JPH0745490B2 - スピロピラン化合物及びその製造方法 - Google Patents

スピロピラン化合物及びその製造方法

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JPH0745490B2
JPH0745490B2 JP63220387A JP22038788A JPH0745490B2 JP H0745490 B2 JPH0745490 B2 JP H0745490B2 JP 63220387 A JP63220387 A JP 63220387A JP 22038788 A JP22038788 A JP 22038788A JP H0745490 B2 JPH0745490 B2 JP H0745490B2
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    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03CPHOTOSENSITIVE MATERIALS FOR PHOTOGRAPHIC PURPOSES; PHOTOGRAPHIC PROCESSES, e.g. CINE, X-RAY, COLOUR, STEREO-PHOTOGRAPHIC PROCESSES; AUXILIARY PROCESSES IN PHOTOGRAPHY
    • G03C1/00Photosensitive materials
    • G03C1/685Compositions containing spiro-condensed pyran compounds or derivatives thereof, as photosensitive substances

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、太陽光もしくは水銀灯の光のような紫外線を
含む光で無色から着色もしくは濃色した形態に変化し、
その変化が可逆的で優れた耐久性を示す新規なスピロピ
ラン化合物に関する。
(従来技術および発明が解決しようとする課題) フォトクロミズムとは、ここ数年来注目をひいてきた現
象であって、ある化合物に太陽光あるいは水銀灯の光の
ような紫外線を含む光を照射すると速やかに色が変わ
り、光の照射をやめて暗所におくと元の色にもどる可逆
作用のことである。この性質を有する化合物は、フォト
クロミック化合物と呼ばれ従来から色々な化合物が合成
されてきたが、その構造には特別な共通の構造は認めら
れない。
特開昭63−66178号公報には、ベンゾピラン環又はナフ
トピラン環の2位の位置にアダマンチリデン基が存在し
ているスピロアダマンタン化合物が記載されている。こ
れらのスピロアダマンタン化合物は、常温付近(10〜40
℃)でもフォトクロミック性を示す化合物であり、一般
に無色から黄〜オレンジ色へ変化することが知られてい
る。しかしながら、これらのスピロアダマンタン化合物
は、その崇高なアダマンチリデン基のためと考えられる
が、着色形が比較的安定であり、周囲温度による退色速
度があまり速くない。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、上記した化合物のフォトクロミック性を
更に向上させるために鋭意研究を重ねた結果、新規なス
ピロピラン化合物の合成に成功し、該スピロピラン化合
物は退色速度が速いことを見出し、本発明を完成させる
至った。
即ち、本発明は、一般式(I) 置換若しくは非置換のノルボルニリデン基であり、 置換若しくは非置換の芳香族炭化水素基又は置換若しく
は非置換の不飽和複素環基であり、R1は水素原子、アル
アルキル基、アリール基又は置換アミノ基、R2は水素原
子、アルキル基、アルアルキル基、アリール基又は置換
アミノ基である。〕 で示されるスピロピラン化合物である。
上記一般式〔I〕中、 で示される基は、 もしくは置換ノルボルニリデン基を表わし、縮合反応を
するものであれば特に限定されない。その置換基の具体
例としては、例えば、ヒドロキシ基;メチルアミノ基、
ジエチルアミノ基等の置換アミノ基;メトキシ基、エト
キシ基、tert−ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキ
シ基;ベンジルオキシ基等の炭素数7〜15のアラルコキ
シ基;フェノキシ基、1−ナフトキシ基等の炭素数6〜
14のアリールオキシ基;メチル基、エチル基、t−ブチ
ル基等の炭素数1〜4の低級アルキル基;フッ素、塩
素、シュウ素等のハロゲン原子;シアノ基;カルボキシ
ル基;エトキシカルボニル基等の炭素数2〜10のアルコ
キシカルボニル基;トリフルオロメチル基等の炭素数1
または2のハロゲン置換アルキル基;ニトロ基;フェニ
ル基、トリル基等のアリール基;フェニルエチル基、フ
ェニルプロピル基等のアルアルキル基等が挙げられ、ま
た、これらの置換基は1置換体として含まれるもののみ
ならず、2置換以上の複数個の置換基を有する多置換体
として含まれてもよく、さらには多置換体における置換
基は同種であっても、異種であっても何ら支障はなく、
置換基の位置については目的あるいは用途に応じて変え
られる。
前記一般式(I)中、 で示される基は、置換若しくは非置換の芳香族炭化水素
基又は置換若しくは非置換のの不飽和複素環基である。
芳香族炭化水素基をより具体的に例示すると、フェニレ
ン基、ナフチレン基、フェナンスリレン基、トリレン
基、キシリレン基などのベンゼン環1個または、その2
〜4個の縮合環よりなる非置換の芳香族炭化水素基が挙
げられ、また、上記の芳香族炭化水素基にアルコキシ
基、水酸基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル
基、置換アミノ基、ハロゲン原子、又は、複素環基が1
個または2個以上置換した置換芳香族炭化水素基を挙げ
ることができる。また、 で示される上記の不飽和複素環基としては、酸素、イオ
ウ、窒素原子を含む5員環、6員環またはこれらにベン
ゼン環が縮合した複素環基が挙げられる。具体的には、
ピリジレン基、キノリレン基、ピロリレン基等の含窒素
複素環基;フリレン基及びベンゾフリレン基等の含酸素
複素環基;チェニレン基、ベンゾチェニレン基等の含イ
オウ複素環基などである。さらに、これらの不飽和複素
環基に、前記した芳香族炭化水素基の説明で述べた置換
基が置換した置換不飽和複素環基も、本発明に於いて何
ら制限なく採用される。
さらに、前記一般式(I)中、R1は水素原子、アルアル
キル基、アリール基又は置換アミノ基であり、これらの
うちアルアルキル基は、一般に炭素数1〜10、好ましく
は1〜4のアルキレン基を有するものが好適である。具
体的に例示すると、ベンジル基、フェニルエチル基、フ
ェニルプロピル基、フェニルブチル基等である。またア
リール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キ
シリル基、ナフチル基等が好適である。またR2は、水素
原子、アルキル基、アルアルキル基、アリール基、又は
置換アミノ基である。上記のアルキル基は、特に限定さ
れないが、一般には炭素数1〜20、好ましくは1〜6の
アルキル基が好適に使用される。アルアルキル基のアル
キル基は、一般に炭素数1〜10、好ましくは1〜4のも
のが好適である。これらアルキル基及びアルアルキル基
をより具体的に例示すると、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、ベンジル基、フェニルエチル基、フ
ェニルプロピル基、フェニルブチル基等である。また、
アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、
キシリル基、ハフチル基等が好適である。
さらに、前記一般式〔I〕中、R1及びR2で示される置換
アミノ基は、 で示される。ここでR3、R4で示される基は、R3とR4の内
いずれか一方が水素原子で他はアルキル基であるか、又
は、それぞれ同一又は異なったアルキル基を示す。該ア
ルキル基としては、特に限定されないが、具体的には、
上記したアルキル基の例と同様な基を採用することがで
きる。さらに、R5は、テトラメチレン基、ペンタメチレ
ン基などの炭素原子数3〜6のアルキレン基、 −CH2OCH2CH2−、−CH2CH2OCH2CH2−、−CH2O(CH2)
3−、などの炭素原子数3〜6のオキシアルキレン基、 −CH2SCH2CH2−、−CH2S(CH2)3−、 −CH2CH2SCH2CH2−、などの炭素原子数3〜6のチオア
ルキレン基、 などの炭素原子数3〜6のゾアルキレン基等が好適に採
用される。
本発明の上記した一般式(I)で示される化合物は、一
般に常温常圧で無色、あるいは淡黄色の固体または粘稠
な液体として存在し、次の(イ)〜(ハ)のような手段
で確認できる。
(イ)プロトン核磁気共鳴スペクトル(H1−NMR)を測
定することにより、分子中に存在するプロトンの種類と
個数を知ることができる。すなわち、δ7〜8.5ppm付近
にアロマティックなプロトンに基づくピーク、δ1.2〜
2.5ppm付近にノルボルニリデン基に由来するプロトンに
基づく幅広いピーク、R1、R2が水素原子であるときには
δ5.5〜7.0ppm付近にアルケンのプロトンに基づくピー
クが現われる。また、それぞれのδピーク強度を相対的
に比較することにより、それぞれの結合基のプロトンの
個数を知ることができる。
(ロ)元素分析によって炭素、水素、窒素、イオウ、ハ
ロゲンの各重量%を求めることができる。さらに、認知
された各元素の重量%の和を100から減ずることによ
り、酸素の重量%を算出することができる。従って、相
当する生成物の組成を決定することができる。
(ハ)13C−核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定
することにより、分子中に存在する炭素の種類を知るこ
とができる。δ27−52ppm付近にノルボルニリデン基の
炭素に由来するピーク、R2がアルキル基である場合には
δ15〜35ppm付近にアルキル基の炭素に基づくピーク、
δ110〜150ppm付近に芳香族炭化水素基又は不飽和複素
環基の炭素に基づくピークが現われる。
本発明の一般式(I)で示される化合物の製造方法は、
特に限定されず如何なる合成法によって得ても良い。一
般に好適に採用される代表的な方法を以下に説明する。
下記の一般式(II) 一般式(I)と同様である。) で示される化合物と一般式(III) 置換若しくは非置換のノルボルニリデン基である。) で示される化合物とを縮合剤の存在下に反応させること
によって、前記一般式(I)中のR1又はR2は水素原子又
は置換アミノ基であり、少くとも一方は置換アミノ基で
ある化合物を得ることができる。
上記一般式(II)で示される化合物と一般式(III)で
示される化合物との反応は、次のようにして行なわれ
る。これらの2種の化合物の反応比率は、広い範囲から
採用されるが、一般には1:10〜10:1(モル比)の範囲か
ら選択される。反応温度は、通常0〜200℃が好まし
く、溶媒としては、極性非プロトン溶媒、例えば、N−
メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、トルエン、
ベンゼン、テトラヒドロフラン等が使用される。この反
応に於いては、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン等
の第2級アミンに代表される縮合剤が一般式(II)で示
される化合物1モルに対して通常0.1〜10モルの範囲で
使用され、反応中生成する水を取り除くことによって完
結させることができる。水を取り除く方法としては、デ
ィーンースタークの装置を使って、水を反応系外へ取り
除く方法と、反応系内に塩化カルシウム、酸化カルシウ
ム、塩化亜鉛を添加しておき、これらの脱水剤によって
系内に生じる水を取り除く方法があり、いずれの方法を
採用してもよい。
この反応により下記式(IV) 一般式(I) と同様である。〕 で示されるクロマノン化合物が得られる。そして、さら
に上記の反応を続けると前記一般式(I)に於いて、R1
又はR2の少くとも一方が置換アミノ基である下記式
(V) 一般式(I)と同じであり、R1及びR2は、夫々同種又は
異種の水素原子又は置換アミノ基であり、少くとも一方
は置換アミノ基である。〕 で示される化合物が得られる。
前記一般式(I)に於いて、R1及びR2のいずれもが水素
原子である化合物は、上記(IV)で示されるクロマノン
化合物を水素化ホウ素ナトリウムや水素化リチウムアル
ミニウムなどの還元剤と反応させて、下記式 一般式(I)と同じである。〕 で示されるクロマノール化合物を得て、次いで、無水硫
酸銅などの脱水剤を用いて脱水することにより下記式 一般式(I)と同様である。〕 で示される化合物が得られる。
前記一般式(I)に於いて、R1がアルアルキル基、アリ
ール基である化合物は、上記式(IV)で示されるクロマ
ノン化合物をハロゲン化アルキルマグネシウムやアルキ
ルリチウムなどの有機金属化合物と反応させて、下記式 一般式(I)と同様であり、R1は、アルキル基、アルア
ルキル基、アリール基である。〕 で示されるクロマノール化合物を得て、次いで、無水硫
酸銅などの脱水剤を用いて脱水することにより下記式 一般式(I)と同様であり、R1は、アルアルキル基、ア
リール基である。〕 で示される化合物が得られる。
また、前記一般式(I)に於いて、R2がアルキル基、ア
ルアルキル基、アリール基である化合物は、上記(V)
で示される化合物をハロゲン化アルキル、ハロゲン化ア
リール、ハロゲン化アルアルキルと反応させて、下記式
(IV) 一般式(I)と同様であり、R1は、アルアルキル基、ア
リール基である。〕 で示されるクロマノン化合物を得て、前記したのと同様
に還元剤で還元し、さらに脱水剤を用いて脱水すること
により下記式 一般式(I)と同様であり、R2は、アルキル基、アルア
ルキル基、アリール基である。〕 で示される化合物が得られる。さらに、上記(VI)で示
されるクロマノン化合物を前記したのと同様にハロゲン
化アルキルマグネシウムなどの有機金属化合物と反応さ
せ、次いで脱水剤を用いて脱水することにより、下記式 は一般式(I)と同様であり、Rはアルアルキル基、ア
リール基であり、R2はアルキル基、アルアルキル基、ア
リール基である。〕 で示される化合物が得られる。
本発明の上記一般式〔I〕で示されるスピロピラン化合
物は、トルエン、クロロホム、テトラヒドロフラン等の
一般の有機溶媒に良く溶ける。このような溶媒に一般式
〔I〕で示されるスピロピラン化合物を溶かしたとき、
一般に溶液はほぼ無色透明であり、太陽光あるいは紫外
線を照射すると発色あるいは濃色にすみやかに変化し、
光を遮断すると速やかに元の無色にもどる良好な可逆的
なフォトクロミック作用を呈する。このような一般式
〔I〕の化合物におけるフォトクロミック作用は、高分
子固体マトリックス中でも起こり、可逆スピードは秒の
オーダーで起こる。かかる対象となる高分子マトリック
スとしては、本発明の一般式〔I〕で示されるスピロピ
ラン化合物が均一に分散するものであればよく、光学的
に好ましくは、例えばポリアクリル酸メチル、ポリアク
リル酸エチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリ
ル酸エチル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポ
リビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリ(2−
ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリジメチルシロ
キサン、ポリカーボネート、ポリ(アリルジグリコール
カーボネート)などのポリマー、あるいはこれらのポリ
マーを形成するモノマー相互または該モノマーと他のモ
ノマーとを共重合してなるポリマーなどが好適に用いら
れる。
本発明のスピロピラン化合物におけるフォトクロミック
作用は、従来のスピロアダマンタン化合物よりも特に退
色速度に優れている。
従って、本発明のスピロピラン化合物はフォトクロミッ
ク材として広範囲に利用でき、例えば、銀塩感光材に代
る各種の記憶材料、複写材料、印刷用感光体、陰極線管
用記録材料、レーザー用感光材料、ホログラフィ用感光
材料などの種々の記録材料として利用できる。その他、
本発明のスピロピラン化合物を用いたフォトクロミック
材は、フォトクロミックレンズ材料、光学フィルター材
料、ディスプレイ材料、光量計、装飾などの材料として
も利用できる。例えば、フォトクロミックレンズに使用
する場合には、均一な調光性能が得られる方法であれば
特に制限がなく、具体的に例示するならば、本発明のフ
ォトクロミック材を均一に分散してなるポリマーフィル
ムをレンズ中にサンドウィッチする方法、あるいは、こ
の化合物を例えばシリコーンオイル中に溶解して150〜2
00℃で10〜60分かけてレンズ表面に含浸させ、さらにそ
の表面を硬化性物質で被覆し、フォトクロミックレンズ
にする方法などがある。さらに、上記ポリマーフィルム
をレンズ表面に塗布し、その表面を硬化性物質で被覆
し、フォトクロミックレンズにする方法なども考えられ
る。
このようなフォトクロミックレンズに作用する場合、常
温付近で太陽光によって濃く発色するフォトクロミック
材が好ましい。このようなフォトクロミックレンズに好
ましい化合物は、前記一般式(I)中、 ナフタレン基、フェナンスレン基、ピリジレン基、キノ
リレン基である化合物である。就中、R1及びR2がともに
水素原子である化合物は特に濃く発色し、しかも退色速
度が速いという特長を有する。
また、前記した一般式(I)中のR1又はR2の各置換基を
選択することにより、一般式(I)の化合物の退色速度
を変えることができる。例えば、R2がアルキル基の場
合、恐らく、その発色状態のトランス型をとりにくくな
る為だと思われるが、速い退色速度が得られる。又、R1
が置換アミノ基の場合は、発色状態のトランス型が共鳴
によって安定化され、濃い発色濃度が得られる反面、退
色速度が少し遅くなるという特徴がある。これらのR1
びR2の各置換基は、目的に応じて任意に選択することが
できる。
〔効果〕
本発明の一般式(I)に示したスピロピラン化合物は、
高分子固体マトリックス中で、そのマトリックスの種類
には、ほとんど影響を受けず、一般的状態では安定な無
色を呈しているが、紫外線の照射を受けると直ちに発色
し、紫外線の照射をやめると秒のオーダーという速い退
色速度でもとの無色にもどり、かつこれらの変色を耐久
性よく繰り返す特性を有している。
〔実施例〕
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
実施例1 1−ヒドロキシ−2−アセトナフトン10g(0.054mol)
とノルカンファー6.6g(0.06mol)とピロリジン8g(0.1
13mol)とをトルエン300ccに溶解した溶液を調製した。
この混合物を10時間沸騰させ、水を分離した。反応終了
後、トルエンを減圧下で除去し、残ったクロマノン化合
物をアセトンで結晶化させた。次いで、このクロマノン
化合物をメタノール200ccに溶解させ、水素化ホウ素ナ
トリウムを徐々に添加して、クロマノール化合物にし
た。このクロマノール化合物7.47gを二酸化炭素気流中
で無水硫酸銅4.5gと共に150〜160℃で10分間加熱し、茶
色の粘稠な液体をシリカゲル上でのクロマトグラフィー
により精製することにより、下記式のスピロピラン化合
物6.3gを得た。
この化合物の元素分析値は、C86.93%、H6.89%、O6.18
%、であって、C19H18Oに対する計算値であるC87.02
%、H6.87%、O6.12%に極めてよく一致した。また、プ
ロトン核磁気共鳴スペクトル(第1図)を測定したとこ
ろ、δ7.2〜8.3ppm付近にナフタレン環のプロトンに基
づく6Hのピーク、δ5.6〜6.7ppm付近にアルケンのプロ
トンに基づく2Hのピーク、δ1.2〜2.5ppm付近にノルボ
ルニリデン基のプロトンに基づく10Hの幅広いピークを
示した。さらに13C−核磁気共鳴スペクトルを測定した
ところ、δ27〜52ppm付近にノルボルニリデン基の炭素
に基づくピーク、δ110〜160ppm付近にナフタレン環の
炭素に基づくピーク、δ80〜110ppm付近にアルケンの炭
素に基づくピークが現われる。上記の結果から、単離生
成物は、上記の構造式(1)で示される化合物であるこ
とを確認した。
実施例2 1−アセチル−2−ナフトール10g(0.054mol)とノル
カンファー6.6g(0.06mol)とモルホリン8.7g(0.10mo
l)とをトルエン300ccに溶解した溶液を調製した。この
混合物を5時間沸騰させ、水を分離した。反応終了後、
トルエンを減圧下で除去し、残ったクロマノン化合物を
アセトンで再結晶させた。次いで、このクロマノン化合
物ををメタノール200ccに溶解させ、水素化リチウムア
ルミニウムを添加して、クロマノール化合物にした。こ
のクロマノール化合物6.49gを二酸化炭素気流中で無水
硫酸銅と共に170〜180℃で10分間加熱し、茶色の粘調な
液体をシリカゲル上でクロマトグラフィーにより精製
し、下記式のスピロピラン化合物5.1gを得た。
この化合物の元素分析値は、C86.86%、H6.91%、O6.22
%であって、C19H18Oに対する計算値であるC87.02%、H
6.87%、O6.12%に極めてよく一致した。また、プロト
ン核磁気共鳴スペクトルを測定したところ、δ7.2〜8.2
ppm付近にナフタレン環のプロトンに基づく6Hのピー
ク、δ6.0〜7.0ppm付近にアルケンのプロトンに基づく2
Hのピーク、δ1.2〜2.5ppm付近にノルボルニリデン基の
プロトンに基づく10Hの幅広いピークを示した。さらに
13C−核磁気共鳴スペクトルを測定したところ、δ27〜5
2ppm付近にノルボルニリデン基の炭素に基づくピーク、
δ110〜160ppm付近にナフタレン環の炭素に基づくピー
ク、δ90〜110ppm付近にアルケンの炭素に基づくピーク
が現われる。上記の結果から、単離生成物は、上記の構
造式(2)で示される化合物であることを確認した。
実施例3 1−アセチル−2−ナフトール10g(0.054mol)とノル
カンファー6.6g(0.06mol)とモルホリン8.7g(0.10mo
l)とをトルエン300ccに溶解し、15時間沸騰させ、水を
分離した。反応終了後、トルエンを減圧下で除去し、残
った生成物をアセトンで再結晶させ、下記式で示される
化合物7.53gを得た。
次いで、この化合物7.53gをメタノール100ccに溶解さ
せ、ヨウ化メチルと反応させることにより、下記式で示
されるクロマノン化合物6.95gを得た。
次いで、この生成したクロマノン化合物を実施例2と同
様にして、クロマノール化合物に変え、脱水反応を行な
い、分離、精製後、下記式のスピロピラン化合物5.84g
を得た。
実施例2と同様に、元素分析、プロトン核磁気共鳴スペ
クトル、13C−核磁気共鳴スペクトルの測定によって、
この化合物が上記の構造式(4)で示される化合物であ
ることを確認した。第2表にこの化合物の元素分析値及
び化合物(4)の組成式から計算される計算値を示し
た。
実施例4〜28 実施例1〜3と同様にして第1表に示した原料から種々
のスピロピラン化合物を合成した。但し、第1表中、実
施例3〜8は実施例3と同様に、実施例9〜24は実施例
1と同様に、また、実施例25〜28は実施例3と同様に行
なった。
得られた生成物について、実施例1と同様な構造確認の
手段を用いて構造解析した結果、第1表に示す構造式で
示される化合物であることを確認した。また、第2表に
この化合物の元素分析値及び各化合物の構造式から求め
た計算値を示した。
実施例29 実施例1で合成した下記式の化合物を ポリメタクリル酸メチル中にベンゼンを用いて溶解分解
させ、スライドグラス(11.2×3.7cm)上でキャストフ
ィルムをつくった。このフィルム中に含まれる上記化合
物の濃度は、1.0×10-4mol/gに調整し、厚みは0.1mmに
なるようにした。このフォトクロミックフィルムに東芝
(株)製の水銀ランプSHL−100を25℃±1℃で距離10cm
で60秒間照射し、このフィルムを発色させ、フォトクロ
ミック特性を測定した。フォトクロミック特性は次のよ
うなもので表した。結果を第3表に示した。
最大吸収波長は(λmax);(株)日立製作所の分光光
度計220Aを用いてこの発色フィルムのλmaxを求めた。
ε(60秒);最大吸収波長における、このフィルムの上
記条件下での光照射60秒間後の吸光度。
ε(0秒);光照射時の最大吸収波長における、未照射
フィルムの吸光度。
半減期t1/2 ;60秒間の光照射後、このフィルムの吸光
度が、{ε(60秒)−ε(0秒)}の1/2まで低下する
のに要する時間。
実施例30〜55 実施例29と同様にして、実施例2〜28で製造した化合物
のフォトクロミック特性を実施例29と同様にして測定し
た。結果を第3表に示す。なお、比較のために下記の
(31)で示されるスピロアダマンタン化合物のフォトク
ロミック特性についても同様にフィルムを作成し測定し
た。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1で得られたスピロピラン化合物の1H−
核磁気共鳴スペクトルのチャートである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07D 495/10 C09K 9/02 B G03C 1/685 9413−2H

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式 置換若しくは非置換のノルボルニリデン基であり、 置換若しくは非置換の芳香族炭化水素基又は置換若しく
    は非置換の不飽和複素環基であり、R1は水素原子、アル
    アルキル基、アリール基又は置換アミノ基、R2は水素原
    子、アルキル基、アルアルキル基、アリール基又は置換
    アミノ基である。〕 で示されるスピロピラン化合物。
  2. 【請求項2】一般式 置換若しくは非置換の芳香族炭化水素基又は置換若しく
    は非置換の不飽和複素環基である。〕 で示される化合物と、一般式 置換若しくは非置換のノルボルニリデン基である。〕 で示される化合物とを縮合剤の存在下に反応させること
    を特徴とする下記式 置換若しくは非置換のノルボルニリデン基であり、 置換若しくは非置換の芳香族炭化水素基又は置換若しく
    は非置換の不飽和複素環基であり、R1は水素原子、又は
    置換アミノ基、R2は水素原子又は置換アミノ基であり、
    少くとも一方は置換アミノ基である。〕 で示されるスピロピラン化合物の製造方法。
  3. 【請求項3】一般式 置換若しくは非置換の芳香族炭化水素基又は置換若しく
    は非置換の不飽和複素環基である。〕 で示される化合物と一般式 置換若しくは非置換のノルボルニリデン基である。〕 で示される化合物とを縮合剤の存在下に反応させて、一
    般式 置換若しくは非置換のノルボルニリデン基であり、 置換若しくは非置換の芳香族炭化水素基又は置換若しく
    は非置換の不飽和複素環基である。〕 で示される化合物を得、次いでこの化合物を還元し、さ
    らに脱水反応させることを特徴とする下記式 置換若しくは非置換のノルボルニリデン基であり、 置換若しくは非置換の芳香族炭化水素基又は置換若しく
    は非置換の不飽和複素環基であり、R1及びR2は水素原子
    である。〕 で示されるスピロピラン化合物の製造方法。
  4. 【請求項4】特許請求の範囲第(1)項記載のスピロピ
    ラン化合物よりなるフォトクロミック材。
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