JP2019147789A - カルバゾール化合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた記録感度と保存安定性を維持しつつ、記録後の光の照射による着色の少ないホログラム記録媒体用組成物に用いられる光重合開始剤用化合物の提供。【解決手段】式(1)で示される化合物。【選択図】なし

Description

本発明は、光重合開始剤に用いることができる、特定の構造を有する化合物に関する。
近年、注目を浴びているホログラム記録媒体は、光の干渉、回折現象を利用した記録媒
体である。ホログラムとは、参照光と情報(又は信号)光と呼ばれる2つの光の干渉縞が
作る干渉パターンを記録媒体内部に立体的に記録する記録手法である。ホログラム記録媒
体は記録層に感光性のホログラム記録材料を含んでおり、ホログラム記録材料が干渉パタ
ーンに応じて化学変化し光学特性が局所的に変化することによって情報データを記録する
。どのような光学特性を変化させるかによりいくつかの種類に分けられるが、記録層内で
屈折率差を生じさせることによりいくつかの種類に分けられるが、記録層内で屈折率差を
生じさせることにより記録を行う位相ホログラム(体積型ホログラム)が、高い回折効率
や波長選択性により有用であると考えられている。
体積型ホログラム記録材料の例としては、湿式処理や漂白処理が不要なライトワンス形
式がある。その材料組成としては、樹脂マトリックスに光活性化合物を相溶させたものが
一般的である。例えば、樹脂マトリックスに、光活性化合物として、ラジカル重合やカチ
オン重合可能なモノマーを組み合わせた組成物が挙げられる(特許文献1〜4参照)
ホログラムを記録するとき、参照光と情報光が交差して干渉縞が形成される部分に、マ
トリックス樹脂、重合性の反応性化合物、および光重合開始剤を含む組成物からなる記録
層があると、干渉縞のうち光強度の高い部分では光重合開始剤が化学反応を起こし活性物
質となり、これが重合性の反応性化合物に作用して反応性化合物が重合する。この際、マ
トリックス樹脂と重合性の反応性化合物から生成する重合物の間で屈折率に差があると、
干渉縞が屈折率差となって記録層の中に固定化される。また、重合性の反応性化合物が重
合する際、周辺から反応性化合物の拡散が起こり、記録層内部で、反応性化合物または反
応性化合物の重合体の濃度分布が発生する。この状態の記録層に参照光だけ照射すると、
干渉縞から記録された情報光に相当する再生光が再生される。
前記組成物の内、光重合開始剤については、青紫色から可視光領域のレーザを使用する
場合、340から700nmの範囲に吸収を持つものを用いることが好ましい。このよう
な光重合開始剤としては、たとえばチタノセン化合物、アシルフォスフィンオキサイド化
合物、特許文献5に記載の特定構造のオキシムエステル系光重合開始剤などを用いること
が知られている。オキシムエステル系光重合開始剤は、記録感度が高く、保存安定性に優
れ、ホログラム記録媒体の光重合開始剤として有望視されている。
特開平11−352303号公報 特開2005−43862号公報 特表2005−502918号公報 特開2004−158117号公報 特表2004-534797号公報
ホログラム記録媒体は、通常、情報光と参照光により記録層に干渉縞の記録がなされた
後も、光の照射を受ける。具体的には、干渉縞を記録した後に、記録層に一様に光を照射
して残留モノマーや開始剤を消費し記録を固定化する工程(以下、後露光と記載)や、参
照光の照射を繰り返し行う再生工程がこれに当たる。従って、これらの光の照射に対し、
記録層の透過率等の光学特性が変化しないことが必要である。
一方、光重合開始剤は光の照射により分解し、それに伴い反応活性種を発生し、それが
重合開始能を有することにより重合を誘発するため、光重合開始剤の光分解生成物に由来
する副生成物が発生する。この副生成物が、前述の記録後の光の照射により着色を生じる
ことがあり、このような開始剤を用いると、記録した情報を読み出す際の透過率が低下し
、回折効率が低下することで性能の悪化を招く可能性がある。
前述のオキシムエステル系光重合開始剤は、上述の記録後の光の照射による着色の問題
については、未だ不十分であった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、優れた記録感度と保存
安定性を維持しつつ、記録後の光の照射による着色の少ない光重合開始剤を含むホログラ
ム記録媒体用組成物、該ホログラム記録媒体用組成物を用いたホログラム記録媒体を提供
することにある。
本発明者等は、鋭意研究を進めた結果、オキシムエステル系光重合開始剤において、特
定の部分構造を導入することで、優れた記録感度と保存安定性を維持しつつ、着色の少な
いホログラム記録媒体を実現できることを見出した。
すなわち、本発明の要旨は、以下の[1]〜[3]のとおりである。
[1]
下記式(1)で示される化合物。
Figure 2019147789
[R1は、アルキル基を示し、
は、アルキル基、アリール基、アラルキル基のいずれかを示し、
は、−(CH)−基を示し、nは、1以上6以下の整数を示し、
は、アルキル基、アルコキシカルボニル基、芳香環基、複素環基のいずれかを示し、
は、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシスルホニル基、またはジアルキルアミ
ルホニル基のいずれかを示す。]
[2]
前記Rが、アルコキシカルボニル基を示す請求項1に記載の化合物。
[3]
前記Rが、分岐のアルキル基、を示す請求項1又は請求項2に記載の化合物。
[4]
前記1〜3のいずれかに記載の化合物が、光重合開始剤である。
本発明によれば、光照射後の着色の少ないホログラム記録媒体用組成物及びこれを用い
たホログラム記録媒体が得られる。
図1は、ホログラム記録に用いた装置の概要を示す構成図である。
以下に例示する物や方法等は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はそ
の要旨を逸脱しない限り、これらの内容に特定はされない。また、使用する図面は本発明
の形態を説明するために使用するものであり、実際の大きさを現すものではない。
1.ホログラム記録媒体用組成物
本発明のホログラム記録媒体用組成物は、ホログラム記録媒体の記録層を形成するため
に用いられる。本発明のホログラム記録媒体用組成物は、重合性反応基を有する化合物、
及び下記式(1)で示される光重合開始剤を含む組成物である。以下に本発明のホログラ
ム記録媒体用組成物について示す。
1−1.式(1)で示される光重合開始剤
本発明に係る光重合開始剤は下記式(1)で示される。
Figure 2019147789
式(1)中、R1は、アルキル基を示し、Rは、アルキル基、アリール基、アラルキ
ル基のいずれかを示し、Rは、−(CH2n−基を示し、nは、1以上6以下の整数を
示し、Rは、水素原子、又は任意の置換基を示し、Rは、結合するカルボニル基に対
して共役する多重結合を有しない任意の置換基を示す。
以下、式(1)中の記号について詳述する。
<R1
1はアルキル基を示す。R1が、例えば芳香環基等のアルキル基以外の場合、R1が結
合する窒素原子のsp2性が高まり、式(1)のカルバゾール環からR1への共役が延長さ
れることから、光照射後の分解物による発光が生じるため、このような共役系を有しない
アルキル基が好ましい。
1のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シク
ロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、
シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチ
ルヘキシル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、シクロプロ
ピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルメチル
基、シクロヘキシルメチル基、4−ブチルメチルシクロヘキシル基等の直鎖、分岐鎖及び
環状のアルキル基が挙げられる。この中でも、炭素数が好ましくは1以上、より好ましく
は2以上であり、また、好ましくは18以下、より好ましくは8以下であること、特に直
鎖で炭素数が1から4の範囲のアルキル基が、化合物の結晶性の点から好ましい。
また、該アルキル基は置換基を有していても良く、有していても良い置換基としては、
アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、芳香環基、及び複素環基等が挙げら
れる。この中でも、アルコキシ基が化合物の溶解性調節の容易さの点で好ましい。
好ましいアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロ
ポキシ基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
またフッ素原子で置換されたアルキル基は撥水性が高まり化合物の耐水性向上の点から
好ましい。
<R
はアルキル基、アリール基、アラルキル基のいずれかを示す。Rは光重合開始剤
が光照射されて発生するラジカル部位であり、ホログラム記録媒体用組成物中のラジカル
の移動容易性の観点から分子量の小さいアルキル基であることが好ましい。
のアルキル基の具体例としては、前述したRと同義であり、有していても良い置
換基も同義である。この中でも、炭素数が好ましくは1以上であり、また、好ましくは4
以下、より好ましくは2以下であることが、ラジカル移動度の点から好ましい。
一方、化合物の耐水性向上の観点からはアリール基が好ましい。
のアリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、インデ
ニル基等が挙げられる。ラジカル移動度の点からはフェニル基が好ましい。
のアラルキル基の具体例としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基
等が挙げられる。ベンジル基、ナフチルメチル基等のラジカルは特異な反応性が期待され
好ましい。
のアリール基、アラルキル基のアリール環部位への置換基としてはアルキル基、ハ
ロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられるが、ラジカル移動度の点からは無置換が好まし
い。
<R及びn>
は、−(CH2n−基を示す。Rが式(1)のカルバゾール環と共役可能な置換
基の場合、カルバゾール環からRの共役が延長されることから、開始剤の吸収波長の長
波長化が生じてしまう。したがって、Rは、このような共役系を有しない−(CH2n
−基が好ましい。
また、nは、1以上6以下の整数を示す。この中でも好ましくは2以上である。また好
ましくは4以下である。nが上記好ましい範囲であることで、その先に置換している置換
基R4の電子的効果が反映されやすくなる傾向がある。
<R
は、水素原子、又は任意の置換基を示す。任意の置換基は、本発明の効果を損なわ
ない範囲であれば特に限定されないが、アルキル基、アルコキシカルボニル基、モノアル
キルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、芳香環基、及び複素環基等が
挙げられる。
は、これらの中でも、アルキル基、アルコキシカルボニル基、芳香環基、複素環基
のいずれかであることが原料入手や合成容易さの点から好ましく、アルコキシカルボニル
基であることが遠い電子的効果発現の点から特に好ましい。
(Rのアルキル基)
のアルキル基の具体例としては、前述したRと同義であり、有していても良い置
換基も同義である。この中でも、炭素数が好ましくは1以上であり、また、好ましくは8
以下、より好ましくは4以下であることが、化合物の溶解性調整の点から好ましい。
(Rのアルコキシカルボニル基)
のアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル
基、イソプロポキシカルボニル基等が挙げられ、炭素数が好ましくは2以上であり、また
、好ましくは19以下、より好ましくは7以下であることが、化合物の溶解性調整の点か
ら好ましい。
また、該アルコキシカルボニル基は置換基を有していても良く、有していても良い置換
基としては、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。この中
でも、アルコキシ基が溶解性調整の容易さの点で好ましい。
(Rのモノアルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基)
のモノアルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基のアルキル基
部分の具体例としては、前述したRのアルキル基と同義であり、有していても良い置換
基も同義である。この中でも、アミノ基に結合したアルキル基部分の炭素数が、好ましく
は1以上、また、好ましくは8以下、より好ましくは4以下である。アミノ基に結合した
アルキル基部分の炭素数が上記好ましい範囲にあることで、溶解性が得られる傾向にある
(Rの芳香環基)
の芳香環基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基等の単環または縮合
環が挙げられる。この中でも、炭素数は6以上であり、また、好ましくは20以下、より
好ましくは10以下であることが、化合物の溶解性の点から好ましい。
また、該芳香環基は置換基を有していても良く、有していても良い置換基としては、ア
ルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。この中で
も、アルキル基が溶解性調整の容易さの点で好ましい。
好ましいアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル
基、イソブチル基、2-エチルヘキシル基、n-オクチル基等が挙げられる。
(Rの複素環基)
の複素環基としては、環中に1以上のヘテロ原子を有する複素環構造を少なくとも
含む基が好ましい。複素環基に含まれるヘテロ原子は特に限定されず、S、O、N、Pな
どの各原子を用いることができるが、原料入手や合成容易さの点から、S、O、Nの各原
子が好ましい。
具体的には、チエニル基、フリル基、ピラニル基、ピロリル基、ピリジル基、ピラゾリ
ル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、キノリル基、ジベンゾチオフェニル基、ベンゾ
チアゾリル基、等の単環または縮合環が挙げられる。この中でも、炭素数は1以上、より
好ましくは2以上であり、また、好ましくは10以下、より好ましくは5以下であること
が、原料入手や合成容易さの点から好ましい。
また、該複素環基は置換基を有していても良く、有していても良い置換基としては、ア
ルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。この中で
も、アルキル基が溶解性調整の容易さの点で好ましい。
好ましいアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル
基、イソブチル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基等が挙げられる。
<R
は、結合するカルボニル基に対して共役する多重結合を有しない、任意の置換基を
示す。これらの基であることでカルバゾール環以上に共役系が伸びない。よって、光照射
後に生成する分解遺物の共役系が長くならないため、分解物の吸収波長が長波長化しない
。これにより、記録後の吸収抑制効果が得られる。
としては、アルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、アルキルスルホニル
基、ジアルキルアミノスルホニル基等が挙げられ、これらの中でもアルキル基が化合物安
定性の点で好ましい。
(Rのアルキル基)
のアルキル基の具体例としては、前述したRと同義であり、有していても良い置
換基も同義である。この中でも、炭素数が好ましくは1以上、より好ましくは2以上であ
り、また、好ましくは18以下、より好ましくは10以下でかつ分岐のアルキル基である
ことが、化合物の製造の容易さの点から好ましい。具体的にはシクロプロピル基、シクロ
ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、イソプロピル基、
tert−ブチル基、アダマンチル基、1−エチルペンチル基が特に好ましい。
(Rのアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、アルキルスルホニル基、ジアルキルアミ
ノスルホニル基のアルキル部分)
のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、アルキルスルホニル基、ジアルキルアミノ
スルホニル基のアルキル部分の具体例としては、前述したRと同義であり、有していて
も良い置換基も同義である。この中でも、炭素数が好ましくは3以上であり、また、好ま
しくは18以下、より好ましくは8以下であることが、化合物の結晶性の点から好ましい
<本発明に係る光重合開始剤の好ましい物性等>
本発明のホログラム記録媒体用組成物に用いられる光重合開始剤の吸収波長域としては
、好ましくは340nm以上、さらに好ましくは350nm以上であり、また、好ましく
は700nm以下、さらに好ましくは650nm以下に吸収を有するものである。例えば
、光源が青色レーザの場合は少なくとも350〜430mに吸収を有することが好ましく
、緑色レーザの場合は少なくとも500〜550nmに吸収を有することが好ましい。吸
収波長域が上述の範囲と異なる場合は、照射された光エネルギーを効率的に光重合反応に
使いにくくなるため感度が低下しやすい傾向がある。
本発明のホログラム記録媒体用組成物に用いられる光重合開始剤は、ホログラムの記録
波長における、モル吸光係数が10L・mol−1・cm−1以上であることが好ましく
、50L・mol−1・cm−1以上であることがより好ましい。また20000L・m
ol−1・cm−1以下であることが好ましく、10000L・mol−1・cm−1
下であることがより好ましい。モル吸光係数が上記範囲であることで、有効な記録感度を
得ることができ、また媒体の透過率が低くなりすぎることを防ぎ、厚みに対して十分な回
折効率を得ることができる傾向にある。
本発明のホログラム記録媒体用組成物に用いられる光重合開始剤の溶解度は、25℃、
1気圧の条件下におけるウレタン組成物への溶解度が0.01%以上であることが好ましく、
中でも0.1%以上であることがさらに好ましい。
一般的に用いられるオキシムエステル系開始剤のうち、上述の吸収極大を有するものは
、一般にイソシアネート類、ポリオール類などウレタン組成物を構成する材料や、(メタ
)アクリル酸エステル等の光活性化合物に対する溶解性が悪いことが多いが、本発明で用
いる式(1)で示される光重合開始剤は、イソシアネート類、ポリオール類などウレタン
組成物を構成する材料や、(メタ)アクリル酸エステル等の光活性化合物に対する優れた
溶解性を有しているため、ホログラム記録媒体用組成物に使用することができる。
本発明のホログラム記録媒体用組成物に用いられる光重合開始剤は、前記式(1)で示
される光重合開始剤を単独で用いることもできるが、必要に応じて、その他の光重合開始
剤を併用して用いることもできる。
その他の光重合開始剤としては、例えばアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ヒドロ
キシベンゼン類、チオキサントン類、アントラキノン類、ケタール類、ヘキサアリールビ
イミダゾール類、チタノセン類、アシルフォスフィンオキサイド類、ハロゲン化炭化水素
誘導体類、有機ホウ素酸塩類有機過酸化物類、オニウム塩類、スルホン化合物類、カルバ
ミン酸誘導体類、スルホンアミド類、トリアリールメタノール類などが挙げられる。これ
らはいずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用し
ても良い。
その他の光重合開始剤の配合量(2種以上組み合わせる場合にはその合計量)は、本発
明の光重合開始剤の機能を損なわない範囲であれば任意であるが、本発明の式(1)で示
される光重合開始剤に対する比で、通常0.001重量%以上、好ましくは0.01重量
%以上、また、通常100重量%以下、好ましくは80%以下、さらに好ましくは50%
以下である。
式(1)で示される光重合開始剤の具体例を以下に示すが、これに限定されるものでは
ない。
Figure 2019147789
Figure 2019147789
Figure 2019147789
Figure 2019147789
式(1)で示される光重合開始剤の合成方法は特に限定されず、一般的な合成方法の組
み合わせにより製造可能である。具体的には、国際公開2009/131189号等に記
載の方法が挙げられる。
例えば、以下の化学式に示すように、カルバゾール環へのR、R及びRを含むア
シル基の導入は、フリーデルクラフツ反応により導入が可能である。フリーデルクラフツ
反応については、
Andrew Streitwieser.Jr. et.al, Introduction to Organic Chemistry, Macmillan Pu
blishing Company,NewYork,P652-653、
及び
Bradford p. Mundy et.al.,Name Reactions and Reagents in Organic Synthesis,A Wi
ley-Interscience Publication,P82-83
等に記載されている。
Figure 2019147789
メチレンへのニトロソ化は亜硝酸や亜硝酸エステルを用いた方法で可能である。
水酸基のアシル化は対応する酸ハライドや無水物と塩基を用いる方法を用いることがで
きる。
以下の化学式に示すニトソロ化、アシル化については、
特許公表2004-534797号公報、
Organic Reaction VolumeVII, KRIEGER PUBLISHING COMPANY MALABAR, Florida,Chapte
r6等にも記載されている。
Figure 2019147789
なお、上記R〜Rは、式(1)のR〜Rと同義である。
1−2.重合性反応基を有する化合物
本発明に係る重合性反応基を有する化合物とは、前記光重合開始剤によって重合され得
る化合物をいう。本発明のホログラム記録媒体用組成物に使用される重合性反応基を有す
る化合物の種類は特に制限されず、公知の化合物の中から適宜選択することが可能である
。重合性反応基を有する化合物の例としては、カチオン重合性モノマー、アニオン重合性
モノマー、ラジカル重合性モノマー等が挙げられる。これらは、何れを使用することもで
き、また二種以上を併用してもよい。ただし、後述するイソシアネート基を有する化合物
及びイソシアネート反応性官能基を有する化合物が樹脂マトリックスを形成する反応を阻
害しにくいという理由から、ラジカル重合性モノマーを使用することが好ましい。
<カチオン重合性モノマー>
カチオン重合性モノマーの例としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物、オキソラ
ン化合物、環状アセタール化合物、環状ラクトン化合物、チイラン化合物、チエタン化合
物、ビニルエーテル化合物、スピロオルソエステル化合物、エチレン性不飽和結合化合物
、環状エーテル化合物、環状チオエーテル化合物、ビニル化合物等が挙げられる。上記の
カチオン重合性モノマーは、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み
合わせ及び比率で併用してもよい。
<アニオン重合性モノマー>
アニオン重合性モノマーの例としては、炭化水素モノマー、極性モノマー等が挙げられ
る。
炭化水素モノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプ
レン、ビニルピリジン、ビニルアントラセン、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
極性モノマーの例としては、メタクリル酸エステル類、アクリル酸エステル類、ビニル
ケトン類、イソプロペニルケトン類、その他の極性モノマーなどが挙げられる。
上記例示のアニオン重合性モノマーは、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上
を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
<ラジカル重合性モノマー>
ラジカル重合性モノマーの例としては、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、(メ
タ)アクリルアミド類、ビニルエステル類、ビニル化合物、スチレン類、スピロ環含有化
合物等が挙げられる。上記例示のラジカル重合性モノマーは、何れか一種を単独で使用し
てもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。なお、本明細書にお
いて、メタクリル及びアクリルの総称を(メタ)アクリルと記載する。
上記の中でも、ラジカル重合する際の立体障害の点から(メタ)アクリロイル基を有す
る化合物がより好ましい。
本発明のホログラム記録媒体用組成物に用いる重合性反応基を有する化合物は、分子量
が好ましくは80以上であり、さらに好ましくは150以上、より好ましくは300以上
、特に好ましくは400以上である。また好ましくは3000以下であり、さらに好まし
くは2500以下、より好ましくは2000以下である。分子量が上記の下限値以上であ
ることで、ホログラムの情報記録時の光照射の重合に伴う記録層の収縮率を小さくするこ
とができる傾向にある。また分子量が上記の上限値以下であることで、ホログラム記録媒
体用組成物を用いた記録層中での重合性反応基を有する化合物の移動度が高く、拡散が起
こりやすくなり、十分な回折効率を得ることができる傾向にある。
本発明のホログラム記録媒体用組成物に用いる重合性反応基を有する化合物は、ホログ
ラム記録媒体への照射光波長(記録波長等)における屈折率が好ましくは1.50以上、
より好ましくは1.52以上、さらに好ましくは1.55以上である。屈折率が大きけれ
ば、十分な回折効率が得られ、多重度を向上させることができる。なお、多くの場合、可
視光領域では屈折率は短い波長で評価すると大きい値を示すが、短波長で相対的に大きい
屈折率を示すサンプルは長波長でも相対的に大きい屈折率を示すため、記録波長以外の波
長で屈折率を評価し、記録波長での屈折率を予測することも可能である。
本発明のホログラム記録媒体用組成物に用いる重合性反応基を有する化合物は、ホログ
ラムの記録波長におけるモル吸光係数が100L・mol−1・cm−1以下であること
が好ましい。モル吸光係数が100L・mol−1・cm−1以下であることにより、媒
体の透過率が低くなることを防ぎ、厚みに対して十分な回折効率を得ることができる傾向
にある。
本発明のホログラム記録媒体用組成物に用いる重合性反応基を有する化合物において、
特に屈折率の高い重合性反応基を有する化合物として、分子内にハロゲン原子(ヨウ素、
塩素、臭素など)を有する化合物やヘテロ原子(窒素、硫黄、酸素など)を有する化合物
が好ましい。
芳香環構造や4級炭素を有する化合物も好ましい。芳香環構造は縮合した環構造がより
好ましい。
また、上記を組み合わせた構造を有する化合物がより好ましい。ハロゲン原子が置換し
た芳香環、窒素、硫黄原子を含んだ複素芳香環などの構造が特に好ましい。
本発明のホログラム記録媒体用組成物は、上述した重合性反応基を有する化合物、及び
光重合開始剤以外にも、ホログラム記録媒体のマトリックス樹脂を形成するために用いる
化合物等を含んでいても良い。マトリックス樹脂は、ホログラム記録媒体に用いることが
可能であれば、特に限定されない。以下、マトリックス樹脂について詳述する。
1−3.マトリックス樹脂
本発明のホログラム記録媒体用組成物はマトリックス樹脂を含むことが好ましい。ホロ
グラム記録媒体の記録層を構成するマトリックス樹脂は、光の照射によって化学的かつ物
理的に大きく変化しない有機物であり、主に有機の重合物で構成される。
マトリックス樹脂は、前述した重合性の反応性化合物と相溶性を有し、ホログラム記録
媒体用組成物を膜状に保ち、後述する支持体との密着性を担う役割を有し、重合性の反応
性化合物や光重合開始剤等との相溶性に優れることが強く求められる。マトリックス樹脂
とこれらの成分との相溶性が低いと、材料同士の間で界面を作り、界面で光が屈折したり
反射することで必要でない部分に光が漏れるので、干渉縞が歪んだり切れたりして不適当
な部分に記録されることにより情報の劣化を起す。マトリックス樹脂と他の成分との相溶
性は、例えば、特許第3737306号公報などに記載があるように、サンプルに対して
、透過する光と角度をもって検出器を設置することにより得られる散乱光強度などに基づ
いて評価することができる。
本発明のホログラム記録媒体用組成物のマトリックス樹脂としては、溶剤に溶解可能な
樹脂を用いても、三次元架橋させた樹脂を用いてもよく、例えば以下に説明する熱可塑性
樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂が挙げられる。
三次元架橋させた樹脂は溶剤不溶性であり、常温で液状である重合性化合物と重合性化
合物に対し反応活性な化合物との反応硬化物を含む。三次元架橋させた樹脂は、物理的な
障害となるため、記録時における体積変化を抑制する。即ち、記録後の記録層では、明部
は膨張し暗部は収縮し、ホログラム記録媒体表面に凹凸が生じてしまう。この体積変化を
抑制するために、記録層には三次元架橋させた樹脂マトリックスを用いるのがより好まし
い。
この中で、相溶性や基板との密着性の観点で、マトリックス樹脂としては熱硬化性樹脂
が好ましく、中でもイソシアネートとポリオールとの反応で得られるポリウレタン樹脂が
好ましい。
1−3−1.熱可塑性樹脂
マトリックス樹脂として熱可塑性樹脂を用いる場合、ホログラム記録媒体の記録層は、
全部の材料を混合して均一に分散した後、プレスや射出成形など熱加工工程で形成するこ
とができる。この際、熱で樹脂を溶融させる必要があるので一般的には高温を必要とし、
重合性の反応性化合物の劣化が懸念される。
また、溶媒に溶かして基板の上に溶液を供給し、回転や機械的なならし作業で厚みを整
え、溶剤を除去した後に別の基板を重ねて張り合わせることでホログラム記録媒体の記録
層を形成することもできる。また、異なる基板の上で上記のように形成した後、一旦基板
から剥がして別の基板の上に移して別の基板と挟んで張り合わせることもできる。何れに
しても溶剤を除く必要があり、一回の操作で厚い膜を作るのは困難であり、複数回の作業
が必要になるので、経済的に懸念される。
熱可塑性樹脂の具体的な材料の例として、塩素化ポリエチレン、ポリメタクリル酸メチ
ル樹脂(PMMA)、メチルメタクリレートと他のアクリル酸アルキルエステルとの共重
合体、塩化ビニルとアクリロニトリルとの共重合体、ポリ酢酸ビニル樹脂(PVAC)、
ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルピロリドン、エチルセルロー
ルやニトロセルロールなどといったセルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネー
ト樹脂などを挙げることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用
してもよい。
これらの熱可塑性樹脂の溶剤としてはこれらを溶かすものであれば特に制約はないが、
アセトンやメチルエチルケトンといったケトン類、酢酸ブチルやプロピレングリコールメ
チルエーテルアセテートといったエステル類、トルエンやキシレンといった芳香族炭化水
素、テトラヒドロフランや1,2−ジメトキシエタンといったエーテル類、N,N−ジメ
チルアセトアミドやN−メチルピロリドンといったアミド類などを挙げることができる。
また、これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
1−3−2.熱硬化性樹脂
マトリックス樹脂として熱硬化性樹脂を用いる場合、硬化温度は架橋剤や触媒の種類で
多様性がある。
室温で硬化する官能基の組み合わせの例としては、エポキシとアミン、エポキシとチオ
ール、イソシアネートとアミンが代表的である。また、触媒を使う例としてエポキシとフ
ェノール、エポキシと酸無水物、イソシアネートとポリオールが代表的である。
前者は、混合すると直ちに反応するので簡便ではあるが、媒体のような成形を伴う場合
、時間的な余裕がないために調整が難しい。一方、後者は、触媒の種類と使用量を適宜選
ぶことで硬化温度や硬化時間を自由に選べるので光学媒体のような成形を伴いながらの硬
化には適当である。これらは低分子から高分子、様々な種類の樹脂原料が市販されている
ので、重合性の反応性化合物や触媒との相溶性や支持体との密着性等を維持しつつ選ぶこ
とができる。
以下に各原材料について、説明するが、いずれの原材料も、1種を単独で用いてもよく
、2種以上を併用してもよい。
<エポキシ>
エポキシとしては、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(
ポリ)テトラメチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等のポリオール
のポリグリシジルエーテル化合物、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エ
ポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル
−3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシレート等の4〜7員環の環状脂肪族
基を有する脂環式エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノ
ールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、フェノールまたはクレゾ
ールノボラック型エポキシ化合物等が挙げられる。
エポキシは、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するものが好ましいが、その種類は
特に制限されない。エポキシ基の数が少ないと、マトリックスとして必要な硬さが得られ
なくなる場合がある。1分子中のエポキシ基の数の上限は特に制限されないが、通常8以
下、中でも4以下が好ましい。エポキシ基の数が多過ぎると、エポキシ基の消費に多大な
時間を要しマトリックス樹脂の形成に時間がかかり過ぎる場合がある。
<アミン>
アミンとしては、第一級アミン基または第二級アミン基を含むものを用いることができ
る。このようなアミン類の例としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等やそ
の誘導体等の脂肪族ポリアミン、イソホロンジアミン、メンタンジアミン、N−アミノエ
チルピペラジン等やその誘導体等の脂環族ポリアミン、m−キシリレンジアミン、ジアミ
ノジフェニルメタン等やその誘導体等の芳香族ポリアミン、ダイマー酸等のジカルボン酸
と上述のポリアミンとの縮合物等のポリアミド、2−メチルイミダゾール等やその誘導体
等のイミダゾール化合物、これら以外にジシアンジアミド、アジピン酸ジヒドラジッド等
を挙げられることができる。
<チオール>
チオールとしては、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−
ブタンジチオール、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4
−ベンゼンジチオール、1,10−デカンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,
6−ヘキサンジチオール、1,9−ノナンジチオール等や、エポメートQX10(ジャパ
ンエポキシレジン社製)、エポメートQX11(ジャパンエポキシレジン社製)等のジチ
オール、チオコール(東レ・ファインケミカル社製)、カップキュア3−800(ジャパ
ンエポキシレジン社製)、エピキュアQX40(ジャパンエポキシレジン社製)等のポリ
チオール等のチオール化合物が挙げられる。中でも、エポメートQX10、エポメートQ
X11、カップキュア3−800、エピキュアQX40等の市販の速硬化性ポリチオール
が好適に用いられる。
<フェノール>
フェノールとしてビスフェノールA、ノボラック型のフェノール樹脂、レゾール型のフ
ェノール樹脂等が挙げられる。
<酸無水物>
酸無水物としては、一官能性の酸無水物として、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタ
ル酸等やその誘導体等、二官能性の酸無水物等として無水ピロメリット酸、無水ベンゾフ
ェノンテトラカルボン酸やその誘導体等が挙げられる。
<アミン、チオール、フェノール、酸無水物の使用量>
アミン、チオール、フェノール、酸無水物の使用量は、エポキシ基のモル数に対する割
合で、通常0.1当量以上、中でも0.7当量以上、また、通常2.0当量以下、中でも
1.5当量以下の範囲が好ましい。アミン、チオール、フェノール、酸無水物の使用量が
少な過ぎても多過ぎても、未反応の官能基数が多く、保存安定性を損なってしまう場合が
ある。
<触媒としての重合開始剤>
触媒として、硬化温度や硬化時間に応じてアニオン重合開始剤とカチオン重合開始剤を
使用することができる。
アニオン重合開始剤は、熱または活性エネルギー線照射によってアニオンを発生するも
のであり、例としてはアミン類等が挙げられる。アミン類の例としては、ジメチルベンジ
ルアミン、ジメチルアミノメチルフェノール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウ
ンデセン−7等のアミノ基含有化合物、およびこれらの誘導体;イミダゾール、2−メチ
ルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、および
その誘導体等が挙げられる。硬化温度や硬化時間に応じて1種あるいは複数使用しても良
い。
カチオン重合開始剤は、熱または活性エネルギー線照射によってカチオンを発生するも
のであり、例としては芳香族オニウム塩等が挙げられる。具体例としては、SbF
BF 、AsF 、PF 、CFSO 、B(C 等のアニオン成
分と、ヨウ素、硫黄、窒素、リン等の原子を含む芳香族カチオン成分とからなる化合物が
挙げられる。中でも、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルフォニウム塩等が好
ましい。硬化温度や硬化時間に応じて1種あるいは複数使用しても良い。
これらの開始剤の使用量は、マトリックス樹脂に対して、通常0.001重量%以上、
中でも0.01重量%以上、また、通常50重量%以下、中でも10重量%以下の範囲が
好ましい。これらの開始剤の使用量が過度に少ないと、開始剤の濃度が低過ぎるため、重
合反応に時間がかかり過ぎる場合がある。一方、開始剤の使用量が過度に多いと、重合反
応として、連続的な開環反応を生じなくなる場合がある。
<イソシアネート>
イソシアネートとしては、1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有するものが好ま
しいが、その種類は特に制限されない。1分子中のイソシアネート基の数が少ないと、マ
トリックス樹脂として必要な硬さが得られなくなる場合がある。1分子中のイソシアネー
ト基の数の上限は特に制限されないが、通常8以下、中でも4以下が好ましい。1分子中
のイソシアネート基の数が多過ぎると、イソシアネート基の消費に多大な時間を要しマト
リックス樹脂の形成に時間がかかり過ぎる場合がある。1分子中に2つ以上のイソシアネ
ート基を有するものであれば、その種類は特に制限されない。1分子中のイソシアネート
基の数の上限は特に制限されないが、通常20以下程度である。
本実施の形態で使用するイソシアネートの例としては、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、リジンメチルエステルジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジ
イソシアネート等の脂肪族イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−メ
チレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)等の脂環族イソシアネート;トリレンジイ
ソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネ
ート、ナフタレン−1,5’−ジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;およびこれ
らの多量体等が挙げられ、中でも3〜7量体が好ましい。
また、この他に、水、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の多価アルコ
ール類とこれら上記のイソシアネートとの反応物等やヘキサメチレンジイソシアネートの
多量体、若しくはその誘導体を挙げることができる。
本実施の形態で使用するイソシアネートの分子量は、数平均分子量で100以上500
00以下が好ましく、より好ましくは150以上10000以下、更に好ましくは150
以上5000以下である。数平均分子量が過度に小さいと、架橋密度が上がるためにマト
リックス樹脂の硬度が高くなりすぎ、記録速度が低下する可能性がある。また、数平均分
子量が過度に大きいと、他成分との相溶性が低下したり架橋密度が下がったりするために
、マトリックス樹脂の硬度が低くなりすぎ記録内容が消失する場合がある。
<ポリオール>
本発明に係る、イソシアネート反応性官能基を有する化合物として、ポリオールが挙げ
られる。
ポリオールとしては、ポリプロピレンポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポ
リエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
(ポリプロピレンポリオール)
ポリプロピレンポリオールは、プロピレンオキシドと、ジオールまたは多価アルコール
との反応によって得られる。ジオールまたは多価アルコールとしては、例えば、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオー
ル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチル
グリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロ
ヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラ
メチレングリコール等が挙げられる。ポリプロピレンポリオールとして市販されているも
のでは、ニューポールGP400、GP1000(いずれも三洋化成社製、商品名)、アデ
カポリエーテルG400、G700、G1500(いずれもアデカ社製、商品名)等があ
る。
(ポリカプロラクトンポリオール)
ポリカプロラクトンポリオールは、ラクトンと、ジオールまたは多価アルコールとの反
応によって得られる。ラクトンとしては、例えば、α−カプロラクトン、β−カプロラク
トン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−ε−カプロラクトン、β
−メチル−ε−カプロラクトン等が挙げられる。
ジオールまたは多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレング
リコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−
ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレング
リコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、デ
カメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙
げられる。
ε−カプロラクトンの反応から得られるポリカプロラクトンポリオールとして市販され
ているものでは、プラクセル205、プラクセル210、プラクセル220、プラクセル
230、プラクセル240、プラクセル303、プラクセル305、プラクセル308、
プラクセル312、プラクセル320(いずれもダイセル化学工業株式会社製、商品名)
等がある。
(ポリエステルポリオール)
ポリエステルポリオールとしては、ジカルボン酸またはそれらの無水物とポリオールと
を重縮合させて得られたものが挙げられる。
ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、
ダイマー酸、無水マレイン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等が挙げら
れる。
ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−
ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,4−
シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
このようなポリエステルポリオールとしては、例えば、ポリエチレンアジペート、ポリ
ブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート等がある。ポリエステルポリオール
として市販されているものでは、アデカニューエースFシリーズ、アデカニューエースY
シリーズ、アデカニューエースNSシリーズ(アデカ株式会社製、商品名)等、クラレポ
リオールN−2010、P−4011、P−1020(いずれもクラレ株式会社製、商品
名)等、C−1000、C−1066、U−21、U−24、U−53、U−253、U
−502、U−118A(いずれも三井化学ポリウレタン株式会社製、商品名)等がある
(ポリカーボネートポリオール)
ポリカーボネートポリオールとしては、グリコール類とジアルキルカーボネート(例え
ば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等)との脱アルコール縮合反応で得ら
れるもの、グリコール類とジフェニルカーボネート類との脱フェノール縮合反応で得られ
るもの、グリコール類とカーボネート類(例えば、エチレンカーボネート、ジエチルカー
ボネート等)との脱グリコール縮合反応で得られるもの等が挙げられる。
グリコール類としては、例えば、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、
プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5ペンタンジオール
、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール、あるいは、1,4−シクロヘキサンジオ
ール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環ジオールが挙げられる。
例えば、1,6−ヘキサンジオールとジエチルカーボネートとの縮合反応によって得ら
れるポリ(ヘキサメチレンカーボネート)ポリオール、ペンタンジオールとジエチルカー
ボネートとの縮合反応によって得られるポリ(ペンチレンカーボネート)、1,4−ブタ
ンジオールとジエチルカーボネートとの縮合反応によって得られるポリ(ブチレンカーボ
ネート)等がある。
ポリカーボネートポリオールとして市販されているものでは、プラクセルCD CD2
05、プラクセルCD CD210、プラクセルCD CD220(いずれもダイセル化
学工業株式会社製、商品名)等、PCDL T5651,PCDL T5652、PCD
L T5650J(いずれも旭化成株式会社製、商品名)等がある。
(ポリオールの分子量)
以上に説明したポリオールの分子量は、数平均分子量で100以上50000以下が好
ましく、より好ましくは150以上10000以下、更に好ましくは150以上5000
以下である。数平均分子量が過度に小さいと、架橋密度が上がるためにマトリックス樹脂
の硬度が高くなりすぎ、記録速度が低下する可能性がある。また、数平均分子量が過度に
大きいと、他成分との相溶性が低下したり架橋密度が下がったりすることによりマトリッ
クス樹脂の硬度が低くなりすぎ記録内容が消失する場合がある。
<その他の成分>
本実施の形態におけるマトリックス樹脂は、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、上
述の各成分以外に、他の成分を含有していてもよい。
このような他の成分としては、例えば、マトリックス樹脂の物性を変える目的で用いら
れる、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−
ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール
、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、
1,4−シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、トリメチロールプロパ
ン、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のヒドロキシル基を有す
る化合物が挙げられる。
<触媒>
さらに、イソシアネート基を有する化合物及びイソシアネート反応性官能基を有する化
合物の反応を促進するために、適当な触媒を含んでいても良い。そのような触媒の例とし
て、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−1−ブタンスルホン酸
、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムp−トルエンスルホン酸、ビス(4−t−
ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホン酸、(4−ブロモフェニル)
ジフェニルスフホニウムトリフラート、(4−t−ブチルフェニル)ジ フェニルスルホニ
ウムトリフルオロメタンスルホン酸、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−1−ブタン
スルホン酸、(4−フルオロフェニル)ジフェニルス ルホニウムトリフルオロメタンスル
ホン酸、ジフェニル−4−メチルフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホン酸、
トリフェニルスルホニウムトリフル オロメタンスルホン酸、ビス(アルキルフェニル)
ヨードニウムヘキサフルオロホスホン酸などのオニウム塩類、塩化亜鉛、塩化すず、塩化
鉄、塩化アルミニウ ム、BF、などのルイス酸を主成分にした触媒、塩酸、リン酸、
などのプロトン酸、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ジメ
チルベンジルアミン、ジアザビシクロウンデセンなどのアミンルイ、2−メチルイミダゾ
ール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、トリメリット酸1−シアノエチル−2−ウ
ンデシルイミダゾリルウム、などのイミダゾール類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム
、炭酸カリウムなどの塩基類、ジブチルスズラウレート、ジオクチルスズラウレート、ジ
ブチルスズオクトエートなどのスズ触媒、トリス(2−エチルヘキサナート)ビスマス、
トリベンゾイルオキシビスマスなどのビスマス触媒、テトラキス(エチルアセトアセテー
ト)ジルコニウム、1,1’−イソプロピリデンジルコノセンジクロリド、テトラキス(
2,4−ペンタンジオナト)ジルコニウムなどのジルコニウム触媒、などが挙げられる。
なかでも、保存安定性の向上のために、ビスマス触媒、ジルコニウム触媒が好ましい。
ビスマス系触媒としては、ビスマス元素を含有する触媒であって、イソシアネート基を
有する化合物及びイソシアネート反応性官能基を有する化合物の反応を促進する化合物で
あれば特に制限はない。
ビスマス系触媒の例として、トリス(2−エチルヘキサナート)ビスマス、トリベンゾ
イルオキシビスマス、三酢酸ビスマス、トリス(ジメチルジオカルバミン酸)ビスマス、
水酸化ビスマス、トリフェニルビスマス(V)ビス(トリクロロアセタート)、トリス(
4−メチルフェニル)オキソビスマス(V)、トリフェニルビス(3−クロロベンゾイル
オキシ)ビスマス(V)等が挙げられる。
中でも触媒活性の点から3価のビスマス化合物が好ましく、カルボン酸ビスマス、一般
式Bi(OCOR)(Rは直鎖、分岐のアルキル基、シクロアルキル基、あるいは置換
または無置換の芳香族基)で表されるものがより好ましい。上記のビスマス系触媒は、何
れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよ
い。
ジルコニウム系触媒としては、ジルコニウム元素を含有する触媒であって、イソシアネ
ート基を有する化合物及びイソシアネート反応性官能基を有する化合物の反応を促進する
化合物であれば特に制限はない。
その例として、シクロペンタジエニルジルコニウムトリクロリド、デカメチルジルコノ
センジクロリド、1,1‘−ジブチルジルコノセンジクロリド、1,1’−イソプロピリ
デンジルコノセンジクロリド、テトラキス(2,4−ペンタンジオナト)ジルコニウム、
テトラキス(トリフルオロー2,4−ペンタンジオナト)ジルコニウム、テトラキス(ヘ
キサフルオロー2,4−ペンタンジオナト)ジルコニウム、ジルコニウムブトキシド、ジ
ルコニウムーt−ブトキシド、ジルコニウムプロポキシド、ジルコニウムイソプロポキシ
ド、ジルコニウムエトキシド、ビス(エチルアセトアセテート)ジブトキシジルコニウム
、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、酸化ジルコニウム、酸化バリウ
ムジルコニウム、酸化カルシウムジルコニウム、臭化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、
フッ化ジルコニウム、2塩化(インデニル)ジルコニウム、炭酸ジルコニウムなどが挙げ
られる。
中でもその他の成分との相溶性の面から有機配位子を有する化合者が好ましく、アルコ
キシド、又はアセチルアセトナート(2,4-ペンタンジオナト)構造を有する化合物よ
り好ましい。上記のジルコニウム化合物は、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以
上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ビスマス系触媒とジルコニウム系触媒はそれぞれ単独で使用してもよく、また混合して
使用してもよい。
触媒の使用量は、マトリックス樹脂に対する比率で、通常0.0001重量%以上、中
でも0.001重量%以上、また、通常10重量%以下、中でも5重量%以下の範囲が好
ましい。触媒の使用量が過度に少ないと、硬化に時間がかかりすぎる場合がある。一方、
使用量が過度に多いと、硬化反応の制御が困難になる場合がある。
触媒を使うことにより室温で硬化させることができるが、温度をかけて硬化させても良
い。この時の温度としては40℃から90℃の間が好ましい。
1−3−3.光硬化性樹脂
マトリックス樹脂として光硬化性樹脂を用いる場合、使う波長に応じたマトリックス樹
脂用光開始剤を使用して硬化させる必要がある。光照射する間に硬化することで成形や接
着に支障を生じる事から、主に作業する温度である室温付近では安定な硬化反応であるこ
とが望ましい。この事から考えると、マトリックス樹脂用光開始剤による触媒的な硬化が
望ましい選択であると言える。
マトリックス樹脂用光開始剤から光照射によって、カチオン、アニオンの何れかの活性
基質が生成する場合が一般的である。よってこれらの活性基質により硬化を起こすものを
選んで硬化させてマトリックス樹脂とするのが良いと考えられる。
プロトン等のカチオンに対して反応する官能基として、エポキシ基、オキセタニル基を
挙げることができる。これらを有する化合物として具体的には、エポキシ基を有するもの
として(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)テトラメ
チレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等のポリオールのポリグリシジ
ルエーテル化合物、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘ
キサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポ
キシ−1−メチルヘキサンカルボキシレート等の4〜7員環の環状脂肪族基を有する脂環
式エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキ
シ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、フェノールまたはクレゾールノボラック
型エポキシ化合物等が挙げられる。オキセタニル基を有するものとしてビスフェノールA
の2−エチル−2−オキセタニルエーテル、1,6−ビス(2−エチル−2−オキセタニ
ルオキシ)へキサン等を挙げることができる。(尚、ここで「(ポリ)エチレングリコー
ル」等の記載は、「エチレングリコール」とその重合体の「ポリエチレングリコール」と
の両方をさす。)
アニオンに対して反応する官能基として、エポキシ基やエピスルフィド基を挙げること
ができる。エピスルフィド基を有する化合物として具体的には、フェニルエピスルフィド
、ビスフェノールAのジエピスルフィドメチルエーテル等を挙げることができる。
上述したマトリックス樹脂を光硬化させる場合に使用されるマトリックス樹脂用光開始
剤の使用量は、重合性化合物に対する比率で、通常0.01重量%以上、中でも0.1重
量%以上、また、通常1重量%以下、中でも30重量%以下の範囲が好ましい。マトリッ
クス樹脂用光開始剤の使用量が過度に少ないと、硬化に時間がかかりすぎる場合がある。
一方、使用量が過度に多いと、硬化反応の制御が困難になる場合がある。
また、記録するときにも光を照射するので硬化する時の波長と記録する時の波長が異な
ることが重要であり、波長の差としては小さくとも10nm、好ましくは30nmである
。マトリックス樹脂用光開始剤の選択は概ね開始剤の吸収波長から予想することができる
1−4.その他の成分
本発明のホログラム記録媒体用組成物は、本発明の主旨に反しない限りにおいて、上述
の成分の他に、その他の成分を含有していてもよい。
その他の成分としては、ホログラム記録媒体の記録層を調製するための、溶媒、可塑剤
、分散剤、レベリング剤、消泡剤、接着促進剤など、記録の反応制御のための、連鎖移動
剤、重合停止剤、相溶化剤、反応補助剤、増感剤など、その他の特性改良上必要とされ得
る添加剤の例として防腐剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等などが挙げられる。こ
れらの成分はいずれか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率
で併用してもよい。
<増感剤>
光重合開始剤の励起を制御する化合物を添加することができる。この場合の例として、
増感剤、増感補助剤等が挙げられる。
増感剤としては、公知の各種の増感剤の中から、任意のものを選択して用いることがで
きるが、一般に増感剤としては、可視および紫外のレーザ光を吸収するために、色素等の
有色化合物が用いられる場合が多い。記録に使用するレーザ光の波長と使用する開始剤の
種類にもよるが、緑色レーザを用いる系の場合、好ましい増感剤の具体例としては、特開
平5−241338号公報、特開平2−69号公報、特公平2−55446号公報等に記
載されている化合物が、青色レーザを用いる系の場合は、特開2000−10277号公
報、特開2004−198446号公報等に記載されている化合物が挙げられる。上記例
示の各種の増感剤は、何れか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせお
よび比率で併用してもよい。
尚、得られるホログラム記録媒体に無色透明性が要求される場合には、増感剤としてシ
アニン系色素を使用することが好ましい。即ち、シアニン系色素は一般に光によって分解
し易いため、後露光を行なう、即ち、室内光や太陽光の下に数時間から数日放置すること
で、ホログラム記録媒体中のシアニン系色素が分解されて可視域に吸収を持たなくなり、
無色透明なホログラム記録媒体が得られる。
増感剤の量は、形成される記録層の厚さによって増減する必要があるが、光重合開始剤
に対する比率で、通常0.01重量%以上、中でも0.1重量%以上、また、通常10重
量%以下、中でも5重量%以下の範囲とすることが好ましい。増感剤の使用量が少な過ぎ
ると、開始効率が低下し、記録に多大な時間を要する場合がある。一方、増感剤の使用量
が多過ぎると、記録や再生に使用する光の吸収が大きくなり、深さ方向へ光が届き難くな
る場合がある。2以上の増感剤を併用する場合には、それらの合計量が上記範囲を満たす
ようにする。
<可塑剤>
反応効率の向上や記録層の物性調整のための可塑剤を用いることができる。
可塑剤の例としては、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデ
シル、フタル酸ジウンデシルなどのフタル酸エステル類、アジピン酸ビス(2−エチルヘ
キシル)、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジ−n−ブチルなどのアジピン酸エステ
ル類、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチルなどのセバシン酸エステル類、リン酸
トリクレシルなどのリン酸エステル類、アセチルクエン酸トリブチルなどのクエン酸エス
テル類、トリメリット酸トリオクチルなどのトリメリット酸エステル類、エポキシ化大豆
油、塩素化パラフィン、アセトキシメトキシプロパンなどのアルコキシ化(ポリ)アルキ
レングリコールエステル、ジメトキシポリエチレングリコールなどの末端アルコキシ化ポ
リアルキレングリコールなどが挙げられる。
これらの可塑剤はホログラム記録媒体用組成物の全固形分に対する比率で通常0.01
重量%以上50重量%以下、好ましくは0.05重量%以上20重量%以下の範囲で用い
られる。これらの可塑剤の使用量がこれより少ないと、反応効率の向上や物性の調整に対
する効果が発揮されず、これより多いと記録層の透明性が低下したり、可塑剤のブリード
アウトが顕著になったりして好ましくない。
<レベリング剤>
レベリング剤を用いることができる。レベリング剤はポリカルボン酸ナトリウム塩、ポ
リカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アミン塩、シリコン系レベリング剤、アク
リル系レベリング剤、エステル化合物、ケトン化合物、フッ素化合物などがあげられる。
これらの化合物はいずれか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び
比率で併用してもよい。
<連鎖移動剤>
連鎖移動剤をもちいることができる。連鎖移動剤は、亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸
ナトリウム等のホスフィン酸塩類、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2−プロ
パンチオール、2−メルカプトエタノール、チオフェノール等のメルカプタン類、アセト
アルデヒド、プロピオンアルデヒド等のアルデヒド類、アセトン、メチルエチルケトン等
のケトン類、トリクロロエチレン、パークロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類、テル
ピノレン、α−テルピネン、β−テルピネン、γ−テルピネン等のテルペン類、1、4−
シクロヘキサジエン、1,4−シクロヘプタジエン、1,4−シクロオクタジエン、1、
4−ヘプタジエン、1,4−ヘキサジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、3,6
−ノナンジエン−1−オール、9,12−オクタデカジエノール等の非共役ジエン類、リ
ノレン酸、γ−リノレン酸、リノレン酸メチル、リノレン酸エチル、リノレン酸イソプロ
ピル、リノレン酸無水物等のリノレン酸類、リノール酸、リノール酸メチル、リノール酸
エチル、リノール酸イソプロピル、リノール酸無水物等のリノール酸類、エイコサペンタ
エン酸、エイコサペンタエン酸エチル等のエイコサペンタエン酸類、ドコサヘキサエン酸
、ドコサヘキサエン酸エチル等のドコサヘキサエン酸類、等が挙げられる。
これらの添加剤の使用量は、本実施の形態のホログラム記録媒体用組成物の全固形分に
対する比率で、通常0.001重量%以上、中でも0.01重量%以上、また、通常30
重量%以下、中でも10重量%以下の範囲とすることが好ましい。2以上の添加剤を併用
する場合には、それらの合計量が上記範囲を満たすようにする。
1−5.ホログラム記録媒体用組成物における各成分の組成比
本発明のホログラム記録媒体用組成物における各成分の使用量は、本発明の主旨に反し
ない限り任意である。以下に示す各成分の割合は、ホログラム記録媒体用組成物の全質量
を基準に以下の範囲であることが好ましい。
重合性反応基を有する化合物の使用量は好ましくは0.1質量%以上であり、さらに好
ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上である。また、好ましくは80質量
%以下であり、さらに好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下である
。重合性反応基を有する化合物の量が上記の下限値より多いことで、ホログラム記録媒体
において十分な回折効率が得られ、上記の上限値より少ないことで記録層における樹脂マ
トリックスとの相溶性が保たれ、記録による記録層の収縮が低く保たれる傾向にある。
光重合開始剤の使用量は好ましくは0.001質量%以上、さらに好ましくは0.01
質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下であ
る。本発明の式(1)で表される化合物を含む光重合開始剤の量が適当な範囲にあること
により、ホログラム記録媒体において十分な記録感度が得られる傾向にある。
マトリックスを構成するための材料の使用量は、合計で通常0.1質量%以上であり、
好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは35質量%以上である。また、通常99.
9質量%以下であり、好ましくは99質量%以下である。この使用量を上記の下限値以上
とすることで、記録層を形成することが容易となる。
2種類の官能基を縮合させてマトリックスを形成する場合、それぞれの反応性官能基数
の比は0.1以上が好ましく、より好ましくは0.5以上である。また、通常10.0以
下であり、好ましくは2.0以下である。この比率が上記範囲内となることで、未反応の
官能基が少なく、保存安定性が向上する。
本発明において、2種類の官能基を縮合させてマトリックスを形成する場合、縮合反応
に関与する触媒の使用量は、用いる官能基間の反応速度を考慮して決定することが好まし
く、好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは4質量%以下、より好ましくは1質量%
以下である。また、0.005質量%以上用いることが好ましい。
上記成分以外の、その他の成分の総量は、30質量%以下であればよく、15質量%以
下が好ましく、5質量%がより好ましい。
1−6.ホログラム記録媒体用組成物及びホログラム記録媒体の製造方法
本発明において、重合性反応基を有する化合物、及び光重合開始剤を含むホログラム記
録媒体用組成物の製造方法は特に限定されず、混合する順序等も適宜調整することができ
る。また、上記以外の成分をホログラム記録媒体用組成物が含む場合、各成分はどのよう
な組み合わせ、順序で混合してもよい。
本発明のホログラム記録媒体用組成物は、例えば以下のような方法で得ることができる
が、本発明はこれに限定されるものではない。
重合性反応基を有する化合物、及び光重合開始剤に加え、イソシアネート反応性官能基
を有する化合物及び触媒以外の全ての成分を混合し、ホログラム記録媒体用組成物(A液
)とする。イソシアネート反応性官能基を有する化合物及び触媒を混合したものをB液と
する。それぞれの液は脱水・脱気を行うことが好ましい。
または、重合性反応基を有する化合物、及び光重合開始剤に、イソシアネート基を有す
る化合物以外のすべての成分を混合し、ホログラム記録媒体用組成物(A液)とすること
もできる。
脱水・脱気が不十分であると、媒体作製時に気泡が生成し、均一な記録層を得ることが
できないことがある。この脱水・脱気の際には各成分を損なわない限り、加熱、減圧を行
ってもよい。
A液及びB液を混合したホログラム記録媒体用組成物の製造は、ホログラム記録媒体の
成形直前に行うことが好ましい。この際、従来法による混合技術を用いることも可能であ
る。また、A液及びB液の混合時には、残留ガスの除去のために、必要に応じて脱気を行
ってもよい。さらにA液とB液はそれぞれ、又は混合後に異物、不純物を取り除くために
、ろ過工程を経ることが好ましく、それぞれの液を別々にろ過することがより好ましい。
また、イソシアネート基を有する化合物として、過剰のイソシアネート基を有する化合
物とイソシアネート反応性官能基を有する化合物の反応による、イソシアネート官能性プ
レポリマーを使用することもできる。さらにイソシアネート反応性官能基を有する化合物
として過剰のイソシアネート反応性官能基を有する化合物とイソシアネート基を有する化
合物との反応による、イソシアネート反応性プレポリマーを使用することもできる。
2.本発明のホログラム記録媒体について
本発明のホログラム記録媒体は、記録層と、必要に応じて、更に支持体やその他の層を
備える。通常、ホログラム記録媒体は支持体を有し、記録層やその他の層は、この支持体
上に積層されてホログラム記録媒体を構成する。ただし、記録層又はその他の層が、ホロ
グラム記録媒体に必要な強度や耐久性を有する場合には、ホログラム記録媒体は支持体を
有していなくてもよい。その他の層の例としては、保護層、反射層、反射防止層(反射防
止膜)等が挙げられる。
2−1.記録層
本発明のホログラム記録媒体の記録層は、本発明のホログラム記録媒体用組成物により
形成される層であり、情報が記録される層である。情報は通常、ホログラムとして記録さ
れる。記録方法の項に後述するとおり、該記録層中に含まれる重合性反応基を有する化合
物(以下、重合性モノマーと記載)は、ホログラム記録などによってその一部が重合等の
化学的な変化を生じるものである。従って、記録後のホログラム記録媒体においては、重
合性モノマーの一部が消費され、重合体など反応後の化合物として存在する。
記録層の厚みには特に制限は無く、記録方法等を考慮して適宜定めればよいが、好まし
くは1μm以上、さらに好ましくは10μm以上であり、また、好ましくは1cm以下、
さらに好ましくは3mm以下である。記録層の厚みを上記の下限値以上とすることで、ホ
ログラム記録媒体における多重記録の際、各ホログラムの選択性が高くなり、多重記録の
度合いを高くすることができる傾向にある。また、記録層の厚みを上記の上限値以下とす
ることで、記録層全体を均一に成形することが可能となり、各ホログラムの回折効率が均
一で且つS/N比の高い多重記録を行うことができる傾向にある。
また、情報の記録、再生の際の露光による記録層の収縮率が、記録再現性の点から0.
25%以下であることが好ましい。
2−2.支持体
支持体は、ホログラム記録媒体に必要な強度及び耐久性を有しているものであれば、そ
の詳細に特に制限はなく、任意の支持体を使用することができる。また、支持体の形状に
も制限は無いが、通常は平板状又はフィルム状に形成される。また、支持体を構成する材
料にも制限は無く、透明であっても不透明であってもよい。
支持体の材料として透明なものを挙げると、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、
ポリエチレンナフトエート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、アモル
ファスポリオレフィン、ポリスチレン、ポリシクロオレフィン、酢酸セルロース等の有機
材料;ガラス、シリコン、石英等の無機材料が挙げられる。この中でも、ポリカーボネー
ト、アクリル、ポリエステル、アモルファスポリオレフィン、ガラス等が好ましく、特に
、ポリカーボネート、アクリル、アモルファスポリオレフィン、ポリシクロオレフィン、
ガラスがより好ましい。
一方、支持体の材料として不透明なものを挙げると、アルミニウム等の金属、前記の透
明支持体上に金、銀、アルミニウム等の金属、又は、フッ化マグネシウム、酸化ジルコニ
ウム等の誘電体をコーティングしたものなどが挙げられる。
支持体の厚みにも特に制限は無いが、0.05mm以上、1mm以下の範囲とすること
が好ましい。支持体の厚みが上記の下限値以上となることで、ホログラム記録媒体の機械
的強度を得ることができ、基板の反りを防止できる。また支持体の厚みが上記の上限値以
下となることで、光の透過量の増加、ホログラム記録媒体の重量やコストの削減等の利点
が得られる。
また、支持体の表面に表面処理を施してもよい。この表面処理は、通常、支持体と記録
層との接着性を向上させるためになされる。表面処理の例としては、支持体にコロナ放電
処理を施したり、支持体上に予め下塗り層を形成したりすることが挙げられる。ここで、
下塗り層の組成物としては、ハロゲン化フェノール、又は部分的に加水分解された塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
更に、表面処理は、接着性の向上以外の目的で行なってもよい。その例としては、例え
ば、金、銀、アルミニウム等の金属を素材とする反射コート層を形成する反射コート処理
や、フッ化マグネシウムや酸化ジルコニウム等の誘電体層を形成する誘電体コート処理等
が挙げられる。また、これらの層は、単層で形成してもよく、2層以上を形成してもよい
また、これらの表面処理は、基板の気体や水分の透過性を制御する目的で設けても良い
。例えば記録層を挟む支持体にも気体や水分の透過性を抑制する働きを持たせることによ
り、ホログラム記録媒体の信頼性を向上させうる。
また、支持体は、本発明のホログラム記録媒体の記録層の上側及び下側の何れか一方に
のみ設けてもよく、両方に設けてもよい。但し、記録層の上下両側に支持体を設ける場合
、支持体の少なくとも何れか一方は、活性エネルギー線(情報光、参照光、再生光など)
を透過させるように、透明に構成する。本発明において透明であるとは、情報光の波長領
域における透過率が50%以上、好ましくは80%以上であることをいう。
また、記録層の片側又は両側に支持体を有するホログラム記録媒体の場合、透過型又は
反射型のホログラムが記録可能である。また、記録層の片側に反射特性を有する支持体を
用いる場合は、反射型のホログラムが記録可能である。
更に、支持体にデータアドレス用のパターニングを設けてもよい。この場合のパターニ
ング方法に制限は無いが、例えば、支持体自体に凹凸を形成してもよく、後述する反射層
にパターンを形成してもよく、これらを組み合わせた方法により形成してもよい。
2−3.保護層
保護層は、記録再生特性の劣化等を防止するための層である。保護層の具体的構成に制
限は無く、公知のものを任意に適用することが可能である。例えば、水溶性ポリマー、有
機/無機材料等からなる層を保護層として形成することができる。
保護層の形成位置は、特に制限はなく、例えば記録層表面や、記録層と支持体との間に
形成してもよく、また支持体の外表面側に形成してもよい。また支持体と他の層との間に
形成してもよい。
2−4.反射層
反射層は、ホログラム記録媒体を反射型に構成する際に形成される。反射型のホログラ
ム記録媒体の場合、反射層は支持体と記録層との間に形成されていてもよく、支持体の外
側面に形成されていてもよいが、通常は、支持体と記録層との間にあることが好ましい。
反射層としては、公知のものを任意に適用することができ、例えば金属の薄膜等を用い
ることができる。
2−5.反射防止膜
透過型及び反射型の何れのホログラム記録媒体についても、情報光、参照光及び再生光
が入射及び出射する側や、あるいは記録層と支持体との間に、反射防止膜を設けてもよい
。反射防止膜は、光の利用効率を向上させ、かつノイズの発生を抑制する働きをする。
反射防止膜としては、公知のものを任意に用いることができる。
2−6.ホログラム記録媒体の製造方法
本発明のホログラム記録媒体の製造方法に制限は無い。例えば、無溶剤で支持体上に本
発明のホログラム記録媒体用組成物を塗布し、記録層を形成して製造することができる。
この際、塗布方法としては任意の方法を使用することができる。具体例を挙げると、スプ
レー法、スピンコート法、ワイヤーバー法、ディップ法、エアーナイフコート法、ロール
コート法、及びブレードコート法、ドクターロールコート法などが挙げられる。また、記
録層の形成に際し、特に膜厚の厚い記録層を形成する場合、型に入れて成型する方法や、
離型フィルム上に塗工して型を打ち抜く方法を用いることもできる。また、本発明のホロ
グラム記録媒体用組成物と溶剤又は添加剤とを混合して塗布液を調製し、これを支持体上
に塗布、乾燥して記録層を形成して製造しても良い。この場合も塗布方法としては任意の
方法を使用することができ、例えば、上述したのと同様の方法を採用することができる。
また、用いる溶剤に制限はないが、通常は、使用成分に対して十分な溶解度を持ち、良
好な塗膜性を与え、樹脂基板等の支持体を侵さないものを使用することが好ましい。溶剤
は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い
。また、溶剤の使用量に制限は無い。ただし、塗布効率、取り扱い性の面から、固形分濃
度1%〜100重量%程度の塗布液を調製することが好ましい。
溶剤の例を挙げると、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シク
ロヘキサノン、メチルアミルケトン等のケトン系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族系
溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、ヘプタノール、ヘキサ
ノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール等のアルコール系溶剤;ジアセト
ンアルコール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン等のケトンアルコール系溶剤
;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;ジクロロメタン、ジクロロエタ
ン、クロロホルム等のハロゲン系溶剤;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセ
ロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系
溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエー
テル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエー
テルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリ
コールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のプ
ロピレングリコール系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸ブチル、エチレ
ングリコールジアセテート、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル−2−ヒ
ドロキシブチレートエチルアセトアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、2−ヒドロキシ
イソ酪酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル等のエステル系溶剤;テトラフルオロ
プロパノール、オクタフルオロペンタノール、ヘキサフルオロブタノール等のパーフルオ
ロアルキルアルコール系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチ
ルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の高極性溶剤;n−ヘキサン、n−オクタン等の
鎖状炭化水素系溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、
ジメチルシクロヘキサン、n−ブチルシクロヘキサン、tert−ブチルシクロヘキサン
、シクロオクタン等の環状炭化水素系溶剤;或いはこれらの混合溶剤などが挙げられる。
ホログラム記録媒体の製造方法としては、例えば、熱により融解したホログラム記録媒
体用組成物を支持体に塗布し、冷却して固化させて記録層を形成して製造する方法、液状
のホログラム記録媒体用組成物を支持体に塗布し、熱重合させることで硬化させて記録層
を形成して製造する方法、液状のホログラム記録媒体用組成物を支持体に塗布し、光重合
させることで硬化させて記録層を形成して製造する方法なども挙げられる。
このようにして製造されたホログラム記録媒体は、自立型スラブ又はディスクの形態を
とることができ、三次元画像表示装置や回折光学素子、及び大容量メモリ、その他に使用
できる。
2−7.情報の記録・再生方法
本発明のホログラム記録媒体に対する情報の記録及び再生は、何れも光の照射によって
行なわれる。
例えば、情報を体積ホログラムとして記録する場合には、ホログラム記録媒体に記録す
る情報を含む情報光を参照光と共に記録層に対して照射し、記録層において情報光と参照
光とを交差させる。これによって生じた光強度の強弱からなる干渉縞が、記録層内の重合
性モノマーの重合及び濃度変化を生じさせ、結果として、記録層内に干渉縞に対応した回
折格子が形成されることにより、前記の記録層内にホログラムとして記録される。
一方、記録層に記録されたホログラムを再生する場合は、所定の参照光を記録層に照射
する。照射された参照光は前記回折格子によって回折され、再生光として再生される。こ
の再生光は前記情報光に相当する光であるので、前記再生光を適当な検出手段によって読
み取ることにより、記録層に記録された情報の再生を行うことができる。なお、情報光及
び参照光の波長領域はそれぞれの用途に応じて任意であり、可視光領域でも紫外領域でも
構わない。これらの光源として好適なものとしては、例えば、ルビー、ガラス、Nd−Y
AG、Nd−YVO等の固体レーザ;GaAs、InGaAs、GaN等のダイオード
レーザ;ヘリウム−ネオン、アルゴン、クリプトン、エキシマ、CO等の気体レーザ;
色素を有するダイレーザ等の、単色性と指向性に優れたレーザ等が挙げられる。
また、情報光及び参照光の照射量には何れも制限は無く、記録及び再生が可能な範囲で
あればその照射量は任意である。但し、極端に少ない場合には重合性モノマーの化学変化
が不十分となり、記録層の耐熱性、機械特性が十分に発現されない可能性があり、逆に極
端に多い場合は、記録層の成分(本発明のホログラム記録媒体用組成物の成分)が光劣化
する可能性がある。従って、情報光及び参照光は、記録層の形成に用いた本発明のホログ
ラム記録媒体用組成物の組成や、光重合開始剤の種類、及び配合量等に合わせて、通常0
.05J/cm以上、20J/cm以下の範囲で照射する。
また、ホログラム記録方式としては、偏光コリニアホログラム記録方式、参照光入射角
多重型ホログラム記録方式等があるが、本発明のホログラム記録媒体を記録媒体として使
用する場合にはいずれの記録方式でも良好な記録品質を提供することが可能である。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を逸脱しな
い限り、以下の実施例に限定されるものではない。以下、各化合物について、合成過程を
含む化学式を添付しながら合成方法について詳述する。
[実施例1]
Figure 2019147789
化合物1(3.0g、15mmol)を塩化メチレン50mLに溶かし、5℃で化合物2(2.5g
、15mmol)を加えた。さらに塩化アルミニウム(2.1g、15mmol)をこの溶液に分割
して添加した。反応終了後、反応溶液を氷水に注ぎ、クロロホルムで抽出、有機層を食塩
水で洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後に溶媒を減圧下除去し、得られた粗生成物
をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、化合物3を得た。
Figure 2019147789
化合物1を化合物3に、化合物2を化合物4に変更したほかは合成例1の化合物3の合
成方法と同様にして化合物5を得た。
Figure 2019147789
化合物5(1.4g、3.6mmol)を塩化メチレン23mLに溶かし、2M塩酸エーテル溶液
(7.2mL)を加えた。この反応溶液を5℃に冷却し、亜硝酸イソアミル(0.47g、4.0mm
ol)を添加した。この反応混合物を化合物5が消失するまで5℃で撹拌した後、水を加
えて反応停止した。酢酸エチルで抽出し、有機層を炭酸ナトリウム水溶液、食塩水で洗浄
、硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後に溶媒を減圧下除去し、化合物6を得た。精製せず
に得られた粗生成物をそのまま次工程で用いた。
Figure 2019147789
化合物6(1.5g、3.6mmol)を塩化メチレン17mLに溶かし、トリエチルアミン(1
.0mL、7.2mmol)を加えた。さらに化合物7(1.1mL、5.4mmol)を滴下した。
滴下後、反応溶液を室温で一晩撹拌した。反応溶液に水を加え反応停止した。酢酸エチ
ルで抽出し、有機層を重曹水で洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥させた。ろ過後に溶媒を減圧
下除去し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物8(実施例1
)を得た。
[実施例2]
Figure 2019147789
化合物4を化合物9に変更したほかは合成例1の化合物5の合成方法と同様にして化合
物10を得た。
Figure 2019147789
化合物5を化合物10に変更した以外は合成例1の化合物6の合成方法と同様にして、
化合物11を得た。
Figure 2019147789
化合物6を化合物11に変更した以外は合成例1の化合物8の合成方法と同様にして、
化合物12(実施例2)を得た。
[実施例3]
Figure 2019147789
化合物2を化合物13に、塩化アルミニウムを塩化亜鉛に変更した以外は合成例1の化
合物3の合成と同様にして、化合物14を得た。
Figure 2019147789
化合物1を化合物14に変更した以外は合成例1の化合物3の合成と同様にして、化合
物15を得た。
Figure 2019147789
化合物5を化合物15に変更した以外は合成例1の化合物6の合成方法と同様にして、
化合物16を得た。
Figure 2019147789
化合物6を化合物16に変更した以外は合成例1の化合物8の合成方法と同様にして、
化合物17(実施例3)を得た。
[実施例4]
Figure 2019147789
化合物2を化合物18に変更した以外は合成例1の化合物3の合成と同様にして、化合
物19を得た。
Figure 2019147789
化合物1を化合物19に変更した以外は合成例1の化合物3の合成と同様にして、化合
物20を得た。
Figure 2019147789
化合物5を化合物20に変更した以外は合成例1の化合物6の合成方法と同様にして、
化合物21を得た。
Figure 2019147789
化合物6を化合物21に変更した以外は合成例1の化合物8の合成方法と同様にして、
化合物22(実施例4)を得た。
[実施例5]
Figure 2019147789
化合物2を化合物23に変更した以外は合成例4の化合物20の合成方法と同様にして
、化合物24を得た。
Figure 2019147789
化合物5を化合物24に変更した以外は合成例1の化合物6の合成方法と同様にして、
化合物25を得た。
Figure 2019147789
化合物6を化合物25に変更した以外は合成例1の化合物8の合成方法と同様にして、
化合物26(実施例5)を得た。
[実施例6]
Figure 2019147789
化合物4を化合物27に変更したほかは合成例1の化合物5の合成方法と同様にして化
合物28を得た。
Figure 2019147789
化合物5を化合物28に変更した以外は合成例1の化合物6の合成方法と同様にして、
化合物29を得た。
Figure 2019147789
化合物6を化合物29に変更した以外は合成例1の化合物8の合成方法と同様にして、
化合物30(実施例6)を得た。
[合成例1]
Figure 2019147789
上記化合物31は国際公開2009/131189号の記載に従い、下記のスキームで合成した。
Figure 2019147789
[合成例2]
Figure 2019147789
化合物32は化合物31と同様に国際公開2009/131189号の記載に従い下記スキームで
合成した。
Figure 2019147789
[実施例7]
<ホログラム記録媒体用組成物の調製>
ヘキサメチレンジイソシアネート(イソシアネート)に、アクリル酸−2,4,6−ト
リブロモフェニルエステル(重合性モノマー)、及び光重合開始剤として化合物8を溶解
させA液とした。
次に、分子量約1000のポリオキシプロピレングリコール(ポリオール)にトリス(2−
エチルヘキサノエート)ビスマスのオクチル酸溶液(ウレタン重合触媒)を溶解させB液
とした。
A液、B液をそれぞれ減圧下45℃で2時間脱気した後、A液とB液を攪拌混合し、さら
に数分間、真空で脱気した。
<測定用サンプルの作製>
続いて、25mm×75mmの長方形のスライドグラスの対向する75mmの2辺の端
に厚さ1.5mm、幅10mmのスペーサシートを載せ、スライドグラス上のスペーサシー
ト間に、真空脱気した上記混合液を流し込み、その上にもう1枚のスライドガラスをかぶ
せ、クリップで周辺を固定して80℃で24時間加熱して測定用のホログラム記録媒体を作製
した。このホログラム記録媒体は、支持体としてのスライドガラス間に、厚さ1.5mmの記
録層が形成されたものである。同様に厚さ0.5mmのスペーサシートを用いて記録層厚さ0.5
mmの測定用ホログラム記録媒体を作成した。また、後述の記録性能の評価のため、それぞ
れの記録層厚さのホログラム記録媒体を複数作製した。
[実施例8〜12、比較例1、2]
実施例7において、光重合開始剤として用いた化合物と、その含有量を変更した以外は
同様にして、実施例8〜12、比較例1、2のホログラム記録媒体を作製した。各実施例
及び比較例に用いた光重合開始剤と、各材料のホログラム記録媒体用組成物における含有
重量を表1に示す。
Figure 2019147789
[ホログラム記録と評価方法]
上述の各実施例及び各比較例のホログラム記録媒体を使用して、以下に説明する手順で
ホログラム記録性能の評価を実施した。
ホログラム記録媒体への入射角を−30°から30°まで、1°おきに同一箇所に61
多重記録し、その時の回折効率の平方根の合計をM/#(エムナンバー)とした。また上
記の記録前後で記録波長での光透過率を測定した。以下、各測定方法について、図1を用
いて詳細に説明する。
(M/#の測定)
図1は、ホログラム記録に用いた装置の概要を示す構成図である。
図1中、Sはホログラム記録媒体を示し、M1及びM2は何れもミラーを示し、PBS
は偏光ビームスプリッタを示し、L1は波長405nmの光を発する記録光用半導体レー
ザ光源(TOPTICA Photonics製シングルモードレーザ)を示し、PD1
及びPD2はフォトディテクタ(浜松ホトニクス社製S2281)を示す。また、1は後
露光用のLEDユニットを示す。
L1から発生した波長405nmの光をPBSにより分割し、2本のビームのなす角が
37.3°になるように記録面上にて交差させた。このとき、2本のビームのなす角の2
等分線が記録面に対して垂直になるようにし、更に、分割によって得られた2本のビーム
の電場ベクトルの振動面は、交差する2本のビームを含む平面と垂直になるようにして照
射した。
上記の場合を0°とし、ホログラム記録媒体を光軸に対して動かす角度を−30°から
30°まで1度刻みで61多重の記録を行った。
61多重記録後、LEDユニット1(波長405nm)を一定時間点灯させることで後
露光を行い、重合されずに残存していた重合性モノマーを完全に重合させた。
続いて、図1におけるミラーM1からの光(波長405nm)のみを参照光として照射
し、PD1及びPD2により再生光を検知し、フォトセンサアンプ(浜松ホトニクス社製C9
329、図示せず)を用いて、角度−30°から30°までの回折効率を計測した。得ら
れた回折効率の平方根を多重記録全域にわたって合計したものをM/#とした。
各実施例及び比較例に対して複数用意したホログラム記録媒体を用いて、記録初期の照
射エネルギーの増減、合計照射エネルギーの増減などを変更して複数回の評価を行った。
照射エネルギーは、L1のパワー密度を15mW/cmとして、照射時間を変えることで
、10〜3000mJ/cm範囲において変更した。具体的には、記録1回ごとに数%
以上の回折効率を維持しつつ、61多重記録までに含有モノマーをほぼ完全に重合させる
(61多重記録までにM/#がほぼ平衡に達する)条件を模索し、M/#として最大値が
得られるようにした。そして、得られた最大値をその媒体のM/#とした。
(後露光透過率)
後露光による記録層の透過率の変化の度合いを測定した。未記録のホログラム記録媒体
に対し、後露光の操作と同様にLEDユニット1によりホログラム記録媒体に空間的に一様
な光を照射しながら、入射光パワーに対する透過光パワーの比率の変化を透過率として測
定した。
入射光のパワー密度は一定で20mW/cmとし、入射光をホログラム記録媒体に照
射しつつホログラム記録媒体を通過した光のパワーをパワーメータ(エーディーシー製光
パワー・メータ8250A及びエーディーシー製光センサ82321B)で測定した。こ
のとき、ホログラム記録媒体の表面は光軸に垂直になるように配置した。入射光照射開始
直後、積算エネルギーが10J/cm及び50J/cmの時点での、各々の透過率を算
出した。
実施例7〜12及び比較例1〜2で作製したホログラム記録媒体を上記方法で評価した
結果を表2に示す。M/#の測定には記録層厚さ0.5mmのホログラム記録媒体を用いた。
後露光透過率の測定には記録層厚さ1.5mmのホログラム記録媒体を用いた。
Figure 2019147789
実施例及び比較例いずれの化合物を用いても同様のM/#が測定されることから初期記
録性能は同等と考えられる。
後露光開始直後から10J/cmまで照射することで、いずれのホログラム記録媒体
も透過率が80%前後まで向上し、後露光による効果が得られているが、比較例1及び2
では、後露光の照射エネルギーが10J/cmから50J/cmへと増加するにつれて
透過率の明らかな低下が観察される。これは、後露光の進行具合や光による再生を繰り返
すことで透過率が低下し、記録層が着色することを示しており、再生光の信号強度が低下
することを意味する。すなわち、記録データの再生時のS/N比が低下し、記録媒体とし
ての信頼性が劣化することになる。
一方、実施例7〜12では、後露光エネルギーを増加させても透過率はほとんど変化せ
ず、上記のような記録層の着色が抑えられていることを示し、再生光の信号強度の低下に
よるS/N比の劣化が抑制されていることになる。
この現象は発生するラジカル種によらず(比較例1:メチルラジカル、比較例2:フェ
ニルラジカル)、本発明の光重合開始剤の、光を吸収する骨格部分の構造によることが明
らかである。本発明の光重合開始剤は、式(1)の置換基Rを、比較例化合物が有する
フェニル基等の共役系が連続する置換基から、共役しないアルキル基に変更することで、
光励起後の分解物由来の吸収スペクトルが比較例化合物よりも短波長化したためと推測さ
れる。
S ホログラム記録媒体
M1、M2 ミラー
L1 記録光用半導体レーザ光源
PD1、PD2 フォトディテクタ
PBS 偏光ビームスプリッタ
1 LEDユニット
[R1は、アルキル基を示し、
は、アルキル基、アリール基、アラルキル基のいずれかを示し、
は、−(CH)−基を示し、nは、1以上6以下の整数を示し、
は、アルキル基、アルコキシカルボニル基、芳香環基、複素環基のいずれかを示し、
は、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシスルホニル基、またはジアルキルアミノ
スルホニル基のいずれかを示す。]
[2]
前記Rが、アルコキシカルボニル基を示す請求項1に記載の化合物。
[3]
前記Rが、分岐のアルキル基、を示す請求項1又は請求項2に記載の化合物。
[4]
前記1〜3のいずれかに記載の化合物からなる光重合開始

Claims (4)

  1. 下記式(1)で示される化合物。
    Figure 2019147789
    [Rはアルキル基を示し、
    は、アルキル基、アリール基、アラルキル基のいずれかを示し、
    は、−(CH−を示し、nは、1以上6以下の整数を示し、
    は、アルキル基、アルコキシカルボニル基、芳香環基、複素環基のいずれかを示し、
    は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、またはジアルキルアミノス
    ルホニル基のいずれかを示す。]
  2. 前記R が、アルコキシカルボニル基を示す請求項1に記載の化合物。
  3. 前記Rが、分岐のアルキル基を示す請求項1又は請求項2に記載の化合物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物が、光重合開始剤である。
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