JP6007798B2 - ホログラム記録媒体用組成物及びこれを用いたホログラム記録媒体 - Google Patents
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Description
中でも、干渉縞間隔に対して膜厚が十分に厚い(通常は干渉縞間隔の5倍以上、又は1μm以上程度の膜厚を有する)ホログラムを体積型ホログラムという。なお、膜厚が大きい方が膜厚方向に記録を行えるために、高密度での記録が可能である。公知の体積型ホログラム記録材料の例としては、湿式処理や漂白処理が不要なライトワンス形式があり、その組成としては、樹脂マトリックスに光活性化合物を相溶させたものが一般的である。例えば、樹脂マトリックスに、光活性化合物として、ラジカル重合やカチオン重合可能なモノマーを組み合わせたフォトポリマー方式が挙げられる(例えば特許文献1参照)。
以上に鑑み、本発明の課題は、記録特性に優れ、保存による記録特性の変化が少なく、
保存安定性に優れたホログラム記録媒体用組成物及びこれを用いたホログラム記録媒体を提供することにある。
本発明の要旨は、イソシアネート基を有する化合物、イソシアネート反応性官能基を有する化合物、重合性モノマー、縮合環を有するオキシムエステル系光重合開始剤、及び、ジルコニウム系触媒を含有することを特徴とする、ホログラム記録媒体用組成物に存する。
本発明の別の要旨は、記録層に上述のホログラム記録媒体用組成物を用いたことを特徴とする、ホログラム記録媒体に存する。
1.ホログラム記録媒体用組成物
本発明のホログラム記録媒体用組成物は、
(1)イソシアネート基を有する化合物(以下、「成分(1)」と記載することがある。)、
(2)イソシアネート反応性官能基を有する化合物(以下、「成分(2)」と記載することがある。)、
(3)重合性モノマー(以下、「成分(3)」と記載することがある。)、
(4)縮合環を有するオキシムエステル系光重合開始剤(以下、「成分(4)」と記載することがある。)、
(5)ジルコニウム系触媒(以下、「成分(5)」と記載することがある。)を含有することを特徴とする。
以下、それぞれについて説明する。
イソシアネート基を有する化合物は、後述のジルコニウム系触媒(成分(5))の存在下で、イソシアネート反応性官能基を有する化合物(成分(2))と反応し、樹脂マトリックスを構成する。
シアネート基の割合が上記の上限値より少ない場合には、ホログラム記録媒体とした際に濁りが生じにくくなり、光学的均一性が得られる。また、上記割合が下限値より多いことで樹脂マトリックスの硬度やガラス転移温度が高くなり、記録の消失を防ぐことができる。本発明におけるイソシアネート基の割合は、使用するイソシアネート基を有する化合物の全体の中のイソシアネート基の割合を示す。
42(イソシアネート基の分子量)×イソシアネート基の数/イソシアネート基を有する化合物の分子量×100
イソシアネート基を有する化合物の種類に特に制限はなく、例えば芳香族、芳香脂肪族、脂肪族、又は脂環式の骨格を有し得る。また、イソシアネート基を有する化合物は分子内にイソシアネート基を1つ有するものであってもよく、2つ以上有するものであってもよいが、2つ以上有することが好ましい。分子内に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物及び分子内に3つ以上のイソシアネート反応性官能基を有する化合物、又は分子内に3つ以上のイソシアネート基を有する化合物及び分子内に2つ以上のイソシアネート反応性官能基を有する化合物で得られる三次元架橋マトリックスによれば、優れた記録保持性を有する記録層を得ることができる。
上記の中でも着色し難いため、脂肪族のものが好ましい。
本発明におけるイソシアネート反応性官能基を有する化合物とは、イソシアネート基を有する化合物との鎖延長反応に関与する活性水素(イソシアネート反応性官能基)を有する化合物のことである。イソシアネート反応性官能基としては例えば、水酸基、アミノ基、メルカプト基が挙げられる。イソシアネート反応性官能基を有する化合物は分子内にイソシアネート反応性官能基を1つ有するものであってもよく、2つ以上を有するものであってもよいが、2つ以上有することが好ましい。なお、2つ以上のイソシアネート反応性官能基を有する場合には、1つの分子に含まれるイソシアネート反応性官能基は1種類であってもよく、また複数種類であってもよい。イソシアネート反応性官能基を有する化合物の平均的な分子量は、数平均分子量で通常50以上であり、好ましくは100以上、より好ましくは150以上である。また、通常50000以下であり、10000以下、より好ましくは5000以下である。イソシアネート反応性官能基を有する化合物の平均的
な分子量が上記の下限値以上の場合では、架橋密度が下がり、記録速度の低下を防止することができる。また、イソシアネート反応性官能基を有する化合物の平均的な分子量が上記の上限値以下の場合では、他成分との相溶性が向上したり、架橋密度が上がるために、記録内容の消失を防止することができる。
水酸基を有する化合物は1分子中に水酸基を1つ以上有するものであればよいが、2つ以上の水酸基を有するものが好ましい。その例として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類;ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、テトラメチレングリコール等のジオール類;ビスフェノール類、又はこれらの多官能アルコールをポリエチレンオキシ鎖やポリプロピレンオキシ鎖で修飾した化合物;グリセリン、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、ペンタントリオール、ヘキサントリオール、デカントリオール等のトリオール類などのこれらの多官能アルコールをポリエチレンオキシ鎖やポリプロピレンオキシ鎖で修飾した化合物;多官能ポリオキシブチレン;多官能ポリカプロラクトン;多官能ポリエステル;多官能ポリカーボネート;多官能ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。これらは何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
アミノ基を有する化合物は1分子中にアミノ基を1つ以上有するものであればよいが、2つ以上のアミノ基を有するものが好ましい。その例としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族アミン;イソホロンジアミン、メンタンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンなどの脂環族アミン;m−キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミンなどの芳香族アミン;等が挙げられる。これらは何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
メルカプト基を有する化合物は1分子中にメルカプト基を1つ以上有するものであればよいが、2つ以上のメルカプト基を有するものが好ましい。その例としては、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、1,10−デカンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,9−ノナンジチオール、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン等が挙げられる。これらは何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
重合性モノマーとは後述の光重合開始剤によって重合され得る化合物をいう。本発明のホログラム記録媒体用組成物に使用される重合性モノマーの種類は特に制限されず、公知の化合物の中から適宜選択することが可能である。重合性モノマーの例としては、カチオン重合性モノマー、アニオン重合性モノマー、ラジカル重合性モノマー等が挙げられる。これらは、何れを使用することもでき、また二種以上を併用してもよい。ただし、イソシアネート基を有する化合物及びイソシアネート反応性官能基を有する化合物がマトリックスを形成する反応を阻害しにくいという理由から、ラジカル重合性モノマーを使用することが好ましい。
カチオン重合性モノマーの例としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物、オキソラン化合物、環状アセタール化合物、環状ラクトン化合物、チイラン化合物、チエタン化合物、ビニルエーテル化合物、スピロオルソエステル化合物、エチレン性不飽和結合化合物、環状エーテル化合物、環状チオエーテル化合物、ビニル化合物等が挙げられる。上記のカチオン重合性モノマーは、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
アニオン重合性モノマーの例としては、炭化水素モノマー、極性モノマー等が挙げられる。
炭化水素モノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレン、ビニルピリジン、ビニルアントラセン、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
極性モノマーの例としては、メタクリル酸エステル類、アクリル酸エステル類、ビニルケトン類、イソプロペニルケトン類、その他の極性モノマーなどが挙げられる。
上記例示のアニオン重合性モノマーは、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ラジカル重合性モノマーの例としては、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエステル類、ビニル化合物、スチレン類、スピロ環含有化合物等が挙げられる。上記例示のラジカル重合性モノマーは、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。なお、本明細書において、メタクリル及びアクリルの総称を(メタ)アクリルと記載する。
上記の中でも、ラジカル重合する際の立体障害の点から(メタ)アクリロイル基を有する化合物がより好ましい。
本発明のホログラム記録媒体用組成物に用いる重合性モノマーは、通常分子量が80以上であり、好ましくは150以上、より好ましくは300以上、より好ましくは400以上である。また、通常3000以下であり、好ましくは2500以下、より好ましくは2000以下である。分子量が上記の下限値以上であることで、ホログラムの情報記録時の光照射の重合に伴う収縮率を小さくすることができる。また分子量が上記の上限値以下であることで、ホログラム記録媒体用組成物を用いた記録層中での重合性モノマーの移動度が高く、拡散が起こりやすくなり、十分な回折効率を得ることができる。
上記重合性モノマーは、ホログラム記録媒体への照射光波長(記録波長等)における屈折率が通常1.50以上、好ましくは1.52以上、さらに好ましくは1.55以上であり、通常1.80以下、好ましくは1.78以下である。屈折率が過度に小さくないことで、十分な回折効率となり、十分な多重度が得られる傾向にある。また、屈折率が過度に大きくないことで,樹脂マトリックスとの屈折率差が大きくなりすぎず、適当な散乱とな
ることで、記録や再生に際して過剰なエネルギーを要さない傾向にある。なお、屈折率は短波長で評価すると大きい値を示すが、短波長で相対的に大きい屈折率を示すサンプルは、長波長でも相対的に大きい屈折率を示し、その関係が逆転することはない。従って、記録波長以外の波長で屈折率を評価し、記録波長での屈折率を予測することも可能である。
なお、これらの化合物は溶媒やマトリックスへの溶解性を確保するために、分子内に含まれる複素環構造中のヘテロ原子は2個以下であることが好ましい。2個以下であることで、溶解性が向上し、均一な記録層を得ることができる。また、分子内の複素環の構造規則性が高いとスタッキングによる着色や溶解性低下が起こる場合があることから、中でも2以上の環が縮合したヘテロアリール基であることがより好ましい。
上記(式a)で表される化合物としては、例えば、2−(1−チアンスレニル)−1−フェニル(メタ)アクリレート、2−(2−ベンゾチオフェニル)−1−フェニル(メタ)アクリレート、2−(4−ジベンゾフラニル)−1−フェニル(メタ)アクリレート、2−(4−ジベンゾチオフェニル)−1−フェニル(メタ)アクリレート、3−(3−ベンゾチオフェニル)−1−フェニル(メタ)アクリレート、3−(4−ジベンゾフラニル)−1−フェニル(メタ)アクリレート、3−(4−ジベンゾチオフェニル)−1−フェニル(メタ)アクリレート、4−(1−チアンスレニル)−1−フェニル(メタ)アクリレート、4−(4−ジベンゾチオフェニル)−1−フェニル(メタ)アクリレート、2,4−ビス(1−チアンスレニル)−1−フェニル(メタ)アクリレート、2,4−ビス(2−ジベンゾチオフェニル)−1−フェニル(メタ)アクリレート、2,4−ビス(3−ベンゾチオフェニル)−1−フェニル(メタ)アクリレート、2,4−ビス(4−ジベンゾフラニル)−1−フェニル(メタ)アクリレート、2,4−ビス(4−ジベンゾチオフェニル)−1−フェニル(メタ)アクリレート、4−メチル−2,6−ビス(1−チアンスレニル)−1−フェニル(メタ)アクリレート、4−メチル−2,6−ビス(2−ベンゾチオフェニル)−1−フェニル(メタ)アクリレート、4−メチル−2,6−ビス(3−ベンゾチオフェニル)−1−フェニル(メタ)アクリレート、4−メチル−2,6−ビス(4−ジベンゾフラニル)−1−フェニル(メタ)アクリレート、4−メチル−2,6−ビス(4−ジベンゾチオフェニル)−1−フェニル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
上記重合性モノマーは、ホログラムの記録波長における、モル吸光係数が100L・mol−1・cm−1以下であることが好ましい。モル吸光係数が100L・mol−1・cm−1以下であることにより、媒体の透過率が低くなることを防ぎ、厚みに対して十分な回折効率を得ることができる。
本発明の縮合環を有するオキシムエステル系化合物は、光重合開始剤として機能するものである。
光重合開始剤とは、光によって化学反応を起こすカチオン、アニオン、ラジカルを発生するものをいい、上述の重合性モノマーの重合に寄与する。光重合開始剤の種類は特に制限はなく、重合性モノマーの種類等に応じて適宜選択することができる。
光重合開始剤の全量に対して、縮合環を有するオキシムエステル系光重合開始剤を0.003質量%以上用いることが好ましく、より好ましくは0.03質量%以上、さらに好ましくは0.05質量%以上である。
を構成する他の成分と混合でき、他の成分の反応を阻害しないかぎり限定されない。
具体的には、下記式(d)で表される構造を有するものが好ましい。
縮合環を有する基としては、光重合開始剤の吸収波長の調整のしやすさから、置換基を有してもよい一価の縮合環基、又は置換基を有してもよい縮合環が>C=N−O−と縮合環との共役を維持する二価の置換基と結合した基が好ましい。
ケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アルキニルチオ基、それぞれ置換基を有してもよい、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロアリールアミノ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基などが挙げられる。
5の整数を表す)などが挙げられる。
なお、以下の記載において、置換基を有してもよい場合におけるその置換基には、縮合環が有してもよい置換基として例示した置換基が好ましく用いられる。
は1〜5の整数を表す)などが挙げられる。
これらの中でもXとしては、一価の縮合複素環基、又は縮合複素環とカルボニル基とが結合した基が好ましい。
二価の有機基の炭素数は、通常1以上20以下である。二価の有機基としては、置換基を有してもよい二価の炭化水素基が好ましい。
置換基を有してもよい二価の炭化水素基としては、置換基を有してもよい炭素数1以上20以下のアルキレン基、−(CH=CH)a−、−(C≡C)a−、又はこれらの組み合わせ(aは1以上5以下の整数を示す)からなる二価の基が好ましい。
R1は一価の有機基である。
一価の有機基の炭素数は、通常1以上40以下である。有機基としては、以下の式(d−1)又は式(d−2)で示される置換基が好ましく挙げられる。
式(d−1)において、R21は、ヘテロ原子を有してもよい炭化水素基を表す。炭素数は限定されないが、通常1以上、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、通常40以下、好ましくは30以下、より好ましくは25以下である。
R2は一価の有機基である。
一価の有機基の炭素数は通常1以上40以下である。有機基としては、ヘテロ原子を有してもよい炭化水素基、以下の式(d−3)、式(d−4)、式(d−5)、式(d−6)で表される基、−O−N=CR3R4又は−N(OR3)−OCOR4で表される基が好ましい。
式(d−2)において、Uは硫黄又は酸素である。
R22はヘテロ原子を有してもよい炭化水素基を表す。炭素数は限定されないが、通常1以上、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、通常40以下、好ましくは30以下、より好ましくは25以下である。炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基のいずれでもよい。脂肪族炭化水素基としては、鎖状炭化水素基及び環状炭化水素基のいずれでもよく、飽和脂肪族炭化水素基でも不飽和脂肪族炭化水素基でもよい。ヘテロ原子としては、硫黄、酸素、及び/又は窒素が好ましく、硫黄又は酸素がより好ましく、酸素が更に好ましい。具体的には例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルチオアルキル基、アルキルオキシアルキル基などが挙げられる。
式(d−3)において、R23およびR24はヘテロ原子を有してもよい炭化水素基を表す。炭素数は限定されないが、通常1以上、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、通常40以下、好ましくは30以下、より好ましくは25以下である。炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基のいずれでもよい。脂肪族炭化水素基としては、鎖状炭化水素基及び環状炭化水素基のいずれでもよく、飽和脂肪族炭化水素基でも不飽和脂肪族炭化水素基でもよい。ヘテロ原子としては、硫黄、酸素、及び/又は窒素が好ましく、硫黄又は酸素がより好ましく、酸素が更に好ましい。具体的には例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、ヘテロアリール基などが挙げられる。
式(d−3)で表される基として炭素数1以上20以下のアミノ基が好ましく例示される。
式(d−4)において、Tは硫黄又は酸素である。
R25はヘテロ原子を有してもよい炭化水素基を表す。炭素数は限定されないが、通常1以上、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、通常40以下、好ましくは30以下、より好ましくは25以下である。
リールチオカルボニル基、及び炭素数3〜12のヘテロアリールチオカルボニル基が好ましく例示される。
式(d−5)において、R26およびR27はヘテロ原子を有してもよい炭化水素基を表す。炭素数は限定されないが、通常1以上、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、通常40以下、好ましくは30以下、より好ましくは25以下である。炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基のいずれでもよい。脂肪族炭化水素基としては、鎖状炭化水素基及び環状炭化水素基のいずれでもよく、飽和脂肪族炭化水素基でも不飽和脂肪族炭化水素基でもよい。ヘテロ原子としては、硫黄、酸素、及び/又は窒素が好ましく、硫黄又は酸素がより好ましく、酸素が更に好ましい。具体的には例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、ヘテロアリール基などが挙げられる。
式(d−5)で表される基として炭素数1以上20以下のアミノカルボニル基が好ましく例示される。
縮合環を有するオキシムエステル系重合開始剤の具体例としては、1-[9-エチルー(6-ジフェニルアミノ)ー9H−カルバゾールー3−イル]−2−(O−アセチルオキシ
ム)−1,2−ヘキサンジオン、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバソール−3−イル]−2−(O−アセチルオキシム)エタノン、1−[9−エチルー(6−ベンゾイル)−9H−カルバゾールー3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)エタノン、1−[9−エチルー6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾールー3−イル]−1−(O−クロロアセチルオキシム)グルタル酸メチル、1−(9−エチルー9H−カルバゾールー3−イル)−2−(O−アセチルオキシム)−3,3−ジメチルー1,2−ブタンジオン、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバソール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)グルタル酸エチル、1−[9−エチルー6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾールー3−イル]-1-(O
ーアセチルオキシム)−3−フェニルー1,2−プロパンジオン、1−[9−(2−エチ
ルへキサン)ー6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾールー3−イル]-1-(
Oーアセチルオキシム)−3−フェニルー1,2−ブタンジオン、1−(9−エチル−9
H−カルバゾールー3−イル)-1-(Oーアセチルオキシム)−3−ジメチルー1,2−プロパンジオン、1−[9−エチルー6−(3−メチルフェニル)−9H−カルバゾールー3−イル]-2-(Oーアセチルオキシム)−3−フェニルー1,2−プロパンジオン、1−[9−(2−エチルへキシル)−9H−カルバゾールー3−イル]-2-(Oーチオフェン
−2−イルーカルボキシオキシム)−3−フェニルー1,2−プロパンジオン、1−(9
−エチルー9H−カルバゾールー3−イル)−4−(2,6−ジイソブトキシ)フェニルー3−(O−アセチルオキシム)−2−ブテン、1−(9−エチルー9H−カルバゾールー3−イル)−2−(O−3−チオフェニルメチルカルボキシオキシム)−1,2−ヘキ
サンジオン、1−[9−エチルー(6−ジフェニルアミノ)ー9H−カルバゾールー3−イル]―1−(2−メトキシフェニル)−1−(O−アセチルオキシム)メタノン、6−(9−エチルー9H−カルバゾールー3−イル)−2−(O−ブトキシカルボニルオキシム)−1,2−ヘキサンジオン、1−[9−エチルー6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾールー3−イル]-1-(Oーベンゾイルオキシム)グルタル酸メチル、1−(9−エチル−9H−カルバゾール−3−イル)−1−(O−アセチルオキシム)−4−フェニル―1,2−ブタンジオン、1−[7−(2−メチルベンゾイル)−チオキサントン−2−イル] −2−(O−アセチルオキシム)エタノン、1−[7−(2−メチルベン
ゾイル)−チオキサントン−2−イル]−1−(O−アセチルオキシム)グルタル酸エチル、1−(チオキサントンー2−イル)-1-(Oーアセチルオキシム)−3−フェニルー1
,2−ブタンジオン、1−(チオキサントンー2−イル)−4−(2,6−ジイソブトキシ)フェニルー3−(O−アセチルオキシム)−2−ブテン、1−(チオキサントンー2−イル)-2-(Oーチオフェン−2−イルーカルボキシオキシム)−3−フェニルー1,2
−プロパンジオン、もしくは特開2010−8713号公報、特開2009−271502号公報に記載の化合物などが挙げられる。
光重合開始剤として、上記オキシムエステル系光重合開始剤以外の光重合開始剤を併用することができる。例えば、下記のカチオン光重合開始剤、アニオン光重合開始剤、及びラジカル光重合開始剤は、使用する重合性モノマーに対応するものであれば、何れを使用することもできる。これらは何れかを単独で、又は二種以上を併用してもよい。
また、光重合開始剤としては、特に記録波長におけるモル吸光係数が1000L・mol−1・cm−1以下である化合物がより好ましい。モル吸光係数が1000L・mol−1・cm−1以下であることにより、十分な回折効率を得られる量を混合した場合に生じる、記録波長におけるホログラム記録媒体の透過率の低下を抑制することができる。
カチオン光重合開始剤は、公知のカチオン光重合開始剤であれば、何れを用いることも可能である。例としては芳香族オニウム塩等が挙げられる。具体例としては、SbF6 −、BF4 −、AsF6 −、PF6 −、CF3SO3 −、B(C6F5)4 −等のアニオン成分と、ヨウ素、硫黄、窒素、リン等の原子を含む芳香族カチオン成分とからなる化合物が挙げられる。中でも、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルフォニウム塩等が好ましい。上記例示したカチオン光重合開始剤は、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
アニオン光重合開始剤は、公知のアニオン光重合開始剤であれば、何れを用いることも可能である。例としてはアミン類等が挙げられる。アミン類の例としては、ジメチルベンジルアミン、ジメチルアミノメチルフェノール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等のアミノ基含有化合物、及びこれらの誘導体;イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、及びその誘導体;等が挙げられる。上記例示したアニオン光重合開始剤は、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ラジカル光重合開始剤は、公知のラジカル光重合開始剤であれば、何れを用いることも
可能である。例としては、ホスフィンオキシド化合物、アゾ化合物、アジド化合物、有機過酸化物、有機硼素酸塩、オニウム塩類、ビスイミダゾール誘導体、チタノセン化合物、ヨードニウム塩類、有機チオール化合物、ハロゲン化炭化水素誘導体等が用いられる。上記例示したラジカル光重合開始剤は、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。上述したように、中でもホスフィンオキシド化合物が好ましい。
アシルホスフィンオキシド化合物の例としては、下記(式b)で示されるモノアシルホスフィンオキシド、又は下記(式c)で示されるジアシルホスフィンオキシドが挙げられる。これらは何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
;である。
置換又はハロゲン、炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されているフェニレン基又はビフェニレン基;を表す。R7'及びR8'は、上述の(式b)におけるR7及びR8で説明したものと同様の基を示す。なお、(式b)で示される
分子中において、R7及びR7'、R8及びR8'は同一であってもよく、また異なってい
てもよい。))
ド等が挙げられる。
上記の中でも、優れた記録感度を得られるため、モノアシルホスフィンオキシド化合物が好ましい。
本発明においては、マトリックスの硬化触媒として、ジルコニウム(Zr)系触媒を用いることができる。
ジルコニウム(Zr)系触媒としては、ジルコニウム元素を含有する触媒であって、イソシアネート基を有する化合物及びイソシアネート反応性官能基を有する化合物の反応を促進する化合物であれば特に制限はない。
キサフルオロー2,4−ペンタンジオナト)ジルコニウム、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムーt−ブトキシド、ジルコニウムプロポキシド、ジルコニウムイソプロポキシド、ジルコニウムエトキシド、ビス(エチルアセトアセテート)ジブトキシジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、酸化ジルコニウム、酸化バリウムジルコニウム、酸化カルシウムジルコニウム、臭化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、フッ化ジルコニウム、2塩化(インデニル)ジルコニウム、炭酸ジルコニウムなどが挙げられる。
り好ましい。上記のジルコニウム化合物は、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明におけるホログラム記録媒体用組成物は上述の成分(1)〜(5)を含むことを特徴とするが、本発明の主旨に反しない限り、その他の成分を含有することができる。
本発明のホログラム記録媒体用組成物は、反応速度の調整のために、前記ジルコニウム系触媒とともに他の硬化触媒を用いることもできる。併用可能な触媒としては、本発明の主旨に反しない限り特に制限はないが、触媒の相乗効果を得るためには、構造の一部にアミノ基を有する化合物を使用することが好ましい。その例としては、トリエチルアミン(TEA)、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン(DMEDA)、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、N,N,N’,N’−テトラメチルプロパン−1,3−ジアミン(TMPDA)、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミン(TMHMDA)、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジプロピレン−トリアミン(PMDPTA)、トリエチレンジアミン(TEDA)、N,N’−ジメチルピペラジン(DMP)、N,−メチル、N’−(2ジメチルアミノ)−エチルピペラジン(TMNAEP)、N−メチルモルホリン(NMMO)、N・(N’,N’−ジメチルアミノエチル)−モルホリン(DMAEMO)、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル(BDMEE)、エチレングリコールビス(3−ジメチル)−アミノプロピルエーテル(TMEGDA)、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)等のアミン化合物を挙げることができる。これらは何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
その他の成分としては、ホログラム記録媒体の記録層を調製するための、溶媒、可塑剤、分散剤、レベリング剤、消泡剤、接着促進剤などや、記録の反応制御のための、連鎖移動剤、重合停止剤、相溶化剤、反応補助剤、増感剤、酸化防止剤などが挙げられる。これらの成分はいずれか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明のホログラム記録媒体用組成物における各成分の使用量は、本発明の主旨に反しない限り任意であるが、各成分の割合は組成物の全質量を基準に以下の範囲であることが好ましい。成分(1)と成分(2)の使用量は、合計で通常0.1質量%以上であり、好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは35質量%以上である。また、通常99.9質量%以下であり、好ましくは99質量%以下である。この使用量を上記の下限値以上とすることで、記録層を形成することが容易となる。
成分(3)の使用量は通常0.1質量%以上であり、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上である。また、通常80質量%以下であり、好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。成分(3)の量が上記の下限値より多いことで十分な回折効率が得られ、上記の上限値より少ないことで記録層の相溶性が保たれる。
成分(5)の使用量は成分(1)及び成分(2)の反応速度を考慮して決定することが好ましく、通常5質量%以下、好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。また、0.005質量%以上用いることが好ましい。
成分(1)〜(5)以外の、その他の成分の総量は、30質量%以下であればよく、15質量%以下が好ましく、5質量%がより好ましい。
本発明において、成分(1)〜(5)はどのような組み合わせ、順序で混合してもよく、またその際に、その他の成分を組み合わせて混合してもよい。
例えば以下のような方法で得ることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
成分(2)及び成分(5)以外の全ての成分を混合し、A液とする。成分(2)と成分(5)を混合したものをB液とする。それぞれの液は脱水・脱気を行うことが好ましい。脱水・脱気を行わなかったり、不十分であったりすると、媒体作成時に気泡が生成し、均一な記録層を得ることができないことがある。この脱水・脱気の際には各成分を損なわな
い限り、加熱、減圧を行ってもよい。
本発明において、オキシムエステル系光重合開始剤及びその他の光重合開始剤と、ジルコニウム系触媒とは、任意に組み合わせることができる。オキシムエステル系光重合開始剤単体、もしくはオキシムエステル系光重合開始剤及びホスフィンオキシド化合物と、ジルコニウム系触媒との組み合わせが好ましく、より好ましくは、オキシムエステル系光重合開始剤単体、もしくはオキシムエステル系光重合開始剤及びホスフィンオキシド化合物と、有機配位子を有するジルコニウム系触媒との組み合わせである。
本発明のホログラム記録媒体は、記録層と、必要に応じて、更に支持体やその他の層を備える。通常、ホログラム記録媒体は支持体を有し、記録層やその他の層は、この支持体上に積層されてホログラム記録媒体を構成する。ただし、記録層又はその他の層が、媒体に必要な強度や耐久性を有する場合には、ホログラム記録媒体は支持体を有していなくてもよい。その他の層の例としては、保護層、反射層、反射防止層(反射防止膜)等が挙げられる。
本発明のホログラム記録媒体の記録層は、好ましくは本発明のホログラム記録媒体用組成物により形成される。
本発明のホログラム記録媒体の記録層は、本発明のホログラム記録媒体用組成物により形成される層であり、情報が記録される層である。情報は通常、ホログラムとして記録される。後述の記録方法の項に詳述するとおり、該記録層中に含まれる重合性モノマーは、ホログラム記録などによってその一部が重合等の化学的な変化を生じるものである。従って、記録後のホログラム記録媒体においては、重合性モノマーの一部が消費され、重合体など反応後の化合物として存在する。
また、情報の記録、再生の際の露光による記録層の収縮率が0.25%以下であることが好ましい。
支持体は、媒体に必要な強度及び耐久性を有しているものであれば、その詳細に特に制限はなく、任意の支持体を使用することができる。また、支持体の形状にも制限は無いが
、通常は平板状又はフィルム状に形成される。また、支持体を構成する材料にも制限は無く、透明であっても不透明であってもよい。支持体の材料として透明なものを挙げると、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフトエート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、アモルファスポリオレフィン、ポリスチレン、酢酸セルロース等の有機材料;ガラス、シリコン、石英等の無機材料が挙げられる。この中でも、ポリカーボネート、アクリル、ポリエステル、アモルファスポリオレフィン、ガラス等が好ましく、特に、ポリカーボネート、アクリル、アモルファスポリオレフィン、ガラスがより好ましい。
支持体の厚みにも特に制限は無いが、通常は0.05mm以上、1mm以下の範囲とすることが好ましい。支持体の厚みが上記の下限値以上となることで、ホログラム記録媒体の機械的強度を得ることができ、基板の反りを防止できる。また支持体の厚みが上記の上限値以下となることで、光の透過量が保たれ、コストの上昇を抑えることができる。
また、これらの表面処理は、基板の気体や水分の透過性を制御する目的で設けても良い。例えば記録層を挟む支持体にも気体や水分の透過性を抑制する働きを持たせることによりより一層媒体の信頼性を向上させうる。
また、記録層の片側又は両側に支持体を有するホログラム記録媒体の場合、透過型又は反射型のホログラムが記録可能である。また、記録層の片側に反射特性を有する支持体を用いる場合は、反射型のホログラムが記録可能である。
更に、支持体にデータアドレス用のパターニングを設けてもよい。この場合のパターニング方法に制限は無いが、例えば、支持体自体に凹凸を形成してもよく、後述する反射層にパターンを形成してもよく、これらを組み合わせた方法により形成してもよい。
保護層は、記録層の保存安定性の劣化等の影響を防止する
ための層である。保護層の具体的構成に制限は無く、公知のものを任意に適用することが可能である。例えば、水溶性ポリマー、有機/無機材料等からなる層を保護層として形成することができる。
保護層の形成位置は、特に制限はなく、例えば記録層表面や、記録層と支持体との間に形成してもよく、また支持体の外表面側に形成してもよい。また支持体と他の層との間に形成してもよい。
反射層は、ホログラム記録媒体を反射型に構成する際に形成される。反射型のホログラム記録媒体の場合、反射層は支持体と記録層との間に形成されていてもよく、支持体の外側面に形成されていてもよいが、通常は、支持体と記録層との間にあることが好ましい。
反射層としては、公知のものを任意に適用することができ、例えば金属の薄膜等を用いることができる。
透過型及び反射型の何れのホログラム記録媒体についても、物体光及び読み出し光が入射及び出射する側や、あるいは記録層と支持体との間に、反射防止膜を設けてもよい。反射防止膜は、光の利用効率を向上させ、かつゴースト像の発生を抑制する働きをする。反射防止膜としては、公知のものを任意に用いることができる。
本発明のホログラム記録媒体の製造方法に制限は無い。例えば、無溶剤で支持体上に本発明のホログラム記録媒体用組成物を塗布し、記録層を形成して製造することできる。この際、塗布方法としては任意の方法を使用することができる。具体例を挙げると、スプレー法、スピンコート法、ワイヤーバー法、ディップ法、エアーナイフコート法、ロールコート法、及びブレードコート法、ドクターロールコート法などが挙げられる。また、記録層の形成に際し、特に膜厚の厚い記録層を形成する場合、型に入れて成型する方法や、離型フィルム上に塗工して型を打ち抜く方法を用いることもできる。また、本発明のホログラム記録媒体用組成物と溶剤又は添加剤とを混合して塗布液を調製し、これを支持体上に塗布、乾燥して記録層を形成して製造しても良い。この場合も塗布方法としては任意の方法を使用することができ、例えば、上述したのと同様の方法を採用することができる。
このようにして製造されたホログラム記録媒体は、自立型スラブ又はディスクの形態をとることができ、三次元画像表示装置や回折光学素子、及び大容量メモリ、その他に使用できる。
本発明のホログラム記録媒体に対する情報の書き込み(記録)及び読み出し(再生)は、何れも光の照射によって行なわれる。
先ず、情報の記録時には、重合性モノマーの化学変化、すなわち、その重合及び濃度変化を生じさせることが可能な光を、物体光(記録光とも呼ばれる。)として用いる。
例えば、情報を体積ホログラムとして記録する場合には、物体光を参照光と共に記録層に対して照射し、記録層において物体光と参照光とを干渉させるようにする。これによってその干渉光が、記録層内の重合性モノマーの重合及び濃度変化を生じさせ、その結果、干渉縞が記録層内に屈折率差を生じさせ、前記の記録層内に記録された干渉縞により、記録層にホログラムとして記録される。
[ホログラム記録と評価方法]
本発明のホログラム記録媒体の評価サンプルを使用して、以下に説明する手順でホログラム記録と、ホログラム記録媒体のホログラム記録性能の評価を実施した。
媒体を−30°から30°まで1°おきに同一箇所に61多重記録し、その時の回折効率の平方根の合計をM/#(エムナンバー)とした。また上記の記録前後で記録波長での光透過率を測定した。以下、詳細に説明する。
図1(a)は、ホログラム記録に用いた装置の概要を示す構成図であり、図1(b)はLEDユニットの表面を示す構成図であり、図1(c)は、LEDユニット表面のLEDの配列を示す構成図である。
図1(a)中、Sはホログラム記録媒体のサンプルを示し、M1〜M3は何れもミラーを示し、PBSは偏光ビームスプリッタを示し、L1は波長405nmの光を発する記録光用レーザ光源(波長405nm付近の光が得られるソニー製シングルモードレーザーダイオードを用いた(図1(a)中「L1」))を示し、L2は波長633nmの光を発する再生光用レーザ光源を示し、PD1、PD2はフォトディテクタを示す。また、1はLEDユニットを示し、2はアームを示し、3は支柱を示す。
サンプルを光軸に対して動かす角度(二光束、すなわち図1(a)のミラーM1及びM2からの入射光が交わる点における内角の二等分線とサンプルからの法線とがなす角度)を−30°から30°まで1度刻みで61多重の記録を行い、得られた回折効率の平方根を多重記録全域にわたって合計したものをM/#とした。
測定用のサンプルの感度は、上記M/#計測において、サンプルが示す最大M/#の80%に達するまでの平均感度を表すものであり、次のように算出される。
感度=(0.8×(M/#))/(I×ts×L)
ここで、Iは入射光強度(mW/cm2)、tsはM/#が80%に達するまでの総露光時間(秒)、Lは記録層厚み(cm)である。
(保存安定性試験)
サンプルの保存安定性試験は、未記録サンプルを80℃で保存後に記録を行い、保存前と比較した。M/#、及び感度は保存前を100%とした残存率で評価した。
・ホログラム記録媒体用組成物の調製
ヘキサメチレンジイソシアネート1.00g(NCO%(イソシアネート基の割合):49.9%)にジベンゾチオフェニルフェニルアクリレート0.15g、及び光重合開始剤(成分(4))として1−(9−エチル−9H−カルバゾール−3−イル)−2−(O−アセチルオキシム)−3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオン0.06gを溶解させA液とした。
B液を減圧下で3時間脱気した後、A液とB液を混ぜ合わせて攪拌混合し、さらに数分間、真空で脱気した。
続いて、厚さ500μmのスペーサーシートを2方の端にのせたスライドガラスの上に、真空脱気した上記混合液を流し込み、その上にスライドガラスをかぶせ、クリップで周辺を固定して60℃で15時間加熱して測定用ホログラム記録媒体を作製した。この測定用サンプルは、カバーとしてのスライドガラス間に、厚さ500μmの記録層が形成されたものである。
このようにして得られたサンプルについて、上記の方法によりホログラム記録性能の評価を行った。評価の結果を、表1に示す。なお、表1では、未記録サンプルを80℃で168時間保存した場合の結果を示す。
実施例1の1−(9−エチル−9H−カルバゾール−3−イル)−2−(O−アセチルオキシム)−3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオン0.06gを、1−(9−エチル
−9H−カルバゾール−3−イル)−1−(O−アセチルオキシム)−4−フェニル―1,2−ブタンジオン0.003gに変更した以外は実施例1と同様の方法で作製し、評価を行った。評価の結果を、表1に示す。なお、表1では、未記録サンプルを80℃で168時間保存した場合の結果を示す。
実施例2のテトラキス(2,4−ペンタンジオナト)ジルコニウムを、ジオクチル錫ジラウレート1.0mgに変更した以外は実施例2と同様の方法で作製し、評価を行った。評価の結果を、表1に示す。なお、表1では、未記録サンプルを60℃で168時間保存した場合の結果を示す。
実施例1の1−(9−エチル−9H−カルバゾール−3−イル)−2−(O−アセチルオキシム)−3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオン0.06gを、1.2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]0.10gに変更した以外は実施
例1と同様の方法で作製し、評価を行った。評価の結果を、表1に示す。なお、表1では、未記録サンプルを80℃で168時間保存した場合の結果を示す。
[評価結果]
1A LEDユニットの表面
1B LED
2 アーム
3 支柱
S サンプル
M1,M2,M3 ミラー
PBS 偏光ビームスプリッタ
L1 記録光用レーザ光源
L2 再生光用レーザ光源
PD1,PD2 フォトディテクタ
Claims (5)
- イソシアネート基を有する化合物、
イソシアネート反応性官能基を有する化合物、
重合性モノマー、
縮合環を有するオキシムエステル系光重合開始剤、
及び、ジルコニウム系触媒
を含有することを特徴とする、ホログラム記録媒体用組成物。 - 前記縮合環が、縮合複素環であることを特徴とする、請求項1に記載のホログラム記録媒体用組成物。
- 前記重合性モノマーが、ラジカル重合性モノマーであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のホログラム記録媒体用組成物。
- 前記重合性モノマーの分子量が、80以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のホログラム記録媒体用組成物。
- 記録層に請求項1〜4のいずれか一項に記載のホログラム記録媒体用組成物を用いたことを特徴とする、ホログラム記録媒体。
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