JPH07258245A - スピロピロン化合物の製造方法 - Google Patents

スピロピロン化合物の製造方法

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JPH07258245A
JPH07258245A JP6053590A JP5359094A JPH07258245A JP H07258245 A JPH07258245 A JP H07258245A JP 6053590 A JP6053590 A JP 6053590A JP 5359094 A JP5359094 A JP 5359094A JP H07258245 A JPH07258245 A JP H07258245A
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JP
Japan
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group
compound
bicyclo
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nonene
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Application number
JP6053590A
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English (en)
Inventor
Junji Momota
潤二 百田
Tomohito Imura
智史 伊村
Takashi Kobayakawa
隆 小早川
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Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
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Publication date
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  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Oxygen Or Sulfur (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 下記一般式(I) 【化1】 (式中、Yは、芳香族環又は不飽和複素環の一部であ
る)で表される化合物と、2−ビシクロ[3,3,1]
−ノナン−9−オンとを反応させることによりスピロピ
ロン化合物を製造する。 【目的】 優れたフォトクロミック性を有するスピロピ
ラン化合物の原料となるスピロピロン化合物を、収率よ
く製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スピロピロン化合物の
製造方法、詳しくは、太陽光もしくは水銀灯の光のよう
な紫外線を含む光で無色から着色もしくは濃色した形態
に変化し、その変化が可逆的で優れた耐久性を示すスピ
ロピラン化合物の原料となるスピロピロン化合物を収率
良く得る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】フォトクロミズムとは、ここ数年来注目
をひいてきた現象であって、ある化合物に太陽光あるい
は水銀灯の光のような紫外線を含む光を照射すると速や
かに色が変わり、光の照射をやめて暗所におくと元の色
にもどる可逆作用のことである。この性質を有する化合
物は、フォトクロミック化合物と呼ばれ従来から色々な
化合物が合成されてきたが、その構造には特別な共通の
骨格は認められない。
【0003】特開平3−11075号公報には、こうし
たフォトクロミック化合物として、ベンゾピラン環やナ
フトピラン環の2位の位置にビシクロ〔3.3.1〕9
−ノネニリデン基が結合したスピロピラン化合物が記載
されている。これらのスピロピラン化合物は、常温また
はそれよりも幾分高い温度領域(10〜40℃)におい
て、紫外線の照射により無色から黄〜オレンジ色に発色
し、また、発色した状態から無色の状態へ短時間で戻
り、また、その発色濃度も良好で優れたフォトクロミッ
ク性を有する化合物である。しかして、こうしたスピロ
ピラン化合物は、1−アセチル−2−ナフトールや1−
アセチル−2−ベンゾール等とビシクロ〔3.3.1〕
ノナン−9−オン等とを反応させて一旦、そのベンゾピ
ロン環やナフトピロン環の2位の位置にビシクロ〔3.
3.1〕9−ノネニリデン基が結合したスピロピロン化
合物を得、これを原料に上記スピロピラン化合物を製造
することにより得られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、こうしたス
ピロピラン化合物の製造方法では、上記スピロピロン化
合物の合成の反応率が充分でないため、結果として目的
とするスピロピラン化合物が、いま一歩満足できるだけ
の生産性で製造できなかった。こうした背景から、同様
に優れたフォトクロミック性を有するスピロピラン化合
物の原料となるスピロピロン化合物を、良好な収率で得
る方法の開発が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に鑑み鋭意研究を続けてきた。その結果、上記したスピ
ロピロン化合物のベンゾピロン環やナフトピロン環等の
2位の位置に2−ビシクロ〔3.3.1〕9−ノネニリ
デン基が結合した構造とすることによって、上記課題が
解決できることを見出し、本発明を提案するに至った。
即ち、本発明は、下記一般式(I)
【0006】
【化8】 (但し、
【0007】
【化9】
【0008】は、置換若しくは非置換の芳香族炭化水素
基又は置換若しくは非置換の不飽和複素環基である)で
示される化合物と下記一般式(II)
【0009】
【化10】 (但し、
【0010】
【化11】
【0011】は、置換若しくは非置換の2−ビシクロ
〔3.3.1〕9−ノネニリデン基である)で示される
化合物とを反応させることを特徴とする下記一般式(II
I)
【0012】
【化12】 (但し、
【0013】
【化13】 及び
【0014】
【化14】
【0015】は、上記一般式(I)及び一般式(II)と
同じである)で示されるスピロピロン化合物の製造方法
である。このように、一般式(I)で示される化合物と
一般式(II)で示される化合物とを反応させた場合、該
一般式(II)で示される化合物の
【0016】
【化15】
【0017】で示される基が前記の如く2−ビシクロ
〔3.3.1〕9−ノネニリデン基またはその置換体で
あることに起因してその反応性が向上し、本発明では、
上記一般式(III)で示されるスピロピロン化合物を高
い収率で得ることが可能になる。本発明において上記一
般式(I)で示される化合物は、公知の化合物が何等制
限なく使用できる。ここで、上記一般式(I)中、
【0018】
【化16】
【0019】で示される基は、置換若しくは非置換の芳
香族炭化水素基又は置換若しくは非置換の不飽和複素環
基である。芳香族炭化水素基をより具体的に例示する
と、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、ア
ントラセン環などのベンゼン環1個もしくは2〜4個の
縮合環から誘導される炭素数6〜14の2価の基を挙げ
ることができる。また、これらにメチル基、エチル基、
t−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が置換した
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素環から誘導され
る2価の基を挙げることができる。さらに、上記の芳香
族炭化水素基に、フッ素、塩素、シュウ素等のハロゲン
原子;ヒドロキシ基;シアノ基;ニトロ基;メトキシ
基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等の炭素数1〜
4のアルコキシ基;フェニル基、トリル基等の炭素数6
〜10アリール基;メチルアミノ基、エチルアミノ基等
の炭素数1〜4のアルキルアミノ基やジメチルアミノ
基、ジエチルアミノ基等の炭素数2〜8のジアルキルア
ミノ基等の置換アミノ基;トリフルオロメチル基等の炭
素数1〜2のハロゲン置換アルキル基;チェニル基、フ
リル基若しくはピロリル基等の酸素、イオウ、窒素原子
を1個または2個含む5員環、6員環の複素環基等が1
個または2個以上、好適には1〜3個置換した置換芳香
族炭化水素基を挙げることができる。なお、これらの置
換芳香族炭化水素基の多置換体において置換基は同種で
あっても異種であっても何ら支障はなく、置換基の位置
については目的あるいは用途に応じて変えられる。ま
た、
【0020】
【化17】
【0021】で示される上記の不飽和複素環基として
は、酸素、イオウ、窒素原子を1個または2個含む5員
環、6員環またはこれらにベンゼン環が縮合した炭素数
4〜10の複素環基等を挙げることができる。具体的に
は、ピリジン環、キノリン環、ピロリン環等の含窒素複
素環;フラン環およびベンゾフラン環等の含酸素複素
環;チオフェン環およびベンゾチオフェン環等の含イオ
ウ複素環から誘導される2価の基等を挙げることができ
る。さらに、これらの不飽和複素環基に、前記した芳香
族炭化水素基の説明で述べた置換基が置換した置換不飽
和複素環基も、本発明において何ら制限なく採用され
る。
【0022】また、本発明において、上記一般式(II)
で示される化合物は、公知の化合物が何等制限なく使用
できる。ここで、上記一般式(II)中、
【0023】
【化18】
【0024】で示される基は、2−ビシクロ〔3.3.
1〕9−ノネニリデン基
【0025】
【化19】
【0026】もしくは置換基で置換された2−ビシクロ
〔3.3.1〕9−ノネニリデン基を表す。その置換基
の具体例としては、例えば、フッ素、塩素、シュウ素等
のハロゲン原子;ヒドロキシ基;シアノ基;ニトロ基;
カルボキシル基;メチル基、エチル基、t−ブチル基等
の炭素数1〜4のアルキル基;メトキシ基、エトキシ
基、tert−ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキ
シ基;トリフルオロメチル基等の炭素数1または2のハ
ロゲン置換アルキル基;フェニル基、トリル基等の炭素
数6〜10アリール基;フェノキシ基、1−ナフトキシ
基等の炭素数6〜10のアリールオキシ基;ベンジル
基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等の炭素数
7〜10のアラルキル基 ;ベンジルオキシ基等の炭素
数7〜10のアラルコキシ基;メチルアミノ基、エチル
アミノ基等の炭素数1〜4のアルキルアミノ基やジメチ
ルアミノ基、ジエチルアミノ基等の炭素数2〜8のジア
ルキルアミノ基等の置換アミノ基;エトキシカルボニル
基等の炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基等が挙
げられ、また、これらの置換基は1置換体として含まれ
るもののみならず、2置換以上の複数個、好適には1〜
3個の置換基を有する置換体として含まれてもよく、さ
らには多置換体における置換基は同種であっても異種で
あっても何ら支障はなく、置換基の位置については目的
あるいは用途に応じて変えられる。
【0027】本発明において、この一般式(I)で示さ
れる化合物と一般式(II)で示される化合物の反応は、
特に制限されることなく如何なる条件で実施しても良
い。ここで、これらの2種の混合物の反応比率は、広い
範囲から採用されるが、一般には1:10〜10:1
(モル比)の範囲から選択される。反応温度は、通常0
〜200℃が好ましく、反応時間は、通常1〜20時間
から採択される。また、かかる反応の溶媒としては、極
性非プロトン溶媒、例えば、N−メチルピロリドン、ジ
メチルホルムアミド、トルエン、ベンゼン、テトラヒド
ロフラン等が使用される。
【0028】さらに、かかる反応は、通常、縮合剤の存
在下で実施される。縮合剤としては、得に制限されるも
のではないが、第1アミン又は第2アミンに代表される
ものを用いるのが一般的である。こうした第1アミンま
たは第2アミンは、具体的には一般式
【0029】
【化20】 または、
【0030】
【化21】
【0031】で示されるものが好適である。ここで
1、R2で示される基は、R1とR2の内いずれか一方が
水素原子で他はアルキル基であるか、又は、それぞれ同
一又は異なったアルキル基を示す。該アルキル基として
は、特に限定されないが、一般には炭素数1〜6のアル
キル基が好適に使用される。具体的には、メチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。ここ
で、上記第1アミンのうち好適なものを例示するとN−
エチルアミン、N−プロピルアミン等が挙げられる。さ
らに、R3は、テトラメチレン基、ペンタメチレン基な
どの炭素数3〜6のアルキレン基; などの炭素数3〜6のオキシアルキレン基; −CH2SCH2CH2−、−CH2S(CH23−、 −CH2CH2SCH2CH2− などの炭素数3〜6のチオアルキレン基; などの炭素数3〜6のアゾアルキレン基等が好適に採用
される。ここで、上記第2アミンのうち好適なものを例
示すると、ジエチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、
モルホリン等が挙げられる。これらの縮合剤は、一般式
(I)で示される化合物1モルに対して、通常0.1〜
10モルの範囲で使用するのが好適である。
【0032】上記反応においては、反応中生成する水を
取り除くことによって反応を完結させることができる。
水を取り除く方法としては、ディーン−スタークの装置
等を使った共沸により、水を反応系外へ取り除く方法
と、反応系内に塩化カルシウム、酸化カルシウム、塩化
亜鉛等の脱水剤を添加しておき、これらの脱水剤によっ
て系内に生じる水を取り除く方法等があり、いずれの方
法を採用してもよい。
【0033】なお、この一般式(I)で示される化合物
と一般式(II)で示される化合物の反応を、前記の如く
縮合剤として第1アミン又は第2アミンを存在させて実
施する際において、この反応を後述する如く過度に継続
した場合、一旦、生成した一般式(III)で示されるス
ピロピロン化合物が、さらにこの第1アミン又は第2ア
ミンと反応し、下記一般式(V)
【0034】
【化22】 (但し、
【0035】
【化23】 及び
【0036】
【化24】
【0037】は、上記一般式(I)及び一般式(II)と
同じであり、R4及びR5は、夫々、同種又は異種の水素
原子又は置換アミノ基であり、少くとも一方は置換アミ
ノ基である)で示されるようなスピロピラン化合物が次
第に生成してくる。このスピロピラン化合物は酸の存在
下で加水分解することにより容易に、一般式(III)で
示されるスピロピロン化合物に戻るため、このような場
合には、前記一般式(I)で示される化合物と一般式(I
I)で示される化合物の反応により得られた反応液を酸
水溶液と混合し、上記生成したスピロピラン化合物を再
び一般式(III)で示されるスピロピロン化合物に戻せ
ば良い。その場合、酸としては、特に制限されるもので
はないが、通常、塩酸、硫酸等の鉱酸が使用される。使
用する酸の量は、特に制限されるものではないが、縮合
剤と等量あるいはそれ以上使用し、反応系内を酸性にす
るまで添加することが好ましい。また、水は、通常、反
応液中に仕込んだ一般式(I)で示される化合物と等量
以上存在すれば十分である。これらの酸水溶液は予め酸
水溶液を調製しておいて、反応液に混合しても良いし、
酸と水とを別々に混合しても良い。
【0038】以上の反応により得られた一般式(III)
で示されるスピロピロン化合物を単離精製する方法は、
如何なる方法により行っても良いが、通常は、再結晶に
より行うのが好ましい。
【0039】以上の一般式(I)で示される化合物と一
般式(II)で示される化合物との反応により、下記一般
式(III)
【0040】
【化25】 (但し、
【0041】
【化26】 及び
【0042】
【化27】
【0043】は、上記一般式(I)及び一般式(II)と
同じである)で示されるスピロピロン化合物が得られ
る。このスピロピラン化合物のうち、代表的なものを具
体的に例示すれば、次のような化合物を挙げることがで
きる。
【0044】1)スピロ(2−ビシクロ〔3.3.1〕
ノネン−9,2’−(2H)ベンゾ(h)−4’−クロ
マノン) 2)スピロ(2−ビシクロ〔3.3.1〕ノネン−9,
2’−(2H)ベンゾ(f)−4’−クロマノン) 3)8’シアノスピロ(2−ビシクロ〔3.3.1〕ノ
ネン−9,2’−2(H) −4’−クロマノン) 4)5’−メトキシ−7’−エチルスピロ(2−ビシク
ロ[3. 3.1]ノネン−9,2’−(2H)−
4’−クロマノン) 5)5−ジメチルアミノスピロ(2−ビシクロ〔3.
3.1〕ノネン−9,2’−(2H)ベンゾ(f)−
4’−クロマノン) 6)8−メトキシ−5’−クロロスピロ(2−ビシクロ
〔3.3.1〕ノネン−9,2’−(2H)ベンゾ
(f)−4’−クロマノン) 7)スピロ(2−ビシクロ〔3.3.1〕ノネン−9,
2’−(2H)イソキノ(4,3−b)−4’−ピラノ
ン) 8)5.8.8−トリメチルスピロ(2−ビシクロ
〔3.3.1〕ノネン−9,2’−(2H)ピリド
(2,3−b)−4’−ピラノン) 9)7’−フェニル−5−nプロピルスピロ(2−ビシ
クロ〔3.3.1〕ノネン−9,2’−2(H)ベンゾ
(h)−4’−クロマノン) 10)7’−フェニル−5−クロロスピロ(2−ビシク
ロ〔3.3.1〕ノネン−9,2’−(2H)−4’−
クロマノン) 11)スピロ(2−ビシクロ〔3.3.1〕ノネン−
9,2’−(2H)ピリド(3,2−f)−4’−クロ
マノン) 12)5,7,7−トリメチルスピロ(2−ビシクロ
〔3.3.1〕ノネン−9,2’−(2H)ジベンゾ
(f,h)−4’−クロマノン) 13)7’−ニトロ−10’−エトキシ−5,7,7−
トリメチルスピロ(2−ビシクロ〔3.3.1〕ノネン
−9,2’−(2H)ベンゾ(h)−4’−クロマノ
ン)
【0045】14)7’−トリフルオロメチル−10’
−nペンチル−5,7,7−トリメチルスピロ(2−ビ
シクロ〔3.3.1〕ノネン−9,2’−(2H)ベン
ゾ(h)−4’−クロマノン) 15)5,10’−ジフェニルスピロ(2−ビシクロ
〔3.3.1〕ノネン−9,2’−(2H)ベンゾ
(f)−4’−クロマノン) 16)7’−チエニルスピロ(2−ビシクロ〔3.3.
1〕ノネン−9,2’−(2H)ベンゾ(h)−4’−
クロマノン) 17)5−トリフルオロメチル−10’−nプロポキシ
スピロ(2−ビシクロ〔3.3.1〕−9,2’−(2
H)ピリド(2,3−h)−4’−クロマノン) 18)5−シアノ−7’−フラニルスピロ(2−ビシク
ロ〔3.3.1〕ノネン−9,2’−(2H)ベンゾ
(h)−4’−クロマノン) 19)5−ベンジル−7’−ジメチルアミノスピロ(2
−ビシクロ〔3.3.1〕ノネン−9,2’−(2H)
ベンゾ−4’−クロマノン) 20)5−nブチル7−フルオロ−6’−ブロモ−8’
−ヒドロキシスピロ(2−ビシクロ〔3.3.1〕ノネ
ン−9,2’−(2H)ベンゾ(f)−4’−クロマノ
ン) 21)5−エチル−1−エトキシスピロ(2−ビシクロ
〔3.3.1〕ノネン−9,2’−(2H)(ベンゾ
(b)チエノ(2,3−b)−4’−ピラノン) 22)スピロ(2−ビシクロ〔3.3.1〕ノネン−
9,2’−(2H)メチルピロロ(2,3−b)−4’
−ピラノン) 23)5−クロロスピロ(2−ビシクロ〔3.3.1〕
ノネン−9,2’−(2H)キノ(3,4−b)−4’
−ピラノン) 24)7−ブロモスピロ(2−ビシクロ〔3.3.1〕
ノネン−9,2’−(2H)フロロ(2,3−b)−
4’−ピラノン) 25)5’−ブロモスピロ(2−ビシクロ〔3.3.
1〕ノネン−9,2’−2(H)チエノ(2,3−b)
−4’−ピラノン)
【0046】また、本発明で得られるこうしたスピロピ
ロン化合物は、一般に常温常圧で無色或いは粘調な液体
として存在し、次の(イ)〜(ハ)のような手段で確認
できる。
【0047】(イ)プロトン核磁気共鳴スペクトル(H
1−NMR)を 測定することにより、分子中に存在する
プロトンの種類と個数を知ることができる。すなわち、
δ7〜8.5ppm付近にアロマティックなプロトンに
基づくピーク、δ1.2〜3.5ppm付近および5.
3〜5.7ppm付近に2−ビシクロ〔3.3.1〕9
−ノネニリデン基およびスピロピロン環の3位に由来す
るプロトンに基づく幅広いピークが現れる。また、それ
ぞれのδピーク強度を相対的に比較することにより、そ
れぞれの結合基のプロトンの個数を知ることができる。
【0048】(ロ)元素分析によって炭素、水素、窒
素、イオウ、ハロゲンの各重量%を求めることができ
る。さらに、認知された各元素の重量%の和を100か
ら減ずることにより、酸素の重量%を算出することがで
きる。従って、相当する生成物の組成を決定することが
できる。
【0049】(ハ)13C−核磁気共鳴スペクトル(13
−NMR)を測定することにより、分子中に存在する炭
素の種類を知ることができる。δ27〜52ppm付近
に2−ビシクロ〔3.3.1〕9−ノネニリデン基およ
びスピロピロン環の3位の炭素に由来するピーク、δ1
10〜150ppm付近に芳香族炭化水素基又は不飽和
複素環基の炭素に基づくピークが現われる。
【0050】次に、本発明において、上記した方法によ
り得られるスピロピロン化合物は、そのα−ピロン環を
γ−ピラン化することにより、良好なフォトクロミック
性を有するスピロピラン化合物とすることができる。こ
のスピロピラン化合物としては、具体的には下記一般式
(IV)
【0051】
【化28】 (但し、
【0052】
【化29】 及び
【0053】
【化30】
【0054】は、上記一般式(I)及び一般式(II)と
同じであり、R4及びR5は、夫々、同種又は異種の水素
原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基又は置換
アミノ基である)で示されるものが好ましい。ここで、
上記スピロピラン化合物において、アルキル基は、特に
限定されないが、一般には炭素数1〜20、好ましくは
1〜6のアルキル基が好適に使用される。アラルキル基
のアルキル基は、一般に炭素数1〜10、好ましくは1
〜4のものが好適である。これらアルキル基およびアラ
ルキル基をより具体的に例示すると、メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ベンジル基、フェニルエチ
ル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基等であ
る。また、アリール基としては、炭素数6〜10のもの
が好適であり、例えば、フェニル基、トリル基、キシリ
ル基、ナフチル基等が好適である。
【0055】さらに、前記一般式(IV)中、R4及びR5
で示される置換アミノ基は、一般式
【0056】
【化31】
【0057】(但し、R1及びR2は前記と同じである)
または、
【0058】
【化32】
【0059】(但し、R3は前記と同じである)で示さ
れるような、前記した縮合剤として使用される第1アミ
ン又は第2アミンから水素原子を除いた残基等で示され
る基である。
【0060】本発明において、上記一般式(IV)で示さ
れるスピロピラン化合物のうち、代表的なものを具体的
に例示すれば、次のような化合物を挙げることができ
る。
【0061】1)スピロ(2ービシクロ(3.3.1)
ノネン−9,2′−(2H)ベンゾ(h)クロメン) 2)スピロ(2ービシクロ(3.3.1)ノネン−9,
2′−(2H)ベンゾ(f)クロメン) 3)4′ーメチルスピロ(2ービシクロ(3.3.1)
ノネン−9,2′−(2H)ベンゾ(f)クロメン) 4)4’−モルホリノスピロ(2−ビシクロ〔3.3.
1〕ノネン−9,2’−(2H)ベンゾ(f)クロメン 5)3′ーメチルスピロ(2ービシクロ(3.3.1)
ノネン−9、2′−(2H)ベンゾ(f)クロメン) 6)3’,4’−ジメチルスピロ(2−ビシクロ〔3.
3.1〕ノネン−9,2’−(2H)ベンゾ(f)クロ
メン) 7)8’−シアノ−4′−ピロリジノスピロ(2−ビシ
クロ(3.3.1)ノネン−9,2′−(2H)ベンゾ
クロメン) 8)7′−エチル−5′−メトキシ−4′−モルホリノ
スピロ(2−ビシクロ(3.3.1)ノネン−9,2′
−(2H)ベンゾクロメン) 9)4′−ジエチルアミノ−5−ジメチルアミノスピロ
(2−ビシクロ(3.3.1)ノネン−9,2′−(2
H)ベンゾ(f)クロメン) 10)5′−クロロ−4′−(1,3−チアゾリノ)−
7−メトキシスピロ(2−ビシクロ(3.3.1)ノネ
ン−9,2′−(2H)ベンゾ(f)クロメン) 11)4′−(4−メチルピペラジノ)スピロ(2−ビ
シクロ(3.3.1)ノネン−9,2′−(2H)イソ
キノ(4,3−b)ピラン) 12)5,8,8−トリメチルスピロ(2−ビシクロ
(3.3.1)ノネン−9,2′−(2H)ピリド
(2,3−b)ピラン) 13)8′−シアノスピロ(2−ビシクロ(3.3.
1)ノネン−9,2′−(2H)クロメン) 14)7′−フェニル−5−nプロピルスピロ(2−ビ
シクロ(3.3.1)ノネン−9,2′−(2H)ベン
ゾ(h)クロメン)
【0062】15)7′−フェニル−5−クロロスピロ
(2−ビシクロ(3.3.1)ノネン−9,2′−(2
H)クロメン) 16)スピロ(2−ビシクロ(3.3.1)ノネン−
9,2′−(2H)ピリド(3,2−f)クロメン) 17)5,7,7−トリメチルスピロ(2−ビシクロ
(3.3.1)ノネン−9,2′−(2H)ジベンゾ
(f,h)クロメン) 18)10′−エトキシ−5,7,7−トリメチル−
7′−ニトロスピロ(2−ビシクロ(3.3.1)ノネ
ン−9,2′−(2H)ベンゾ(h)クロメン) 19)5,7,7−トリメチル−7′−トリフルオロメ
チル−10′−nペンチルスピロ(2−ビシクロ(3.
3.1)ノネン−9,2′−(2H)ベンゾ(h)クロ
メン) 20)5,10′−ジフェニルスピロ(2−ビシクロ
(3.3.1)ノネン−9,2′−(2H)ベンゾ
(f)クロメン) 21)7ーチエニルスピロ(2ービシクロ(3.3.
1)ノネン−9,2′−(2H)チエニルベンゾ(h)
クロメン) 22)5ートリフルオロメチルー10′−n−プロポキ
シスピロ(2−ビシクロ(3.3.1)ノネン−9,
2′−(2H)ピリド(2,3−h)クロメンン) 23)5−シアノ−7′−フラニルスピロ(2ービシク
ロ(3.3.1)ノネン−9,2′−(2H)(ベンゾ
(h))クロメン) 24)5−ブチル−7−フルオロ−6′−ブロモ−8′
−ヒドロキシスピロ(2−ビシクロ(3.3.1)ノネ
ン−9,2′−(2H)ベンゾ(f)クロメン) 25)7′−ジメチルアミノ−5−ベンジルスピロ(2
ービシクロ(3.3.1)ノネン−9,2′−(2H)
ベンゾ(h)クロメン) 26)5−エチル−8−エトキシスピロ(2−ビシクロ
(3.3.1)ノネン−9,2′−(2H)(ベンゾ
(b)チエノ(2,3−b)ピラン) 27)スピロ(2−ビシクロ(3.3.1)ノネン −
9,2′−(2H)メチルピロロ(2,3−b)ピラ
ン) 28)5−クロロ−4′−ベンジルスピロ(2−ビシク
ロ(3.3.1)ノネン−9,2′−(2H)キノ
(3,4−b)ピラン)
【0063】29)8′−シアノ−4′−n−ブチルス
ピロ(2−ビシクロ(3.3.1)ノネン−9,2′−
(2H)クロメン) 30)4′−フェニル−5.8.8−トリメチルスピロ
(2−ビシクロ(3.3.1)ノネン−9,2′−(2
H)ピリド(2,3−b)ピラン) 31)7’−フェニル−4’−エチル−5−nプロピル
スピロ(2−ビシクロ〔3.3.1〕ノネン−9,2’
−(2H)ベンゾ(h)クロメン) 32)4’−nブチルスピロ(2−ビシクロ〔3.3.
1〕ノネン−9,2’−(2H)ベンゾ(h)クロメ
ン) 33)3’−nプロピルスピロ(2−ビシクロ〔3.
3.1〕ノネン−9,2’−(2H)ベンゾ(f)クロ
メン) 34)3’−ベンジルメチルスピロ(2−ビシクロ
〔3.3.1〕ノネン−9,2’−(2H)ベンゾ
(f)クロメン) 35)3’−iプロピルスピロ(2−ビシクロ〔3.
3.1〕ノネン−9,2’−(2H)ベンゾ(f)クロ
メン) 36)3’−pメトキシフェニルスピロ(2−ビシクロ
〔3.3.1〕ノネン−9,2’−(2H)ベンゾ
(f)クロメン) 37)3’−エチルスピロ(2−ビシクロ〔3.3.
1〕ノネン−9,2’−(2H)キノ(3,4−b)ピ
ラン) 38)3’,4’−ジメチルスピロ(2−ビシクロ
〔3.3.1〕ノネン−9,2’−(2H)フロロ
(2,3−b)ピラン) 39)4’−エチル−3’−ベンジル−5’−ブロモス
ピロ(2−ビシクロ〔3.3.1〕ノネン−9,2’−
(2H)チエノ(2,3−b)ピラン) 40)3’−nプロピル−4’−ベンジルスピロ(2−
ビシクロ〔3.3.1〕ノネン−9,2’−(2H)ベ
ンゾ(f)クロメン) 41)3’−ベンジルメチル−4’−フェニルスピロ
(2−ビシクロ〔3.3.1〕ノネン−9,2’−(2
H)ベンゾ(f)クロメン) 42)3’,4’−ジエチルスピロ(2−ビシクロ
〔3.3.1〕ノネン−9,2’−(2H)ベンゾ
(h)クロメン)
【0064】本発明により得られる前記一般式(III)
で示されるスピロピロン化合物を原料に、一般式(IV)
で示されるスピロピラン化合物を製造する具体的手法
は、特に制限されるものではないが、例示すれば以下の
ような方法がある。例えば、一般式(IV)に於いて、R
4又はR5の少くとも一方が置換アミノ基である下記一般
式(V)
【0065】
【化33】 (但し、
【0066】
【化34】 及び
【0067】
【化35】
【0068】は、上記一般式(I)及び一般式(II)と
同じであり、R4及びR5は、夫々、同種又は異種の水素
原子又は置換アミノ基であり、少くとも一方は置換アミ
ノ基である)で示される化合物は、本発明で得られるス
ピロピロン化合物を、前記した一般式(I)で示される
化合物と一般式(II)で示される化合物との反応におい
て使用される縮合剤のような第1アミン又は第2アミン
と、かかる反応と同様な条件で反応させることにより得
られる。この場合、上記第1アミン又は第2アミンの使
用量は、スピロピロン化合物1モルに対して、通常0.
1〜10モルの範囲で使用するのが好適である。この方
法は、通常、上記一般式(I)で示される化合物と一般
式(II)で示される化合物とを反応させる本発明の方法
を、上記第1アミン又は第2アミンの存在下で実施した
後、さらに、必要に応じて該反応液に上記アミンを加え
反応を継続することにより行われる。こうした一般式
(V)で示される化合物を得る反応において反応時間
は、前記した一般式(I)で示される化合物と一般式(I
I)で示される化合物との反応の開始から数えて、都合
5〜20時間行うのが好適である。
【0069】前記一般式(IV)に於いて、R4及びR5
いずれもが水素原子である下記一般式(VI)
【0070】
【化36】 (但し、
【0071】
【化37】 及び
【0072】
【化38】
【0073】は、上記一般式(I)及び一般式(II)と
同じである)で示される化合物は、本発明で得られるス
ピロピロン化合物を還元剤と反応させて、下記一般式
【0074】
【化39】 (但し、
【0075】
【化40】 及び
【0076】
【化41】
【0077】は、一般式(I)および一般式(II)と同
じである)で示される化合物を得て、次いで、これを脱
水することにより得られる。ここで、上記還元剤として
は特に制限されるものではないが、通常、水素化ホウ素
ナトリウムや水素化リチウムアルミニウム等の水素化合
物などが用いられる。この還元剤は、スピロピロン化合
物1モルに対して、通常1〜10モルの範囲で使用する
のが好適である。上記還元反応の反応温度は、通常50
〜100℃が好ましく、反応時間は、通常1〜10時間
から採択される。この反応の溶媒としては、得に制限さ
れるものではないが、例えばメタノール、エタノール、
テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等の極性溶
媒を用いるのが好ましい。また、上記脱水は如何なる方
法により行っても良いが、通常は、上記還元反応終了
後、生成物を分離し、これを脱水剤を用いて脱水する方
法により行うのが好ましい。ここで、脱水剤としては特
に制限されるものではないが、通常、無水硫酸銅、塩
酸、硫酸マグネシウム、アルミナ等が使用される。この
脱水剤の使用量は、通常スピロピロン化合物1重量部に
対して0.1〜10重量部の範囲であるのが好適であ
る。脱水反応の反応温度は、通常50〜200℃が好ま
しく、反応時間は、通常0.1〜10時間から採択され
る。
【0078】前記一般式(IV)に於いて、R4がアルキ
ル基、アラルキル基、アリール基であり、R5が水素原
子である下記一般式(VII)
【0079】
【化42】 (但し、
【0080】
【化43】 及び
【0081】
【化44】
【0082】は、上記一般式(I)及び一般式(II)と
同じであり、R4は、アルキル基、アラルキル基、アリ
ール基である)で示される化合物は、本発明で得られる
スピロピロン化合物をハロゲン化アルキルマグネシウム
やアルキルリチウムなどの有機金属化合物と反応させて
下記一般式
【0083】
【化45】 (但し、
【0084】
【化46】 及び
【0085】
【化47】 は、上記一般式(I)及び一般式(II)と同じであり、
4は、アルキル基、アラルキル基、アリール基であ
る)で示される化合物を得て、次いで、これを脱水する
ことにより得られる。ここで、上記ハロゲン化アルキル
マグネシウムのハロゲンとしては、通常臭素、塩素、ヨ
ウ素等を用いるのが好適である。また、この有機金属化
合物は、スピロピロン化合物1モルに対して、通常1〜
10モルの範囲で使用するのが好適である。この反応の
反応温度は、通常−20〜70℃が好ましく、反応時間
は、通常0.1〜10時間から採択される。この反応の
溶媒としては、エチルエーテル、テトラヒドロフラン、
ジオキサン等のエーテル類を用いるのが好ましい。ま
た、該反応により得られた化合物を脱水する方法は、前
記した一般式(VI)で示される化合物を得る場合と同様
の方法により実施すれば良い。
【0086】また、前記一般式(IV)に於いて、R4
水素原子であり、R5がアルキル基、アラルキル基、ア
リール基である下記一般式(VIII)
【0087】
【化48】 (但し、
【0088】
【化49】 及び
【0089】
【化50】
【0090】は、上記一般式(I)及び一般式(II)と
同じであり、R2は、アルキル基、アラルキル基、アリ
ール基である)で示される化合物は、まず、前述の一般
式(V)で示されるスピロピラン化合物の製法を実施
し、次いで、得られた一般式(V)で示されるスピロピ
ラン化合物のうちR4が置換アミノ基でありR5が水素原
子である化合物とハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリ
ール、ハロゲン化アラルキルとを反応させて、下記一般
式(IX)
【0091】
【化51】 (但し、
【0092】
【化52】 及び
【0093】
【化53】
【0094】は、一般式(I)および一般式(II)と同
様であり、R5は、アルキル基、アラルキル基、アリー
ル基である)で示される化合物を得る。そして、これを
還元剤で還元し、さらに脱水することにより得られる。
ここで、上記ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリー
ル、ハロゲン化アラルキルのハロゲンとしては、通常、
ヨウ素、臭素、塩素等を用いるのが好適である。また、
これらのハロゲン化合物は、スピロピロン化合物1モル
に対して、通常1〜10モルの範囲で使用するのが好適
である。この一般式(IX)で示される化合物を得る反応
の反応温度は、通常−20〜50℃が好ましく、反応時
間は、通常0.1〜10時間から採択される。なお、こ
の反応の溶媒としては、得に制限されるものではない
が、例えばメタノール、エタノール、トルエン、テトラ
ヒドロフラン等の極性溶媒を用いるのが好ましい。ま
た、以上により得られた一般式(IX)で示される化合物
を還元剤で還元し、さらにこれを脱水する方法は、前記
した一般式(VI)で示される化合物を得る場合と同様の
方法により実施すれば良い。
【0095】さらに、上記(IX)で示される化合物を、
前記した一般式(VII)で示される化合物を得る場合と
同様にハロゲン化アルキルマグネシウムなどの有機金属
化合物と反応させ、次いでこれを脱水することにより、
前記一般式(IV)に於いて、R4及びR5が夫々同種又は
異種のアルキル基、アラルキル基、アリール基である下
記一般式(X)
【0096】
【化54】 (但し、
【0097】
【化55】 及び
【0098】
【化56】
【0099】は、上記一般式(I)及び一般式(II)と
同じであり、R4及びR5は、夫々同種又は異種のアルキ
ル基、アラルキル基、アリール基である)で示される化
合物が得られる。
【0100】以上のような方法で得られる、上記一般式
(IV)で示されるスピロピラン化合物は、一般に常温常
圧で無色、あるいは淡黄色の固体または粘稠な液体とし
て存在し、次の(イ)〜(ハ)のような手段で確認でき
る。
【0101】(イ)プロトン核磁気共鳴スペクトル(H
1−NMR)を 測定することにより、分子中に存在する
プロトンの種類と個数を知ることができる。すなわち、
δ7〜8.5ppm付近にアロマティックなプロトンに
基づくピーク、δ1.2〜3.5ppm付近および5.
3〜5.7ppm付近に2−ビシクロ〔3.3.1〕9
−ノネニリデン基に由来するプロトンに基づく幅広いピ
ーク、R1、R2が水素原子であるときにはδ5.5〜
7.0ppm付近にアルケンのプロトンに基づくピーク
が現れる。また、それぞれのδピーク強度を相対的に比
較することにより、それぞれの結合基のプロトンの個数
を知ることができる。
【0102】(ロ)元素分析によって炭素、水素、窒
素、イオウ、ハロゲンの各重量%を求めることができ
る。さらに、認知された各元素の重量%の和を100か
ら減ずることにより、酸素の重量%を算出することがで
きる。従って、相当する生成物の組成を決定することが
できる。
【0103】(ハ)13C−核磁気共鳴スペクトル(13
−NMR)を測定することにより、分子中に存在する炭
素の種類を知ることができる。δ27〜52ppm付近
に2−ビシクロ〔3.3.1〕9−ノネニリデン基の炭
素に由来するピーク、R4およびR5がアルキル基である
場合にはδ15〜35ppm付近にアルキル基の炭素に
基づくピーク、δ110〜150ppm付近に芳香族炭
化水素基又は不飽和複素環基の炭素に基づくピークが現
われる。
【0104】また、この一般式(IV)で示されるスピロ
ピラン化合物は、トルエン、クロロホルム、テトラヒド
ロフラン等の一般の有機溶媒に良く溶ける。このような
溶媒に一般式(IV)で示されるスピロピラン化合物を溶
かしたとき、一般に溶液はほぼ無色透明であり、太陽光
あるいは紫外線を照射すると発色あるいは濃色にすみや
かに変化し、光を遮断すると速やかに元の無色にもどる
良好な可逆的なフォトクロミック作用を呈する。このよ
うな一般式(IV)の化合物におけるフォトクロミック作
用は、高分子固体マトリックス中でも起こり、可逆スピ
ードは秒のオーダーで起こる。かかる対象となる高分子
マトリックスとしては、この一般式(IV)で示されるス
ピロピラン化合物が均一に分散するものであればよく、
光学的に好ましくは、例えばポリアクリル酸メチル、ポ
リアクリル酸エチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメ
タクリル酸エチル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリ
ル、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリ
(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリジメチ
ルシロキサン、ポリカーボネート、ポリ(アリルジグリ
コールカーボネート)などのポリマー、あるいはこれら
のポリマーを形成するモノマー相互または該モノマーと
他のモノマーとを共重合してなるポリマーなどが好適に
用いられる。
【0105】以上から、本発明の方法により得られたス
ピロピロン化合物を原料として製造したスピロピラン化
合物は、フォトクロミック材として広範囲に利用でき、
例えば、銀塩感光材に代る各種の記憶材料、複写材料、
印刷用感光体、陰極線管用記録材料、レーザー用感光材
料、ホログラフィー用感光材料などの種々の記録材料と
して利用できる。その他、このスピロピラン化合物を用
いたフォトクロミック材は、フォトクロミックレンズ材
料、光学フィルター材料、ディスプレイ材料、光量計、
装飾などの材料としても利用できる。例えば、フォトク
ロミックレンズに使用する場合には、均一な調光性能が
得られる方法であれば特に制限がなく、具体的に例示す
るならば、本発明のフォトクロミック材を均一に分散し
てなるポリマーフィルムをレンズ中にサンドウィッチす
る方法、あるいは、この化合物を、例えばシリコーンオ
イル中に溶解して150〜200℃で10〜60分かけ
てレンズ表面に含浸させ、さらにその表面を硬化性物質
で被覆し、フォトクロミックレンズにする方法などがあ
る。さらに、上記ポリマーフィルムをレンズ表面に塗布
し、その表面を硬化性物質で被覆し、フォトクロミック
レンズにする方法なども考えられる。
【0106】このようなフォトクロミックレンズに使用
する場合、常温付近で太陽光によって濃く発色するフォ
トクロミック材が好ましい。このようなフォトクロミッ
クレンズに好ましい化合物は、前記一般式(IV)中、
【0107】
【化57】
【0108】が、ナフタレン環、フェナントレン環、ピ
リジン環およびキノリン環から誘導される2価の基であ
る化合物である。就中、R4及びR5がともに水素原子で
ある化合物は特に濃く発色し、しかも退色速度が早いと
いう特長を有する。
【0109】また、前記した一般式(IV)中のR4又は
5の各置換基を選択することにより、一般式(IV)の
化合物の退色速度を変えることができる。例えば、R4
及びR5がアルキル基の場合、恐らく、その発色状態の
トランス型をとりにくくなる為だと思われるが、早い退
色速度が得られる。又、R4が置換アミノ基の場合は、
発色状態のトランス型が共鳴によって安定化され、濃い
発色濃度が得られる反面、退色速度が少し遅くなるとい
う傾向がある。これらのR4及びR5の各置換基は、目的
に応じて任意に選択することができる。
【0110】
【発明の効果】本発明の方法により得られるスピロピロ
ン化合物は、ベンゾピラン環やナフトピラン環等の2位
の位置に結合する基が2−ビシクロ〔3.3.1〕9−
ノネニリデン基である。その結果、このスピロピロン化
合物は、極めて良好な収率で得ることができる。
【0111】そうして、このスピロピロン化合物を原料
として生産される前記一般式(IV)等で示されるスピロ
ピラン化合物は、常温またはそれよりも幾分高い温度領
域(10〜40℃)において、紫外線の照射により無色
から黄〜オレンジ色に発色し、また、発色した状態から
無色の状態へ短時間で戻り、また、その発色濃度も濃
く、優れたフォトクロミック性を有する。従って、本発
明は、こうしたスピロピラン化合物を効率良く製造する
に際し、その原料となるスピロピロン化合物を収率良く
得る方法として、極めて有用である。
【0112】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。
【0113】実施例1 1−ヒドロキシ−2−アセトナフトン11.16g
(0.06mol)と2−ビシクロ〔3.3.1〕ノネ
ン−9−オン8.16g(0.06mol)とピロリジ
ン8g(0.113mol)とをトルエン300ccに
溶解した溶液を調製した。この混合物を10時間沸騰さ
せ、共沸脱水することにより水を分離した。反応終了
後、トルエンを減圧下で除去し、残った生成物をアセト
ンで結晶化させ、下記式のスピロピロン化合物15.6
g(収率85%)を得た。
【0114】
【化58】
【0115】この化合物の元素分析値は、C82.89
%,H6.62%,O10.49%であって、C2120
2に対する計算値であるC82.68%、H6.61
%、O10.51%に極めてよく一致した。また、プロ
トン核磁気共鳴スペクトル(図1)を測定したところ、
δ7.2〜8.3ppm付近にナフタレン環のプロトン
に基づく4Hのピーク、δ5.3〜6.7ppm付近に
アルケンのプロトンに基づく2Hのピーク、δ1.2〜
3.5ppm付近に2−ビシクロ〔3.3.1〕9−ノ
ネニリデン基のプロトンおよびスピロピロン環の3位の
プロトンに基づく12Hの幅広いピークを示した。さら
13C核磁気共鳴スペクトルを測定したところ、δ25
〜55ppm付近に2−ビシクロ〔3.3.1〕9−ノ
ネニリデン基の炭素に基づくピークおよびスピロピロン
環の3位の炭素に基づくピーク、δ110〜160pp
m付近にナフタレン環の炭素の基づくピーク、δ80〜
140ppm付近にアルケンの炭素に基づくピークが現
れる。上記の結果から、単離生成物は上記の構造式で示
される化合物であることを確認した。
【0116】実施例2 1−アセチル−2−ナフトール11.16g(0.06
mol)と2−ビシクロ〔3.3.1〕ノネン9−オン
8.16g(0.06mol)とモルホリン8.7g
(0.1mol)とをトルエン300ccに溶解した溶
液を調整した。この混合物を5時間沸騰させ、共沸脱水
することにより、水を分離した。反応終了後、トルエン
を減圧下で除去し、残った生成物をアセトンで再結晶さ
せ、下記式のスピロピロン化合物14.6g(収率80
%)を得た。
【0117】
【化59】
【0118】この化合物の元素分析値は、C82.84
%,H6.63%,O10.51%であって、C2120
2に対する計算値であるC82.68%、H6.61
%、O10.51%に極めてよく一致した。また、プロ
トン核磁気共鳴スペクトル(図1)を測定したところ、
δ7.2〜8.3ppm付近にナフタレン環のプロトン
に基づく4Hのピーク、δ5.3〜6.7ppm付近に
アルケンのプロトンに基づく2Hのピーク、δ1.2〜
3.5ppm付近に2−ビシクロ〔3.3.1〕9−ノ
ネニリデン基のプロトンおよびスピロピロン環の3位の
プロトンに基づく12Hの幅広いピークを示した。さら
13C核磁気共鳴スペクトルを測定したところ、δ25
〜55ppm付近に2−ビシクロ〔3.3.1〕9−ノ
ネニリデン基の炭素に基づくピークおよびスピロピロン
環の3位の炭素に基づくピーク、δ110〜160pp
m付近にナフタレン環の炭素の基づくピーク、δ80〜
140ppm付近にアルケンの炭素に基づくピークが現
れる。上記の結果から、単離生成物は上記の構造式で示
される化合物であることを確認した。
【0119】実施例3 実施例2と同様の反応を実施後、水を分離して得た反応
液に、6.1gの濃塩酸を混合し、水洗した後、有機層
を分離した。次いで、トルエンを減圧下で除去し、残っ
た生成物をアセトンで再結晶させたところ、上記式のス
ピロピロン化合物は、15.6g(収率85%)得られ
た。
【0120】実施例4〜26 比較例1〜8 実施例1と同様にして表1及び表2に示した原料から種
々のスピロピロン化合物を合成した。得られた実施例4
〜26のスピロピロン化合物について、実施例1と同様
な構造確認の手段を用いて構造解析した結果、表1に示
す構造式で示される化合物であることを確認した。ま
た、表3にこの化合物の元素分析値、各化合物の構造式
から求めた計算値、及びプロトン核磁気共鳴スペクトル
の特性吸収を示した。
【0121】
【表1】
【0122】
【表2】
【0123】
【表3】
【0124】
【表4】
【0125】
【表5】
【0126】
【表6】
【0127】
【表7】
【0128】
【表8】
【0129】
【表9】
【0130】
【表10】
【0131】
【表11】
【0132】
【表12】
【0133】
【表13】
【0134】応用例1 実施例1で得られた下記式のスピロピロン化合物15.
6g(0.051mol)
【0135】
【化60】
【0136】をメタノール200ccに溶解させ、65
℃の温度下で3.42gの水素化ホウ素ナトリウム
(0.09mol)を徐々に添加して都合4時間反応さ
せ、4−ヒドロキシピラン化合物にした。この4−ヒド
ロキシピラン化合物17.4gを二酸化炭素気流中で無
水硫酸銅15gと共に150〜160℃で10分間加熱
し、茶色の粘稠な液体をシリカゲル上でのクロマトグラ
フィーにより精製することにより、下記式のスピロピラ
ン化合物13.3gを得た。このスピロピラン化合物の
1−ヒドロキシ−2−アセトナフトンの使用量に対する
収率は77%であった。
【0137】
【化61】
【0138】この化合物の元素分析値は、C87.34
%、H7.04%、O5.62%であって、C2120
に対する計算値であるC87.46%、H6.99%、
O5.55%に極めてよく一致した。また、プロトン核
磁気共鳴スペクトル(図2)を測定したところ、δ7.
2〜8.3ppm付近にナフタレン環のプロトンに基づ
く6Hのピーク、δ5.3〜6.7ppm付近にアルケ
ンのプロトンに基づく4Hのピーク、δ1.2〜3.0
ppm付近に2−ビシクロ〔3.3.1〕9−ノネニリ
デン基のプロトンに基づく10Hの幅広いピークを示し
た。さらに13C−核磁気共鳴スペクトルを測定したとこ
ろ、δ25〜55ppm付近に2−ビシクロ〔3.3.
1〕9−ノネニリデン基の炭素に基づくピーク、δ11
0〜160ppm付近にナフタレン環の炭素に基づくピ
ーク、δ80〜140ppm付近にアルケンの炭素に基
づくピークが現われる。上記の結果から、単離生成物
は、上記の構造式で示される化合物であることを確認し
た。
【0139】応用例2 実施例2で得られた下記式のスピロピロン化合物14.
6g(0.048mol)
【0140】
【化62】
【0141】をメタノール200ccに溶解させ、65
℃の温度下で2.74gの水素化リチウムアルミニウム
(0.072mol)を添加して4時間反応させ、4−
ヒドロキシピラン化合物にした。この4−ヒドロキシピ
ラン化合物14.0gを二酸化炭素気流中で無水硫酸銅
15gと共に170〜180℃で10分間加熱し、茶色
の粘稠な液体をシリカゲル上でクロマトグラフィーによ
り精製し、下記式のスピロピラン化合物12.6gを得
た。このスピロピラン化合物の1−アセチル−2−ナフ
トールの使用量に対する収率は72%であった。
【0142】
【化63】
【0143】この化合物の元素分析値は、C87.36
%、H7.02%、O5.62%であって、C2120
に対する計算値であるC87.46%、H6.99%、
O5.55%に極めてよく一致した。また、プロトン核
磁気共鳴スペクトルを測定したところ、δ7.2〜8.
3ppm付近にナフタレン環のプロトンに基づく6Hの
ピーク、δ5.5〜7.0ppm付近にアルケンのプロ
トンに基づく4Hのピーク、δ1.2〜3.0ppm付
近に2−ビシクロ〔3.3.1〕9−ノネニリデン基の
プロトンに基づく10Hの幅広いピークを示した。さら
に、13C−核磁気共鳴スペクトルを測定したところ、δ
27〜55ppm付近に2−ビシクロ〔3.3.1〕9
−ノネニリデン基の炭素に基づくピーク、δ110〜1
60ppm付近にナフタレン環の炭素に基づくピーク、
δ80〜140ppm付近にアルケンの炭素に基づくピ
ークが現れる。上記の結果から、単離生成物は、上記の
構造式で示される化合物であることを確認した。
【0144】応用例3 実施例2と同様にして得られた下記式のスピロピロン化
合物3.04g(0.01mol)
【0145】
【化64】
【0146】を無水エーテル50ccに溶解し、0℃ま
でその溶液を冷やし、無水エーテル50cc中で新たに
調製したグリニャール試薬CH3 MgI(0.012m
ol)をその溶液中に約1時間を要して滴下した。滴下
終了後、室温でさらに2時間攪拌した後、冷水中にその
エーテル溶液を静かに注ぎ、エーテルで生成物を抽出
し、硫酸マグネシウムでその溶液を乾燥後、減圧下でエ
ーテルを除去し、スピロピロン化合物を4−ヒドロキシ
ピラン化合物に変えた。次いで、この4−ヒドロキシピ
ラン化合物2.9gを二酸化炭素気流中で無水硫酸銅3
gと共に200℃で約10分間加熱し、茶色な粘稠な液
体をシリカゲル上でクロマトグラフィーにより精製し、
下記式のスピロピラン化合物2.57gを得た。このス
ピロピラン化合物の1−アセチル−2−ナフトールの使
用量に対する収率は68%であった。
【0147】
【化65】
【0148】実施例1と同様に元素分析、プロトン核磁
気共鳴スペクトル、13C−核磁気共鳴スペクトルの測定
によって、この化合物が、上記の構造式で示される化合
物であることを確認した。表5にこの化合物の元素分析
値及び化合物の組成式より計算される計算値を示した。
【0149】応用例4 実施例2と同様にして下記式のスピロピロン化合物3
0.4g(0.1mol)
【0150】
【化66】
【0151】を製造させた反応液に、さらにモルホリン
8.7g(0.1mol)を加え、反応を10時間継続
した。反応終了後、トルエンを減圧下で除去し、残った
生成物をアセトンで再結晶させ、下記式で示させる化合
物35.3gを得た。このスピロピラン化合物の1−ア
セチル−2−ナフトールの使用量に対する収率は82%
であった。
【0152】
【化67】
【0153】実施例1と同様に、元素分析、プロトン核
磁気共鳴スペクトル、13C−核磁気共鳴スペクトルの測
定によって、この化合物が、上記の構造式で示される化
合物であることを確認した。表5にこの化合物の元素分
析値及び化合物の組成式から計算される計算値を示し
た。
【0154】応用例5 応用例4で得たスピロピラン化合物17.9g(0.0
52mol)をメタノール100ccに溶解させ、10
℃の温度下で8.12gのヨウ化メチル(0.057m
ol)と5時間反応させることにより、下記式で示され
るスピロピロン化合物15.6gを得た。
【0155】
【化68】
【0156】次いで、この生成したスピロピロン化合物
を応用例1と同様にして、4−ヒドロキシピラン化合物
に変え、脱水反応を行ない、分離、精製後、下記式のス
ピロピラン化合物13.3gを得た。このスピロピラン
化合物の1−アセチル−2−ナフトールの使用量に対す
る収率は68%であった。
【0157】
【化69】
【0158】実施例1と同様に、元素分析、プロトン核
磁気共鳴スペクトル、13C−核磁気共鳴スペクトルの測
定によって、この化合物が、上記の構造式で示される化
合物であることを確認した。表5にこの化合物の元素分
析値及び化合物の組成式から計算される計算値を示し
た。
【0159】応用例6 応用例5と同様にして得た下記のスピロピロン化合物1
5.6g(0.049mol)
【0160】
【化70】
【0161】を応用例3と同様にしてCH3MgIと反
応させ、次いで、脱水反応を行うことにより、下記式の
スピロピラン化合物を13.2g得た。このスピロピラ
ン化合物の1−アセチル−2−ナフトールの使用量に対
する収率は68%であった。
【0162】
【化71】
【0163】実施例1と同様に、元素分析、プロトン核
磁気共鳴スペクトル、13C−核磁気共鳴スペクトルの測
定によって、この化合物が、上記の構造式で示される化
合物であることを確認した。表5にこの化合物の元素分
析値及び化合物の組成式から計算される計算値を示し
た。
【0164】応用例7〜42 応用例1〜6と同様にして、実施例4〜26で得た表4
に示したスピロピロン化合物からの、種々のスピロピラ
ン化合物の合成を実施した。但し、表中、実施例7〜1
1は応用例4と同様に、応用例12〜27は応用例1ま
たは2と同様に、また、応用例28〜32は応用例3と
同様に、応用例33〜37は応用例5と同様に、応用例
38〜42は応用例6と同様に行った。得られた生成物
について、実施例1と同様な構造確認の手段を用いて構
造解析した結果、表3に示す構造式で示される化合物で
あることを確認した。また、表5にこの化合物の元素分
析値、各化合物の構造式から求めた計算値、および赤外
吸収スペクトルの特性吸収を示した。
【0165】
【表14】
【0166】
【表15】
【0167】
【表16】
【0168】
【表17】
【0169】
【表18】
【0170】
【表19】
【0171】
【表20】
【0172】
【表21】
【0173】
【表22】
【0174】
【表23】
【0175】
【表24】
【0176】
【表25】
【0177】
【表26】
【0178】
【表27】
【0179】
【表28】
【0180】
【表29】
【0181】応用例43 応用例1で合成した下記式のスピロピラン化合物を
【0182】
【化72】
【0183】ポリメタクリル酸メチル中にベンゼンを用
いて溶解分解させ、スライドグラス(11.2×3.7
cm)上でキャストフィルムをつくった。このフィルム
中に含まれる上記化合物の濃度は、1.0×10-4mo
l/gに調整し、厚みは0.1mmになるようにした。
このフォトクロミックフィルムに東芝(株)製の水銀ラ
ンプSHL−100を25℃±1℃で距離10cmで6
0秒間照射し、このフィルムを発色させ、フォトクロミ
ック特性を測定した。フォトクロミック特性は次のよう
なもので表した。結果を表6に示した。 最大吸収波長(λmax);(株)日立製作所の分光光
度計220Aを用いてこの発色フィルムのλmaxを求
めた。 ε(60秒) ;最大吸収波長における、こ
のフィルムの上記条件下での光照射60秒間後の吸光
度。 ε(0秒) ;光照射時の最大吸収波長に
おける、未照射フィルムの吸光度。 半減期t1/2 ;60秒間の光照射後、この
フィルムの吸光度が、{ε(60秒)−ε(0秒)}の
1/2まで低下するのに要する時間。
【0184】応用例43〜84 応用例1と同様にして、応用例2〜42で製造した化合
物のフォトクロミック特性を測定した。結果を表6に示
した。
【0185】
【表30】
【0186】
【表31】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、実施例1で得られたスピロピロン化
合物のプロトン核磁気共鳴スペクトルのチャートであ
る。
【図2】 図2は、応用例1で得られたスピロピラン化
合物のプロトン核磁気共鳴スペクトルのチャートであ
る。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年11月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0090
【補正方法】変更
【補正内容】
【0090】は、上記一般式(I)及び一般式(II)と
同じであり、5 は、アルキル基、アラルキル基、アリ
ール基である)で示される化合物は、まず、前述の一般
式(V)で示されるスピロピラン化合物の製法を実施
し、次いで、得られた一般式(V)で示されるスピロピ
ラン化合物のうちR4が置換アミノ基でありR5が水素原
子である化合物とハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリ
ール、ハロゲン化アラルキルとを反応させて、下記一般
式(IX)
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0101
【補正方法】変更
【補正内容】
【0101】(イ)プロトン核磁気共鳴スペクトル(H
1−NMR)を 測定することにより、分子中に存在する
プロトンの種類と個数を知ることができる。すなわち、
δ7〜8.5ppm付近にアロマティックなプロトンに
基づくピーク、δ1.2〜3.5ppm付近および5.
3〜5.7ppm付近に2−ビシクロ〔3.3.1〕9
−ノネニリデン基に由来するプロトンに基づく幅広いピ
ーク、4 、R5 が水素原子であるときにはδ5.5〜
7.0ppm付近にアルケンのプロトンに基づくピーク
が現れる。また、それぞれのδピーク強度を相対的に比
較することにより、それぞれの結合基のプロトンの個数
を知ることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0118
【補正方法】変更
【補正内容】
【0118】この化合物の元素分析値は、C82.84
%,H6.63%,O10.51%であって、C2120
2に対する計算値であるC82.68%、H6.61
%、O10.51%に極めてよく一致した。また、プロ
トン核磁気共鳴スペクトルを測定したところ、δ7.2
〜8.3ppm付近にナフタレン環のプロトンに基づく
4Hのピーク、δ5.3〜6.7ppm付近にアルケン
のプロトンに基づく2Hのピーク、δ1.2〜3.5p
pm付近に2−ビシクロ〔3.3.1〕9−ノネニリデ
ン基のプロトンおよびスピロピロン環の3位のプロトン
に基づく12Hの幅広いピークを示した。さらに13C核
磁気共鳴スペクトルを測定したところ、δ25〜55p
pm付近に2−ビシクロ〔3.3.1〕9−ノネニリデ
ン基の炭素に基づくピークおよびスピロピロン環の3位
の炭素に基づくピーク、δ110〜160ppm付近に
ナフタレン環の炭素の基づくピーク、δ80〜140p
pm付近にアルケンの炭素に基づくピークが現れる。上
記の結果から、単離生成物は上記の構造式で示される化
合物であることを確認した。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0129
【補正方法】変更
【補正内容】
【0129】
【表9】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0130
【補正方法】変更
【補正内容】
【0130】
【表10】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0131
【補正方法】変更
【補正内容】
【0131】
【表11】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07D 491/052 7019−4C 493/04 106 A 495/04 101 G03C 1/685 // C09K 9/02 B

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I) 【化1】 (但し、 【化2】 は、置換若しくは非置換の芳香族炭化水素基又は置換若
    しくは非置換の不飽和複素環基である)で示される化合
    物と下記一般式(II) 【化3】 (但し、 【化4】 は、置換若しくは非置換の2−ビシクロ〔3.3.1〕
    9−ノネニリデン基である)で示される化合物とを反応
    させることを特徴とする下記一般式(III) 【化5】 (但し、 【化6】 及び 【化7】 は、上記一般式(I)及び一般式(II)と同じである)
    で示されるスピロピロン化合物の製造方法。
JP6053590A 1994-03-24 1994-03-24 スピロピロン化合物の製造方法 Pending JPH07258245A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7094368B2 (en) 2003-12-10 2006-08-22 Transitions Optical, Inc. Pyrano-quinolines, pyrano-quinolinones, combinations thereof, photochromic compositions and articles
WO2011115125A1 (ja) 2010-03-19 2011-09-22 富士フイルム株式会社 発色感光性組成物、平版印刷版原版及びその製版方法

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