JPH0684368B2 - スピロピラン化合物及びその製造方法 - Google Patents

スピロピラン化合物及びその製造方法

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JPH0684368B2
JPH0684368B2 JP1141206A JP14120689A JPH0684368B2 JP H0684368 B2 JPH0684368 B2 JP H0684368B2 JP 1141206 A JP1141206 A JP 1141206A JP 14120689 A JP14120689 A JP 14120689A JP H0684368 B2 JPH0684368 B2 JP H0684368B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、太陽光もしくは水銀灯の光のような紫外線を
含む光で無色から着色もしくは濃色した形態に変化し、
その変化が可逆的で優れた耐久性を示す新規なスピロピ
ラン化合物に関する。
(従来技術および発明が解決しようとする課題) フォトクロミズムとは、ここ数年来注目をひいてきた現
象であって、ある化合物に太陽光あるいは水銀灯の光の
ような紫外線を含む光を照射する速やかに色が変わり、
光の照射をやめて暗所におくと元の色にもどる可逆作用
のことである。この性質を有する化合物は、フォトクロ
ミック化合物と呼ばれ従来から色々な化合物が合成され
てきたが、その構造には特別な共通の構造は認められな
い。
特開昭63−66178号公報には、ベンゾピラン環又はナフ
トピラン環の2位の位置にアダマンチリデン基が存在し
ているスピロアダマンタン化合物が記載されている。こ
れらのスピロアダマンタン化合物は、常温付近(10〜40
℃)でもフォトクロミック性を示す化合物であり、一般
に無色から黄〜オレンジ色へ変化することが知られてい
る。しかしながら、これらのスピロアダマンタン化合物
は、その嵩高なアダマンチリデン基のためと考えられる
が、着色形が比較的安定であり、周囲温度による退色速
度があまり速くない。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、上記した化合物のフォトクロミック性を
更に向上させるために鋭意研究を重ねた結果、新規なス
ピロピラン化合物の合成に成功し、該スピロピラン化合
物は退色速度が速いことを見出し、本発明を完成させる
に至った。
即ち、本発明は、一般式(I) 〔但し、 は、置換若しくは非置換のビシクロ〔3.3.1〕9−ノニ
リデン基であり、 は、置換若しくは非置換の芳香族炭化水素基又は置換若
しくは非置換の不飽和複素環基あり、R1及びR2は、夫
々、同種又は異種の水素原子、アルキル基、アルアルキ
ル基、アリール基又は置換アミノ基である。〕で示され
るスピロピラン化合物である。
上記一般式〔I〕中、 で示される基は、ビシクロ〔3.3.1〕9−ノニリデン基 もしくは置換ビシクロ〔3.3.1〕9−ノニリデン基を表
わす。その置換基の具体例としては、例えば、ヒドロキ
シ基;メチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の置換アミ
ノ基;メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等の
炭素数1〜4のアルコキシ基;ベンジルオキシ基等の炭
素数7〜15のアラルコキシ基;フェノキシ基、1−ナフ
トキシ基等の炭素数6〜14のアリールオキシ基;メチル
基、エチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜4の低級ア
ルキル基;フッ素、塩素、シュウ素等のハロゲン原子;
シアノ基;カルボキシル基;エトキシカルボニル基等の
炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基;トリフルオロ
メチル基等の炭素数1または2のハロゲン置換アルキル
基;ニトロ基;フェニル基、トリル基等のアリール基;
ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等
のアルアルキル基等が挙げられ、また、これらの置換基
は1置換体として含まれるもののみならず、2置換以上
の複数個の置換基を有する多置換体として含まれてもよ
く、さらには多置換体における置換基は同種であって
も、異種であっても何ら支障はなく、置換体の位置につ
いては目的あるいは用途に応じて変えられる。
前記一般式(I)中、 で示される基は、置換若しくは非置換の芳香族炭化水素
基又は置換若しくは非置換の不飽和複素環基である。芳
香族炭化水素基をより具体的に例示すると、フェニレン
基、ナフチレン基、フェナンスリレン基、トリレン基、
キシリレン基などのベンゼン環1個または、その2〜4
個の縮合環よりなる非置換の芳香族炭化水素基が挙げら
れ、また、上記の芳香族炭化水素基にアルコキシ基、水
酸基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、置
換アミノ基、ハロゲン原子、フェニル基又は、チェニル
基、フリル基若しくはピロリル基等の複素環基が1個ま
たは2個以上置換した置換芳香族炭化水素基を挙げるこ
とができる。また、 で示される上記の不飽和複素環基としては、酸素、イオ
ウ、窒素原子を含む5員環、6員環またはこれらにベン
ゼン環が縮合した複素環基が挙げられる。具体的には、
ピリジレン基、キノリレン基、ピロリレン基等の含窒素
複素環基;フリレン基及びベンゾフリレン基等の含酸素
複素環基;チェニレン基、ベンゾチェニレン基等の含イ
オウ複素環基などである。さらに、これらの不飽和複素
環基に、前記した芳香族炭化水素基の説明で述べた置換
基が置換した置換不飽和複素環基も、本発明に於いて何
ら制限なく採用される。
さらに、前記一般式(I)中、R1及びR2で示される基
は、夫々、同種又は異種の水素原子、アルキル基、アル
アルキル基、アリール基、又は置換アミノ基である。上
記のアルキル基は、特に限定されないが、一般には炭素
数1〜20、好ましくは1〜6のアルキル基が好適に使用
される。アルアルキル基のアルキル基は、一般に炭素数
1〜10、好ましくは1〜4のものが好適である。これら
アルキル基及びアルアルキル基をより具体的に例示する
と、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ベン
ジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェ
ニルブチル基等である。また、アリール基としては、例
えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基
等が好適である。
さらに、前記一般式〔I〕中、R1及びR2で示される置換
アミノ基は、一般式 または、 で示される。ここでR3、R4で示される基は、R3とR4の内
いずれか一方が水素原子で他はアルキル基であるか、又
は、それぞれ同一又は異なったアルキル基を示す。該ア
ルキル基としては、特に限定されないが、具体的には、
上記したアルキル基の例と同様な基を採用することがで
きる。さらに、R5は、テトラメチレン基、ペンタメチレ
ン基などの炭素原子数3〜6のアルキレン基; −CH2OCH2CH2−、−CH2CH2OCH2CH2−、−CH2O(CH2)
3−、などの炭素原子数3〜6のオキシアルキレン基; −CH2SCH2CH2−、−CH2S(CH2)3−、 −CH2CH2SCH2CH2−などの炭素原子数3〜6のチオアル
キレン基; などの炭素原子数3〜6のアゾアルキレン基等が好適に
採用される。
本発明の上記した一般式(I)で示される化合物は、一
般に常温常圧で無色、あるいは淡黄色の固体または粘稠
な液体として存在し、次の(イ)〜(ハ)のような手段
で確認できる。
(イ)プロトン核磁気共鳴スペクトル(H1−NMR)を測
定することにより、分子中に存在するプロトンの種類と
個数を知ることができる。すなわち、δ7〜8.5ppm付近
にアロマティックなプロトンに基づくピーク、δ1.2〜
2.5ppm付近にビシクロ〔3.3.1〕9−ノニリデン基に由
来するプロトンに基づく幅広いピーク、R1、R2が水素原
子であるときにはδ5.5〜7.0ppm付近にアルケンのプロ
トンに基づくピークが現われる。また、それぞれのδピ
ーク強度を相対的に比較することにより、それぞれの結
合基のプロトンの個数を知ることができる。
(ロ)元素分析によって炭素、水素、窒素、イオウ、ハ
ロゲンの各重量%を求めることができる。さらに、認知
された各元素の重量%の和を100から減ずることによ
り、酸素の重量%を算出することができる。従って、相
当する生成物の組成を決定することができる。
(ハ)13C−核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定
することにより、分子中に存在する炭素の種類を知るこ
とができる。δ27−52ppm付近にビシクロ〔3.3.1〕9−
ノニリデン基の炭素に由来するピーク、R1及びR2がアル
キル基である場合にはδ15〜35ppm付近にアルキル基の
炭素に基づくピーク、δ110〜150ppm付近に芳香族炭化
水素基又は不飽和複素環基の炭素に基づくピークが現わ
れる。
本発明の一般式(I)で示される化合物の製造方法は、
特に限定される如何なる合成法によって得ても良い。一
般に好適に採用される代表的な方法を以下に説明する。
下記の一般式(II) (式中、 は、一般式(I)と同様である。) で示される化合物と一般式(III) (式中、 は、置換若しくは非置換のビシクロ〔3.3.1〕9−ノニ
リデン基である。) で示される化合物と第1アミン又は第2アミンの存在下
に反応させることによって、前記一般式(I)中のR1
はR2が水素原子又は置換アミノ基であり、少くとも一方
は置換アミノ基である化合物を得ることができる。
上記一般式(II)で示される化合物と一般式(III)で
示される化合物との反応は、次のようにして行なわれ
る。これらの2種の化合物の反応比率は、広い範囲から
採用されるが、一般には1:10〜10:1(モル比)の範囲か
ら選択される。反応温度は、通常0〜200℃が好まし
く、溶媒としては、極性非プロトン溶媒、例えば、N−
メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、トルエン、
ベンゼン、テトラヒドロフラン等が使用される。この反
応に於いては、N−エチルアミン、N−プロピルアミン
等の第1アミン又はピロリジン、ピペリジン、モルホリ
ン等の第2アミンに代表される縮合剤が一般式(II)で
示される化合物1モルに対して通常0.1〜10モルの範囲
で使用され、反応中生成する水を取り除くことによって
反応を完結させることができる。水を取り除く方法とし
ては、ディーンスタークの装置を使って、水を反応系外
へ取り除く方法と、反応系内に塩化カルシウム、酸化カ
ルシウム、塩化亜鉛を添加しておき、これらの脱水剤に
よって系内に生じる水を取り除く方法があり、いずれの
方法を採用してもよい。
この反応により下記式(IV) 〔但し、 は、一般式(I)と同様である。〕 で示されるクロマノン化合物が得られる。そして、さら
に上記の反応を続けると前記一般式(I)に於いて、R1
又はR2の少くとも一方が置換アミノ基である下記式
(V) 〔但し、 は、一般式(I)と同じであり、R1及びR2は、夫々同種
又は異種の水素原子又は置換アミノ基であり、少くとも
一方は置換アミノ基である。〕 で示される化合物が得られる。
前記一般式(I)に於いて、R1及びR2のいずれもが水素
原子である化合物は、上記(IV)で示されるクロマノン
化合物を水素化ホウ素ナトリウムや水素化リチウムアル
ミニウムなどの還元剤と反応させて、下記式 〔但し、 は、一般式(I)と同じである。〕 で示されるクロマノール化合物を得て、次いで、無水硫
酸銅などの脱水剤を用いて脱水することにより下記式 〔但し、 は、一般式(I)と同様である。〕 で示される化合物が得られる。
前記一般式(I)に於いて、R1がアルキル基、アルアル
キル基、アリール基である化合物は、上記式(IV)で示
されるクロマノン化合物をハロゲン化アルキルマグネシ
ウムやアルキルリチウムなどの有機金属化合物と反応さ
せて、下記式 〔但し、 は、一般式(I)と同様であり、R1は、アルキル基、ア
ルアルキル基、アリール基である。〕 で示されるクロマノール化合物を得て、次いで、無水硫
酸銅などの脱水剤を用いて脱水することにより、下記式 〔但し、 は一般式(I)と同様であり、R1は、アルキル基、アル
アルキル基、アリール基である。〕 で示される化合物が得られる。
また、前記一般式(I)に於いて、R2がアルキル基、ア
ルアルキル基、アリール基である化合物は、上記(V)
で示される化合物をハロゲン化アルキル、ハロゲン化ア
リール、ハロゲン化アルアルキルと反応させて、下記式
(VI) 〔但し、 は一般式(I)と同様であり、R2はアルキル基、アルア
ルキル基、アリール基である。〕 で示されるクロマノン化合物を得て、前記したのと同様
に還元剤で還元し、さらに脱水剤を用いて脱水すること
により、下記式 〔但し、 は一般式(I)と同様であり、R2は、アルキル基、アル
アルキル基、アリール基である。〕 で示される化合物が得られる。さらに、上記(VI)で示
されるクロマノン化合物を前記したのと同様にハロゲン
化アルキルマグネシウムなどの有機金属化合物と反応さ
せ、次いで脱水剤を用いて脱水することにより、下記式 〔但し、 は一般式(I)と同様であり、R1及びR2は、夫々同種又
は異種のアルキル基、アルアルキル基、アリール基であ
る。〕 で示される化合物が得られる。
本発明の上記一般式〔I〕で示されるスピロピラン化合
物は、トルエン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等
の一般の有機溶媒に良く溶ける。このような溶媒に一般
式〔I〕で示されるスピロピラン化合物を溶かしたと
き、一般に溶液はほぼ無色透明であり、太陽光あるいは
紫外線を照射すると発色あるいは濃色にすみやかに変化
し、光を遮断すると速やかに元の無色にもどる良好な可
逆的なフォトクロミック作用を呈する。このような一般
式〔I〕の化合物におけるフォトクロミック作用は、高
分子固体マトリックス中でも起こり、可逆スピードは秒
のオーダーで起こる。かかる対象となる高分子マトリッ
クスとしては、本発明の一般式〔I〕で示されるスピロ
ピラン化合物が均一に分散するものであればよく、光学
的に好ましくは、例えばポリアクリル酸メチル、ポリア
クリル酸エチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタク
リル酸エチル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、
ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリ(2
−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリジメチルシ
ロキサン、ポリカーボネート、ポリ(アリルジグリコー
ルカーボネート)などのポリマー、あるいはこれらのポ
リマーを形成するモノマー相互または該モノマーと他の
モノマーとを共重合してなるポリマーなどが好適に用い
られる。
本発明のスピロピラン化合物におけるフォトクロミック
作用は、従来のスピロアダマンタン化合物よりも特に退
色速度に優れている。
従って、本発明のスピロピラン化合物はフォトクロミッ
ク材としては広範囲に利用でき、例えば、銀塩感光材に
代る各種の記憶材料、複写材料、印刷用感光体、陰極線
管用記録材料、レーザー用感光材料、ホログラフィー用
感光材料などの種々の記録材料として利用できる。その
他、本発明のスピロピラン化合物を用いたフォトクロミ
ック材は、フォトクロミックレンズ材料、光学フィルタ
ー材料、ディスプレイ材料、光量計、装飾などの材料と
しても利用できる。例えば、フォトクロミックレンズに
使用する場合には、均一な調光性能が得られる方法であ
れば特に制限がなく、具体的に例示するならば、本発明
のフォトクロミック材を均一に分散してなるポリマーフ
ィルムをレンズ中にサンドウィッチする方法、あるい
は、この化合物を例えばシリコーンオイル中に溶解して
150〜200℃で10〜60分かけてレンズ表面に含浸させ、さ
らにその表面を硬化性物質で被覆し、フォトクロミック
レンズにする方法などがある。さらに、上記ポリマーフ
ィルムをレンズ表面に塗布し、その表面を硬化性物質で
被覆し、フォトクロミックレンズにする方法なども考え
られる。
このようなフォトクロミックレンズに作用する場合、常
温付近で太陽光によって濃く発色するフォトクロミック
材が好ましい。このようなフォトクロミックレンズに好
ましい化合物は、前記一般式(I)中、 が、ナフタレン基、フェナンスレン基、ピリジレン基、
キノリレン基である化合物である。就中、R1及びR2がと
もに水素原子である化合物は特に濃く発色し、しかも退
色速度が速いという特長を有する。
また、前記した一般式(I)中のR1又はR2の各置換基を
選択することにより、一般式(I)の化合物の退色速度
を変えることができる。例えば、R1及びR2がアルキル基
の場合、恐らく、その発色状態のトランス型をとりにく
くなる為だと思われるが、速い退色速度が得られる。
又、R1が置換アミノ基の場合は、発色状態のトランス型
が共鳴によって安定化され、濃い発色濃度が得られる反
面、退色速度が少し遅くなるという特徴がある。これら
のR1及びR2の各置換基は、目的に応じて任意に選択する
ことができる。
〔効果〕
本発明の一般式(I)に示したスピロピラン化合物は、
高分子固体マトリックス中で、そのマトリックスの種類
には、ほとんど影響を受けず、一般的状態では安定な無
色を呈しているが、紫外線の照射を受けると直ちに発色
し、紫外線の照射をやめると秒のオーダーという速い退
色速度でもとの無色にもどり、かつこれらの変色を耐久
性よく繰り返す特性を有している。
〔実施例〕
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
実施例1 1−ヒドロキシ−2−アセトナフトン10g(0.054mol)
とビシクロ〔3.3.1〕ノナン−9−オン8.29g(0.06mo
l)とピロリジン8g(0.113mol)とをトルエン300ccに溶
解した溶液を調製した。この混合物を10時間沸騰させ、
水を分離した。反応終了後、トルエンを減圧下で除去
し、残ったクロマノン化合物をアセトンで結晶化させ
た。次いで、このクロマノン化合物をメタノール200cc
に溶解させ、水素化ホウ素ナトリウムを徐々に添加し
て、クロマノール化合物にした。このクロマノール化合
物7.47gを二酸化炭素気流中で無水硫酸銅4.5gと共に150
〜160℃で10分間加熱し、茶色の粘稠な液体をシリカゲ
ル上でのクロマトグラフィーにより精製することによ
り、下記式のスピロピラン化合物6.9gを得た。
この化合物の元素分析値は、C86.78% H7.64% O5.58
%であって、C21H22Oに対する計算値であるC86.90%、H
7.59% O5.52%に極めてよく一致した。また、プロト
ン核磁気共鳴スペクトル(第1図)を測定したところ、
δ7.2〜8.3ppm付近にナフタレン環のプロトンに基づく6
Hのピーク、δ5.6〜6.7ppm付近にアルケンのプロトンに
基づく2Hのピーク、δ1.2〜2.5ppm付近にビシクロ〔3.
3.1〕9−ノニリデン基のプロトンに基づく14Hの幅広い
ピークを示した。さらに13C−核磁気共鳴スペクトルを
測定したところ、δ25〜55ppm付近にビシクロ〔3.3.1〕
9−ノニリデン基の炭素に基づくピーク、δ110〜160pp
m付近にナフタレン環の炭素に基づくピーク、δ80〜110
ppm付近にアルケンの炭素に基づくピークが現われる。
上記の結果から、単離生成物は、上記の構造式(1)で
示される化合物であることを確認した。
実施例2 1−アセチル−2−ナフトール10g(0.054mol)とビシ
クロ〔3.3.1〕ノナン−9−オン8.29g(0.06mol)とモ
ルホリン8.7g(0.10mol)とをトルエン300ccに溶解した
溶液を調製した。この混合物を5時間沸騰させ、水を分
離した。反応終了後、トルエンを減圧下で除去し、残っ
たクロマノン化合物をアセトンで再結晶させた。次い
で、このクロマノン化合物をメタノール200ccに溶解さ
せ、水素化リチウムアルミニウムを添加して、クロマノ
ール化合物にした。このクロマノール化合物6.49gを二
酸化炭素気流中で無水硫酸銅と共に170〜180℃で10分間
加熱し、茶色の粘稠な液体をシリカゲル上でクロマトグ
ラフィーにより精製し、下記式のスピロピラン化合物5.
8gを得た。
この化合物の元素分析値は、C86.81%、H7.62%、O5.57
%であって、C21H22Oに対する計算値であるC86.90%、H
7.59%、O5.52%に極めてよく一致した。また、プロト
ン核磁気共鳴スペクトルを測定したところ、δ7.2〜8.3
ppm付近にナフタレン環のプロトンに基づく6Hのピー
ク、δ6.0〜7.0ppm付近にアルケンのプロトンに基づく2
Hのピーク、δ1.2〜2.5ppm付近にビシクロ〔3.3.1〕9
−ノニリデン基のプロトンに基づく14Hの幅広いピーク
を示した。さらに、13C−核磁気共鳴スペクトルを測定
したところ、δ27〜55ppm付近にビシクロ〔3.3.1〕9−
ノニリデン基の炭素に基づくピーク、δ110〜160ppm付
近にナフタレン環の炭素に基づくピーク、δ80〜110ppm
付近にアルケンの炭素に基づくピークが現われる。上記
の結果から、単離生成物は、上記の構造式(2)で示さ
れる化合物であることを確認した。
実施例3 実施例2で得た下記式で示されるクロマノン化合物3.06
g (0.01mol)を無水エーテル50ccに溶解し、0℃までそ
の溶解を冷やし、無水エーテル50cc中で新たに調製した
グリニャール試薬CH3MgI(0.012mol)をその溶液中に約
1時間を要して滴下した。滴下終了後、室温でさらに2
時間攪拌した後、冷水中にそのエーテル溶液を静かに注
ぎ、エーテルで生成物を抽出し、硫酸マグネシウムでそ
の溶液を乾燥後、減圧下でエーテルを除去し、クロマノ
ン化合物をクロマノール化合物に変えた。次いでこのク
ロマノール化合物を二酸化炭素気流中で無水硫酸銅と共
に200℃で約10分間加熱し、茶色な粘稠な液体をシリカ
ゲル上でクロマトグラフィーにより精製し、下記式のス
ピロピラン化合物2.47gを得た。
実施例2と同様に元素分析、プロトン核磁気共鳴スペク
トル、13C−核磁気共鳴スペクトルの測定によって、こ
の化合物が、上記の構造式(3)で示される化合物であ
ることを確認した。第2表にこの化合物の元素分析値及
び化合物(3)の組成式より計算される計算値を示す。
実施例4 1−アセチル−2−ナフトール10g(0.054mol)とビシ
クロ〔3.3.1〕ノナン−9−オン8.29g(0.06mol)とモ
ルホリン8.7g(0.10mol)とをトルエン300ccに溶解し、
15時間沸騰させ、水を分離した。反応終了後、トルエン
を減圧下で除去し、残った生成物をアセトンで再結晶さ
せ、下記式で示される化合物8.48gを得た。
次いで、この化合物8.48gをメタノール100ccに溶解さ
せ、ヨウ化メチルと反応させることにより、下記式で示
されるクロマノン化合物7.83gを得た。
次いで、この生成したクロマノン化合物を実施例2と同
様にして、クロマノール化合物に変え、脱水反応を行な
い、分離、精製後、下記式のスピロピラン化合物6.58g
を得た。
実施例2と同様に、元素分析、プロトン核磁気共鳴スペ
クトル、13C−核磁気共鳴スペクトルの測定によって、
この化合物が上記の構造式(4)で示される化合物であ
ることを確認した。第2表にこの化合物の元素分析値及
び化合物(4)の組成式から計算される計算値を示し
た。
実施例5〜30 実施例1〜4と同様にして第1表に示した原料から種々
のスピロピラン化合物を合成した。但し、第1表中、実
施例5〜9は実施例4と同様に、実施例10〜25は実施例
1と同様に、また、実施例26〜30は実施例3又は4と同
様に行なった。
得られた生成物について、実施例1と同様な構造確認の
手段を用いて構造解析した結果、第1表に示す構造式で
示される化合物であることを確認した。また、第2表に
この化合物の元素分析値及び各化合物の構造式から求め
た計算値を示した。
実施例31 実施例1で合成した下記式の化合物を ポリメタクリル酸メチル中にベンゼンを用いて溶解分解
させ、スライドグラス(11.2×3.7cm)上でキャストフ
ィルムをつくった。このフィルム中に含まれる上記化合
物の濃度は、1.0×10-4mol/gに調整し、厚みは0.1mmに
なるようにした。このフォトクロミックフィルムに東芝
(株)製の水銀ランプSHL−100を25℃±1℃で距離10cm
で60秒間照射し、このフィルムを発色させ、フォトクロ
ミック特性を測定した。フォトクロミック特性は次のよ
うなもので表した。結果を第3表に示した。
最大吸収波長(λmax);(株)日立製作所の分光光度
計220Aを用いてこの発色フィルムのλmaxを求めた。
ε(60秒);最大吸収波長における、このフィルムの上
記条件下での光照射60秒間後の吸光度。
ε(0秒) ;光照射時の最大吸収波長における、未照
射フィルムの吸光度。
半減期t1/2;60秒間の光照射後、このフィルムの吸光度
が、{ε(60秒)−ε(0秒)}の1/2まで低下するの
に要する時間。
実施例32〜60 実施例31と同様にして、実施例2〜30で製造した化合物
のフォトクロミック特性を実施例31と同様にして測定し
た。結果を第3表に示す。なお、比較のために下記の
(31)で示されるスピロアダマンタン化合物のフォトク
ロミック特性についても同様にフィルムを作成し測定し
た。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例1で得られたスピロピラン化合物の1H
−核磁気共鳴スペクトルのチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09K 9/02 B 7188−4H G03C 1/685 9019−2H

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式 〔但し、 置換若しくは非置換のビシクロ〔3.3.1〕9−ノニリデ
    ン基であり、 は、置換若しくは非置換の芳香族炭化水素基又は置換若
    しくは非置換の不飽和複素環基であり、R1及びR2は、夫
    々、同種又は異種の水素原子、アルキル基、アルアルキ
    ル基、アリール基又は置換アミノ基である。〕 で示されるスピロピラン化合物。
  2. 【請求項2】一般式 〔但し、 は、置換若しくは非置換の芳香族炭化水素基又は置換若
    しくは非置換の不飽和複素環基である。〕 で示される化合物と、一般式 〔但し、 は、置換若しくは非置換のビシクロ〔3.3.1〕9−ノニ
    リデン基である。〕 で示される化合物とを第1アミン又は第2アミンの存在
    下に反応させることを特徴とする下記式 〔但し、 は、置換若しくは非置換のビシクロ〔3.3.1〕9−ノニ
    リデン基であり、 は、置換若しくは非置換の芳香族炭化水素基又は置換若
    しくは非置換の不飽和複素環基であり、R1及びR2は、夫
    々、同種又は異種の水素原子又は置換アミノ基であり、
    少くとも一方は置換アミノ基である。〕 で示されるスピロピラン化合物の製造方法。
  3. 【請求項3】一般式 〔但し、 は、置換若しくは非置換の芳香族炭化水素基又は置換若
    しくは非置換の不飽和複素環基である。〕 で示される化合物と一般式 〔但し、 は、置換若しくは非置換のビシクロ〔3.3.1〕9−ノニ
    リデン基である。〕 で示される化合物とを縮合剤の存在下に反応させて、一
    般式 〔但し、 は、置換若しくは非置換のビシクロ〔3.3.1〕9−ノニ
    リデン基であり、 は、置換若しくは非置換の芳香族炭化水素基又は置換若
    しくは非置換の不飽和複素環基である。〕 で示される化合物を得、次いでこの化合物を還元し、さ
    らに脱水反応させることを特徴とする下記式 〔但し、 は、置換若しくは非置換のビシクロ〔3.3.1〕9−ノニ
    リデン基であり、 は、置換若しくは非置換の芳香族炭化水素基又は置換若
    しくは非置換の不飽和複素環基であり、R1及びR2は、水
    素原子である。〕 で示されるスピロピラン化合物の製造方法。
  4. 【請求項4】特許請求の範囲第(1)項記載のスピロピ
    ラン化合物よりなるフォトクロミック材。
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