JP7290071B2 - ホログラム記録媒体用組成物、ホログラム記録媒体用硬化物、及びホログラム記録媒体 - Google Patents
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Description
前述の通り、媒体の着色は、特にARグラス導光板用途において、視野の着色につながる上に、405nmレーザーで信号を記録再生するメモリ用途においても、記録再生光の吸収による転送速度の低下を招き、好ましくない。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
成分(a-1):イソシアネート基を有する化合物
成分(b-1):イソシアネート反応性官能基を有する化合物
成分(c-1):重合性モノマー
成分(d-1):光重合開始剤
成分(e-1):安定ニトロキシルラジカル基を有する化合物
成分(a-1):イソシアネート基を有する化合物
成分(b-1):イソシアネート反応性官能基を有する化合物
成分(c-1):重合性モノマー
成分(d-1):光重合開始剤
成分(e-1):安定ニトロキシルラジカル基を有する化合物
成分(f-1):硬化触媒
このため、特に、ARグラス導光板用途において、視野角の拡大、色ムラの低減、輝度の向上を図った上で、着色のない視野を提供することができる。
また、メモリ用途においても、記録再生光の吸収を低減して転送速度の向上を図ることができる。
本発明の第1態様に係るホログラム記録媒体用組成物は、下記成分(a-1)~(e-1)を含有し、成分(a-1)と成分(b-1)の合計重量に対する成分(b-1)に含まれるプロピレングリコール(PG)ユニットとテトラメチレングリコール(TMG)ユニットの合計重量の割合(以下「(PG+TMG)/((a-1)+(b-1))」と記載する場合がある。)が30重量%以下であることを特徴とする。
本発明の第2態様に係るホログラム記録媒体用組成物は、下記成分(a-1)~(e-1)を含有し、成分(a-1)と成分(b-1)との合計重量に対する成分(b-1)に含まれるカプロラクトン(CL)ユニットの重量割合(以下「(CL)/((a-1)+(b-1))」と記載する場合がある。)が20重量%以上であることを特徴とする。
成分(a-1):イソシアネート基を有する化合物
成分(b-1):イソシアネート反応性官能基を有する化合物
成分(c-1):重合性モノマー
成分(d-1):光重合開始剤
成分(e-1):安定ニトロキシルラジカル基を有する化合物
成分(a-1)のイソシアネート基を有する化合物は、好ましくは後述の硬化触媒(成分(f-1))の存在下で、イソシアネート反応性官能基を有する化合物(成分(b-1))と反応し、樹脂マトリックスを構成する成分である。
(42×イソシアネート基の数/イソシアネート基を有する化合物の分子量)×100
成分(b-1)のイソシアネート反応性官能基を有する化合物とは、成分(a-1)のイソシアネート基を有する化合物との鎖延長反応に関与する活性水素(イソシアネート反応性官能基)を有する化合物である。イソシアネート反応性官能基としては例えば、水酸基、アミノ基、メルカプト基が挙げられる。イソシアネート反応性官能基を有する化合物は分子内にイソシアネート反応性官能基を1つ有するものであってもよく、2つ以上を有するものであってもよいが、2つ以上有することが好ましい。2つ以上のイソシアネート反応性官能基を有する場合には、1つの分子に含まれるイソシアネート反応性官能基は1種類であってもよく、複数種類であってもよい。
成分(b-1)の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定された値である。
イソシアネート反応性官能基として水酸基を有する化合物は1分子中に水酸基を1つ以上有するものであればよいが、2つ以上の水酸基を有するものが好ましい。その例として、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(PPG)、ネオペンチルグリコール等のグリコール類;ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、テトラメチレングリコール(TMG)、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)等のジオール類;ビスフェノール類、またはこれらの多官能アルコールをポリエチレンオキシ鎖やポリプロピレンオキシ鎖で修飾した化合物;グリセリン、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、ペンタントリオール、ヘキサントリオール、デカントリオール等のトリオール類などのこれらの多官能アルコールをポリエチレンオキシ鎖やポリプロピレンオキシ鎖で修飾した化合物;多官能ポリオキシブチレン;多官能ポリカプロラクトン;多官能ポリエステル;多官能ポリカーボネート;多官能ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。これらは何れか1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
イソシアネート反応性官能基としてアミノ基を有する化合物は1分子中にアミノ基を1つ以上有するものであればよいが、2つ以上のアミノ基を有するものが好ましい。その例としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族アミン;イソホロンジアミン、メンタンジアミン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンなどの脂環族アミン;m-キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、m-フェニレンジアミンなどの芳香族アミン;等が挙げられる。これらは何れか1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
イソシアネート反応性官能基としてメルカプト基を有する化合物は1分子中にメルカプト基を1つ以上有するものであればよいが、2つ以上のメルカプト基を有するものが好ましい。その例としては、1,3-ブタンジチオール、1,4-ブタンジチオール、2,3-ブタンジチオール、1,2-ベンゼンジチオール、1,3-ベンゼンジチオール、1,4-ベンゼンジチオール、1,10-デカンジチオール、1,2-エタンジチオール、1,6-ヘキサンジチオール、1,9-ノナンジチオール、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン等が挙げられる。これらは何れか1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明の第1態様に係るホログラム記録媒体用組成物は、成分(a-1)と成分(b-1)の合計重量に対する成分(b-1)に含まれるPGユニットとTMGユニットの合計重量の割合:(PG+TMG)/((a-1)+(b-1))が30重量%以下であることを特徴とする。
成分(c-1)の重合性モノマーとは後述の成分(d-1)の光重合開始剤によって重合され得る化合物である。成分(c-1)は、記録時および/または後露光時において重合されるモノマー化合物である。
カチオン重合性モノマーの例としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物、オキソラン化合物、環状アセタール化合物、環状ラクトン化合物、チイラン化合物、チエタン化合物、ビニルエーテル化合物、スピロオルソエステル化合物、エチレン性不飽和結合化合物、環状エーテル化合物、環状チオエーテル化合物、ビニル化合物等が挙げられる。上記のカチオン重合性モノマーは、何れか1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
アニオン重合性モノマーの例としては、炭化水素モノマー、極性モノマー等が挙げられる。
炭化水素モノマーの例としては、スチレン、α-メチルスチレン、ブタジエン、イソプレン、ビニルピリジン、ビニルアントラセン、およびこれらの誘導体等が挙げられる。
極性モノマーの例としては、メタクリル酸エステル類、アクリル酸エステル類、ビニルケトン類、イソプロペニルケトン類、その他の極性モノマーなどが挙げられる。
上記例示のアニオン重合性モノマーは、何れか1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ラジカル重合性モノマーの例としては、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエステル類、ビニル化合物、スチレン類、スピロ環含有化合物等が挙げられる。上記例示のラジカル重合性モノマーは、何れか1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。本明細書において、メタクリル及びアクリルの総称を(メタ)アクリルと記載する。
本発明のホログラム記録媒体用組成物に用いる重合性モノマーの分子量は通常80以上、好ましくは150以上、より好ましくは300以上で、通常3000以下、好ましくは2500以下、より好ましくは2000以下である。分子量が上記下限値以上であることで、ホログラムの情報記録時の光照射の重合に伴う収縮率を小さくすることができる。分子量が上記上限値以下であることで、ホログラム記録媒体用組成物を用いた記録層中での重合性モノマーの移動度が高く、拡散が起こりやすくなり、十分な回折効率を得ることができる。
上記重合性モノマーは、ホログラム記録媒体への照射光波長(記録波長等)における屈折率が通常1.50以上、好ましくは1.52以上、さらに好ましくは1.55以上であり、通常1.80以下、好ましくは1.78以下である。屈折率が過度に小さいと回折効率が十分でなく、多重度が十分とならない場合がある。屈折率が過度に大きいと樹脂マトリックスとの屈折率差が大きくなりすぎて散乱が大きくなることにより透過度が低下して、記録や再生に際してより大きなエネルギーを要することになる。
重合性モノマーの屈折率は、試料が液体の場合、最小偏角法、臨界角法、Vブロック法等によって測定できる。試料が固体の場合、重合性モノマーの屈折率は、適当な溶媒に化合物を溶解して溶液とし、この溶液の屈折率を測定し、化合物が100%の場合の屈折率を外挿により求めることができる。
好ましい重合性モノマーの例として、特開2010-018606号公報に記載の、下記(式a)で表される(メタ)アクリル系モノマーである化合物iが挙げられる。
重合性モノマーの別の好ましい例として、特開2016-222566公報に記載の、少なくとも下記式(1)で表される化合物iiが挙げられる。
Lは置換基を有していてもよいQとGを連結するr+s価の任意の連結基、又は直接結合である。高い屈折率を付与するためには、Lは環状化合物由来の基であることが好ましい。相溶性を付与するためには、Lは脂肪族化合物由来の基であることが好ましい。材料の目的に合わせてこれらの構造を組み合わせてもよく、C-C結合間に-O-、-S-、-CO-、-COO-及び-CONH-から選ばれる連結基を有していても良い。
Lは、上記以外に更に置換基を有していてもよい。例えば、さらに溶解性を向上させるために、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシアルコキシ基、アルカノイルオキシ基を置換基として有していてもよい。屈折率を上昇させるために、アリール基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、アリールオキシ基、アリールアルコキシル基を置換基として有していてもよい。経済的な合成の達成のためには無置換であることが好ましい。
アルコキシ基とは、好ましくは炭素数1~4のアルコキシ基であり、具体的にはメトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。
アルコキシカルボニル基とは、好ましくは炭素数2~5のアルコキシカルボニル基であり、具体的にはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基などが挙げられる。
アルカノイルオキシ基とは、好ましくは炭素数2~5のアルカノイルオキシ基であり、具体的にはアセトキシ基、プロピオノキシ基、ブチロキシ基、バレロキシ基などが挙げられる。
アルキルチオ基とは、好ましくは炭素数2~4のアルキルチオ基であり、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、イソプロピルチオ基などが挙げられる。
アリールオキシ基とは、炭素数6~14の単環又は縮合環からなるアリールオキシ基であり、具体的にはフェノキシ基などが挙げられる。
アリールアルコキシ基とは、炭素数7~5のアリールアルコキシ基であり、具体的にはベンジルオキシ基などが挙げられる。
Qは置換基を有していてもよい含チオフェン環スルフィド基であり、好ましくは下記式(2)又は式(3)で表される含チオフェン環スルフィド基である。
Q単独としての屈折率は、原子団寄与法で推算することができる。化合物を構成する原子団ごとに分子屈折[R],モル体積V0を用いてn={(1+2[R]/V0)/(1-[R]/V0)}0.5を計算し、和をとることで推算することができる。
Qは、光の吸収波長がより短波長側にあり、可視光による着色が少ないという観点から、透明性を要求される用途においては、式(2)で表されるジベンゾチオフェン環がより好ましい。
Qは更に置換基を有していてもよい。Qが有していてもよい置換基としては、相溶性を低下させないものや屈折率を低下させないものであれば特に限定されない。具体的には、メチルチオ基などの炭素数1~3のアルキルチオ基や、メチルチオメチル基などの炭素数2~6のアルキルチオアルキル基が挙げられる。
Gはアクリロイル基又はメタクリロイル基を表す。
Lが環状基の場合、QのLに対する好ましい置換位置は、rが1の場合はどこでもよく、rが2以上の場合は合成収率が高いとの理由により互いに隣接しないことが好ましい。
Lがヘテロアリール環基である場合には、LおよびQの各々が連結している構造において、互いに直接連結している、LおよびQの各々の構造中の部分構造は、ヘテロ原子を含まないことが好ましい。言い換えると、LおよびQが連結している構造において、LおよびQの構造中の、ヘテロ原子を含む部分構造同士は直接連結していないことが好ましい。LおよびQの構造中の、ヘテロ原子を含む部分構造同士が直接連結している構造は、可視光領域に吸収を持ちやすく、この着色によって記録再生時の光透過を妨げる可能性が高く、好ましくない。
rは1以上5以下の整数であり、rが2以上の場合、複数のQは同一であっても異なっていてもよい。rは、溶剤やマトリックスとの良い溶解性を得るためには、好ましくは1~3であり、より好ましくは2又は3である。
sは、1以上5以下の整数を表し、光硬化による収縮を低く抑えるために1が好ましい。
化合物iiの具体例を以下に例示する。化合物iiは以下の例示物に限定されるものではない。
上記重合性モノマーは、ホログラムの記録波長における、モル吸光係数が100L・mol-1・cm-1以下であることが好ましい。モル吸光係数が100L・mol-1・cm-1以下であることにより、媒体の透過率が低くなることを防ぎ、厚みに対して十分な回折効率を得ることができる。
光重合開始剤とは、光によって化学反応を起こすカチオン、アニオン、ラジカルを発生するものをいい、上述の重合性モノマーの重合に寄与する。光重合開始剤の種類は特に制限はなく、重合性モノマーの種類等に応じて適宜選択することができる。
この場合、光重合開始剤の全量に対して、オキシムエステル系光重合開始剤を0.003重量%以上用いることが好ましく、より好ましくは0.03重量%以上、さらに好ましくは0.05重量%以上、特に好ましくは0.1~100重量%である。
オキシムエステル系光重合開始剤は、構造の一部に-C=N-O-を有していればよく、中でも記録感度が優れているため、下記(式d)または(式f)で表される化合物が好ましい。
R2は芳香環及び/またはヘテロ芳香環を含む1価の有機基を表す。
R3は、水素原子、或いはそれぞれ置換基を有してもよい、炭素数1~12のアルキルチオ基、炭素数2~12のアルコキシカルボニル基、炭素数3~12のアルケニルオキシカルボニル基、炭素数3~12のアルキニルオキシカルボニル基、炭素数7~12のアリールオキシカルボニル基、炭素数3~12のヘテロアリールオキシカルボニル基、炭素数2~12のアルキルチオカルボニル基、炭素数3~12のアルケニルチオカルボニル基、炭素数3~12のアルキニルチオカルボニル基、炭素数7~12のアリールチオカルボニル基、炭素数3~12のヘテロアリールチオカルボニル基、アルキルチオアルコキシ基、-O-N=CR32R33、-N(OR34)-CO-R35及び下記(式e)で表される基(R32及びR33、並びにR34及びR35は、それぞれ置換されていてもよい炭素数1~12のアルキル基を表し、互いに異なっていてもよい。)からなる群から選ばれる基を表す。
R6は、炭素数2~20のアルカノイル基、炭素数3~25のアルケノイル基、炭素数4~8のシクロアルカノイル基、炭素数7~20のアリーロイル基、炭素数2~10のアルコキシカルボニル基、炭素数7~20のアリールオキシカルボニル基、炭素数2~20のヘテロアリール基、炭素数3~20のヘテロアリーロイル基または炭素数2~20のアルキルアミノカルボニル基を示し、これらはいずれも置換基を有していてもよい。
Y1は、置換基を有していてもよい、2個以上の環が縮合してなる、2価の芳香族炭化水素基、及び/又は芳香族複素基を示す。
Zは、置換基を有していてもよい芳香族基を示す。)
上記オキシムエステル系光重合開始剤の中でも、特に、下記式(4)で表される化合物(以下、「化合物(4)」と称す場合がある。)を用いることは好ましい態様である。
R21はアルキル基を示す。R21が、例えば芳香環基等のアルキル基以外の場合、R21が結合する窒素原子のsp2性が高まり、式(4)のカルバゾール環からR21への共役が延長されることから、光照射後の分解物による発光が生じる。従って、R21はこのような共役系を有しないアルキル基が好ましい。
好ましいアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
またフッ素原子で置換されたアルキル基は撥水性が高まり化合物の耐水性向上の点から好ましい。
R22はアルキル基、アリール基、アラルキル基のいずれかを示す。R22は光重合開始剤が光照射されて発生するラジカル部位であり、ホログラム記録媒体用組成物中のラジカルの移動容易性の観点から分子量の小さいアルキル基であることが好ましい。
R22のアリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、インデニル基等が挙げられる。ラジカル移動度の点からはフェニル基が好ましい。
R23は、-(CH2)m-基を示す。R23が式(4)のカルバゾール環と共役可能な置換基の場合、カルバゾール環からR23の共役が延長されることから、光重合開始剤の吸収波長の長波長化が生じてしまう。したがって、R23は、このような共役系を有しない-(CH2)m-基が好ましい。
R24は、水素原子、又は任意の置換基を示す。任意の置換基は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されないが、アルキル基、アルコキシカルボニル基、モノアルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、芳香環基、及び複素環基等が挙げられる。
R24は、これらの中でも、アルキル基、アルコキシカルボニル基、芳香環基、複素環基のいずれかであることが原料入手や合成容易さの点から好ましく、アルコキシカルボニル基であることが遠い電子的効果発現の点から特に好ましい。
該アルコキシカルボニル基は置換基を有していても良く、有していても良い置換基としては、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。この中でも、アルコキシ基が溶解性調整の容易さの点で好ましい。
該芳香環基は置換基を有していても良く、有していても良い置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。この中でも、アルキル基が溶解性調整の容易さの点で好ましい。
好ましいアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基、イソブチル基、2-エチルヘキシル基、n-オクチル基等が挙げられる。
好ましいアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基、イソブチル基、2-エチルヘキシル基、n-オクチル基等が挙げられる。
R25は、結合するカルボニル基に対して共役する多重結合を有しない、任意の置換基を示す。これらの基であることでカルバゾール環以上に共役系が伸びない。よって、光照射後に生成する分解遺物の共役系が長くならないため、分解物の吸収波長が長波長化しない。これにより、記録後の吸収抑制効果が得られる。
R25としては、アルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、アルキルスルホニル基、ジアルキルアミノスルホニル基等が挙げられる。これらの中でもアルキル基が化合物安定性の点で好ましい。
例えば、以下の化学式に示すように、カルバゾール環へのR5、R4及びR3を含むアシル基の導入は、フリーデルクラフツ反応により導入が可能である。フリーデルクラフツ反応については、
Andrew Streitwieser.Jr. et.al, Introduction to Organic Chemistry, Macmillan Publishing Company,NewYork,P652-653、
及び
Bradford p. Mundy et.al.,Name Reactions and Reagents in Organic Synthesis,A Wiley-Interscience Publication,P82-83
等に記載されている。
水酸基のアシル化は対応する酸ハライドや無水物と塩基を用いる方法を用いることができる。
カチオン光重合開始剤は、公知のカチオン光重合開始剤であれば、何れを用いることも可能である。例としては芳香族オニウム塩等が挙げられる。芳香族オニウム塩の具体例としては、SbF6 -、BF4 -、AsF6 -、PF6 -、CF3SO3 -、B(C6F5)4 -等のアニオン成分と、ヨウ素、硫黄、窒素、リン等の原子を含む芳香族カチオン成分とからなる化合物が挙げられる。中でも、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルフォニウム塩等が好ましい。上記例示したカチオン光重合開始剤は、何れか1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
アニオン光重合開始剤は、公知のアニオン光重合開始剤であれば、何れを用いることも可能である。例としてはアミン類等が挙げられる。アミン類の例としては、ジメチルベンジルアミン、ジメチルアミノメチルフェノール、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7等のアミノ基含有化合物、およびこれらの誘導体;イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、およびその誘導体;等が挙げられる。上記例示したアニオン光重合開始剤は、何れか1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ラジカル光重合開始剤は、公知のラジカル光重合開始剤であれば、何れを用いることも可能である。例としては、ホスフィンオキシド化合物、アゾ化合物、アジド化合物、有機過酸化物、有機硼素酸塩、オニウム塩類、ビスイミダゾール誘導体、チタノセン化合物、ヨードニウム塩類、有機チオール化合物、ハロゲン化炭化水素誘導体等が用いられる。上記例示したラジカル光重合開始剤は、何れか1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。前述したように、中でもホスフィンオキシド化合物が好ましい。
R8は、フェニル基;ナフチル基;ビフェニル基;ハロゲン、炭素数1~12のアルキル基および炭素数1~12のアルコキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1つで置換されている、フェニル基、ナフチル基もしくはビフェニル基;一価のN、OまたはSを含有する5員または6員の複素環の基;炭素数1~18のアルコキシ基;フェノキシ基;ハロゲン、炭素数1~4のアルキル基もしくは炭素数1~4のアルコキシ基で置換されている、フェノキシ基、ベンジルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基;を示す。R8及びR7はリン原子と一緒になって環を形成していてもよい。
R9は、炭素数1~18のアルキル基;ハロゲンもしくは炭素数1~6のアルコキシ基で置換されている、炭素数1~4のアルキル基、炭素数5~8のシクロアルキル基、炭素数7~9のフェニルアルキル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基;ハロゲン、炭素数1~12のアルキル基および炭素数1~12のアルコキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1つで置換されているフェニル基、ナフチル基もしくはビフェニル基;一価のN、OまたはSを含有する5員または6員の複素環の基;または、下記(式b-I)で示される基;である。
R7'及びR8'は、上述の(式b)におけるR7及びR8で説明したものと同様の基を示す。)
(式b)、(式b-I)で示される分子中において、R7及びR7'、R8及びR8'は同一であってもよく、また異なっていてもよい。))
R11およびR12は互いに独立に炭素数1~18のアルキル基;ハロゲンもしくは炭素数1~6のアルコキシ基で置換されている、炭素数1~4のアルキル基、炭素数5~8のシクロアルキル基、炭素数7~9のフェニルアルキル基、フェニル基、ナフチル基、もしくはビフェニル基;ハロゲン、炭素数1~12のアルキル基および炭素数1~12のアルコキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1つで置換されているフェニル基、ナフチル基もしくはビフェニル基;一価のN、OまたはSを含有する5員または6員の複素環の基;を表す。)
上記の中でも、優れた記録感度を得られるため、モノアシルホスフィンオキシド化合物が好ましい。
成分(e-1)は、安定ニトロキシルラジカル基を有する化合物である。本発明のホログラム記録媒体用組成物が成分(e-1)を含むことで、成分(d-1)としてオキシムエステル系光重合開始剤を用いた場合のホログラム記録後のホログラム記録媒体の着色を抑制することができる。
本発明のホログラム記録媒体用組成物は、成分(a-1)のイソシアネート基を有する化合物と成分(b-1)のイソシアネート反応性官能基を有する化合物との反応を促進する硬化触媒を成分(f-1)として更に含むことが好ましい。成分(f-1)の硬化触媒としては、ルイス酸として働くビスマス系触媒を用いることが好ましい。
本発明のホログラム記録媒体用組成物は上述の成分(a-1)~(f-1)以外に、本発明の主旨に反しない限り、その他の成分を含有することができる。
本発明のホログラム記録媒体用組成物における各成分の含有量は、本発明の主旨に反しない限り任意であるが、各成分の含有量は以下の範囲であることが好ましい。
成分(e-1)/成分(d-1)が上記下限以上であれば、成分(e-1)を含有することによるM/#の向上効果を有効に得ることができ、上記上限以下であれば、記録目的の露光時にラジカル重合反応を進行させて、回折格子の形成に必要な屈折率変調度を得、十分な記録感度を得ることができる。
本発明のホログラム記録媒体用組成物の製造に当たり、成分(a-1)~(e-1)、好ましくは成分(a-1)~(f-1)はどのような組み合わせ、順序で混合してもよく、またその際に、その他の成分を組み合わせて混合してもよい。
本発明のホログラム記録媒体用組成物を硬化させることで、本発明のホログラム記録媒体用硬化物を得ることができる。
この際、硬化反応を促進するために30~100℃で1~72時間程度加熱してもよい。
また、本発明のホログラム記録媒体用硬化物は、成分(a-1)と成分(b-1)とで形成されるマトリックス中の成分(b-1)に由来するCLユニットの含有量が20重量%以上、特に25重量%以上、とりわけ30~70重量%であることが好ましい。
本発明のホログラム記録媒体用硬化物を記録層として支持体と積層することによりホログラム記録媒体用積層体とすることができる。支持体はホログラム記録媒体用硬化物よりなる記録層の一方の面に設けてもよく、両面に設けてもよい。
記録層及び支持体の詳細については後述する。
支持体にホログラム記録媒体用硬化物よりなる記録層を形成する方法は、本発明のホログラム記録媒体の製造方法におけると同様である。
本発明のホログラム記録媒体用組成物に干渉露光することで、本発明のホログラム記録媒体を得ることができる。
本発明のホログラム記録媒体の記録層は、本発明のホログラム記録媒体用組成物により形成される層であり、情報が記録される層である。情報は通常、ホログラムとして記録される。後述の記録方法の項に詳述するとおり、該記録層中に含まれる重合性モノマーは、ホログラム記録などによってその一部が重合等の化学的な変化を生じるものである。従って、記録後のホログラム記録媒体においては、重合性モノマーの一部が消費され、重合体など反応後の化合物として存在する。
支持体は、媒体に必要な強度および耐久性を有しているものであれば、その詳細に特に制限はなく、任意の支持体を使用することができる。
支持体の形状にも制限は無いが、通常は平板状またはフィルム状に形成される。
支持体を構成する材料にも制限は無く、透明であっても不透明であってもよい。
保護層は、記録層の酸素や水分による感度低下や保存安定性の劣化等の影響を防止するための層である。保護層の具体的構成に制限は無く、公知のものを任意に適用することが可能である。例えば、水溶性ポリマー、有機/無機材料等からなる層を保護層として形成することができる。
保護層の形成位置は、特に制限はなく、例えば記録層表面や、記録層と支持体との間に形成してもよく、また支持体の外表面側に形成してもよい。保護層は支持体と他の層との間に形成してもよい。
反射層は、ホログラム記録媒体を反射型に構成する際に形成される。反射型のホログラム記録媒体の場合、反射層は支持体と記録層との間に形成されていてもよく、支持体の外側面に形成されていてもよいが、通常は、支持体と記録層との間にあることが好ましい。
反射層としては、公知のものを任意に適用することができ、例えば金属の薄膜等を用いることができる。
透過型および反射型の何れのホログラム記録媒体についても、物体光および読み出し光が入射および出射する側や、あるいは記録層と支持体との間に、反射防止膜を設けてもよい。反射防止膜は、光の利用効率を向上させ、かつゴースト像の発生を抑制する働きをする。
反射防止膜としては、公知のものを任意に用いることができる。
本発明のホログラム記録媒体の製造方法に制限は無い。例えば、無溶剤で支持体上に本発明のホログラム記録媒体用組成物を塗布し、記録層を形成して製造することできる。塗布方法としては任意の方法を使用することができる。具体例を挙げると、スプレー法、スピンコート法、ワイヤーバー法、ディップ法、エアーナイフコート法、ロールコート法、及びブレードコート法、ドクターロールコート法などが挙げられる。
特に膜厚の厚い記録層を形成する場合、本発明のホログラム記録媒体用組成物を型に入れて成型する方法や、離型フィルム上に塗工して型を打ち抜く方法を用いることもできる。
本発明のホログラム記録媒体用組成物と溶剤又は添加剤とを混合して塗布液を調製し、これを支持体上に塗布、乾燥して記録層を形成して製造しても良い。この場合も塗布方法としては任意の方法を使用することができ、例えば、上述したのと同様の方法を採用することができる。
溶剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
溶剤の使用量に制限は無い。ただし、塗布効率、取り扱い性の面から、固形分濃度として1~1000重量%程度の塗布液を調製することが好ましい。
成分(a-1)及び(b-1)からなる樹脂マトリックスが揮発性成分の少ない光又は熱硬化性の場合は、例えば反応射出成形法、液体射出成形法によって本発明のホログラム記録媒体用組成物を成形して記録層を形成することができる。この場合、成形体が十分な厚み、剛性、強度などを有するならば、当該成形体をそのままホログラム記録媒体とすることができる。
特に本発明のホログラム記録媒体用組成物を用いた本発明のホログラム記録媒体は、高いM/#を有すると共に、着色が抑制されたものであり、ARグラス導光板として有用である。
本発明のホログラム記録媒体に対する情報の書き込み(記録)および読み出し(再生)は、何れも光の照射によって行なわれる。
このM/#は、後述の実施例で示される方法で測定される。
ホログラム記録媒体の設計透過率は、基板-空気界面の反射率とホログラム記録媒体中の光重合開始剤のモル吸光係数とホログラム記録媒体中の光重合開始剤の濃度、及びホログラム記録媒体の厚さから次式により計算される。
T=R2×10(-ε×c×d)
ここでTは設計透過率、Rは基板と空気界面での反射率、εは光重合開始剤のモル吸光係数、cはホログラム記録媒体中の重合開始剤の濃度、dはホログラム記録媒体の厚さをそれぞれ表す。
(色度の変化量の測定)
記録後の評価用サンプルの記録部分の色度をカラーコンピューター(スガ試験機社製SM-5)で測定する。光源は測色用標準イルミナントCを用い2度視野でCIEのXYZ表色系で測定し、ブランク(0.3101,0.3162)からの変化量Δx,Δyを求める。
本発明のホログラム記録媒体に対して、前述の大容量メモリ用途と同様にして体積ホログラムが記録される。
実施例、比較例及び参考例で用いた組成物原料は以下の通りである。
・デュラネート(登録商標)TSS-100:ヘキサメチレンジイソシアネート系ポリイソシアネート(NCO17.6%)(旭化成社製)
・アデカポリエーテルP-400:ポリプロピレングリコール(分子量400)(ADEKA社製)
・PTMG-650:ポリテトラメチレングリコール(分子量650)(和光純薬社製)
・アデカポリエーテルGM-30:トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド変性物(分子量300)(ADEKA社製)
・SH6:PTMG-650のカプロラクトン変性物(Mw1000)(後述の方法で製造されたもの)
・プラクセルPCL-205U:ポリカプロラクトンジオール(分子量530)(ダイセル社製)
・プラクセルPCL-305:ポリカプロラクトントリオール(分子量550)(ダイセル社製)
・プラクセルPCL-303:ポリカプロラクトントリオール(分子量300)(ダイセル社製)
・ニッポラン141:ポリエステルポリオール(分子量1060)(東ソー社製)
・ニッポラン1100:ポリエステルポリオール(分子量540)(東ソー社製)
・NL1050B:ポリカーボネートジオール(分子量1050)(三菱ケミカル社製)
・BY16-750:水酸基末端ポリジメチルシロキサン(分子量1500)(ダウ・東レ社製)
・2,4-ビス(4-ジベンゾチオフェニル)-1-フェニルアクリレート(BDTPA:分子量512.64)
・HLM101:2,2-ビス(4-ジベンゾチオフェニルチオメチル)-3-(4-ジベンゾチオフェニルチオ)プロピルアクリレート(分子量785.10)
・HLI02: 1-(9-エチル-6-シクロヘキサノイル-9H-カルバゾール-3-イル)-1-(O-アセチルオキシム)グルタル酸メチル
・2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(TPO):東京化成社製
・4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシルフリーラジカル(TEMPOL):東京化成社製
・トリス(2-エチルヘキサノエート)ビスマスのオクチル酸溶液(有効成分量56重量%)
・リノール酸メチル(LM):東京化成社製
リノール酸メチルは比較例1において、成分(e-1)の代替として用いた。
実施例及び比較例で作製されたホログラム記録媒体用組成物評価用サンプルを使用して、以下に説明する手順でホログラム記録と、ホログラム記録媒体のホログラム記録性能の評価を実施した。
ホログラム記録は、波長405nmの半導体レーザーを用いて、ビーム1本あたりの露光パワー密度7.5mW/cm2で図1に示す露光装置を使用して、二光束平面波のホログラム記録を行った。
媒体を-30°から30°まで、1°おきに同一箇所に61多重記録し、その時の回折効率の平方根の合計をM/#(エムナンバー)とした。
以下詳細に説明する。
図1は、ホログラム記録に用いた装置の概要を示す構成図である。
図1中、Sはホログラム記録媒体のサンプルであり、M1~M3は何れもミラーを示す。PBSは偏光ビームスプリッタを示し、L1は波長405nmの光を発する記録光用レーザー光源(波長405nm付近の光が得られるTOPTICA Photonics製シングルモードレーザー(図1中「L1」))を示し、L2は波長633nmの光を発する再生光用レーザー光源を示し、PD1、PD2、及びPD3はフォトディテクタを示す。また、1はLEDユニットを示す。
サンプルを光軸に対して動かす角度(二光束、すなわち図1のミラーM1及びM2からの入射光が交わる点における内角の二等分線とサンプルからの法線とがなす角度)を-30°から30°まで1度刻みで61多重の記録を行った。
前述のM/#に0.8を乗じた数値を、前述のM/#が80%に達するまでに照射したエネルギーで除した数値を感度と定義した。
記録前の評価用サンプルの、入射光パワーに対する透過光パワーの比率を測定することで記録前透過率を測定した。
またホログラム記録後、後露光した評価用サンプルの、入射光パワーに対する透過光パワーの比率を測定することで記録後透過率を測定した。
<TEMPOLマスターバッチの調製>
デュラネート(TM)TSS-100:2.7gに、TEMPOL:0.3gを溶解させた。次いでここへトリス(2-エチルヘキサノエート)ビスマスのオクチル酸溶液:0.002gを溶解させた後、減圧下、45℃で撹拌し、2時間反応させた。FT-IRでTEMPOLの水酸基由来の3450cm-1ピークの消失の観測により、TEMPOLの水酸基のイソシアネート基への反応を確認した。
50mLの4つ口フラスコにPTMG-650:16.25g、ε-カプロラクトン:8.56g、スタナスオクトエート:0.0125gを入れ、窒素フロー、還流管を設置し、120℃で12時間反応させ、液状のPTMG-650のカプロラクト変性物(数平均分子量1000)を得た。
デュラネート(TM)TSS-100:4.14gに、重合性モノマーBDTPA:0.325g、光重合開始剤HLI02:0.0198gを溶解させてA液とした。
別に、SH6:3.06gとプラクセルPCL-305(ポリカプロラクトントリオール(分子量550)):1.65gを混合し(SH6:プラクセルPCL-305=65:35(重量比))、トリス(2-エチルヘキサノエート)ビスマスのオクチル酸溶液:0.0013gを溶解させてB液とした。
続いて、厚さ0.5mmのスペーサーシートを対向する2端辺部にのせたスライドガラスの上に、真空脱気した上記混合液を流し込み、その上にスライドガラスをかぶせ、クリップで周辺を固定して80℃で24時間加熱してホログラム記録媒体用組成物評価用サンプルを作製した。この評価用サンプルは、カバーとしてのスライドガラス間に、厚さ0.5mmの記録層が形成されたものである。
成分(b-1)として、SH6とプラクセルPCL-305の代りに、プラクセルPCL-205UとプラクセルPCL-305とをPCL-205U:PCL-305=90:10の重量比で用いたこと以外は実施例1と同様にホログラム記録媒体用組成物及びホログラム記録媒体用組成物評価用サンプルを作製した。
このホログラム記録媒体用組成物の各成分組成は表1に示す通りである。
成分(c-1)として、BDTPAの代りにHLM101を用い、その含有量を4.6重量%とし、各成分組成を表1に示す通りとしたこと以外は実施例1と同様にホログラム記録媒体用組成物及びホログラム記録媒体用組成物評価用サンプルを作製した。
このホログラム記録媒体用組成物の各成分組成は表1に示す通りである。
成分(b-1)として、SH6とプラクセルPCL-305の代りに、PTMG-650とアデカポリエーテルGM-30とをPTMG-650:GM-30=65:35の重量比で用いたこと以外は実施例1と同様にホログラム記録媒体用組成物及びホログラム記録媒体用組成物評価用サンプルを作製した。
このホログラム記録媒体用組成物の各成分組成は表1に示す通りである。
成分(b-1)として、SH6とプラクセルPCL-305の代りに、PTMG-650とプラクセルPCL-305とをPTMG-650:PCL-305=55:45の重量比で用いたこと以外は実施例1と同様にホログラム記録媒体用組成物及びホログラム記録媒体用組成物評価用サンプルを作製した。
このホログラム記録媒体用組成物の各成分組成は表1に示す通りである。
成分(e-1)のTEMPOLの代わりに成分(g-1)リノール酸メチルを用い、また、成分(b-1)として、SH6とプラクセルPCL-305の代りにアデカポリエーテルP-400のみを用いたこと以外は実施例1と同様にしてホログラム記録媒体用組成物及びホログラム記録媒体用組成物評価用サンプルを作製した。
このホログラム記録媒体用組成物の各成分組成は表1に示す通りである。
成分(b-1)として、SH6とプラクセルPCL-305の代りにアデカポリエーテルP-400のみを用いたこと以外は実施例1と同様にしてホログラム記録媒体用組成物及びホログラム記録媒体用組成物評価用サンプルを作製した。
このホログラム記録媒体用組成物の各成分組成は表1に示す通りである。
成分(e-1)のTEMPOLの代わりにTEMPOを用い、TEMPOマスターバッチの製造に当たり、硬化触媒を混合せず、組成物中のTEMPOと成分(d-1)の含有モル比が1.57となるように配合し、また成分(b-1)として、SH6とプラクセルPCL-305の代りにアデカポリエーテルP-400のみを用いたこと以外は実施例1と同様にしてホログラム記録媒体用組成物及びホログラム記録媒体用組成物評価用サンプルを作製した。
このホログラム記録媒体用組成物の各成分組成は表1に示す通りである。
成分(b-1)として、SH6とプラクセルPCL-305の代りにアデカポリエーテルP-400のみを用い、また、成分(c-1)としてBDTPAの代りにHLM101を、組成物中の成分(c-1)の含有量が4.6重量%となるように配合したこと以外は実施例1と同様にしてホログラム記録媒体用組成物及びホログラム記録媒体用組成物評価用サンプルを作製した。
このホログラム記録媒体用組成物の各成分組成は表1に示す通りである。
成分(b-1)として、SH6とプラクセルPCL-305の代りにPTMG-650とアデカポリエーテルGM-30とをPTMG-650:GM-30=99:1の重量比で用い、成分(d-1)としてHLI02の代りに2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(TPO)を、組成物中の成分(c-1)に対する成分(d-1)の含有量が10重量%となるように配合したこと以外は実施例1と同様にしてホログラム記録媒体用組成物及びホログラム記録媒体用組成物評価用サンプルを作製した。
このホログラム記録媒体用組成物の各成分組成は表1に示す通りである。
成分(b-1)として、SH6とプラクセルPCL-305の代りにPTMG-650とアデカポリエーテルGM-30とをPTMG-650:GM-30=75:25の重量比で用いたこと以外は実施例1と同様にしてホログラム記録媒体用組成物及びホログラム記録媒体用組成物評価用サンプルを作製した。
このホログラム記録媒体用組成物の各成分組成は表1に示す通りである。
成分(b-1)として、SH6とプラクセルPCL-305の代りにPTMG-650とアデカポリエーテルGM-30とをPTMG-650:GM-30=70:30の重量比で用いたこと以外は実施例1と同様にしてホログラム記録媒体用組成物及びホログラム記録媒体用組成物評価用サンプルを作製した。
このホログラム記録媒体用組成物の各成分組成は表1に示す通りである。
実施例1~5及び比較例1~7で作製したホログラム記録媒体を上記方法で評価した結果を、下記表2に示す。
実施例1~5、比較例1~7いずれの組成物も、設計透過率が70%(設計透過率-1~-2%)となるよう、開始剤濃度を調整して配合している。
ポリオール種と着色の関係を明らかにするため、成分(c-1):重合性モノマーと成分(d-1):光重合開始剤を含まない、参考例用組成物を作製した。
実施例1と同様にして、TSS-100:2.62gとP-400:2.82gとTEMPOLマスターバッチ:0.556gを混合し、参考例用組成物を作製した。
この参考例用組成物は、ウレタンマトリックス中のプロピレングリコールユニットが46.7重量%であり、TEMPOLが組成物中に900ppm含有される。
P-400の代りにそれぞれ下記表3に示すものを用いたこと以外は参考例1と同様にして参考例用組成物を作製した。
参考例4で用いたSH6は実施例1で製造したPTMG-650のカプロラクトン変性物である。
表3中、成分(b-1)の欄のカッコ内の数値は、使用重量比を示す。
JASCO社製分光光度計V-670を用いて、各参考例用組成物の紫外可視光線吸収スペクトルを測定した。リファレンスにはスライドガラス1枚を用いた。
測定された紫外可視光線吸収スペクトルを図2および図3に示す。
図2より、成分(b-1)にポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール又はポリテトラメチレングリコールのカプロラクトン変性物を用いた場合は着色し、ポリカプロラクトンポリオールを用いた場合は着色が抑制されることが分かる。
また図3より成分(b-1)としてポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオールおよび水酸基末端ポリジメチルシロキサンを用いた場合も着色が抑制されることが分かる。
M1,M2,M3 ミラー
L1 記録光用半導体レーザー光源
L2 再生光用レーザー光源
PD1,PD2,PD3 フォトディテクタ
PBS 偏光ビームスプリッタ
1 LEDユニット
Claims (16)
- 下記成分(a-1)~(e-1)を含有し、成分(a-1)と成分(b-1)の合計重量に対する成分(b-1)に含まれるプロピレングリコールユニットとテトラメチレングリコールユニットの合計重量の割合が30重量%以下であり、成分(b-1)が、ポリカプロラクトンポリオールを含むことを特徴とするホログラム記録媒体用組成物。
成分(a-1):イソシアネート基を有する化合物
成分(b-1):イソシアネート反応性官能基を有する化合物
成分(c-1):重合性モノマー
成分(d-1):光重合開始剤
成分(e-1):安定ニトロキシルラジカル基を有する化合物 - 下記成分(a-1)~(e-1)を含有し、成分(a-1)と成分(b-1)との合計重量に対する成分(b-1)に含まれるカプロラクトンユニットの重量割合が20重量%以上であることを特徴とするホログラム記録媒体用組成物。
成分(a-1):イソシアネート基を有する化合物
成分(b-1):イソシアネート反応性官能基を有する化合物
成分(c-1):重合性モノマー
成分(d-1):光重合開始剤
成分(e-1):安定ニトロキシルラジカル基を有する化合物 - 前記成分(e-1)がイソシアネート反応性官能基と安定ニトロキシルラジカル基とを有する化合物である、請求項1又は2に記載のホログラム記録媒体用組成物。
- 成分(b-1)が、ポリカプロラクトンポリオールを含む、請求項2又は3に記載のホログラム記録媒体用組成物。
- 成分(c-1)の重合性モノマーが(メタ)アクリル系モノマーである、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のホログラム記録媒体用組成物。
- 成分(c-1)の重合性モノマーの分子量が300以上である、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のホログラム記録媒体用組成物。
- 成分(e-1)が、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシルである、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のホログラム記録媒体用組成物。
- 成分(a-1)と成分(b-1)との合計重量に対する成分(b-1)に含まれるカプロラクトンユニットの重量割合が、20重量%以上である、請求項1、3ないし7のいずれか1項に記載のホログラム記録媒体用組成物。
- 組成物中の成分(e-1)と成分(d-1)のモル比(成分(e-1)/成分(d-1))が0.1以上10以下である、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のホログラム記録媒体用組成物。
- 組成物中の成分(c-1)の含有量が0.1重量%以上80重量%以下であり、成分(d-1)の含有量が成分(c-1)に対して0.1重量%以上20重量%以下である、請求項1ないし9のいずれか1項に記載のホログラム記録媒体用組成物。
- 組成物中の成分(a-1)と成分(b-1)の合計の含有量が0.1重量%以上99.9重量%以下であり、成分(a-1)に含まれるイソシアネート基数に対する成分(b-1)に含まれるイソシアネート反応性官能基数の比率が0.1以上10.0以下である、請求項1ないし10のいずれか1項に記載のホログラム記録媒体用組成物。
- さらに下記成分(f-1)を含む、請求項1ないし11のいずれか1項に記載のホログラム記録媒体用組成物。
成分(f-1):硬化触媒 - 請求項1ないし12のいずれか1項に記載のホログラム記録媒体用組成物を硬化させてなるホログラム記録媒体用硬化物。
- 請求項13に記載のホログラム記録媒体用硬化物よりなる記録層と支持体とを有するホログラム記録媒体用積層体。
- 請求項13に記載のホログラム記録媒体用硬化物または請求項14に記載のホログラム記録媒体用積層体に露光してなるホログラム記録媒体。
- ARグラス導光板である請求項15に記載のホログラム記録媒体。
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