JP2011008871A - 光記録層形成用組成物およびそれを用いた光記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 光記録媒体の信頼性を損なうことなく、たとえば媒体の耐熱性やガラス転移温度を上げた場合にも優れた記録性能を示す、光記録層形成用組成物および該組成物を用いた光記録媒体を提供する。
【解決手段】 三次元架橋樹脂マトリックス形成成分と下記化合物A、光活性化合物、および光重合開始剤を含む光記録層形成用組成物。
化合物A: 三次元架橋樹脂マトリックスと反応可能な官能基を1つだけ有する、分子量300以上又は数平均分子量300以上の化合物。
【選択図】なし

Description

本発明は、光記録層形成用組成物、及びそれを用いた光記録媒体に関する。
近年、光記録媒体のさらなる大容量化、高密度化に向けて、光の干渉による光強度分布に応じて記録層の屈折率を変化させ、ホログラムとして情報を記録するホログラム方式の光記録媒体が開発されている。
干渉縞間隔に対して膜厚が十分に厚い(通常は干渉縞間隔の5倍以上、または1μm以上程度の膜厚を言う)ホログラムを体積型ホログラムといい、膜厚方向に記録を行えるために、膜厚が大きいほうが高密度での記録が可能である。
公知の体積位相型ホログラム記録材料の例としては、湿式処理や漂白処理が不要なライトワンス形式があり、その組成としては、樹脂マトリックスに光活性化合物を相溶させたものが一般的である。例えば、樹脂マトリックスに、ラジカル重合やカチオン重合可能なモノマーを組み合わせたフォトポリマー方式が挙げられる(特許文献1、2)。
ホログラム記録における情報の記録時は、物体光と参照光が照射されると、記録層には明部と暗部からなる干渉縞が形成される。例えば、光活性化合物がラジカル重合性化合物である場合、明部では、光重合開始剤が光を吸収してラジカル活性種へと変化する。このラジカル活性種は近隣のラジカル重合性化合物に付加反応し、その付加生成物はラジカル活性種へと変化する。さらに、このラジカル活性種となった付加生成物は近隣のラジカル重合性化合物に付加反応する。この一連の光重合反応が繰り返し起こることで記録層に明部のポリマーが生成される。一方、明部の重合反応にともなってラジカル重合性化合物の濃度勾配ができ、記録層中の暗部にあるラジカル重合性化合物は明部へと拡散移動し、反対に、明部にある他の成分は暗部へと拡散移動する。これにより、干渉縞の明部と暗部は異なる化合物により構成されて、異なる屈折率を持つようになる。その結果、ホログラム光記録媒体は、この屈折率差を情報として保持する。
フォトポリマー方式は、高回折効率と乾式処理を両立できうる実用的で有望な方式であるが、記録に際しての高い感度、十分な回折効率、高S/N比を有し、高い多重度を達成するものが求められており、さらに記録信号の安定性や信頼性に優れるものが望まれている。それらを達成するために記録用組成物の組成や媒体の製法について種々検討がなされている。
例えば、特許文献3には、特定構造を有する三次元架橋樹脂マトリックス構造中のアルキル鎖長を最適化することにより、ラジカル重合性化合物の移動度を確保することにより、「高記録容量かつ高屈折率変調で、かつ光照射による体積変化の少ないホログラム記録媒体」が提供されることが開示されている。
また、特許文献4には、作成プロセスの変動や使用材料の差異による記録層の特性のばらつきと、記録時の体積収縮を抑えることとを目的として、「従来重合によって形成させていたマトリックスに代えて、ブロックコポリマーまたはグラフトポリマーから」「数nm〜数十nmのミクロな相分離構造」を形成させ、そのミクロ相分離構造の一部に光重合性モノマーを含有させる方法が開示されている。ミクロ相分離構造のうち、ガラス転移点の高いポリマーからなる「マトリックスはより剛直であるので記録時の体積収縮を抑えることができるし、光重合性モノマーはガラス転移点の小さくより柔らかい相に存在するため、記録の際に光重合性モノマーの拡散が速やかに起こるので、より効率よく前記課題を解決することができる。」とされている。
特開平11−352303号公報 特開2005−43862号公報 特開2008−152041号公報 特開2005−283766号公報
従来、こういった光記録媒体特にホログラム記録媒体用の樹脂マトリックスにはポリオールとポリイソシアネートを反応させポリウレタンを形成させたものが多く用いられてきた。記録媒体の耐久性や安定性を考慮すると樹脂マトリックスには三次元架橋させたものが選ばれることが多い。その一方で架橋が形成されたことによりマトリックス内の物質移動が制限され、十分な記録性能が発揮できないことがあった。
例えば、低収縮な媒体を志向すると、ホログラム記録に用いる重合性モノマー(光活性化合物)の分子量はある程度大きいことが好ましいが、このような重合性モノマーはマトリックス内での物質移動が制限され、十分な記録性能が発揮できないことがあった。
また、一般にマトリックスのガラス転移温度を上げることにより、媒体の耐久性、信頼性は向上しうるが、ガラス転移温度を上げすぎると、やはりマトリックス内の物質移動が抑制され、記録のダイナミックレンジや感度の低下などの問題が生ずる。
即ち、媒体の耐久性や信頼性向上と媒体の記録性能向上とは必ずしも両立せず、むしろ相反する課題と考えられており、記録媒体の信頼性を確保しつつ、記録性能を向上させうるマトリックスが望まれていた。
特許文献3は特定構造を有するマトリックスを使用することにより記録時の体積変化を抑制し結果として記録容量(記録密度)を向上させる試みであるが、記録密度の大きさの尺度となりうるM/#(エムナンバー)はいまだ十分な値とはいえない。また特許文献4では、記録層マトリックスに非架橋のブロックポリマーもしくはグラフトポリマーを用いることにより記録層に相分離を起こさせ、光反応モノマーを一方の相に偏在させることにより記録感度の向上を図ろうとしているが、その結果として一定の感度で記録ができることは示されているものの、その際十分な記録密度を確保し得るかについては明示の言及がない。また、ブロックポリマー等を用いて相分離構造を発現させうることは良く知られた事実ではあるが、所望の相分離構造のサイズや、相分離の形態を得るためには、ブロックポリマーの分子量、各セグメント分子量や構造、さらには相分離構造を形成させる際の種々の条件を最適に調整する必要がある。さらに、一方の相に重合性化合物を偏在させるためには、重合性化合物と各相の親和性を大きくたがえる必要もあり、そのような系を実現させることなどをも考慮すると、ホログラム記録に用いうる記録層を安定的に得るのは、かなり難しいと考えられる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、光記録媒体の信頼性と、記録性能向上の両立を目指したものである。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、
三次元架橋樹脂マトリックス形成成分、及び三次元架橋樹脂マトリックスと反応可能な官能基を1つだけ有する、分子量300以上又は数平均分子量300以上の化合物(化合物A)とを含む光記録層形成用組成物を用いることにより、記録層のガラス転移温度が高い状態においても、優れた記録性能が得られることを見出し、本発明に至った。即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
[1] 三次元架橋樹脂マトリックス形成成分と下記化合物A、光活性化合物、および光重合開始剤を含む光記録層形成用組成物。
化合物A: 三次元架橋樹脂マトリックスと反応可能な官能基を1つだけ有する、分子量300以上又は数平均分子量300以上の化合物。
[2] 化合物Aの含有量が組成物全体に対して1重量%以上である、[1]に記載の光記録層形成用組成物。
[3] 三次元架橋マトリックス形成成分が、分子中にイソシアネート基、水酸基、エポキシ基、アミノ基およびカルボキシル基からなる群から選ばれる官能基を2以上含有する化合物を含む、[1]または[2]に記載の光記録層形成用組成物。
[4] 光活性化合物の分子量が200以上である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の光記録層形成用組成物。
[5] 記録層に[1]〜[4]のいずれか1つに記載の光記録層形成用組成物を用いる、光記録媒体。
[6] 三次元架橋樹脂マトリックス中に少なくとも光活性化合物および光重合開始剤を含む記録層を有する光記録媒体であって、該三次元架橋樹脂マトリックスが分子量300以上又は数平均分子量300以上のグラフト鎖を有する、光記録媒体。
なお、本発明における上記化合物Aおよび上記グラフト鎖において、「分子量300以上又は数平均分子量300以上」とは、化合物Aまたはグラフト鎖が分子量分布を持たないものである場合にはそのものの(絶対)分子量が300以上であることを指し、化合物Aまたはグラフト鎖が分子量分布を有するものである場合には、そのもののGPC法によるポリスチレン標準の数平均分子量が300以上であることをいう。
本発明によれば、光記録媒体の信頼性を損なうことなく、たとえば媒体の耐熱性やガラス転移温度を上げた場合でも、記録性能に優れた媒体が得られる。
実施例1において、ホログラム記録に用いた装置の構成の概要を示す模式図であり、(a)図は装置全体を示す図、(b)図はLEDユニットの表面を示す図、(c)図はLEDの配列を示す図である。 実施例で作製した測定用の媒体の構成を示す模式図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態(実施の形態)について説明する。尚以下の説明は本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することが出来る。また、使用する図面は本発明の形態を説明するために使用するものであり、実際の大きさを現すものではない。
[I.光記録層形成用組成物]
本発明の光記録層形成用組成物は、三次元架橋樹脂マトリックス形成成分と記化合物A、光活性化合物、および光重合開始剤を含むことを特徴とする。
化合物A: 三次元架橋樹脂マトリックスと反応可能な官能基を1つだけ有する、分子量300以上又は数平均分子量300以上の化合物。
[I−1.三次元架橋樹脂マトリックス形成成分]
一般に、三次元架橋させた樹脂は溶剤不溶性であり、高温でも形状が保持されやすく記録層自体の耐久性向上などに寄与する。また架橋によりマトリックス形成分子の動きが抑制されるため、記録時における体積変化も少なくし得る。
マトリックス樹脂は、後述する重合性の光活性化合物と相溶性を有し、膜状に保ち、記録層を保護しかつ補強した上で平板状に形状を保つ基板との密着性を担う役割を有し、さらに光重合開始剤等との相溶性に優れることが求められる。マトリックス樹脂とこれらの成分との相溶性が低いと、材料同士の間で界面を作り、界面で光が屈折したり反射することで必要でない部分に光が漏れるので干渉縞が歪んだり切れたりして不適当な部分に記録されることにより情報の劣化を起す。マトリックス樹脂と他の成分との相溶性は、例えば、特許第3737306号公報などに記載があるように、サンプルに対して、透過する光と角度をもって検出器を設置することにより得られる散乱光強度などに基づいて評価することができる。
本発明の三次元架橋樹脂マトリックス形成成分としては、上述の通り、三次元架橋させた後も光活性化合物や光重合開始剤との十分な相溶性を維持しうるものであれば、特に制限されず、好ましくは、分子中にイソシアネート基、水酸基、エポキシ基、アミノ基およびカルボキシル基からなる群から選ばれる官能基を2以上含有する化合物の中から任意に選択することができる。
これらの化合物は単独で、もしくは複数組み合わせてさらには、これ以外の化合物との反応によりマトリックスを形成する成分として用いることができる。即ち、イソシアネート基を含む化合物と分子内に活性水素を有する化合物例えば、水酸基やチオール基、アミノ基、カルボキシル基を含む化合物を組み合わせてウレタン結合、チオウレタン結合、尿素結合、アミド結合などを形成させること、水酸基を含む化合物とカルボキシル基を含む化合物を組み合わせてエステル結合を形成させること、アミノ基を有する化合物とカルボキシル基を有する化合物を組み合わせてアミド結合を形成させること、エポキシ基同士の反応によりエーテル結合を形成させること、エポキシ基と水酸基の組み合わせによりエーテル結合を形成させること、エポキシ基とアミノ基の組み合わせによりアミンを形成させること、アミノ基とカルボキシル基の組み合わせによりアミド結合を形成させることさらには、これらを含む複数種の結合形成をさせることなどが考えられる。
中でも、ポリイソシアネートと分子内に2つ以上の活性水素を有する化合物とを含む系は、比較的低温でマトリックスの形成が可能である点や組成やマトリックス構造選択の自由度が高いなどという点で好ましい。
I−1−1:ポリイソシアネート
イソシアネート−ヒドロキシル反応、イソシアネート−アミン反応、イソシアネート−チオール反応もしくはビウレット反応などイソシアネート基同士の反応などで使用できるポリイソシアネートは、1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有するものであれば、その種類は特に制限されない。1分子中のイソシアネート基の数としては、通常2以上であれば特に制限されない。イソシアネート基の数が少ないとマトリックスとして必要な硬さが得られなくなる場合がある。一方、イソシアネート基の数の上限は特に制限されないが、通常5以下が好ましい。官能基数が多すぎるとマトリックス形成反応の際に残存する官能基が発生しやすくなり、例えば、イソシアネート基がマトリックス中に多く残存すると、マトリックスの保存安定性を悪化させる可能性がある。
発明で使用するポリイソシアネートの例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環族イソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−
2,5−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5’−ジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、及びこれらの多量体等が挙げられる。これらの多量体の中では3〜7量体が好ましい。また、水、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類との反応物、なども挙げられる。これらの中では、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、及びこれらの多量体、若しくはその誘導体が特に好ましい。
また、上記のイソシアネート類と、分子内に2個以上の活性水素を有する化合物とを反応させ、多官能の末端イソシアネート基を有するポリイソシアネート(プレポリマー)なども使用することができる。分子内に2個以上の活性水素を有する化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンジアミン、イソホロンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、および後述のポリオール類等などを用いることが出来る。
イソシアネート基を有する化合物の平均的な分子量は、数平均で100以上50000以下が好ましく、より好ましくは150以上10000以下、更に好ましくは150以上5000以下である。100以下だと、架橋密度が上がるためにマトリックスの硬度やガラス転移温度が高くなりすぎ、記録速度が低下する可能性がある。また、10000以上だと他成分との相溶性が低下したり、架橋密度が下がるためにマトリックスの硬度やガラス転移温度が低くなりすぎ記録内容が不安定となったり、消失する場合がある。
なお、イソシアネート基を有する化合物は、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、イソシアネート基以外の構成要素を含んでいてもよい。
I−1−2:分子内に2以上の活性水素を含む化合物
本発明における、活性水素とはイソシアネート基と反応しうる官能基に含まれる水素のことを示し、これらの官能基としては水酸基、アミン官能基、カルボキシル基、チオール基などが挙げられる。即ち、分子内に2以上の活性水素を含む化合物とは、これらの官能基を分子内に2つ以上有する化合物のことを指す。以下に、これらの化合物の例を示す。
I−1−2−1:ポリオール
イソシアネート−ヒドロキシル反応で使用できるポリオールは、1分子中に2つ以上の水酸基を有するものであれば、その種類は特に制限されない。1分子中のヒドロキシル基の数としては、通常2以上であれば特に制限されない。ヒドロキシル基の数が少ないとマトリックスとして必要な硬さが得られなくなる場合がある。一方、ヒドロキシル基の数の上限は特に制限されないが、通常7以下が好ましい。ヒドロキシル基がマトリックス中に多く残存すると、マトリックスの吸湿性が高くなり、記録の保存安定性に影響を及ぼす場合もある。
ポリオールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエンチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレントリオール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシプロピレンヘキサオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、等がある。
ポリオールの平均的な分子量は、数平均で100以上50000以下が好ましく、より好ましくは150以上10000以下、更に好ましくは150以上5000以下である。100以下だと、架橋密度が上がるためにマトリックスの硬度が高くなりすぎ、記録速度が低下する可能性がある。また、50000以上だと他成分との相溶性が低下したり、架橋密度が下がるためにマトリックスの硬度が低くなりすぎ記録内容が消失する場合がある。
なお、ポリオールの使用量は、イソシアネート基のモル数に対する割合で通常0.1当量以上、中でも0.7当量以上、また通常2.0当量以下、中でも1.5当量以下の範囲が好ましい。使用量が少なすぎても多過ぎても、未反応の官能基数が多く、保存安定性を失ってしまう場合がある。
I−1−2−2:アミン
イソシアネートと反応させうる化合物として、アミン化合物も使用できる。
1分子中に2つ以上のアミノ基を有する化合物の例としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族アミン、イソホロンジアミン、メンタンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンなどの脂環族アミン、m−キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミンなどの芳香族アミン等がある。
アミノ基を有する化合物の平均的な分子量は、数平均で100以上50000以下が好ましく、より好ましくは150以上10000以下、更に好ましくは150以上5000以下である。100以下だと、架橋密度が上がるためにマトリックスの硬度が高くなりすぎ、記録速度が低下する可能性がある。また、50000以上だと他成分との相溶性が低下したり、架橋密度が下がるためにマトリックスの硬度が低くなりすぎ記録内容が消失する場合がある。
なお、アミンの使用量は、イソシアネート基またはエポキシ基のモル数に対する割合で通常0.1当量以上、中でも0.7当量以上、また通常2.0当量以下、中でも1.5当量以下の範囲が好ましい。使用量が少なすぎても多過ぎても、未反応の官能基数が多く、保存安定性を失ってしまう場合がある。
I−1−2−3:メルカプト化合物
イソシアネートと反応させうる化合物として、メルカプト化合物も使用でき、これらの例として1分子中に2つ以上のチオール基を有するものであればその種類は特に制限されない。
1分子中に2つ以上のチオール基を有する化合物の例としては、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、1,10−デカンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,9−ノナンジチオール、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン等が挙げられる。
なお、メルカプト化合物の使用量は、イソシアネート基またはエポキシ基のモル数に対する割合で通常0.1当量以上、中でも0.7当量以上、また通常2.0当量以下、中でも1.5当量以下の範囲が好ましい。使用量が少なすぎても多過ぎても、未反応の官能基数が多く、保存安定性を失ってしまう場合がある。
I−1−3:マトリックス樹脂形成のための触媒
前述の通り、これらの樹脂マトリックスを形成する場合、適当な触媒を用いることによりその形成を容易に進行させることができ、またその形成が促進される場合がある。そのような触媒の例として、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロー1−ブタンスルホン酸、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムp−トルエンスルホン酸、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホン酸、(4−ブロモフェニル)ジフェニルスフホニウムトリフラート、(4−t−ブチルフェニル
)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホン酸、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−1−ブタンスルホン酸、(4−フルオロフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホン酸、ジフェニル−4−メチルフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホン酸、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホン酸、ビス(アルキルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスホン酸などのオニウム塩類、塩化亜鉛、塩化すず、塩化鉄、塩化アルミニウム、BF3、などのルイス酸を主成分にした触媒、塩酸、リン酸、などのプロトン酸、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ジメチルベンジルアミン、ジアザビシクロウンデセンなどのアミン類、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、トリメリット酸1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリルウム、などのイミダゾール類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムなどの塩基類、ジブチルスズラウレート、ジオクチルスズラウレート、ジブチルスズオクトエートなどのスズ触媒などが挙げられる。これらの触媒は、樹脂マトリックス形成成分の総量に対し通常0.1ppmから10%の範囲、好ましくは1ppmから5%の範囲で用いられる。
[I−2.化合物A]
化合物Aは、三次元架橋樹脂マトリックスと反応可能な官能基を1つだけ有する、分子量300以上又は数平均分子量300以上の化合物である。本発明において、化合物Aは、三次元架橋樹脂マトリックスと反応することにより、グラフト鎖を形成する。即ち、三次元架橋樹脂マトリックス形成成分に含まれるイソシアネート基、水酸基、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、などと反応可能な官能基を1つだけ有し、分子量300以上又は数平均分子量300以上の化合物であれば、特に限定されず、任意のものを選択することができる。
このような化合物Aとしては、例えば、分子内にマトリックスと反応可能な官能基としてひとつだけ水酸基、アミノ基、イソシアネート基、カルボキシル基、メルカプト基、エポキシ基、などを有する化合物が挙げられる。中でも水酸基またはイソシアネート基と反応可能な官能基を1つだけ有する化合物であることが好ましい。化合物Aの具体例としては、下記のような化合物を例示することができるがこれらは1種だけ使用することもでき、また2種以上任意の組み合わせと比率で用いることもできる。
もちろん、本発明に用いる三次元架橋樹脂マトリックスと反応可能な官能基を1つだけ有する化合物は以下の例示に限定されるものではない。
<化合物Aの具体例>
I−2−1:単官能アルコール
本発明に用いる単官能アルコールとしては化合物中に1つの水酸基しか有せずかつ、その他に三次元架橋樹脂マトリックスと反応しうる官能基を有していない化合物であればいずれの化合物でもかまわない。
これらの例としては、C21〜C50の直鎖もしくは環状アルキルアルコール;C21〜C50のアルケニルアルコール;ポリエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコールモノドデシルエーテルなどのポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレンモノアセテートなどのポリエチレンモノエステルに代表される単官能
のポリエチレングリコール;ポリプロピレングリコールモノブチルエーテルなどのポリプロピレンモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアセテート、ポリプロピレングリコールモノアセテートなどのポリプロピレングリコールモノエステルに代表される単官能のポリプロピレングリコール;その他、単官能ポリオキシブチレン、単官能ポリカプロラクトン、単官能ポリエステル、単官能ポリカーボネートなどが挙げられる。中でも、単官能ポリエチレングリコール、単官能ポリプロピレングリコール、単官能ポリカプロラクトン、単官能ポリカーボネートなどの構造を有するモノオールを使用することが好ましい。
これらは、構造の一部が置換されていてもよい。置換されていてもよい置換基とは、芳香環基、ハロゲン原子などである。
芳香環基としては5〜6員の単環、または、これらが2以上縮合または連結した構造のものを含み、具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基等の炭素数6〜15のアリール基、ピリジル基、カルバゾリル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾチオフェニル基等の炭素数3〜14のヘテロアリール基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
I−2−2:単官能イソシアネート
本発明で用いられる単官能イソシアネートは、分子中にイソシアネート基をひとつだけ有し、他に三次元架橋樹脂マトリックスと反応可能な官能基を持たない化合物であればいずれの化合物でもかまわない。たとえば、方末端のみにイソシアネート基を有するウレタンオリゴマーなどが挙げられる。
これらは、構造の一部が置換されていてもよい。置換されていてもよい置換基とは、芳香環基、ハロゲン原子などである。芳香環基、ハロゲン原子の具体例としては、単官能アルコールの項に記載したものが挙げられる。
I−2−3:単官能チオール
本発明で用いられる単官能チオールは、分子中にメルカプト基をひとつだけ有し、他に三次元架橋樹脂マトリックスと反応可能な官能基を持たない化合物であればいずれの化合物でもかまわない。そのような化合物の例として、ポリオキシプロピレン骨格を有する単官能チオール、ポリオキシエチレン骨格を有する単官能チオール、などが挙げられる。
これらは、構造の一部が置換されていてもよい。置換されていてもよい置換基とは、芳香環基、ハロゲン原子などである。芳香環基、ハロゲン原子の具体例としては、単官能アルコールの項に記載したものが挙げられる。
I−2−4:単官能アミン
本発明で使用する単官能アミンは、分子中に1級もしくは2級アミノ基をひとつだけ有し、他に三次元架橋樹脂マトリックスと反応可能な官能基を持たない化合物であればいずれの化合物でもかまわない。そのような化合物の例として、
置換基を有していてもよいアルキルアミン、もしくは置換基を有していてもよい(ヘテロ)アリールアミン等のC21〜C50の1級アミン;置換基を有していてもよいジアルキルアミン、置換基を有していてもよい(ヘテロ)アリールアルキルアミン、置換基を有していてもよいジ(ヘテロ)アリールアミンなどのC21〜C50の2級アミンが挙げられる。
上記アルキルアミン、ジアルキルアミン、(ヘテロ)アリールアルキルアミンのアルキル基としては、アイコシル基、ドコシル基、テトラコシル基等のC〜C50の直鎖状、分岐鎖状のC21〜C50のアルキル基が挙げられる。
上記アルキルアミン、ジアルキルアミン、(ヘテロ)アリールアルキルアミンのアルキル基は更に置換基を有していてもよい。該アルキル基が有していてもよい置換基としては、芳香環基、ハロゲン原子などである。
芳香環基としては5〜6員の単環、または、これらが2以上縮合または連結した構造のものを含み、具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基等の炭素数6〜15のアリール基、ピリジル基、カルバゾリル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾチオフェニル基等の炭素数3〜14のヘテロアリール基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
次いで、上記(ヘテロ)アリールアミン、(ヘテロ)アリールアルキルアミンおよびジ(ヘテロ)アリールアミンの(ヘテロ)アリール基としては、5〜6員の単環、または、これらが2以上縮合または連結した構造のものを含み、具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基等の炭素数6〜15のアリール基、ピリジル基、カルバゾリル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾチオフェニル基等の炭素数3〜14のヘテロアリール基等が挙げられる。
上記(ヘテロ)アリールアミン、(ヘテロ)アリールアルキルアミンおよびジ(ヘテロ)アリールアミンの(ヘテロ)アリール基が有していてもよい置換基、および上記芳香族アミンが有していてもよい置換基とは、アルキル基、芳香環基、ハロゲン原子などである。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、tert−ブチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、アイコシル基、ドコシル基、テトラコシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ジシクロヘキシル基、トリシクロデカニル基等のC〜C50の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基が挙げられる。
芳香環基、ハロゲン原子の具体例としては、上記アルキルアミン、ジアルキルアミン、(ヘテロ)アリールアルキルアミンのアルキル基が更に有していてもよい置換基として例示したものが挙げられる。
I−2−5:単官能カルボン酸
本発明で使用する単官能カルボン酸は、分子中にカルボキシル基をひとつだけ有し、他に三次元架橋樹脂マトリックスと反応可能な官能基を持たない化合物であればいずれの化合物でもかまわない。そのような化合物の例として、
エイコサン酸などのC20〜C50のアルキルカルボン酸;アラキドン酸 、ドコサヘ
キサエン酸 、エイコサペンタエン酸などのC20〜C50の不飽和カルボン酸、などが
挙げられる。
これらは一部芳香環やハロゲン原子で置換されていてもよい。置換されていてもよい置換基とは、芳香環基、ハロゲン原子などである。芳香環基、ハロゲン原子の具体例としては、単官能アルコールの項に記載したものが挙げられる。
I−2−6:単官能エポキシ化合物
本発明で使用する単官能エポキシ化合物は、分子中にオキシラン環をひとつだけ有し、三次元架橋樹脂マトリックスと反応可能な官能基を持たない化合物であればいずれの化合物でもかまわない。そのような化合物の例として、
20〜C50のアルキルグリシジルエーテル;1,2−エポキシエイコサン、などのC20〜C50の炭化水素エポキシ化合物、などが挙げられる。
これらの化合物以外でも、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリケトン、などの骨格を有しかつ上記官能基を分子中にひとつだけ有するような化合物も用いることができる。
なお、これらは、構造の一部が置換されていてもよい。置換されていてもよい置換基と
は、芳香環基、ハロゲン原子などである。芳香環基、ハロゲン原子の具体例としては、単官能アルコールの項に記載したものが挙げられる。
以上説明した化合物の中では、単官能アルコール、中でも、単官能ポリエチレン、単官能ポリプロピレングリコール、単官能ポリカプロラクトン、単官能ポリカーボネートなどの構造を有するモノオールを使用することが好ましい。
<化合物Aの分子量又は数平均分子量>
また、これらの化合物の分子量又は数平均分子量は300以上、さらに好ましくは500以上であり、また分子量又は数平均分子量が100000以下、好ましくは50000以下、さらに好ましくは10000以下のものを用いるとよい。分子量又は数平均分子量が小さすぎると化合物の沸点も低下して取り扱いに注意を要する場合が生ずる。また、記録層のガラス転移温度が高い状態においては、十分な記録性能が得られない懸念がある。一方、分子量又は数平均分子量が大きすぎると、マトリックス主成分との相溶性が低下してマトリックス全体の光の透過率が低下する懸念がある。
<化合物Aの使用量>
これらの化合物は通常、マトリックス樹脂構成成分全体に対して0.1重量%から90重量%、好ましくは1重量%から80重量%、さらに好ましくは5重量%から60重量%の範囲で用いることができる。本化合物の使用量が少なすぎると本発明の硬化が十分に発揮されなくなり、使用量が多すぎる場合はマトリックスの機械的物性が低下する恐れがある。
[I−3.光活性化合物]
本発明の光記録媒体に使用される光活性化合物の種類は特に制限されず、公知の化合物の中から適宜選択することが可能であるが、通常は、重合性を有するモノマーが用いられる。重合性モノマーの例としては、カチオン重合性モノマー、アニオン重合性モノマー、ラジカル重合性モノマー等が挙げられる。
I−3−1:カチオン重合性モノマー
カチオン重合性モノマーの例としては、オキシラン環を有する化合物、スチレン及びその誘導体、ビニルナフタレン及びその誘導体、ビニルエーテル類、N−ビニル化合物、オキセタン環を有する化合物等を挙げることができる。中でも、少なくともオキセタン環を有する化合物を用いることが好ましく、更には、オキセタン環を有する化合物と共にオキシラン環を有する化合物を併用することが好ましい。
オキシラン環を有する化合物としては、1分子内に2個以上のオキシラン環を含有するプレポリマーを挙げることができる。このようなプレポリマーの例としては、脂環式ポリエポキシ類、多塩基酸のポリグリシジルエステル類、多価アルコールのポリグリシジルエーテル類、ポリオキシアルキレングリコールのポリグリシジルエーテル類、芳香族ポリオールのポリグリシジルエテーテル類、芳香族ポリオールのポリグリシジルエーテル類の水素添加化合物類、ウレタンポリエポキシ化合物及びエポキシ化ポリブタジエン類等が挙げられる。これらのプレポリマーは、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
スチレン及びその誘導体の例としては、スチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、β−メチルスチレン、p−メチル−β−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシ−β−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
ビニルナフタレン及びその誘導体の例としては、1−ビニルナフタレン、α−メチル−1−ビニルナフタレン、β−メチル−1−ビニルナフタレン、4−メチル−1−ビニルナフタレン、4−メトキシ−1−ビニルナフタレン等が挙げられる。
ビニルエーテル類の例としては、イソブチルエーテル、エチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、p−メチルフェニルビニルエーテル、p−メトキシフェニルビニルエーテル等が挙げられる。
N−ビニル化合物の例としては、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン、N−ビニルインドール、N−ビニルピロール、N−ビニルフェノチアジン等が挙げられる。
オキセタン環を有する化合物の例としては、特開2001−220526号公報、特開2001−310937号公報等に記載されている、公知の各種のオキセタン化合物が挙げられる。
上記例示のカチオン重合性モノマーは、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
I−3−2:アニオン重合性モノマー
アニオン重合性モノマーの例としては、炭化水素モノマー、極性モノマー等が挙げられる。
炭化水素モノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレン、ビニルピリジン、ビニルアントラセン、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
極性モノマーの例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル等のメタクリル酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル類;メチルビニルケトン、イソプロピルビニルケトン、シクロヘキシルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類;メチルイソプロペニルケトン、フェニルイソプロペニルケトン等のイソプロペニルケトン類;アクリロニトリル、アクリルアミド、ニトロエチレン、メチレンマロン酸エステル、シアノアクリル酸エステル、シアン化ビニリデン等のその他の極性モノマー;などが挙げられる。
上記例示のアニオン重合性モノマーは、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
I−3−3:ラジカル重合性モノマー
ラジカル重合性モノマーとは、1分子中に1つ以上のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物であり、例としては、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエステル類、ビニル化合物、スチレン類等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル類の例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(n−又はi−)プロピル(メタ)アクリレート、(n−、i−、sec−又はt−)ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アダマンチル、クロロエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メトキシベンジル(メタ)アクリレート、クロロベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェネチル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシフェネチル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、クロロフェニル(メタ)アクリレート、スルファモイルフェニル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、フェノールEO変性(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールEO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールEO変性(メタ)アクリレート、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、ビスフェノールF EO変性ジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート、ジブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロキシフェニルベンゾチアゾールなどのベンゾチアゾール環を有する(メタ)アクリル化合物、(メタ)アクリロキシフェニルチアンスレン、(メタ)アクリロキシフェニルビスチアンスレンなどチアンスレン骨格を有する(メタ)アクリル化合物、(メタ)アクリロキシフェニルジベンゾチオフェン、(メタ)アクリロキシフェニルビスジベンゾチオフェンなどジベンゾチオフェン骨格を有する(メタ)アクリル化合物、(メタ)アクリロキシフェニルジベンゾフランなどのジベンゾフラン骨格を有する(メタ)アクリル化合物等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド類の例としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−トリル(メタ)アクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)(メタ)アクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)(メタ)アクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)(メタ)アクリルアミド、N−(トリルスルホニル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
ビニルエステル類の例としては、ビニルアセテート、ビニルブチレート、ビニルベンゾエート、安息香酸ビニル、t−ブチル安息香酸ビニル、クロロ安息香酸ビニル、4−エトキシ安息香酸ビニル、4−エチル安息香酸ビニル、4−メチル安息香酸ビニル、3−メチル安息香酸ビニル、2−メチル安息香酸ビニル、4−フェニル安息香酸ビニル、ピバル酸ビニル等が挙げられる。ビニルエステル類以外のビニル化合物としては、N-ビニルカルバゾール等が挙げられる。
スチレン類の例としては、スチレン、p−アセチルスチレン、p−ベンゾイルスチレン、2−ブトキシメチルスチレン、4−ブチルスチレン、4−sec−ブチルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、ジクロロスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、p−エトキシスチレン、2−エチルスチレン、2−メトキシスチレン、4−メトキシスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェノキシスチレン、p−フェニルスチレン等が挙げられる。
上記例示のラジカル重合性モノマーは、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
上記例示したカチオン重合性モノマー、アニオン重合性モノマー、ラジカル重合性モノマーは、何れを使用することもでき、また、二種以上を併用してもよい。但し、樹脂マトリックスを形成する反応を阻害しにくいという理由から、光活性化合物としては、ラジカル重合性モノマーを使用することが好ましい。
<光活性化合物の分子量>
本発明のホログラム記録層形成用組成物に用いる光活性化合物は、光照射時の架橋に伴う収縮率低減の点および記録層中の移動度の確保という観点などから、通常分子量200以上、5000以下、中でも分子量250以上、3000以下、さらに好ましくは分子量300以上、2000以下であることが好ましい。
光活性化合物の分子量が小さすぎると光活性化合物の含有量に比して記録時の体積変化(収縮率など)が大きくなりすぎる可能性があり、その結果として記録信号の品質や記録密度の低下を招聘する。また光活性化合物の分子量が大きすぎる場合は、該化合物のマトリックス中での拡散が抑制されすぎて、記録感度や記録密度の低下が生じる懸念がある。
<光活性化合物の含有量>
光活性化合物の含有量は通常、光記録層形成用組成物全体に対して0.1重量%から80重量%、好ましくは1重量%から50重量%の範囲で用いられる。含有量が少なすぎる場合は十分な記録感度、記録密度が確保できず、含有量が多すぎる場合は記録信号の品質が低下したり、記録層の安定性が損なわれたりする場合がある。
[I−4.光重合開始剤]
光重合開始剤は、公知の光ラジカル重合開始剤であれば、何れを用いることも可能である。例としては、アゾ系化合物、アジド系化合物、有機過酸化物、有機硼素酸塩、オニウム塩類、ビスイミダゾール誘導体、チタノセン化合物、ヨードニウム塩類、有機チオール化合物、ハロゲン化炭化水素誘導体等が用いられる。これらは何れか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。中でも、光重合開始剤としては、400nm以上の波長領域の光による重合反応が生じるという理由から、チタノ
セン化合物、アシルフォスフィンオキサイド化合物、オキシムエステル化合物等が好ましい。
I−4−1:チタノセン化合物
光重合開始剤としてチタノセン化合物を使用する場合、その種類は特に限定はされないが、例えば、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報等に記載されている各種のチタノセン化合物の中から、適宜選択して使用することができる。
チタノセン化合物の具体例としては、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロ−3−(ピロ−1−イル)−フェニ−1−イル等が挙げられる。
I−4−2:アシルフォスフィンオキサイド化合物
アシルフォスフィンオキサイド化合物の具体例としては、1分子中に光による開烈点を1ヶ所しか持たない単官能開始剤、1分子中に光による開烈点を2ヵ所有する2官能性開始剤が挙げられる。
このような単官能開始剤としては、例えば、トリフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジクロルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
2官能性開始剤としては、例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6ジクロルベンゾイル)−4−プロピルフェニルフォスフィンオイサイド、ビス(2,6ジクロルベンゾイル)−2,5ジ
メチルフェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
I−4−3:オキシムエステル系化合物
オキシムエステル系化合物の具体例としては、以下の構造を有するものが挙げられる。
Figure 2011008871
具体的には、1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]−1,2−オクタンジオン、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾ
ール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)エタノン等が挙げられる。
I−4−4:光重合開始剤の含有量
上記の各種の光重合開始剤は、何れか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
本発明のホログラム記録層形成用組成物中の光重合開始剤の含有量は、その用途に応じて任意に選択することが出来る。本発明の光反応性組成物をホログラム記録層形成用に用いる場合、該光反応性組成物中の光重合開始剤の含有量は、光反応性組成物全体に対する比率で、通常0.01重量%以上、中でも0.05重量%以上、また、通常20重量%以下、中でも15重量%以下の範囲とすることが好ましい。光重合開始剤の含有量が少な過ぎると、重合開始種の発生量が少なくなるため、光重合の速度が遅くなり、ホログラム記録感度が低くなる場合がある。一方、光重合開始剤の含有量が多過ぎると、光照射により発生した重合開始種同士が再結合したり、不均化を生じたりするため、光重合に対する寄与が少なくなり、やはりホログラム記録感度が低下する場合がある。2以上の光重合開始剤を併用する場合には、それらの合計量が上記範囲を満たすようにする。
I−4−5:光重合開始剤の吸収波長域
本発明のホログラム記録層形成用組成物を構成する前記光重合開始剤の吸収波長域としては、通常340nm以上、好ましくは350nm以上であり、通常800nm以下、好ましくは650nm以下に吸収を有するものである。例えば、光源が青色レーザの場合は少なくとも350〜430nmに吸収を有するのが好ましく、緑色レーザの場合は少なくとも500〜550nmに吸収を有するのが好ましい。吸収波長域が上述の範囲と異なる場合は、照射された光エネルギーを効率的に光重合反応に使いにくくなるため感度が低下しやすい傾向がある。
尚、光重合開始剤の吸収スペクトルは、例えば光重合開始剤を約10−5モル濃度となるようにテトラヒドロフラン溶媒に溶解させた溶液を通常の紫外、可視光吸収スペクトルメーターで測定するなどにより容易に求められる。
I−4−6: 光重合開始剤の任意成分
本発明のホログラム記録層形成用組成物に用いる光重合開始剤は、前記の光重合開始剤を単独で用いることも出来るが、必要に応じて、その他の光重合開始剤を併用して用いることも出来る。
その他の光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ヒドロキシベンゼン類、チオキサントン類、アントラキノン類、ケタール類、ヘキサアリールビイミダゾール類、チタノセン類、アシルフォスフィンオキサイド類、ハロゲン化炭化水素誘導体類、有機硼素酸塩類、有機過酸化物類、オニウム塩類、スルホン化合物類、カルバミン酸誘導体類、スルホンアミド類、トリアリールメタノール類などが挙げられる。これらは何れか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
その他の光重合開始剤の配合量(2種以上を組み合わせる場合にはその合計量)は、本発明の光重合開始剤の機能を損なわない範囲であれば任意であるが、ホログラム記録層形成用組成物の全体に対する比率で、通常0.001%以上、中でも0.01重量%以上、また、通常20重量%以下、中でも15重量%以下の範囲とする。更に、本発明の光重合開始剤との合計量が25重量%を超えないようにする。
[I−5.その他の成分]
その他、本発明のホログラム記録層形成用組成物には、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、上述の光活性化合物、光重合開始剤、樹脂マトリックス以外に、その他の成分を含有していてもよい。
例えば、ホログラム記録に関しては、記録時の明部で生じる光反応を制御することが重要になるため、重合を制御することができる添加剤等を添加するのが好ましい。重合を制御することができる添加剤としては、テルペノイド骨格を有する化合物、少なくとも2個以上の二重結合を有し、さらにその二重結合の位置が相対的1,4位に存する環状、もしくは非環状化合物、アリル化合物、メルカプト化合物、アミン系化合物、フェノール類等が挙げられる。
また、本発明のホログラム記録層形成用組成物には、増感体の励起波長や励起エネルギーの制御、反応の制御、特性の改良等の必要に応じて、任意の添加剤を配合することができる。
そのような添加剤の例としては、以下の化合物が挙げられる。
増感体の励起を制御する化合物の例としては、増感剤、増感補助剤等が挙げられる。
増感剤としては、公知の各種の増感剤の中から、任意に選択して用いることができ、記
録に使用するレーザ光の波長と使用する開始剤の種類にもよるが、緑色レーザを用いる系の場合、好ましい増感剤の具体例としては、特開平5−241338号公報、特開平2−69号公報、特公平2−55446号公報等に記載されている化合物が、青色レーザを用いる系の場合は、特開2000−10277号公報、特開2004−198446号公報、特開2005−62415号公報、特開2005−91593号公報、特開2004−191938号公報、特開2004−272212号公報、特開2004−212958号公報、特開2004−252421号公報、特開2005−107191号公報、特開2004−264834号公報等に記載されている化合物が挙げられる。上記例示の各種の増感剤は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
尚、得られる光記録媒体ないし光記録材料に無色透明性が要求される場合には、増感剤としてシアニン系色素を使用することが好ましい。即ち、シアニン系色素は一般に光によって分解し易いため、後露光を行なう、即ち、室内光や太陽光の下に数時間から数日放置することで、光記録媒体ないし光記録材料中のシアニン系色素が分解されて可視域に吸収を持たなくなり、無色透明な光記録媒体ないし光記録材料が得られる。
増感剤の量は、形成される記録層の厚さによって増減する必要があるが、光重合開始剤
に対する比率で、通常0.01重量%以上、中でも0.1重量%以上、また、通常10重量%以下、中でも5重量%以下の範囲とすることが好ましい。増感剤の使用量が少な過ぎると、開始効率が低下し、記録に多大な時間を要する場合がある。一方、増感剤の使用量が多過ぎると、記録や再生に使用する光の吸収が大きくなり、深さ方向へ光が届き難くなる場合がある。2以上の増感剤を併用する場合には、それらの合計量が上記範囲を満たすようにする。
上記以外の添加剤として、反応効率の向上や記録層の物性調整のための可塑剤、記録層の吸水率制御のためなどの添加剤などを用いることができる。
可塑剤の例としては、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシルなどのフタル酸エステル類、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジ−n−ブチルなどのアジピン酸エステル類、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチルなどのセバシン酸エステル類、リン酸トリクレシルなどのリン酸エステル類、アセチルクエン酸トリブチルなどのクエン酸エステル類、トリメリット酸トリオクチルなどのトリメリット酸エステル類、エポキシ化大豆油、塩素化パラフィン、アセトキシメトキシプロパンなどのアルコキシ化(ポリ)アルキレングリコールエステル、ジメトキシポリエチレングリコールなどの末端アルコキシ化ポリアルキレングリコールなどが挙げられる。
これらの可塑剤は光反応性組成物全体に対する比率で通常0.01重量%以上50重量%以下、好ましくは0.05重量%以上20重量%以下の範囲で用いられる。これらの可塑剤の使用量がこれより少ないと、反応効率の向上や物性の調整に対する効果が発揮されず、これより多いと記録層の透明性が低下したり、可塑剤のブリードアウトが顕著になったりして好ましくない。
更に、反応の制御に使用する化合物を添加することもできる。この場合の例としては、重合開始剤、連鎖移動剤、重合停止剤、相溶化剤、反応補助剤等が挙げられる。
これらの具体例としては、トリエチルアミン、トリフェニルアミン、ジエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、アニリンなどのアミン化合物、p-メトキシフェノール、2,6−ジーt−ブチルーp−クレゾール、2,4,6−トリメチルフェノール、ベンジルアミノフェノール、ジヒドロキシベンゼン、ピロガロール、レゾルシノールなどのフェノール類、ベンゾキノン、ヒドロキノン、などのキノン類、ニトロベンゼン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、p−ジニトロベンゼンなどのニトロ化合物、酢酸アリル、ブタン酸アリル、、ジアリルマロン酸ジエチル、アリルベンゼン、アリルアルコール、アリルアミンなどのアリル化合物、ベンゼンチオール、ベンジルメルカプタン、ドデカンチオールなどのチオール類、ジフェニルジスルフィド、ジベンジルジスルフィド、ブチルジスルフィドなどのスルフィド類、テルピノレン、α―テルピネンなどのテルペノイド、1,4−シクロヘキサジエンなどの1,4−ジエン類などが挙げられる。
その他、特性改良上必要とされ得る添加剤の例としては、分散剤、消泡剤、可塑剤、防腐剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
これらの添加剤は、何れか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
これらの添加剤の使用量は、本実施の形態のホログラム記録層形成用組成物の全体に対する比率で、通常0.0005重量%以上、中でも0.001重量%以上、また、通常30重量%以下、中でも10重量%以下の範囲とすることが好ましい。2以上の添加剤を併用する場合には、それらの合計量が上記範囲を満たすようにする。
[II.光記録媒体]
本発明の光記録媒体は、本発明の光記録媒体用記録層を含む構成を有する。本発明の光
記録媒体におけるその他の具体的な構成に制限は無く、任意である。 本実施形態の光記録媒体は、三次元架橋樹脂マトリックス中に少なくとも光活性化合物および光重合開始剤を含む記録層を有する光記録媒体であって、該記録層の三次元架橋樹脂マトリックスが分子量300以上又は数平均分子量300以上のグラフト鎖を有することを特徴とする。
以下、本発明の一実施形態に係るホログラム光記録媒体(これを「本実施形態の光記録媒体」という場合がある。)について詳しく説明する。
本発明光記録媒体用記録層を備えて構成される。また、本実施形態の光記録媒体は、必要に応じて、支持体及びその他の層を備えて構成される。
なお、後述の記録方法の項に詳述するとおり、該記録層中に含まれる光活性化合物は、ホログラム記録などによってその一部が重合等の化学的な変化を生じるものである。従って、記録後のホログラム記録媒体においては、光活性化合物の一部が消費され、重合体など反応後の化合物として存在する。該光活性化合物の消費量は、記録情報量によっても変動すると考えられるが、データ記録後に、記録部分に一様な光を当てて、残存する光活性化合物をあえて消費させる、いわゆる「後露光」のような工程を経る場合には、該光活性化合物の大半が反応後の化合物に変化するものである。
[II−1.記録層]
本発明に係る、光媒体用記録層は、光の照射により情報が記録される層である。情報の記録方式は、媒体記録層に光を照射することにより誘発される化学変化に基づき記録できるものであれば特に制限はない。たとえば、光の照射により記録層中に屈折率や透過率の変化に基づき、描画、ドットの形成、干渉縞の形成などを行える方式などを挙げることができる。特に、ホログラム記録に好適に用いられる。
本発明に係る光媒体用記録層の厚みには特に制限は無く、記録方法等を考慮して適宜定めればよいが、一般的には、通常1μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常2cm以下、好ましくは1.5cm以下の範囲である。記録層が厚過ぎると、ホログラム多重記録のような記録を行う際、各ホログラムの選択性が低くなり、多重記録の度合いが低くなる場合がある。また、記録層が薄過ぎると、記録層全体を均一に成形することが困難であり、各ホログラムの回折効率が均一で且つS/N比の高い多重記録が難しくなる場合がある。
本発明の光記録媒体は、三次元架橋樹脂マトリックス中に少なくとも光活性化合物および光重合開始剤を含む記録層を有する光記録媒体であって、該記録層の三次元架橋樹脂マトリックスが分子量300以上又は数平均分子量300以上のグラフト鎖を有することを特徴とする。該グラフト鎖の分子量又は数平均分子量300以上は、好ましくは500以上であり、通常100000以下、好ましくは50000以下、更に好ましくは10000以下である。分子量又は数平均分子量が小さすぎると、記録層のガラス転移温度が高い状態において十分な記録性能が得られない懸念がある。一方、分子量又は数平均分子量が大きすぎると、マトリックス主成分との相溶性が低下してマトリックス全体の光の透過率が低下する懸念がある。
三次元架橋樹脂マトリックスにグラフト鎖を形成する方法は特に制限されず、マトリックス構造中に熱、または光などで開裂してラジカルなどの重合開始種を発生するセグメントを導入しておき、マトリックス形成後熱、光などでその部位を開裂させそこから新たなポリマー鎖を成長させることによりグラフト鎖を祖形成する方法、三次元架橋樹脂マトリックス形成の際に分岐したマトリックス形成成分を共存させて分岐部分をグラフト鎖とする方法、三次元樹脂マトリックス形成の際にマトリックスと反応する官能基をひとつだけ有する化合物を共存させ該化合物をグラフト鎖セグメントとする方法、三次元樹脂マトリックスを形成した後放射線や電子線などのエネルギー線を照射してマトリックスを形成する分子の一部を切断し、該部分をグラフト鎖とする方法、などが挙げられるがいずれの方法を用いてもよい。例えば、前述の本発明の光記録層形成用組成物を用いて、記録層を形成することが出来る。
例えば、ポリイソシアネート化合物(B)と分子内に2以上の活性水素を有する化合物(C)とを反応させてマトリックスを形成させる場合、そのマトリックスの中に、水酸基もしくはイソシアネート基と反応性を有する官能基を1つだけ有する化合物(A)を共存させて、マトリックス形成反応を行うことにより、三次元架橋樹脂マトリックスに、化合物Aに由来するグラフト鎖が導入されたことになる。一般に化合物(A)は、化合物(B)もしくは(C)と共有結合を形成するが、そのことによりマトリックス構造中に化合物(A)の構造が含まれることになる。また、化合物(A)が(B)、(C)などと反応せずに一部そのままの状態で残存していても構わない。いずれの場合も、記録層を形成する組成物には化合物(A)が含まれることになるので本発明の趣旨に適うことになる。
また、記録層の動的粘弾性測定により、記録層の貯蔵弾性率E’および損失弾性率E’’および損失正接(E’’/E’=tanδ)を算出し、tanδ曲線を描いた場合、その曲線は通常1つ以上のピークを有する曲線となる。その最大ピークを主分散ピークとし、主分散ピークのピーク値を示す温度を記録層のガラス転移温度とした。このtanδ曲線において、主分散ピーク以外のピーク(副分散ピークとする)が現われる場合があるが、本発明の記録層に係る記録層で、このような副分散ピークが現われるようなものも好適に用いられる。
[II−2.支持体]
通常、光記録媒体は支持体を有し、記録層やその他の層は、この支持体上に積層されて光記録媒体を構成する。ただし、記録層又はその他の層が必要な強度や耐久性を有する場合には、光記録媒体は支持体を有していなくてもよい。
支持体は、必要な強度及び耐久性を有しているものであれば、その詳細に特に制限はなく、任意の支持体を使用することができる。
具体的に、支持体の形状に制限は無いが、通常は平板状又はフィルム状に形成される。
また、支持体を構成する材料にも制限は無く、透明であっても不透明であってもよい。支持体の材料として透明なものを挙げると、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフトエート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、アモルファスポリオレフィン、ポリスチレン、酢酸セルロースなどの有機材料;ガラス、シリコン、石英などの無機材料が挙げられる。この中でも、ポリカーボネート、アクリル、ポリエステル、アモルファスポリオレフィン、ガラスなどが好ましく、特に、ポリカーボネート、アクリル、アモルファスポリオレフィン、ガラスがより好ましい。
一方、支持体上の材料として不透明なものを挙げると、アルミ等の金属;前記の透明支持体上に金、銀、アルミ等の金属、又は、フッ化マグネシウム、酸化ジルコニウム等の誘電体をコーティングしたものをなどが挙げられる。
支持体の厚みにも特に制限は無いが、通常は0.1mm以上、1cm以下の範囲とすることが好ましい。支持体が薄過ぎると光記録媒体の機械的強度が不足し基板が反る場合があり、厚過ぎると光の透過量が減りさらにコストが高くなる場合がある。
また、支持体の表面に表面処理を施してもよい。この表面処理は、通常、支持体と記録層との接着性を向上させるためになされる。表面処理の例としては、支持体にコロナ放電処理を施したり、支持体上に予め下塗り層を形成したりすることが挙げられる。ここで、下塗り層の組成物としては、ハロゲン化フェノール、又は部分的に加水分解された塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂などが挙げられる。
更に、表面処理は、接着性の向上以外の目的で行なってもよい。その例としては、例えば、金、銀、アルミ等の金属を素材とする反射コート層を形成する反射コート処理;フッ化マグネシウムや酸化ジルコニウム等の誘電体層を形成する誘電体コート処理などが挙げられる。また、これらの層は、単層で形成してもよく、2層以上を形成してもよい。
また、支持体は、本発明の光記録媒体の記録層の上側及び下側の何れか一方にのみ設けてもよく、両方に設けてもよい。但し、記録層の上下両側に支持体を設ける場合、支持体の少なくとも何れか一方は、活性エネルギー線(励起光、参照光、再生光など)を透過させるように、透明に構成する。
記録層の片側又は両側に透明支持体を有する光記録媒体の場合、透過型又は反射型のホログラムが記録可能である。また、片側に反射特性を有する支持体を用いる場合は、反射型のホログラムが記録可能である。
更に、支持体にデータアドレス用のパターニングを設けてもよい。パターニング方法に制限は無いが、例えば、支持体自体に凹凸を形成してもよく、反射層(後述する)にパターンを形成してもよく、これらを組み合わせた方法により形成してもよい。
本実施形態の光記録媒体には、上述した記録層及び支持体以外に、その他の層を設けてもよい。その他の層の例としては、保護層、反射層、反射防止層(反射防止膜)等が挙げられる。
[II−3.保護層]
保護層は、酸素や水分による感度低下や保存安定性の劣化等の悪影響を防止するための層である。保護層の具体的構成に制限は無く、公知のものを任意に適用することが可能である。例えば、水溶性ポリマー、有機/無機材料等からなる層を保護層として形成することができる。
[II−4.反射層]
記録媒体には必要に応じて反射層を設けることができる。
反射層は、光記録媒体を反射型に構成する際に形成される。反射型の光記録媒体の場合、反射層は支持体と記録層との間に形成されていてもよく、支持体の外側面に形成されていてもよいが、通常は、支持体と記録層との間にあることが好ましい。
更に、透過型及び反射型の何れの光記録媒体についても、記録光及び読み出し光が入射及び出射する側や、或いは記録層と支持体との間に、反射防止膜を設けてもよい。反射防止膜は、光の利用効率を向上させ、かつゴースト像の発生を抑制する働きをする。
[II−5.製造方法]
本実施形態の光記録媒体の製造方法に特に制限は無く、任意の方法で製造することが可能である。
本発明に係る記録層形成のため、イソシアネート化合物と活性水素を有する化合物との反応により三次元架橋樹脂マトリックスを成型するような際には、成型直前にイソシアネート化合物を主とする組成物(X)と活性水素を有する化合物を主とする組成物(Y)とを混合し、そのまま成型し記録層を形成させるような手法を取ることもできる。
このとき、分子内に水酸基もしくはイソシアネート基と反応性を有する官能基を1つだけ有する化合物(C)は組成物(X)に混合しておいても良いし、組成物(Y)に混合しても構わない。また(C)のみを独立に準備しておいて、記録層形成直前に(X)、(Y)、(C)を混合し、そのまま成型する手順をとっても問題ない。
また、上記のような組成物X、Yを混合した後に、本発明の光記録層用の材料を支持体に無溶剤で塗布し、記録層を形成して製造することができる。この際、塗布方法としては任意の方法を使用することができる。具体例を挙げると、スプレー法、スピンコート法、
ワイヤーバー法、ディップ法、エアーナイフコート法、ロールコート法、及びブレードコート法、ドクターロールコート法等が挙げられる。
また、特に膜厚の厚い記録層を形成する場合には、本発明の光記録層用材料を型に入れて成型する方法や、離型フィルム上に塗工して型を打ち抜く方法を用いて、記録層を形成することもできる。
また、本発明の光記録層用材料を溶剤と混合して塗布液を調製し、これを支持体上に塗布し、乾燥して記録層を形成してもよい。この場合も、塗布方法としては任意の方法を使用することができる。例としては、上述した塗布方法と同様の方法が挙げられる。
また、溶剤の種類にも特に制限はないが、通常は、使用成分に対して十分な溶解度を持ち、良好な塗膜性を与え、且つ、支持体を侵さないものを使用することが好ましい。
溶剤の例を挙げると、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶剤;ジアセトンアルコール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン等のケトンアルコール系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶剤;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のプロピレングリコール系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;テトラフルオロプロパノール、オクタフルオロペンタノール等のパーフルオロアルキルアルコール系溶剤;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の高極性溶剤;n−ヘキサン、n−オクタン等の鎖状炭化水素系溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の環状炭化水素系溶剤;或いはこれらの混合溶剤などが挙げられる。
なお、これらの溶剤は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、溶剤の使用量にも特に制限は無い。但し、塗布効率や取り扱い性等の面から、塗布液の固形分濃度が1重量%以上、100重量%以下程度となるように、溶剤の使用量を調整することが好ましい。
更に、本発明のホログラム記録材料に揮発性成分が少ない場合は、本発明のホログラム記録材料を、例えば、射出成形法やホットプレス法などによって成形して製造することができる。この場合、成形体が十分な厚み、剛性、強度などを有する場合には、当該成形体をそのまま本実施形態の光記録媒体とすることができる。
また、上述の樹脂マトリックスを所望の形状に成形してから、光活性化合物、その他添加剤等を含浸させることにより、本発明のホログラム記録材料からなる記録層を作製してもよい。
上述の手順で製造された本実施形態の光記録媒体は、自立型スラブ又はディスクの形態をとることができ、三次元画像表示装置、回折光学素子、大容量メモリ、ホログラム描画媒体等の用途に使用できる。
[II−6.情報の記録及び再生方法]
本実施形態の光記録媒体に対する情報の書き込み(記録)及び読み出し(再生)は、何れも光の照射によって行なわれる。 たとえば、ホログラムによる記録方法について記す。
まず、情報の記録時には、光活性化合物の重合及び濃度変化を生じさせることが可能な光を、物体光(記録光とも呼ばれる。)として用いる。特に、本実施形態の光記録媒体では、情報をホログラムとして記録するため、物体光を参照光と共に記録層に対して照射し、記録層において物体光と参照光とを干渉させるようにする。これによってその干渉光が、記録層内の光活性化合物の重合及び濃度変化を生じさせ、その結果、干渉縞が記録層内に屈折率差を生じさせ、前記の記録層内に記録された干渉縞により、記録層にホログラムとして記録されるのである。
一方、記録層に記録されたホログラムを再生する場合は、所定の再生光(通常は、参照光)を記録層に照射する。照射された再生光は前記干渉縞に応じて回折を生じる。この回折光は前記記録層と同様の情報を含むものであるので、前記回折光を適当な検出手段によって読み取ることにより、記録層に記録された情報の再生を行なうことができる。
なお、記録光、再生光及び参照光は、その波長領域はそれぞれの用途に応じて任意であり、可視光領域でも紫外領域でも構わない。これらの光の中でも好適なものとしては、例えば、ルビー、ガラス、Nd−YAG、Nd−YVO4等の固体レーザ;GaAs、In
GaAs、GaN等のダイオードレーザー;ヘリウム−ネオン、アルゴン、クリプトン、エキシマ、CO2等の気体レーザ;色素を有するダイレーザー等の、単色性と指向性に優
れたレーザなどが挙げられる。
また、記録光、再生光及び参照光の照射量には何れも制限は無く、記録及び再生が可能な範囲であればその照射量は任意である。但し、極端に少ない場合には光活性化合物の化学変化が不完全過ぎて記録層の耐熱性、機械特性が十分に発現されない虞があり、逆に極端に多い場合は、記録層の成分(本発明のホログラム記録材料)が劣化を生じる虞がある。したがって、記録光、再生光及び参照光は、記録層の形成に用いた本発明のホログラム記録材の組成や、重合開始剤の種類、及び配合量等に合わせて、通常1mJ/cm2以上、20J/cm2以下の範囲で照射する。
また、ホログラム記録方式としては、偏光コリニアホログラム記録方式、参照光入射角多重型ホログラム記録方式等があるが、本発明のホログラム記録層形成用組成物を記録媒体として使用する場合にはいずれの記録方式でも良好な記録品質を提供することが可能である。
[II−7.性能]
本発明の光記録媒体は、低収縮を志向して分子量の大きい光活性化合物を含む記録層とした場合にも、マトリックス内での物質移動が可能であり、十分高い記録性能を示す。分子量の大きな光活性化合物を使用した場合、マトリックスのガラス転移温度を室温より十分低いものにしてもなお性能を発揮させにくい場合があるが、本発明を用いることにより、同じガラス転移温度を有するマトリックスでもより高い記録性能を発揮させうる。また、耐久性、信頼性を志向して記録層のガラス転移温度(主にマトリックスのガラス転移温度を反映)を上げた場合にも、高い記録性能を示すことが特徴である。
本発明に用いられるマトリックスのガラス転移温度については特に制限はないが、通常マイナス40℃以上プラス300℃以下のガラス転移温度のものが用いられる。また、媒体の耐久性や信頼性の向上などのために比較的高いガラス転移温度のマトリックスを用いる場合には、10℃以上、好ましくは20℃以上、より好ましくは25℃以上、300℃以下のガラス転移温度を有するものが用いられる。このように高いガラス転移温度を有するマトリックスを用いた場合にも、高い記録性能を示すのは、三次元架橋樹脂マトリックスに導入されたグラフト鎖分子が架橋部分に比して比較的自由運動できるため、その部分を介し光活性化合物や重合開始剤の移動、拡散が生じているためと考えられる。
II−7−1:M/#(エムナンバー)
ホログラム記録によって生じる記録部と未記録部の屈折率の差は、投入する露光エネルギーごとの回折効率となって測定される。投入する露光エネルギーは多重に記録する手順により測定される。多重の方法は、角度の固定された交差する光を入射角を変えながら行う角度多重、入射角度は変えずに場所を異動させながら行うシフト多重、波長を変えながら行う波長多重といった方法により行われるが、角度多重が簡便であり、これにより材料
や各成分の性能を把握することができる。
サンプルを光軸に対して動かす角度(二光束、すなわち図1のミラーM1およびM2からの入射光が交わる点における内角の二等分線とサンプルからの法線とがなす角度)を−20度から20度まで1度刻みで記録すれば41多重、−30度から30度まで0.5度刻みで記録すれば121多重とすることができる。回折効率には入射光と回折光の比(外部回折効率ともいう。)と透過光と回折光の和と回折光の比(内部回折効率ともいう。)の2つの表現がある。本発明においてはサンプル表面の反射やサンプル内部の拡散を無視でき材料の記録性能を問える内部回折効率を回折効率とする。記録1回ごとの回折効率が大きすぎると記録回数が若い段階でモノマーを消費しつくして多重記録が出来ない。また記録1回ごとの回折効率が余りに小さいとモノマーが残存してしまい、何れもM/#を過小評価する可能性がある。よって1回の記録の回折効率を概ね数%とし、できるだけ多くの多重度で記録することにより得られたM/#を求めることで妥当な多重記録の目安となりうる。
多重に記録することで得られた回折効率の和であるM/#(エムナンバー)は、記録の容量の目安になる数値であるから、大きい方が媒体として良い性能であるといえる。
一般的に光活性化合物の含有率が高いほど回折効率は大きくなり、M/#も大きくなる。
本実施の形態のホログラム記録媒体の記録層のM/#は、500μm厚の記録層として評価した場合、通常10以上、好ましくは12以上、特に好ましくは15以上である。
なお、上述の通り、M/#の値は大きいほど好ましく、現状明確な上限を設定する必要はない。一般にM/#が大きいほど、記録密度の大きな媒体を得ることができる。 なお、上述の如く、本発明に係る記録層のM/#(エムナンバー)は、厚さ500μmの記録層について評価した値である。
即ち、あるホログラム記録媒体について設けてある記録層を厚さ500μmとしたこと以外は同様にして後述の実施例の項に示す評価用の媒体を作製し、この評価用の媒体がM/#(エムナンバー)10以上、特に12以上、中でも15以上となるものであれば、本発明に好適なホログラム記録媒体と言うことができる。
このM/#(エムナンバー)は、後述の実施例の項に示す方法で測定される。
或いは、記録層膜厚が500μmではない記録媒体の場合、その媒体について同様の方法でM/#を評価し、記録層膜厚500μmでの値に換算した結果が、10以上、特に12以上、中でも15以上となるものであれば、本発明に好適なホログラム記録媒体と言うことができる。
M/#は、一般に記録層膜厚が大きくなるにつれ、値が大きくなる傾向がある。
記録層膜厚200〜700μmにおいては記録層膜厚とM/#とはほぼ比例関係を示すので、この膜厚範囲内の記録層を有する媒体について評価した結果は、比例換算で膜厚補正することで対比することが可能となる。
一方、記録層膜厚が1000μmを超える範囲については記録層膜厚に対するM/#の増加は緩やかとなり、単純に比例計算で膜厚補正したのでは、対比が難しい。この場合には、500μm厚において上記数値範囲となることが予め判っている記録層組成を選び、500μm厚と、評価対象である実際の媒体の記録層厚みに相当する膜厚とで媒体を作製し、この両者の相関に基づいて、実際の媒体のM/#値を500μm厚でのM/#値に換算することが可能となる。
また、基板や保護層、反射層など、ホログラム記録媒体を構成する記録層以外の層は、M/#の値に大きく影響しないので、記録層以外の層構成が異なる媒体についても、M/#の直接の対比が可能である。
II−7−2:感度
本発明において、感度とは、サンプルが示す最大M/#の80%に達するまでの平均感度を表すものとし、次のように算出される。
感度=(0.8×(M/#))/(I×ts×L)
ここで、Iは入射光強度(mW/cm)、tsはM/#が80%に達するまでの総露光時間(秒)、Lは記録層厚み(cm)である。
本実施の形態のホログラム記録媒体の記録層の感度は、通常0.10cm/mJ以上、30cm/mJ以下、より好ましくは0.15cm/mJ以上、10cm/mJ以下である。
記録層厚みで規格化した値であるため、感度の記録層厚み依存が明示的に示されるわけではない。一方、感度の値は記録層の光透過率、開始剤種、開始剤量、光活性化合物、マトリックスのガラス転移温度、弾性率、添加剤の有無、種類、その他各種要因で変動しうる値である。
II−7−3:光透過率
光透過率の測定は光による記録を行う上で重要な指標である。サンプルや記録層が厚いと光が内部で吸収、散乱され光の強度が不足するために記録の性能が劣るという場合がある。記録の前に高い光透過率であることはより深い記録層まで記録して容量を向上させる上で、よい性能であるといえる。
同様に記録の後でも高い光透過率であることは記録の再生において誤りを少なくできるので、よい性能であるといえる。 記録後は、光の照射により光重合開始剤が化学的に変
化して記録光の波長において吸収強度が大きく変化するので、記録の前後で透過度を測定する。
この光透過率の測定に用いる光としては、記録する波長あるいはその近傍であることが望ましいが、記録前の記録層内の光重合開始剤の化学変化が顕著となり透過度が時間的に変化するため、十分に短い時間で測定しなければならない。その点を注意さえすれば、問題なく測定し信頼と再現性のある測定値を得ることが出来る。十分に短い時間とは概ね1秒程 度以下である。記録後であれば、光重合開始剤が消費されて時間的な変化を引き起
こすことがないので測定時間を気にすることはない。
一般に、この光透過率は100%に近い程好ましいが、概ね60%以上、特に80%以上であることが好ましい。本実施の形態のホログラム記録媒体であれば、記録層膜厚500μmとして評価した場合に、記録前光透過率として、通常60%以上、好ましくは70%以上、記録後光透過率として通常60%以上、好ましくは70%以上を達成することができる。なお、この光透過率は、具体的には後述の実施例の項に記載した方法で測定される。
また、記録層膜厚が500μmではない記録媒体の場合、その媒体について同様の方法で光透過率を評価し、記録層膜厚500μmでの値に換算した結果が、光透過率60%以上、好ましくは70%以上となるものであれば、本発明に好適なホログラム記録媒体と言うことができる。
光透過率は一般に記録層膜厚の影響を受け、光透過率100%である場合を除き、記録層膜厚が厚くなるほど、光透過率は低下する傾向がある。記録層膜厚200〜700μmにおいては記録層膜厚と光透過率はほぼ反比例関係を示すので、この膜厚範囲内の記録層を有する媒体について評価した結果は、反比例換算で膜厚補正することで対比が可能となる。
一方、記録層膜厚が1000μmを超える範囲については記録層膜厚に対する光透過率の減少は100%である場合を除き、記録層膜厚200〜700μmにおける反比例関係よりも急激に減少し、単純な換算は難しい。
なお、基板や保護層など、ホログラム記録媒体を構成する記録層以外の透明層は、通常記録層に対して十分大きな光線透過率を有しており、媒体としての光線透過率の値は実質記録層の透過率と見なすことができる。反射層などの不透明層を有する記録媒体の場合には、反射層の厚さは記録層や基板などに比べて十分の一以下と十分に薄いので媒体への光透過率の影響は無視できる。このようにして、記録層以外の層構成が異なる媒体についても、光線透過率の直接の対比が可能である。
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
[実施例1]
・光記録層形成用組成物の調製
サンプル瓶1にヘキサメチレンジイソシアネートを10.57g、 N−ビニルカルバゾール 0.928g、および2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(TPO:チバスペシャリティ社製) 0.046gを秤量し、各成分が溶解する
まで攪拌した。
次に、サンプル瓶2に分子量約1000の ポリオキシプロピレントリオール(三洋化成社製、GP−1000) 11.66g、トリメチロールプロパン 3.89g、ポリスチレン標準の数平均分子量が約1000のポリプロピレングリコールモノブチルエーテル 3.89g、およびジオクチル錫ジラウレート0.007gを秤量し、各成分が溶解するまで攪拌した。
その後、サンプル瓶2を真空下で3時間脱気した後、サンプル瓶1,2の液を混ぜ合わせて攪拌混合し、さらに数分間、真空で脱気した。
・媒体の作製
続いて、スペーサーとして厚さ500μmのテフロン(登録商標)シートを2方の端にのせたスライドガラスに上に、真空脱気した液を流し込み、その上にスライドガラスをかぶせ、クリップで周辺を固定して60℃で15時間加熱して測定用ホログラム記録媒体を作製した。この測定用ホログラム記録媒体は、図2に示すように、カバー層21,23としてのスライドガラス間に、厚さ500μmの記録層22が形成されたものである。
このようにして得られたサンプルについてホログラム記録性能の評価を行った。評価の条件は次の通りである。
[ホログラム記録]
得られたホログラム記録媒体を使用し、以下に説明する手順でホログラム記録を実施した。
波長405nmの半導体レーザを用いて、ビーム1本あたりの露光パワー密度6.0mW/cmで図1の如き露光装置を使用して二光束平面波のホログラム記録を行った。媒体を−30度から30度まで1度おきに同一箇所に61多重記録し、その時の回折効率の平方根の合計をM/#(エムナンバー)とする。また上記の記録前後で記録波長での光透過率を測定した。以下、詳細に説明する。
図1(a)は、ホログラム記録に用いた装置の概要を示す構成図であり、図1(b)はLEDユニットの表面を示す構成図であり、図1(c)は、LEDユニット表面のLEDの配列を示す構成図である。
図1中、Sはホログラム記録媒体のサンプルを示し、M1〜M3は何れもミラーを示し、PBSは偏光ビームスプリッタを示し、L1は波長405nmの光を発する記録光用レーザ光源(405nm付近の光が得られるソニー製シングルモードレーザーダイオードを用いた(図1の中「L1」))を示し、L2は波長633nmの光を発する再生光用レーザ光源を示し、PD1、PD2はフォトディテクタを示す。また、1はLEDユニットを示し、2はアームを示し、3は支柱を示す。
通常の記録、再生の場合、LEDユニットは実線の位置にあり、一様露光の場合、破線で示すように、支柱3が回転して取り付けられたアーム2とLEDユニット1のLEDがサンプルSの記録部分の前面側に移動した後、LEDが一定時間点灯する。LED1Bは、図1(c)に示すように、LEDユニット表面1Aにさいころの5の目の様に配列されている。光源L1、L2、フォトディテクタPD1、PD2、LEDユニット1には電源が接続されている。
図1に示すように、405nmの光を偏光ビームスプリッタ(図中「PBS」)により分割し、2本のビームのなす角が50.00度になるように記録面上にて交差させた。このとき、2本のビームのなす角の2等分線が記録面に対して垂直になるようにし、更に、分割によって得られた2本のビームの電場ベクトルの振動面は、交差する2本のビームを含む平面と垂直になるようにして照射した。
ホログラム記録後、He−Neレーザで633nmの光を得られるもの(メレスグリオ社製V05−LHP151:図中「L2」)を用いて、その光を記録面に対し30.19度の角度で照射し、回折された光をパワーメータおよびディテクタ(ニューポート社製2930−C、918−SL:図中「PD1」および「PD2」)を用いて検出することにより、ホログラム記録が正しく行なわれているか否かを判定した。ホログラムの回折効率は、回折された光の強度の透過光強度と回折光強度の和に対する比で与えられる。
<M/#の測定>
サンプルを光軸に対して動かす角度(二光束、すなわち図1のミラーM1およびM2からの入射光が交わる点における内角の二等分線とサンプルからの法線とがなす角度)を30度から30度まで1度刻みで61多重の記録を行い、得られた回折効率の平方根を多重記録全域にわたって合計したものをM/#とした。
具体的には、実施例ごとに、始めに複数用意した光学記録媒体の1つを用いて、二光束が交わる点における内角の二等分線と媒体の法線がなす角度がゼロの状態で、回折効率が一定になるまで二光束すなわち図1におけるミラーM1およびM2からの入射光405nmを照射し、一定になった最小のエネルギーを測定する(この際、回折効率の評価はミラーM3からの光633nmを用いて行なう)。
次いで別の媒体について、先に求めた最少エネルギーの値を61回多重記録の際の合計照射エネルギーの目安として、多重記録を行う。この際、照射エネルギーは記録回数に応じて適宜調整しながら、記録ごとの回折効率数%を維持するようにする。61回多重記録後、引き続き図1におけるミラーM1からの光(405nm)を照射し、角度−30から30度までの回折効率を計測し、各角度の回折効率の平方根の合計(M/#)を求める。
サンプルを変えて、記録初期の照射エネルギーの増減、合計照射エネルギーの増減など、照射エネルギー条件を変えた複数回の評価を行い、記録1回ごとに数%以上の回折効率を維持しつつ、61回記録までに含有モノマーをほぼ消費しつくす(61回記録までにM/#がほぼ平衡に達する)条件を模索し、M/#として最大値が得られるようにした。そして、得られた最大値をその媒体のM/#とした。
<感度>
また、サンプルの感度は、上記M/#計測において、サンプルが示す最大M/#の80%に達するまでの平均感度を表すものであり、次のように算出される。
感度=(0.8×(M/#))/(I×ts×L)
ここで、Iは入射光強度(mW/cm)、tsはM/#が80%に達するまでの総露光時間(秒)、Lは記録層厚み(cm)である。
<記録前光透過率、記録後光透過率>
光透過率はサンプルが何もない状態で光の強度を測定した後、サンプルを、光路にその板面を垂直にして置いて化学変化が起こらない程度の短い時間で再び光の強度を測定しその比を光透過率とした。記録後の場合、サンプルは光路に垂直にかつ回折が起こらない角度で記録した部分を光が通るように置いて測定した。波長は記録と同じ波長の405nm、強度は6mW/cmとし、記録層の厚みは500μmとした。
[記録層の粘弾性評価]
<ガラス転移温度>
得られた記録層のガラス転移温度は、次のようにして測定した。即ち、記録層を幅およそ1cm長さおよそ3cm程度の短冊状に切り出し、測定サンプルとし、動的粘弾性測定装置(エスアイアイナノテクノロジーズ社製EXTAR DMS−6100)にて測定した。温度−100℃から120℃の範囲で昇温速度は毎分2℃、測定周波数10Hzで測定し、そのときの貯蔵弾性率E’および損失弾性率E’’および損失正接(E’’/E’=tanδ)を算出した。ここでは、tanδの値の最大値を与えるピークを主分散ピークとし、その最大値を示す温度をサンプルのガラス転移温度とした。
[実施例2]
ヘキサメチレンジイソシアネートを10.57gとし、N−ビニルカルバゾール 0.928gの代わりに ビスジベンゾチオフェニルフェニルアクリレート 0.928gを用いた以外は実施例1と同様にして、光記録層形成用組成物を調製した。
得られた組成液は、実施例1と同様の手順によりホログラム記録用媒体を作製し、ホログラム記録性能の測定を行った。
[比較例1]
ヘキサメチレンジイソシアネートを10.98g、分子量約1000の ポリオキシプロピレントリオール(三洋化成社製、GP−1000) を15.21gとし、ポリスチレン標準の数平均分子量が約1000のポリプロピレングリコールモノブチルエーテルを添加しなかった以外は実施例1と同様にして、光記録層形成用組成物を調製した。
得られた組成液は、実施例1と同様の手順によりホログラム記録用媒体を作製し、ホログラム記録性能の測定を行った。
[比較例2]
ヘキサメチレンジイソシアネートを11.58g、分子量約1000の ポリオキシプロピレントリオール(三洋化成社製、GP−1000) を11.19gとし、ポリスチレン標準の数平均分子量が約1000のポリプロピレングリコールモノブチルエーテル3.89gの代わりにトリプロピレングリコールモノメチルエーテル(分子量約206) 3.73gを用いた以外は実施例1と同様にして、光記録層形成用組成物を調製した。
得られた組成液は、実施例1と同様の手順によりホログラム記録用媒体を作製し、ホログラム記録性能の測定を行った。
Figure 2011008871
ポリスチレン標準の数平均分子量が300以上のグラフト鎖を有する三次元架橋樹脂マトリックスを用いた実施例1および2は、いずれも記録層のガラス転移温度が室温以上であるが、M/#、感度ともに良好な値を示した。
一方、グラフト鎖のない三次元架橋樹脂マトリックスを用いた比較例1では、記録層のガラス転移温度が実施例1および2に比べると低く、室温付近であるにも関わらず、ホログラム記録の感度が明らかに低かった。また、分子量200強のグラフト鎖を有する三次元架橋樹脂マトリックスを用いた比較例2では、記録層のガラス転移温度は実施例1および2に対して更に低く、室温以下であるにも関わらず、ホログラム記録感度は実施例1および2を明らかに下回った。
本発明の光記録媒体用記録層は光記録に関わる各種媒体、特にホログラム光記録媒体等の用途に好適に使用される。
1 LEDユニット
1A LEDユニットの表面
1B LED
2 アーム
3 支柱
S サンプル
M1,M2,M3 ミラー
PBS 偏光ビームスプリッタ
L1 記録光用レーザ光源
L2 再生光用レーザ光源
PD1,PD2 フォトディテクタ
21 カバー層
22 記録層
23 カバー層

Claims (6)

  1. 三次元架橋樹脂マトリックス形成成分と下記化合物A、光活性化合物、および光重合開始剤を含む光記録層形成用組成物。
    化合物A: 三次元架橋樹脂マトリックスと反応可能な官能基を1つだけ有する、分子量300以上又は数平均分子量300以上の化合物。
  2. 化合物Aの含有量が組成物全体に対して1重量%以上である、請求項1に記載の光記録層形成用組成物。
  3. 三次元架橋マトリックス形成成分が、分子中にイソシアネート基、水酸基、エポキシ基、アミノ基およびカルボキシル基からなる群から選ばれる官能基を2以上含有する化合物を含む、請求項1または2に記載の光記録層形成用組成物。
  4. 光活性化合物の分子量が200以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光記録層形成用組成物。
  5. 記録層に請求項1〜4のいずれか1項に記載の光記録層形成用組成物を用いる、光記録媒体。
  6. 三次元架橋樹脂マトリックス中に少なくとも光活性化合物および光重合開始剤を含む記録層を有する光記録媒体であって、該三次元架橋樹脂マトリックスが分子量300以上又は数平均分子量300以上のグラフト鎖を有する、光記録媒体。
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