)の化合物は開環体であり、式(2)の化合物は
閉環体、式(3)の化合物は閉環体の酸化体である。
【0023】本発明によれば、従来のペルフルオロシク
ロペンテン誘導体におけるベンゾチオフェン環をチオフ
ェン環に変更することで、閉環体への異性化率を顕著に
向上させることができる。また、チオフェン環の5−位
にアリールアミノアリーレン鎖を導入することにより、
式(2)の閉環体を酸化すると、アミノアリーレン鎖
が、キノイミン構造に転化した式(3)の酸化体が容易
に生成する。
【0024】式(3)のキノイミン型の構造では、式
(2)の閉環体に比して、共役鎖がつながることによ
り、モル吸光係数(ε)が増大し、吸収極大波長が長波
長側に移行するという記録読み取り上好都合な結果が得
られる。
【0025】式(3)のキノイミン構造の閉環体は、フ
ォトクロミック性を全く有しなく、記録の光学的読み取
りに際しても他構造に変化しないので、記録保持上極め
て好都合である。また、式(3)のキノイミン構造は、
還元により式(2)のアミノアリーレン構造に転化し、
式(2)の閉環体はフォトクロミック性を有するので、
光線照射により消去を行うことができる。
【0026】本発明において、前記一般式(1)の開環
体は概して黄色のような明るい色であり、前記一般式
(2)の閉環体(シクロヘキサジエン)は青色であり、
また式(3)の還元体は緑色であって、互いに色相を異
にし、しかも式(3)の還元体がフォトクロミック性を
有していないため、高いコントラストと記録の高度の保
持性とが得られる。
【0027】本発明のペルフルオロシクロペンテン誘導
体は、閉環体への量子収率が大きいため、カラーフィル
ター、サングラス等の一般的なフォトクロミック材料と
して使用し得ることは勿論であるが、光記録媒体として
特に有用である。
【0028】光記録媒体としての作用を説明するための
図1において、光記録媒体1は、基体(透明基体)2上
に、本発明のペルフルオロシクロペンテン誘導体をポリ
マー中に溶解させたものを記録層3として設けたものか
ら成っている。この記録層3は、書込み前では、フォト
クロミック分子は開環体A(前記式1)の状態にある。
書込みに際して光λ1 を照射する。これにより明部では
フォトクロミック分子が閉環体B(前記式2)となり、
暗部ではフォトクロミック分子が開環体Aのまま残留す
る。書き込みした記録層を酸化処理する。これにより、
閉環体Bは酸化体C(前記式3)に転化され、開環体A
はそのまま残留する。読み取りに際しては、記録層に光
線λ2 を照射すると、前述したフォトクロミック分子A
の部分では光線が透過し、フォトクロミック分子Cの部
分では光線が遮断されるので、光線像(ネガ像)に再現
することができる。一旦書き込みを行った記録層は、光
線に対する感度がないので、これを、多数回数の光線像
の再現に用いることができる。使用済みの記録層には消
去工程で記録層の還元を行って、分子Cを閉環体Bに酸
化し、次いで光線λ2 を照射して、開環体Aとし、消去
を行うことができる。
【0029】
【発明の好適態様】
[ペルフルオロシクロペンテン誘導体]本発明の前記一
般式(1)(2)及び(3)のペルフルオロシクロペン
テン誘導体において、チオフェン環の基、R1 は水素原
子または低級アルキル基であることができ、ここで低級
アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチ
ル基等が挙げられる(以下同様)。メチル基が好まし
い。チオフェン環の基R2は同様の低級アルキル基であ
り、立体障害性のないメチル基が好ましい。
【0030】末端の基Rは水素原子、アルキル基、アル
コキシ基、3級アミノ基またはシアノ基であり、アルコ
キシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブ
トキシ基等の低級アルコキシ基が挙げられ、3級アミノ
基としては、ジ置換アミノ基、例えば、メチル、エチ
ル、プロピル、ブチル基等でジ置換されたアミノ基が挙
げられる。
【0031】p−フェニレン基の反復数n及びmは1乃
至5の数であり、p−フェニレン基、4,4´−ビフェ
ニレン基等がこれに該当する。kは1乃至5の数であ
る。
【0032】好適な化合物の例は、次のとおりである。
1,2−ビス〔2,4−ジメチル−5−(4−N−フェ
ニルアミノフェニル)チオフェン−3−イル〕ペルフル
オロシクロペンテン。1,2−ビス〔2,4−ジメチル
−5−(4´−N−フェニルアミノビフェニル−4)チ
オフェン−3−イル〕ペルフルオロシクロペンテン。
1,2−ビス〔2,4−ジメチル−5−(4−(p−メ
トキシフェニルアミノ)フェニル−1)チオフェン−3
−イル〕ペルフルオロシクロペンテン。1,2−ビス
〔2,4−ジメチル−5−(4−(p−シアノフェニル
アミノ)フェニル−1)チオフェン−3−イル〕ペルフ
ルオロシクロペンテン。
【0033】[合成法]本発明のペルフルオロシクロペ
ンテン誘導体は、下記式(6)
【0034】
【化17】
【0035】で表されるビスヨードアリールチエニルペ
ルフルオロシクロペンテン誘導体と、下記式(7)
【0036】
【化18】
【0037】で表されるアミノ化合物とを、それ自体公
知の手段で、縮合させることにより合成される。
【0038】前記式(6)のビスヨードアリールチエニ
ルペルフルオロシクロペンテン誘導体は、次のように合
成される。即ち、下記式(8)
【0039】
【化19】
【0040】の反応スキームに示すとおり、チオフェン
類の2位に低級アルキル基を有する誘導体を、式(9)
に示すチエニル塩化亜鉛誘導体とし、これと式(10)
に示す4−ハロベンゼン誘導体とを反応させて、式(1
1)に示す2−低級アルキル−5−アリールチオフェン
誘導体とし、これを式(12)に示す2−低級アルキル
−3−ハロ−5−フェニルチオフェン誘導体とし、ペル
フルオロシクロペンテンと反応させて、式(13)のビ
スアリールチエニルペルフルオロシクロペンテン誘導体
とする。この誘導体のアリール基のp−位にヨードを導
入することにより得られる。
【0041】[用途]本発明のペルフルオロシクロペン
テン誘導体は、フォトクロミック材料、特に光記録用媒
体として有用である。即ち、このペルフルオロシクロペ
ンテン誘導体をポリマー中に溶解させて、この組成物を
造膜或いは適当な形状に成形し、フォトクロミック材料
として使用する。
【0042】ペルフルオロシクロペンテン誘導体をポリ
マー中に溶解させるには、予め形成されたポリマーの溶
液中にペルフルオロシクロペンテン誘導体の溶液を溶解
させ、この溶液をキャスティング等の手段で造膜乃至成
形する手段を用いることができる。或いは、別法とし
て、重合硬化性のモノマー或いはプレポリマー中にペル
フルオロシクロペンテン誘導体を溶解させ、これをキャ
スティング等の手段で造膜乃至成形した後、重合硬化さ
せる。
【0043】ポリマーとしては、光学的特性に優れた樹
脂が使用され、例えばスチレン系重合体やアクリル系重
合体、スチレン−アクリル系共重合体或いはカーボネー
ト系重合体等が使用される。
【0044】重合硬化型の単量体としては、例えばアク
リル酸エチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸2−エ
チルヘキシル、マレイン酸モノ又はジ・エチル、酢酸ビ
ニル、プロピオン酸ビニル、アクリルアミド、メタクリ
ルアミド、マレイミド、アクロレイン、メタクロレイ
ン、ビニルメチルケトン、ビニルブチルケトン、アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリル、γ−ヒドロキシメタ
クリル酸プロピル、 β−ヒドロキシアクリル酸エチ
ル、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ア
リルエチルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシ
ジルメタクリレート、グリシジルビニルエーテル、スチ
レン等の他に、多感能性の単量体、例えばポリアルキレ
ンポリオール(メタ)アクリル酸エステル、ビスジエチ
レングリコールカーボネート、ジビニルベンゼン等が、
ラジカル開始剤との組み合わせで使用される。
【0045】この重合時に本発明のペルフルオロシクロ
ペンテン誘導体とポリマーとの間にグラフト等の反応が
生じても何等差し支えがない。
【0046】本発明のペルフルオロシクロペンテン誘導
体は、単独でフォトクロミック材料として使用すること
ができる他に、他のフォトクロミック材料と組み合わせ
でもフォトクロミック材料として使用でき、この後者の
場合には、発色時の色調を所望の色調に調節し得るとい
う利点がある。
【0047】光記録材料としての使用に際しては、ペル
フルオロシクロペンテン誘導体溶解ポリマーの単独を使
用することもできるが、一般には、二軸延伸PETのよ
うなプラスチックフィルムの表面にペルフルオロシクロ
ペンテン誘導体溶解ポリマー組成物を記録層としてコー
トしたものを用いるのがよい。光線透過性が要求されな
い用途には、基体として、紙或いは金属箔等を用いるこ
ともできる。
【0048】本発明のペルフルオロシクロペンテン誘導
体を発色させる紫外線としては、253.7nm或いは
184.9nm等の紫外線が有利であり、一方、書き込
みに際しての熱源としてのレーザー光としては、HeN
e、CO2 ,Arイオン、エキシマ等のガスレーザー、
アレキサンドライト、YAG、ルビー、ガラス等の固体
レーザー等が使用される。
【0049】一方、式(2)の閉環体を、式(3)のキ
ノイミン構造に転化するための酸化剤としては、それ自
体公知の酸化剤、例えばプロトンスポンジ等のアルカリ
剤等が使用され、また式(3)のキノイミン構造を式
(2)の閉環体に転化するための還元剤としては、それ
自体公知の還元剤、例えばトリフルオロ酢酸等の酸性剤
等が使用される。
【0050】
【実施例】本発明を次の例で更に詳細に説明する。
【0051】合成例1 2,4−ジメチルチオフェンの合成 500ml4つ口フラスコに9.82ml(0.1mo
l)の3−メチルチオフェンと乾燥エーテル50ml
を入れ、18.1ml(0.12mol)のテトラメチ
ルエチレンジアミンを加えた。つぎに75.0ml
(0.12mol)のn−BuLi/ヘキサン溶液を氷
冷下、滴下ロートを用いてゆっくり滴下した。氷冷下1
時間撹拌し、さらに1時間、室温撹拌した。再び氷冷
し、滴下ロートより7.5ml(0.12mol)のヨ
ウ化メチル/乾燥エーテル20mlをゆっくり滴下し
た。終夜撹拌後氷水100mlに注ぎ有機層を分離し、
エーテルにて抽出した。有機層を合わせて希塩酸により
洗浄し、次いで水洗後無水硫酸マグネシウムで乾燥、溶
媒を留去した。得られた液体を減圧蒸留し、無色液体の
式(14)
【0052】
【化20】
【0053】の2,4−ジメチルチオフェンを得た。 収量 9.74g 収率87.1%
【0054】2,4−ジメチル−3−フェニルチオフェ
ンの合成 2,4−ジメチルチオフェン 3.36g(0.03m
ol)/乾燥ジエチルエーテル30mlに4.84ml
(0.033mol)のテトラメチルエチレンジアミン
を加え、22.5ml(0.036mol)のn−Bu
Li/ヘキサン溶液を滴下ロートを用いて室温で滴下し
た。滴下後2時間撹拌し、沈澱を少量のTHFで溶解さ
せた。これに36.0ml(0.036mol)のZn
Cl2 /ジエチルエーテル(1.0M)を室温で滴下
し、3時間、室温で乾燥した。この溶液を別の容器に調
製した0.33g(3×10-4mol)のPd(PPh
3 4 、ヨードベンゼン4.4g(0.028mo
l)、乾燥THF20mlに室温にて滴下した。滴下後
50℃で3時間撹拌後、終夜撹拌した。水を加え有機層
をジエチルエーテルにて抽出し、希塩酸水にて洗浄後、
乾燥し、溶媒を留去後、カラムクロマトグラフィーによ
り精製し、式(15)
【0055】
【化21】
【0056】の2,4−ジメチル−3−フェニルチオフ
ェンを得た。 収量 5.16g 収率 92.9%
【0057】3−ヨード−2,4−ジメチル−5−フェ
ニルチオフェンの合成 2,4−ジメチル−3−フェニルチオフェン 3.76
g(0.02mol)、四塩化炭素35ml、酢酸35
mlに室温にて0.81gのヨウ素酸を水10mlに溶
解させたものを加え60〜65℃に加熱した。これにI
2 2.54g(0.01mol)を加え4時間環流し
た。水を加えクロロホルム抽出後、水洗および炭酸水素
ナトリウムにて洗浄し、乾燥後、溶媒を留去した。カラ
ムクロマトグラフィーにて精製し、式(16)
【0058】
【化22】
【0059】の3−ヨード−2,4−ジメチル−5−フ
ェニルチオフェンを得た。 収量 5.08g 収率80.9%
【0060】1,2−ビス(2,4−ジメチル−5−フ
ェニルチオフェン−3−イル)ペルフルオロシクロペン
テンの合成 3−ヨード−2,4−ジメチル−5−フェニルチオフェ
ン 1.83g(5.83mmol)、THF20ml
を−78℃に冷却し、これに5.3ml(8.75mm
ol)のn−BuLi/ヘキサン溶液を滴下ロートを用
いて滴下し、1時間撹拌した。0.37ml(2.92
mmol)のペルフルオロシクロペンテンを3回にわけ
て加え、終夜撹拌した。水を加えジエチルエーテルで抽
出後塩酸および水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾
燥、溶媒を留去後カラムクロマトグラフィーにて精製
し、式(17)
【0061】
【化23】
【0062】の1,2−ビス(2,4−ジメチル−5−
フェニルチオフェン−3−イル)ペルフルオロシクロペ
ンテンを得た。 収量 0.792g 収率51%
【0063】1,2−ビス(2,4−ジメチル−5−
(4−ヨードフェニル)チオフェン−3−イル)ペルフ
ルオロシクロペンテンの合成 1,2−ビス(2,4−ジメチル−5−フェニルチオフ
ェン−3−イル)ペルフルオロシクロペンテン 0.7
6g(1.38mmol)、四塩化炭素20ml、酢酸
20mlに室温にて0.25gのヨウ素酸を水10.0
mlに溶解させたものを加え60〜65℃に加熱した。
これにI2 0.50g(0.7m mol)を加え4時
間環流した。水を加えクロロホルム抽出後、水洗および
炭酸水素ナトリウムにて洗浄し、乾燥後、溶媒を留去し
た。カラムクロマトグラフィーにて精製し、式(18)
【0064】
【化24】
【0065】の1,2−ビス(2,4−ジメチル−5−
(4−ヨードフェニル)チオフェン−3−イル)ペルフ
ルオロシクロペンテンを得た。 収量 1.25g 収率68.5%
【0066】1,2−ビス(2,4−ジメチル−5−
(4−フェニルアミノフェニル)チオフェン−3−イ
ル)ペルフルオロシクロペンテンの合成 100mlの3つ口フラスコに1,2−ビス(2,4−
ジメチル−5−(4−ヨードフェニル)−3−イル)ペ
ルフルオロシクロペンテン 0.10g(0.13mm
ol)、18−crown−6 エーテル6.7mg
(0.25mmol)、無水炭酸カリウム0.14g
(1mmol)、銅粉0.032g(0.5mmo
l)、アニリン 0.02g(2mmol)を入れ、窒
素置換した。さらにo−ジクロロベンゼン10mlを加
え160−170℃で15時間撹拌した。反応溶液を濾
過し、o−ジクロロベンゼンを減圧留去後、カラムクロ
マトグラフィーにより精製し、式(19)
【0067】
【化25】
【0068】の1,2−ビス(2,4−ジメチル−5−
(4−フェニルアミノフェニル)チオフェン−3−イ
ル)ペルフルオロシクロペンテンを得た。 収量 3.0mg(3.1%) 270MHz 1H NMR(CDCl3 ) δ=2.08(s,6H,Ar−CH3 ) 2.33(s,6H,Ar−CH3 ) 5.77(s,2H,−NH−) 6.93−7.31(m,18H,Aromatic−
proton) 元素分析 cal.C:67.96 H:4.42
N:3.87 fon.C:67.95 H:4.41 N:3.85 m.p.89.6℃
【0069】合成例2 1,2−ビス(2,4−ジメチル−5−(4−(4−シ
アノフェニル)アミノフェニル)チオフェン−3−イ
ル)ペルフルオロシクロペンテンの合成 100mlの3つ口フラスコに1,2−ビス(2,4−
ジメチル−5−(4−ヨードフェニル)チオフェン−3
−イル)ペルフルオロシクロペンテン39 0.10g
(0.13mmol)、18−crown−6 エーテ
ル6.7mg(0.25mmol)、無水炭酸カリウム
0.14g(1mmol)、銅粉0.032g(0.5
mmol)、p−アミノベンゾニトリル 0.02g
(2mmol)を入れ、窒素置換した。さらにo−ジク
ロロベンゼン10mlを加え160−170℃で15時
間撹拌した。反応溶液を濾過し、o−ジクロロベンゼン
を減圧留去後、カラムクロマトグラフィーにより精製
し、式(20)
【0070】
【化26】
【0071】の1,2−ビス(2,4−ジメチル−5−
(4−(4−シアノフェニル)アミノフェニル)チオフ
ェン−3−イル)ペルフルオロシクロペンテンを得た。 収量 11.3mg(5.8%) 270MHz 1H NMR(CDCl3 ) δ=2.18(s,6H,Ar−CH3 ) 2.23(s,6H,Ar−CH3 ) 5.57(s,2H,−NH−) 6.91−7.36(m,16H,Aromatic−
proton) 元素分析 cal.C:66.67 H:3.88
N:7.24 fon.C:66.68 H:3.88 N:7.25 m.p.85.7℃
【0072】実施例1 前記式(1)の1,2−ビス(2,4−ジメチル−5−
(4−フェニルアミノフェニル)チオフェン−3−イ
ル)ペルフルオロシクロペンテン(以下化合物1と呼
ぶ)のトルエン溶液に紫外光を照射し、式(21)
【0073】
【化27】
【0074】の閉環体とする。この閉環体溶液は青色で
あった。
【0075】この溶液にプロトンスポンジ=1.8 ビ
ス(N,N−ジメチルアミン)ナフタリン(数mg)を
添加することにより、式(22)
【0076】
【化28】
【0077】のキノイミン構造体となり、溶液は緑色へ
と変化した。またこの緑色溶液に600nm以上の光を
照射しても吸収スペクトルは変化せず緑色溶液であっ
た。
【0078】比較例1 同様に、前記式(4)の誘導体(化合物2)のトルエン
溶液に紫外光を照射し前記式(5)の閉環体とする。こ
の閉環体溶液は青色であった。この青色溶液にプロトン
スポンジ(数mg)を添加しても溶液は青色溶液のまま
であった。さらにこの溶液に500nm光以上の光を照
射することにより、青色閉環体溶液は元の無色開環体溶
液へと変化した。
【0079】上記化合物1および化合物2の吸収スペク
トル変化を図2,図3に示す。
【0080】実施例2 化合物1をトルエン中に溶解し、ポリメタクリル酸メチ
ル中の濃度がポリメタクリル酸メチル単位当たり0.3
モル%になるよう溶解させ、電極を有する基板上に乾燥
後の膜厚が100μmとなる様に塗布し、乾燥し記録膜
を得た。
【0081】上記記録膜に紫外光を照射し、鮮明な青色
の記録の書き込みを行った。この記録膜に、電極を陽極
として、均一な電圧をかけ、青色の記録部を緑色記録部
へと変化させた。緑色記録部を持つ記録膜にAr−イオ
ンレーザー光を照射し、記録の読み出しを行った。この
緑色記録部は、レーザー光に対して著しく安定であっ
た。
【0082】
【発明の効果】本発明によれば、ペルフルオロシクロペ
ンテン誘導体のα位(1位)及びβ位(2位)にチオフ
ェン環を有し且つチオフェン環の5−位にアリールアミ
ノアリーレン鎖を有するという化学構造上の特徴を有す
る。
【0083】従来のペルフルオロシクロペンテン誘導体
におけるベンゾチオフェン環をチオフェン環に変更する
ことで、式(2)の閉環体への異性化率が向上するばか
りでなく、チオフェン環の5−位にアリールアミノアリ
ーレン鎖を導入することにより、式(2)の閉環体を酸
化すると、これがアリールキノイミン構造に転化した式
(3)の酸化体が容易に生成する。
【0084】式(3)のアリールキノイミン構造の閉環
体は、フォトクロミック性を全く有しなく、記録の光学
的読み取りに際しても他構造に変化しないので、記録保
持上極めて好都合である。また、式(3)のキノイミン
型の構造では、式(2)の閉環体に比して、共役鎖がつ
ながることにより、モル吸光係数(ε)が増大し、吸収
極大波長が長波長側に移行するという記録読み取り上好
都合な結果が得られる。更に、式(3)のフェニルアミ
ノキノメタン構造は、酸化により式(2)のフェニルイ
ミノメチリデンフェニル構造に転化し、式(2)の閉環
体はフォトクロミック性を有するので、光線照射により
消去を行うことができる。
【0085】一般式(1)の開環体は概して黄色のよう
な明るい色であり、前記一般式(2)の閉環体(シクロ
ヘキサジエン)は緑色であり、また式(3)の還元体は
青色であって、互いに色相を異にし、しかも式(3)の
還元体がフォトクロミック性を有していないため、高い
コントラストと記録体の安定した記録保持性とが得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】光記録媒体としての作用を説明するための説明
図である。
【図2】本発明による式(1)の化合物の吸収スペクト
ルである。
【図3】従来の式(4)の化合物の吸収スペクトルであ
る。
【符号の説明】
1 光記録媒体 2 基体(透明基体) 3 記録層 A 開環体 B 閉環体 C 還元体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G11B 7/00 G11B 7/00 K 7/24 516 7/24 516 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 333/20 C07D 495/04 101 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1) 【化1】 、下記式(2) 【化2】 または下記式(3) 【化3】 式中、R1 は水素原子または低級アルキル基であり、R
    2 は低級アルキル基であり、Rは水素原子、アルキル
    基、アルコキシ基、3級アミノ基またはシアノ基であ
    り、nは1乃至5の数であり、kは1乃至5の数であ
    り、mは1乃至5の数である、で表わされるペルフルオ
    ロシクロペンテン誘導体。
  2. 【請求項2】 R1 及びR2 がメチル基である請求項1
    記載のペルフルオロシクロペンテン誘導体。
  3. 【請求項3】 前記式(1)、(2)または(3)にお
    いて、R1 及びR2の各々がメチル基であり、Rが水素
    原子であり、n、k及びmの各々が1である請求項1記
    載のペルフルオロシクロペンテン誘導体。
  4. 【請求項4】 前記式(1)、(2)または(3)にお
    いて、R1 及びR2の各々がメチル基であり、Rがシア
    ノ基であり、n、k及びmの各々が1である請求項1記
    載のペルフルオロシクロペンテン誘導体。
  5. 【請求項5】 下記式(1) 【化4】 または下記式(2) 【化5】 式中、R1 は水素原子または低級アルキル基であり、R
    2 は低級アルキル基であり、Rは水素原子、アルキル
    基、アルコキシ基、3級アミノ基またはシアノ基であ
    り、nは1乃至5の数であり、kは1乃至5の数であ
    り、mは1乃至の数である、で表わされるペルフルオロ
    シクロペンテン誘導体から成ることを特徴とするフォト
    クロミック材料。
  6. 【請求項6】 下記式(1) 【化6】 、下記式(2) 【化7】 または下記式(3) 【化8】 式中、R1 は水素原子または低級アルキル基であり、R
    2 は低級アルキル基であり、Rは水素原子、アルキル
    基、アルコキシ基、3級アミノ基またはシアノ基であ
    り、nは1乃至5の数であり、kは1乃至5の数であ
    り、mは1乃至5の数である、で表わされるペルフルオ
    ロシクロペンテン誘導体を含有する層を基体上に設けて
    成ることを特徴とする光記録媒体。
  7. 【請求項7】 下記式(1) 【化9】 式中、R1 は水素原子または低級アルキル基であり、R
    2 は低級アルキル基であり、Rは水素原子、アルキル
    基、アルコキシ基、3級アミノ基またはシアノ基であ
    り、nは1乃至5の数であり、kは1乃至5の数であ
    り、mは1乃至5の数である、で表わされるペルフルオ
    ロシクロペンテン誘導体を含有する層を活性光線で照射
    して、下記式(2) 【化10】 の異性化分子から成る像を形成させ、次いでこの像を酸
    化して、下記式(3) 【化11】 から成る化合物の像に転化し、これにより異性化分子を
    読み出し用光線に対して安定化させることを特徴とする
    光記録方法。
  8. 【請求項8】 安定化された式(3)の異性化分子を式
    (2)の化合物に還元し、次いで式(2)の化合物に可
    視光線を照射して式(1)の化合物に転化し、これによ
    り像の消去を行うことを特徴とする請求項7記載の光記
    録方法。
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