JP2002333478A - カラー線量計及びフォトクロミック化合物 - Google Patents

カラー線量計及びフォトクロミック化合物

Info

Publication number
JP2002333478A
JP2002333478A JP2002027001D JP2002027001D JP2002333478A JP 2002333478 A JP2002333478 A JP 2002333478A JP 2002027001 D JP2002027001 D JP 2002027001D JP 2002027001 D JP2002027001 D JP 2002027001D JP 2002333478 A JP2002333478 A JP 2002333478A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
compound
color
ring
photochromic compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002027001D
Other languages
English (en)
Inventor
Masahiro Irie
正浩 入江
Setsuko Irie
せつ子 入江
Yuki Tanaka
由紀 田中
Shuichi Maeda
修一 前田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from JP2001060382A external-priority patent/JP4025920B2/ja
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Publication of JP2002333478A publication Critical patent/JP2002333478A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 開環量子収率が著しく小さく、環境光による
退色の問題のないフォトクロミック化合物を用いた実用
的なカラー線量計と、このようなカラー線量計に好適な
フォトクロミック化合物を提供する。 【解決手段】 開環量子収率が10−3以下であるフォ
トクロミック化合物を用いたカラー線量計。ジヘテロア
リールエテン系化合物よりなるフォトクロミック化合
物。このジヘテロアリールエテン系化合物は、ヘテロア
リール基にアルコキシ基とアリール基を有する。 【化19】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、開環量子収率が著
しく小さく、環境光に対する表示の耐久性に優れたフォ
トクロミック化合物を使用したカラー線量計と、このカ
ラー線量計に好適なフォトクロミック化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】医療器具の放射線滅菌或いは放射線廃棄
物の管理等の分野において、カラー線量計が使われてい
る。カラー線量計は、視認性の高い色彩(例えば赤系の
色彩)を指標として用いることにより、放射線の線量を
簡便に評価することが可能な機器である。
【0003】こうしたカラー線量計としては、従来、メ
チルイエローなどのpHインジケータを用いて、放射線
反応に伴う酸発生による変色を使用した技術(山上他、
Chem.Express 5,809(1990))
などが知られている。
【0004】しかし、このようなpHインジケータを用
いたカラー線量計は、通常、大線量(約5000グレイ
(Gy)以上)でのみ使用可能であり、線量の低い領域
では変色しないために使用できない。また、一回のみ使
用可能であって、再使用できないものが多い。
【0005】そこで、こうした点を改善する技術とし
て、フォトクロミック分子を利用したカラー線量計が検
討されている。
【0006】フォトクロミック分子とは、光の作用によ
り色彩の異なる2種類の異性体を可逆的に生成する分子
であり、調光レンズ,光メモリ,光スイッチなどへの応
用を目指して研究開発が続けられている。フォトクロミ
ック分子の中には、光のみならず放射線照射によっても
可逆的に変色するものがあり、このようなフォトクロミ
ック分子であればカラー線量計への応用が可能である。
【0007】しかし、従来のフォトクロミック分子は、
いずれも放射線によって生成する異性体(変色体)が熱
的に不安定であり、暗黒中に保持しても自然に放射線照
射前の異性体に戻ってしまうため、放射線の線量測定の
ために、生成した変色体の濃度を正確に計測することが
できず、カラー線量計への応用が困難であった。
【0008】こうした背景を踏まえて、特開平11−2
58348号公報には、例えば以下の化学式(II)で表
される熱不可逆性のジアリールエテン系フォトクロミッ
ク化合物(以下、「化合物(II)」という。)を用いた
カラー線量計が提案されている(化学式(II)におい
て、Meはメチル基)。
【0009】
【化5】
【0010】ところで、フォトクロミック化合物を使用
したカラー線量計のもう一つの課題として、環境光に対
する表示の耐久性が挙げられる。
【0011】即ち、フォトクロミック化合物を用いたカ
ラー線量計では、紫外線等に曝されることにより該化合
物の閉環反応が生じて感光部分が変色し、可視光波長の
光を照射することにより該化合物の開環反応が生じて感
光部分が元の色に戻ることを利用して、紫外線等の検出
を行う。しかし、室内光などの環境光に含まれる可視光
波長の光により閉環体が開環反応を起こして退色してし
まうような化合物では、紫外線等を検知して変色した部
分の測定を行う前に該変色部分が消滅してしまい、カラ
ー線量計として実用に供し得ない。
【0012】通常、化合物(II)のようなジアリールエ
テン系化合物の閉環体における開環反応時の量子収率
(以下、「開環量子収率」と称す。)は10−2程度で
あり、この程度の開環量子収率では、閉環体は室内の蛍
光灯の光により、数時間後にはほぼ完全に消滅してしま
う。
【0013】特開平3−261782号公報には、以下
に示すような、閉環/開環反応に関与する2ヵ所の反応
部位に共にメトキシ基を有するジヘテロアリールエテン
系フォトクロミック化合物(以下「化合物(III)」と
いう。)が提案されている。
【0014】
【化6】
【0015】しかしながら、上記化合物(III)は、ヘ
テロアリール部分にベンゾチオフェン環を有しており、
結晶状態における閉環反応時の量子収率が低い。また、
この化合物(III)は比較的結晶性が高いため、例えば
線量計などへの応用に際し、前記化合物(III)を高濃
度に含有する膜を形成した場合には、膜中で結晶化する
ことが予想される。また、線量計を作成する際に、微結
晶を適当なバインダ樹脂等に分散した膜を形成すること
も考えられるが、このような場合、結晶状態における閉
環反応時の量子収率が低い前記化合物(III)を用いる
と、線量計の感度が不十分になることが予想され、また
室内光などの環境光により表示が消失する虞がある。
【0016】このようなことから、少光量の可視光では
開環体を生成しないという性質を備えたフォトクロミッ
ク化合物を用いたカラー線量計の開発が求められてい
た。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の実
情に鑑みてなされたものであって、開環量子収率が著し
く小さく、環境光による退色の問題のないフォトクロミ
ック化合物を用いた実用的なカラー線量計と、このよう
なカラー線量計に好適なフォトクロミック化合物を提供
することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明のカラー線量計
は、開環量子収率が10−3以下であるフォトクロミッ
ク化合物を用いたものである。
【0019】このように、開環量子収率が著しく小さい
フォトクロミック化合物を用いることにより、環境光に
対する表示の耐久性に優れた実用的なカラー線量計が提
供される。
【0020】本発明のフォトクロミック化合物は、下記
一般式[I]で表されるジヘテロアリールエテン系化合
物よりなる。
【0021】
【化7】 (一般式[I]において、Aは下記置換基[i]又は[ii]
を表わし、Bは下記置換基[iii]又は[iv]を表わす。)
【0022】
【化8】 (置換基[i]及び[ii]において、Rはアルコキシ
基を表わし、Rは−Q−Ar(Qは直接結合又は任意
の2価の基を表し、Arは置換されていてもよい芳香族
炭化水素環又は芳香族複素環を表す。)を表し、R
水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、
フッ化アルキル基、シアノ基又は置換されていてもよい
アリール基を表し、Yは−O−又は−S−を表す。置換
基[iii]及び[iv]において、Rはアルコキシ基を
表わし、Rは−Q−Ar(Qは直接結合又は任意の2
価の基を表し、Arは置換されていてもよい芳香族炭化
水素環又は芳香族複素環を表す。)を表し、Rは水素
原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、フッ
化アルキル基、シアノ基又は置換されていてもよいアリ
ール基を表し、Zは−O−又は−S−を表わす。)
【0023】このようなフォトクロミック化合物であれ
ば、開環量子収率10−3以下を実現することが可能で
あり、このフォトクロミック化合物は、本発明のカラー
線量計のフォトクロミック化合物として好適である。
【0024】即ち、本発明者らは、ジヘテロアリールエ
テン系フォトクロミック化合物の開環量子収率をより一
層低減するべく、ジヘテロアリールエテン系化合物の置
換基の種類やその置換位置について鋭意検討を重ねた結
果、ジヘテロアリールエテン系化合物のヘテロアリール
基にアルコキシ基と、置換されていてもよい芳香族炭化
水素環又は芳香族複素環、特にアリール基、とを併せて
導入することが有効であることを見出した。
【0025】このような本発明のフォトクロミック化合
物であれば、開環量子収率10−3以下を実現すること
が可能である。
【0026】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
【0027】本発明のカラー線量計は、開環量子収率が
10−3以下のフォトクロミック化合物を用いることを
特徴とする。
【0028】このような化合物としては、例えば前記一
般式[I]で表されるジヘテロアリールエテン系フォト
クロミック化合物が挙げられる。
【0029】前記一般式[I]の置換基[i]〜[iv]
において、R及びRは各々独立に、例えばメトキシ
基、エトキシ基などの炭素数1〜3のアルコキシ基を表
し、好ましくはメトキシ基又はエトキシ基であり、より
好ましくはメトキシ基である。
【0030】R及びRは各々独立に−Q−Ar(Q
は直接結合又は任意の2価の基を表し、Arは置換され
ていてもよい芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表
す。)を表す。ジアリールエテン構造の両ヘテロアリー
ル環から置換基R及びRへと、共役が延びている構
造であることが好ましいため、式[I]におけるQは、
好ましくは直接結合、−(−CH=CH−)−(ポリ
エチレン基)(n=1〜5)、或いは−(−C≡C−)
−(ポリアセチレン基)(n=1〜5)であり、Ar
は好ましくは5員環又は6員環単環からなる基である
か、5員環及び/又は6員環が2〜3個、直接結合又は
縮合してなる基が好ましく、これらはいずれも置換され
ていてもよい。Arが置換基を有する場合、置換基とし
ては、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシ
ル基などの、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル
基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオ
キシ基などの、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルコ
キシ基;フッ素原子、塩素原子などのハロゲン原子;ト
リフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2−フ
ルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、パーフ
ルオロ−n−ヘキシル基、2−(パーフルオロブチル)
エチル基などの、炭素数1〜6の直鎖又は分岐のフッ化
アルキル基などが挙げられる。
【0031】なお、ジアリールエテン構造におけるヘテ
ロアリール環(構造[i]〜[iv]に示した−Y−又は
−Z−を含む複素環)とRやRとが同一平面を形成
している構造が好ましいため、Ar上の、式[I]で表
されるジアリールエテン構造のオルト位には比較的嵩の
低い基を有することが好ましい。
【0032】Arの具体例としては、次のようなものが
挙げられる。
【0033】
【化9】
【0034】
【化10】 (ただし、上記例示中では、各基における環構造の有し
うる置換基の記載を省略している。)
【0035】R,Rの好ましい具体例としては次の
ようなものが挙げられる。
【0036】
【化11】 (ただし、上記例示中では、各基における環構造の有し
うる置換基の記載を省略している。)
【0037】本発明では、R及びRのアルコキシ基
と共に、R及びRに上記Ar基を導入することによ
り、開環量子収率を飛躍的に低減することができる。
【0038】R及びRは各々独立に、例えば水素原
子;メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基など
の、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基;メト
キシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基な
どの、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルコキシ基;
フッ素原子、塩素原子などのハロゲン原子;トリフルオ
ロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2−フルオロエ
チル基、2,2−ジフルオロエチル基、パーフルオロ−
n−ヘキシル基、2−(パーフルオロブチル)エチル基
などの、炭素数1〜6の直鎖又は分岐のフッ化アルキル
基;シアノ基;フェニル基、トシル基などの、置換され
ていてもよいアリール基を表す。R及びRとして
は、比較的嵩の低い基が好ましく、特に直鎖のアルキル
基が好ましい。
【0039】このような本発明のジヘテロアリールエテ
ン系化合物としては、例えば次のようなものが例示され
る。
【0040】
【化12】
【0041】いずれの化合物においても、紫外線照射に
より閉環反応を生起して効率よく発色し、その色は室内
に置いておいても数時間で消失することはなく、長時間
安定に維持することができる。
【0042】このような本発明のフォトクロミック化合
物は、公知の種々の方法により製造可能である。
【0043】例えば、下記一般式(IV)で示されるシク
ロパーフルオロアルケン誘導体と、下記一般式(V)及
び(VI)で表されるチオフェン誘導体とを反応させる方
法、又は、下記一般式(VII)で示されるジケトン化合
物について、分子内の二つのカルボキシル基同士を、低
原子価チタンを用いて還元カップリングする方法などが
挙げられる。
【0044】
【化13】 (nは2〜5の整数)
【0045】
【化14】 (R1〜R6,Y,Zは前述の一般式[I]に同じ)
【0046】
【化15】 (R1〜R6,Y,Zは前述の一般式[I]に同じ)
【0047】なお、上記例では一般式[I]におけるA
が置換基[i]であり、Bが置換基[iii]である場合に
ついて説明したが、置換基[ii]及び/又は[iv]を有
する化合物についても同様に合成することができる。
【0048】このようなフォトクロミック化合物を溶液
とするか、或いは、フォトクロミック化合物を溶解又は
分散させてなる樹脂組成物を用いて高分子フィルムを作
成することにより、カラー線量計とすることができる。
得られたカラー線量計を放射線に曝露すると、線量に応
じて色調が変化する。この吸収、透過或いは反射スペク
トルを測定し、吸光度、透過率或いは反射率の変化量を
計測することにより、線量を見積もることができる。
【0049】本発明のフォトクロミック化合物を溶液と
して使用する場合、具体的には、フォトクロミック化合
物をベンゼン或いはトルエンなどの芳香族系溶媒に10
-5〜10mol/lの濃度となるように溶解して得られ
た溶液を線量計とすればよく、この溶液に放射線を照射
した後、可視光波長領域の光の吸収強度等を測定するこ
とにより、照射線量を見積もることができる。
【0050】本発明のフォトクロミック化合物を溶解又
は分散させてなる樹脂組成物から高分子フィルムを作成
して線量計とする場合、樹脂組成物に含まれる高分子と
しては、ポリスチレンなどの芳香族環を側鎖或いは主鎖
に含む高分子を用いることが好ましい。樹脂組成物中の
本発明のフォトクロミック化合物の割合は、高分子の重
量に対して0.1重量%以上特に1重量%以上で、50
重量%以下特に40重量%以下とすることが好ましい。
この割合が0.1重量%に満たないとカラー線量計とし
ての効果が期待できず、50重量%を超えると高分子と
の相溶性に支障をきたす虞がある。
【0051】高分子フィルムは、本発明のフォトクロミ
ック化合物を溶解又は分散させた樹脂組成物を、有機溶
媒を用いて所望の濃度とし、キャスト法,スピンコート
法などの公知技術を用いて成膜加工することにより作成
することができる。ここで使用する有機溶媒としては、
高分子及び本発明のフォトクロミック化合物を共に溶解
するものであれば、特に限定されない。具体例として
は、デカリン,ベンゼン,トルエンなどの芳香族系溶
媒、ヘキサンなどの脂肪族系溶媒、テトラヒドロフラン
などのエーテル系溶媒、クロロホルムなどの塩素系溶媒
などが挙げられる。また、本発明のフォトクロミック化
合物を高分子に直接練り混んでもよい。更に、必要に応
じて、ナフタレン,アントラセン,クマリンなど、公知
の増感剤を添加してもよい。
【0052】本発明のカラー線量計は、紫外線のみなら
ず、いわゆる電離放射線の検出にも使用できる。
【0053】放射線とは広義には電波、遠赤外線、赤外
線、紫外線、可視光線、X線、γ線などを含む。電離放
射線とは、放射線が物質に入射すると、物質を作ってい
る原子と相互作用して電離、励起、反跳及び制動放射
(2次放射線)を起こすものであり、具体的にはX線、
γ線、α線、β線、中性子線、電子線などが挙げられ
る。
【0054】本発明のカラー線量計を、電離放射線検出
用とする場合には、検出用の放射線入射側に、波長10
〜400nmの光をカットする層を設けても良い。な
お、本発明において、波長10〜400nmの光を「カ
ットする」とは、該波長領域の光透過率を5%以下、好
ましくは3%以下とすることを意味する。
【0055】このような層を設けることにより、いわゆ
る紫外線がカットされるため、検出すべき電離放射線に
よる表示以外に、環境光中などに含まれる紫外線により
化合物が反応することが防止され、線量検出の精度が向
上する。この目的のためには、波長400nmを超える
波長領域の光も多少カットしてもかまわないが、可視光
波長領域の光をカットすることにより、該層が着色する
ため、カラー線量計における表示部分の色変化が判別し
難くなる虞がある。好ましくは、多くのジアリールエテ
ン系フォトクロミック化合物に関し、開環体の最大吸収
波長が存在する波長230〜400nmの光をカットす
る層を設けることが好ましい。
【0056】波長10〜400nmの光をカットする層
の形成方法には特に制限はなく、カラー線量計の形態に
応じて、適宜形成すればよい。例えば、カラー線量計の
表面に、公知の紫外線吸収剤を含む組成物を塗布、乾
燥、硬化させることにより形成してもよく、また予め紫
外線吸収剤を含むフィルムを成形し、これを線量計の表
面に貼り付けても良い。
【0057】
【実施例】以下に、合成例、実施例及び比較例を挙げて
本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を
超えない限り、以下の実施例に限定されるものではな
い。
【0058】合成例1:1,2-ビス[2-メトキシ-5-フェ
ニル-3-チエニル]ペルフルオロシクロペンテンの合成 (1-1)3,5-ジブロモ-2-メトキシチオフェンの合成
【化16】
【0059】四塩化炭素40 mlに2-メトキシチオフェン1
6 g(145 mmol)を加え、氷水浴下で撹拌しながらN-ブ
ロモスクシンイミド51 g(290 mmol)と四塩化炭素250
mlを徐々に加えた。水浴を外して終夜撹拌した後、氷水
浴で冷却し、吸引濾過により固形物を濾過した。濾液を
クロロホルムで抽出後、炭酸水素ナトリウム水溶液及び
水で順次洗浄した後乾燥した。この液体を減圧蒸留(b.
p =90 ℃、8 mmHg)で精製して3,5-ジブロモ-2-メトキ
シチオフェンを得た。収量は24.6 g、収率は62.3 %であ
った。
【0060】(1−2)3-ブロモ-2-メトキシ-5-フェニ
ルチオフェンの合成
【化17】
【0061】3,5-ジブロモ-2-メトキシチオフェン24 g
(90 mmol) にアルゴン雰囲気下で無水THF(テトラヒド
ロフラン)250 mlを加え、ドライアイス-メタノールで-
60 ℃以下とした。その後、15 % n-ブチルリチウムヘキ
サン溶液56 ml (95 mmol)をゆっくり滴下した。1時間
撹拌後、-60 ℃以下でホウ酸トリn-ブチル32 ml (12 mm
ol)をゆっくり滴下して2時間撹拌した。室温に戻し、2
0 wt % Na2CO3 90 ml、ヨードベンゼン6.4 g (90 mm
ol)、Pd (Ph3P)4 4.4 g (0.36 mmol)を加え、70℃で5
時間還流した。エーテルで抽出後、塩水で洗浄した後、
乾燥した。シリカゲルカラムを用いてヘキサンで展開分
離し、無色固体の3-ブロモ-2-メトキシ-5-フェニルチオ
フェンを得た。収量は4.90 g、収率は59.1 %であった。
【0062】(1-3)1,2-ビス[2-メトキシ-5-フェニ
ル-3-チエニル]ペルフルオロシクロペンテン(化合物
1)の合成
【化18】
【0063】3-ブロモ-2-メトキシ-5-フェニルチオフェ
ン14 g (52 mmol)にアルゴン雰囲気下で無水THF140 ml
を加え、ドライアイス-メタノール浴で-60 ℃以下に冷
却した。これに15 %n-ブチルリチウムヘキサン溶液36 m
l (57 mmol)をゆっくり滴下し、1時間撹拌した。次
に、無水THF 10 mlにペルフルオロシクロペンテン3.5 m
l(26 mmol)を加え、-60℃以下で徐々に滴下し2時間撹
拌した。メタノールを加え1N塩酸で洗浄し、エーテル
で抽出した。有機層を水で洗浄し、乾燥させた後、濃縮
した。シリカゲルカラムを用いてヘキサン:クロロホル
ム=9:1で展開分離し、化合物1を単離した。収量は
7.23 g、収率は50.3 %であった。1 H NMR (400 MHz, CDCl3,TMS) : δ 3.71 (s, 3H), 7.1
5 (s, 1H),7.2-7.5 (m, 5H), MSm/z = 522 (M+) Anal. Calcd for C27H18F6O2S2 : C=58.69, H=3.28 Found : C=58.87, H=3.29
【0064】実施例1 合成例1において合成した化合物1をヘキサンに溶解
し、313nm光を照射した所、溶液は青く着色し、吸
収極大は625nmに認められた(ε=1.5×10
−1cm−1)。この青色は、可視光を照射しても顕
著な消色は認められなかった。
【0065】(閉環反応量子収率測定手順) 化合物1と比較試料とした1,2−ビス(2−メチ
ル−5−フェニル−3−チエニル)ペルフルオロシクロ
ペンテン(化合物2)の開環体のヘキサン溶液をつく
り、波長309nm(化合物1の開環体の吸収極大波
長)での吸光度を0.2〜0.3の間で両者同じにそろ
えた。 吸収セルでの溶液の量を等しくした。 測定では閉環体の可視光波長領域における吸収極大
波長(化合物1 625nm,化合物2 575nm)
での吸光度変化を検出した。キセノンランプで化合物
1,2,リファレンスともに波長309nmの光を照射
して検出波長の吸光度が0〜0.02程度の範囲内で1
0点測定した。 時間に対する吸光度の変化をプロットし、その傾き
の比較から(化合物2の量子収率=0.59)化合物1
の閉環反応量子収率0.44を得た。
【0066】どの程度消色されにくいかの定量的測定
を、以下のように行った。 (開環反応量子収率測定の手順) 化合物1のヘキサン溶液をつくり、紫外光(波長4
92nm)照射して可視光波長領域における吸収極大波
長625nmの吸光度を0.5程度にした。キセノンラ
ンプで波長625nmの光を照射して、吸光度がおおよ
そ0.01程度変化する時間ごとに測定を行った。 比較試料としてはフルギドを用い、そのトルエン溶
液に対し、化合物1と同様に波長492nmの光を照射
して、492nmでの吸光度がおおよそ0.5から0.
2へ変化する範囲で数点測定した。 光量計を用いて波長625nmと492nmにおけ
る光量を測定した。 時間に対してlog(10−1)(Aは吸光度)
をプロットしてその傾きとでの光量の値による補正を
行うことで、相対量子収率を求めた。
【0067】その結果、消色反応(開環反応)の収率即
ち開環量子収率は<2×10−5と認められた。室内光
に3ヶ月間曝していても退色(開環反応)は認められな
かった。
【0068】実施例2 合成例1で得られた化合物1を0.1gと、ポリスチレ
ン(HF−77,M&A社製)0.9gとをトルエンに
溶解させた。この溶液を適当な型に流しこみ、乾燥させ
てフィルムを得た。
【0069】このフィルムに対して60Coを線源とし
て1000Gyのγ線を照射し、目視によって青色に着
色することを確認した。
【0070】着色したフィルムを、波長400nm以下
の紫外光をカットするボックスに入れて放置したが、1
週間以上たっても消色しなかった。
【0071】比較例1 特開平11−258348号公報の実施例1に記載の前
記ジアリールエテン系化合物(II)を用いて実施例2と
同様にしてフィルムを作成した。このフィルムに60
oを線源として1000Gyのγ線を照射し、赤色に着
色することを確認した。
【0072】着色したフィルムを、波長400nm以下
の紫外線をカットするボックスに入れて放置したとこ
ろ、1時間後には完全に消色していた。
【0073】この化合物(II)について、実施例1と同
様に開環量子収率を測定したところ、0.1という結果
であった。
【0074】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば、開
環量子収率が著しく小さく、環境光による退色の問題の
ないフォトクロミック化合物を用いて、環境光に対する
表示の耐久性に優れた実用性の高いカラー線量計と、こ
のようなカラー線量計に好適なフォトクロミック化合物
が提供される。
【0075】本発明のフォトクロミック化合物は、開環
量子収率が著しく小さく、環境光による退色の問題が殆
どなく、記録又は表示された情報の長期安定性に優れる
ため、カラー線量計のみならず、光メモリ媒体或いは光
表示材料、その他の新規光学素子への応用が期待され
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 入江 せつ子 大阪府堺市御池台3丁目22番6号 (72)発明者 田中 由紀 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社内 (72)発明者 前田 修一 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社内 Fターム(参考) 2G088 BB09

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 開環量子収率が10−3以下であるフォ
    トクロミック化合物を用いたカラー線量計。
  2. 【請求項2】 該線量計の光線入射側に、波長10〜4
    00nmの光をカットする層を有することを特徴とす
    る、請求項1に記載のカラー線量計。
  3. 【請求項3】 該フォトクロミック化合物が、下記一般
    式[I]で表されるジヘテロアリールエテン系化合物で
    ある、請求項1又は2に記載のカラー線量計。 【化1】 (一般式[I]において、Aは下記置換基[i]又は[ii]
    を表わし、Bは下記置換基[iii]又は[iv]を表わす。) 【化2】 (置換基[i]及び[ii]において、Rはアルコキシ
    基を表わし、Rは−Q−Ar(Qは直接結合又は任意
    の2価の基を表し、Arは置換されていてもよい芳香族
    炭化水素環又は芳香族複素環を表す。)を表し、R
    水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、
    フッ化アルキル基、シアノ基又は置換されていてもよい
    アリール基を表し、Yは−O−又は−S−を表す。置換
    基[iii]及び[iv]において、Rはアルコキシ基を
    表わし、Rは−Q−Ar(Qは直接結合又は任意の2
    価の基を表し、Arは置換されていてもよい芳香族炭化
    水素環又は芳香族複素環を表す。)を表し、Rは水素
    原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、フッ
    化アルキル基、シアノ基又は置換されていてもよいアリ
    ール基を表し、Zは−O−又は−S−を表わす。)
  4. 【請求項4】 下記一般式[I]で表されるジヘテロア
    リールエテン系化合物よりなるフォトクロミック化合
    物。 【化3】 (一般式[I]において、Aは下記置換基[i]又は[ii]
    を表わし、Bは下記置換基[iii]又は[iv]を表わす。) 【化4】 (置換基[i]及び[ii]において、Rはアルコキシ
    基を表わし、Rは−Q−Ar(Qは直接結合又は任意
    の2価の基を表し、Arは置換されていてもよい芳香族
    炭化水素環又は芳香族複素環を表す。)を表し、R
    水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、
    フッ化アルキル基、シアノ基又は置換されていてもよい
    アリール基を表し、Yは−O−又は−S−を表す。置換
    基[iii]及び[iv]において、Rはアルコキシ基を
    表わし、Rは−Q−Ar(Qは直接結合又は任意の2
    価の基を表し、Arは置換されていてもよい芳香族炭化
    水素環又は芳香族複素環を表す。)を表し、Rは水素
    原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、フッ
    化アルキル基、シアノ基又は置換されていてもよいアリ
    ール基を表し、Zは−O−又は−S−を表わす。)
JP2002027001D 2001-03-05 2002-02-04 カラー線量計及びフォトクロミック化合物 Pending JP2002333478A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001-60382 2001-03-05
JP2001060382A JP4025920B2 (ja) 2001-03-05 2001-03-05 フォトクロミック材料
JP2002027001A JP2004045037A (ja) 2001-03-05 2002-02-04 カラー線量計及びフォトクロミック化合物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002333478A true JP2002333478A (ja) 2002-11-22

Family

ID=26610633

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002027001D Pending JP2002333478A (ja) 2001-03-05 2002-02-04 カラー線量計及びフォトクロミック化合物
JP2002027001A Pending JP2004045037A (ja) 2001-03-05 2002-02-04 カラー線量計及びフォトクロミック化合物

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002027001A Pending JP2004045037A (ja) 2001-03-05 2002-02-04 カラー線量計及びフォトクロミック化合物

Country Status (1)

Country Link
JP (2) JP2002333478A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022014591A1 (ja) * 2020-07-17 2022-01-20 株式会社トクヤマ 硬化性組成物及びその硬化体

Families Citing this family (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4499443B2 (ja) * 2004-02-12 2010-07-07 パイロットインキ株式会社 装飾用貼着材における色彩記憶性光変色機能の互変的発現方法、及び互変的色彩記憶性光変色性装飾用貼着材
US7655366B2 (en) 2007-06-13 2010-02-02 Xerox Corporation Inkless reimageable printing paper and method
US7541119B2 (en) 2007-06-13 2009-06-02 Xerox Corporation Inkless reimageable printing paper and method
US7569316B2 (en) 2007-06-13 2009-08-04 Xerox Corporation Inkless reimageable printing paper and method
US7852366B2 (en) 2007-06-13 2010-12-14 Xerox Corporation System and method for printing reimageable transient documents
US7718325B2 (en) 2007-06-13 2010-05-18 Xerox Corporation Photochromic material, inkless reimageable printing paper, and methods
US7553603B2 (en) 2007-06-13 2009-06-30 Xerox Corporation Inkless printing paper and method
US7588878B2 (en) 2007-06-13 2009-09-15 Xerox Corporation Inkless printing paper and method
US7572560B2 (en) 2007-06-13 2009-08-11 Xerox Corporation Inkless reimageable printing paper and method
US7666558B2 (en) 2007-06-13 2010-02-23 Xerox Corporation Inkless reimageable printing paper and method
US7572569B2 (en) 2007-06-13 2009-08-11 Xerox Corporation Inkless printing paper and method
US7582398B2 (en) 2007-06-13 2009-09-01 Xerox Corporation Inkless reimageable printing paper and method
US7867672B2 (en) 2007-06-13 2011-01-11 Xerox Corporation Reimageable paper protected against UV light
US7645558B2 (en) 2007-06-13 2010-01-12 Xerox Corporation Inkless reimageable printing paper and method
US7678515B2 (en) * 2008-08-12 2010-03-16 Xerox Corporation Thermally gated photochromic medium
US7645560B1 (en) 2008-09-08 2010-01-12 Xerox Corporation Inkless reimageable printing paper and method
JP5416865B2 (ja) * 2009-06-08 2014-02-12 三菱樹脂株式会社 ポリエステルフィルム
WO2022209858A1 (ja) * 2021-03-31 2022-10-06 富士フイルム株式会社 紫外線感知部材、紫外線感知キット

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022014591A1 (ja) * 2020-07-17 2022-01-20 株式会社トクヤマ 硬化性組成物及びその硬化体
CN115702176A (zh) * 2020-07-17 2023-02-14 株式会社德山 固化性组合物及其固化体
CN115702176B (zh) * 2020-07-17 2024-05-03 株式会社德山 固化性组合物及其固化体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004045037A (ja) 2004-02-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2002333478A (ja) カラー線量計及びフォトクロミック化合物
JP4025920B2 (ja) フォトクロミック材料
JPH0742282B2 (ja) 新規化合物及びその製造方法
JPH11514669A (ja) 新規ホトクロミックインデノ縮合ナフトピラン
JP3138117B2 (ja) 新規化合物
Shrestha et al. Synthesis of novel thermally irreversible photochromic 1-aryl-1, 3-butadiene derivatives
JPH0269471A (ja) スピロピラン化合物及びその製造方法
JP2002309244A (ja) フォトクロミック材料およびこれを用いたカラー線量計
JP6284186B2 (ja) 放射線線量の測定方法およびその線量計
JP3526929B2 (ja) ペルフルオロシクロペンテン誘導体、フォトクロミック材料及び光記録媒体
JP2624343B2 (ja) クロメン化合物及びその製造方法
JP3952664B2 (ja) 感放射線組成物および線量計
JP3248768B2 (ja) スピロピラン化合物及びフォトクロミック材
JP2019151632A (ja) ジアリールエテン化合物、フォトクロミック材料、及び表示媒体
JPH07285931A (ja) 新規化合物
JP2000344693A (ja) ジアリールエテン系化合物及びフォトクロミック有機膜
JP2793714B2 (ja) ジアリールエテン系化合物及びその製造法
JP2006002069A (ja) メロシアニン色素共重合体及びその用途
JPH0559025A (ja) ジアリールエテン系化合物
KR101295435B1 (ko) 신규한 페난트로파이란 유도체 및 이를 포함하는 광변색염료
JP3479992B2 (ja) 鍵付フォトクロミック分子
JPH04112885A (ja) スピロピラン化合物及びその製造方法
JPH04257560A (ja) フォトクロミック化合物
JPH06199846A (ja) ジアリールエテン系化合物
JP2755523B2 (ja) スピロオキサジン化合物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040831

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20061124

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20061205

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070410