JP3926998B2 - フォトクロミック材料及びそれを用いた光記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なフォトクロミック材料、詳しくはジアリールエテン骨格を繰返単位として有する高分子フォトクロミック材料及びそれを用いた記録層を有す光記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フォトクロミック材料は、光の作用により単一の化学物質が吸収スペクトルの異なる異性体を可逆的に生成する物質であり、一つの異性体に特定波長の光を照射すると結合様式或いは電子状態が変化し、他の異性体に変換し、その結果可視・紫外領域の吸収スペクトルが変化する。そして生成した他の異性体は、別の波長の光により元の異性体へ戻る。この異性体の変換する際に吸収スペクトルが変化することから、この変化を光記録に応用する研究が進められてきている。
光記録媒体に使用するフォトクロミック化合物としては、スピロベンゾピラン系化合物、トリフェニルメタンのロイコ体、フルギド系化合物やジアリールエテン誘導体等の種々の化合物が提案されている。光記録媒体において、これらの化合物を含む記録層を形成する場合、一般的には、必要に応じで加えられるバインダー樹脂と一緒に適当な溶媒に溶解し基板上に塗布し、薄膜を形成することにより行われる。しかしながら、上記のようなフォトクロミック物質の溶解性には問題があるため高濃度の均質な薄膜を形成することが困難であり、また、フォトクロミック物質それ自体でアモルファス膜を形成できる材料は極めて限られていた。
【0003】
一方、光の照射による光構造変化を分子レベルから高分子レベルで行わせるために、光感応基を重合体の主鎖や側鎖、或いは架橋剤として導入することも試みられており、その為に、ビニル基等の重合基を置換基として導入したフォトクロミック材料(単量体)も提案されている(特開平2000-072768)。しかしながら、これらの単量体は、高分子とするためにラジカル重合されており、重合後のフォトクロミック反応部分の劣化、および耐候性の低下を招くおそれがあり、十分な性能を有するものは未だ得られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、上記事情に鑑み、記録層の薄膜形成が容易に行える高分子フォトクロミック材料に関し鋭意検討の結果、ジアリールエテン系化合物のエテン結合部位に特定の置換基を導入した単量体からは、容易に重合体を取得することができ、しかもその重合体から容易に薄膜を形成することができることを見出し本発明に至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、製膜が容易な高分子フォトクロミック材料及びそれを用いた光記録媒体を提供するものであり、その要旨は、下記一般式(I)で示される繰り返し単位を有し、且つ隣接する各単位における一方の単位のBと他方の単位のDとが、該B及びDの複素環基が有する置換フェニル基又は置換ナフチル基において、各々の基が有する−O−若しくは−S−により酸化重合反応で形成される結合鎖(但し、−O−O−結合を除く)により連結してなる高分子フォトクロミック材料、および基板上に、該高分子フォトクロミック材料を含む記録層を有する光記録媒体に存する。
【0006】
【化10】
[式中、環Aは、下記の5員環構造を有する基から選ばれ、B及びDは同一であり、下記の式(II)〜(IV) で示される複素環基のいずれかを表す。
環A:
【化11】
【0007】
複素環基B、D:
【化12】
(上記式(II)〜(IV)において、X及びZは、−NR7−、−S−または−O−を表し、Yは−CR8=または−N=を表す。)
【0008】
また、R1〜R8は、それぞれ下記の意味を表す。
R1:置換基を有していても良い炭素数1〜8の直鎖若しくは分岐状のアルキル基、または置換基を有していても良い炭素数6〜10のアリール基;
R2:炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐状のアルキル基またはアルコキシ基;
R3:下記の置換フェニル基または置換ナフチル基;
【化13】
【0009】
R4、R5、R6:いずれかひとつが下記の置換フェニル基または置換ナフチル基であり、残りの2つは水素原子を表す。
【化14】
R7:水素原子或いは炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐状炭化水素基又は環状炭化水素基 ;
R8: 水素原子またはメチル基;]
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の高分子フォトクロミック材料は、上記一般式(I)で示される繰り返し単位を有するものであり、上記一般式(V)で表される化合物を酸化重合することにより得ることが出来る。
上記一般式(I)及び(V)において環Aは、下記のA-1〜A-3の5員環構造を有する基から選ばれるが、これらの中、特にA-3の基が好ましい。
一般式(I)中、R1は置換基を有していても良い炭素数1〜8の直鎖若しくは分岐状のアルキル基、または置換基を有していても良い炭素数6〜10のアリール基を表し、メチル基、エチル基、n−プロピル基、 i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基が挙げられる、これらの基が有し得る置換基は、例えば−CN、ハロゲン原子、または−NO2である。
【化15】
【0011】
一般式(I)及び(V)において式(II)〜(IV)で表される複素環基B及びD、並びに式(II)’〜(IV)’で表される複素環基B’及びD’としては、以下の例b-1〜b-12が挙げられる。これらの置換チエニル、置換フリル、置換イミダゾリル、置換ベンゾチエニル等の複素環基中、硫黄原子を含むb-1、b-4、b-7、b-10の複素環基が好ましい。尚、下記の複素環基が式(II)’〜(IV)’を表す場合には、R3、R4、R5及びR6はそれぞれ R3a 、R4a、R5a、R6a と読み替えるものとする。
式(II)〜(IV)及び式(II)’〜(IV)’において、R2は炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐状のアルキル基またはアルコキシ基を表し、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、 i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基が挙げられる。
【0012】
【化16】
【0013】
式(II)又は(III) においてR3で示される前記置換フェニル基または置換ナフチル基は、酸素原子または硫黄原子を介して芳香核に結合した置換基を有し、式(II)又は(III)の複素環とは直接連結する。 このR3として好ましい基は、次の基(c)であり、より好ましくは基(d)である。
【化17】
式(II)’又は(III)’におけるR3a 、として好ましい基は、ヒドロキシフェニル基であり、より好ましくは2−ヒドロキシフェニル基である。
【0014】
式(IV) におけるR4、R5及びR6で表される前記置換フェニル基または置換ナフチル基は、酸素原子または硫黄原子を介して芳香核に結合した置換基を有し、式(IV)の環とは直接連結する。 これらR4、R5及びR6は、好ましくはそれらのうちいずれか一つが上記の基(c)であり、他の2つは水素原子である。より好ましくは、いずれか一つが上記の基(d)であり、他の2つは水素原子である。
また、式(IV)’におけるR4a、R5a、R6a は、好ましくはそれらのうちいずれか一つがヒドロキシフェニル基であり、他の2つは水素原子である。 より好ましくは、いずれか一つが2−ヒドロキシフェニル基であり、他の2つは水素原子である。
【0015】
R7で表される炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐状炭化水素基又は環状炭化水素基 としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、 i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素数1〜10のアルキル基;ベンジル基、フェネチル基等の炭素数7〜10のアラルキル基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基等が挙げられる。これらの中、直鎖アルキル基が好ましく、特にメチル基、エチル基、n−プロピル基、 n−ブチル基等の低級アルキル基が好ましい。
【0016】
本発明の一般式(I)で表される繰返単位の具体例としては、以下の構造からなるものが例示される。
【0017】
【化18】
【0018】
【化19】
【0019】
【化20】
【0020】
【化21】
【0021】
【化22】
【0022】
【化23】
【0023】
【化24】
【0024】
【化25】
【0025】
【化26】
【0026】
本発明の一般式(I)で表される繰返単位を有する高分子フォトクロミック材料は、例えば、一般式(V)で示される化合物を酸化重合することにより得ることができる。酸化重合には、触媒と酸素を用いる酸化重合と電気化学的に行われる電解酸化重合があり、本発明の高分子フォトクロミック材料を得るのにはどちらの重合法も使用することができる。前者の重合は、触媒として銅やマンガンイオンのアミン化合物との錯体を使用し、酸素共存下で重合反応を行う。触媒に用いられるアミン化合物としては、ピリジン、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミンなどが挙げられる。触媒量は、モノマー重量に対して0.01wt%〜1wt%が好ましい。重合に使用する溶媒としては、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどが挙げられる。反応温度は25℃〜250℃が好ましい。電解酸化重合は、モノマーを溶解させた溶液中で電解反応させて重合体を得る方法である。
【0027】
本発明の高分子フォトクロミック材料は、フォトクロミズムを阻害しない範囲で一般式(V)の他に共重合成分を含んでいてもよいが、通常、他の共重合モノマーを含むと本発明のフォトクロミック材料のフォトクロミズムは低下する傾向があるので、高分子フォトクロミック材料としては、一般式(I)の繰返単位のみからなるものが好ましい。また、一分子中に一般式(I)で表される繰返単位の複数種を含んでいても良い。
更に、本発明の 高分子フォトクロミック材料のポリスチレン換算重量平均分子量は、好ましくは1,000〜100,000であり、より好ましくは10,000〜80,000である。
【0028】
本発明の光記録媒体は、基板上に、本発明の一般式(I)で表される繰返単位を有する高分子フォトクロミック材料を含む記録層を形成することにより得ることが出来る。基板は、使用する光に対し透明でも不透明であってもよく、通常使用されているものから適宜選ばれる。基板の具体的な材質としては、ガラス、プラスチック、紙、板状又は箔状のアルミニウム等の金属が挙げられるが、これらの中、プラスチックが種々の点から好適である。プラスチックとしては、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、ニトロセルロース、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリサルホン樹脂等が挙げられる。
【0029】
基板上への記録層の形成は、本発明の高分子フォトクロミック材料を、必要に応じバインダー樹脂と共に適当な溶媒に溶解し、ドクターブレード法、キャスト法、スピナー法、浸漬法等の手段により、膜厚2nm〜50μm、好ましくは10nm〜30μmの薄膜となるように塗布する。使用するバインダー樹脂としては、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン油脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル系樹脂などが挙げられるが、バインダー樹脂の使用は、一般的にジアリールエテン構造の濃度低下をもたらすため、好ましくは重量比で 本発明の高分子フォトクロミック材料と同量以下、より好ましくは半量以下で使用され、バインダー樹脂を使用しないのが最も望ましい。
また、溶媒としてはトルエン、キシレン、クロロベンゼン、メチルエチルケトン、エチルアセテートなどが挙げられる。
【0030】
成膜された記録層中における本発明の高分子フォトクロミック材料の含有量は、特に制限されるものではないが、該物質の吸光度や発光の強度等を考慮して適宜決められる。記録層は、基板の片面だけに設けても両面に設けても良い。又、記録層の上には、耐候性を向上させる目的で紫外線硬化樹脂等の保護膜を設けることも出来る。
本発明の光記録媒体への記録は、基板上に設けられた記録層に収束した光を当てることによりおこなわれる。光を照射された部分は、光エネルギーの吸収により、結合様式に変化が生じ情報が記録される。記録された情報の再生は、光により結合様式に変化が生じた部分と生じない部分の吸光度又は反射率の違いを読みとることにより行うことができる。
【0031】
【実施例】
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
以下に示す本発明の高分子フォトクロミック材料を合成する経路の概略を図1に示す。尚、下記の例中の化合物番号は、図1の化合物番号に対応する。
【0032】
合成例1
2,4−ジメチルチオフェン(3)の合成
【化27】
アルゴン雰囲気下、3−メチルチオフェン(2)10.0g(0.102 mol)、乾燥TMEDA(N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン)18.4g(0.122 mol)、乾燥エーテル150mlを500mlの四つ口フラスコに入れ撹拌した。氷水で0℃付近まで冷却し、1.6N n-BuLiヘキサン溶液76.3ml(0.122 mol)をゆっくり加えた後、三時間室温で撹拌を行った。再び0℃付近まで徐々に冷却し、乾燥エーテル15mlにヨウ化メチル(MeI)を7.6ml(0.122 mol)加えた混合液をゆっくり加えた後、終夜撹拌した。反応混合液を冷水に入れ、塩酸を加えた。エーテルを用いて抽出を行った。エーテルを留去後、減圧蒸留を行い無色透明のオイル2,4−ジメチルチオフェン(3)を得た。(75mmHg、65℃)
収量 8.49g 収率74.2%
1H−NMR(400 MHz、CDCl3) δ=2.19(s,3H)、2.44(s,3H)、6.57(s,1H)、6.64ppm(s,1H)
【0033】
合成例2
2,4−ジブロモ−3,5−ジメチルチオフェン(4)の合成
【化28】
500mlの三つ口フラスコに2,4−ジメチルチオフェン(3)を5.00g(44.6mmol)と酢酸225mlと水25mlを加えて撹拌した。氷水で冷却後、臭素4.6ml(89.2mmol)を加えた。約10℃で30分間撹拌し、その後室温で終夜撹拌した。炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液で中和後、チオ硫酸ナトリウム水溶液を加えた。エーテルで抽出を行った。エーテルを留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(WakoC−300)で展開溶媒ヘキサンにて、無色透明のオイル2,4−ジブロモ−3,5−ジメチルチオフェン(4)を単離した。
収量 6.57g 収率54.6%
1H−NMR(400 MHz、CDCl3) δ=2.18(s,3H)、2.34ppm(s,3H)
【0034】
合成例3
2−(メトキシメトキシ)-1-ヨウ化ベンゼン(8)の合成
【化29】
アルゴン雰囲気下、2−ヨウ化フェノール(7)5.00g(23.0mmol)を乾燥THF10mlに溶解し50mlの三つ口フラスコに入れ、−70℃に冷却した。1.6N n-BuLiヘキサン溶液14.4ml(23.0mmol)をゆっくり加えた後、クロロメチルメチルエーテルを1.87ml(23.0mmol) 加えた。炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、エーテルを留去し、2−(メトキシメトキシ)-1-ヨウ化ベンゼン(8)を得た。
収量 5.93g 収率99.0%
1H−NMR(400 MHz、CDCl3) δ=3.52(s,3H)、5.25(s,2H)、6.76(t,1H,J=1.2Hz)、7.03-7.09(m,2H)、7.79ppm(d,1H,J=7.8Hz)
【0035】
合成例4
3-ブロモ-2,4-ジメチル-5-[o-(2-オキサプロポキシ)フェニル]チオフェン(5)の合成
【化30】
アルゴン雰囲気下、2,4−ジブロモ−3,5−ジメチルチオフェン(4)8.27g(30.6mmol)を乾燥THF50mlに溶かして、200mlの三つ口フラスコに入れ、−60℃に冷却した。1.6N n-BuLiヘキサン溶液19.1ml(30.6mmol)を加えた後、一時間撹拌した。B(OCH3)(ホウ酸トリメチル)3.98ml(38.3mmol)を加え、一時間撹拌した後、室温まで戻した。2−(メトキシメトキシ)-1-ヨウ化ベンゼン(8)5.93g(22.5mmol)をTHF約2mlに溶かして加え、20w/w%Na2CO3水溶液30gを加えた。[(C6H5)3P]4Pd(O)(テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム)0.1gを加え、約3時間激しく撹拌し加熱還流した。その後、エーテルで抽出を行った。エーテルを留去後、ヘキサンに再度溶解させ、数時間放置して結晶化させ、吸引濾過により無色透明の結晶3-ブロモ-2,4-ジメチル-5-[o-(2-オキサプロポキシ)フェニル]チオフェン(5)を得た。
収量 3.51g 収率35.1%
m.p. 84.1-85.3℃
MSm/z328(M+)
1H−NMR(400 MHz、CDCl3) δ=2.10(s,3H)、2.43(s,3H)、3.43(s,3H)、5.15(s,2H)、7.04(t,1H,J=7.4Hz)、7.21-7.24(m,2H)、7.31ppm(t,1H,J=6.8Hz)
【0036】
合成例5
1,2-ビス[2,4-ジメチル-5-[o-(2-オキサプロポキシ)フェニル]3-チエニル]ヘキサフルオロシクロペンテン(6)の合成
【化31】
アルゴン雰囲気下、3-ブロモ-2,4-ジメチル-5-[o-(2-オキサプロポキシ)フェニル]チオフェン(5)を2.60g(7.97mmol)と乾燥THF15mlを50mlの三つ口フラスコに入れ、−60℃に冷却した。1.6N n-BuLiヘキサン溶液4.97ml(7.95mmol)を加え30分撹拌後、0℃に冷却したTHF10mlにペルフルオロシクロペンテンを0.3ml加え、それをゆっくり加えた。反応終了後、エーテルで抽出を行った。エーテルを留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(WakoC−300)で、展開溶媒ヘキサン:酢酸エチル9:1の混合溶液を用いて分離させ、白色の結晶1,2-ビス[2,4-ジメチル-5-[o-(2-オキサプロポキシ)フェニル]3-チエニル]ヘキサフルオロシクロペンテン(6)を得た。
収量 0.64g 収率24.1%
m.p. 116.5-120.4℃
MSm/z668(M+)
1H−NMR(400 MHz、CDCl3) δ=1.92(s,6H)、2.35(s,6H)、3.31(s,6H)、5.01(s,4H)、7.03(t,2H,J=7.5Hz)、7.16(d,2H,J=8.3Hz)、7.21(d,2H,J=7.6Hz)、7.30ppm(t,2H,J=6.9Hz)
【0037】
合成例6
1,2-ビス[2,4-ジメチル-5-[o-(2-ヒドロキシ)フェニル]3-チエニル]ヘキサフルオロシクロペンテン(1)
【化32】
メタノール15ml中に、1,2-ビス[2,4-ジメチル-5-[o-(2-オキサプロポキシ)フェニル]3-チエニル]ヘキサフルオロシクロペンテン(6)を0.13g(0.19mmol)溶解し、濃塩酸を5滴ほど加えて、15分間62℃で加熱還流を行った。100mlのエーテルで抽出を行い、室温まで放冷後、エーテルを留去し、白色の結晶1,2-ビス[2,4-ジメチル-5-[o-(2-ヒドロキシ)フェニル]3-チエニル]ヘキサフルオロシクロペンテン(1) を得た。
得られた化合物(1)のヘキサン溶液における吸収スペクトルを図2に示す。また、該化合物の赤外吸収スペクトルを図4に示す。
収量 0.09g 収率81.8%
m.p. 93.5−94.9℃
MSm/z580(M+)
1H−NMR(400 MHz、CDCl3) δ=1.82(s,6H)、2.35(s,6H,a-p)、1.88(s,6H,p)、2.36(s,6H,a-p)、2.42(s,6H,p)、6.93-7.00ppm(m,8H)
【0038】
実施例
ジアリールエテン誘導体[上記化合物(1)]の酸化重合
【化33】
ジアリールエテン誘導体と臭化銅、TMEDA(N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン)をo−ジクロロベンゼンに溶かし、激しく酸素を通しながら85℃で100分間加熱還流を行った。得られた重合体(9)を再沈殿させ吸引濾過後、クロロホルムに溶解し、溶液キャスティングを行い膜を作成した。得られた膜に紫外光を照射するとフォトクロミズムを示した。その膜の反射スペクトルを測定し、スペクトルを図3に示す。
また、得られた重合体(9)の赤外吸収スペクトルを図5に示す。
図4と図5より、化合物(1)に存在した水酸基由来の3350cm-1付近のピークが、上記酸化重合反応後には消失しており、重合体が生成していることが確認された。
【0039】
【発明の効果】
本発明の高分子フォトクロミック材料は、記録層の薄膜形成を容易に行うことができ、またこの物質はジアリールエテン系化合物のエテン結合部位に特定の置換基を導入した単量体から容易に取得すること出来るので、光記録媒体の形成に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高分子フォトクロミック材料の合成経路の概略を示す図である。
【図2】合成例6で得られた化合物(1)のヘキサン溶液における吸収スペクトルを示す。
【図3】実施例で得られた重合体(9)を用いた薄膜の紫外光による反射スペクトルを示す。
【図4】 合成例6で得られた化合物(1)の赤外吸収スペクトルを示す。
【図5】 実施例で得られた重合体(9)の赤外吸収スペクトルを示す。
Claims (7)
- 下記一般式(I)で示される繰り返し単位を有し、且つ隣接する各単位における一方の単位のBと他方の単位のDとが、該B及びDの複素環基が有する置換フェニル基又は置換ナフチル基において、各々の基が有する−O−若しくは−S−により酸化重合反応で形成される結合鎖(但し、−O−O−結合を除く)により連結してなる高分子フォトクロミック材料。
環A:
また、R1〜R8は、それぞれ下記の意味を表す。
R1:置換基を有していても良い炭素数1〜8の直鎖若しくは分岐状のアルキル基、または置換基を有していても良い炭素数6〜10のアリール基;
R2:炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐状のアルキル基またはアルコキシ基;
R3:下記の置換フェニル基または置換ナフチル基;
R8:水素原子またはメチル基;] - 上記一般式(I)において、複素環基B及びDが式(II)で表される5員環構造の基であることを特徴とする請求項1記載の高分子フォトクロミック材料。
- ポリスチレン換算重量平均分子量が、1,000〜100,000であることを特徴とする請求項1又は2記載の高分子フォトクロミック材料。
- 下記一般式(V)で表される化合物を酸化重合することにより得られることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の高分子フォトクロミック材料。
複素環基B’、D’:
また、R2、R7、R8及びR3a〜R6aは、それぞれ下記の意味を表す。
R2:上記一般式(I)におけると同義を表す;
R3 a :下記のヒドロキシ基若しくはメルカプト基で置換されたフェニル基またはヒドロキシ基若しくはメルカプト基で置換されたナフチル基;
- 上記一般式(V)において、B’及びD’が式(II)’で表される5員環構造の基であることを特徴とする請求項4記載の高分子フォトクロミック材料。
- 上記一般式(I)及び(V)において、R1が有し得る置換基は、−CN、ハロゲン原子、または−NO2であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項記載の高分子フォトクロミック材料。
- 基板上に、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の高分子フォトクロミック材料を含む記録層を有することを特徴とする光記録媒体。
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