JP6458645B2 - 含チオフェン環スルフィド基を有する化合物、及び光反応性組成物 - Google Patents
含チオフェン環スルフィド基を有する化合物、及び光反応性組成物 Download PDFInfo
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Description
本発明はまた、上記化合物を含有する光反応性組成物、該光反応性組成物を含有する光学材料及び光学部品、並びに該光反応性組成物を用いるホログラム記録媒体に関する。
ジ用、携帯電話用カメラ用などの各種樹脂レンズ、顕微鏡液浸レンズ用液体、光記録材料など、その応用範囲の広さから精力的な研究がなされている。しかし、一般的な有機化合物の屈折率は1.5〜1.7であり、1.7を超える有機化合物の報告は少なく、高屈折率を有する新規な有機化合物の創製が求められている。
近年、注目を浴びているホログラム記録媒体は、光の干渉、回折現象を利用した記録媒体である。ホログラムとは、参照光と情報(又は信号)光と呼ばれる2つの光の干渉縞が作る干渉パターンを記録媒体内部に立体的に記録する記録手法である。ホログラム記録媒体は記録層に感光性のホログラム記録材料を含んでおり、ホログラム記録材料が干渉パターンに応じて化学変化し光学特性が局所的に変化することによって情報データを記録する。どのような光学特性を変化させるかによりいくつかの種類に分けられるが、記録層内で屈折率差を生じさせることにより記録を行う位相ホログラム(体積型ホログラム)が、高い回折効率や波長選択性により有利であると考えられている。
ここでいうフォトポリマーとは、少なくともマトリックス樹脂、重合性の反応性化合物、および光重合開始剤からなる材料組成を表す。
記録前のホログラム記録媒体の記録層においては、マトリックス樹脂と重合性の反応性化合物がほぼ均一に混合し、参照光と情報光(以下、記録光と記載)の波長での屈折率も、記録層内においてほぼ均一な状態を確保されている。このホログラム記録媒体の記録層に、記録光を照射することにより、干渉縞の明部では、活性化された光重合開始剤の影響によって反応性化合物が重合し重合物となる。
従って、干渉縞の明部と暗部の屈折率差を大きくするためには、反応性化合物の重合後の重合物としての屈折率が、マトリックス樹脂の屈折率より大きいこと、またそれらの差が大きいことが重要である。干渉縞の明部と暗部の屈折率の差がより大きいことで多重度を大きくすることが可能と考えられ、より大きな回折効率を達成することが出来る。回折効率が大きいほど、多重度を高く出来、より高密度記録が可能となる。また、ホログラム記録媒体以外の、高屈折率が要求される光学部品や光学材料において好適に用いることができる。
する。
[1]下記式(1)で示されることを特徴とする化合物。
は直接結合であり、
該Lが直接結合の場合は、q=0、かつn=m=1である。]
[2]前記nが2または3、かつ前記mが1である[1]の化合物。
[3][1]又は[2]に記載の化合物を含有する光反応性組成物。
[4]前記光反応性組成物に、さらにマトリックス樹脂及び光重合開始剤を含む[3]に記載の光反応性組成物。
[5]マトリックス樹脂がイソシアネートとポリオールの反応によって得られるものである[4]に記載の光反応性組成物。
[6]ホログラム記録媒体の記録層に用いられる、[3]乃至[5]の何れか1に記載の光反応性組成物。
[7][6]に記載の光反応性組成物を用いるホログラム記録媒体。
[8][3]乃至[5]の何れか1に記載の光反応性組成物を含有する光学材料。
[9][3]乃至[5]の何れか1に記載の光反応性組成物を含有する光学部品。
なお、本発明において、「置換基を有していても良い」とは、置換基を1以上有していてもよいことを意味する。
1.本願発明の化合物について
本願発明の化合物は、下記式(1)で示される重合性の反応性化合物である。
含チオフェン環スルフィド基を表す。また、nは基Aの数であって、1以上5以下の整数を表し、mは基Bの数であって、1以上5以下の整数を表す。また、Lは置換基を有していてもよい基Aと基Bとを接続するn+m価の任意の連結基、または直接結合を表し、
ただし、Lが直接結合の場合は、q=0、かつn=m=1とする。
Lは置換基を有していてもよい任意の連結基、または直接結合である。高い屈折率を付与するためには、Lは環状化合物であることが好ましく、一方で、相溶性を付与するためには脂肪族化合物であることが好ましい。また、材料の目的に合わせてこれらの構造を組み合わせてもよく、C−C結合間に−O−、−S−、−CO−、−COO−及び−CONH−から選ばれる連結基を有していても良い。
飽和炭化水素としては、例えばメチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、シクロプロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−へキシレン基などが挙げられ、分枝構造を有する鎖状化合物としては、例えばイソプロピレン基、イソブチレン基、s−ブチレン基、t−ブチレン基、1,1−ジメチル−n−プロピレン基、1,2−ジメチル−n−プロピレン基、2,2−ジメチル−n−プロピレン基、1−エチル−n−プロピレン基、1−メチル−n−ブチレン基、2−メチル−n−ブチレン基、3−メチル−n−ブチレン基、
1,1,2−トリメチル−n−プロピレン基、1,2,2−トリメチル−n−プロピレン基、1−エチル−2−メチル−n−プロピレン基、1,1−ジメチル−n−ブチレン基、2,2−ジメチル−n−ブチレン基、3,3−ジメチル−n−ブチレン基、1,2−ジメチル−n−ブチレン基、1,3−ジメチル−n−ブチレン基、2,3−ジメチル−n−ブチレン基
、1−エチル−n−ブチレン基、2−エチル−n−ブチレン基、1−メチル−n−ペンチレ
ン基、2−メチル−n−ペンチレン基、3−メチル−n−ペンチレン基、4−メチル−n−
ペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロペンチレン基などが挙げられる。
具体的には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、オキサゾール環、チアゾール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドール環、イソインドール環、ベンゾイミダゾール環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、カルバゾール環、チアンスレン環、ジベンゾチオキサン環、ジベンゾベンゾチオフェン環、オキサゾリジン環、チアゾリジン環などの炭素数2〜18、好ましくは3〜6の芳香族複素環が挙げられる。化合物全体に占める大きさを小さく保ちつつ、高い屈折率を維持するためには、チオフェン環、フラン環、ピロール環が好ましい。
Lは、上記以外に更に置換基を有していてもよい。例えば、さらに溶解性を向上させるために、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシアルコキシ基、アルカノイルオキシ基、屈折率を上昇させるために、アリール基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、アリールオキシ基、アリールアルコキシル基を置換させても良い。但し、経済的な合成の達成のためには無置換であることが好ましい。
アルコキシ基とは、好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基であり、具体的にはメトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。
アルコキシカルボニル基とは、好ましくは炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基であり、具体的にはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基などが挙げられる。
アルカノイルオキシ基とは、好ましくは炭素数2〜5のアルカノイルオキシ基であり、具体的にはアセトキシ基、プロピオノキシ基、ブチロキシ基、バレロキシ基などが挙げられる。
アルキルチオ基とは、好ましくは炭素数2〜4のアルキルチオ基であり、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基などが挙げられる
。
アリールオキシ基とは、炭素数6〜14の単環または縮合環からなるアリールオキシ基であり、具体的にはフェノキシ基などが挙げられる。
アリールアルコキシ基とは、炭素数7〜5のアリールアルコキシ基であり、具体的にはベンジルオキシ基などが挙げられる。
Aは置換基を有していてもよい、前記式(2)又は式(3)で表される含チオフェン環スルフィド基である。スルフィド基は、含チオフェン環のどの位置で結合していてもよい。Aは、式(1)で表される化合物を高屈折率化するための要となる基であり、A単独としての屈折率が高い構造であることが好ましい。ここでA単独としての屈折率は、上述のL同様、Lorentz-Lorenzの式で推算することができる。また、Aは、光の吸収波長がより短波長側にあり、可視光による着色が少ないという観点から、透明性を要求される用途においては、式(2)で表されるジベンゾチオフェン環がより好ましい。
Aは更に置換基を有していてもよい。Aが有していてもよい置換基としては、相溶性を低下させないものや屈折率を低下させないものであれば特に限定されない。具体的には、メチルチオ基などの炭素数1〜3のアルキルチオ基や、メチルチオメチル基などの炭素数2〜6のアルキルチオアルキル基が挙げられる。
なお、Lが環状化合物の場合、AのLに対する好ましい置換位置は、nが1の場合はどこでもよく、nが2以上の場合は合成収率が高いとの理由により互いに隣接しないことが好ましい。
但し、Lがヘテロアリール環である場合には、LおよびAの各々が連結している構造において、互いに直接連結している、LおよびAの各々の構造中の部分構造は、ヘテロ原子を含まないことが好ましい。言い換えると、LおよびAが連結している構造において、LおよびAの構造中の、ヘテロ原子を含む部分構造同士は直接連結していないことが好ましい。LおよびAの構造中の、ヘテロ原子を含む部分構造同士が直接連結している構造は、可視光領域に吸収を持ちやすく、この着色によって記録再生時の光透過を妨げる可能性が高く、好ましくない。
nは1以上5以下の整数であり、nが2以上の場合、複数のAは同一であっても異なっていてもよい。nは、溶剤やマトリックスとの良い溶解性を得るためには、好ましくは1〜3である。
mは、1以上5以下の整数を表し、光硬化による収縮を低く抑えるために1が好ましい。
以上に説明した式(1)で表される化合物は、光照射時の架橋に伴う収縮率低減の点から、通常分子量1500以下、好ましくは1000以下、更に好ましくは850以下、特に好ましくは750以下、中でも600以下であって、通常300以上、好ましくは350以上、中でも400以上であることが好ましい。
また、式(1)で表される化合物は、保存安定性を向上させる理由から、通常水不溶性であることが好ましい。ここで「水不溶性」とは、25℃、1気圧の条件下における水に対する溶解度が、通常0.1重量%以下、好ましくは0.01重量%以下であることを言う。
本発明における化合物の屈折率とは、重合性の反応性化合物が重合して生成された重合物の屈折率を指すものとする。
式(1)で表される化合物から得られる重合物は、照射光波長における屈折率が通常1.70以上、1.78以下、好ましくは1.77以下の範囲である。 式(1)で表される化合物をホログラム記録媒体の記録層材料として用いる場合、屈折率が1.7より小さいと回折効率が低く、多重度が十分でない。また、屈折率が1.78より大きいとマトリックス樹脂との屈折率の差が大きくなりすぎて散乱が大きくなることにより透過度が低下して記録や再生に際してより大きなエネルギーを要することとなる。
ここで見かけの屈折率とは、当該化合物が固体である場合、そのままでは屈折率を測定できないため、後述の合成例1に記載したように、適当な溶媒に化合物を溶解して溶液とし、この溶液の屈折率を測定し、化合物が100%の場合の屈折率を外挿により求めた値をさす。
上述の式(1)で表される化合物の具体例を以下に例示するが、本発明はその要旨をこえない限りこれらに限定されるものではない。
チオアクリレート、S−7−ベンゾチオフェニル チオアクリレート、S−(1,3−ジフェニル)−4−ジベンゾチオフェニル チオアクリレート、S−(1,3−ジフェニ
ル)−7−ベンゾチオフェニル チオアクリレート、6−フェニルー2、4−ビス(4−ジベンゾチオフェニル)−1−フェニル アクリレート、6−フェニルー2、4−ビス(
7−ベンゾチオフェニル)−1−フェニル アクリレート、7−(3−(4−ジベンゾチ
オフェニル)−2,6−ジオキサー[3,3,0]ビシクロオクチル) アクリレート、7−(3−(7−ベンゾチオフェニル)−2,6−ジオキサー[3,3,0]ビシクロオクチル) アクリレート、2、4−ビス(4−ジベンゾチオフェニル)−1−シクロヘキシル
アクリレート、2、4−ビス(7−ベンゾチオフェニル)−1−シクロヘキシル アクリレート、3、3−ビス(4−ジベンゾチオフェニルチオ)メチルフェニル アクリレート
、3、3−ビス(7−ベンゾチオフェニルチオ)メチルフェニル アクリレート、4−(1,2、−ビス(4−ジベンゾチオフェニルチオ)エチルフェニル アクリレート、4−(1,2、−ビス(7−ベンゾチオフェニルチオ)エチルフェニル アクリレート、2,3−ビス(4−ジベンゾチオフェニルチオ)プロピル アクリレート、2,3−ビス(7−ベンゾチオフェニルチオ)プロピル アクリレート、2−(4−ジベンゾチオフェニルチオ)エチル アクリレート、2−(7−ベンゾチオフェニルチオ)エチル アクリレート、1,3−ビス(4−ジベンゾチオフェニルチオ)−2−プロピル アクリレート、1,3−ビス(7−ベンゾチオフェニルチオ)−2−プロピル アクリレート、2、2−ビス(4−ジベンゾチオフェニルチオメチル)−3−(4−ジベンゾチオフェニルチオ)プロピル アクリレート、等が挙げられる。
式(1)で示される化合物は、公知の種々の方法を組み合わせることにより、合成することができる。式(1)で示される化合物の合成方法の一例について、下記の構造式を用いて説明する。
素でも構わない。また、Lが芳香族化合物の場合、Xはフッ素であっても構わない。Zは、活性水素を有する官能基を有する置換基であって、具体的な官能基としては、水酸基、フェノール基、チオール基、アミノ基が挙げられ、特に、水酸基、チオール基が好ましい。
(1)(ジ)ベンゾチオフェンチオール化合物(b)は、(ジ)ベンゾチオフェンをブチルリチウムでリチオ化し、硫黄でトラップした後、還元処理することにより合成することが出来る。
溶かし適当な塩基によりカップリング反応を行い、前駆体(c)を合成することが出来る。
なお、上記化合物(a)は市販品を購入する、あるいは水酸基を有する化合物をハロゲ
ン化させることにより得ることが出来る。ハロゲン化は、例えば塩素、臭素、ヨウ素、N-ブロモコハク酸イミド、塩素化ヨウ素によってなされる。さらに、水酸基を有する化合物は、対応するハロゲン化物、硫酸化物、硝酸化物、ホウ酸化物から得ることが出来る。
塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどを単独に或いは組み合わせて使用することが出来る。
また、上記前駆体(c)を再度ハロゲン化することにより、Lが置換した化合物(a)相当を得ることが出来るので、これに従えば異なるAを有する前駆体(c)を得ることが可能である。ハロゲン化は上記と同様にして例えば塩素、臭素、ヨウ素、N-ブロモコハク酸イミド、塩素化ヨウ素によってなされる。
本発明の光反応性組成物は、重合性の反応性化合物である、前述の本発明の化合物を含有することを特徴とする。また、本発明の光学材料及び光学部品は、本発明の光反応性組成物を含有することを特徴とし、高屈折率を要求される種々の用途に用いることが可能である。
特に、本発明の光反応性組成物は、ホログラム記録媒体の記録層に好適に用いることができる。
また、本発明の光反応性組成物は、前述の本発明の化合物以外に、マトリックス樹脂及び光重合開始剤を含むことが好ましい。以下、これらについて詳述する。
本発明の光反応性組成物に含有される重合性の反応性化合物については、前述の式(1)で表される化合物の何れか1種を単独で含んでいてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で含んでいてもよい。また、他の種類の重合性の反応性化合物を含んでいてもよい。
他の重合性の反応性化合物の例としては、カチオン重合性モノマー、アニオン重合性モノマー、ラジカル重合性モノマー等が挙げられる。これら重合性の反応性化合物は、何れか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
更に、前記式(1)で表される反応性化合物の含有量との合計の好ましい含有量については後述する。
カチオン重合性モノマーの例としては、オキシラン環を有する化合物、スチレンおよびその誘導体、ビニルナフタレンおよびその誘導体、ビニルエーテル類、N−ビニル化合物、オキセタン環を有する化合物等を挙げることができる。
中でも、少なくともオキセタン環を有する化合物を用いることが好ましく、さらには、オキセタン環を有する化合物と共にオキシラン環を有する化合物を併用することが好ましい。
このようなプレポリマーの例としては、脂環式ポリエポキシ類、多塩基酸のポリグリシジルエステル類、多価アルコールのポリグリシジルエーテル類、ポリオキシアルキレングリコールのポリグリシジルエーテル類、芳香族ポリオールのポリグリシジルエテーテル類、芳香族ポリオールのポリグリシジルエーテル類の水素添加化合物類、ウレタンポリエポキシ化合物およびエポキシ化ポリブタジエン類等が挙げられる。
ビニルナフタレンおよびその誘導体の例としては、1−ビニルナフタレン、α−メチル−1−ビニルナフタレン、β−メチル−1−ビニルナフタレン、4−メチル−1−ビニルナフタレン、4−メトキシ−1−ビニルナフタレン等が挙げられる。
N−ビニル化合物の例としては、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン、N−ビニルインドール、N−ビニルピロール、N−ビニルフェノチアジン等が挙げられる。オキセタン環を有する化合物の例としては、特開2001−220526号公報、特開2001−310937号公報等に記載されている、公知の各種のオキセタン化合物が挙げられる。
上記例示のカチオン重合性モノマーは、何れか1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
アニオン重合性モノマーの例としては、炭化水素モノマー、極性モノマー等が挙げられる。
炭化水素モノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレン、ビニルピリジン、ビニルアントラセン、およびこれらの誘導体等が挙げられる。
上記例示のアニオン重合性モノマーは、何れか1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
ラジカル重合性モノマーとは、1分子中に1つ以上のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物であり、例としては、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレン類等が挙げられる。
エトキシスチレン、2−エチルスチレン、2−メトキシスチレン、4−メトキシスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェノキシスチレン、p−フェニルスチレン等が挙げられる。
上記例示したカチオン重合性モノマー、アニオン重合性モノマー、ラジカル重合性モノマーは、何れを使用することもでき、また、2種以上を併用してもよい。但し、樹脂マトリックスを形成する反応を阻害し難いという理由から、ホログラム記録媒体用には、式(1)で表される化合物と併用するその他の重合性の反応性化合物としては、ラジカル重合性モノマーを使用することが好ましい。
本発明の光反応性組成物はマトリックス樹脂を含むことが好ましい。ホログラム記録媒体の記録層を構成するマトリックス樹脂は、光の照射によって化学的かつ物理的に大きく変化しない有機物であり、主に有機化合物の重合物で構成される。
マトリックス樹脂は、前述した重合性の反応性化合物や後述する光重合開始剤等と本発明の光反応性組成物を構成するため、重合性の反応性化合物や光重合開始剤等との相溶性に優れることが強く求められる。マトリックス樹脂と上記他の成分との相溶性が低いと、材料同士の間で界面を作り、界面で光が屈折したり反射することで必要でない部分に光が漏れるので、干渉縞が歪んだり切れたりして不適当な部分に記録されることにより情報の劣化を起す可能性がある。マトリックス樹脂と上記他の成分との相溶性は、例えば、特許第3737306号公報などに記載があるように、サンプルに対して、透過する光と角度をもって検出器を設置することにより得られる散乱光強度などに基づいて評価することができる。
三次元架橋させた樹脂は溶剤不溶性であり、常温で液状である重合性化合物と、重合性化合物に対し反応活性な化合物との反応硬化物である。三次元架橋させた樹脂は、物理的な障害となるため、記録時における体積変化を抑制する。即ち、記録後の記録層では、明部は膨張し暗部は収縮し、ホログラム記録媒体表面に凹凸が生じてしまう傾向にある。この体積変化を抑制するために、記録層には三次元架橋させた樹脂マトリックスを含む光反応性組成物を用いるのがより好ましい。
この中で、相溶性や支持体との密着性の観点で、マトリックス樹脂としては熱硬化性樹脂が好ましく、中でもイソシアネートとポリオールとの反応で得られるポリウレタン樹脂が好ましい。以下、マトリックス樹脂として好ましい樹脂材料について詳述する。
熱可塑性樹脂の具体的な材料の例として、塩素化ポリエチレン、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、メチルメタクリレートと他のアクリル酸アルキルエステルとの共重合体、塩化ビニルとアクリロニトリルとの共重合体、ポリ酢酸ビニル樹脂(PVAC)、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルピロリドン、エチルセルロールやニトロセルロールなどといったセルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂などを挙げることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
、アセトンやメチルエチルケトンといったケトン類、酢酸ブチルやプロピレングリコールメチルエーテルアセテートといったエステル類、トルエンやキシレンといった芳香族炭化水素、テトラヒドロフランや1,2−ジメトキシエタンといったエーテル類、N,N−ジメチルアセトアミドやN−メチルピロリドンといったアミド類などを挙げることができる。また、これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
マトリックス樹脂として熱硬化性樹脂を用いる場合、硬化温度は架橋剤や触媒の種類で多様性がある。
室温で硬化する官能基の組み合わせの例としては、エポキシとアミン、エポキシとチオール、イソシアネートとアミンが代表的である。また、触媒を使う例としてエポキシとフェノール、エポキシと酸無水物、イソシアネートとポリオールが代表的である。
以下に各原材料について、説明するが、いずれの原材料も、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エポキシとしては、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等のポリオールのポリグリシジルエーテル化合物、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシレート等の4〜7員環の環状脂肪族基を有する脂環式エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、フェノールまたはクレゾールノボラック型エポキシ化合物等が挙げられる。
アミンとしては、第一級アミン基または第二級アミン基を含むものを用いることができる。このようなアミン類の例としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等やその誘導体等の脂肪族ポリアミン、イソホロンジアミン、メンタンジアミン、N−アミノエチルピペラジン等やその誘導体等の脂環族ポリアミン、m−キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等やその誘導体等の芳香族ポリアミン、ダイマー酸等のジカルボン酸と上述のポリアミンとの縮合物等のポリアミド、2−メチルイミダゾール等やその誘導体等のイミダゾール化合物、これら以外にジシアンジアミド、アジピン酸ジヒドラジッド等を挙げられることができる。
チオールとしては、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−
ブタンジチオール、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、1,10−デカンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,9−ノナンジチオール等や、エポメートQX10(ジャパンエポキシレジン社製)、エポメートQX11(ジャパンエポキシレジン社製)等のジチオール、チオコール(東レ・ファインケミカル社製)、カップキュア3−800(ジャパンエポキシレジン社製)、エピキュアQX40(ジャパンエポキシレジン社製)等のポリチオール等のチオール化合物が挙げられる。中でも、エポメートQX10、エポメートQX11、カップキュア3−800、エピキュアQX40等の市販の速硬化性ポリチオールが好適に用いられる。
フェノールとしてビスフェノールA、ノボラック型のフェノール樹脂、レゾール型のフェノール樹脂等が挙げられる。
酸無水物としては、一官能性の酸無水物として、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸等やその誘導体等、二官能性の酸無水物等として無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその誘導体等が挙げられる。
アミン、チオール、フェノール、酸無水物の使用量は、エポキシ基のモル数に対する割合で、通常0.1当量以上、中でも0.7当量以上、また、通常2.0当量以下、中でも1.5当量以下の範囲が好ましい。アミン、チオール、フェノール、酸無水物の使用量が少な過ぎても多過ぎても、未反応の官能基数が多く、保存安定性を損なってしまう場合がある。
熱硬化性樹脂を硬化させるための触媒として、硬化温度や硬化時間に応じてアニオン重合開始剤とカチオン重合開始剤を使用することができる。
アニオン重合開始剤は、熱または活性エネルギー線照射によってアニオンを発生するものであり、例としてはアミン類等が挙げられる。アミン類の例としては、ジメチルベンジルアミン、ジメチルアミノメチルフェノール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等のアミノ基含有化合物、およびこれらの誘導体;イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、およびその誘導体等が挙げられる。硬化温度や硬化時間に応じて1種あるいは複数使用しても良い。
イソシアネートとしては、1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有するものが好ましいが、その種類は特に制限されない。1分子中のイソシアネート基の数が少ないと、マトリックス樹脂として必要な硬さが得られなくなる場合がある。1分子中のイソシアネート基の数の上限は特に制限されないが、通常8以下、中でも4以下が好ましい。1分子中のイソシアネート基の数が多過ぎると、イソシアネート基の消費に多大な時間を要しマトリックス樹脂の形成に時間がかかり過ぎる場合がある。1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有するものであれば、その種類は特に制限されない。1分子中のイソシアネート基の数の上限は特に制限されないが、通常20以下程度である。
本実施の形態で使用するイソシアネートの分子量は、数平均分子量で100以上50000以下が好ましく、より好ましくは150以上10000以下、更に好ましくは150以上5000以下である。数平均分子量が過度に小さいと、架橋密度が上がるためにマトリックス樹脂の硬度が高くなりすぎ、記録速度が低下する可能性がある。また、数平均分子量が過度に大きいと、他成分との相溶性が低下したり架橋密度が下がったりするために、マトリックス樹脂の硬度が低くなりすぎ記録内容が消失する場合がある。
ポリオールとしては、ポリプロピレンポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
(ポリプロピレンポリオール)
ポリプロピレンポリオールは、プロピレンオキシドと、ジオールまたは多価アルコールとの反応によって得られる。ジオールまたは多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。ポリプロピレンポリオールとして市販されているものでは、ニューポールGP400、GP1000(いずれも三洋化成社製、商品名)、アデカポリエーテルG400、G700、G1500(いずれもアデカ社製、商品名)等がある。
ポリカプロラクトンポリオールは、ラクトンと、ジオールまたは多価アルコールとの反応によって得られる。ラクトンとしては、例えば、α−カプロラクトン、β−カプロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−ε−カプロラクトン、β−メチル−ε−カプロラクトン等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、ジカルボン酸またはそれらの無水物とポリオールとを重縮合させて得られたものが挙げられる。
ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、グリコール類とジアルキルカーボネート(例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等)との脱アルコール縮合反応で得られるもの、グリコール類とジフェニルカーボネート類との脱フェノール縮合反応で得られるもの、グリコール類とカーボネート類(例えば、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート等)との脱グリコール縮合反応で得られるもの等が挙げられる。
例えば、1,6−ヘキサンジオールとジエチルカーボネートとの縮合反応によって得られるポリ(ヘキサメチレンカーボネート)ポリオール、ペンタンジオールとジエチルカーボネートとの縮合反応によって得られるポリ(ペンチレンカーボネート)、1,4−ブタ
ンジオールとジエチルカーボネートとの縮合反応によって得られるポリ(ブチレンカーボネート)等がある。
以上に説明したポリオールの分子量は、数平均分子量で100以上50000以下が好ましく、より好ましくは150以上10000以下、更に好ましくは150以上5000以下である。数平均分子量が過度に小さいと、架橋密度が上がるためにマトリックス樹脂の硬度が高くなりすぎ、記録速度が低下する可能性がある。また、数平均分子量が過度に大きいと、他成分との相溶性が低下したり架橋密度が下がったりすることによりマトリックス樹脂の硬度が低くなりすぎ記録内容が消失する場合がある。
本実施の形態におけるマトリックス樹脂は、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、上述の各成分以外に、他の成分を含有していてもよい。
このような他の成分としては、例えば、マトリックス樹脂の物性を変える目的で用いられる、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のヒドロキシル基を有する化合物が挙げられる。
さらに、イソシアネート及びポリオールの反応を促進するために、適当なウレタン重合触媒を含んでいても良い。そのようなウレタン重合触媒の例として、ビス(4−t−ブチ
ルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−1−ブタンスルホン酸、ビス(4−t−ブチル
フェニル)ヨードニウムp−トルエンスルホン酸、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨー
ドニウムトリフルオロメタンスルホン酸、(4−ブロモフェニル)ジフェニルスフホニウムトリフラート、(4−t−ブチルフェニル)ジ フェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホン酸、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−1−ブタンスルホン酸、(4−フ
ルオロフェニル)ジフェニルス ルホニウムトリフルオロメタンスルホン酸、ジフェニル−4−メチルフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホン酸、トリフェニルスルホニウムトリフル オロメタンスルホン酸、ビス(アルキルフェニル)ヨードニウムヘキサフ
ルオロホスホン酸などのオニウム塩類、塩化亜鉛、塩化すず、塩化鉄、塩化アルミニウ
ム、BF3、などのルイス酸を主成分にした触媒、塩酸、リン酸、などのプロトン酸、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ジメチルベンジルアミン、ジアザビシクロウンデセンなどのアミンルイ、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、トリメリット酸1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリルウム、などのイミダゾール類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムなどの塩基類、 ジブチルスズラウレート、ジオクチルスズラウレート、ジブチルスズオクトエ
ートなどのスズ触媒、トリス(2−エチルヘキサノアート)ビスマス、トリベンゾイルオキシビスマスなどのビスマス触媒、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、1,1’−イソプロピリデンジルコノセンジクロリド、テトラキス(2,4−ペンタンジオナト)ジルコニウムなどのジルコニウム触媒、などが挙げられる。
ビスマス系触媒としては、ビスマス元素を含有する触媒であって、イソシアネート及びポリオールの反応を促進する化合物であれば特に制限はない。
ビスマス系触媒の例として、トリス(2−エチルヘキサノアート)ビスマス、トリベンゾイルオキシビスマス、三酢酸ビスマス、トリス(ジメチルジオカルバミン酸)ビスマス、水酸化ビスマス、トリフェニルビスマス(V)ビス(トリクロロアセタート)、トリス(4−メチルフェニル)オキソビスマス(V)、トリフェニルビス(3−クロロベンゾイルオキシ)ビスマス(V)等が挙げられる。
換または無置換の芳香族基)で表されるものがより好ましい。上記のビスマス系触媒は、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
その例として、シクロペンタジエニルジルコニウムトリクロリド、デカメチルジルコノセンジクロリド、1,1‘−ジブチルジルコノセンジクロリド、1,1’−イソプロピリデンジルコノセンジクロリド、テトラキス(2,4−ペンタンジオナト)ジルコニウム、テトラキス(トリフルオロー2,4−ペンタンジオナト)ジルコニウム、テトラキス(ヘ
キサフルオロー2,4−ペンタンジオナト)ジルコニウム、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムーt−ブトキシド、ジルコニウムプロポキシド、ジルコニウムイソプロポキシド、ジルコニウムエトキシド、ビス(エチルアセトアセテート)ジブトキシジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、酸化ジルコニウム、酸化バリウムジルコニウム、酸化カルシウムジルコニウム、臭化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、フッ化ジルコニウム、2塩化(インデニル)ジルコニウム、炭酸ジルコニウムなどが挙げられる。
り好ましい。上記のジルコニウム化合物は、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ビスマス系触媒とジルコニウム系触媒はそれぞれ単独で使用してもよく、また混合して使用してもよい。
ウレタン重合触媒を使うことにより室温で硬化させることができるが、温度をかけて硬化させても良い。この時の温度としては40℃から90℃の間が好ましい。
マトリックス樹脂として光硬化性樹脂を用いる場合、使う波長に応じたマトリックス樹脂用光開始剤を使用して硬化させる必要がある。光照射する間に硬化することで成形や接着に支障を生じる事から、主に作業する温度である室温付近では安定な硬化反応であることが望ましい。この事から考えると、マトリックス樹脂用光開始剤による触媒的な硬化が望ましい選択であると言える。
プロトン等のカチオンに対して反応する官能基として、エポキシ基、オキセタニル基を挙げることができる。これらを有する化合物として具体的には、エポキシ基を有するものとして(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等のポリオールのポリグリシジルエーテル化合物、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシレート等の4〜7員環の環状脂肪族基を有する脂環式エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、フェノールまたはクレゾールノボラック型エポキシ化合物等が挙げられる。オキセタニル基を有するものとしてビスフェノールAの2−エチル−2−オキセタニルエーテル、1,6−ビス(2−エチル−2−オキセタニルオキシ)へキサン等を挙げることができる。(尚、ここで「(ポリ)エチレングリコール」等の記載は、「エチレングリコール」とその重合体の「ポリエチレングリコール」との両方をさす。)
上述したマトリックス樹脂を光硬化させる場合に使用されるマトリックス樹脂用光開始剤の使用量は、重合性化合物に対する比率で、通常0.01重量%以上、中でも0.1重量%以上、また、通常1重量%以下、中でも30重量%以下の範囲が好ましい。マトリックス樹脂用光開始剤の使用量が過度に少ないと、硬化に時間がかかりすぎる場合がある。一方、使用量が過度に多いと、硬化反応の制御が困難になる場合がある。
重合性の反応性化合物の重合を補助する光重合開始剤は、公知の光ラジカル重合開始剤であれば、何れを用いることも可能である。例としては、アゾ系化合物、アジド系化合物、有機過酸化物、有機硼素酸塩、オニウム塩類、ビスイミダゾール誘導体、チタノセン化合物、ヨードニウム塩類、有機チオール化合物、ハロゲン化炭化水素誘導体、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ヒドロキシベンゼン類、チオキサントン類、アントラキノン類、ケタール類、アシルフォスフィンオキサイド類、スルホン化合物類、カルバミン酸誘導体類、スルホンアミド類、トリアリールメタノール類等が用いられる。中でも、光開始剤としては、可視領域の光で重合反応が生じるという理由から、チタノセン化合物、アシルフォスフィンオキサイド化合物、オキシムエステル化合物等が好ましい。
光重合開始剤としてチタノセン化合物を使用する場合、その種類は特に限定はされないが、例えば、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報等に記載されている各種のチタノセン化合物の中から、適宜選択して使用することができる。
チタノセン化合物の具体例としては、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−T
i−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)−フェニ−1−イル等が挙げられる。
アシルフォスフィンオキサイド化合物の具体例としては、1分子中に光による開烈点を1ヶ所しか持たない単官能開始剤、1分子中に光による開烈点を2ヵ所有する2官能性開始剤が挙げられる。
このような単官能開始剤としては、例えば、トリフェニルフォスフィンオキサイド、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、2,6−ジクロルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
オキシムエステル系化合物の具体例としては、以下の構造を有するものが挙げられる。
ール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)エタノン、4−(アセトキシイミノ)
−5−[9−エチルー6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾールー3−イル]
−5−オキソペンタン酸メチル等が挙げられる。
上記の各種の光重合開始剤は、何れか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
本発明の光反応性組成物中の光重合開始剤の含有量は、光反応性組成物の全固形分に対する比率で、通常0.1重量%以上、中でも0.5重量%以上、また、通常20重量%以下、中でも15重量%以下の範囲とすることが好ましい。光重合開始剤の含有量が少な過ぎると、ラジカルの発生量が少なくなるため、光重合の速度が遅くなり、ホログラム記録媒体における記録感度が低くなる場合がある。一方、光重合開始剤の含有量が多過ぎると、光照射により発生したラジカル同士が再結合したり、不均化を生じたりするため、光重
合に対する寄与が少なくなり、やはりホログラム記録媒体における記録感度が低下する場合がある。2以上の光重合開始剤を併用する場合には、それらの合計量が上記範囲を満たすようにすることが好ましい。
本発明の光反応性組成物は、本発明の主旨に反しない限りにおいて、上述の成分の他に、その他の成分を含有していてもよい。
その他の成分としては、光反応性組成物を調製するための、溶媒、可塑剤、分散剤、レベリング剤、消泡剤、接着促進剤などや、特にホログラム記録媒体に用いられる場合には、記録の反応制御のための、連鎖移動剤、重合停止剤、相溶化剤、反応補助剤、増感剤などが挙げられる。また、その他の特性改良上必要とされ得る添加剤の例として防腐剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等などが挙げられる。これらの成分はいずれか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
光重合開始剤の励起を制御する化合物を添加することができる。この場合の例として、増感剤、増感補助剤等が挙げられる。
増感剤としては、公知の各種の増感剤の中から、任意のものを選択して用いることができるが、一般に増感剤としては、可視および紫外のレーザ光を吸収するために、色素等の有色化合物が用いられる場合が多い。ホログラム記録媒体に用いる場合、記録に使用するレーザ光の波長と使用する開始剤の種類にもよるが、緑色レーザを用いる系の場合、好ましい増感剤の具体例としては、特開平5−241338号公報、特開平2−69号公報、特公平2−55446号公報等に記載されている化合物が、青色レーザを用いる系の場合は、特開2000−10277号公報、特開2004−198446号公報等に記載されている化合物が挙げられる。上記例示の各種の増感剤は、何れか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
反応効率の向上やホログラム記録媒体の記録層の物性調整のための可塑剤を用いることができる。
可塑剤の例としては、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシルなどのフタル酸エステル類、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジ−n−ブチルなどのアジピン酸エステル類、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチルなどのセバシン酸エステル類、リン酸トリクレシルなどのリン酸エステル類、アセチルクエン酸トリブチルなどのクエン酸エステル類、トリメリット酸トリオクチルなどのトリメリット酸エステル類、エポキシ化大豆
油、塩素化パラフィン、アセトキシメトキシプロパンなどのアルコキシ化(ポリ)アルキレングリコールエステル、ジメトキシポリエチレングリコールなどの末端アルコキシ化ポリアルキレングリコールなどが挙げられる。
レベリング剤を用いることができる。レベリング剤はポリカルボン酸ナトリウム塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アミン塩、シリコン系レベリング剤、アクリル系レベリング剤、エステル化合物、ケトン化合物、フッ素化合物などがあげられる。これらの化合物はいずれか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
連鎖移動剤をもちいることができる。連鎖移動剤は、亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム等のホスフィン酸塩類、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2−プロパンチオール、2−メルカプトエタノール、チオフェノール等のメルカプタン類、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等のアルデヒド類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、トリクロロエチレン、パークロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類、テルピノレン、α−テルピネン、β−テルピネン、γ−テルピネン等のテルペン類、1、4−シクロヘキサジエン、1,4−シクロヘプタジエン、1,4−シクロオクタジエン、1、4−ヘプタジエン、1,4−ヘキサジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、3,6−ノナンジエン−1−オール、9,12−オクタデカジエノール等の非共役ジエン類、リノレン酸、γ−リノレン酸、リノレン酸メチル、リノレン酸エチル、リノレン酸イソプロピル、リノレン酸無水物等のリノレン酸類、リノール酸、リノール酸メチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、リノール酸無水物等のリノール酸類、エイコサペンタエン酸、エイコサペンタエン酸エチル等のエイコサペンタエン酸類、ドコサヘキサエン酸、ドコサヘキサエン酸エチル等のドコサヘキサエン酸類、等が挙げられる。
本発明の光反応性組成物における各成分の使用量は、本発明の主旨に反しない限り任意である。以下に示す各成分の割合は、光反応性組成物の全質量を基準に以下の範囲であることが好ましい。
本発明の化合物を含む、重合性基を有する化合物の使用量は好ましくは0.1質量%以上であり、さらに好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上である。また、好ましくは80質量%以下であり、さらに好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。重合性基を有する化合物の量が上記の下限値より多いことで、ホログラム記録媒体において十分な回折効率が得られ、上記の上限値より少ないことで記録層における樹脂マトリックスとの相溶性が保たれ、記録による記録層の収縮が低く保たれる傾向にある。
イソシアネートとポリオールの使用量は、合計で通常0.1質量%以上であり、好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは35質量%以上である。また、通常99.9質量%以下であり、好ましくは99質量%以下である。この使用量を上記の下限値以上とすることで、記録層を形成することが容易となる。
本発明において、ウレタン重合触媒の使用量はイソシアネート及びポリオールの反応速度を考慮して決定することが好ましく、好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは4質量%以下、より好ましくは1質量%以下である。また、0.005質量%以上用いることが好ましい。
上記成分以外の、その他の成分の総量は、30質量%以下であればよく、15質量%以下が好ましく、5質量%がより好ましい。
本発明において、重合性の反応性化合物、マトリックス樹脂及び光重合開始剤を含む光反応性組成物の製造方法は特に限定されず、混合する順序等も適宜調整することができる。また、上記以外の成分を光反応性組成物が含む場合、各成分はどのような組み合わせ、順序で混合してもよい。
重合性の反応性化合物、及び光重合開始剤に加え、イソシアネート及びウレタン重合触媒以外の全ての成分を混合し、光反応性組成物(A液)とする。イソシアネート及びウレタン重合触媒を混合したものをB液とする。それぞれの液は脱水・脱気を行うことが好ましい。
脱水・脱気が不十分であると、ホログラム記録媒体作製時に気泡が生成し、均一な記録層を得ることができないことがある。この脱水・脱気の際には各成分を損なわない限り、加熱、減圧を行ってもよい。
を、マトリックス樹脂として使用することもできる。
本発明の光学材料及び光学部品は、前述の本発明の光反応性組成物を含有するものである。
本発明の反応性化合物、光反応性組成物およびそれを用いた光学材料は、種々の光学製品に適用可能である。高い回折効率と低い収縮率の点において優れた特性を有し、レンズ、光記録、光造形、光レリーフ印刷などに好適に用いることができる。中でも前述したホログラム記録媒体における記録層形成等の用途に特に好適に用いることが出来る。
本発明の光学部品は、例えば、レンズ、カラーフィルタ,バックライト,偏光板,位相差板,視野角拡大フィルム,輝度向上フィルム,反射シート等が挙げられる。
本発明の光反応性組成物を用いた本発明のホログラム記録媒体は、記録層と、必要に応じて、更に支持体やその他の層を備える。通常、ホログラム記録媒体は支持体を有し、記録層やその他の層は、この支持体上に積層されてホログラム記録媒体を構成する。ただし、記録層又はその他の層が、媒体に必要な強度や耐久性を有する場合には、ホログラム記録媒体は支持体を有していなくてもよい。その他の層の例としては、保護層、反射層、反射防止層(反射防止膜)等が挙げられる。
本発明のホログラム記録媒体の記録層は、本発明の光反応性組成物により形成される層であり、情報が記録される層である。情報は通常、ホログラムとして記録される。記録方法の項に後述するとおり、該記録層中に含まれる重合性の反応性化合物(以下、重合性モノマーと記載)は、ホログラム記録などによってその一部が重合等の化学的な変化を生じるものである。従って、記録後のホログラム記録媒体においては、重合性モノマーの一部が消費され、重合物など反応後の化合物として存在する。
また、情報の記録、再生の際の露光による記録層の収縮率が、記録再現性の点から0.25%以下であることが好ましい。
支持体は、ホログラム記録媒体に必要な強度及び耐久性を有しているものであれば、その詳細に特に制限はなく、任意の支持体を使用することができる。また、支持体の形状にも制限は無いが、通常は平板状又はフィルム状に形成される。また、支持体を構成する材料にも制限は無く、透明であっても不透明であってもよい。
ガラスがより好ましい。
支持体の厚みにも特に制限は無いが、0.05mm以上、1mm以下の範囲とすることが好ましい。支持体の厚みが上記の下限値以上となることで、ホログラム記録媒体の機械的強度を得ることができ、基板の反りを防止できる。また支持体の厚みが上記の上限値以下となることで、光の透過量の増加、ホログラム記録媒体の重量やコストの削減等の利点が得られる。
また、記録層の片側又は両側に支持体を有するホログラム記録媒体の場合、透過型又は反射型のホログラムが記録可能である。また、記録層の片側に反射特性を有する支持体を用いる場合は、反射型のホログラムが記録可能である。
更に、支持体にデータアドレス用のパターニングを設けてもよい。この場合のパターニング方法に制限は無いが、例えば、支持体自体に凹凸を形成してもよく、後述する反射層にパターンを形成してもよく、これらを組み合わせた方法により形成してもよい。
保護層は、記録再生特性の劣化等を防止するための層である。保護層の具体的構成に制限は無く、公知のものを任意に適用することが可能である。例えば、水溶性ポリマー、有機/無機材料等からなる層を保護層として形成することができる。
保護層の形成位置は、特に制限はなく、例えば記録層表面や、記録層と支持体との間に形成してもよく、また支持体の外表面側に形成してもよい。また支持体と他の層との間に形成してもよい。
反射層は、ホログラム記録媒体を反射型に構成する際に形成される。反射型のホログラム記録媒体の場合、反射層は支持体と記録層との間に形成されていてもよく、支持体の外側面に形成されていてもよいが、通常は、支持体と記録層との間にあることが好ましい。
反射層としては、公知のものを任意に適用することができ、例えば金属の薄膜等を用いることができる。
透過型及び反射型の何れのホログラム記録媒体についても、情報光、参照光及び再生光が入射及び出射する側や、あるいは記録層と支持体との間に、反射防止膜を設けてもよい。反射防止膜は、光の利用効率を向上させ、かつノイズの発生を抑制する働きをする。
反射防止膜としては、公知のものを任意に用いることができる。
本発明のホログラム記録媒体の製造方法に制限は無い。例えば、無溶剤で支持体上に本発明の光反応性組成物を塗布し、記録層を形成して製造することができる。この際、塗布方法としては任意の方法を使用することができる。具体例を挙げると、スプレー法、スピンコート法、ワイヤーバー法、ディップ法、エアーナイフコート法、ロールコート法、及びブレードコート法、ドクターロールコート法などが挙げられる。また、記録層の形成に際し、特に膜厚の厚い記録層を形成する場合、型に入れて成型する方法や、離型フィルム上に塗工して型を打ち抜く方法を用いることもできる。また、本発明の光反応性組成物と溶剤又は添加剤とを混合して塗布液を調製し、これを支持体上に塗布、乾燥して記録層を形成して製造しても良い。この場合も塗布方法としては任意の方法を使用することができ、例えば、上述したのと同様の方法を採用することができる。
成物を支持体に塗布し、熱重合させることで硬化させて記録層を形成して製造する方法、液状の光反応性組成物を支持体に塗布し、光重合させることで硬化させて記録層を形成して製造する方法なども挙げられる。
このようにして製造されたホログラム記録媒体は、自立型スラブ又はディスクの形態をとることができ、三次元画像表示装置や回折光学素子、及び大容量メモリ、その他に使用できる。
本発明のホログラム記録媒体に対する情報の記録及び再生は、何れも光の照射によって行なわれる。
例えば、情報を体積ホログラムとして記録する場合には、ホログラム記録媒体に記録する情報を含む情報光を参照光と共に記録層に対して照射し、記録層において情報光と参照光とを交差させる。これによって生じた光強度の強弱からなる干渉縞が、記録層内の重合性モノマーの重合及び濃度変化を生じさせ、結果として、記録層内に干渉縞に対応した回折格子が形成されることにより、前記の記録層内にホログラムとして記録される。
カラムサイズ:150mm×4.7mmφ
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)/水 =5/5から3/7へ15分で濃度変化
検出器:UV254nm
以下の合成方法により、化合物1として、4−ジベンゾチオフェンチオール(DBTSH)の製造を行った。
、不溶分があれば綿栓濾過して、溶液を専用サンプル管に移して蓋をし、400MHzの核磁気共鳴装置(NMR)で水素の共鳴状態を測定し、それぞれの共鳴線を化合物の水素に
帰属させ、目的物が得られていることを確認した。下記に測定データを示した。以下に記載する各目的物についても、同様に測定を行い、目的物が得られていることを確認し、測定データを示した。
1H NMR (400MHz、CDCl3、δ、ppm)3.63(s、1H)、7.35(Ar、1H)、7.45(Ar、3H)、7.89(Ar、1H)、8.05(Ar、1H)、8.14(Ar、1H)
以下の合成方法により、化合物M−1の製造を行った。
1H NMR (400MHz、CDCl3、δ、ppm)3.41(s、6H)、4.23(s 、2H)、5.46(d、1H)、5.67(dd、1H)、6.01(d、1H)、7.17(Ar、3H)、7.38(Ar、9H)、7.76(Ar、3H)、7.83(Ar、3H)、8.05(Ar、3H)
以下の合成方法により、化合物M−2の製造を行った。
て精製し、化合物M−2を1.1g(31%収率)得た。
1H NMR (400MHz、CDCl3、δ、ppm)3.20(m、1H)、3.28(m、1H)、3.55(m、1H)、4.58(m、2H)、5.82(d、1H)、6.06(dd、1H)、6.87(d、1H)、7.10(Ar、2H)、7.25(Ar、1H)、7.35(Ar、1H)、7.47(Ar、4H)、7.70(Ar、2H)、7.75(Ar、2H)、7.96(Ar、2H)
以下の合成方法により、化合物M−3の製造を行った。
1H NMR (400MHz、CDCl3、δ、ppm)5.85(d、1H)、6.50(dd、1H)、6.51(d、1H)、7.50(Ar、4H)、7.80(Ar、1H)、8.15(Ar、1H)、8.23(Ar、1H)
以下の合成方法により、化合物M−4の製造を行った。
1時間撹拌した後、水50mLを加えて反応停止した。トルエン100mLで有機層を抽出し、その有機層を1規定−塩酸、1規定−水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した後、濃縮して、アクリル化中間体5.1gを得た。
1H NMR (400MHz、CDCl3、δ、ppm)5.81(s、1H)、6.03(d、1H)、6.28(dd、1H)、6.57(d、1H)、7.03(Ar、1H)、7.23(Ar、2H)、7.30(Ar、3H)、7.47(Ar、6H)、7.63(Ar、2H)、8.10(Ar、2H)
以下の手順により、化合物M−1〜M−4の屈折率を測定した。
各化合物M−1〜M−4をTHFに溶解し、5wt%溶液を調製した。その溶液に光重合開始
剤(日本シーベルヘグナー社製Luna200)を、各化合物に対して5wt%加えて、光反応性
組成物を調製した。
得られた光反応性組成物をスピンコート(1000rpm 20秒)にて、スライドガラス上に塗布した。塗布したスライドガラスに対してUV照射を行い、光反応性化合物を重合させ、重合物とすることにより硬化膜を作製した。UV照射装置はアイグラフィックス社製アイミニグランテージを用い、積算照度は290mJ/cm2とした。
下記の条件にて硬化膜の屈折率を測定した。
装置:大塚電子社製 分光膜厚計FE3000
測定波長:587nm
測定回数:3回
屈折率の測定結果を表1に示す
ことがわかった。
上述の化合物M−1を用いて、以下の手順でホログラム記録媒体を作製した。
<ホログラム記録媒体用の光反応性組成物の調製>
ヘキサメチレンジイソシアネート(イソシアネート)に、化合物M−1(重合性モノマー)、及びジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(光重合開始剤)を溶解させA液とした。
次に、分子量約1000のポリオキシプロピレングリコール(ポリオール)にトリス(2−エチルヘキサノアート)ビスマス(ウレタン重合触媒)のオクチル酸溶液を溶解させB液とした。
A液、B液それぞれを減圧下45℃で2時間脱気した後、A液とB液を攪拌混合し、さらに数分間、減圧して脱気した。
続いて、25mm×75mmの長方形のスライドグラスの対向する75mmの2辺の端に厚さ1.5mm、幅10mmのスペーサシートを載せ、スライドグラス上のスペーサシート間に、真空脱気した上記混合液を流し込み、その上にもう1枚のスライドガラスをかぶせ、クリップで周辺を固定して80℃で24時間加熱してホログラム記録媒体を作製した。このホログラム記録媒体は、支持体としてのスライドガラス間に、厚さ1.5mmの記録層が形成されたものである。また、後述の記録性能の評価のため、上記ホログラム記録媒体を複数作製した。
実施例5において、重合性モノマーを化合物M−2に変更したこと以外は同様にして、実施例6のホログラム記録媒体を作製した。各実施例に用いた光反応性組成物における各材料の含有重量を表2に示す。
化合物M−5として、1,4−ビス(2−ナフチルチオ)−2−ブチルアクリレートを、以下の手順に従い合成した。
化合物M−5として、1,4−ビス(2−ナフチルチオ)−2−ブチルアクリレートを、以下の手順に従い合成した。
実施例5において、重合性モノマーとして化合物M−1の代わりにM−5を使用し、B液として、分子量約1000のポリオキシプロピレングリコール(ポリオール)に、ジブチルスズジラウレート(ウレタン重合触媒)を溶解させたものを使用したこと以外は同様にして、比較例1のホログラム記録媒体を作製した。比較例1に用いた光反応性組成物における各材料の含有重量を表3に示す。
上述の各実施例のホログラム記録媒体を使用して、以下に説明する手順でホログラム記録性能の評価を実施した。
ホログラム記録媒体への入射角を−30°から30°まで、1°おきに同一箇所に61多重記録し、その時の回折効率の平方根の合計をM/#(エムナンバー)とした。以下、測定方法について、図1を用いて詳細に説明する。
図1は、ホログラム記録に用いた装置の概要を示す構成図である。
図1中、Sはホログラム記録媒体を示し、M1及びM2は何れもミラーを示し、PBSは偏光ビームスプリッタを示し、L1は波長405nmの光を発する記録光用半導体レーザ光源(TOPTICA Photonics製シングルモードレーザ)を示し、PD1
及びPD2はフォトディテクタ(浜松ホトニクス社製S2281)を示す。また、1は後露光用のLEDユニットを示す。
上記の場合を0°とし、ホログラム記録媒体を光軸に対して動かす角度を−30°から30°まで1度刻みで61多重の記録を行った。
続いて、図1におけるミラーM1からの光(波長405nm)のみを参照光として照射し、PD1及びPD2により再生光を検知し、フォトセンサアンプ(浜松ホトニクス社製C9329、図示せず)を用いて、角度−30°から30°までの回折効率を計測した。得られた回折効率の平方根を多重記録全域にわたって合計したものをM/#とした。
折効率を維持しつつ、61多重記録までに含有モノマーをほぼ完全に重合させる(61多重記録までにM/#がほぼ平衡に達する)条件を模索し、M/#として最大値が得られるようにした。そして、得られた最大値をその媒体のM/#とした。
実施例5のホログラム記録媒体のM/#は29.5、実施例6のホログラム記録媒体のM/#は25.1、比較例1のホログラム記録媒体のM/#は11.6であった。本発明の高屈折率を有する重合性モノマーを用いることにより、良好な記録特性を有するホログラム記録媒体が得られることが判った。
Claims (9)
- 下記式(1)で示されることを特徴とする化合物。
ン環スルフィド基であり、nは1以上3以下の整数を表し、mは1を表し、Lは置換基を
有していてもよいAとBとを接続するn+m価の炭素数2〜18の脂肪族炭化水素からな
る連結基、または直接結合であり、
Zは酸素原子又は硫黄原子を表し、
qは0又は1を表し、
該Lが直接結合の場合は、q=0、かつn=m=1である。] - 前記nが2または3である請求項1の化合物。
- 請求項1又は2に記載の化合物を含有する光反応性組成物。
- 前記光反応性組成物に、さらにマトリックス樹脂及び光重合開始剤を含む請求項3に記
載の光反応性組成物。 - マトリックス樹脂がイソシアネートとポリオールの反応によって得られるものである請
求項4に記載の光反応性組成物。 - ホログラム記録媒体の記録層に用いられる、請求項3乃至5の何れか1項に記載の光反
応性組成物。 - 請求項6に記載の光反応性組成物を用いるホログラム記録媒体。
- 請求項3乃至5の何れか1項に記載の光反応性組成物を含有する光学材料。
- 請求項3乃至5の何れか1項に記載の光反応性組成物を含有する光学部品。
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