JP4255230B2 - フォトクロミック材料 - Google Patents

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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)
  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Oxygen Or Sulfur (AREA)
  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、キラルなフォロクロミック化合物、およびそれを用いたフォトクロミック素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
フォトクロミック材料は、光の作用によって可逆的に吸収スペクトル(すなわち“色”)の異なる構造異性体を生成する分子を含む材料である。フォトクロミック材料は光照射により、構造の異なる化合物を可逆的に生成するため、吸収スペクトル、融点、屈折率、粘度、極性などをはじめとする種々の物性の可逆的変化を光照射によって誘起することが可能である。このようなフォトクロミック反応に伴う種々の特性の変化を利用して、光記録媒体・表示デバイス・光学フィルター・光変調素子・調光レンズ・調光ウィンドウなどへの応用展開が研究されている。フォトクロミック材料を応用展開する上で、高い繰り返し耐久性を持つことが重要な要因であり、ジアリールエテン系分子に関しては、十分な繰り返し耐久性を持つものが得られている(M. Irie, et al., J. Chem. Soc., Chem. Commun., 206, (1992), M. Irie, Mol. Cryst. Liq. Cryst. 227,263 (1993))。
【0003】
フォトクロミック材料を光記録媒体に用いる場合、繰り返し耐久性に加え、特に記録の非破壊読み出し機能を有することが重要である。すなわち、情報の記録・未記録をフォトクロミック反応によって生成する2種の異性体の吸収スペクトルの差異として読み出す場合、吸収帯に相当する波長の光を照射する必要があり、記録された情報が読み出し光によって変化(記録が破壊)してしまうという問題が本質的に存在する。
【0004】
また、弱い光量の光で記録を読み出す提案がされているが(T. Tsujioka, et al., Jpn. J. Appl. Phys., 34, 6439, (1995).)、光反応には閾値が存在しないため、いかに微弱な光を用いて読み出しを行なったとしても多数回の読み出し後には同様に記録が破壊されてしまう。
【0005】
この問題に対し、フォトクロミック反応に閾値をもたせる方法が検討された。ジアリールエテン分子に水素結合性官能基を導入し、フォトクロミック反応に温度依存性を付与した系(M. Irie, et al., J. Am. Chem. Soc., 116, 9894, (1994).)、ジアリールエテン分子にレドックス活性部位を導入することにより、酸化還元反応とフォトクロミック反応を組み合わせた系(J. M. Lehn, et al., Chem. Eur. J., 1, 285, (1995).)、フルギドの酸塩基平衡反応とフォトクロミック反応を組み合わせた系(Y. Yokoyama, et al., J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1722, (1991).)、ナフトピラン誘導体の2光子反応系、(M. Uchida, M. Irie; J.Am. Chem. Soc., 115,6442, (1993).)等が提案されている。しかし上記の方法ではフォトクロミック反応に必要な光源(光の刺激)に加え、それ以外の付加的な刺激(熱、電位差、および別の化学種などによる)が必要でシステムが複雑になる欠点があり、記録速度の面からも実用的ではない。
【0006】
このような問題に際し、フォトクロミック反応を誘起することのない波長の光で、フォトクロミック反応に伴う可逆的な物性変化を検出する方法の検討がなされている。非破壊的に記録情報を読み出す方法として、フォトクロミック化合物の感受性のない波長域の光を用い、フォトクロミズムに伴う旋光度の変化を読み出す方法が提案されている(特開平7−302425号公報)。しかし、これまでキラルなフォトクロミック化合物は幾つか報告されているが、いずれもフォトクロミズムに伴う旋光度の変化量は小さく、現実的な記録信号の変調度は得られない。また、フォトクロミズムに伴う旋光度変化を大きくする目的で、2つのフォトクロミック部位を有する分子が報告されているが(特開平10−604424号公報)、大きな旋光度変化を誘起するためにはフォトクロミック部位を二つとも反応させる必要があり、記録のエネルギー効率の観点からは好ましくない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、フォトクロミック反応に伴う旋光度変化の大きなジアリールエテン材料を創出し、それを用いた素子を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、本発明の(1)「下記一般式(Ia)又は(Ib)で示されるジアリールエテン化合物;
【0009】
【化3】
Figure 0004255230
一般式(Ia),(Ib)中、RおよびRは同一でも異なっていてもよく、それぞれハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換されていてもよいアルキル基、アルコキシ基、アシル基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシ基、アリール基、カルバモイル基を表わす。
およびR は、互いに結合し、下記に示すヘキサフルオロシクロペンテンである;
【0010】
【化4】
Figure 0004255230
」により達成される。
【0011】
また、上記課題は、本発明の()「前記第(1)項に記載のジアリールエテン系化合物からなることを特徴とするフォトクロミック材料」により達成される。
【0012】
更にまた、上記課題は、本発明の()「前記第(1)項に記載のジアリールエテン系化合物を含有することを特徴とする光学素子」により達成される。
【0013】
本発明では、ジアリールエテン系分子を特定なヘリセン類似構造とすることにより、旋光度変化の大きなフォトクロミズムを誘発することが可能となり、したがって、旋光度や円二色性の変化を利用した記録媒体などへの応用が可能であることを見出し本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は下記一般式(I)で表わされるフォトクロミック化合物である。
【0014】
【化5】
Figure 0004255230
一般式(I)中、RおよびRは同一でも異なっていてもよく、それぞれハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換されていてもよいアルキル基、アルコキシ基、アシル基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシ基、アリール基、カルバモイル基を表わす。
およびRは同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシ基、アリール基、カルバモイル基、ニトロ基、などの置換基を表わし、フォトクロミック反応に加えて二重結合のE−Z異性化反応が同時に起こりフォトクロミック反応の効率が低下してしまうため、RおよびRは互いに結合して環を形成することが好ましい。
環形成した場合には
【0015】
【化6】
Figure 0004255230
などの環状構造が好適に用いられ、Rは水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基またはアリール基を表わす。特にフォトクロミック反応の変換率、繰り返し耐久性、熱安定性の面から、及び材料合成の際の反応行程が比較的簡単で合成収率が高いことから、ヘキサフルオロシクロペンテンを有する化合物が最も好ましい。
【0016】
本発明のジアリールエテン系化合物は以下の方法により合成することが可能である。
およびRが環構造をなしており、
およびR
【0017】
【化7】
Figure 0004255230
の場合、
【0018】
【化8】
Figure 0004255230
のように、リチオ化アリールとパーフルオロシクロアルケンとのカップリングによる反応か、もしくは
【0019】
【化9】
Figure 0004255230
の経路で合成することができる。
およびR
【0020】
【化10】
Figure 0004255230
の場合、
【0021】
【化11】
Figure 0004255230
のようにクロロメチル基をシアノ化した後カップリングし、加水分解、脱水環化することにより合成することができる。
およびR
【0022】
【化12】
Figure 0004255230
の場合、前記マレイン酸無水物からイミドに誘導するか、または、
【0023】
【化13】
Figure 0004255230
の方法によって合成することができる。
【0024】
このような方法によって得られた本発明のジアリールエテン系化合物は、光照射に伴い閉環反応と開環反応を示す。光閉環反応によって生成した閉環体は、新たに二つの不斉炭素が生成し、一般的にはエナンチオマーの関係にある(I−A)および(I−B)の2種が生成する可能性が考えられる。
【0025】
【化14】
Figure 0004255230
【0026】
その光学分割の手法としては、以下の方法が一般的であるが
1.キラルカラムを装着したHPLCにより光学分割をする。
2.一方の純粋なエナンチオマーの結晶を種結晶として、ラセミ混合物の溶液から優先的に晶出させる。
これらに限定するものではない。
【0027】
本発明におけるジアリールエテン系化合物を含有する情報記録媒体、調光媒体、表示媒体等の光学素子は公知の方法に準じて容易に作製することができる。例えば、アルコール、トルエン、クロロホルム、ベンゼン、エーテル等の溶媒に、必要であればポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂とともに溶解又は分散し、適当な基板上に成膜するか、或いは公知の蒸着法または他の化合物との共蒸着法により、適当な基板上に蒸着するなどして成膜することができる。またそのまま結晶として使用することも可能であり、適当な溶媒に溶解しまたは分散し、ガラスセル等に封入してもよい。
【0028】
成膜法としてはキャスト法、浸漬法、スピンコート法、ドクターブレード法、真空蒸着法、スパッタリング法などの一般的に行われる成膜法を用いることができる。
【0029】
また、フォトクロミック材料の耐久性向上のためにビスフェニルジチオール、アセチルアセトナートキレート、サリチルアルデヒド等の遷移金属キレート化合物を一重項酸素クエンチャーとして混入してもよいし、その他の光安定化材とともに用いてもよい。
【0030】
【実施例】
以下、本発明を説明するために実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0031】
(実施例1)
次の合成経路により、ジアリールエテン1を合成した。
【0032】
【化15】
Figure 0004255230
【0033】
化合物1−1の合成
200ml二つ口ナス型フラスコに、スピナーと3−メチルチオフェン3.05g(31.1mmol,1.0eq.)を入れ、窒素置換した後、テトラヒドロフラン100mlを加えた。ここに、n−ブチルリチウムヘキサン溶液(1.56mol dm−3)を室温で22.0ml(28.3mmol,1.1eq.)を加え、3時間撹拌した。次に、ジメチルホルムアミド2.74g(37.5mmol 1.2eq.)を加え、1時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え反応を終了した。これを酢酸エチルで3回抽出し、飽和食塩水と無水硫酸ナトリウムで有機層の水分を除いた後、フラッシュカラムクロマトグラフィー(10%酢酸エチル/ヘキサン)によって化合物(1−1)(4−メチルチオフェン−2−カルバルデヒド)と位置異性体(3−メチルチオフェン−2−カルバルデヒド)の混合物として収量3.51g(21.8mmol)、収率90%で得た。
1H NMR (270 MHz, TMS, CDCl3)
4-メチルチオフェン-2-カルバルデヒド (化合物1−1);
d / ppm 2.33 (3H, s), 7.36 (1H, s), 7.58 (1H, s), 9.87 (1H, s)
3-メチルチオフェン-2-カルバルデヒド ;
d / ppm 2.59 (3H, s), 6.97 (1H, d, J/Hz = 4.95), 7.64 (1H, d, J/H
z = 4.95), 10.05 (1H, s)
IR (KRS-5, neat)
n / cm-1 3085, 1668, 1434, 1238, 1192, 1134
【0034】
化合物1−2の合成
100ml二つ口ナス型フラスコに、スピナーとベンゾ[b]チオフェン3.26g(24.3mmol,1.0eq.)を入れ、窒素置換した後、テトラヒドロフラン30mlを加え、−23℃した。ここに、n−ブチルリチウム(28.3mmol,1.2eq.)とテトラメチルエチレンジアミン3.85g(33.1mmol,1.3eq.)を加え、−23℃のまま30分撹拌した。次に、ジメチルホルムアミド2.83g(38.4mmol,1.5eq.)を加え、1時間撹拌した後、水を加え反応を終了した。これを酢酸エチルで3回抽出し、飽和食塩水と無水硫酸ナトリウムで有機層の水分を除いた後、フラッシュカラムクロマトグラフィー(20% 酢酸エチル/ヘキサン)によって化合物(1−2)を3.73g(23.0mmol)、収率95%で得た。
1H NMR (270 MHz, TMS, CDCl3)
d / ppm 7.43 (1H, t, J/Hz = 7.59), 7.50 (1H, t, J/Hz = 7.59), 7.8
8 (1H, d, J/Hz = 7.92), 7.93 (1H, d, J/Hz = 7.59), 8.01 (1H, s), 1
0.09 (1H, s)
IR (KBr-disk)
n / cm-1 1668, 1589, 1515, 1425, 1320, 1255, 1221, 1134, 988, 87
6, 847
【0035】
化合物1−3の合成
100ml二つ口ナス型フラスコに、スピナーと水素化ホウ素ナトリウム1.04g(27.5mmol,1.2eq.)を入れ、窒素置換した後、エタノール30mlを加え、0℃にした。ここに、化合物(1−2)3.72g(22.9mmol,1.0eq.)のエタノール(10ml)溶液を加え、30分撹拌した後、水を加え反応を終了した。これを酢酸エチルで3回抽出し、飽和食塩水と無水硫酸ナトリウムで有機層の水分を除いた後、フラッシュカラムクロマトグラフィー(20% 酢酸エチル/ヘキサン)によって化合物(1−3)を3.73g(22.7mmol)、収率99%で得た。
1H NMR (270 MHz, TMS, CDCl3)
d / ppm 1.93 (1H, t, J/Hz = 6.11), 4.94 (2H, d, J/Hz = 5.27), 7.2
2 (1H, s), 7.28-7.38 (2H, m), 7.72-7.75 (1H, m), 7.81-7.84 (1H, m)
IR (KRS-5, nujor)
n / cm-1 3085, 1668, 1434, 1238, 1192, 1134
【0036】
化合物1−4の合成
300ml二つ口ナス型フラスコに、スピナーと化合物(1−3)1.70g(10.4mmol,1.0eq.)とトリフェニルホスフィン3.60g(13.7mmol,1.3eq.)を入れ、窒素置換した後、ジエチルエーテル15mlを加えて溶解した。ここに、四塩化炭素2.39g(15.5mmol,1.5eq.)を加え、室温で1週間撹拌した。これをフラッシュカラムクロマトグラフィー(20%酢酸エチル/ヘキサン)によって化合物(1−4)を収量1.34g(7.32mmol)、収率71%で合成した。
1H NMR (270 MHz, TMS, CDCl3)
d / ppm 4.87 (2H, s), 7.30 (1H, s), 7.32-7.38 (2H, m), 7.72-7.82
(2H, m)
IR (KBr-disk)
n / cm-1 3053, 1456, 1430, 1256, 758, 700
【0037】
化合物1−5の合成
100mlナシ型フラスコに、スピナーと化合物(1−4)1.52g(8.32mmol,1.0eq.)と、トリフェニルホスフィン6.66g(25.4mmol,3.1eq.)を入れ、ベンゼン25mlに溶かし、8時間加熱還流した。析出した白色固体を吸引濾過し、固体をベンゼンで洗浄し、集めた濾液はエバポレーターにより溶媒を留去して乾燥した後、ベンゼンを加え還流するという操作を繰り返し、化合物(1−5)を収量3.19g、収率86%で得た。
1H NMR (270 MHz, TMS, CDCl3)
d / ppm 6.06 (2H, d, J/Hz = 14.2), 7.27-7.36 (2H, m), 7.62-7.67 (
9H, m), 7.75-7.88 (9H, m)
IR (KBr-disk)
n / cm-1 3056, 1437, 1112, 763, 745, 719, 688
【0038】
化合物1−6の合成
200ml二つ口ナス型フラスコに、スピナーと化合物(1−5)1.53g(3.44mmol,1.0eq.)を入れ、窒素置換した後、テトラヒドロフラン100mlを加え、0℃にした。ここに、n−ブチルリチウムヘキサン溶液(1.56mol dm−3)を2.5ml(3.90mmol,1.1eq.)加え、0℃のまま1時間撹拌した。このとき溶液は、無色から赤色に変化した。ここへ、テトラヒドロフラン20mlで溶かした化合物(1−1)を含む混合物530mg(4.20mmol,1.2eq.)を、カヌーラで一秒一滴の速さで加えた。一晩撹拌した後、水を加え反応を終了し、これを酢酸エチルで3回抽出した。飽和食塩水と無水硫酸ナトリウムで有機層の水分を除いた後、フラッシュカラムクロマトグラフィー(3%ジクロロメタン/ヘキサン)によって化合物(1−6)と位置異性体の混合物を収量705mg(2.75mmol)、収率80%で得た。
1-(2-ベンゾチエニル)-2-(4-メチル-2-チエニル)エテン (化合物1−6);
d / ppm 2.33 (3H, s), 7.36 (1H, s), 7.58 (1H, s), 9.87 (1H, s)
1-(2-ベンゾチエニル)-2-(3-メチル-2-チエニル)エテン ;
d / ppm 2.59 (3H, s), 6.97 (1H, d, J/Hz = 4.95), 7.64 (1H, d, J/H
z = 4.95), 10.05 (1H, s)
IR (KBr-disk)
n / cm-1 3013, 1456, 940, 838, 748, 724
【0039】
化合物1−7の合成
光反応用四つ口フラスコに、スピナーと化合物(1−6)を含む混合物705mg(2.75mmol,1.0eq.)と、ヨウ素を少量入れ、ベンゼンに溶かした。超高圧水銀ランプを用いて紫外光を15時間照射した後、10%チオ硫酸水溶液を加えて、酢酸エチルで3回抽出した。飽和食塩水と無水硫酸ナトリウムで有機層の水分を除いた後、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)によって化合物(1−7)を収量370mg(1.46mmol)、収率53%で合成した。
1H NMR (270 MHz, TMS, CDCl3)
d / ppm 3.05 (3H, s), 7.32 (1H, s), 7.45-7.47 (2H, m), 7.78 (1H,
d, J/Hz = 8.58), 7.90 (1H, d, J/Hz = 8.25), 7.93 (1H, m), 8.81-8.8
4 (1H, m)
IR (KBr-disk)
n / cm-1 3080, 1442, 1377, 863, 775, 736
【0040】
ジアリールエテン1の合成
100ml二つ口ナス型フラスコに、スピナーと化合物(1−7)を362mg(1.42mmol,2.0eq.)を入れ、窒素置換した後、テトラヒドロフラン50mlを加え、−23℃にした。ここに、n−ブチルリチウムヘキサン溶液(1.56mol dm−3)を一秒一滴の速さで1.0ml(1.56mmol,2.2eq.)加え、−23℃のまま1時間撹拌した。次に、テトラヒドロフラン1.3mlに溶かしたオクタフルオロシクロペンテン146mg(0.689mmol,1.0eq.)を一秒一滴の速さで加え、一晩撹拌した後、水を加え反応を終了した。これを酢酸エチルで3回抽出し、飽和食塩水と無水硫酸ナトリウムで有機層の水分を除いた後、フラッシュカラムクロマトグラフィーによってジアリールエテン1を収量325mg(0.477mmol)、収率69%で合成した。
1H NMR (270 MHz, TMS, CDCl3)
d / ppm 2.56 (3H, s), 7.11 (1H, t, J/Hz = 7.76), 7.32 (1H, t, J/H
z = 7.59), 7.85 (1H, d, J/Hz = 7.91), 7.86-7.92 (2H, m), 8.11 (1H,
d, J/Hz = 8.58)
IR (KBr-disk)
n / cm-1 3061, 1442, 1346, 1270, 1129, 1051, 987, 894, 796, 738
【0041】
(実施例2)
実施例1で得たジアリールエテン1の1.08×10−4mol dm−3濃度のトルエン溶液を調製し、その溶液に室温で405nmの光を照射し光定常状態とした。吸収スペクトル変化を図1に、吸収スペクトルを図2に示す。また、フォトクロミック反応の量子と変換率の濃度依存性の結果を表1に示す(O:O(開環)体、C:C(閉環)体)。
【0042】
【表1】
Figure 0004255230
表2にX-ray Crystallographic Dataを示す。
【0043】
【表2】
Figure 0004255230
【0044】
広い濃度域で開環体から閉環体へ80%近い高変換率でフォトクロミック反応が進行する。特開平9−77767号公報記載の化合物の場合、室温での開環体から閉環体へのフォトクロミック反応の変換率は42.5%で、本発明のジアリールエテン系化合物の有用性は明らかである。
【0045】
(実施例3)
実施例1で得たジアリールエテン1の1.08×10−4mol dm−3濃度のトルエン溶液に、室温で405nm光を照射し光定常状態としたものを、液体クロマトグラム(カラム:OD−H(φ100×250mm)ダイセル))により光学分割し、先に流出した成分(閉環体)のトルエン溶液を調製し、旋光度を測定した(測定条件;濃度:3.77×10−3gdl−1、温度:32℃)。
633nm(He−Neレーザ)でのジアリールエテン1の閉環体では−4510゜であり、従来のフォトクロミック化合物に比較し遥かに大きな旋光度である。ジアリールエテン1の閉環体は、633nmにはほとんど吸収はなく、記録媒体へ応用した場合、>600nmの旋光度を検出することで大きな変調度で非破壊的に記録を読み出すことが可能である。
【0046】
(実施例4)
実施例1で得たジアリールエテン1の1.08×10−4moldm−3濃度のトルエン溶液に、室温で405nm光を照射し光定常状態としたものの蛍光スペクトル測定をした(図3に示す)。
蛍光極大波長568nmにジアリールエテン1の開環体に基づく蛍光が見られた。ジアリールエテン1の閉環体には蛍光は見られない。ジアリールエテン1の閉環体は、>600nmにはほとんど吸収はなく、記録媒体へ応用した場合、>600nmの蛍光の有無を検出することで非破壊的に記録を読み出すことが可能である。
【0047】
(実施例5)
実施例1で得たジアリールエテン1の1.08×10−4mol dm−3濃度のトルエン溶液に、室温で405nm光を照射し光定常状態としたものを、液体クロマトグラム(カラム:OD−H(φ10×250nm)ダイセル))により光学分割し、先に流出した成分(閉環体)のトルエン溶液を調製し、CDスペクトルを測定した(測定条件;濃度:7.05×10−5moldm−3)。
波長350nm〜550nmにジアリールエテン1の閉環体に基づくCDスペクトルの分散が見られた。ジアリールエテン1の開環体には見られず、記録媒体へ応用した場合、円二色性の有無を検出することでも記録を読み出すことが可能である。
【0048】
(実施例6)
フォトクロミック記録材料の作製
実施例3で光学分割したジアリールエテン1の閉環体をポリマー媒体に分散したフィルムを作製したものを溶媒として用い、ジアリールエテン1/ポリメタクリル酸メチル(6/94重量%)のジクロロメタン溶液を用い、キャスト法により膜厚〜80μmのフィルム媒体を作成した。このフィルム媒体に可視光(517nm)を照射すると、露光領域は赤色から無色に変化した。さらに無色になった領域に紫外光(405nm)を照射すると、露光領域は再び赤色に変化するのが観測され、ポリマー媒体中でもフォトクロミック反応は抑制されず、この変換は何度も繰り返すことが可能であった。ジアリールエテン1の結晶に光照射することによっても、同様の可逆的な色変化が観察された。
上記フィルム媒体への可視光の照射に伴う、633nm(He−Neレーザ)における旋光度変化を測定した結果、著しく大きな旋光度変化が得られることが確認された。
>600nmの波長の光はジアリールエテン1には吸収されず、さらに吸収体近傍ほど旋光度は大きくなるため、例えば517nmの波長の光で媒体に情報を書き込み、吸収のない600nm以上の波長で旋光度(または屈折率)を読み出す記録媒体へ応用した場合、高変調度かつ非破壊再生可能な記録媒体が実現できる。またジアリールエテン1は溶液中だけでなくポリマー媒体中でもフォトクロミック反応を示すため、カラー表示媒体、調光材料、光変調素子などの光学素子へ応用することが可能である。
【0049】
【発明の効果】
以上、詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明でのジアリールエテン化合物は、その分子構造内に特定なヘリセン類似構造を導入することにより、光異性化反応で特にその長波長域の光に対する旋光度及び円二色性を顕著に変化させることが可能となった。このため光照射によるフォトクロミック反応による構造変化を精度良く検知することができ、しかもこの旋光度変化は、光異性化反応を誘起しない波長域の光で検知できる。従って、本化合物からなるフォトクロミック材料および光学素子は、フォトクロミック反応により記録、消去か可能で、上記旋光度及び円二色性の変化を検知することにより非破壊に再生が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたジアリールエテン1の吸収スペクトル変化を表わす図である。
【図2】実施例1で得られたジアリールエテン1の吸収スペクトルを表わす図である。
【図3】実施例1で得られたジアリールエテン1の蛍光スペクトルを表わす図である。
【図4】実施例1で得られたジアリールエテン1のフォトクロミズムに伴うCDスペクトル変化を表わす図である。
【図5】実施例1で得られたジアリールエテン1の結晶構造を表わす図である。

Claims (3)

  1. 下記一般式(Ia)又は(Ib)で示されるジアリールエテン化合物
    Figure 0004255230
    一般式(Ia),(Ib)中、RおよびRは同一でも異なっていてもよく、それぞれハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換されていてもよいアルキル基、アルコキシ基、アシル基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシ基、アリール基、カルバモイル基を表わす。
    およびR は、互いに結合し、下記に示すヘキサフルオロシクロペンテンである。
    Figure 0004255230
  2. 請求項1に記載のジアリールエテン系化合物からなることを特徴とするフォトクロミック材料。
  3. 請求項1に記載のジアリールエテン系化合物を含有することを特徴とする光学素子。
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