JP2004210657A - ピラン化合物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ピランにトリメチルシリル基や1−クロロテトラメチルジシロキシル基のような珪素原子を有する特定の有機残基が少なくとも一つ結合した環が縮環した、下記式(1)
【化1】
で示されるピラン化合物。
なお、上記式においてXを含む2価の環状基は非置換の芳香族炭化水素環基または置換もしくは非置換の不飽和複素環基であり、R1およびR2は、それぞれ独立にアルキル基等の置換基であり、R3はトリメチルシリル基や1−クロロテトラメチルジシロキシル基のような珪素原子を有する特定の有機残基であり、R4は、ヒドロキシル基、アルキル基等の置換基である。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォトクロミック材として有用な新規なピラン化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ある化合物に太陽光あるいは水銀灯の光のような紫外線を含む光を照射すると速やかに色が変わり(発色という)、光の照射をやめて暗所におくと元の色に戻る(退色という)可逆作用を有する化合物はフォトクロミック化合物と呼ばれている。フォトクロミック化合物の用途の一つにサングラスレンズ用の調光材料があるが、このような用途に用いられるフォトクロミック化合物においては、▲1▼発色−退色サイクルを繰り返したときの耐久性(以下、耐久性という)が良い、▲2▼光未照射状態における着色度(以下、初期着色という)が小さい、▲3▼退色速度が速いといった性質が求められている。さらに近年では、青や黄色の化合物を任意の割合で混合して、サングラス用途で一般に好まれているグレー、ブラウンあるいは緑色といった中間色に発色することが求められている。このような中間色に発色するためには、一般には、可視光の吸収波長領域が440〜500nmの黄色〜オレンジに発色する化合物と、540〜630nmの紫〜水色に発色する化合物を混合しなければならない。しかしながら、物性の異なるフォトクロ化合物を混合させるため、化合物同士の耐久性、および退色速度に差が生じる為、発色時や退色時の色ずれや、劣化時の発色色調のずれといった問題が生じる。
【0003】
紫〜水色に発色する化合物としては、例えば下記式(A)で示されるピラン化合物が開示されている(特許文献1参照)。
【0004】
【化10】
【0005】
上記化合物は、発色濃度が高く、退色速度が速く、耐久性が高いという利点を有するものの、初期着色が大きいという問題があった。
【0006】
また、黄色〜オレンジに発色する化合物としては、例えば、下記式(B)および(C)で示されるピラン化合物が知られている(特許文献2および3参照)。
【0007】
【化11】
【0008】
【化12】
【0009】
上記化合物(B)は、発色濃度が高く、初期着色が低いものの、退色速度が遅いという問題があった。また、上記化合物(C)は、発色濃度は高いものの、退色速度が遅く、初期着色が大きいという問題があった。さらに耐久性が低い為、劣化時に化合物が黄色に着色してしまうという問題もあった。
【0010】
【特許文献1】
国際特許出願WO01/60811号公開パンフレット
【特許文献2】
国際特許出願WO98/57943号公開パンフレット
【特許文献3】
国際特許出願WO98/45281号公開パンフレット
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来の化合物が持つ問題を解決し、前記▲1▼〜▲3▼の要求を全て満足するフォトクロミック化合物、すなわち、耐久性が高く、初期着色が小さく、退色速度が速いフォトクロミック化合物を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題に鑑み、本発明者らは鋭意研究を続けてきた。その結果、ピラン化合物に置換基として、特定のシリル基またはシロキシル基を導入した場合には、各ピラン化合物が有する優れた特長を維持しつつ初期着色を低減することができ、また、退色速度に問題のある化合物については退色速度も改良できることを見出した。さらに、シリル基を導入することにより、極大吸収波長を制御することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、下記式(1)
【0014】
【化13】
【0015】
{式中、下記式(2)
【0016】
【化14】
【0017】
で示される基は、非置換の2価の芳香族炭化水素環基又は非置換の2価の不飽和複素環基であり、
R1およびR2は、それぞれ独立に、アルキル基、置換もしくは非置換の脂環式炭化水素基、置換もしくは非置換のアリール基、或いは置換もしくは非置換の複素環基であるか、又はR1とR2とが互いに結合して環を形成する基であり、
R3は、下記式(3)
【0018】
【化15】
【0019】
(式中、R5、R6及びR7は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換の脂環式炭化水素基、置換もしくは非置換のアリール基、アラルキル基、アラルコシ基、アシル基、アシルオキシアルキル基、ビニル基、アリル基、アリルアミノ基、置換または非置換のアミノ基、ハロゲン原子、ハロゲノアルキル基、ハロゲノアリール基、ハロゲノアルコキシ基、ハロゲノアラルコキシ基、アルキルチオアルキル基、又はR5、R6、R7のうち2つが一緒になって、Si原子を含む環を形成する基である。)
で示されるシリル基または、下記式(4)
【0020】
【化16】
【0021】
(式中、Rは、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基又は置換もしくは非置換のアリール基であり、複数存在するRは互いに異なっていてもよく、p、oはそれぞれ0または1以上の整数であり、p+oは1〜500である。)
で示されるシロキシル基であり、
R4は、ヒドロキシル基、アルキル基、シクロアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式炭化水素基、置換もしくは非置換の複素環基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、置換もしく非置換のアミノ基、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは非置換のアリール基、ハロゲン原子、ハロゲノアルキル基、ハロゲノアルコキシ基であり、
mは1〜6の整数であり、nは0〜5の整数である。}
で示されるピラン化合物である。
【0022】
また、他の本発明は、上記一般式(1)で示されるピラン化合物よりなるフォトクロミック材、および該ピラン化合物を含んでなるフォトクロミック光学物品である。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明のピラン化合物は、前記式(1)で示される。前記式(1)において、下記式(2)
【0024】
【化17】
【0025】
で示される基は、非置換の2価の芳香族炭化水素環基または非置換の2価の不飽和複素環基である。
【0026】
上記の2価の非置換芳香族炭化水素環基としては、特に限定はされないが、炭素数6〜25の非置換芳香族炭化水素環基が好ましい。好適な非置換芳香族炭化水素環基を例示すると、フェニレン基、ナフチレン基、フェナンスリレン基、ベンゾフルオレン基、ベンゾジヒドロフェナンスルレン基等のベンゼン環1個を含む単環の非置換芳香族炭化水素環基、またはベンゼン環が2〜4個縮環した2価の非置換芳香族炭化水素環基が挙げられる。
【0027】
また、2価の非置換の複素環基としては、ヘテロ原子として酸素、硫黄、または窒素原子を含み芳香族性を有する基であれば特に限定されないが、これらへテロ原子を含む環員数が5又は6員の単環の複素環基 またはこれらにベンゾ環が縮環した複素環基であるのが好ましい。好適な複素環基を例示すると、ピリジン、キノリン、ピロール、インドール等の2価の含窒素芳香族複素環化合物より誘導される2価の含窒素芳香族複素環基;フラン、ピラン、ベンゾフラン等の含酸素芳香族複素環化合物より誘導される2価の含酸素芳香族複素環基;チオフェン、ベンゾチオフェン等の含硫黄芳香族複素環化合物より誘導される2価の含硫黄芳香族複素環基;テトラヒドロフラン、ピラン等の含酸素環状化合物より誘導される2価の複素環基;ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン、ヘキサメチレンイミン等の含窒素環状化合物より誘導される2価の複素環基;シクロペンタノン、シクロヘキサノン等の含カルボニル環状化合物より誘導される2価の複素環基;ブチロラクトン、テトラヒドロフラノン、テトラヒドロピラノン等の含エステル環状化合物もしくは含酸素環状ケトン化合物より誘導される2価の複素環基;ピロリジノン、ピペリジノン、オキソヘキサメチレンイミン等の含アミド環状化合物もしくは含窒素環状ケトン化合物より誘導される2価の複素環基;アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン、デカヒドロ−シクロペンタアゼピン、アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン、オクタヒドロ−キノリジン、デカヒドロ−ピリジノキノリン、アザ−トリシクロウンデカン等の環集合化合物より誘導される2価の複素環基を挙げることができる。
【0028】
前記式(1)におけるR1およびR2は、それぞれ独立に、アルキル基、置換もしくは非置換の脂環式炭化水素基、置換もしくは非置換のアリール基、或いは置換もしくは非置換の複素環基であるか、又はR1とR2とが互いに結合して環を形成する基である。
【0029】
ここで上記アルキル基は特に限定はされないが、炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。好適なアルキル基を例示すると、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等を挙げることができる。
【0030】
また、非置換の脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシレン基、シクロトリデシレン基、シクロペンタドデシレン基等の炭素数3〜20の単環基;ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、ビシクロ[3.2.0]へプチル基、ビシクロ[3.1.1]へプチル基、ビシクロ[3.2.2]オクチル基、アダマンチル基等の炭素数6〜20の環集合基等が挙げられる。なお、環集合基において、その結合手の位置に制限はされない。
【0031】
また、非置換アリール基としては、炭素数6〜10の非置換芳香族炭化水素基が好ましい。好適なアリール基を例示すると、フェニル基、ナフチル基を挙げることができる。
【0032】
また、非置換の複素環基は、ヘテロ原子として酸素、硫黄、または窒素原子を含み芳香族性を有する基であれば特に限定されないが、これらへテロ原子を含む環員数5〜6の単環の複素環基、またはこれら単環にベンゾ環が縮環した複素環基であるのが好ましい。好適な複素環基を例示すると、ピリジン、キノリン、ピロール、インドール等の含窒素芳香族複素環化合物より誘導される1価の含窒素芳香族複素環基;フラン、ピラン、ベンゾフラン等の含酸素芳香族複素環化合物より誘導される1価の含酸素芳香族複素環基;チオフェン、ベンゾチオフェン等の含硫黄芳香族複素環化合物より誘導される1価の含硫黄芳香族複素環基;テトラヒドロフラン、ピラン等の含酸素環状化合物より誘導される1価の複素環基;ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン、ヘキサメチレンイミン等の含窒素環状化合物より誘導される1価の複素環基;シクロペンタノン、シクロヘキサノン等の含カルボニル環状化合物より誘導される1価の複素環基;ブチロラクトン、テトラヒドロフラノン、テトラヒドロピラノン等の含エステル環状化合物もしくは含酸素環状ケトン化合物より誘導される1価の複素環基;ピロリジノン、ピペリジノン、オキソヘキサメチレンイミン等の含アミド環状化合物もしくは含窒素環状ケトン化合物より誘導される1価の複素環基;アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン、デカヒドロ−シクロペンタアゼピン、アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン、オクタヒドロ−キノリジン、デカヒドロ−ピリジノキノリン、アザ−トリシクロウンデカン等の環集合化合物より誘導される1価の複素環基を挙げることができる。
【0033】
また、置換脂環式炭化水素基、置換アリール基、及び置換複素環基は、それぞれ上記した非置換の脂環式炭化水素基、非置換のアリール基、及び非置換の複素環基の少なくとも1つの水素原子がヒドロキシル基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコシ基、アミノ基、置換アミノ基、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは非置換のアリール基、ハロゲン原子、ハロゲノアルキル基、ハロゲノアルコキシ基、及び窒素原子をヘテロ原子として有し、該窒素原子で基礎となる基に結合する置換もしくは非置換の複素環基、または該複素環基に芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環が縮合した縮合複素環基で置換されたものが挙げられる。なお、これら置換基の数及び結合する位置は特に限定されないが置換基の数は1又は2であるのが好適である。また、これら置換基の中で好適なものとしては、後述するR4でそれぞれ対応する基において好適なものとして例示したものと同じ基を挙げることができる。
【0034】
また、R1及びR2が互いに結合して環を形成する基である場合において、R1とR2とが一緒になって形成される環としては、脂肪族炭化水素環、複素環、および芳香族炭化水素環を挙げることができる。なお、これらの環は前記したような置換基を有していてもよい。
【0035】
上記脂肪族炭化水素環としては、炭素数7〜18脂肪族炭化水素環集合が好ましい。好適なものを例示すると、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環、ビシクロ[2.2.2]オクタン環、ビシクロ[3.2.1]オクタン環、ビシクロ[3.3.1]ノナン環、アダマンタン環等が挙げられる。また、複素環としては、環を形成する原子数6〜18の複素環集合であるのが好ましい。好適なものを例示すると、アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン環、デカヒドロ−シクロペンタアゼピン環、アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン環等が挙げられる。芳香族炭化水素環として好適なものを例示すると、フルオレン環、フェナントレン環等が挙げられる。
【0036】
本発明のピラン化合物においては、退色速度の向上という理由から、前記式(1)におけるR1およびR2の少なくとも一方は、下記(i)〜(iii)のいずれかの基であることが特に好ましい。
【0037】
(i)非置換のアリール基
(ii)置換アミノ基、あるいはアルコキシ基を置換基として有する置換アリール基
(iii)窒素原子をヘテロ原子として有し、該窒素原子でアリール基と結合する置換もしくは非置換の複素環基を置換基として有する置換アリール基
(iv)ハロゲノアリール基
なお、上記(ii)〜(iv)における置換アリール基においては、置換基の置換する位置は特に限定されず、その総数も特に限定されないが、アリール基がフェニル基であるときは、その数は1であることが好ましい。当該置換フェニル基として、好適なものを具体的に例示すると、4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル基、4−(N,N−ジエチルアミノ)フェニル基、4−(N,N−ジフェニルアミノ)フェニル基、4−モルホリノフェニル基、4−ピペリジノフェニル基、4−エトキシフェニル基、4−プロポキシ基、4−ブトキシ基、3−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2−トリフルオロトリル基、4−トリフルオロトリル基等をあげることができる。
【0038】
また、前記(ii)〜(iv)において、置換アリール基がフェニル基以外の場合には、置換基が置換する位置は特に限定されず、その総数も特に限定されないが、その数は1であることが好ましい。当該置換基アリール基としての、好適なものを具体的に例示すると、4−(N,N−ジメチルアミノ)チエニル基、4−(N,N−ジエチルアミノ)フリル基、4−(N,N−ジフェニルアミノ)チエニル基、4−モルホリノピロリニル基、6−ピペリジノベンゾチエニル基、6−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾフラニル基等を挙げることができる。
【0039】
本発明のピラン化合物は、前記式(2)で示される環状の基に前記式(3)で示される基又は前記式(4)で示される基を少なくとも1つ有することを最大の特徴とする。このような基を有することにより、初期着色を小さく、さらに退色速度も速いフォトクロミック化合物となる。これら、シリル基又はシロキシル基において、原料入手の容易さ、反応の簡便さおよび、化合物の耐久性の高さから、上記シリル基が好適であり、該シリル基においても、同様の理由から式(3)におけるR5、R6およびR7がそれぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、置換もしくは非置換の脂環式炭化水素基、置換もしくは非置換のアリール基、アラルキル基、ハロゲノアルキル基、ハロゲノアリール基、またはR5、R6、R7のうち2つが一緒になって、Si原子を含む環を形成する基が特に好適である。
【0040】
以下、式(3)で示されるシリル基についてさらに詳しく説明する。
前記式(3)中のR5、R6及びR7は、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換の脂環式炭化水素基、置換もしくは非置換のアリール基、アラルキル基、アラルコシ基、アシル基、アシルオキシアルキル基、ビニル基、アリル基、アリルアミノ基、置換または非置換のアミノ基、ハロゲン原子、ハロゲノアルキル基、ハロゲノアリール基、ハロゲノアルコキシ基、ハロゲノアラルコキシ基、アルキルチオアルキル基、又はR5、R6、R7のうち2つが一緒になって、Si原子を含む環を形成する基である。
【0041】
上記非置換アルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基であるのが好ましい。好適なアルキル基を例示すると、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−オクチル、n−デシル基等を挙げることができる。
【0042】
また、アルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基であるのが好ましい。好適なアルコキシ基を具体的に例示すると、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等を挙げることができる。
【0043】
また、非置換の脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシレン基、シクロトリデシレン基、シクロペンタドデシレン基等の炭素数3〜20の単環基;ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、ビシクロ[3.2.0]へプチル基、ビシクロ[3.1.1]へプチル基、ビシクロ[3.2.2]オクチル基、アダマンチル基等の炭素数6〜20の環集合基等が挙げられる。なお、環集合基において、その結合手の位置に制限はされない。
【0044】
また、非置換アリール基としては、炭素数6〜10の非置換芳香族炭化水素基が好ましい。好適なアリール基を例示すると、フェニル基、ナフチル基を挙げることができる。
【0045】
アラルキル基としては、炭素数7〜11のアラルキル基であるのが好ましい。好適なアラルキル基を例示すると、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基等を挙げることができる。
【0046】
アラルコキシ基としては、炭素数6〜10のアラルコシ基であるのが好ましい。好適なアラルコキシ基を具体的に例示すると、フェノキシ基、ナフトキシ基等を挙げることができる。
【0047】
アシル基としては、炭素数1〜7のアシル基であるのが好ましい。好適なアシル基を具体的に例示すると、アセチル基、プロピオニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等を挙げることができる。
【0048】
アシルオキシアルキル基としては、アルキル基の炭素数が1〜10のアシルオキシアルキル基であるのが好ましい。好適なアシルオキシアルキル基を具体的に例示すると、アセトキシメチル基、アセトキシエチル基、アクリロイルプロピル基等を挙げることができる。
【0049】
シアノアルキル基としては、アルキル基の炭素数が1〜8のシアノアルキル基が好ましい。好適なシアノアルキル基を具体的に例示すると、シアノエチル基、シアノブチル基、シアノプロピル基等を挙げることができる。
【0050】
置換アミノ基は、アルキル基またはアリール基が置換したアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基が好適である。好適な置換アミノ基を具体的に例示すると、メチルアミノ基、エチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基等を挙げることできる。
【0051】
ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を挙げることができる。
【0052】
ハロゲノアルキル基は、上述のアルキル基の1または2以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子あるいは臭素原子で置換されたものである。ハロゲノアルキル基として好適なものを例示すると、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等を挙げることができる。
【0053】
ハロゲノアルコキシ基は、上述のアルコキシ基の1または2以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、あるいは臭素原子で置換されたものである。ハロゲノアルコキシ基として特に好適なものを例示すると、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基等を挙げることができる。
【0054】
ハロゲノアラルコキシ基は、上述のアラルコキシ基の1または2以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、あるいは臭素原子で置換されたものである。ハロゲノアラルコキシ基として特に好適なものを例示すると、フルオロフェノキシ基、トリフルオロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基等を挙げることができる。
【0055】
置換アルキル基、置換アルコキシ基、置換脂環式炭化水素基、および置換アリール基としては、上記非置換アルキル基、非置換アルコキシ基、非置換脂環式炭化水素基、および非置換アリール基の1もしくは2以上の水素原子が、上述と同様のアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アリール基、後述する窒素原子をヘテロ原子として有し、該窒素原子で基礎となる基に結合する置換もしくは非置換の複素環基、または該複素環基に芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環が縮合した縮合複素環基等の置換基で置換された置換アリール基であるのが好適である。
【0056】
また、R5、R6、R7のうち2つが一緒になって、Si原子を含む環を形成する基としては、Si原子を含み、環を形成する原子数が3〜10である基が好ましい。このとき、もう一つの置換基としては前記の置換基を用いることができる。好適なR5、R6、R7のうち2つが一緒になって、Si原子を含む環を形成する基を例示すると、メチルシラシクロペンチル基、シクロペンタメチレンメチルシリル基、シクロテトラメチレンメチル基、シクロトリメチレンメチル基等が挙げられる。
【0057】
好適なシリル基を例示すれば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリt−ブチルシリル基、トリn−ブチルシリル基、トリイソブチルシリル基、ジイソプロピルメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ジイソプロピルシリル基、ジイソブチルシリル基、イソブチルジメチルシリル基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、ベンジルジメチルシリル基、トリベンジルシリル基、シクロヘキシルジメチルシリル基、2−(ビシクロヘプチル)ジメチルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルジメチルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基、p−トリルジメチルシリル基、トリチルジメチルシリル基、トリフルオロメチルジメチルシリル基、p−フルオロフェニルジメチルシリル基、ペンタフルオロフェニルジメチルシリル基、シクロトリメチレンメチルシリル基等が挙げられる。
【0058】
なお、上記のシリル基は、電子吸引基として作用するもの(例えばトリフェニルシリル基等)および電子供与基として作用するもの(例えばトリメチルシリル基等)が有るため、該シリル基の導入部位によって、ピラン化合物の発色時の最大吸収波長を長波長側および短波長側にシフトさせることが可能である。したがって、本発明のピラン化合物には様々な発色色調を有するものが含まれており、例えばフォトクロミック材料として使用する場合、本発明のピラン化合物の仲から所望の発色色調を有するものを適宜選択して使用することが可能である。
【0059】
次に前記式(4)で示されるシロキシル基についてさらに詳しく説明する。
前記式(4)におけるRは、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基又は置換もしくは非置換のアリール基である。なお、複数存在するRは互いに異なっていてもよい。
【0060】
上記Rとしての非置換アルキル基としては、炭素数1〜12のアルキル基であるのが好ましい。好適なアルキル基を例示すると、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等を挙げることができる。また、非置換アリール基としては、炭素数6〜10の非置換芳香族炭化水素基が好ましい。好適なアリール基を例示すると、フェニル基、ナフチル基を挙げることができる。置換アルキル基、および置換アリール基としては、上記非置換アルキル基、および非置換アリール基の1もしくは2以上の水素原子が、上述と同様のアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アリール基、後述する窒素原子をヘテロ原子として有し、該窒素原子で基礎となる基に結合する置換もしくは非置換の複素環基、または該複素環基に芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環が縮合した縮合複素環基等の置換基で置換された置換アリール基であるのが好適である。
【0061】
また、前記式(4)におけるp、oはそれぞれ0または1以上の整数であり、p+oが1〜500の整数である。原料の入手が容易な点から、p+oが1〜100、特に1〜10が好ましい。
【0062】
好適なシロキシル基を例示すれば、1−クロロテトラメチルジシロキシル基、1−クロロヘキサメチルトリシロキシル基、1−クロロテトラフェニルジシロキシル基、ポリジメチルシロキシル基、ポリジフェニルシロキシル基、ジフェニルシロキサン−ジメチルシロキシル基、トリフルオロメチルメチルシロキシル基等が挙げられる。
【0063】
前記式(1)におけるR4は、ヒドロキシル基;アルキル基;シクロアルキル基;置換もしくは非置換の脂環式炭化水素基;置換もしくは非置換の複素環基;アルコキシ基;アラルキル基;アラルコシ基;アミノ基;置換アミノ基;シアノ基;ニトロ基;置換もしくは非置換のアリール基;ハロゲン原子;ハロゲノアルキル基;ハロゲノアルコキシ基である。
【0064】
以下、これら置換基の中でその構造が一義的に定まらない置換基について更に説明する。
【0065】
上記置換基としてのアルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基であるのが好ましい。好適なアルキル基を例示すると、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等を挙げることができる。
【0066】
前記置換基としてのシクロアルキル基は、炭素数3〜12のアルキル基であるのが好ましい。好適なシクロアルキル基を例示すると、シクロプロピル基、シクロブチル、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。
【0067】
前記置換もしくは非置換の脂環式炭化水素基としては、R1における置換もしくは非置換の脂環式炭化水素基と同じものが例示される。
置換もしくは非置換の複素環基としては、R1における置換もしくは非置換の複素環基と同じものの他、窒素原子をヘテロ原子として有し、該窒素原子に遊離原子価{前記2価の芳香族炭化水素基または2価の芳香族複素環基に結合するための未結合手(不対電子)を意味する。}をもつ置換もしくは非置換の複素環基、または該複素環基に芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環が縮合した縮合複素環基を挙げることができる。上記“窒素原子をヘテロ原子として有し、該窒素原子に遊離原子価をもつ置換若しくは非置換の複素環基、または該複素環基に芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環が縮合した縮合複素環基”において、該複素環基を構成する炭素原子の数は一般的には2〜10、特に2〜6であるのが好ましい。また、該複素環内には、遊離原子価をもつ窒素原子の他にさらにヘテロ原子が存在していてもよい。該ヘテロ原子は特に限定されないが、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が好適である。当該置換基として好適なものを例示すると、モルホリノ基、ピペリジノ基、ピロリジニル基、ピペラジノ基、N−メチルピペラジノ基、インドリニル基等を挙げることができる。
【0068】
前記置換基としてのアルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基であるのが好ましい。好適なアルコキシ基を具体的に例示すると、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等を挙げることができる。
【0069】
前記置換基としてのアラルキル基は、炭素数7〜11のアラルキル基であるのが好ましい。好適なアラルキル基を例示すると、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基等を挙げることができる。
【0070】
前記置換基としてのアラルコキシ基は、炭素数6〜10のアラルコシ基であるのが好ましい。好適なアラルコキシ基を具体的に例示すると、フェノキシ基、ナフトキシ基等を挙げることができる。
【0071】
前記置換基としての置換アミノ基は、アルキル基またはアリール基が置換したアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基が好適である。好適な置換アミノ基を具体的に例示すると、メチルアミノ基、エチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基等を挙げることできる。
【0072】
前記置換基としての非置換アリール基は、炭素数6〜10の非置換芳香族炭化水素基であるのが好ましい。好適なアリール基を例示すると、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。
【0073】
前記置換基としての置換アリール基は、上記非置換アリール基の1もしくは2以上の水素原子が、上述と同様のアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アリール基、後述する窒素原子をヘテロ原子として有し、該窒素原子で基礎となる基に結合する置換もしくは非置換の複素環基、または該複素環基に芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環が縮合した縮合複素環基等の置換基で置換された置換アリール基であるのが好適である。
【0074】
前記置換基としてのハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を挙げることができる。
【0075】
前記置換基としてのハロゲノアルキル基は、上述のアルキル基の1または2以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子あるいは臭素原子で置換されたものである。ハロゲノアルキル基として好適なものを例示すると、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等を挙げることができる。
【0076】
前記置換基としてのハロゲノアルコキシ基は、上述のアルコキシ基の1または2以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、あるいは臭素原子で置換されたものである。ハロゲノアルコキシ基として特に好適なものを例示すると、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基等を挙げることができる。
【0077】
また、前記式(1)におけるR3の数を表すmは1〜6の整数であり、R4の数を表すnは0〜5の整数である。
【0078】
前記式(1)で示されるピラン化合物の中でも発色濃度が高く、耐久性も高いという理由から、下記式下記式(5)〜(8)の何れかの式で表されるピラン化合物が好適である。
【0079】
【化18】
【0080】
{式中、R8、R9、R10、R11、a及びbは、それぞれ前記式(1)におけるR1、R2、R3、R4、m及びnと同義である。}
【0081】
【化19】
【0082】
{式中、R8、R9、R10、R11、a及びbは、それぞれ前記式(1)におけるR1、R2、R3、R4、m及びnと同義である。}
【0083】
【化20】
【0084】
{式中、
R8及びR9は、それぞれ前記式(1)におけるR1及びR2と同義であり、
R12及びR14は、それぞれ前記式(1)におけるR3と同義であり、
R13、及びR15は、それぞれ前記式(1)におけるR4と同義であり、
R16及びR17それぞれ水素原子であるか又は前記式(1)におけるR4と同義の基であるか又はR16とR17とが一緒になって、オキソ基(−O−基)、置換もしくは非置換の2価の脂肪族炭化水素環、置換もしく非置換の2価の芳香族炭化水素環を形成する基であり、
c及びc’は、0又は正の整数であり、c及びc’の合計は1〜6であり、
d及びd’は、0又は正の整数であり、R16及びR17が共に前記式(1)におけるR4と同義の基である場合にはd及びd’の合計は0〜3であり、R16とR17のどちらか一方が前記式(1)におけるR4と同義の基である場合にはd及びd’の合計は0〜4であり、R16及びR17が共に前記式(1)におけるR4と同義の基でない場合にはd及びd’の合計は0〜5である。}
なお、R16とR17とが一緒になって形成する置換もしくは非置換の2価の脂肪族炭化水素環及び置換もしく非置換の2価の芳香族炭化水素環を形成する基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシレン基、シクロトリデシレン基、シクロペンタドデシレン基等の炭素数3〜20の単環式肪族炭化水素環基;ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、ビシクロ[3.2.0]へプチル基、ビシクロ[3.1.1]へプチル基、ビシクロ[3.2.2]オクチル基等の炭素数6〜20の肪族炭化水素環集合基;フルレニル基、フェナンスリレン基等のベンゼン環が2〜4個縮環した芳香族炭化水素環基を挙げることができる。なお、これらの環は前記したような置換基を有していてもよい。
【0085】
【化21】
【0086】
{式中、
下記式
【0087】
【化22】
【0088】
で示される基は、置換もしくは非置換の2価の脂肪族炭化水素環、または置換もしくは非置換の2価の複素環基であり、
R8及びR9は、それぞれ前記式(1)におけるR1及びR2と同義であり、
R12及びR14は、それぞれ前記式(1)におけるR3と同義であり、
R13、及びR15それぞれ前記式(1)におけるR4と同義であり、
R18及びR19それぞれ水素原子であるか又は前記式(1)におけるR4と同義の基であり、
c及びc’は、0又は正の整数であり、c及びc’の合計は1〜6であり、
d及びd’は、0又は正の整数であり、R18及びR19が共に前記式(1)におけるR4と同義の基である場合にはd及びd’の合計は0〜3であり、R18とR19のどちらか一方が前記式(1)におけるR4と同義の基である場合にはd及びd’の合計は0〜4であり、R18及びR19が共に前記式(1)におけるR4と同義の基でない場合にはd及びd’の合計は0〜5である。}
本発明のピラン化合物の中でも、退色速度、耐久性の点から、下記式(9)〜(12)で示されるピラン化合物であるのが好適である。
【0089】
【化23】
【0090】
【化24】
【0091】
【化25】
【0092】
【化26】
【0093】
本発明の前記一般式(1)で示される化合物は、一般に常温常圧で無色、あるいは淡黄〜淡緑色の固体または粘稠な液体として存在し、次の(イ)〜(ハ)のような手段で確認できる。
【0094】
(イ)プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)を測定することにより、δ0.0〜1.5付近にSi原子に結合した、メチル基またはメチレンのプロトンに基づくピークが、δ1.5〜3.0付近に置換アルキル基のプロトンに基づくピークが、δ5.0〜9.0ppm付近にアロマティックなプロトンおよびアルケンのプロトンに基づくピークが現れる。また、それぞれのスペクトル強度を相対的に比較することにより、それぞれの結合基のプロトンの個数を知ることができる。
【0095】
(ロ)元素分析によって相対する生成物の組成を決定することができる。
【0096】
本発明の一般式(1)で示されるピラン化合物の製造方法は、特に限定されずいかなる合成法によって得てもよいが、好適に採用される製造方法は、以下の通りである。
【0097】
即ち、先ず、下記一般式(13)
【0098】
【化27】
【0099】
{式中、R3、およびR4は、前記一般式(1)における定義と同義であり、Zは、ハロゲン原子を示す。}
で示される、ナフトール誘導体と下記一般式(14)
【0100】
【化28】
【0101】
{式中、R1、およびR2は、前記一般式(2)における定義と同義である。}
で示されるプロパギルアルコール誘導体を酸触媒存在下で反応させることにより下記一般式(15)
【0102】
【化29】
【0103】
{式中、R1、R2、R3およびR4は、前記一般式(1)における定義と同義であり、Zは、ハロゲン原子を示す。}
で示されるピラン化合物を製造し、次いで該ピラン化合物と、下記一般式(16)
【0104】
【化30】
【0105】
{式中、R5、R6、およびR7は、前記一般式(3)における定義と同義であり、Zは、ハロゲン原子を示す。}
で示される、ハロシラン誘導体または、下記一般式(17)
【0106】
【化31】
【0107】
{式中、R、およびp、oは前記一般式(4)における定義と同義であり、Zは、ハロゲン原子を示す。}
で示されるハロシロキサン誘導体とをアルキルリチウム等の塩基またはリチウム等金属化合物の存在下反応させることにより好適に製造することが出来る。
【0108】
前記式(13)で示されるナフトール誘導体と前記式(14)で示されるプロパギルアルコール誘導体との酸触媒存在下での反応条件は特に限定されないが、好適な反応条件は次に示す通りである。即ち、前記式(13)で示されるナフトール誘導体におけるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、よう素が挙げられるが、反応性の点から、臭素、ヨウ素であるのが好ましい。これら2種の化合物の反応比率は、一般には1:10〜10:1(モル比)の範囲から選択される。また、酸触媒としては硫酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンベンゼンスルホン酸、酸性アルミナ等が用いられ、上記両化合物(反応基質)の総和に対して0.1〜10重量部の範囲で用いられる。また、反応温度は、通常0〜200℃が好ましく、溶媒としては、非プロトン性有機溶媒、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン等が使用される。
【0109】
上記式(15)で示されるピラン化合物と、上記式(16)又は(17)で示される、ハロシラン誘導体又はハロシロキサン誘導体との塩基又は金属化合物の存在下での反応条件は特に限定されないが、好適な反応条件は次に示す通りである。すなわち、これら2種の一般には1:10〜10:1(モル比)の範囲から選択される。上記式(16)又は(17)で示される、ハロシラン誘導体又はハロシロキサン誘導体のZにおけるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、よう素が挙げられるが、反応性の点から、および原料の入手が容易な点から、塩素、臭素であるのが好ましい。また、塩基としてはn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム等の有機リチウム化合物が用いられ、金属化合物としては、リチウム、マグネシウム等が用いられ、上記両化合物(反応基質)の総和に対して0.1〜10重量部の範囲で用いられる。また、反応温度は、通常−100〜100℃が好ましく、溶媒としては、非プロトン性有機溶媒、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン等が使用される。
【0110】
本発明のピラン化合物は、トルエン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等の一般の有機溶媒によく溶解する。このような溶媒に本発明のピラン化合物を溶解したときに得られる溶液は一般的にはほぼ無色透明であり、太陽光あるいは紫外線を照射すると速やかに発色し、光を遮断すると速やかに元の無色に戻る良好な可逆的なフォトクロミック作用を呈する。また、本発明のピラン化合物は、高分子固体マトリックス中でも同様なフォトクロミック特性を示す。このとき使用できる高分子固体マトリックスは、本発明のピラン化合物を均一に分散するものであれば特に限定されないが、サングラス等の光学材料として使用する場合には、その光学特性が良好であることから、下記(a)〜(c)に示すものを用いるのが好適である。
【0111】
(a)ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂。
【0112】
(b)エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコレートジメタクリレート、エチレングリコールビスグリシジルメタクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン等の多価アクリル酸および多価メタクリル酸エステル化合物;ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルイソフタレート、酒石酸ジアリル、エポキシコハク酸ジアリル、ジアリルフマレート、クロレンド酸ジアリル、ヘキサフタル酸ジアリル、ジアリルカーボネート、アリルジグリコールカーボネート、トリメチロールプロパントリアリルカーボネート等の多価アリル化合物;1,2−ビス(メタクリロイルチオ)エタン、ビス(2−アクリロイルチオエチル)エーテル、1,4−ビス(メタクリロイルチオメチル)ベンゼン等の多価チオアクリル酸および多価チオメタクリル酸エステル化合物;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、β−メチルグリシジルメタクリレート、ビスフェノールAモノグリシジルエーテル−メタクリレート、4−グリシジルオキシメタクリレート、3−(グリシジル−2−オキシエトキシ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−(グリシジルオキシ−1−イソプロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−グリシジルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート等のアクリル酸エステル化合物およびメタクリル酸エステル化合物;ジビニルベンゼン等のラジカル重合性多官能単量体を重合してなる熱硬化性樹脂。
【0113】
(c)上記した各単量体とアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等のアクリル酸およびメタクリル酸エステル化合物;フマル酸ジエチル、フマル酸ジフェニル等のフマル酸エステル化合物;メチルチオアクリレート、ベンジルチオアクリレート、ベンジルチオメタクリレート等のチオアクリル酸およびチオメタクリル酸エステル化合物;スチレン、クロロスチレン、メチルスチレン、ビニルナフタレン、α−メチルスチレンダイマー、ブロモスチレン等のビニル化合物等のラジカル重合性単官能単量体との共重合体。
【0114】
本発明のピラン化合物を上記高分子固体マトリックス中へ分散させる方法は特に制限はなく、そのような目的で一般的に採用される手法を用いることができる。例えば上記熱可塑性樹脂とピラン化合物を溶融状態にて混練し、樹脂中に分散させる方法、または上記重合性単量体にピラン化合物を溶解させた後、重合触媒を加え熱または光にて重合させ樹脂中に分散させる方法、あるいは上記熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂の表面にピラン化合物を染色することにより樹脂中に分散させる方法等をあげることができる。
【0115】
本発明のピラン化合物はフォトクロミック材として広範囲に利用でき、例えば銀塩感光材に代わる各種の記憶材料、複写材料、印刷用感光体、陰極線管用記憶材料、レーザー用感光材料、ホログラフィー用感光材料など種々の記憶材料として利用できる。その他、本発明のピラン化合物を用いたフォトクロミック材は、フォトクロミックレンズ材料、光学フィルター材料、ディスプレー材料、光量計、装飾などの材料としても利用できる。例えば、フォトクロミックレンズに使用する場合には、均一な調光性能が得られる方法であれば特に制限がなく、具体的に例示するならば、本発明のフォトクロミック材を均一に分散してなるポリマーフィルムをレンズ中にサンドウィッチする方法、あるいは本発明のピラン化合物を前記の重合性単量体中に分散させ、所定の手法により重合する方法、あるいは、この化合物を例えばシリコーンオイル中に溶解して150〜200℃で10〜60分かけてレンズ表面に含浸させ、さらにその表面を硬化性物質で被覆し、フォトクロミックレンズにする方法などがある。さらに、上記ポリマーフィルムをレンズ表面に塗布し、その表面を硬化性物質で被覆し、フォトクロミックレンズにする方法などもある。または、上記重合性単量体にピラン化合物を溶解させ、重合触媒を加えた混合物をレンズ表面に塗布し、光または熱で硬化させる方法等も挙げられる。
【0116】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0117】
実施例1
6−ブロモ−2−ナフトール2.0g(8.97mmol)と、下記のプロパルギルアルコール誘導体
【0118】
【化32】
【0119】
2.8g(13.5mmol)とをトルエン20mLに溶解し、さらにp−トルエンスルホン酸を0.05g加えて還流温度で1時間攪拌した。冷却後、5%水酸化ナトリウム水溶液15mlを加えて有機層を抽出した後、溶媒を減圧留去し、残渣をメタノールにて結晶化することで白色固体2.8gを得た。収率は76%であった。得られた白色固体300mg(0.726mmol)を乾燥ジメチルエーテル10mlに溶解させ、氷冷下0℃に冷却した後n−ブチルリチウムの1.6mol/lヘキサン溶液0.5ml(n−ブチルリチウムとして0.8mmol)を滴下した。0℃で30分反応させた後、トリフェニルシリルクロリド236mg(0.8mmol)のトルエン溶液を滴下した。滴下後0℃で1時間反応させた後、室温で2時間反応させた。反応終了後、イオン交換水10mlを加えて反応を停止させた。有機層を抽出し、溶媒を減圧留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、白色固体182mgを得た。収率は37%であった。
【0120】
この生成物の元素分析値は、C87.10%、H5.48%、O2.72%であって、C43H32OSiの計算値であるC87.12%、H5.44%、O2.70%に極めて良く一致した。また、1H−核磁気共鳴スペクトルを測定したところ、σ5.6〜σ9.0ppm付近にアロマティックなプロトンおよびアルケンのピークに基づく18Hのピークを示した。さらに、13C−核磁気共鳴スペクトルを測定したところ、σ110〜160ppm付近に芳香環の炭素に基づくピークを示した。
【0121】
上記の結果から単離生成物は、下記構造式で示される化合物である事ことを確認した。なお、図1として、得られた化合物の1H−核磁気共鳴スペクトルを示した。
【0122】
【化33】
【0123】
実施例2〜10
実施例1と同様にして表1〜3に示したピラン化合物とシラン化合物またはシロキサン化合物を用いて表1〜3に示すピラン化合物を合成した。得られた生成物について、実施例1と同様な構造確認の手段を用いて構造解析した結果、表1〜表3に示す構造式で示される構造式で示される化合物であることを確認した。また、表4にこれらの化合物の元素分析値および各化合物の構造式から求めた計算値を示した。
【0124】
【表1】
【0125】
【表2】
【0126】
【表3】
【0127】
【表4】
【0128】
実施例11〜20
実施例1で得られたピラン化合物0.04重量部をテトラエチレングリコールジメタクリレート13重量部、2,2−ビス[4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン48重量部、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル2重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート20重量部、グリシジルメタクリレート9重量部に添加し、さらに重合開始剤として、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサネート1重量部を加えて十分に混合した。この混合液をガラス板とエチレン−酢酸ビニル共重合体からなるガスケットで構成された鋳型の中に注入し、注型重合を行った。重合は空気炉を用い、30℃〜90℃で18時間かけ徐々に温度を上げ、90℃で2時間保持した。重合終了後、重合体を鋳型のガラス型から取り外した。
【0129】
得られた重合体(厚さ2mm)を試料とし、これに浜松ホトニクス製のキセノンランプL−2480(300W)SHL−100をエアロマスフィルター(コーニング社製)を介して20℃±1℃、重合体表面でのビーム強度2.4mW/cm2(365nm)、24μW/cm2(245nm)で120秒間照射して発色させ、前記資料のフォトクロミック特性を測定した。フォトクロミック特性は次のようなもので評価した。
【0130】
▲1▼ 極大吸収波長(λmax):(株)大塚電子工業製の分光光度計(瞬間マルチチャンネルフォトディテクターMCPD1000)により求めた発色後の極大吸収波長である。該極大吸収波長は、発色時の色調に関係する。
【0131】
▲2▼ 発色濃度{ε(120)−ε(0)}:前記極大吸収波長における、120秒間光照射した後の吸光度ε(120)と光未照射状態の吸光度ε(0)との差。この値が高いほどフォトクロミック性が優れているといえる。
【0132】
▲3▼ 退色速度{t1/2(min.)}:120秒間光照射後、光の照射を止めたときに、試料の前記極大吸収波長における吸光度が{ε(120)−ε(0)}の半分まで低下するのに要する時間。この時間が短いほどフォトクロミック性が優れているといえる。
【0133】
▲4▼ 初期着色:光未照射における、極大吸収波長の吸光度。この数値が低いほど初期着色が小さいといえる。
【0134】
▲5▼ 黄色着色度(YI):スガ試験機(株)製の色差計(SM−4)を用いて着色度を測定した。前項と同様、YIが小さいほど光未照射時の着色が少なく、優れているといえる。
【0135】
▲6▼ 劣化促進実験後の黄色着色度変化度(ΔYI):光照射による発色の耐久性を評価するために次の劣化促進試験を行った。すなわち、得られた重合体(試料)をスガ試験機(株)製キセノンフェザーメーターX25により200時間促進劣化させた。その後、黄色着色度(YI200)を測定し、試験前のYIとの差、(YI200−YI)の値を黄色着色度変化(ΔYI)とし、耐久性の指標とした。この値が小さいほど、耐久性が高く、かつ劣化時の着色が小さいといえる。
【0136】
また、ピラン化合物、およびシラン化合物またはシロキサン化合物として実施例2〜10で得られた化合物を用いた以外は上記と同様にしてフォトクロミック重合体を得、その特性を評価した。その結果をまとめて表5に示した。
【0137】
【表5】
【0138】
さらに比較のために、下記式(A)、(B)、(C)および(D)
【0139】
【化34】
【0140】
【化35】
【0141】
【化36】
【0142】
【化37】
【0143】
で示される従来のピラン化合物を用い同様にしてフォトクロミック重合体を得、その特性を評価した。その結果を表6に示した。
【0144】
【表6】
【0145】
表5及び表6に示される結果の対比から、従来のピラン化合物対し、本発明のピラン化合物では従来のピラン化合物の上記優れた特長に加えて、更に初期着色が少なく耐久性が向上していることが分かる。
【0146】
【発明の効果】
本発明のピラン化合物は、溶液中または高分子固体マトリックス中で、速い退色速度を示す。さらに光未照射状態での着色時の着色が少なく、フォトクロミック性の耐久性もよい。例えば、本発明のピラン化合物を用いたフォトクロミックレンズは、屋外から室内に戻った時にすばやく元の色調に戻り、さらに長時間使用したときでも良好な耐久性を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本図は、実施例1の化合物の1H―NMRスペクトルである。
Claims (4)
- 下記式(1)
R1およびR2は、それぞれ独立に、アルキル基、置換もしくは非置換の脂環式炭化水素基、置換もしくは非置換のアリール基、或いは置換もしくは非置換の複素環基であるか、又はR1とR2とが互いに結合して環を形成する基であり、
R3は、下記式(3)
で示されるシリル基または、下記式(4)
で示されるシロキシル基であり、
R4は、ヒドロキシル基、アルキル基、シクロアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式炭化水素基、置換もしくは非置換の複素環基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、置換もしく非置換のアミノ基、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは非置換のアリール基、ハロゲン原子、ハロゲノアルキル基、ハロゲノアルコキシ基であり、
mは1〜6の整数であり、nは0〜5の整数である。}
で示されるピラン化合物。 - 下記式(5)〜(8)の何れかの式で表される請求項1記載のピラン化合物。
R8及びR9は、それぞれ前記式(1)におけるR1及びR2と同義であり、
R12及びR14は、それぞれ前記式(1)におけるR3と同義であり、
R13、及びR15は、それぞれ前記式(1)におけるR4と同義であり、
R16及びR17それぞれ水素原子であるか又は前記式(1)におけるR4と同義の基であるか又はR16とR17とが一緒になって、オキソ基、置換もしくは非置換の2価の脂肪族炭化水素環、置換もしく非置換の2価の芳香族炭化水素環を形成する基であり、
c及びc’は、0又は正の整数であり、c及びc’の合計は1〜6であり、
d及びd’は、0又は正の整数であり、R16及びR17が共に前記式(1)におけるR4と同義の基である場合にはd及びd’の合計は0〜3であり、R16とR17のどちらか一方が前記式(1)におけるR4と同義の基である場合にはd及びd’の合計は0〜4であり、R16及びR17が共に前記式(1)におけるR4と同義の基でない場合にはd及びd’の合計は0〜5である。}
下記式
R8及びR9は、それぞれ前記式(1)におけるR1及びR2と同義であり、
R12及びR14は、それぞれ前記式(1)におけるR3と同義であり、
R13、及びR15それぞれ前記式(1)におけるR4と同義であり、
R18及びR19それぞれ水素原子であるか又は前記式(1)におけるR4と同義の基であり、
c及びc’は、0又は正の整数であり、c及びc’の合計は1〜6であり、
d及びd’は、0又は正の整数であり、R18及びR19が共に前記式(1)におけるR4と同義の基である場合にはd及びd’の合計は0〜3であり、R18とR19のどちらか一方が前記式(1)におけるR4と同義の基である場合にはd及びd’の合計は0〜4であり、R18及びR19が共に前記式(1)におけるR4と同義の基でない場合にはd及びd’の合計は0〜5である。} - 請求項1又は2に記載のピラン化合物からなるフォトクロミック材。
- 請求項1又は2に記載のピラン化合物を含有してなるフォトクロミック光学物品。
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