JP2004045037A - カラー線量計及びフォトクロミック化合物 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、開環量子収率が著しく小さく、環境光に対する表示の耐久性に優れたフォトクロミック化合物を使用したカラー線量計と、このカラー線量計に好適なフォトクロミック化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
医療器具の放射線滅菌或いは放射線廃棄物の管理等の分野において、カラー線量計が使われている。カラー線量計は、視認性の高い色彩(例えば赤系の色彩)を指標として用いることにより、放射線の線量を簡便に評価することが可能な機器である。
【0003】
こうしたカラー線量計としては、従来、メチルイエローなどのpHインジケータを用いて、放射線反応に伴う酸発生による変色を使用した技術(山上他、Chem.Express 5,809(1990))などが知られている。
【0004】
しかし、このようなpHインジケータを用いたカラー線量計は、通常、大線量(約5000グレイ(Gy)以上)でのみ使用可能であり、線量の低い領域では変色しないために使用できない。また、一回のみ使用可能であって、再使用できないものが多い。
【0005】
そこで、こうした点を改善する技術として、フォトクロミック分子を利用したカラー線量計が検討されている。
【0006】
フォトクロミック分子とは、光の作用により色彩の異なる2種類の異性体を可逆的に生成する分子であり、調光レンズ,光メモリ,光スイッチなどへの応用を目指して研究開発が続けられている。フォトクロミック分子の中には、光のみならず放射線照射によっても可逆的に変色するものがあり、このようなフォトクロミック分子であればカラー線量計への応用が可能である。
【0007】
しかし、従来のフォトクロミック分子は、いずれも放射線によって生成する異性体(変色体)が熱的に不安定であり、暗黒中に保持しても自然に放射線照射前の異性体に戻ってしまうため、放射線の線量測定のために、生成した変色体の濃度を正確に計測することができず、カラー線量計への応用が困難であった。
【0008】
こうした背景を踏まえて、特開平11−258348号公報には、例えば以下の化学式(II)で表される熱不可逆性のジアリールエテン系フォトクロミック化合物(以下、「化合物(II)」という。)を用いたカラー線量計が提案されている(化学式(II)において、Meはメチル基)。
【0009】
【化5】
【0010】
ところで、フォトクロミック化合物を使用したカラー線量計のもう一つの課題として、環境光に対する表示の耐久性が挙げられる。
【0011】
即ち、フォトクロミック化合物を用いたカラー線量計では、紫外線等に曝されることにより該化合物の閉環反応が生じて感光部分が変色し、可視光波長の光を照射することにより該化合物の開環反応が生じて感光部分が元の色に戻ることを利用して、紫外線等の検出を行う。しかし、室内光などの環境光に含まれる可視光波長の光により閉環体が開環反応を起こして退色してしまうような化合物では、紫外線等を検知して変色した部分の測定を行う前に該変色部分が消滅してしまい、カラー線量計として実用に供し得ない。
【0012】
通常、化合物(II)のようなジアリールエテン系化合物の閉環体における開環反応時の量子収率(以下、「開環量子収率」と称す。)は10−2程度であり、この程度の開環量子収率では、閉環体は室内の蛍光灯の光により、数時間後にはほぼ完全に消滅してしまう。
【0013】
特開平3−261782号公報には、以下に示すような、閉環/開環反応に関与する2ヵ所の反応部位に共にメトキシ基を有するジヘテロアリールエテン系フォトクロミック化合物(以下「化合物(III)」という。)が提案されている。
【0014】
【化6】
【0015】
しかしながら、上記化合物(III)は、ヘテロアリール部分にベンゾチオフェン環を有しており、結晶状態における閉環反応時の量子収率が低い。また、この化合物(III)は比較的結晶性が高いため、例えば線量計などへの応用に際し、前記化合物(III)を高濃度に含有する膜を形成した場合には、膜中で結晶化することが予想される。また、線量計を作成する際に、微結晶を適当なバインダ樹脂等に分散した膜を形成することも考えられるが、このような場合、結晶状態における閉環反応時の量子収率が低い前記化合物(III)を用いると、線量計の感度が不十分になることが予想され、また室内光などの環境光により表示が消失する虞がある。
【0016】
このようなことから、少光量の可視光では開環体を生成しないという性質を備えたフォトクロミック化合物を用いたカラー線量計の開発が求められていた。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、開環量子収率が著しく小さく、環境光による退色の問題のないフォトクロミック化合物を用いた実用的なカラー線量計と、このようなカラー線量計に好適なフォトクロミック化合物を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明のカラー線量計は、開環量子収率が10−3以下であるフォトクロミック化合物を用いたものである。
【0019】
このように、開環量子収率が著しく小さいフォトクロミック化合物を用いることにより、環境光に対する表示の耐久性に優れた実用的なカラー線量計が提供される。
【0020】
本発明のフォトクロミック化合物は、下記一般式[I]で表されるジヘテロアリールエテン系化合物よりなる。
【0021】
【化7】
(一般式[I]において、Aは下記置換基[i]又は[ii]を表わし、Bは下記置換基[iii]又は[iv]を表わす。)
【0022】
【化8】
(置換基[i]及び[ii]において、R1はアルコキシ基を表わし、R2は−Q−Ar(Qは直接結合又は任意の2価の基を表し、Arは置換されていてもよい芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。)を表し、R3は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、フッ化アルキル基、シアノ基又は置換されていてもよいアリール基を表し、Yは−O−又は−S−を表す。
置換基[iii]及び[iv]において、R4はアルコキシ基を表わし、R5は−Q−Ar(Qは直接結合又は任意の2価の基を表し、Arは置換されていてもよい芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。)を表し、R6は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、フッ化アルキル基、シアノ基又は置換されていてもよいアリール基を表し、Zは−O−又は−S−を表わす。)
【0023】
このようなフォトクロミック化合物であれば、開環量子収率10−3以下を実現することが可能であり、このフォトクロミック化合物は、本発明のカラー線量計のフォトクロミック化合物として好適である。
【0024】
即ち、本発明者らは、ジヘテロアリールエテン系フォトクロミック化合物の開環量子収率をより一層低減するべく、ジヘテロアリールエテン系化合物の置換基の種類やその置換位置について鋭意検討を重ねた結果、ジヘテロアリールエテン系化合物のヘテロアリール基にアルコキシ基と、置換されていてもよい芳香族炭化水素環又は芳香族複素環、特にアリール基、とを併せて導入することが有効であることを見出した。
【0025】
このような本発明のフォトクロミック化合物であれば、開環量子収率10−3以下を実現することが可能である。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0027】
本発明のカラー線量計は、開環量子収率が10−3以下のフォトクロミック化合物を用いることを特徴とする。
【0028】
このような化合物としては、例えば前記一般式[I]で表されるジヘテロアリールエテン系フォトクロミック化合物が挙げられる。
【0029】
前記一般式[I]の置換基[i]〜[iv]において、R1及びR4は各々独立に、例えばメトキシ基、エトキシ基などの炭素数1〜3のアルコキシ基を表し、好ましくはメトキシ基又はエトキシ基であり、より好ましくはメトキシ基である。
【0030】
R2及びR5は各々独立に−Q−Ar(Qは直接結合又は任意の2価の基を表し、Arは置換されていてもよい芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。)を表す。ジアリールエテン構造の両ヘテロアリール環から置換基R2及びR5へと、共役が延びている構造であることが好ましいため、式[I]におけるQは、好ましくは直接結合、−(−CH=CH−)n−(ポリエチレン基)(n=1〜5)、或いは−(−C≡C−)n−(ポリアセチレン基)(n=1〜5)であり、Arは好ましくは5員環又は6員環単環からなる基であるか、5員環及び/又は6員環が2〜3個、直接結合又は縮合してなる基が好ましく、これらはいずれも置換されていてもよい。Arが置換基を有する場合、置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基などの、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基などの、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子などのハロゲン原子;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2−フルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、パーフルオロ−n−ヘキシル基、2−(パーフルオロブチル)エチル基などの、炭素数1〜6の直鎖又は分岐のフッ化アルキル基などが挙げられる。
【0031】
なお、ジアリールエテン構造におけるヘテロアリール環(構造[i]〜[iv]に示した−Y−又は−Z−を含む複素環)とR2やR5とが同一平面を形成している構造が好ましいため、Ar上の、式[I]で表されるジアリールエテン構造のオルト位には比較的嵩の低い基を有することが好ましい。
【0032】
Arの具体例としては、次のようなものが挙げられる。
【0033】
【化9】
【0034】
【化10】
(ただし、上記例示中では、各基における環構造の有しうる置換基の記載を省略している。)
【0035】
R2,R5の好ましい具体例としては次のようなものが挙げられる。
【0036】
【化11】
(ただし、上記例示中では、各基における環構造の有しうる置換基の記載を省略している。)
【0037】
本発明では、R1及びR4のアルコキシ基と共に、R2及びR5に上記Ar基を導入することにより、開環量子収率を飛躍的に低減することができる。
【0038】
R3及びR6は各々独立に、例えば水素原子;メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基などの、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基などの、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子などのハロゲン原子;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2−フルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、パーフルオロ−n−ヘキシル基、2−(パーフルオロブチル)エチル基などの、炭素数1〜6の直鎖又は分岐のフッ化アルキル基;シアノ基;フェニル基、トシル基などの、置換されていてもよいアリール基を表す。R3及びR6としては、比較的嵩の低い基が好ましく、特に直鎖のアルキル基が好ましい。
【0039】
このような本発明のジヘテロアリールエテン系化合物としては、例えば次のようなものが例示される。
【0040】
【化12】
【0041】
いずれの化合物においても、紫外線照射により閉環反応を生起して効率よく発色し、その色は室内に置いておいても数時間で消失することはなく、長時間安定に維持することができる。
【0042】
このような本発明のフォトクロミック化合物は、公知の種々の方法により製造可能である。
【0043】
例えば、下記一般式(IV)で示されるシクロパーフルオロアルケン誘導体と、下記一般式(V)及び(VI)で表されるチオフェン誘導体とを反応させる方法、又は、下記一般式(VII)で示されるジケトン化合物について、分子内の二つのカルボキシル基同士を、低原子価チタンを用いて還元カップリングする方法などが挙げられる。
【0044】
【化13】
(nは2〜5の整数)
【0045】
【化14】
(R1〜R6,Y,Zは前述の一般式[I]に同じ)
【0046】
【化15】
(R1〜R6,Y,Zは前述の一般式[I]に同じ)
【0047】
なお、上記例では一般式[I]におけるAが置換基[i]であり、Bが置換基[iii]である場合について説明したが、置換基[ii]及び/又は[iv]を有する化合物についても同様に合成することができる。
【0048】
このようなフォトクロミック化合物を溶液とするか、或いは、フォトクロミック化合物を溶解又は分散させてなる樹脂組成物を用いて高分子フィルムを作成することにより、カラー線量計とすることができる。得られたカラー線量計を放射線に曝露すると、線量に応じて色調が変化する。この吸収、透過或いは反射スペクトルを測定し、吸光度、透過率或いは反射率の変化量を計測することにより、線量を見積もることができる。
【0049】
本発明のフォトクロミック化合物を溶液として使用する場合、具体的には、フォトクロミック化合物をベンゼン或いはトルエンなどの芳香族系溶媒に10−5〜10mol/lの濃度となるように溶解して得られた溶液を線量計とすればよく、この溶液に放射線を照射した後、可視光波長領域の光の吸収強度等を測定することにより、照射線量を見積もることができる。
【0050】
本発明のフォトクロミック化合物を溶解又は分散させてなる樹脂組成物から高分子フィルムを作成して線量計とする場合、樹脂組成物に含まれる高分子としては、ポリスチレンなどの芳香族環を側鎖或いは主鎖に含む高分子を用いることが好ましい。樹脂組成物中の本発明のフォトクロミック化合物の割合は、高分子の重量に対して0.1重量%以上特に1重量%以上で、50重量%以下特に40重量%以下とすることが好ましい。この割合が0.1重量%に満たないとカラー線量計としての効果が期待できず、50重量%を超えると高分子との相溶性に支障をきたす虞がある。
【0051】
高分子フィルムは、本発明のフォトクロミック化合物を溶解又は分散させた樹脂組成物を、有機溶媒を用いて所望の濃度とし、キャスト法,スピンコート法などの公知技術を用いて成膜加工することにより作成することができる。ここで使用する有機溶媒としては、高分子及び本発明のフォトクロミック化合物を共に溶解するものであれば、特に限定されない。具体例としては、デカリン,ベンゼン,トルエンなどの芳香族系溶媒、ヘキサンなどの脂肪族系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルムなどの塩素系溶媒などが挙げられる。また、本発明のフォトクロミック化合物を高分子に直接練り混んでもよい。更に、必要に応じて、ナフタレン,アントラセン,クマリンなど、公知の増感剤を添加してもよい。
【0052】
本発明のカラー線量計は、紫外線のみならず、いわゆる電離放射線の検出にも使用できる。
【0053】
放射線とは広義には電波、遠赤外線、赤外線、紫外線、可視光線、X線、γ線などを含む。電離放射線とは、放射線が物質に入射すると、物質を作っている原子と相互作用して電離、励起、反跳及び制動放射(2次放射線)を起こすものであり、具体的にはX線、γ線、α線、β線、中性子線、電子線などが挙げられる。
【0054】
本発明のカラー線量計を、電離放射線検出用とする場合には、検出用の放射線入射側に、波長10〜400nmの光をカットする層を設けても良い。なお、本発明において、波長10〜400nmの光を「カットする」とは、該波長領域の光透過率を5%以下、好ましくは3%以下とすることを意味する。
【0055】
このような層を設けることにより、いわゆる紫外線がカットされるため、検出すべき電離放射線による表示以外に、環境光中などに含まれる紫外線により化合物が反応することが防止され、線量検出の精度が向上する。この目的のためには、波長400nmを超える波長領域の光も多少カットしてもかまわないが、可視光波長領域の光をカットすることにより、該層が着色するため、カラー線量計における表示部分の色変化が判別し難くなる虞がある。好ましくは、多くのジアリールエテン系フォトクロミック化合物に関し、開環体の最大吸収波長が存在する波長230〜400nmの光をカットする層を設けることが好ましい。
【0056】
波長10〜400nmの光をカットする層の形成方法には特に制限はなく、カラー線量計の形態に応じて、適宜形成すればよい。例えば、カラー線量計の表面に、公知の紫外線吸収剤を含む組成物を塗布、乾燥、硬化させることにより形成してもよく、また予め紫外線吸収剤を含むフィルムを成形し、これを線量計の表面に貼り付けても良い。
【0057】
【実施例】
以下に、合成例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0058】
合成例1:1,2−ビス[2−メトキシ−5−フェニル−3−チエニル]ペルフルオロシクロペンテンの合成
(1−1)3,5−ジブロモ−2−メトキシチオフェンの合成
【化16】
【0059】
四塩化炭素40 mlに2−メトキシチオフェン16 g(145 mmol)を加え、氷水浴下で撹拌しながらN−ブロモスクシンイミド51 g(290 mmol)と四塩化炭素250 mlを徐々に加えた。水浴を外して終夜撹拌した後、氷水浴で冷却し、吸引濾過により固形物を濾過した。濾液をクロロホルムで抽出後、炭酸水素ナトリウム水溶液及び水で順次洗浄した後乾燥した。この液体を減圧蒸留(b.p =90 ℃、8 mmHg)で精製して3,5−ジブロモ−2−メトキシチオフェンを得た。収量は24.6 g、収率は62.3 %であった。
【0060】
(1−2)3−ブロモ−2−メトキシ−5−フェニルチオフェンの合成
【化17】
【0061】
3,5−ジブロモ−2−メトキシチオフェン24 g (90 mmol) にアルゴン雰囲気下で無水THF(テトラヒドロフラン)250 mlを加え、ドライアイス−メタノールで−60 ℃以下とした。その後、15 % n−ブチルリチウムヘキサン溶液56 ml (95 mmol)をゆっくり滴下した。1時間撹拌後、−60 ℃以下でホウ酸トリn−ブチル32 ml (12 mmol)をゆっくり滴下して2時間撹拌した。室温に戻し、20 wt % Na2CO3 90 ml、ヨードベンゼン6.4 g (90 mmol)、Pd (Ph3P)4 4.4 g (0.36 mmol)を加え、70℃で5時間還流した。エーテルで抽出後、塩水で洗浄した後、乾燥した。シリカゲルカラムを用いてヘキサンで展開分離し、無色固体の3−ブロモ−2−メトキシ−5−フェニルチオフェンを得た。収量は4.90 g、収率は59.1 %であった。
【0062】
(1−3)1,2−ビス[2−メトキシ−5−フェニル−3−チエニル]ペルフルオロシクロペンテン(化合物1)の合成
【化18】
【0063】
3−ブロモ−2−メトキシ−5−フェニルチオフェン14 g (52 mmol)にアルゴン雰囲気下で無水THF140 mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−60 ℃以下に冷却した。これに15 %n−ブチルリチウムヘキサン溶液36 ml (57 mmol)をゆっくり滴下し、1時間撹拌した。次に、無水THF 10 mlにペルフルオロシクロペンテン3.5 ml (26 mmol)を加え、−60℃以下で徐々に滴下し2時間撹拌した。メタノールを加え1N塩酸で洗浄し、エーテルで抽出した。有機層を水で洗浄し、乾燥させた後、濃縮した。シリカゲルカラムを用いてヘキサン:クロロホルム=9:1で展開分離し、化合物1を単離した。収量は7.23 g、収率は50.3 %であった。
1H NMR (400 MHz, CDCl3,TMS) : δ 3.71 (s, 3H), 7.15 (s, 1H),7.2−7.5 (m, 5H),
MSm/z = 522 (M+)
Anal. Calcd for C27H18F6O2S2 : C=58.69, H=3.28
Found : C=58.87, H=3.29
【0064】
実施例1
合成例1において合成した化合物1をヘキサンに溶解し、313nm光を照射した所、溶液は青く着色し、吸収極大は625nmに認められた(ε=1.5×104M−1cm−1)。この青色は、可視光を照射しても顕著な消色は認められなかった。
【0065】
(閉環反応量子収率測定手順)
▲1▼ 化合物1と比較試料とした1,2−ビス(2−メチル−5−フェニル−3−チエニル)ペルフルオロシクロペンテン(化合物2)の開環体のヘキサン溶液をつくり、波長309nm(化合物1の開環体の吸収極大波長)での吸光度を0.2〜0.3の間で両者同じにそろえた。
▲2▼ 吸収セルでの溶液の量を等しくした。
▲3▼ 測定では閉環体の可視光波長領域における吸収極大波長(化合物1 625nm,化合物2 575nm)での吸光度変化を検出した。キセノンランプで化合物1,2,リファレンスともに波長309nmの光を照射して検出波長の吸光度が0〜0.02程度の範囲内で10点測定した。
▲4▼ 時間に対する吸光度の変化をプロットし、その傾きの比較から(化合物2の量子収率=0.59)化合物1の閉環反応量子収率0.44を得た。
【0066】
どの程度消色されにくいかの定量的測定を、以下のように行った。
(開環反応量子収率測定の手順)
▲1▼ 化合物1のヘキサン溶液をつくり、紫外光(波長492nm)照射して可視光波長領域における吸収極大波長625nmの吸光度を0.5程度にした。キセノンランプで波長625nmの光を照射して、吸光度がおおよそ0.01程度変化する時間ごとに測定を行った。
▲2▼ 比較試料としてはフルギドを用い、そのトルエン溶液に対し、化合物1と同様に波長492nmの光を照射して、492nmでの吸光度がおおよそ0.5から0.2へ変化する範囲で数点測定した。
▲3▼ 光量計を用いて波長625nmと492nmにおける光量を測定した。
▲4▼ 時間に対してlog(10A−1)(Aは吸光度)をプロットしてその傾きと▲3▼での光量の値による補正を行うことで、相対量子収率を求めた。
【0067】
その結果、消色反応(開環反応)の収率即ち開環量子収率は<2×10−5と認められた。室内光に3ヶ月間曝していても退色(開環反応)は認められなかった。
【0068】
実施例2
合成例1で得られた化合物1を0.1gと、ポリスチレン(HF−77,M&A社製)0.9gとをトルエンに溶解させた。この溶液を適当な型に流しこみ、乾燥させてフィルムを得た。
【0069】
このフィルムに対して60Coを線源として1000Gyのγ線を照射し、目視によって青色に着色することを確認した。
【0070】
着色したフィルムを、波長400nm以下の紫外光をカットするボックスに入れて放置したが、1週間以上たっても消色しなかった。
【0071】
比較例1
特開平11−258348号公報の実施例1に記載の前記ジアリールエテン系化合物(II)を用いて実施例2と同様にしてフィルムを作成した。このフィルムに60Coを線源として1000Gyのγ線を照射し、赤色に着色することを確認した。
【0072】
着色したフィルムを、波長400nm以下の紫外線をカットするボックスに入れて放置したところ、1時間後には完全に消色していた。
【0073】
この化合物(II)について、実施例1と同様に開環量子収率を測定したところ、0.1という結果であった。
【0074】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、開環量子収率が著しく小さく、環境光による退色の問題のないフォトクロミック化合物を用いて、環境光に対する表示の耐久性に優れた実用性の高いカラー線量計と、このようなカラー線量計に好適なフォトクロミック化合物が提供される。
【0075】
本発明のフォトクロミック化合物は、開環量子収率が著しく小さく、環境光による退色の問題が殆どなく、記録又は表示された情報の長期安定性に優れるため、カラー線量計のみならず、光メモリ媒体或いは光表示材料、その他の新規光学素子への応用が期待される。
【発明の属する技術分野】
本発明は、開環量子収率が著しく小さく、環境光に対する表示の耐久性に優れたフォトクロミック化合物を使用したカラー線量計と、このカラー線量計に好適なフォトクロミック化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
医療器具の放射線滅菌或いは放射線廃棄物の管理等の分野において、カラー線量計が使われている。カラー線量計は、視認性の高い色彩(例えば赤系の色彩)を指標として用いることにより、放射線の線量を簡便に評価することが可能な機器である。
【0003】
こうしたカラー線量計としては、従来、メチルイエローなどのpHインジケータを用いて、放射線反応に伴う酸発生による変色を使用した技術(山上他、Chem.Express 5,809(1990))などが知られている。
【0004】
しかし、このようなpHインジケータを用いたカラー線量計は、通常、大線量(約5000グレイ(Gy)以上)でのみ使用可能であり、線量の低い領域では変色しないために使用できない。また、一回のみ使用可能であって、再使用できないものが多い。
【0005】
そこで、こうした点を改善する技術として、フォトクロミック分子を利用したカラー線量計が検討されている。
【0006】
フォトクロミック分子とは、光の作用により色彩の異なる2種類の異性体を可逆的に生成する分子であり、調光レンズ,光メモリ,光スイッチなどへの応用を目指して研究開発が続けられている。フォトクロミック分子の中には、光のみならず放射線照射によっても可逆的に変色するものがあり、このようなフォトクロミック分子であればカラー線量計への応用が可能である。
【0007】
しかし、従来のフォトクロミック分子は、いずれも放射線によって生成する異性体(変色体)が熱的に不安定であり、暗黒中に保持しても自然に放射線照射前の異性体に戻ってしまうため、放射線の線量測定のために、生成した変色体の濃度を正確に計測することができず、カラー線量計への応用が困難であった。
【0008】
こうした背景を踏まえて、特開平11−258348号公報には、例えば以下の化学式(II)で表される熱不可逆性のジアリールエテン系フォトクロミック化合物(以下、「化合物(II)」という。)を用いたカラー線量計が提案されている(化学式(II)において、Meはメチル基)。
【0009】
【化5】
【0010】
ところで、フォトクロミック化合物を使用したカラー線量計のもう一つの課題として、環境光に対する表示の耐久性が挙げられる。
【0011】
即ち、フォトクロミック化合物を用いたカラー線量計では、紫外線等に曝されることにより該化合物の閉環反応が生じて感光部分が変色し、可視光波長の光を照射することにより該化合物の開環反応が生じて感光部分が元の色に戻ることを利用して、紫外線等の検出を行う。しかし、室内光などの環境光に含まれる可視光波長の光により閉環体が開環反応を起こして退色してしまうような化合物では、紫外線等を検知して変色した部分の測定を行う前に該変色部分が消滅してしまい、カラー線量計として実用に供し得ない。
【0012】
通常、化合物(II)のようなジアリールエテン系化合物の閉環体における開環反応時の量子収率(以下、「開環量子収率」と称す。)は10−2程度であり、この程度の開環量子収率では、閉環体は室内の蛍光灯の光により、数時間後にはほぼ完全に消滅してしまう。
【0013】
特開平3−261782号公報には、以下に示すような、閉環/開環反応に関与する2ヵ所の反応部位に共にメトキシ基を有するジヘテロアリールエテン系フォトクロミック化合物(以下「化合物(III)」という。)が提案されている。
【0014】
【化6】
【0015】
しかしながら、上記化合物(III)は、ヘテロアリール部分にベンゾチオフェン環を有しており、結晶状態における閉環反応時の量子収率が低い。また、この化合物(III)は比較的結晶性が高いため、例えば線量計などへの応用に際し、前記化合物(III)を高濃度に含有する膜を形成した場合には、膜中で結晶化することが予想される。また、線量計を作成する際に、微結晶を適当なバインダ樹脂等に分散した膜を形成することも考えられるが、このような場合、結晶状態における閉環反応時の量子収率が低い前記化合物(III)を用いると、線量計の感度が不十分になることが予想され、また室内光などの環境光により表示が消失する虞がある。
【0016】
このようなことから、少光量の可視光では開環体を生成しないという性質を備えたフォトクロミック化合物を用いたカラー線量計の開発が求められていた。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、開環量子収率が著しく小さく、環境光による退色の問題のないフォトクロミック化合物を用いた実用的なカラー線量計と、このようなカラー線量計に好適なフォトクロミック化合物を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明のカラー線量計は、開環量子収率が10−3以下であるフォトクロミック化合物を用いたものである。
【0019】
このように、開環量子収率が著しく小さいフォトクロミック化合物を用いることにより、環境光に対する表示の耐久性に優れた実用的なカラー線量計が提供される。
【0020】
本発明のフォトクロミック化合物は、下記一般式[I]で表されるジヘテロアリールエテン系化合物よりなる。
【0021】
【化7】
(一般式[I]において、Aは下記置換基[i]又は[ii]を表わし、Bは下記置換基[iii]又は[iv]を表わす。)
【0022】
【化8】
(置換基[i]及び[ii]において、R1はアルコキシ基を表わし、R2は−Q−Ar(Qは直接結合又は任意の2価の基を表し、Arは置換されていてもよい芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。)を表し、R3は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、フッ化アルキル基、シアノ基又は置換されていてもよいアリール基を表し、Yは−O−又は−S−を表す。
置換基[iii]及び[iv]において、R4はアルコキシ基を表わし、R5は−Q−Ar(Qは直接結合又は任意の2価の基を表し、Arは置換されていてもよい芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。)を表し、R6は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、フッ化アルキル基、シアノ基又は置換されていてもよいアリール基を表し、Zは−O−又は−S−を表わす。)
【0023】
このようなフォトクロミック化合物であれば、開環量子収率10−3以下を実現することが可能であり、このフォトクロミック化合物は、本発明のカラー線量計のフォトクロミック化合物として好適である。
【0024】
即ち、本発明者らは、ジヘテロアリールエテン系フォトクロミック化合物の開環量子収率をより一層低減するべく、ジヘテロアリールエテン系化合物の置換基の種類やその置換位置について鋭意検討を重ねた結果、ジヘテロアリールエテン系化合物のヘテロアリール基にアルコキシ基と、置換されていてもよい芳香族炭化水素環又は芳香族複素環、特にアリール基、とを併せて導入することが有効であることを見出した。
【0025】
このような本発明のフォトクロミック化合物であれば、開環量子収率10−3以下を実現することが可能である。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0027】
本発明のカラー線量計は、開環量子収率が10−3以下のフォトクロミック化合物を用いることを特徴とする。
【0028】
このような化合物としては、例えば前記一般式[I]で表されるジヘテロアリールエテン系フォトクロミック化合物が挙げられる。
【0029】
前記一般式[I]の置換基[i]〜[iv]において、R1及びR4は各々独立に、例えばメトキシ基、エトキシ基などの炭素数1〜3のアルコキシ基を表し、好ましくはメトキシ基又はエトキシ基であり、より好ましくはメトキシ基である。
【0030】
R2及びR5は各々独立に−Q−Ar(Qは直接結合又は任意の2価の基を表し、Arは置換されていてもよい芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。)を表す。ジアリールエテン構造の両ヘテロアリール環から置換基R2及びR5へと、共役が延びている構造であることが好ましいため、式[I]におけるQは、好ましくは直接結合、−(−CH=CH−)n−(ポリエチレン基)(n=1〜5)、或いは−(−C≡C−)n−(ポリアセチレン基)(n=1〜5)であり、Arは好ましくは5員環又は6員環単環からなる基であるか、5員環及び/又は6員環が2〜3個、直接結合又は縮合してなる基が好ましく、これらはいずれも置換されていてもよい。Arが置換基を有する場合、置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基などの、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基などの、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子などのハロゲン原子;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2−フルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、パーフルオロ−n−ヘキシル基、2−(パーフルオロブチル)エチル基などの、炭素数1〜6の直鎖又は分岐のフッ化アルキル基などが挙げられる。
【0031】
なお、ジアリールエテン構造におけるヘテロアリール環(構造[i]〜[iv]に示した−Y−又は−Z−を含む複素環)とR2やR5とが同一平面を形成している構造が好ましいため、Ar上の、式[I]で表されるジアリールエテン構造のオルト位には比較的嵩の低い基を有することが好ましい。
【0032】
Arの具体例としては、次のようなものが挙げられる。
【0033】
【化9】
【0034】
【化10】
(ただし、上記例示中では、各基における環構造の有しうる置換基の記載を省略している。)
【0035】
R2,R5の好ましい具体例としては次のようなものが挙げられる。
【0036】
【化11】
(ただし、上記例示中では、各基における環構造の有しうる置換基の記載を省略している。)
【0037】
本発明では、R1及びR4のアルコキシ基と共に、R2及びR5に上記Ar基を導入することにより、開環量子収率を飛躍的に低減することができる。
【0038】
R3及びR6は各々独立に、例えば水素原子;メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基などの、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基などの、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子などのハロゲン原子;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2−フルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、パーフルオロ−n−ヘキシル基、2−(パーフルオロブチル)エチル基などの、炭素数1〜6の直鎖又は分岐のフッ化アルキル基;シアノ基;フェニル基、トシル基などの、置換されていてもよいアリール基を表す。R3及びR6としては、比較的嵩の低い基が好ましく、特に直鎖のアルキル基が好ましい。
【0039】
このような本発明のジヘテロアリールエテン系化合物としては、例えば次のようなものが例示される。
【0040】
【化12】
【0041】
いずれの化合物においても、紫外線照射により閉環反応を生起して効率よく発色し、その色は室内に置いておいても数時間で消失することはなく、長時間安定に維持することができる。
【0042】
このような本発明のフォトクロミック化合物は、公知の種々の方法により製造可能である。
【0043】
例えば、下記一般式(IV)で示されるシクロパーフルオロアルケン誘導体と、下記一般式(V)及び(VI)で表されるチオフェン誘導体とを反応させる方法、又は、下記一般式(VII)で示されるジケトン化合物について、分子内の二つのカルボキシル基同士を、低原子価チタンを用いて還元カップリングする方法などが挙げられる。
【0044】
【化13】
(nは2〜5の整数)
【0045】
【化14】
(R1〜R6,Y,Zは前述の一般式[I]に同じ)
【0046】
【化15】
(R1〜R6,Y,Zは前述の一般式[I]に同じ)
【0047】
なお、上記例では一般式[I]におけるAが置換基[i]であり、Bが置換基[iii]である場合について説明したが、置換基[ii]及び/又は[iv]を有する化合物についても同様に合成することができる。
【0048】
このようなフォトクロミック化合物を溶液とするか、或いは、フォトクロミック化合物を溶解又は分散させてなる樹脂組成物を用いて高分子フィルムを作成することにより、カラー線量計とすることができる。得られたカラー線量計を放射線に曝露すると、線量に応じて色調が変化する。この吸収、透過或いは反射スペクトルを測定し、吸光度、透過率或いは反射率の変化量を計測することにより、線量を見積もることができる。
【0049】
本発明のフォトクロミック化合物を溶液として使用する場合、具体的には、フォトクロミック化合物をベンゼン或いはトルエンなどの芳香族系溶媒に10−5〜10mol/lの濃度となるように溶解して得られた溶液を線量計とすればよく、この溶液に放射線を照射した後、可視光波長領域の光の吸収強度等を測定することにより、照射線量を見積もることができる。
【0050】
本発明のフォトクロミック化合物を溶解又は分散させてなる樹脂組成物から高分子フィルムを作成して線量計とする場合、樹脂組成物に含まれる高分子としては、ポリスチレンなどの芳香族環を側鎖或いは主鎖に含む高分子を用いることが好ましい。樹脂組成物中の本発明のフォトクロミック化合物の割合は、高分子の重量に対して0.1重量%以上特に1重量%以上で、50重量%以下特に40重量%以下とすることが好ましい。この割合が0.1重量%に満たないとカラー線量計としての効果が期待できず、50重量%を超えると高分子との相溶性に支障をきたす虞がある。
【0051】
高分子フィルムは、本発明のフォトクロミック化合物を溶解又は分散させた樹脂組成物を、有機溶媒を用いて所望の濃度とし、キャスト法,スピンコート法などの公知技術を用いて成膜加工することにより作成することができる。ここで使用する有機溶媒としては、高分子及び本発明のフォトクロミック化合物を共に溶解するものであれば、特に限定されない。具体例としては、デカリン,ベンゼン,トルエンなどの芳香族系溶媒、ヘキサンなどの脂肪族系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルムなどの塩素系溶媒などが挙げられる。また、本発明のフォトクロミック化合物を高分子に直接練り混んでもよい。更に、必要に応じて、ナフタレン,アントラセン,クマリンなど、公知の増感剤を添加してもよい。
【0052】
本発明のカラー線量計は、紫外線のみならず、いわゆる電離放射線の検出にも使用できる。
【0053】
放射線とは広義には電波、遠赤外線、赤外線、紫外線、可視光線、X線、γ線などを含む。電離放射線とは、放射線が物質に入射すると、物質を作っている原子と相互作用して電離、励起、反跳及び制動放射(2次放射線)を起こすものであり、具体的にはX線、γ線、α線、β線、中性子線、電子線などが挙げられる。
【0054】
本発明のカラー線量計を、電離放射線検出用とする場合には、検出用の放射線入射側に、波長10〜400nmの光をカットする層を設けても良い。なお、本発明において、波長10〜400nmの光を「カットする」とは、該波長領域の光透過率を5%以下、好ましくは3%以下とすることを意味する。
【0055】
このような層を設けることにより、いわゆる紫外線がカットされるため、検出すべき電離放射線による表示以外に、環境光中などに含まれる紫外線により化合物が反応することが防止され、線量検出の精度が向上する。この目的のためには、波長400nmを超える波長領域の光も多少カットしてもかまわないが、可視光波長領域の光をカットすることにより、該層が着色するため、カラー線量計における表示部分の色変化が判別し難くなる虞がある。好ましくは、多くのジアリールエテン系フォトクロミック化合物に関し、開環体の最大吸収波長が存在する波長230〜400nmの光をカットする層を設けることが好ましい。
【0056】
波長10〜400nmの光をカットする層の形成方法には特に制限はなく、カラー線量計の形態に応じて、適宜形成すればよい。例えば、カラー線量計の表面に、公知の紫外線吸収剤を含む組成物を塗布、乾燥、硬化させることにより形成してもよく、また予め紫外線吸収剤を含むフィルムを成形し、これを線量計の表面に貼り付けても良い。
【0057】
【実施例】
以下に、合成例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0058】
合成例1:1,2−ビス[2−メトキシ−5−フェニル−3−チエニル]ペルフルオロシクロペンテンの合成
(1−1)3,5−ジブロモ−2−メトキシチオフェンの合成
【化16】
【0059】
四塩化炭素40 mlに2−メトキシチオフェン16 g(145 mmol)を加え、氷水浴下で撹拌しながらN−ブロモスクシンイミド51 g(290 mmol)と四塩化炭素250 mlを徐々に加えた。水浴を外して終夜撹拌した後、氷水浴で冷却し、吸引濾過により固形物を濾過した。濾液をクロロホルムで抽出後、炭酸水素ナトリウム水溶液及び水で順次洗浄した後乾燥した。この液体を減圧蒸留(b.p =90 ℃、8 mmHg)で精製して3,5−ジブロモ−2−メトキシチオフェンを得た。収量は24.6 g、収率は62.3 %であった。
【0060】
(1−2)3−ブロモ−2−メトキシ−5−フェニルチオフェンの合成
【化17】
【0061】
3,5−ジブロモ−2−メトキシチオフェン24 g (90 mmol) にアルゴン雰囲気下で無水THF(テトラヒドロフラン)250 mlを加え、ドライアイス−メタノールで−60 ℃以下とした。その後、15 % n−ブチルリチウムヘキサン溶液56 ml (95 mmol)をゆっくり滴下した。1時間撹拌後、−60 ℃以下でホウ酸トリn−ブチル32 ml (12 mmol)をゆっくり滴下して2時間撹拌した。室温に戻し、20 wt % Na2CO3 90 ml、ヨードベンゼン6.4 g (90 mmol)、Pd (Ph3P)4 4.4 g (0.36 mmol)を加え、70℃で5時間還流した。エーテルで抽出後、塩水で洗浄した後、乾燥した。シリカゲルカラムを用いてヘキサンで展開分離し、無色固体の3−ブロモ−2−メトキシ−5−フェニルチオフェンを得た。収量は4.90 g、収率は59.1 %であった。
【0062】
(1−3)1,2−ビス[2−メトキシ−5−フェニル−3−チエニル]ペルフルオロシクロペンテン(化合物1)の合成
【化18】
【0063】
3−ブロモ−2−メトキシ−5−フェニルチオフェン14 g (52 mmol)にアルゴン雰囲気下で無水THF140 mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−60 ℃以下に冷却した。これに15 %n−ブチルリチウムヘキサン溶液36 ml (57 mmol)をゆっくり滴下し、1時間撹拌した。次に、無水THF 10 mlにペルフルオロシクロペンテン3.5 ml (26 mmol)を加え、−60℃以下で徐々に滴下し2時間撹拌した。メタノールを加え1N塩酸で洗浄し、エーテルで抽出した。有機層を水で洗浄し、乾燥させた後、濃縮した。シリカゲルカラムを用いてヘキサン:クロロホルム=9:1で展開分離し、化合物1を単離した。収量は7.23 g、収率は50.3 %であった。
1H NMR (400 MHz, CDCl3,TMS) : δ 3.71 (s, 3H), 7.15 (s, 1H),7.2−7.5 (m, 5H),
MSm/z = 522 (M+)
Anal. Calcd for C27H18F6O2S2 : C=58.69, H=3.28
Found : C=58.87, H=3.29
【0064】
実施例1
合成例1において合成した化合物1をヘキサンに溶解し、313nm光を照射した所、溶液は青く着色し、吸収極大は625nmに認められた(ε=1.5×104M−1cm−1)。この青色は、可視光を照射しても顕著な消色は認められなかった。
【0065】
(閉環反応量子収率測定手順)
▲1▼ 化合物1と比較試料とした1,2−ビス(2−メチル−5−フェニル−3−チエニル)ペルフルオロシクロペンテン(化合物2)の開環体のヘキサン溶液をつくり、波長309nm(化合物1の開環体の吸収極大波長)での吸光度を0.2〜0.3の間で両者同じにそろえた。
▲2▼ 吸収セルでの溶液の量を等しくした。
▲3▼ 測定では閉環体の可視光波長領域における吸収極大波長(化合物1 625nm,化合物2 575nm)での吸光度変化を検出した。キセノンランプで化合物1,2,リファレンスともに波長309nmの光を照射して検出波長の吸光度が0〜0.02程度の範囲内で10点測定した。
▲4▼ 時間に対する吸光度の変化をプロットし、その傾きの比較から(化合物2の量子収率=0.59)化合物1の閉環反応量子収率0.44を得た。
【0066】
どの程度消色されにくいかの定量的測定を、以下のように行った。
(開環反応量子収率測定の手順)
▲1▼ 化合物1のヘキサン溶液をつくり、紫外光(波長492nm)照射して可視光波長領域における吸収極大波長625nmの吸光度を0.5程度にした。キセノンランプで波長625nmの光を照射して、吸光度がおおよそ0.01程度変化する時間ごとに測定を行った。
▲2▼ 比較試料としてはフルギドを用い、そのトルエン溶液に対し、化合物1と同様に波長492nmの光を照射して、492nmでの吸光度がおおよそ0.5から0.2へ変化する範囲で数点測定した。
▲3▼ 光量計を用いて波長625nmと492nmにおける光量を測定した。
▲4▼ 時間に対してlog(10A−1)(Aは吸光度)をプロットしてその傾きと▲3▼での光量の値による補正を行うことで、相対量子収率を求めた。
【0067】
その結果、消色反応(開環反応)の収率即ち開環量子収率は<2×10−5と認められた。室内光に3ヶ月間曝していても退色(開環反応)は認められなかった。
【0068】
実施例2
合成例1で得られた化合物1を0.1gと、ポリスチレン(HF−77,M&A社製)0.9gとをトルエンに溶解させた。この溶液を適当な型に流しこみ、乾燥させてフィルムを得た。
【0069】
このフィルムに対して60Coを線源として1000Gyのγ線を照射し、目視によって青色に着色することを確認した。
【0070】
着色したフィルムを、波長400nm以下の紫外光をカットするボックスに入れて放置したが、1週間以上たっても消色しなかった。
【0071】
比較例1
特開平11−258348号公報の実施例1に記載の前記ジアリールエテン系化合物(II)を用いて実施例2と同様にしてフィルムを作成した。このフィルムに60Coを線源として1000Gyのγ線を照射し、赤色に着色することを確認した。
【0072】
着色したフィルムを、波長400nm以下の紫外線をカットするボックスに入れて放置したところ、1時間後には完全に消色していた。
【0073】
この化合物(II)について、実施例1と同様に開環量子収率を測定したところ、0.1という結果であった。
【0074】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、開環量子収率が著しく小さく、環境光による退色の問題のないフォトクロミック化合物を用いて、環境光に対する表示の耐久性に優れた実用性の高いカラー線量計と、このようなカラー線量計に好適なフォトクロミック化合物が提供される。
【0075】
本発明のフォトクロミック化合物は、開環量子収率が著しく小さく、環境光による退色の問題が殆どなく、記録又は表示された情報の長期安定性に優れるため、カラー線量計のみならず、光メモリ媒体或いは光表示材料、その他の新規光学素子への応用が期待される。
Claims (4)
- 開環量子収率が10−3以下であるフォトクロミック化合物を用いたカラー線量計。
- 該線量計の光線入射側に、波長10〜400nmの光をカットする層を有することを特徴とする、請求項1に記載のカラー線量計。
- 該フォトクロミック化合物が、下記一般式[I]で表されるジヘテロアリールエテン系化合物である、請求項1又は2に記載のカラー線量計。
置換基[iii]及び[iv]において、R4はアルコキシ基を表わし、R5は−Q−Ar(Qは直接結合又は任意の2価の基を表し、Arは置換されていてもよい芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。)を表し、R6は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、フッ化アルキル基、シアノ基又は置換されていてもよいアリール基を表し、Zは−O−又は−S−を表わす。) - 下記一般式[I]で表されるジヘテロアリールエテン系化合物よりなるフォトクロミック化合物。
置換基[iii]及び[iv]において、R4はアルコキシ基を表わし、R5は−Q−Ar(Qは直接結合又は任意の2価の基を表し、Arは置換されていてもよい芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。)を表し、R6は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、フッ化アルキル基、シアノ基又は置換されていてもよいアリール基を表し、Zは−O−又は−S−を表わす。)
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