JP4519206B2 - フォトクロミック材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光照射により旋光度変化を生じるフォトクロミック材料に関する。更に詳しくは、上記旋光度変化を利用して記録された情報を破壊することなく読み出すことのできる、光記録媒体として好適なフォトクロミック材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
フォトクロミック材料とは、光の作用により状態の異なる2つの異性体を可逆的に生成する反応(以下、単に「光異性化反応」ともいう。)を起こす有機基、即ち、フォトクロミック性を示す有機基を有する化合物(以下、単に「フォトクロミック化合物」ともいう。)を含む材料を言う。フォトクロミック化合物は、上記の光異性化反応による可逆的な構造変化に伴い吸収スペクトル(即ち、特定波長における吸光度)が変化するため、フォトクロミック材料を光記録に応用する研究が進められている。
【0003】
フォトクロミック材料を光記録材料として使用した場合、情報の記録(光記録)は、該材料の特定の位置(スポット)に光照射を行い、該スポットに存在するフォトクロミック化合物を選択的に構造変化させることによって行われる。光が照射されなかったスポットでは上記構造変化は起こらないため、構造変化が起こったスポットと起こらないスポットのパターンとして情報が記録されることになる。フォトクロミック化合物では、上記構造変化に伴って物性も変化するため、該物性の変化のパターンを読み取ることによって記録された情報を読み取ることができる。フォトクロミック化合物は、前記構造変化によって光の吸収スペクトルが変化することは良く知られており、光記録された情報の読み出しは、吸光度の変化を検知することによって行うことができる。しかしながら吸光度の変化を検知するためには吸収位置に相当する波長の光を照射する必要があり、光記録された情報がこの時(読み出し時)の光照射によって変化してしまう(記録破壊)という問題が起こる。通常は、弱い光を照射して読み出しを行う方法が採用されているが(T.Tsujioka et.al.,Jpn.J.Appl.Phys.,34,6439(1995))、フォトクロミック化合物の光異性化反応は吸収光量に比例して進むため、例え弱い光を照射しても長時間読み出しを続けると光異性化反応(光記録時の逆反応)が誘起されて、前記記録破壊の発生が避けられなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、フォトクロミック材料を信頼性のある光記録として使用するためには、記録破壊を起こさない読み出し方法を開発することが重要である。本発明者等は、光異性化反応を起こさないような方法により、例えば、記録された情報を吸光度以外の物理量の変化として読み出すことができれば、上記問題は解決できると考えた。そして、該物理量として“前記光異性化反応を誘起することのないような長波長領域の光の照射によって検出可能な旋光度”に注目した。
【0005】
従来、フォトクロミック化合物に不斉炭素を導入すると、前記光異性化反応によって該化合物の旋光度が変化することは知られている。即ち、ラウ(H.Rau)らは、不斉炭素を導入したフォトクロミック化合物に光を照射すると旋光度が変化することを報告している(ケミカル レビューズ(Chem.Rev.)、1983年発行、第83巻、第535頁)。しかしながら、このときのナトリウムD線(589.29nm)に対する旋光度の変化量は、比旋光度([α])で表して100度以下と非常に小さいものであり、フォトクロミック化合物の構造変化を誘起しない600nmを越えるよう長波長の光に対する比旋光度の変化量は更に小さいものであった。従って、上記文献に開示されているフォトクロミック化合物を用いて旋光度による読み出しを行ったとしても、記録破壊を起こすさずに精度良く読み出しを行うことはできなかった。
【0006】
即ち、本発明の課題は、フォトクロミック化合物の構造変化を起こさないような長波長領域の光に対して大きな旋光度変化を誘起させる方法を開発し、光記録材料として使用したときに旋光度を検知することにより非破壊読み出しを行うことのできるフォトクロミック材料を創出することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、フォトクロミック化合物に大きな旋光度変化を誘起させる方法について鋭意検討を行った。その結果、分子中にフォトクロミック性を示す有機基を複数有する光学活性な化合物において、光異性化反応に伴い長波長領域の光に対する旋光度が大きく変化するという新たな知見を得て、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、フォトクロミック化合物を使用した光記録材料の特定の位置に光照射を行い、当該特定の位置に存在するフォトクロミック化合物を光異性化反応により選択的に構造変化させて情報の記録を行う情報記録工程、及び前記構造変化に伴う物性の変化のパターンを読み取ることにより記録された情報を読み取る情報読み取り工程を含む情報の記録及び読み取り方法において、前記フォトクロミック化合物として光照射により旋光度変化を生じるフォトクロミック化合物であって分子中にフォトクロミック性を示す有機基を複数有する光学活性フォトクロミック化合物を使用すると共に、情報読み取り工程における情報の読み取りを、前記光異性化反応を誘起しない光の照射によって旋光度の変化を検出することにより行うことを特徴とする方法である。
【0009】
本発明のフォトクロミック材料に光照射を行ったときの633nmの光に対する旋光度の変化量は、比旋光度([α])で1000度を越える場合もあり、前記の“従来の不斉炭素を導入したフォトクロミック化合物”における旋光度の変化量と比べて遥かに大きい。この様な大きな旋光度変化が得られるのは、本発明で使用する光学活性化合物に光を照射して光異性化反応を起こした場合において、分子中に存在する複数のフォトクロミック性を示す基のうち少なくとも2つが構造変化をすると、ある種の励起子相互作用が誘発されるためと推定される。該推定に関して、本発明者等は、後述する参考例に示されるように、フォトクロミック性を示す基を2つ有する光学活性化合物に光照射を行って光異性化反応を行った場合、これら有機基が2つとも構造変化したときに、長波長領域に特異的に大きな旋光度変化が得られることを円二色性(circular dischroism)スペクトル(以下、単に「CDスペクトル」ともいう。)測定によって確認している。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のフォトクロミック材料は、分子中にフォトクロミック性を示す有機基を複数有する光学活性化合物からなる。
【0011】
本発明のフォトクロミック材料に使用される上記化合物は、光学活性(旋光性)部位をもつことが必須である。従って、本発明で使用する光学活性化合物は、分子内に少なくとも1つの不斉炭素を有する必要がある。分子内に不斉炭素が存在しない場合には、光学活性(旋光性)を示さず、光記録された情報を旋光度の変化で読み取ることができない。本発明で使用される光学活性化合物中に含まれる不斉炭素の数および位置は、該化合物が光学活性を示せば特に限定されない。
【0012】
また、本発明で使用される光学活性化合物におけるフォトクロミック性を示す有機基とは、光異性化反応を起こし、該光異性化反応によって可逆的な構造変化を起こす有機基であれば特に制限されないが、ジアリールエテン構造を有する有機基であるのが好ましい。中でも各異性体の化学的、熱的安定性および光異性化反応による構造の変換率が高く、また、光異性化反応の繰り返し耐久性も高いという理由から、ヘテロ5員環をアリール部にもつジアリールエテン構造を有する有機基であるのが好ましく、ベンゾチオフェン及びフェニルチエニル骨格を有するペルフルオロ型のジアリールエテン構造を有する有機基であることが特に好適である。本発明の光学活性化合物の分子中に存在するこれらフォトクロミック性を示す有機基の数は、1分子につき2個以上であれば光異性化反応により大きな旋光度変化が得られる。このとき、本発明で使用される光学活性化合物中に含まれる複数のフォトクロミック性を示す有機基は、互いに同一であることが望ましい。
【0013】
本願発明で使用される前記光学活性化合物の製造方法は、特に限定されるものではないが、次のような方法により好適に製造することができる。即ち、不斉炭素を有する多価の有機基と、該有機基の価数と同数の1価のフォトクロミック性を示す有機基とを結合させる方法により、前記光学活性化合物を好適に製造することができる。ここで、上記の各基を結合させる方法は特に限定されず、例えば、そぞれの基にハロゲン原子並びにホルミル基、アルキルカルボニル基、カルボキシル基およびアミノ等の反応性基を常法により結合させて各種反応性前駆体を合成し、得られた各種反応性前駆体を常法により適宜反応させることにより製造することができる。
【0014】
該方法において不斉炭素を有する多価の有機基およびフォトクロミック性を示す有機基は、反応性前駆体を合成し得るものであれば特に限定されないが、不斉炭素を有する多価の有機基として(1R,2R)−(−)−トランス-ジアミノヘキサン構造を有する2価の有機基を用い、フォトクロミック性を示す有機基としてジアリールエテン構造を有する有機基を用いて製造した光学活性化合物は、光異性化反応により誘起される“長波長領域の光に対する旋光度変化”が大きく特に好適である。該化合物を例に、その合成方法を以下に、詳述する。
【0015】
即ち、上記化合物は、ハロゲン原子並びにホルミル基、アルキルカルボニル基、カルボキシル基およびアミノ等の反応性基を有するジアリールエテン化合物と、上記と同様の反応性基を有する(1R,2R)−(−)−トランスヘキサン化合物とを硫酸マグネシウム、モレキュラーシーブス等の脱水剤及び/またはトリエチルアミン等のハロゲン化水素のトラップ剤の存在下、1,2−ジクロロエタン、メタノール等のそれぞれの化合物を溶解し得る溶媒を用い、室温から180℃で反応させることによって合成することができる。
【0016】
このような方法によって得られた本発明で使用する光学活性化合物は、そのままの形でフォトクロミック材料として使用することも可能であるが、適当なマトリックス中に適宜分散させた状態でフォトクロミック材料として使用するのが好適である。このとき使用されるマトリックスとなる物質(母材)は、本発明で使用する光学活性化合物の光異性化反応を阻害するものでなければ特に限定されないが、透明であり、該光学活性化合物を均一に分散させることが可能で且つ賦形可能なものであることが好ましい。この様な母材としては、エチレングリコールジメタクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート等の熱硬化性樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリスリレンおよびポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。これら母材に本発明で使用する光学活性化合物を分散させる方法は特に限定されず、例えば、母材が熱硬化性樹脂の場合にはモノマーに上記光学活性化合物を分散させた後に重合硬化させる方法が、また、母材が熱可塑性樹脂である場合には、熱可塑性樹脂に上記光学活性化合物を配合し溶融混練する方法等が適宜採用される。これらマトリックスに本発明で使用する光学活性化合物を分散させて使用する場合において、マトリックス中の前記光学活性化合物の濃度は、使用する母材および光学活性化合物の種類および組み合わせに応じて適宜決定すればよいが、一般には100〜300,000ppmの範囲である。また、このときに本発明の効果を損なわない限り、公知の各種添加剤を配合することができる。このような添加剤を例示すれば、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等の一重項酸素クエンチャー、リン酸エステル、亜リン酸エステル等の酸化防止剤剤等が挙げられる。
【0017】
本発明のフォトクロミック材料は、光異性化反応を誘起する光を照射することによりその旋光度が大きく変化するので、該光照射による前記光学活性化合物の構造変化を旋光度の変化として容易に精度良く検知することができる。しかも、この旋光度の変化は、前記光異性化反応を誘起しない波長領域の光を照射して検知することができる。従って、本発明のフォトクロミック材料を光記録材料として使用したとき、記録された情報の読み出しを旋光度の検知によって行えば、該検知時に光異性化反応(光記録時の逆反応)を起こすことはなく、記録破壊を起こさずに読み出しを行うことができる。
【0018】
例えば、後述する実施例1および2の光学活性化合物を光記録材料として使用する場合には、これら化合物の構造変化(光異性化反応)を誘起する光の波長領域は、600nmより短い波長領域であるのに対し、旋光度の変化は例えば633nmの光を照射することにより検知できるので、次のような方法により、光記録および読み出しを行うことができる。即ち、これら光学活性化合物を高分子媒体中に分散させ光記録膜とし、全面を紫外光(波長313nm)照射により着色させ初期化する。ついで該光記録膜にアルゴンレーザーの529nmの光を照射して光記録を行う。記録された情報は、ヘリウムイオンレーザーの633nmの光を上記光記録済みの光記録膜に照射することにより、その旋光度の位置変化を検知することにより行う。633nmには前記着色体は吸収を持たないことから、光異性化反応は起こらないため、非破壊読み出しが達成される。また、記録された情報を消去したい場合には、再び紫外光を全面に照射すればよい。
【0019】
なお、前述したように、本願発明で使用する光学活性化合物においては、該光学活性化合物の分子中に存在する複数のフォトクロミック性を示す基の内少なくとも2つの構造変化により大きな旋光度変化が誘起される。このことは、光強度の強いところでのみ旋光度変化が認められる非線形性をもつことになり、高いコントラストを得ることが可能になる。
【0020】
【発明の効果】
本発明で使用する光学活性化合物は、光異性化反応により特に長波長領域の光に対する旋光度が顕著に変化する。従って、該光学活性化合物からなる本願発明のフォトクロミック材料を光記録材料として使用した場合、上記旋光度の変化を検知することにより記録破壊を起こすことなく、記録された情報を読み出すことが可能となる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0022】
実施例1
窒素雰囲気下、50ml三つ口フラスコに、反応試剤として4−[3−[1−(2−メチルベンゾ[b]チエン−3−イル)−ヘキサフルオロシクロペンテン−2−イル]−2,4−ジメチルチエン−5−イル]ベンゾイックアシッド101mg(1.8×10-4M)、オギザリルクロライド 0.05ml(6.0×10-4M)を、溶媒として1,2−ジクロロエタン5mlを、さらに塩化水素トラップ剤としてトリエチルアミン0.025ml(1.8×10-4M)を加え、室温で1時間撹拌し、60℃で1時間加熱撹拌した。次いで、溶媒を留去した後、1,2−ジクロロエタン5mlと(1R,2R)−(−)−1,2−ジアミノシクロヘキサン10mg(9×10-5M)を加え、室温で6時間撹拌した。その後、炭酸ナトリウム水溶液を加えクロロホルムで抽出し無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、薄層クロマトグラフィー(TLC)により分離精製し下記式で示される化合物(以下、「化合物1」ともいう。)50mgを単離収率47%で得た。
【0023】
【化3】
Figure 0004519206
【0024】
(式中*印は、不斉炭素の位置を示す。)
なお、上記化合物1の構造の決定は、プロトンNMR(1H NMR)および元素分析によって行った。上記化合物1のこれら分析結果は次の通りである。
【0025】
1H NMR分析結果(CDCl3溶媒使用):δ1.23-1.24(m,26H,CH3×6,CH2×4),4.04(br-s,2H,CHN),6.92-7.38(m,8H,aromatic),7.52-7.73(m,8H,aromatic)元素分析結果:C 61.17(重量%);H 4.22(重量%);N 2.44(重量%)。なお、C60H46F12N2O2S4の組成式から計算される理論値は、C 60.90(重量%);H 3.92(重量%);N 2.37(重量%)である。
【0026】
上記化合物1をヘキサンに溶解し、紫外光(波長313nm)を照射した後、633nmでの比旋光度[α]を測定したところ900度の値が得られた。
【0027】
実施例2
窒素雰囲気下、50ml三つ口フラスコに、1−(2−メチルベンゾ[b]チエン−3−イル)−2−[5−(4−ホルミル)フェニル−2,4−ジメチルチエン−3−イル]ヘキサフルオロシクロペンテン200mg(3.73×10-4M)、メタノール 6ml、(1R,2R)−(−)−1,2−ジアミノシクロヘキサン21.3mg(1.97×10-4M)、無水硫酸マグネシウム80mgを加え、室温で12時間撹拌した。その後、反応溶液を濾過し、ゲル浸透グロマトグラフィー(GPC)により分離精製し下記式で示される化合物(以下、「化合物2」ともいう。)210mgを単離収率収率98%で得た。
【0028】
【化4】
Figure 0004519206
【0029】
(式中*印は、不斉炭素の位置を示す。)
なお、上記化合物2の構造の決定は、1H NMRおよび元素分析によって行った。上記化合物2のこれら分析結果は次の通りである。
【0030】
1H NMR分析結果(CDCl3溶媒使用):δ1.23-1.24(m,26H,CH3×6,CH2×4),3.40(br-s,2H,CHN),7.14-7.38(m,8H,aromatic),7.51-7.73(m,8H,aromatic),8.16(br-s,2H,olefinic)
元素分析結果:C 62.62(重量%);H 4.28(重量%);N 2.50(重量%)。なお、C60H46F12N2S4の組成式から計算される理論値は、C 62.60(重量%);H 4.03(重量%);N 2.43(重量%)である。
【0031】
上記化合物2をヘキサンに溶解し、紫外光(波長313nm)を照射した後、633nmでの比旋光度[α]を測定したところ1200度の値が得られた。
【0032】
上記化合物2に紫外線を照射したときに起こる光異性化反応を次式に示す。
【0033】
【化5】
Figure 0004519206
【0034】
紫外線照射前の化合物2は、分子中のジアリールエテン構造を有する2つの基が共に開環体(以下、「2個開環体」ともいう。)であり、紫外線照射によってこれら基の内1つのみが閉環体であるもの(以下、「1個閉環体」ともいう。)および両方の基が閉環体であるもの(以下、「2個閉環体」ともいう。)に変化する。
【0035】
参考例
前記化合物2に紫外光(波長313nm)を照射した後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により1個閉環体と2個閉環体を単離した。2個開環体並びに単離された1個閉環体および2個閉環体をそれぞれヘキサンに溶解し、各々についてCDスペクトルを室温下で測定した(測定装置:日本分光J−700)。その結果を図1に示す。図1に示されるように、2個開環体および1個閉環体では550nm付近にCDスペクトルは現れず、2個閉環体のみ550nm付近にCDスペクトルが現れた。CDスペクトルは旋光分散曲線(比旋光度の波長依存性を示す曲線)と密接な関係が有ることは良く知られており、上記事実は、2個閉環体のみが600nmを越えるような長波長領域においても大きな比旋光度が観測されることを示すものである。実際に、2個開環体および1個閉環体について633nmでの比旋光度を測定したところ、いずれの旋光度も100度以下であった。なお、化合物1についても同様の測定を行ったところ、2個開環体および1個閉環体の633nmにおける比旋光度は、いずれも100度以下であった。
【0036】
また、化合物2に紫外光(波長313nm)を照射した時のCDスペクトルの照射時間依存性を併せて図1に示した。照射初期にはCDスペクトルは現れずS字カーブに沿った生成曲線を示し、化合物2中の2つのジアリールエテン構造を有する基はそれぞれ独立に光異性化反応を起こしていることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、前記化合物2の各種異性体(2個開環体、1個閉環体および2個閉環体)のCDスペクトルである。
【図2】 図2は、前記化合物2(2個開環体)に紫外光を照射したときの556nmにおけるCDスペクトルの経時変化を示すグラフである。

Claims (2)

  1. フォトクロミック化合物を使用した光記録材料の特定の位置に光照射を行い、当該特定の位置に存在するフォトクロミック化合物を光異性化反応により選択的に構造変化させて情報の記録を行う情報記録工程、及び前記構造変化に伴う物性の変化のパターンを読み取ることにより記録された情報を読み取る情報読み取り工程を含む情報の記録及び読み取り方法において、前記フォトクロミック化合物として光照射により旋光度変化を生じるフォトクロミック化合物であって分子中にフォトクロミック性を示す有機基を複数有する光学活性フォトクロミック化合物を使用すると共に、情報読み取り工程における情報の読み取りを、前記光異性化反応を誘起しない光の照射によって旋光度の変化を検出することにより行うことを特徴とする方法。
  2. 下記式
    Figure 0004519206
    {式中、R及びRは、それぞれ独立に、下記式で表される基である(但し、R及びRのいずれにおいても窒素原子が不斉炭素と結合する)。}
    Figure 0004519206
    で示されるビスジアリールエテン化合物。
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