JP6048078B2 - ホログラム記録媒体用組成物及びこれを用いたホログラム記録媒体並びにそれらの製造方法 - Google Patents
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Description
また、気泡による欠陥のないホログラムメディアを提供するために、ビスマストリスラウレート等のビスマス(Bi)系のウレタン硬化触媒が用いられることが知られている(特許文献4)。
このため、本発明によれば、保存安定性に優れると共に、脈理が少なく均一な、記録特性に優れた記録層を形成することができるホログラム記録媒体用組成物を提供することができ、このホログラム記録媒体用組成物を用いて、記録特性及びその保存安定性に優れたホログラム記録媒体を歩留りよく製造することができる。
本発明のホログラム記録媒体用組成物は、
(1)イソシアネート基を有する化合物(以下、「成分(1)」と記載することがある。)
(2)イソシアネート反応性官能基を有する化合物(以下、「成分(2)」と記載することがある。)
及び
(3)硬化触媒(以下、「成分(3)」と記載することがある。)としてのビスマス系触媒と希土類系触媒を含有し、通常、さらに
(4)重合性モノマー(以下、「成分(4)」と記載することがある。)
及び
(5)光重合開始剤(以下、「成分(5)」と記載することがある。)
を含有し、必要に応じて、上記成分(1)〜(5)以外のその他の成分を含有する。
イソシアネート基を有する化合物は、後述の硬化触媒(成分(3))の存在下で、イソシアネート反応性官能基を有する化合物(成分(2))と反応し、樹脂マトリックスを構成する。
また、ウレタン、ウレア、カルボジイミド、アクリルウレア、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、オキサジアジントリオン、ウレットジオン及び/又はイミノオキサジアジンジオン構造を有するイソシアネート誘導体の使用も可能である。
上記の中でも着色し難いため、脂肪族のものが好ましい。
本発明におけるイソシアネート反応性官能基を有する化合物とは、イソシアネート基を有する化合物との鎖延長反応に関与する活性水素(イソシアネート反応性官能基)を有する化合物のことである。
即ち、前述のように、2つ以上のイソシアネート基を有する化合物と3つ以上のイソシアネート反応性官能基を有する化合物との反応、又は3つ以上のイソシアネート基を有する化合物と2つ以上のイソシアネート反応性官能基を有する化合物との反応で得られる三次元架橋マトリックスによれば、優れた記録保持性を有する記録層を得ることができる。
なお、イソシアネート反応性官能基を有する化合物が、2つ以上のイソシアネート反応性官能基を有する場合、1つの分子に含まれるイソシアネート反応性官能基は1種類であってもよく、また複数種類であってもよい。イソシアネート反応性官能基を有する化合物の平均的な分子量は、数平均分子量で通常50以上であり、好ましくは100以上、より好ましくは150以上である。また通常50000以下であり、好ましくは10000以下、より好ましくは5000以下である。イソシアネート反応性官能基を有する化合物の平均的な分子量が上記の下限値以上の場合では、架橋密度が下がり、記録速度の低下を防止することができる。また、イソシアネート反応性官能基を有する化合物の平均的な分子量が上記の上限値以下の場合では、他成分との相溶性が向上したり、架橋密度が上がるために、記録内容の消失を防止することができる。
水酸基を有する化合物は1分子中に水酸基を1つ以上有するものであればよいが、2つ以上の水酸基を有するものが好ましい。その例として、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類;ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、テトラメチレングリコール等のジオール類;ビスフェノール類、又はこれらの多官能アルコールをポリエチレンオキシ鎖やポリプロピレンオキシ鎖で修飾した化合物;グリセリン、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、ペンタントリオール、ヘキサントリオール、デカントリオール等のトリオール類などのこれらの多官能アルコールをポリエチレンオキシ鎖やポリプロピレンオキシ鎖で修飾した化合物;多官能ポリオキシブチレン;多官能ポリカプロラクトン;多官能ポリエステル;多官能ポリカーボネート;多官能ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。
アミノ基を有する化合物は1分子中にアミノ基を1つ以上有するものであればよいが、2つ以上のアミノ基を有するものが好ましい。その例としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族アミン;イソホロンジアミン、メンタンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンなどの脂環族アミン;m−キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミンなどの芳香族アミン;等が挙げられる。
メルカプト基を有する化合物は1分子中にメルカプト基を1つ以上有するものであればよいが、2つ以上のメルカプト基を有するものが好ましい。その例としては、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、1,10−デカンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,9−ノナンジチオール、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン等が挙げられる。
本発明においては、マトリックスの硬化触媒として、ビスマス系触媒と希土類系触媒を併用する。
ビスマス系触媒としては、ビスマス元素を含有する触媒であって、イソシアネート基を有する化合物及びイソシアネート反応性官能基を有する化合物の反応を促進するルイス酸として働く化合物であれば特に制限はない。
希土類系触媒としては、希土類元素を含有する構造を有し、イソシアネート基を有する化合物及びイソシアネート反応性官能基を有する化合物の反応を促進するものが好適に用いられる。
ビスマス系触媒と希土類系触媒を併用する際の両者の比率は、ビスマス系触媒に対する希土類触媒の質量比として、通常1質量%以上、好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、特に好ましくは30質量%以上であり、通常1000質量%以下、好ましくは500質量%以下、更に好ましくは200質量%以下である。希土類触媒の質量比が上記下限値以上であることにより、樹脂マトリックスが硬化する際の反応速度の立ち上がりを抑制することができ、脈理の少ない樹脂マトリックスの硬化を実現することができる傾向にある。一方、希土類触媒の質量比が上記上限値以下であることにより、樹脂マトリックスの硬化速度を高めることができる。
本発明のホログラム記録媒体用組成物は、反応速度の調整のために、上記のビスマス系触媒及び希土類系触媒とともに他の硬化触媒を用いることもできる。併用可能な触媒としては、本発明の主旨に反しない限り特に制限はないが、構造の一部にアミノ基を有する化合物を使用することが好ましい。
重合性モノマーとは後述の光重合開始剤によって重合され得る化合物をいう。
本発明のホログラム記録媒体用組成物に使用される重合性モノマーの種類は特に制限されず、公知の化合物の中から適宜選択することが可能である。重合性モノマーの例としては、カチオン重合性モノマー、アニオン重合性モノマー、ラジカル重合性モノマー等が挙げられる。これらは、何れを使用することもでき、また二種以上を併用してもよい。ただし、イソシアネート基を有する化合物及びイソシアネート反応性官能基を有する化合物がマトリックスを形成する反応を阻害しにくいという理由から、ラジカル重合性モノマーを使用することが好ましい。
カチオン重合性モノマーの例としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物、オキソラン化合物、環状アセタール化合物、環状ラクトン化合物、チイラン化合物、チエタン化合物、ビニルエーテル化合物、スピロオルソエステル化合物、エチレン性不飽和結合化合物、環状エーテル化合物、環状チオエーテル化合物、ビニル化合物等が挙げられる。
アニオン重合性モノマーの例としては、炭化水素モノマー、極性モノマー等が挙げられる。
炭化水素モノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレン、ビニルピリジン、ビニルアントラセン、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
極性モノマーの例としては、メタクリル酸エステル類、アクリル酸エステル類、ビニルケトン類、イソプロペニルケトン類、その他の極性モノマーなどが挙げられる。
ラジカル重合性モノマーの例としては、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエステル類、ビニル化合物、スチレン類、スピロ環含有化合物等が挙げられる。なお、本明細書において、「メタクリル」及び「アクリル」の総称を「(メタ)アクリル」と記載する。「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリレート」についても同様である。
本発明のホログラム記録媒体用組成物に用いる重合性モノマーは、通常分子量が80以上であり、好ましくは150以上、より好ましくは300以上である。また通常3000以下であり、好ましくは2500以下、より好ましくは2000以下である。重合性モノマーの分子量が上記の下限値以上であることで、ホログラムの情報記録時の光照射の重合に伴う収縮率を小さくすることができる。また、重合性モノマーの分子量が上記の上限値以下であることで、ホログラム記録媒体用組成物を用いた記録層中での重合性モノマーの移動度が高く、拡散が起こりやすくなり、十分な回折効率を得ることができる。
上記重合性モノマーは、ホログラム記録媒体への照射光波長(記録波長等)における屈折率が通常1.50以上、好ましくは1.52以上、さらに好ましくは1.55以上であり、通常1.80以下、好ましくは1.78以下である。重合性モノマーの屈折率が過度に小さいと回折効率が十分でなく、多重度が十分とならない場合がある。また、重合性モノマーの屈折率が過度に大きいとマトリックス樹脂との屈折率差が大きくなりすぎて散乱が大きくなることにより透過度が低下して、記録や再生に際してより大きなエネルギーを要することになる。なお、重合性モノマーの屈折率は短い波長で評価すると大きい値を示すが、短波長で相対的に大きい屈折率を示すサンプルは、長波長でも相対的に大きい屈折率を示し、その関係が逆転することはない。従って、記録波長以外の波長で屈折率を評価し、記録波長での屈折率を予測することも可能である。
上記重合性モノマーは、ホログラムの記録波長における、モル吸光係数が100L・mol−1・cm−1以下であることが好ましい。モル吸光係数が100L・mol−1・cm−1以下であることにより、媒体の透過率が低くなることを防ぎ、厚みに対して十分な回折効率を得ることができる。
光重合開始剤とは、光によって化学反応を起こすカチオン、アニオン、ラジカルを発生するものをいい、上述の重合性モノマーの重合に寄与する。光重合開始剤の種類は特に制限はなく、重合性モノマーの種類等に応じて適宜選択することができる。
その場合、光重合開始剤の全量に対して、オキシムエステル系光重合開始剤及び/又はホスフィンオキシド系光重合開始剤を0.003質量%以上用いることが好ましく、より好ましくは0.03質量%以上、さらに好ましくは0.05質量%以上である。オキシムエステル系光重合開始剤及び/又はホスフィンオキシド系光重合開始剤、特にオキシムエステル系光重合開始剤を上記下限値以上で用いることにより、保存安定性に優れたホログラム記録媒体用組成物を得ることができる。
上記の中でも、優れた記録感度を得られるため、モノアシルホスフィンオキシド化合物が好ましい。
光重合開始剤として、上記オキシムエステル系光重合開始剤及びホスフィンオキシド系光重合開始剤以外の光重合開始剤を併用することができる。例えば、下記のカチオン光重合開始剤、アニオン光重合開始剤、及びラジカル光重合開始剤は、使用する重合性モノマーに対応するものであれば、何れを使用することもできる。これらは何れかを単独で用いてもよく、又は二種以上を併用してもよい。
カチオン光重合開始剤は、公知のカチオン光重合開始剤であれば、何れを用いることも可能である。例としては芳香族オニウム塩等が挙げられる。具体例としては、SbF6 −、BF4 −、AsF6 −、PF6 −、CF3SO3 −、B(C6F5)4 −等のアニオン成分と、ヨウ素、硫黄、窒素、リン等の原子を含む芳香族カチオン成分とからなる化合物が挙げられる。中でも、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルフォニウム塩等が好ましい。上記例示したカチオン光重合開始剤は、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
アニオン光重合開始剤は、公知のアニオン光重合開始剤であれば、何れを用いることも可能である。例としてはアミン類等が挙げられる。アミン類の例としては、ジメチルベンジルアミン、ジメチルアミノメチルフェノール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等のアミノ基含有化合物、及びこれらの誘導体;イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、及びその誘導体;等が挙げられる。上記例示したアニオン光重合開始剤は、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ラジカル光重合開始剤は、公知のラジカル光重合開始剤であれば、何れを用いることも可能である。前述のオキシムエステル系光重合開始剤/ホスフィンオキシド系光重合開始剤以外のラジカル光重合開始剤の例としては、アゾ化合物、アジド化合物、有機過酸化物、有機硼素酸塩、オニウム塩類、ビスイミダゾール誘導体、チタノセン化合物、ヨードニウム塩類、有機チオール化合物、ハロゲン化炭化水素誘導体等が用いられる。上記例示したラジカル光重合開始剤は、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
光重合開始剤としては特に記録波長におけるモル吸光係数が1000L・mol−1・cm−1以下である化合物がより好ましい。モル吸光係数が1000L・mol−1・cm−1以下であることにより、十分な回折効率を得られる量を混合した場合に生じる、記録波長におけるホログラム記録媒体の透過率が低下を抑制することができる。
本発明におけるホログラム記録媒体用組成物は上述の成分(1)〜(3)、好ましくは成分(1)〜(5)を含むことを特徴とするが、本発明の主旨に反しない限り、その他の成分を含有することができる。
これらの成分はいずれか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明のホログラム記録媒体用組成物における各成分の含有量は、本発明の主旨に反しない限り任意であるが、各成分の割合は組成物に含まれる溶剤以外の固形分の全質量を基準に以下の範囲であることが好ましい。
また、組成物中の成分(1)のイソシアネート基数に対する成分(2)のイソシアネート反応性官能基数の比は0.1以上が好ましくは、より好ましくは0.5以上である。また通常10.0以下であり、好ましくは2.0以下である。この比率が上記範囲内となることで、未反応の官能基が少なくなり、保存安定性が向上する。
本発明において、成分(1)〜(3)、好ましくは成分(1)〜(5)はどのような組み合わせ、順序で混合してもよく、またその際に、その他の成分を組み合わせて混合してもよい。
例えば以下のような方法で得ることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明のホログラム記録媒体は、記録層と、必要に応じて、更に支持体やその他の層を備える。通常、ホログラム記録媒体は支持体を有し、記録層やその他の層は、この支持体上に積層されてホログラム記録媒体を構成する。ただし、記録層又はその他の層が、媒体に必要な強度や耐久性を有する場合には、ホログラム記録媒体は支持体を有していなくてもよい。その他の層の例としては、保護層、反射層、反射防止層(反射防止膜)等が挙げられる。
本発明のホログラム記録媒体の記録層は、本発明のホログラム記録媒体用組成物により形成される層であり、情報が記録される層である。情報は通常、ホログラムとして記録される。後述の記録方法の項に詳述するとおり、該記録層中に含まれる重合性モノマーは、ホログラム記録などによってその一部が重合等の化学的な変化を生じるものである。従って、記録後のホログラム記録媒体においては、重合性モノマーの一部が消費され、重合体など反応後の化合物として存在する。
支持体は、媒体に必要な強度及び耐久性を有しているものであれば、その詳細に特に制限はなく、任意の支持体を使用することができる。また、支持体の形状にも制限は無いが、通常は平板状又はフィルム状に形成される。また、支持体を構成する材料にも制限は無く、透明であっても不透明であってもよい。
保護層は、記録層の酸素や水分による感度低下や保存安定性の劣化等の影響を防止するための層である。保護層の具体的構成に制限は無く、公知のものを任意に適用することが可能である。例えば、水溶性ポリマー、有機/無機材料等からなる層を保護層として形成することができる。
反射層は、ホログラム記録媒体を反射型に構成する際に形成される。反射型のホログラム記録媒体の場合、反射層は支持体と記録層との間に形成されていてもよく、支持体の外側面に形成されていてもよいが、通常は、支持体と記録層との間にあることが好ましい。
反射層としては、公知のものを任意に適用することができ、例えば金属の薄膜等を用いることができる。
透過型及び反射型の何れのホログラム記録媒体についても、物体光及び読み出し光が入射及び出射する側や、あるいは記録層と支持体との間に、反射防止膜を設けてもよい。反射防止膜は、光の利用効率を向上させ、かつゴースト像の発生を抑制する働きをする。
反射防止膜としては、公知のものを任意に用いることができる。
本発明のホログラム記録媒体の製造方法に制限は無い。例えば、無溶剤で支持体上に本発明のホログラム記録媒体用組成物を塗布し、記録層を形成して製造することできる。この際、塗布方法としては任意の方法を使用することができる。具体例を挙げると、スプレー法、スピンコート法、ワイヤーバー法、ディップ法、エアーナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、及びドクターロールコート法などが挙げられる。また、記録層の形成に際し、特に膜厚の厚い記録層を形成する場合、型に入れて成型する方法や、離型フィルム上に塗工して型を打ち抜く方法を用いることもできる。また、本発明のホログラム記録媒体用組成物を前述の溶剤又は添加剤を含む塗布液として調製し、これを支持体上に塗布、乾燥して記録層を形成して製造しても良い。この場合も塗布方法としては任意の方法を使用することができ、例えば、上述したのと同様の方法を採用することができる。
本発明のホログラム記録媒体に対する情報の書き込み(記録)及び読み出し(再生)は、何れも光の照射によって行なわれる。
[実施例1:ビスマス系触媒とランタン系触媒の併用]
<サンプルの作製>
3官能のポリオキシプロピレングリコール3.99gに、硬化触媒としてトリス(2−エチルヘキサナート)ビスマス2.0mgと2,4−ペンタンジオナトランタン0.5mgを加えて混合し、I液とした。
続いて、ヘキサメチレンジイソシアネート1.00gをII液とした。
I液とII液を混合した後、室温で30分経過した後の粘度を、振動式粘度計(VM−10A・SECONIC Co.)を用いて測定した。
I液とII液とを混合したものが入った容器を逆さまにして、混合液が落ちてこない時間をゲル化時間として測定した。
前記の混合液を1.5mmのスペーサーを配置したスライドガラス上に流し込み、さらにその上からスライドガラスを被せた。これを、60℃で48時間加熱することにより、脈理観察用のサンプルを作製した。このサンプルをシュリーレン法を用いた脈理観察装置を用いて観察した。観察結果を、
○:(脈理なし)
△:(僅かに脈理あり)
×:(脈理あり)
の3段階で評価した。これらの結果を表1に示す。
トリス(2−エチルヘキサナート)ビスマスの量を1.5mgに、2,4−ペンタンジオナトランタンの量を1.0mgに変更した以外は、実施例1と同様の方法でサンプルを作製し、同様に評価を行った。この結果を表1に示す。
トリス(2−エチルヘキサナート)ビスマスの量を1.0mgに、2,4−ペンタンジオナトランタンの量を1.5mgに変更した以外は、実施例1と同様の方法でサンプルを作製し、同様に評価を行った。この結果を表1に示す。
トリス(2−エチルヘキサナート)ビスマスの量を0.5mgに、2,4−ペンタンジオナトランタンの量を2.0mgに変更した以外は、実施例1と同様の方法でサンプルを作製し、同様に評価を行った。この結果を表1に示す。
トリス(2−エチルヘキサナート)ビスマスの量を2.5mgとし、2,4−ペンタンジオナトランタンを使用しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法でサンプルを作製し、同様に評価を行った。この結果を表1に示す。
2,4−ペンタンジオナトランタンの量を2.5mgに変更し、トリス(2−エチルヘキサナート)ビスマスを使用しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法でサンプルを作製し、同様に評価を行った。この結果を表1に示す。
トリス(2−エチルヘキサナート)ビスマスの量を1.5mgに変更した以外は、比較例1と同様の方法でサンプルを作製し、同様に評価を行った。この結果を表1に示す。
トリス(2−エチルヘキサナート)ビスマスの量を0.5mgに変更した以外は、比較例1と同様の方法でサンプルを作製し、同様に評価を行った。この結果を表1に示す。
トリス(2−エチルヘキサナート)ビスマスも2,4−ペンタンジオナトランタンも使用しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法でサンプルを作製し、同様に評価を行った。この結果を表1に示す。
[実施例5:ビスマス系触媒とランタン系触媒の併用]
<評価用サンプルの作製>
ヘキサメチレンジイソシアネート3.02g(NCO%(イソシアネート基の割合):49.94%)にジベンゾチオフェニルフェニルアクリレート0.64g、及び1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバソール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)グルタル酸エチル0.023gを溶解させA液とした。
次に、分子量約1000のポリオキシプロピレングリコール11.96gにトリス(2−エチルヘキサナート)ビスマス0.0011gと2,4−ペンタンジオナトランタン0.0011gを溶解させ、B液とした。
B液を減圧下で3時間脱気した後、A液とB液を混ぜ合わせて撹拌混合し、さらに数分間、真空で脱気した。
得られたホログラム記録評価用サンプルを使用し、以下に説明する手順でホログラム記録を実施した。
ホログラム記録は、波長405nmの半導体レーザを用いて、ビーム1本あたりの露光パワー密度6.0mW/cm2で図1に示す露光装置を使用して、二光束平面波のホログラム記録を行った。
媒体を−30°から30°まで1°おきに同一箇所に61多重記録し、その時の回折効率の平方根の合計をM/#(エムナンバー)とした。以下、詳細に説明する。
図1(a)中、Sはホログラム記録媒体のサンプルを示し、M1〜M3は何れもミラーを示し、PBSは偏光ビームスプリッタを示し、L1は波長405nmの光を発する記録光用レーザ光源(波長405nm付近の光が得られるソニー製シングルモードレーザーダイオードを用いた(図1(a)中「L1」))を示し、L2は波長633nmの光を発する再生光用レーザ光源を示し、PD1、PD2はフォトディテクタを示す。また、1はLEDユニットを示し、2はアームを示し、3は支柱を示す。
ホログラム記録後、He−Neレーザで波長633nmの光を得られるもの(メレスグリオ社製V05−LHP151:図中「L2」)を用いて、その光を記録面に対し29.9°の角度で照射し、回折された光をパワーメータ及びディテクタ(ニューポート社製2930−C、918−SL:図中「PD1」及び「PD2」)を用いて検出することにより、ホログラム記録が正しく行なわれているか否かを判定した。ホログラムの回折効率は、回折された光の強度の透過光強度と回折光強度の和に対する比で与えられる。
サンプルを光軸に対して動かす角度(二光束、すなわち図1(a)のミラーM1及びM2からの入射光が交わる点における内角の二等分線とサンプルからの法線とがなす角度)を−30°から30°まで1°刻みで61多重の記録を行い、得られた回折効率の平方根を多重記録全域にわたって合計したものをM/#とした。
具体的には、各サンプルごとに、始めに複数用意した光学記録媒体の1つを用いて、二光束が交わる点における内角の二等分線と媒体の法線がなす角度がゼロの状態で、回折効率が一定になるまで二光束すなわち図1(a)におけるミラーM1及びM2からの入射光(波長405nm)を照射し、一定になった最小のエネルギーを測定する(この際、回折効率の評価はミラーM3からの光(波長633nm)を用いて行なう)。
評価用サンプルの感度は、上記M/#計測において、サンプルが示す最大M/#の80%に達するまでの平均感度を表すものであり、次のように算出される。
感度=(0.8×(M/#))/(I×ts×L)
ここで、Iは入射光強度(mW/cm2)、tsはM/#が80%に達するまでの総露光時間(秒)、Lは記録層厚み(cm)である。
サンプルの保存安定性試験は、未記録サンプルを80℃で保存後に記録を行い、保存前と比較した。M/#及び感度は、保存前を100%とした残存率で評価した。
この結果を表2に示す。
実施例5のトリス(2−エチルヘキサナート)ビスマスとトリス(2,4−ペンタンジオナト)ランタン(III)をジオクチル錫ジラウレート0.003gに変更した以外は実施例5と同様の方法で評価用サンプルを作製し、同様に評価を行った。この結果を表2に示す。
<評価用サンプルの作製>
ヘキサメチレンジイソシアネートアダクト体2.89gに、ジベンゾチオフェニルフェニルアクリレート0.22g、及び1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバソール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)グルタル酸メチル0.023gを溶解させ、A液とした。
次に、分子量約1000のポリオキシプロピレングリコール4.10gに、ジオクチル錫ジラウレート0.0007gを溶解させ、B液とした。
B液を減圧下で3時間脱気した後、A液とB液を混ぜ合わせて攪拌混合し、さらに数分間、真空で脱気した。
続いて、15時間の加熱時間を15時間から48時間に変更した以外は、実施例5と同様な方法で評価用サンプルを作製し、得られたサンプルについて、同様に評価を行った。この結果を表2に示す。
1A LEDユニットの表面
1B LED
2 アーム
3 支柱
S サンプル
M1,M2,M3 ミラー
PBS 偏光ビームスプリッタ
L1 記録光用レーザ光源
L2 再生光用レーザ光源
PD1,PD2 フォトディテクタ
Claims (6)
- イソシアネート基を有する化合物、イソシアネート反応性官能基を有する化合物、及び硬化触媒を含有するホログラム記録媒体用組成物であって、
該硬化触媒がビスマス系触媒及び希土類系触媒を含有することを特徴とするホログラム記録媒体用組成物。 - 重合性モノマー及び光重合開始剤を含有することを特徴とする、請求項1に記載のホログラム記録媒体用組成物。
- 前記希土類系触媒が、ランタノイド系触媒であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のホログラム記録媒体用組成物。
- 前記重合性モノマーが、ラジカル重合性モノマーであることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のホログラム記録媒体用組成物。
- 記録層に請求項1ないし4のいずれか一項に記載のホログラム記録媒体用組成物を用いたことを特徴とする、ホログラム記録媒体。
- イソシアネート基を有する化合物とイソシアネート反応性官能基を有する化合物とを、硬化触媒を用いて硬化させる工程を有するホログラム記録媒体の製造方法であって、
該硬化触媒としてビスマス系触媒及び希土類系触媒を併用することを特徴とする、ホログラム記録媒体の製造方法。
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-
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